JP2005285755A - 絶縁被覆電線、その製造方法及び該絶縁被覆電線を用いたコイル - Google Patents

絶縁被覆電線、その製造方法及び該絶縁被覆電線を用いたコイル Download PDF

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安二 大垣
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雅晃 山内
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晃 溝口
Atsushi Suzuki
厚 鈴木
Toshiaki Shishino
俊明 獅子野
Masahiro Koyano
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Abstract

【課題】 コロナ放電の発生を抑制するための半導電層を有するとともに、複数の絶縁被覆電線を互いに接触して使用する場合であっても、半導電層を通しての絶縁被覆電線間の導通を生じない絶縁被覆電線であって、優れた生産性で安定的に製造可能であり、好ましくはさらに優れた耐熱性、耐摩耗性や耐加工性を有する絶縁被覆電線、この絶縁被覆電線を製造する方法、及びこの絶縁被覆電線を用いたコイルを提供する。
【解決手段】 導体の外周に絶縁層を設け、そのさらに外周に半導電層を設けた絶縁被覆電線であって、その末端部において、レーザー剥離により半導電層が除去され、絶縁層のみが設けられていることを特徴とする絶縁被覆電線、その製造方法、及びこれらの絶縁被覆電線を用いたコイル。
【選択図】 図1

Description

本発明は、モータのコイルや配線等に好適に用いられる絶縁被覆電線、その製造方法、及び該絶縁被覆電線を用いたコイルに関するものである。
絶縁被覆電線に高電圧が印加されるとコロナ放電が発生する。例えば、近年増えているインバータによる可変速制御を採用した電気機器では、インバータの出力電圧よりも高いサージ電圧が発生し、使用されているエナメル線にコロナ放電が発生する場合がある。
コロナ放電が発生すると、局部的な温度上昇や発生したオゾンの作用により、エナメル線の塗膜は加速度的に劣化し、機器の寿命が短くなる。そこで、コロナ放電の抑制が望まれ、そのための電線として、特開平2−189814号公報(特許文献1)等に、絶縁層の外周に半導電層を形成した絶縁被覆電線が提案されている。
しかし、このような半導電層を形成した絶縁被覆電線を2本以上接触させた電線束、例えばより線等についてコロナ放電が発生する電圧(コロナ開始電圧)を測定すると、コロナ開始電圧が測定不可となる場合がある。
この原因は、電線の末端において導体と半導電層間が導通し、さらに互いに接触している絶縁被覆電線の半導電層間が導通するためと考えられるが、このような導通を生じる絶縁被覆電線は、モータのコイルや配線用としては使用困難である。
この問題を防ぐため、特許文献1は、電線の末端の半導電層を除去することを提案しており、除去を容易にするため、半導電層のベースとなる樹脂はフェノキシ、ナイロン等の熱可塑性樹脂が好ましいと述べている(第4頁第14〜19行)。又特許文献1には、半導電層を、溶剤に溶解して除去する方法が開示されている(第7頁第5〜11行)。
しかし、溶剤による半導電層の除去には、有機溶剤を使用するので環境問題を生じやすい、溶剤の使用を重ね汚染すると溶解速度が低下していくので、溶剤の汚染度管理が必要である、温度が溶解度や溶解時間に影響するので、その管理が必要である等の問題があった。
又、半導電層の除去は、通常電線の末端を溶剤に浸して行われるが、この方法では処理時間に少なくとも数十秒は必要であり、また一度の拭き取りでは完全に除去できず、再度数秒間溶剤に浸しては拭うという繰り返しを必要とした。このため、処理時間が長く、生産性に問題があるとともに、除去(剥離)範囲制御が困難で規格より長くなる場合があり、振動環境ではさらに制御精度が落ちるとの問題もある。さらに、溶剤に浸した後の半導電層を拭き取る布側の汚染度管理も重要であり、この管理が不十分で拭き残りを生じると、半導電層を通じての絶縁被覆電線間の導通を防ぐことができないとの問題もあった。
さらに、近年、モータのコイル等に使用される電線の絶縁被覆には、より優れた耐熱性や耐摩耗性、さらに曲げや伸びにより半導電層や絶縁層の破壊が生じないとの性質(以下耐加工性と言う。)が望まれるようになってきている。しかし、一般に溶剤に溶け易い樹脂は、耐摩耗性等に優れず、フェノキシ、ナイロン等の樹脂を用いた場合は、前記の要請を全て充分に満たすことは困難である。
耐摩耗性に優れる樹脂としては、ポリアミドイミド等が挙げられる。しかし、これらの樹脂は、溶剤に溶けにくく溶剤による溶解では除去が困難であった。ポリアミドイミド等は、強力なアルカリによる除去は可能であるが、この場合は、下層の絶縁膜へのダメージが発生し、又アルカリ残留による絶縁性の劣化が生じる等の問題があった。
特開平2−189814号公報
本発明は、コロナ放電の発生を抑制するための半導電層を有するとともに、複数の絶縁被覆電線を互いに接触して使用する場合であっても、半導電層を通しての絶縁被覆電線間の導通を生じない絶縁被覆電線であって、優れた生産性で安定的に製造可能な絶縁被覆電線を提供することを課題とする。好ましくは、前記の絶縁被覆電線であって、さらに優れた耐熱性、耐摩耗性や耐加工性を有する絶縁被覆電線を提供することを課題とする。本発明は、又、このような優れた絶縁被覆電線を製造する方法を提供する。本発明は、さらに又、該絶縁被覆電線を用いたコイルを提供することも課題とする。
本発明者は、検討の結果、電線末端の半導電層の除去を、レーザー剥離により行えば、より高い生産性で安定的に半導電層の除去を行うことができること、又耐熱性、耐摩耗性や耐加工性を有する樹脂をベースに用いた半導電層であっても、レーザー剥離によればその除去を、高い生産性で安定的に行うことができることを見出し、以下に示す構成からなる本発明を完成した。
本発明は、導体の外周に絶縁層を設け、そのさらに外周に半導電層を設けた絶縁被覆電線であって、その末端部において、レーザー剥離により半導電層が除去され、絶縁層のみが設けられていることを特徴とする絶縁被覆電線を提供する(請求項1)。
本発明の絶縁被覆電線は、その末端部等の一部を除き、導体、絶縁層及び半導電層の少なくとも3層を有する。図3は、本発明の絶縁被覆電線の断面図を示すものであり、図3の例の絶縁被覆電線は、導体、その外周にある絶縁層、そのさらに外周にある半導電層の3層からなっている。導体の材質としては、銅がその代表的なものとして例示される。
絶縁層の材質としては、導体上に塗布して膜形成が可能であり、絶縁性を有するものが使用され、具体的には、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテル・エーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルホルマール樹脂等が例示される。これらは、それぞれ単独で用いても構わないし、複数の材料を組み合わせて用いてもよい。又、絶縁層には、さらに潤滑剤等の各種添加剤や少量の無機フィラー等を含んでいてもよい。
前記の絶縁層の材質の中でも、耐熱性及び耐加工性の優れた材質が好ましく用いられ、具体的には、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテル・エーテルケトン樹脂が好ましく例示される。
又、絶縁層については、導体との優れた密着性が望まれ、密着性の優れた樹脂としては、ポリエステルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂が例示される。密着性を向上させるために、これらの樹脂に低分子量化合物や樹脂等の密着向上剤を添加したものもこれに含まれる。なお、絶縁層を、2種以上の樹脂からなる2層以上とすることも可能である。例えば、密着性の優れた樹脂は高価な場合が多いので、絶縁層導体と接触する側の層に、密着性の優れた樹脂を用い、他の層に、密着性については前記の樹脂より劣るが、耐熱性や耐加工性に優れた安価な樹脂を用いることも可能である。
半導電層としては、100〜108Ω・cm程度の導電性を有する材質からなるものが好ましい。この材質としては、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリチオフェン等の半導電性高分子も使用可能であるが、膜形成が可能な樹脂(ベース樹脂)中に、導電粒子を分散させたものが、導電性の調整が容易である等の理由により通常用いられる。
ここで使用する樹脂は、好ましくは耐熱性、耐摩耗性及び耐加工性の樹脂であり、請求項2はこの好ましい態様に該当し、前記の絶縁被覆電線であって、半導電層が、耐熱性、耐摩耗性及び耐加工性の樹脂に導電性物質を分散させてなることを特徴とする絶縁被覆電線を提供するものである。
半導電層のベース樹脂となる絶縁性の樹脂としては、前記の絶縁層の材質として例示された樹脂等が例示される。絶縁層の場合と同様に、それぞれ単独で用いても構わないし、組み合わせて用いてもよく、又潤滑剤等の各種添加剤や少量の無機フィラー等を含んでいてもよい。
半導電層のベース樹脂として好適な、耐熱性、耐摩耗性及び耐加工性に優れ、さらに最外層樹脂に求められる加水分解にも比較的強い材質として、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテル・エーテルケトン樹脂が例示される。請求項3はこの好ましい態様に該当し、前記請求項2の絶縁被覆電線であって、耐熱性、耐摩耗性及び耐加工性の樹脂が、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂及びポリエーテル・エーテルケトン樹脂から選ばれることを特徴とする絶縁被覆電線を提供するものである。
該ベース樹脂中に分散される導電粒子としては、導電性を有する粒子であればいかなるものでも使用可能であり、グラファイト、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、ニッケル、銀、金の粒子や繊維、その他、酸化スズ等の金属酸化物、導電性高分子等を用いることができる。中でも、グラファイトやカーボンブラック等を用いると、半導電層がCOレーザー等の高出力レーザーをより効率よく吸収し、又これらはレーザーにより除去されやすいため、半導電層のみをうまく除去することが可能となるので好ましい。なお、半導電層についても、2種以上の樹脂や導電粒子からなる2層以上とすることも可能である。
本発明の絶縁被覆電線は、該絶縁被覆電線の末端部にある半導電層が、該末端部にある絶縁層の全表面が露出するように、剥離されていることを特徴とする。すなわち、末端部の、半導電層が実質的に全て除去され、末端部の導体表面上には絶縁層のみが設けられていることを特徴とする。
ここで、絶縁被覆電線の末端部とは、電線の端部及びその近傍を言い、通常、この部分では、端子等との接続のため、絶縁層が剥離され導体の外表面(導線の表面部)が露出されているが、本発明の絶縁被覆電線では、この導体の露出部分に続き、半導電層が剥離され絶縁層の全表面が露出した部分を有する。なお、本発明において末端部とは、導体の露出部分及びこの絶縁層の全表面が露出した部分を含む意味である。
図1、図2は、それぞれ、本発明の絶縁被覆電線の末端部、従来技術の絶縁被覆電線の末端部を概念的に示した斜視図である。図2に示すように、従来技術の絶縁被覆電線の末端部では、半導電層と導体は絶縁層によりその厚み方向に隔てられているのみである。従って、両者は近接しており、導体に高電圧を印加して、半導電層と導体間に高い電位差を生じると、周辺の空気は絶縁層よりも絶縁破壊電圧が低いので、この空気が絶縁破壊し、導体と半導電層の間で放電、導通が起こると考えられる。
その結果、導体の電流が半導電層に流れ、該半導電層を介して、互いに接触している他の絶縁被覆電線等へその電流が流れることにより、絶縁被覆電線として使用できなくなる、あるいは性能が低下し、前記のコイルや配線等の不具合の原因となる。
特に、モータ用コイルや配線等に通常用いられているエナメル層等、絶縁層が薄い場合は、半導電層の末端と導体の近接の程度も大きく、上記の問題が発生しやすい。又、絶縁被覆電線の切断等の際に、絶縁層が破壊される場合も多く、その場合も半導電層の末端と導体の近接の程度がより大きくなり、上記の問題がより発生しやすくなる。
一方、本発明の絶縁被覆電線では、図1に示すように、絶縁被覆電線の末端部にある半導電層も剥離されている。末端部において半導電層を剥離し、導体と半導電層との間の大気中の距離を増すことにより導体から半導電層への放電を防ぐことができ、その結果、上記の問題が解決できる。
半導電層の剥離は、該末端部にある絶縁層の全表面が露出するように行われる。絶縁層の全表面が露出するように剥離するとは、この部分の半導電層が実質的に全て除去され、半導電層による電線の長さ方向への電気の導通が、この部分でなくなるように剥離することを意味する。もし、半導電層の除去が不十分であり、電線の長さ方向への電気の導通があると、半導電層を介しての他の絶縁被覆電線との間の導通を生じやすくなる。半導電層が実質的に全て除去されることにより、末端部の導体周囲には絶縁層のみが存在することとなる。
なお、半導電層の剥離の際に、絶縁層の外表面、すなわち半導電層と接していた面の絶縁層が一部除去されても、除去された厚みが絶縁層の厚みに比べて小さく、絶縁層の絶縁機能が大きく損なわれない程度であればよい。半導電層の除去をより完全に行うために、絶縁層の外表面の一部を除去する場合もある。
図1に示すように、半導電層が剥離された結果、半導電層の端は導体の露出している部分と大きく離れており、半導電層と導体の露出していない部分との間には、絶縁破壊電圧が高い絶縁層が介在するので、半導電層の末端と導体間の放電、導通は発生しない。その結果、絶縁被覆電線として使用できなくなる、あるいは性能が低下するという問題も発生しない。
本発明の絶縁被覆電線は、半導電層の除去が、レーザー剥離によりされていることも特徴とする。レーザー剥離とは、レーザービームを照射して半導電層を破壊して剥離する方法である。特開平6−38330号公報や特開2001−309521号公報に、レーザー剥離が開示されている。
半導電層の除去を、レーザー剥離によれば、従来の溶剤等により除去する方法での問題が解決され、以下に示すような利点が得られる。
1)有機溶剤やアルカリ等の薬剤を使用しないので環境や汚染、絶縁層の劣化を生じることはない。
2)溶剤の汚染度管理、温度管理や拭き取る布側の汚染度管理等が不要であり、工程管理の負担が小さい。
3)除去(剥離)範囲の制御も容易である。剥離長の均一性にも優れるため、端末部での放電を防ぐために必要最低限の剥離長にて端末設計が出来、端末部のコンパクト化が図れる。
4)処理時間ははるかに短く、高い生産性を達成できる。
さらに、レーザー剥離によれば、従来の溶剤等により除去する方法では困難であった耐熱性、耐摩耗性や耐加工性に優れる樹脂、例えばポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等でも容易に除去することが可能であり、従って、これらの優れた性質を有し、かつ半導電層を通して絶縁被覆電線間が導通するとの問題を生じない絶縁被覆電線を得ることができる。
前記のように、絶縁層の絶縁機能が大きく損なわれない程度であれば、半導電層の剥離の際に、絶縁層の外表面が除去されても問題を生じないが、絶縁性を大きく損なわないためには、絶縁層の除去が少ない方が好ましい。半導電層の下の層の材質が、半導電層の材質と同等以上の耐熱性を有する樹脂層の場合は、レーザー剥離において、レーザーの出力を適度に設定することにより、半導電層のみをうまく除去することが容易となる。
半導電層のみが容易に除去できる場合の例として、具体的には、半導電層がポリエーテルスルホンであって、その下の層がポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドやポリイミドの場合、半導電層がポリエーテルイミドであって、その下の層がポリエーテルイミド、ポリアミドイミドやポリイミドの場合、半導電層がポリアミドイミドであって、その下の層がポリアミドイミドやポリイミドの場合、半導電層がポリイミドであって、その下の層がポリイミドの場合等が挙げられる。ここで、半導電層の下の層とは、絶縁層が2層以上からなる場合は、絶縁層中の上層、すなわち半導電層に接する層であり、例えば、絶縁層中の半導電層に接する層に耐熱性を有する樹脂を使用し、下層、すなわち導体と接する層については、耐熱性は問わず、導体との密着性に優れた樹脂を使用することも可能である。
レーザー剥離に使用されるレーザーとしては、エキシマレーザー、CO2レーザー、YAGレーザー等が挙げられるが、照射時間が長いと電線の内部が破壊、劣化されやすくなるので、本目的では表面のみを薄く剥離できる短パルス(数nsec〜数μsec)で高ピークパワーのレーザーが好ましい。エキシマレーザー、TEA−CO2レーザー、Q−スイッチYAGレーザーがこれに該当する。
エキシマレーザーは、剥離に時間を要するとの問題があるが、短波長で熱的影響が極めて少なく、剥離品質の面では特に優れる。Q−スイッチYAGレーザーは、ビームサイズが大きなエキシマレーザーやTEA−CO2レーザーのように大面積を一度に処理できないため、スキャニング装置が必要となり、又、波長的に樹脂を透過しやすいため加工性が低いとの問題があるが、本発明の目的を達成する充分な剥離品質を得ることができる。
TEA−CO2レーザーは、ビームサイズが大きく大面積を一度に処理でき、剥離時間や設備コストに優れており、かつ本発明の目的を達成する充分な剥離品質を得ることができるので、量産に適しており、本発明に使用されるレーザーとして特に好ましい。請求項4は、前記の絶縁被覆電線であって、レーザー剥離が、TEA−CO2レーザーを用いて行われることを特徴とする絶縁被覆電線を提供するものである。なお、電線の半導電層を全周除去するためには、電線の長手方向を軸に回転させて、2回以上レーザーを照射することにより除去可能であるが、ミラー等により2方向以上からレーザーを一度に照射することによっても除去することは可能である
本発明はさらに、請求項5として、導体の外周に絶縁層を設け、そのさらに外周に半導電層を設けた絶縁被覆電線の末端部より、レーザー剥離により半導電層を除去し、絶縁層のみを導体の外周に設ける工程を有することを特徴とする絶縁被覆電線の製造方法を提供する。この製造方法により、前記の本発明の絶縁被覆電線を得ることができる。
本発明はさらに、請求項6として、前記の本発明の絶縁被覆電線により構成されたコイルを提供する。このコイルは、他の絶縁被覆電線や導体と接触するように用いられても、両者間での導通は発生せず、高い電圧で使用されるモータ用等のコイルとして好適に用いられる。
本発明の絶縁被覆電線は、高い生産性で容易に安定的に生産することが可能であり、又、半導電層を通しての絶縁被覆電線間の導通が生じないものである。又、ポリアミドイミド樹脂やポリイミド樹脂等の優れた耐熱性、耐摩耗性や耐加工性を有する樹脂を半導電層のベース樹脂として用いることが可能であり、これらの樹脂を用いた場合は、さらに耐熱性、耐摩耗性や耐加工性に優れた絶縁被覆電線となる。このような本発明の絶縁被覆電線は、本発明の絶縁被覆電線の製造方法により製造することができ、又、該絶縁被覆電線により構成されたコイルは、他の絶縁被覆電線との導通が発生せず、高い電圧で使用されるモータ用等のコイルとして好適に用いられる。
以下、本発明を実施するための最良の形態及びその効果を、実施例により示す。実施例は、本発明の具体例について説明するものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
先ず、実施例と対比し、本発明の効果を明確するための比較例を示す。
比較例1
直径約1.0mmφの銅導体(丸線)上に、ポリイミドを縦型焼付炉にて塗布焼付して絶縁層を形成した後、その上にカーボンブラックを混練したフェノキシ(半導電層のベース樹脂)を塗布焼付して半導電層を形成し、図3に示す様な断面構造を有するコイル用絶縁被覆電線を作製した。なお、カーボンブラックの量は、フェノキシ100重量部に対し15重量部であった。又、絶縁層の厚みは35μm、半導電層の厚みは5.5μmであった。
この半導電層を有するコイル用絶縁被覆電線を用い、JISC3003−1999の2個より法に従って2個より線を作製し、図2に示すように末端部の半導電層を除去せずに、下記のコロナ開始電圧測定方法でコロナ開始電圧を測定した。その結果を表1に示すが、電線端部において半導電層と導体間に絶縁破壊(以後端部リークと言う。)が生じ、コロナ開始電圧の測定は不可であった。
[コロナ開始電圧測定方法]
三菱電線工業(株)製部分放電試験機QM−50を用い、2個より線のコロナ開始電圧測定を行った。コロナ開始電圧の放電量開始閾値は100pCとした。
比較例2
絶縁層の樹脂をポリイミドからポリアミドイミドに変更し、半導電層のベース樹脂をフェノキシからポリアミドイミドに変更し、カーボンブラックの量を、ポリアミドイミド100重量部に対し20重量部とした以外は、比較例1と同様にしてコイル用絶縁被覆電線を作製し、コロナ開始電圧を測定したが、比較例1と同様に端部リークが生じ、コロナ開始電圧の測定は不可であった。
比較例3
半導電層の末端部の20mm(導体露出部分を除く)を、N−メチル−2−ピロリドン(MN2P)に、図4に示すように23℃で15秒間浸漬し、その後不織布にて拭き取った以外は、比較例1と同様にしてコイル用絶縁被覆電線を作製し、コロナ開始電圧を測定したが、同様に端部リークが生じ、コロナ開始電圧の測定は不可であった。末端部の半導電層が、充分に除去されなかったものと考えられる。なお、10本の電線について、拡大写真により剥離の大きさを求め、剥離の大きさのバラツキを剥離範囲精度とした。結果を表1に示すが、充分な精度は得られなかった。
比較例4
半導電層の末端部の20mm(導体露出部分を除く)を、MN2Pに、図4に示すように23℃で30秒間浸漬した後不織布にて拭き取り、さらに再度5秒間浸漬し、その後不織布にて再度拭き取った以外は、比較例1と同様にしてコイル用絶縁被覆電線を作製し、コロナ開始電圧を測定した。その結果を、表1示す。又、比較例3と同様にして、剥離範囲精度を求め、その結果を表1に示すが、充分な精度は得られなかった。
比較例5
半導電層の末端部の20mm(導体露出部分を除く)を、MN2Pに、図4に示すように23℃で3分間浸漬したが、溶解せず、不織布での拭き取り不能で半導電層を全く除去できなかった。
Figure 2005285755
実施例1
比較例1で使用したものと同じ半導電層を有するコイル用絶縁被覆電線を用いて作製した2個より線の末端部20mm(導体露出部分を除く)について、半導電層5.5μmを、下記の条件のTEA−CO2レーザーにより除去し、図1に示すような末端部を有する絶縁被覆電線からなる2個より線を作成した。外側の半導電層をきれいに剥離する事が出来、レーザー剥離部には半導電層の残り部分は無かった。このようにして得られた2個より線について、比較例1と同じ方法によりコロナ開始電圧を測定した。その結果を表2に示す。又、比較例3と同様にして、剥離範囲精度を求め、その結果を表2に示すが、充分な精度が得られた。
[TEA−CO2レーザー照射条件]
照射エネルギー:9ジュール/cm(照射面にて1ショット当り)
照射周波数 :100Hz(100回/秒)
ショット数 :1回
周方向には線を90°ずつ回転させ4回照射
なお、測定に必要な電極を作るため、導体の末端5mmについても、レーザー照射を、照射エネルギー等照射条件を変えて行い、厚み35μmの絶縁層を全て剥離し、導体を露出させた。
実施例2
絶縁層の樹脂をポリイミドからポリアミドイミドに変更し、半導電層のベース樹脂をフェノキシからポリアミドイミドに変更し、カーボンブラックの量を、ポリアミドイミド100重量部に対し20重量部とした以外は、実施例1と同様にしてコイル用絶縁被覆電線を作製し、コロナ開始電圧を測定した。その結果を表2に示す。
実施例3
半導電層のベース樹脂をフェノキシからポリアミドイミドに変更した以外は、実施例1と同様にしてコイル用絶縁被覆電線を作製し、コロナ開始電圧を測定した。その結果を表2に示す。
実施例4
直径約1.0mmφの銅導体上に、ポリアミドイミドを縦型焼付炉にて塗布焼付し、さらにポリイミドを塗布焼付して絶縁層を形成した。その後、その上にカーボンブラックを混練したポリアミドイミド(半導電層のベース樹脂)を塗布焼付して半導電層を形成し、コイル用絶縁被覆電線を作製した。なお、カーボンブラックの量は、ポリアミドイミド100重量部に対し15重量部であった。又、絶縁層のポリアミドイミド層(下層とする。)の厚みは30μm、絶縁層のポリイミド層(中層とする。)の厚みは15μm、半導電層の厚みは5.0μmであった。
この半導電層を有するコイル用絶縁被覆電線を用い、JISC3003−1999の2個より法に従って2個より線を作製し、実施例1と同様にして、半導電層5.5μmを、TEA−CO2レーザーにより除去し、コロナ開始電圧を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2005285755
実施例5
断面寸法が約1.9mm×約1.2mmの銅の平角線上に、ポリアミドイミドを縦型焼付炉にて塗布焼付し絶縁層を形成した。その後、その上にカーボンブラックを混練したポリアミドイミド(半導電層のベース樹脂)を塗布焼付して半導電層を形成し、コイル用絶縁被覆電線を作製した。なお、カーボンブラックの量は、ポリアミドイミド100重量部に対し15重量部であった。又、絶縁層の厚みは35μm、半導電層の厚みは5.0μmであった。
この半導電層を有する絶縁被覆電線約30cm長のものを用意し、末端部20mm(導体露出部分を除く)について、半導電層5.0μmを、TEA−CO2レーザーにより除去した。TEA−CO2レーザー照射条件は、照射出力を5.5ジュール/cmとし、ショット数を2回とした以外は、実施例1と同様にした。
外側の半導電層をきれいに剥離する事が出来、レーザー除去部に半導電層の残り部分は無かった。長手方向中央部(端部より約15cm)の周囲に1cm幅の錫箔を巻付け電極とし、端部の導体露出部の片側との間に電圧を負荷し、比較例1と同じ方法によりコロナ開始電圧を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 2005285755
表1〜3から明らかなように、末端部の半導電層を剥離しなかった比較例1、2では、半導電層の端部における導体との導通(端部リーク)が生じ、これらの電線は、モーターコイル等への使用はできない。半導電層のベース樹脂が、フェノキシの場合は、末端部の半導電層を溶剤で剥離し端部リークを防ぐことが可能であるが、30秒程度の剥離処理時間を要し(比較例4)、従って生産性も低く、又剥離範囲精度も低いとの問題がある。15秒程度の剥離処理時間では、半導電層の剥離を充分に行えず、端部リークを防ぐことができない(比較例3)。しかも、半導電層のベース樹脂が、耐摩耗性等に優れるポリアミドイミドの場合は、半導電層を溶剤で剥離することは困難である。
一方、本発明例である実施例1〜4の絶縁被覆電線は、端部リークはなく高いコロナ開始電圧を示してモーターコイル等へ充分使用できるものであり、しかも剥離処理時間は1秒未満であり、高い生産性で生産できるものであり、又剥離範囲精度も高い。半導電層のベース樹脂として耐摩耗性等が優れるポリアミドイミドを用いる場合も、同様な優れた特徴が得られる。
本発明の絶縁被覆電線の末端部を示す斜視図である。 従来の絶縁被覆電線の末端部を示す斜視図である。 本発明の絶縁被覆電線を示す断面図である。 半導電層の溶剤剥離の方法を示す説明図である。

Claims (6)

  1. 導体の外周に絶縁層を設け、そのさらに外周に半導電層を設けた絶縁被覆電線であって、その末端部において、レーザー剥離により半導電層が除去され、絶縁層のみが設けられていることを特徴とする絶縁被覆電線。
  2. 半導電層が、耐熱性、耐摩耗性及び耐加工性の樹脂に導電性物質を分散させてなることを特徴とする請求項1に記載の絶縁被覆電線。
  3. 耐熱性、耐摩耗性及び耐加工性の樹脂が、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂及びポリエーテル・エーテルケトン樹脂から選ばれることを特徴とする請求項2に記載の絶縁被覆電線。
  4. レーザー剥離が、TEA−CO2レーザーを用いて行われることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の絶縁被覆電線。
  5. 導体の外周に絶縁層を設け、そのさらに外周に半導電層を設けた絶縁被覆電線の末端部より、レーザー剥離により半導電層を除去し、絶縁層のみを導体の外周に設ける工程を有することを特徴とする絶縁被覆電線の製造方法。
  6. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の絶縁被覆電線を用いたコイル。
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