JP2005286132A - 光学装置及びその調整方法 - Google Patents

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敏正 下田
Naoyuki Kawakami
直之 川上
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修 山下
Toru Kawaguchi
透 川口
Tadashi Nagayama
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Abstract

【課題】 光学系の調整やメンテナンス等を行ない易くなる光学装置等を提供する。
【解決手段】 露光装置1の下ボディ12には、一対のウェハオートフォーカスユニット50(送光系及び受光系)と、ウェハアライメントユニット60とが設けられている。各ユニット50、60のケーシング51、61内において、上部51a、61aと下部51b、61bとの境界部分には、透明の隔壁55、65が設けられている。これらの隔壁55、65は、上部51a、61a(大気)と下部51b、61b(低真空)とを仕切るとともに、それぞれのユニット50、60の光学素子53、63の光学補正(ピント合わせ等)を行なう補正光学素子の役割を兼ねている。これらの隔壁55、65(あるいは隔壁57、67)を屈折率変化に対応した厚さのものに交換しておくことで、真空引きの後にも焦点位置が自動的に補正されてずれが解消される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、真空や窒素、ヘリウム等の特殊雰囲気と大気との間にまたがって延びる光路を有する光学装置、及び、その調整方法に関する。
露光装置を例に採って背景技術を説明する。
一般に、露光装置は、原版上のパターンを感応基板上に投影する投影光学系を収めた鏡筒や、原版を移動・位置決めする原版ステージ装置、感応基板を移動・位置決めする感応基板ステージ装置等を備えている。露光装置の露光光がEUV光や電子ビーム、あるいは、F2レーザ光である場合には、鏡筒や各ステージ装置の周りは真空や窒素、ヘリウム等の特殊雰囲気とされ、各ステージ装置は内部が前記特殊雰囲気となっているチャンバー内に収容される。そして、このチャンバーには、オートフォーカス光学系やアライメント光学系が付設される。
ところで、特殊雰囲気とされるチャンバーにアライメント光学系を設置するには、大別すると二通りの方法がある。一つは特殊雰囲気中にアライメント光学系全体を設置する方法(第1の方法)であり、もう一つはアライメント光学系がチャンバー内外を貫き、大気と特殊雰囲気との間にまたがって光学系を設置する方法(第2の方法)である。
前記第1の方法は、アライメント光学系の構成が簡単になるという利点を有する。しかし、アライメント光学系全体が特殊雰囲気中にあるため、真空引きや窒素、ヘリウム等への置換を行なった後で光学系の調整やメンテナンス等を行なう必要が生じた場合には、一旦チャンバーの真空解除又は気体放出を行ない、メンテナンス終了後にまた真空引きやガス置換を行なわなければならず、作業が煩雑になるとともに装置停止時間が長くなるという欠点がある。あるいは、真空解除又は気体置換を避けようとすると、アライメント光学系内に自動調整機構(環境変化時の光学特性の変化を調整する機構等)を組み込まなければならず、この場合は装置構成の複雑化とコスト高につながる。しかも、自動調整機構等に不具合が生じた場合は、結局真空解除又は気体置換を行なわなければならなくなる。そのため、第1の方法は、実際上合理的であるとはいい難い。
前記第2の方法は、第1の方法のように真空解除又は気体放出を行なう必要はなく、調整やメンテナンス等を容易に行なうことができる利点がある。この理由から、現状では第2の方法が主流と考えられつつある。しかし、この場合には、異なる環境を隔てる箇所に光学ガラス(隔壁ガラス)を組み込む必要があり、アライメント光学系の構成エレメントが1枚増えることとなる。
前述した第2の方法において、アライメント光学系に隔壁ガラスを組み込むと、明るさや配線等の引き回し自由度に制限が生じたりする場合があり、設計自由度が低下する場合がある。現状では、この隔壁ガラスは、あくまで異なる環境を隔てる役割を果たすものであり、アライメント光学系中では光学的機能のない単なる窓でしかない。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、光学系の調整やメンテナンス等を行ない易い光学装置を提供することを目的とする。
さらに、そのような光学装置を調整する方法を提供することを目的とする。
本発明の光学装置は、大気中に配置された、内部が特殊雰囲気(真空、窒素、ヘリウム等)となるチャンバーと、 該チャンバー内外を貫いて設置された光学系と、を備える光学装置であって、 前記光学系中に、大気と前記特殊雰囲気との間を隔てる透明の隔壁が設けられており、該隔壁が補正光学素子を兼ねることを特徴とする。
この発明によれば、透明の隔壁が補正光学素子を兼ねるので、自動調整機構等の特別な部品追加を行なうことなく、光学系の調整やメンテナンス等を行ない易くなる。それでいて、大幅なコスト高や装置構成の複雑化も伴わない。
本発明の光学装置の調整方法は、大気中に配置された、内部が特殊雰囲気(真空、窒素、ヘリウム等)となるチャンバーと、 該チャンバーに設置された光学系と、を備える光学装置を調整する方法であって、 大気中で前記光学系の調整を行なった後、該光学系中に補正光学素子を挿入するか又は補正光学素子の取り換えを行ない、その後に該光学系を前記特殊雰囲気下で使用することを特徴とする。
本方法によれば、チャンバーの真空解除や気体置換を行なくことなく、光学系の調整やメンテナンス等を行なうことができるので、作業が簡単になるとともに、装置の停止時間も短くできる。
本発明の光学装置の調整方法においては、前記補正光学素子が、大気と前記特殊雰囲気との間を隔てる隔壁を兼ねるものとすることができる。
本発明の光学装置の調整方法においては、前記補正光学素子がディストーション、球面収差等の光学特性補正素子であるものとすることができる。
この場合、異なる環境間で発生する屈折率変化に伴う光学特性の変化にも対応し易くなるという利点がある。
本発明の他の光学装置は、大気中に配置された、内部が特殊雰囲気(真空、窒素、ヘリウム等)となるチャンバーと、 該チャンバーに設置された光学系と、を備える光学装置であって、 大気中と特殊環境中での光学系の差を補正する、複数の補正光学素子を保持する補正光学素子切り替え手段を有することを特徴とする。
光学系の調整は、大気中で行う方が簡単である。しかし、光学特性は大気中と特殊環境中とでは異なる。本発明によれば、補正光学素子切り替え手段により、この光学特性の差を、大気中での調整・組み立て後、特殊環境下の光学特性を見ながら調整できるようになる。
本発明によれば、光学系の調整やメンテナンス等を行ない易くなる光学装置等を提供することができる。
発明を実施するための形態
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施の形態では、光学装置として露光装置を例に採って説明する。
図1は、本実施の形態に係る露光装置の全体構成を模式的に示す断面図である。
この図に示す露光装置1は、上ボディ11及び下ボディ12からなるボディ10を備えている。下ボディ12は、基台13を介して建物床上に配置されている。上ボディ11は、下ボディ12の支柱12a上に搭載されている。
ボディ10の中央部には、投影光学系鏡筒20が配置されている。この鏡筒20は、中央部側面にフランジ状に張り出した張出部20aを備えている。鏡筒20は、張出部20aが下ボディ12上に載置された状態で支持されている。上ボディ11の上側には、ボックス状のレチクルチャンバー25が設けられている。このレチクルチャンバー25内は、一例で10−5〜10−6Pa程度の高真空に引かれている。レチクルチャンバー25の上端には、内部に電子銃(図示されず)等を備える照明光学系鏡筒30が設けられている。この鏡筒30は、中央部側面にフランジ状に張り出した張出部30aを備えている。鏡筒30は、張出部30aがレチクルチャンバー25上端面に載置された状態で支持されている。
レチクルチャンバー25内において、上ボディ11の支柱11a上にはステージベース33が設けられている。このステージベース33上には、レチクルRを静電吸着して移動・位置決めするレチクルステージ装置35が設けられている。レチクルステージ装置35上のレチクルRは、照明光学系鏡筒30の直下に位置している。
下ボディ12の下面には、ボックス状のウェハチャンバー40が設けられている。このウェハチャンバー40内は、一例で10−6Pa程度の高真空に引かれている。ウェハチャンバー40の下端面と基台13との間には、マウント41が介装されている。ウェハチャンバー40の内側底面上には、ステージベース43が設けられている。このステージベース43上には、ウェハWを静電吸着して移動・位置決めするウェハステージ装置45が配置されている。このウェハステージ装置45上のウェハWは、投影光学系鏡筒20の直下に位置している。
下ボディ12には、一対のウェハオートフォーカスユニット50(送光系及び受光系)と、ウェハアライメントユニット60とが設けられている。各ユニット50、60は、筒状をしたケーシング51、61を備えている。各ケーシング51、61内には、光学素子(レンズ等)53、63が複数収納されている。各ケーシング51、61は、下ボディ12を貫通して配置されている。なお、各ケーシング51、61において、下ボディ12よりも上側の部分を上部51a、61aといい、ウェハチャンバー40内に突き出ている部分を下部51b、61bと呼ぶ。
各ケーシング51、61内において、上部51a、61aと下部51b、61bとの境界部分には、透明の隔壁(大気−低真空仕切り隔壁)55、65が設けられている。これらの隔壁55、65は、上部51a、61aと下部51b、61bとを仕切るとともに、それぞれのユニット50、60の光学素子53、63の光学補正(ピント合わせ等)を行なう補正光学素子の役割を兼ねている。そして、隔壁55、65で仕切られた各ケーシング51、61の内部は、上部51a、61aが大気圧となっており、下部51b、61b内が一例で10−5Pa程度の真空に引かれている。さらに、各ケーシング51、61の下端部には、透明の隔壁(高真空−低真空仕切り隔壁)57、67が設けられている。これらの隔壁57、67は、ウェハチャンバー40内とケーシング下部51b、61b内とを仕切るとともに、それぞれのユニット50、60の光学素子53、63の光学補正(ピント合わせ等)を行なう補正光学素子の役割を兼ねている。
次に、図1の露光装置の調整方法について説明する。
露光装置の全体調整は、基本的に大気中で行なうため、ウェハオートフォーカスユニット50(送光系及び受光系)及びウェハアライメントユニット60も大気中で調整を行なう。そして、各ユニット50、60の調整が終了した後に、ウェハチャンバー40内を高真空に引き、ユニット50、60のケーシング51、61の下部51b、61b内を低真空に引く。
このように、大気中で調整を完了してから真空引きを行なうと、真空中の屈折率が大気中の屈折率よりも小さいため、各ユニット50、60の焦点位置がずれてしまうことがある。このような屈折率変化に伴う焦点位置のずれを補正するため、本実施例では、真空引きを行なう前段階で前述の隔壁55、65あるいは57、67を屈折率変化に対応した厚さのものに交換しておく。すると、交換した隔壁により、真空引きの後にも焦点位置が自動的に補正されてずれが解消される。これらの隔壁55、65、57、67は、本来、異なる環境間を仕切る役割を果たすためだけに用いられていたものであるから、各ユニット50、60には自動調整機構等の特別な部品追加を行なう必要がない。
さらに、本実施例によれば、露光装置を一定期間稼動した後に、各ユニット50、60のメンテナンス等を行なう場合、以下(1)、(2)の利点がある:
(1)ケーシング51、61の内部が隔壁55、65により仕切られているので、ケーシング上部51a、61a内の光学素子53、63をメンテナンスする際には、ケーシング下部51b、61bの低真空を解除せず、大気中で行なうことができる。
(2)ケーシング51、61とウェハチャンバー40とが隔壁57、67により仕切られているので、ケーシング下部51b、61b内の光学素子53、63をメンテナンスする際には、ケーシング下部51b、61bの低真空のみを解除すればよく、ウェハチャンバー40内の高真空を解除しなくて済む。
なお、図1の例では、大気と低真空との間を隔壁55、65で仕切り、高真空と低真空との間を隔壁57、67で仕切る構成となっているが、本発明は、単に真空と大気とを仕切る構成や、高真空−低真空−大気の3層よりも多い環境(例えば高真空−中真空−低真空−大気の4層等)にも対応可能である。真空と大気のみを仕切る場合は、前述の隔壁57、67に相当するもの(この場合の隔壁は補正ガラスと呼ぶ)のみを用いればよい。
前述の調整例では、光学特性の屈折率変化への対応例について述べたが、その他の光学特性の変化への対応については、光学系の設計段階でどの位置に何枚の隔壁を設けるか等を考慮して決定する(これは各々の光学系の最適解によって異なる)。
なお、本実施例では、光学系としてウェハオートフォーカスユニット50及びウェハアライメントユニット60を例に採ったが、干渉計の光学系等、他の光学系についても前述と同様に調整することができる。
本実施例では、ウェハチャンバー40内外を貫いて設置される光学系について説明したが、レチクルチャンバー25についても同様に行なうことができる。
図2は、本実施の形態に係る露光装置の光学ユニットの下端隔壁近傍の構成を示す図である。
図2には、下ボディ12に設けられた光学ユニット110(前述のウェハオートフォーカスユニットあるいはウェハアライメントユニットと同様のもの)近傍の構成が示されている。この光学ユニット110は、ケーシング111を備えている。下ボディ12下面とケーシング111との間には、シール部材111aが介装されている。ケーシング111内には、光学素子113等が複数収納されている。下ボディ12の内部において、光学ユニット110には透明の隔壁(大気−低真空仕切り隔壁)115が設けられている。一方、ケーシング111の下端部にも、透明の隔壁(高真空−低真空仕切り隔壁)116が設けられている。これらの隔壁115、116は、前述した図1における透明の隔壁と同様の役割を果たすものである。
ケーシング111の図2中右側には、収差補正ガラス切り替え機構100が設けられている。この切り替え機構100の下部には、連結部103を介して、収容部101が水平面内で回転可能に設けられている。この収容部101内には、複数枚(一例で4枚)の収差補正ガラス100A、100B(図2ではこれら2枚のみを示す)が収容されている。切り替え機構100が駆動すると、収容部101が連結部103を中心に回転し、所定の収差補正ガラス(図2では100A)がケーシング111内の光学素子113の下方に配置される。そして、この収差補正ガラス100Aにより、光学素子113の光学特性の補正(ピント合わせ等)が行なわれる。
光学系の調整は、大気中で行う方が簡単である。しかし、光学特性は大気中と特殊環境中とでは異なる。本実施の形態のような収差補正ガラス切り替え機構100を用いることにより、このような光学特性の差を、大気中での調整・組み立て後、真空中の光学特性を見ながら調整できるようになる。
本実施の形態に係る露光装置の全体構成を模式的に示す断面図である。 本実施の形態に係る露光装置の光学ユニットの下端隔壁近傍の構成を示す図である。
符号の説明
1 露光装置 10 ボディ
11 上ボディ 12 下ボディ
13 基台 20 投影光学系鏡筒
25 レチクルチャンバー 30 照明光学系鏡筒
33、43 ステージベース 35 レチクルステージ装置
40 ウェハチャンバー 41 マウント
50 ウェハオートフォーカスユニット
60 ウェハアライメントユニット
51、61 ケーシング 53、63 光学素子
55、65、57、67 隔壁
100 収差補正ガラス切り替え機構 100A、100B 収差補正ガラス
110 光学ユニット 113 光学素子
115、116 隔壁

Claims (5)

  1. 大気中に配置された、内部が特殊雰囲気(真空、窒素、ヘリウム等)となるチャンバーと、
    該チャンバー内外を貫いて設置された光学系と、
    を備える光学装置であって、
    前記光学系中に、大気と前記特殊雰囲気との間を隔てる透明の隔壁が設けられており、該隔壁が補正光学素子を兼ねることを特徴とする光学装置。
  2. 大気中に配置された、内部が特殊雰囲気(真空、窒素、ヘリウム等)となるチャンバーと、
    該チャンバーに設置された光学系と、
    を備える光学装置を調整する方法であって、
    大気中で前記光学系の調整を行なった後、該光学系中に補正光学素子を挿入するか又は補正光学素子の取り換えを行ない、その後に該光学系を前記特殊雰囲気下で使用することを特徴とする光学装置の調整方法。
  3. 前記補正光学素子が、大気と前記特殊雰囲気との間を隔てる隔壁を兼ねることを特徴とする請求項2記載の光学装置の調整方法。
  4. 前記補正光学素子がディストーション、球面収差等の光学特性補正素子であることを特徴とする請求項2又は3記載の光学装置の調整方法。
  5. 大気中に配置された、内部が特殊雰囲気(真空、窒素、ヘリウム等)となるチャンバーと、
    該チャンバーに設置された光学系と、
    を備える光学装置であって、
    大気中と特殊環境中での光学系の差を補正する、複数の補正光学素子を保持する補正光学素子切り替え手段を有することを特徴とする光学装置。
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