JP2005285296A - 垂直磁気記録用磁気ヘッドおよびその製造方法、ヘッドジンバルアセンブリならびにハードディスク装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】隣接トラック消去を防止しながら線記録密度およびオーバーライト特性を向上させる。
【解決手段】磁気ヘッドは、磁極層20と、ギャップ層22と、薄膜コイル24と、記録シールド層26とを備えている。媒体対向面ABSにおいて、記録シールド層26の端部は、磁極層20の端部に対して、ギャップ層22による所定の小さな間隔を開けて記録媒体の進行方向Tの前側に配置されている。磁極層20は、媒体対向面ABS側の端部が媒体対向面ABSから離れた位置に配置され、所定の厚みを有する第1の部分20Aと、第1の部分20Aと媒体対向面ABSとの間に配置され、第1の部分20Aの厚みよりも小さな厚みを有する第2の部分20Bとを有している。磁極層20の、ギャップ層22側の面は平坦である。
【選択図】図1
【解決手段】磁気ヘッドは、磁極層20と、ギャップ層22と、薄膜コイル24と、記録シールド層26とを備えている。媒体対向面ABSにおいて、記録シールド層26の端部は、磁極層20の端部に対して、ギャップ層22による所定の小さな間隔を開けて記録媒体の進行方向Tの前側に配置されている。磁極層20は、媒体対向面ABS側の端部が媒体対向面ABSから離れた位置に配置され、所定の厚みを有する第1の部分20Aと、第1の部分20Aと媒体対向面ABSとの間に配置され、第1の部分20Aの厚みよりも小さな厚みを有する第2の部分20Bとを有している。磁極層20の、ギャップ層22側の面は平坦である。
【選択図】図1
Description
本発明は、垂直磁気記録方式によって記録媒体に情報を記録するために用いられる垂直磁気記録用磁気ヘッドおよびその製造方法、ならびに垂直磁気記録用磁気ヘッドを含むヘッドジンバルアセンブリおよびハードディスク装置に関する。
磁気記録再生装置における記録方式には、信号磁化の向きを記録媒体の面内方向(長手方向)とする長手磁気記録方式と、信号磁化の向きを記録媒体の面に対して垂直な方向とする垂直磁気記録方式とがある。垂直磁気記録方式は、長手磁気記録方式に比べて、記録媒体の熱揺らぎの影響を受けにくく、高い線記録密度を実現することが可能であると言われている。
垂直磁気記録方式用の磁気ヘッドとしては、一つの主磁極によって記録媒体に対して垂直方向の磁界を印加する単磁極ヘッドが知られている。この単磁極ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面において所定の間隔を開けて対向し、媒体対向面から離れた位置において連結された主磁極および補助磁極と、主磁極と補助磁極との間に配置されたギャップ層と、少なくとも一部が主磁極と補助磁極の間に、主磁極および補助磁極に対して絶縁された状態で設けられたコイルとを備えている。主磁極は、例えば、一端部が媒体対向面に配置され、トラック幅を規定するトラック幅規定部と、このトラック幅規定部の他端部に連結され、トラック幅規定部よりも大きな幅を有する幅広部とを有している。幅広部の幅は、例えば、トラック幅規定部との境界位置ではトラック幅規定部の幅と等しく、媒体対向面から離れるに従って、徐々に大きくなった後、一定の大きさになっている。
高記録密度化のために磁気ヘッドに要求されることは、特に、トラック幅の縮小、すなわち媒体対向面における主磁極の幅の縮小と、記録特性の向上である。一方、トラック幅が小さくなると、記録特性、例えば重ね書きの性能を表わすオーバーライト特性は低下する。従って、トラック幅が小さくなるほど、記録特性の一層の向上が必要となる。
ところで、ハードディスク装置等の磁気ディスク装置に用いられる磁気ヘッドは、一般的に、スライダに設けられる。スライダは、記録媒体に対向する媒体対向面を有している。この媒体対向面は、空気流入側の端部と空気流出側の端部とを有している。そして、空気流入側の端部から媒体対向面と記録媒体との間に流入する空気流によって、スライダは記録媒体の表面からわずかに浮上するようになっている。このスライダにおいて、一般的に、磁気ヘッドは媒体対向面における空気流出側の端部近傍に配置される。磁気ディスク装置において、磁気ヘッドの位置決めは、例えばロータリーアクチュエータによって行なわれる。この場合、磁気ヘッドは、ロータリーアクチュエータの回転中心を中心とした円軌道に沿って記録媒体上を移動する。このような磁気ディスク装置では、磁気ヘッドのトラック横断方向の位置に応じて、スキューと呼ばれる、円形のトラックの接線に対する磁気ヘッドの傾きが生じる。磁気ディスク装置では、このスキューが生じると、あるトラックへの情報の書き込み時に隣接トラックの情報が消去される現象(以下、隣接トラック消去と言う。)が生じる場合がある。高記録密度化のためには、この隣接トラック消去を抑制する必要もある。
垂直磁気記録方式用の磁気ヘッドにおいて、オーバーライト特性を向上させる方法としては、主磁極におけるトラック幅規定部と幅広部との境界の位置を媒体対向面に近づける方法や、トラック幅規定部の側面と幅広部の媒体対向面側の端面とのなす角度を90°に近づける方法や、主磁極の厚みを大きくする方法が考えられる。しかしながら、このいずれの方法も、隣接トラック消去が発生しやすくなるという問題点がある。
特許文献1には、スキューが生じたときの隣接トラック消去を防止する技術として、媒体対向面における主磁極の端面の形状を、記録媒体の進行方向の後側(スライダにおける空気流入端側)に配置される辺が反対側の辺よりも小さい台形形状とする技術が記載されている。しかしながら、この技術では、媒体対向面における主磁極の端面の形状が矩形の場合に比べて、媒体対向面における主磁極の端面の面積が減少するため、オーバーライト特性が劣化するという問題点がある。
そこで、隣接トラック消去を防止し、且つオーバーライト特性を向上させる方法として、例えば特許文献2ないし4に示されるように、主磁極の厚みを、媒体対向面に近づくに従って小さくする方法が種々提案されている。
特許文献2には、媒体対向面の近傍において、主磁極の上面と下面の少なくとも一方を斜面とすることによって、媒体対向面の近傍における主磁極の厚みを、媒体対向面に近づくに従って小さくする技術が記載されている。
特許文献3には、厚みが一定の主磁極層に対して、前端面が媒体対向面から離れた位置に配置されたヨーク層を接続することによって、主磁極層とヨーク層との積層体の厚みを、媒体対向面に近づくに従って小さくする技術が記載されている。
特許文献4には、主磁極を構成する磁性層のギャップ層側の面を、媒体対向面から離れるに従って段階的に補助磁極に近づく形状とすることにより、主磁極の厚みを、媒体対向面に近づくに従って小さくする技術が記載されている。
ところで、垂直磁気記録方式用の磁気ヘッドとしては、単磁極ヘッドの他に、例えば特許文献5に記載されているように、磁極とシールドとを備えた磁気ヘッドも知られている。この磁気ヘッドでは、媒体対向面において、シールドの端部は、磁極の端部に対して、所定の小さな間隔を開けて記録媒体の進行方向の前側に配置されている。以下、このような磁気ヘッドをシールド型ヘッドと呼ぶ。このシールド型ヘッドにおいて、シールドは、磁極の端部より発生されて記録媒体の面に垂直な方向以外の方向に広がる磁束が記録媒体に達することを阻止することができる。このシールド型ヘッドによれば、線記録密度のより一層の向上が可能になる。
特許文献2に記載された技術では、磁気ヘッドの製造過程において、研磨によって媒体対向面を形成する際に、研磨終了位置がずれると、媒体対向面における主磁極の厚みが変化してしまう。従って、この技術では、均質な磁気ヘッドを量産することが難しいという問題点がある。
特許文献3に記載された技術では、ヨーク層の上に主磁極層が形成される。また、この技術では、ヨーク層と主磁極層は別個にパターニングされる。そのため、この技術では、ヨーク層と主磁極層の位置ずれが生じやすいという問題点がある。特に、この技術では、ヨーク層と主磁極層のそれぞれの媒体対向面側の一部の幅は、他の部分の幅よりも小さくなっている。そのため、この幅の小さい部分同士の位置ずれは、磁気ヘッドにおける記録特性の劣化を引き起こす。また、この技術では、ヨーク層の上面が平坦化され、その上に主磁極層が形成される。そのため、この技術では、研磨によってヨーク層の上面を平坦化する際に、研磨終了位置がずれると、ヨーク層の媒体対向面側の端部の位置が変化してしまう。従って、この技術では、均質な磁気ヘッドを量産することが難しいという問題点がある。
特許文献4に記載された技術では、主磁極を構成する磁性層の下地の上面の形状を、マスクを用いたドライエッチングによって決定する。そのため、この技術では、磁性層の厚みが小さくなり始める位置が、ドライエッチングによって形成される凹部における底面と側面との境界位置によって決定される。この場合、ドライエッチングによって形成される凹部における底面と側面との境界位置には、±0.15μm程度のばらつきが生じる。そのため、この技術では、磁性層の厚みが小さくなり始める位置を正確に制御することが難しく、やはり、均質な磁気ヘッドを量産することが難しいという問題点がある。
特許文献5に記載された磁気ヘッドでは、線記録密度の向上は期待できるものの、磁極の厚みが一定であるため、隣接トラック消去を防止しながらオーバーライト特性を向上させることは難しいという問題点がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、隣接トラック消去を防止しながら線記録密度およびオーバーライト特性を向上させることができるようにした垂直磁気記録用磁気ヘッドおよびその製造方法、ならびに垂直磁気記録用磁気ヘッドを含むヘッドジンバルアセンブリおよびハードディスク装置を提供することにある。
本発明の第2の目的は、隣接トラック消去を防止しながら線記録密度およびオーバーライト特性を向上させることができ、且つ均質な垂直磁気記録用磁気ヘッドを製造できるようにした垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法を提供することにある。
本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドは、
記録媒体に対向する媒体対向面と、
記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生するコイルと、
媒体対向面に配置された端部を有し、コイルによって発生された磁界に対応する磁束を通過させると共に、垂直磁気記録方式によって情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する磁極層と、
媒体対向面に配置された端部を有し、媒体対向面から離れた位置において磁極層に連結されたシールド層と、
非磁性材料よりなり、磁極層とシールド層との間に設けられたギャップ層とを備えている。
記録媒体に対向する媒体対向面と、
記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生するコイルと、
媒体対向面に配置された端部を有し、コイルによって発生された磁界に対応する磁束を通過させると共に、垂直磁気記録方式によって情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する磁極層と、
媒体対向面に配置された端部を有し、媒体対向面から離れた位置において磁極層に連結されたシールド層と、
非磁性材料よりなり、磁極層とシールド層との間に設けられたギャップ層とを備えている。
媒体対向面において、シールド層の端部は、磁極層の端部に対して、所定の間隔を開けて記録媒体の進行方向の前側に配置されている。コイルの少なくとも一部は、磁極層とシールド層との間に、磁極層およびシールド層に対して絶縁された状態で配置されている。磁極層は、媒体対向面側の端部が媒体対向面から離れた位置に配置され、所定の厚みを有する第1の部分と、第1の部分と媒体対向面との間に配置され、第1の部分の厚みよりも小さな厚みを有する第2の部分とを有している。磁極層の、ギャップ層側の面のうち、少なくとも媒体対向面側の一部は実質的に平坦である。なお、「実質的に平坦」というのは、平坦になるように面を形成する場合であっても、製造工程における精度の点から0.05μm程度の凹凸が生じる場合があるため、この程度の凹凸がある場合も含むという意味である。
本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドでは、媒体対向面において、シールド層の端部は、磁極層の端部に対して、所定の間隔を開けて記録媒体の進行方向の前側に配置されている。また、磁極層は、媒体対向面側の端部が媒体対向面から離れた位置に配置され、所定の厚みを有する第1の部分と、第1の部分と媒体対向面との間に配置され、第1の部分の厚みよりも小さな厚みを有する第2の部分とを有している。また、磁極層の、ギャップ層側の面のうち、少なくとも媒体対向面側の一部は実質的に平坦である。これらのことから、本発明では、隣接トラック消去を防止しながら線記録密度およびオーバーライト特性を向上させることが可能になる。
本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドにおいて、第1の部分と第2の部分との境界位置から、この境界位置よりも媒体対向面に近い所定の位置にかけて、第2の部分の厚みは、媒体対向面に近づくに従って徐々に小さくなっていてもよい。
また、本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドにおいて、媒体対向面における磁極層の端部とシールド層の端部との間隔は、30nm〜60nmの範囲内であってもよい。
また、本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドにおいて、媒体対向面に配置されたシールド層の端部の面積は、媒体対向面に配置された磁極層の端部の面積よりも大きくてもよい。
また、本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドにおいて、媒体対向面に配置された磁極層の端部の形状は、ギャップ層側の辺が反対側の辺よりも大きい台形形状であってもよい。
また、本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドにおいて、磁極層は、媒体対向面から離れた所定の幅変化位置よりも媒体対向面に近い領域では、媒体対向面における磁極層の幅と等しい幅を有し、幅変化位置よりも媒体対向面から遠い領域では、媒体対向面における磁極層の幅よりも大きな幅を有していてもよい。この場合、磁極層は、幅変化位置と媒体対向面との間に配置された厚み変化位置よりも媒体対向面に近い領域では、媒体対向面における磁極層の厚みと等しい厚みを有し、厚み変化位置よりも媒体対向面から遠い領域では、媒体対向面における磁極層の厚みよりも大きな厚みを有していてもよい。
本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法は、磁極層を形成する工程と、磁極層の上に、ギャップ層およびコイルを形成する各工程と、ギャップ層の上にシールド層を形成する工程とを備えている。
本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法において、磁極層を形成する工程は、第1の部分が配置される領域を含む領域に、めっき法を用いて、第1の部分の媒体対向面側の端部の位置を決めるための端部を有するめっき層を形成する工程と、めっき層を覆うように第1の非磁性層を形成する工程と、めっき層が露出するまで第1の非磁性層およびめっき層を研磨することによって、めっき層に隣接した形状となるように第1の非磁性層をパターニングする工程と、めっき層をエッチングによって除去することによって、第1の非磁性層に隣接し、めっき層の形状に対応した形状の空間を形成する工程と、空間内および第1の非磁性層の上面上に、磁極層の平面形状に対応した平面形状を有する磁性層を形成する工程と、磁性層を覆うように第2の非磁性層を形成する工程と、磁性層が磁極層となるように、磁性層が露出するまで第2の非磁性層および磁性層を研磨する工程とを含んでいてもよい。この場合には、互いに厚みの異なる第1の部分と第2の部分の境界位置が、めっき法によって形成されるめっき層の媒体対向面側の端部の位置によって決まる。
磁極層を形成する工程は、更に、空間を形成する工程と磁性層を形成する工程との間において、空間に面する第1の非磁性層の壁面と第1の非磁性層の上面とによって形成される角部のうち、第1の部分と第2の部分との境界位置の近傍に配置される部分を、ドライエッチングによって面取りする工程を含んでいてもよい。この場合には、第1の部分と第2の部分との境界位置から、この境界位置よりも媒体対向面に近い所定の位置にかけて、第2の部分の厚みは、媒体対向面に近づくに従って徐々に小さくなる。
また、本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法において、磁性層は、めっき法を用いて形成されてもよいし、スパッタ法を用いて形成されてもよい。
また、本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法において、媒体対向面における磁極層の端部とシールド層の端部との間隔は、30nm〜60nmの範囲内であってもよい。
また、本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法において、媒体対向面に配置されたシールド層の端部の面積は、媒体対向面に配置された磁極層の端部の面積よりも大きくてもよい。
また、本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法において、媒体対向面に配置された磁極層の端部の形状は、ギャップ層側の辺が反対側の辺よりも大きい台形形状であってもよい。
また、本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法において、磁極層は、媒体対向面から離れた所定の幅変化位置よりも媒体対向面に近い領域では、媒体対向面における磁極層の幅と等しい幅を有し、幅変化位置よりも媒体対向面から遠い領域では、媒体対向面における磁極層の幅よりも大きな幅を有していてもよい。この場合、磁極層は、幅変化位置と媒体対向面との間に配置された厚み変化位置よりも媒体対向面に近い領域では、媒体対向面における磁極層の厚みと等しい厚みを有し、厚み変化位置よりも媒体対向面から遠い領域では、媒体対向面における磁極層の厚みよりも大きな厚みを有していてもよい。
本発明のヘッドジンバルアセンブリは、本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドを含み、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、スライダを弾性的に支持するサスペンションとを備えたものである。
本発明のハードディスク装置は、本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドを含み、回転駆動される円盤状の記録媒体に対向するように配置されるスライダと、スライダを支持すると共に記録媒体に対して位置決めする位置決め装置とを備えたものである。
本発明では、媒体対向面において、シールド層の端部は、磁極層の端部に対して、所定の間隔を開けて記録媒体の進行方向の前側に配置されている。また、磁極層は、媒体対向面側の端部が媒体対向面から離れた位置に配置され、所定の厚みを有する第1の部分と、第1の部分と媒体対向面との間に配置され、第1の部分の厚みよりも小さな厚みを有する第2の部分とを有し、磁極層の、ギャップ層側の面のうち、少なくとも媒体対向面側の一部は実質的に平坦である。これらのことから、本発明によれば、隣接トラック消去を防止しながら線記録密度およびオーバーライト特性を向上させることができるという効果を奏する。
また、本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法において、互いに厚みの異なる第1の部分と第2の部分の境界位置が、めっき法によって形成されるめっき層の媒体対向面側の端部の位置によって決まるようにした場合には、第1の部分と第2の部分の境界位置を精度よく決めることができる。この場合には、更に、均質な垂直磁気記録用磁気ヘッドを製造することが可能になるという効果を奏する。
本発明において、第1の部分と第2の部分との境界位置から、この境界位置よりも媒体対向面に近い所定の位置にかけて、第2の部分の厚みが、媒体対向面に近づくに従って徐々に小さくなるようにしてもよい。この場合には、磁極層を通過する磁束の流れが滑らかになり、よりオーバーライト特性を向上させることができるという効果を奏する。
また、本発明において、媒体対向面に配置された磁極層の端部の形状を、ギャップ層側の辺が反対側の辺よりも大きい台形形状とした場合には、隣接トラック消去をより確実に防止することができるという効果を奏する。
また、本発明において、磁極層は、媒体対向面から離れた所定の幅変化位置よりも媒体対向面に近い領域では、媒体対向面における磁極層の幅と等しい幅を有し、幅変化位置よりも媒体対向面から遠い領域では、媒体対向面における磁極層の幅よりも大きな幅を有していてもよい。この場合には、磁極層によって、より多くの磁束を効率よく媒体対向面側の端部まで導くことができ、よりオーバーライト特性を向上させることができるという効果を奏する。
また、本発明において、磁極層は、幅変化位置と媒体対向面との間に配置された厚み変化位置よりも媒体対向面に近い領域では、媒体対向面における磁極層の厚みと等しい厚みを有し、厚み変化位置よりも媒体対向面から遠い領域では、媒体対向面における磁極層の厚みよりも大きな厚みを有していてもよい。この場合には、より確実に、隣接トラック消去を防止しながらオーバーライト特性を向上させることができるという効果を奏する。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る垂直磁気記録用磁気ヘッドの構成について説明する。図1は本実施の形態に係る垂直磁気記録用磁気ヘッドの構成を示す断面図である。なお、図1は媒体対向面および基板の面に垂直な断面を示している。また、図1において記号Tで示す矢印は、記録媒体の進行方向を表している。図2は、本実施の形態に係る垂直磁気記録用磁気ヘッドの媒体対向面を示す正面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る垂直磁気記録用磁気ヘッドの構成について説明する。図1は本実施の形態に係る垂直磁気記録用磁気ヘッドの構成を示す断面図である。なお、図1は媒体対向面および基板の面に垂直な断面を示している。また、図1において記号Tで示す矢印は、記録媒体の進行方向を表している。図2は、本実施の形態に係る垂直磁気記録用磁気ヘッドの媒体対向面を示す正面図である。
図1および図2に示したように、本実施の形態に係る垂直磁気記録用磁気ヘッド(以下、単に磁気ヘッドと記す。)は、アルティック(Al2O3・TiC)等のセラミック材料よりなる基板1と、この基板1の上に形成されたアルミナ(Al2O3)等の絶縁材料よりなる絶縁層2と、この絶縁層2の上に形成された磁性材料よりなる下部シールド層3と、この下部シールド層3の上に、絶縁層4を介して形成された再生素子としてのMR(磁気抵抗効果)素子5と、このMR素子5の上に絶縁層4を介して形成された磁性材料よりなる上部シールド層6とを備えている。下部シールド層3および上部シールド層6を構成する磁性材料としては、例えばNiFeが用いられる。下部シールド層3および上部シールド層6の厚みは、それぞれ例えば1〜2μmである。
MR素子5の一端部は、記録媒体に対向する媒体対向面(エアベアリング面)ABSに配置されている。MR素子5には、AMR(異方性磁気抵抗効果)素子、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子あるいはTMR(トンネル磁気抵抗効果)素子等の磁気抵抗効果を示す感磁膜を用いた素子を用いることができる。
磁気ヘッドは、更に、上部シールド層6の上に形成されたアルミナ等の非磁性材料よりなる非磁性層7と、この非磁性層7の上に形成された磁性材料よりなる下部磁極層8と、この下部磁極層8の上に形成された絶縁層9と、この絶縁層9の上に形成された薄膜コイル10と、少なくとも薄膜コイル10の巻線間に充填され、媒体対向面ABSに露出しない絶縁層11と、絶縁層9,11を覆う絶縁層12とを備えている。薄膜コイル10は、平面渦巻き形状をなしている。絶縁層11は、薄膜コイル10の全体を覆うように形成されている。絶縁層12の上面は平坦化されている。
下部磁極層8を構成する磁性材料としては、例えばNiFeが用いられる。絶縁層9は、アルミナ等の非導電性且つ非磁性の材料よりなる。薄膜コイル10は、銅等の導電性の材料よりなる。薄膜コイル10の巻数は任意であり、巻線のピッチも任意である。絶縁層11は、形成時に流動性を有する非導電性且つ非磁性の材料よりなる。具体的には、絶縁層11は、例えば、フォトレジスト(感光性樹脂)のような有機系の非導電性非磁性材料によって形成してもよいし、塗布ガラスよりなるスピンオングラス(SOG)膜で形成してもよい。絶縁層12は、絶縁層11よりも耐食性、剛性および絶縁性が優れた非導電性且つ非磁性の材料よりなる。このような材料としては、アルミナやシリコン酸化物(SiO2)等の無機系の非導電性非磁性材料を用いることができる。
磁気ヘッドは、更に、絶縁層12の上に順に形成された非磁性層13A、非磁性電極膜13Bおよび非磁性層13Cを備えている。これらよりなる積層体は、内側に空間を有する枠13を構成している。非磁性層13A,13Cは、アルミナ等の非導電性且つ非磁性の材料によって形成されている。非磁性電極膜13Bは、Au、AuCu合金等の非磁性且つ導電性の材料によって形成されている。
磁気ヘッドは、更に、絶縁層12および枠13の上に形成された電極膜18と、この電極膜18の上に形成された、磁性材料よりなるめっき層202とを備えている。電極膜18は、導電性の材料によって構成されている。なお、電極膜18を構成する材料は、磁性材料であってもよいし、非磁性材料であってもよい。めっき層202を構成する磁性材料としては、例えばFeCoが用いられる。電極膜18が磁性材料よりなる場合には、電極膜18およびめっき層202によって磁極層20が構成される。電極膜18が非磁性材料よりなる場合には、めっき層202によって磁極層20が構成される。磁極層20の形状については、後で詳しく説明する。
磁気ヘッドは、更に、アルミナ等の非導電性且つ非磁性の材料よりなり、磁極層20の周囲に配置された非磁性層21と、アルミナ等の非磁性の材料よりなり、磁極層20の上に形成されたギャップ層22と、このギャップ層22の上において、後述する薄膜コイル24を配置すべき位置に形成された絶縁層23と、この絶縁層23の上に形成された薄膜コイル24と、少なくとも薄膜コイル24の巻線間に充填され、媒体対向面ABSに露出しない絶縁層25とを備えている。薄膜コイル24は、平面渦巻き形状をなしている。絶縁層25は、薄膜コイル24の全体を覆うように形成されている。
絶縁層23は、アルミナ等の非導電性且つ非磁性の材料よりなる。薄膜コイル24は、銅等の導電性の材料よりなる。薄膜コイル24の巻数は任意であり、巻線のピッチも任意である。絶縁層25は、形成時に流動性を有する非導電性且つ非磁性の材料よりなる。具体的には、絶縁層25は、例えば、フォトレジスト(感光性樹脂)のような有機系の非導電性非磁性材料によって形成してもよいし、塗布ガラスよりなるスピンオングラス(SOG)膜で形成してもよい。
磁気ヘッドは、更に、磁極層20、ギャップ層22および絶縁層25の上に形成された記録シールド層26と、この記録シールド層26を覆うように形成された保護層27とを備えている。記録シールド層26は、薄膜コイル24の中心の位置において、磁極層20に連結されている。また、記録シールド層26の媒体対向面ABS側の端部は、媒体対向面ABSに配置されている。記録シールド層26を構成する磁性材料としては、例えば鉄を含む合金が用いられる。記録シールド層26は、本発明におけるシールド層に対応する。
以上説明したように、本実施の形態に係る磁気ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面ABSと再生ヘッドと記録ヘッドとを備えている。再生ヘッドは記録媒体の進行方向Tの後側(スライダにおける空気流入端側)に配置され、記録ヘッドは記録媒体の進行方向Tの前側(スライダにおける空気流出端側)に配置されている。
再生ヘッドは、再生素子としてのMR素子5と、媒体対向面ABS側の一部がMR素子5を挟んで対向するように配置された、MR素子5をシールドするための下部シールド層3および上部シールド層6と、MR素子5と下部シールド層3との間およびMR素子5と上部シールド層6との間に設けられた絶縁層4とを備えている。
記録ヘッドは、下部磁極層8、薄膜コイル10、磁極層20、ギャップ層22、薄膜コイル24および記録シールド層26を備えている。薄膜コイル10,24は、記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生する。なお、下部磁極層8および薄膜コイル10は、記録ヘッドにおける必須の構成要素ではなく、これらは設けられていなくてもよい。
磁極層20は、媒体対向面ABSに配置された端部を有し、薄膜コイル24によって発生された磁界に対応する磁束を通過させると共に、垂直磁気記録方式によって情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する。記録シールド層26は、媒体対向面ABSに配置された端部を有している。媒体対向面ABSにおいて、記録シールド層26の端部は、磁極層20の端部に対して、所定の間隔を開けて記録媒体の進行方向Tの前側(スライダにおける空気流出端側)に配置されている。また、記録シールド層26は、媒体対向面ABSから離れた位置において磁極層20に磁気的に連結されている。ギャップ層22は、非磁性材料よりなり、磁極層20と記録シールド層26との間に設けられている。薄膜コイル24の少なくとも一部は、磁極層20および記録シールド層26に対して絶縁された状態で、磁極層20と記録シールド層26との間に配置されている。
媒体対向面ABSにおける磁極層20の端部と記録シールド層26の端部との間隔、すなわちギャップ層22の厚みは、媒体対向面ABSにおける磁極層20の端部から記録媒体の記録層の下面までの距離とほぼ等しいことが好ましい。なお、記録層の下面とは、記録層の2つの面のうち、磁気ヘッドから遠い方の面を言う。ただし、記録媒体が、垂直磁化記録層の下に軟磁性下地層が設けられた2層媒体の場合には、記録層の下面とは、垂直磁化記録層の2つの面のうち、磁気ヘッドから遠い方の面を言う。媒体対向面ABSにおける磁極層20の端部から記録媒体の記録層の下面までの距離は、現在、40nm程度である。媒体対向面ABSにおける磁極層20の端部と記録シールド層26の端部との間隔が、媒体対向面ABSにおける磁極層20の端部から記録媒体の記録層の下面までの距離に比べて小さすぎると、磁極層20から発生される垂直方向の磁界が小さくなり、記録媒体に情報を記録することが困難になる。一方、上記間隔が上記距離に比べて大きすぎると、媒体対向面ABSにおける磁極層20のギャップ層22側(スライダにおける空気流出端側)の端部の近傍において、記録媒体の進行方向Tについての記録磁界の垂直成分の変化がなだらかになるため、線記録密度を向上させることが難しくなる。以上のことから、媒体対向面ABSにおける磁極層20の端部と記録シールド層26の端部との間隔、すなわちギャップ層22の厚みは、30nm〜60nmの範囲内であることが好ましい。また、媒体対向面ABSに配置された記録シールド層26の端部の面積は、媒体対向面ABSに配置された磁極層20の端部の面積よりも大きい。
なお、図2では、媒体対向面ABSに配置された磁極層20の端部の形状は、矩形になっている。しかし、図22に示したように、媒体対向面ABSに配置された磁極層20の端部の形状は、ギャップ層22側の辺が反対側の辺よりも大きい台形形状であってもよい。
以下、図3を参照して、磁極層20の形状について詳しく説明する。図3は、本実施の形態に係る磁気ヘッドにおける磁極層の形状を説明するための説明図である。なお、図3において、(a)は磁極層20の上面を表わし、(b)は磁極層20の側面を表わしている。
磁極層20の厚みは、媒体対向面ABSに近づくに従って小さくなっている。磁極層20は、媒体対向面ABS側の端部が媒体対向面ABSから離れた位置に配置され、所定の厚みT1を有する第1の部分20Aと、この第1の部分20Aと媒体対向面ABSとの間に配置され、第1の部分の厚みT1よりも小さな厚みを有する第2の部分20Bとを有している。
磁極層20の、ギャップ層22側の面(上面)のうち、少なくとも媒体対向面側ABSの一部は実質的に平坦である。図1および図3(b)には、磁極層20の、ギャップ層22側の面の全体が実質的に平坦である例を示している。
図3(a)に示したように、磁極層20は、媒体対向面ABSから離れた所定の幅変化位置P3よりも媒体対向面ABSに近い領域では、媒体対向面ABSにおける磁極層20の幅W1と等しい幅を有し、幅変化位置P3よりも媒体対向面ABSから遠い領域では、媒体対向面ABSにおける磁極層20の幅W1よりも大きな幅を有している。媒体対向面ABSにおける磁極層20の幅W1は、トラック幅を規定する。媒体対向面ABSにおける磁極層20の幅W1は、例えば0.05〜0.25μmである。
また、磁極層20は、幅変化位置P3と媒体対向面ABSとの間に配置された厚み変化位置P2よりも媒体対向面ABSに近い領域では、媒体対向面ABSにおける磁極層20の厚みT2と等しい厚みを有し、厚み変化位置P2よりも媒体対向面ABSから遠い領域では、媒体対向面ABSにおける磁極層20の厚みT2よりも大きな厚みを有している。媒体対向面ABSにおける磁極層20の厚みT2は、例えば0.05〜0.3μmである。
また、図3(b)に示したように、第1の部分20Aと第2の部分20Bとの境界位置P1から、この境界位置P1よりも媒体対向面ABSに近い位置P2にかけて、第2の部分20Bの厚みは、媒体対向面ABSに近づくに従って徐々に小さくなっている。なお、図1および図3(b)では、位置P1,P2間における第2の部分20Bのギャップ層22とは反対側の面(下面)は、凹凸のない斜面になっている。しかし、図23に示したように、位置P1,P2間における第2の部分20Bのギャップ層22とは反対側の面(下面)は曲面になっていてもよい。また、図24に示したように、厚み変化位置P2は、媒体対向面ABSに配置されていてもよい。なお、図23、図24において、(a)は磁極層20の上面を表わし、(b)は磁極層20の側面を表わしている。
また、図25に示したように、位置P1と位置P2が一致していてもよい。この場合には、第2の部分20Bにおいて、媒体対向面ABSに近づくに従って厚みが徐々に小さくなる部分はなくなる。なお、図25において、(a)は磁極層20の上面を表わし、(b)は磁極層20の側面を表わしている。
また、図3(a)に示したように、幅変化位置P3よりも媒体対向面ABSから遠い領域における磁極層20の幅は、例えば、媒体対向面ABSから離れるに従って、徐々に大きくなった後、一定の大きさになっている。磁極層20において、媒体対向面ABSから離れるに従って幅が徐々に大きくなる部分の側壁と、媒体対向面ABSに垂直な方向とのなす角度θは、任意であるが、例えば30°程度である。
ここで、図3に示した磁極層20の各部の寸法の一例を挙げる。この例では、媒体対向面ABSと幅変化位置P3との距離L1は、0.35μmである。媒体対向面ABSと厚み変化位置P2との距離L2は、0.15μmである。媒体対向面ABSと位置P1との距離L3は、0.25μmである。また、媒体対向面ABSにおける磁極層20の厚みT2は、0.2μmである。位置P1と位置P2との間における磁極層20の厚みの変化量T3は、0.1μmである。第1の部分20Aの厚みT1は、0.4μmである。また、媒体対向面ABSにおける磁極層20の幅W1は、0.2μmである。
次に、本実施の形態に係る磁気ヘッドの作用について説明する。この磁気ヘッドでは、記録ヘッドによって記録媒体に情報を記録し、再生ヘッドによって、記録媒体に記録されている情報を再生する。記録ヘッドにおいて、薄膜コイル24は、記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生する。磁極層20および記録シールド層26は、薄膜コイル24が発生する磁界に対応した磁束を通過させる磁路を形成する。磁極層20は、薄膜コイル24によって発生された磁界に対応する磁束を通過させると共に、垂直磁気記録方式によって情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する。
次に、図4ないし図21を参照して、本実施の形態に係る磁気ヘッドの製造方法について説明する。図4ないし図21において、(a)は、磁気ヘッドの製造過程における積層体の、媒体対向面の近傍における媒体対向面に平行な断面を示し、(b)は積層体の媒体対向面および基板に垂直な断面を示している。また、図9ないし図16において、(c)は積層体の上面を示している。なお、図4ないし図21では、基板1および絶縁層2を省略している。
本実施の形態に係る磁気ヘッドの製造方法では、まず、基板1の上に絶縁層2を形成する。次に、絶縁層2の上に下部シールド層3を形成する。次に、下部シールド層3の上に、絶縁層4の一部となる絶縁膜を形成し、この絶縁膜の上にMR素子5と、このMR素子5に接続される図示しないリードとを形成する。次に、MR素子5およびリードを、絶縁層4の他の一部となる新たな絶縁膜で覆い、MR素子5およびリードを絶縁層4内に埋設する。次に、絶縁層4の上に上部シールド層6を形成する。次に、上部シールド層6の上に非磁性層7を形成する。次に、非磁性層7の上に、下部磁極層8を所定の形状に形成する。次に、図示しないが、非磁性層7および下部磁極層8をアルミナ等の非磁性材料で覆い、下部磁極層8が露出するまで非磁性材料を研磨して、下部磁極層8の上面を平坦化する。次に、スパッタ法を用いて、下部磁極層8の上に、絶縁層を形成する。次に、周知のフォトリソグラフィ技術および成膜技術(例えば電気めっき法)を用いて、絶縁層9の上に薄膜コイル10を形成する。次に、周知のフォトリソグラフィ技術を用いて、少なくとも薄膜コイル10の巻線間に充填される絶縁層11を形成する。ここでは、絶縁層11は薄膜コイル10を完全に覆うように形成しているが、薄膜コイル10の巻線間に充填される絶縁層11を形成した後に、絶縁層11とは別に、薄膜コイル10および絶縁層11を覆う絶縁層を形成してもよい。次に、スパッタ法を用いて、絶縁層9および絶縁層11を覆うように絶縁層12を形成する。次に、例えば化学機械研磨を用いて、絶縁層12を研磨して、絶縁層12の上面を平坦化する。ここまでの工程によって得られた積層体を、図4に示す。なお、非磁性層7を設けずに、上部シールド層6および下部磁極層8の代わりに、これらを兼ねた1つの磁性層を設けてもよい。
次に、図5に示したように、スパッタ法を用いて、絶縁層12の上に、非磁性層13Aを形成する。
次に、図6に示したように、スパッタ法を用いて、非磁性層13Aの上に、非磁性電極層13Bを形成する。
図7は、次の工程を示す。この工程では、まず、フォトリソグラフィ技術によって、非磁性電極膜13Bの上に、フォトレジストよりなるフレーム15を形成する。このフレーム15は、内側に空間を有している。この空間は、磁極層20の第1の部分20Aが配置される領域を含む領域に配置されている。空間の媒体対向面ABS側の端部は、第1の部分20Aの媒体対向面ABS側の端部が配置される位置を決める。次に、めっき法、特に電気めっき法を用いて、フレーム15の空間内に、めっき層16を形成する。その際、非磁性電極膜13Bには電流が流される。めっき層16の材料は、めっき可能な導電性材料で、且つ容易にエッチングされる材料であればよい。めっき層16の材料としては、例えば、NiFeが用いられる。めっき層16の媒体対向面ABS側の端部は、第1の部分20Aの媒体対向面ABS側の端部が配置される位置を決める。
次に、図8に示したように、フレーム15を除去した後、スパッタ法を用いて、めっき層16を覆うように非磁性層13Cを形成する。非磁性層13Cは、本発明における第1の非磁性層に対応する。
次に、図9に示したように、例えば化学機械研磨を用いて、めっき層16が露出するまで非磁性層13Cの表面を研磨して、非磁性層13Cおよびめっき層16の上面を平坦化する。これにより、めっき層16に隣接した形状となるように、非磁性層13Cがパターニングされる。
次に、図10に示したように、ウェットエッチングによって、めっき層16を除去する。これにより、非磁性層13Cに隣接し、めっき層16の形状に対応した形状の空間17が形成される。
次に、図11に示したように、イオンミリング等のドライエッチングを用いて、非磁性層13Cをマスクとして、非磁性電極膜13Bおよび非磁性層13Aを選択的にエッチングする。これにより、空間17の底部の位置が絶縁層12の上面の位置に達する。この工程において、空間17に面する非磁性層13Cの壁面と非磁性層13Cの上面とによって形成される角部のうち、後に形成される磁極層20の第1の部分20Aと第2の部分20Bとの境界位置の近傍に配置される部分を、上記ドライエッチングによって面取りしてもよい。この場合には、図1および図3(c)に示したように、第1の部分20Aと第2の部分20Bとの境界位置P1から、この境界位置P1よりも媒体対向面ABSに近い所定の位置P2にかけて、第2の部分20Bの厚みは、媒体対向面ABSに近づくに従って徐々に小さくなる。
なお、図11(b)には、上記角部に、凹凸のない斜面が形成されるように、角部を面取りした例を示している。この場合には、磁極層20は、図1および図3(b)に示した形状となる。上記角部は、この角部に曲面が形成されるように面取りしてもよい。この場合には、磁極層20は、図23(b)に示した形状となる。また、上記角部を面取りする領域の媒体対向面ABS側の端部の位置を媒体対向面ABSの位置と一致させてもよい。この場合には、磁極層20は、図24(b)に示した形状となる。また、上記角部を面取りしない場合には、磁極層20は、図25(b)に示した形状となる。
図12は、次の工程を示す。この工程では、まず、スパッタ法を用いて、積層体の上面全体の上に電極膜18を形成する。次に、フォトリソグラフィ技術によって、電極膜18の上に、フォトレジストよりなるフレーム19を形成する。このフレーム19は、内側に空間を有している。この空間は、磁極層20の平面形状に対応した平面形状を有している。
図13は、次の工程を示す。この工程では、まず、めっき法、特に電気めっき法を用いて、フレーム19の空間内に、めっき層202を形成する。その際、電極膜18には電流が流される。次に、フレーム19を除去する。
次に、図14に示したように、めっき層202をマスクとして、イオンミリング、反応性イオンエッチング等のドライエッチングを用いて、電極膜18のうち、めっき層202の下に存在する部分以外の部分をエッチングする。このとき、電極膜18およびめっき層202よりなる積層体のうち、媒体対向面ABSから幅変化位置P3までの部分における2つの側壁を、これらの側壁の間隔が、非磁性層13Cに近づくに従って小さくなるように、これらの側壁をエッチングしてもよい。これにより、図22に示したように、媒体対向面ABSに配置された磁極層20の端部の形状を、ギャップ層22側の辺が反対側の辺よりも大きい台形形状とすることができる。
次に、図15に示したように、電極膜18およびめっき層202よりなる積層体を覆うように、非磁性層21を形成する。非磁性層21は、本発明における第2の非磁性層に対応する。
次に、図16に示したように、例えば化学機械研磨を用いて、めっき層202が露出するまで非磁性層21の表面を研磨して、非磁性層21およびめっき層202の上面を平坦化する。このようにして、電極膜18が磁性材料よりなる場合は電極膜18およびめっき層202によって磁極層20が形成され、電極膜18が非磁性材料よりなる場合はめっき層202によって磁極層20が形成される。
次に、図17に示したように、スパッタ法を用いて、磁極層20の上に、所定の形状のギャップ層22を形成する。ギャップ層22は、例えば、リフトオフ法によって形成してもよいし、スパッタ法を用いて形成した絶縁膜を選択的にエッチングすることによって形成してもよい。
次に、図18に示したように、スパッタ法を用いて、ギャップ層22の上において、薄膜コイル24を配置すべき位置に絶縁層23を形成する。絶縁層23は、例えば、リフトオフ法によって形成してもよいし、スパッタ法を用いて形成した絶縁膜を選択的にエッチングすることによって形成してもよい。
次に、図19に示したように、周知のフォトリソグラフィ技術および成膜技術(例えば電気めっき法)を用いて、絶縁層23の上に薄膜コイル24を形成する。
次に、図20に示したように、周知のフォトリソグラフィ技術を用いて、少なくとも薄膜コイル24の巻線間に充填される絶縁層25を形成する。ここでは、絶縁層25は薄膜コイル24を完全に覆うように形成しているが、薄膜コイル24の巻線間に充填される絶縁層25を形成した後に、絶縁層25とは別に、薄膜コイル24および絶縁層25を覆う絶縁層を形成してもよい。なお、絶縁層25を形成した後、熱処理によって、絶縁層25の上面を平坦化してもよい。
次に、図21に示したように、例えばめっき法を用いて、磁極層20、ギャップ層22および絶縁層25の上に記録シールド層26を形成する。
次に、図1および図2に示したように、積層体の上面全体を覆うように保護層27を形成する。次に、保護層27の上に配線や端子等を形成し、スライダ単位で基板を切断し、媒体対向面ABSの研磨、浮上用レールの作製等を行って、磁気ヘッドが完成する。
以上説明したように、本実施の形態に係る磁気ヘッドは、磁極層20と、ギャップ層22と、薄膜コイル24と、記録シールド層26とを備えている。磁極層20および記録シールド層26は、薄膜コイル24が発生する磁界に対応した磁束を通過させる磁路を形成する。また、記録シールド層26は、磁気ヘッドの外部から磁気ヘッドに印加された外乱磁界を取り込む。これにより、外乱磁界が磁極層20に集中して取り込まれることによって記録媒体に対して誤った記録が行なわれることを防止することができる。
本実施の形態では、媒体対向面ABSにおいて、記録シールド層26の端部は、磁極層20の端部に対して、ギャップ層22による所定の小さな間隔を開けて記録媒体の進行方向Tの前側(スライダにおける空気流出端側)に配置されている。記録媒体に記録されるビットパターンの端部の位置は、媒体対向面ABSにおける磁極層20のギャップ層22側の端部の位置によって決まる。記録シールド層26は、磁極層20の媒体対向面ABS側の端部より発生されて記録媒体の面に垂直な方向以外の方向に広がる磁束を取り込むことにより、この磁束が記録媒体に達することを阻止する。これにより、記録媒体に既に記録されているビットパターンにおける磁化の方向が上記磁束の影響によって変化することを防止することができる。これにより、本実施の形態によれば、線記録密度を向上させることができる。
また、本実施の形態では、磁極層20の、ギャップ層22側の面のうち、少なくとも媒体対向面ABS側の一部は実質的に平坦である。これにより、媒体対向面ABSにおいて磁極層20より発生される磁界を、トラックに交差する方向について均一化することができ、その結果、記録媒体におけるビットパターン形状の歪みを抑えることができる。本実施の形態によれば、この点からも、線記録密度を向上させることができる。
また、本実施の形態では、磁極層20は、媒体対向面ABS側の端部が媒体対向面ABSから離れた位置に配置され、所定の厚みを有する第1の部分20Aと、第1の部分20Aと媒体対向面ABSとの間に配置され、第1の部分20Aの厚みよりも小さな厚みを有する第2の部分20Bとを有している。そのため、磁極層20の厚みは、媒体対向面ABSに近づくに従って小さくなる。これにより、本実施の形態によれば、隣接トラック消去を防止しながらオーバーライト特性を向上させることができる。
また、本実施の形態では、互いに厚みの異なる第1の部分20Aと第2の部分20Bの境界位置P1が、図7に示した工程においてめっき法によって形成されるめっき層16の媒体対向面ABS側の端部の位置によって決まる。すなわち、電極膜18が磁性材料よりなる場合は、境界位置P1は、めっき層16の媒体対向面ABS側の端部の位置と一致する。電極膜18が非磁性材料よりなる場合は、境界位置P1は、めっき層16の媒体対向面ABS側の端部の位置よりも、電極膜18の厚み分だけ、媒体対向面ABSから遠い位置になる。めっき層16の媒体対向面ABS側の端部の位置は、ドライエッチングによって形成される凹部における底面と側面との境界位置に比べて、精度よく制御することができる。例えば、ドライエッチングによって形成される凹部における底面と側面との境界位置のばらつきが±0.15μm程度であるのに対し、めっき層16の媒体対向面ABS側の端部の位置のばらつきは±0.04μm程度である。従って、本実施の形態によれば、第1の部分20Aと第2の部分20Bの境界位置P1を精度よく決めることができ、その結果、均質な磁気ヘッドを製造することが可能になる。
本実施の形態において、図11に示したように、空間17に面する非磁性層13Cの壁面と非磁性層13Cの上面とによって形成される角部のうち、磁極層20の第1の部分20Aと第2の部分20Bとの境界位置の近傍に配置される部分を、ドライエッチングによって面取りしてもよい。この場合には、第1の部分20Aと第2の部分20Bとの境界位置P1から、この境界位置P1よりも媒体対向面ABSに近い所定の位置P2にかけて、第2の部分20Bの厚みは、媒体対向面ABSに近づくに従って徐々に小さくなる。従って、この場合には、磁極層20を通過する磁束の流れが滑らかになり、よりオーバーライト特性を向上させることができる。
また、本実施の形態において、図22に示したように、媒体対向面ABSに配置された磁極層20の端部の形状を、ギャップ層22側の辺が反対側の辺よりも大きい台形形状としてもよい。この場合には、隣接トラック消去をより確実に防止することができる。
また、本実施の形態において、図3に示したように、磁極層20は、媒体対向面ABSから離れた所定の幅変化位置P3よりも媒体対向面ABSに近い領域では、媒体対向面ABSにおける磁極層20の幅W1と等しい幅を有し、幅変化位置P3よりも媒体対向面ABSから遠い領域では、媒体対向面ABSにおける磁極層20の幅W1よりも大きな幅を有している。これにより、本実施の形態によれば、磁極層20によって、より多くの磁束を効率よく媒体対向面ABS側の端部まで導くことができ、よりオーバーライト特性を向上させることができる。
また、本実施の形態において、磁極層20は、幅変化位置P3と媒体対向面ABSとの間に配置された厚み変化位置P2よりも媒体対向面ABSに近い領域では、媒体対向面ABSにおける磁極層20の厚みT2と等しい厚みを有し、厚み変化位置P2よりも媒体対向面ABSから遠い領域では、媒体対向面ABSにおける磁極層20の厚みT2よりも大きな厚みを有している。本実施の形態によれば、厚み変化位置P2が幅変化位置P3と同じ位置に配置された場合や、厚み変化位置P2が幅変化位置P3よりも媒体対向面ABSから遠い位置に配置された場合に比べて、磁極層20の媒体対向面ABS側の端部より発生される記録磁界のうちの記録媒体の面に対して垂直な方向の成分を大きくすることができる。これにより、本実施の形態によれば、より確実に、隣接トラック消去を防止しながらオーバーライト特性を向上させることができる。
以下、本実施の形態に係るヘッドジンバルアセンブリおよびハードディスク装置について説明する。まず、図26を参照して、ヘッドジンバルアセンブリに含まれるスライダ210について説明する。ハードディスク装置において、スライダ210は、回転駆動される円盤状の記録媒体であるハードディスクに対向するように配置される。このスライダ210は、主に図1における基板1および保護層27からなる基体211を備えている。基体211は、ほぼ六面体形状をなしている。基体211の六面のうちの一面は、ハードディスクに対向するようになっている。この一面には、媒体対向面(エアベアリング面)ABSが形成されている。ハードディスクが図26におけるZ方向に回転すると、ハードディスクとスライダ210との間を通過する空気流によって、スライダ210に、図26におけるY方向の下方に揚力が生じる。スライダ210は、この揚力によってハードディスクの表面から浮上するようになっている。なお、図26におけるX方向は、ハードディスクのトラック横断方向である。スライダ210の空気流出側の端部(図26における左下の端部)の近傍には、本実施の形態に係る磁気ヘッド100が形成されている。
次に、図27を参照して、本実施の形態に係るヘッドジンバルアセンブリ220について説明する。ヘッドジンバルアセンブリ220は、スライダ210と、このスライダ210を弾性的に支持するサスペンション221とを備えている。サスペンション221は、例えばステンレス鋼によって形成された板ばね状のロードビーム222、このロードビーム222の一端部に設けられると共にスライダ210が接合され、スライダ210に適度な自由度を与えるフレクシャ223と、ロードビーム222の他端部に設けられたベースプレート224とを有している。ベースプレート224は、スライダ210をハードディスク262のトラック横断方向Xに移動させるためのアクチュエータのアーム230に取り付けられるようになっている。アクチュエータは、アーム230と、このアーム230を駆動するボイスコイルモータとを有している。フレクシャ223において、スライダ210が取り付けられる部分には、スライダ210の姿勢を一定に保つためのジンバル部が設けられている。
ヘッドジンバルアセンブリ220は、アクチュエータのアーム230に取り付けられる。1つのアーム230にヘッドジンバルアセンブリ220を取り付けたものはヘッドアームアセンブリと呼ばれる。また、複数のアームを有するキャリッジの各アームにヘッドジンバルアセンブリ220を取り付けたものはヘッドスタックアセンブリと呼ばれる。
図27は、ヘッドアームアセンブリの一例を示している。このヘッドアームアセンブリでは、アーム230の一端部にヘッドジンバルアセンブリ220が取り付けられている。アーム230の他端部には、ボイスコイルモータの一部となるコイル231が取り付けられている。アーム230の中間部には、アーム230を回動自在に支持するための軸234に取り付けられる軸受け部233が設けられている。
次に、図28および図29を参照して、ヘッドスタックアセンブリの一例と本実施の形態に係るハードディスク装置について説明する。図28はハードディスク装置の要部を示す説明図、図29はハードディスク装置の平面図である。ヘッドスタックアセンブリ250は、複数のアーム252を有するキャリッジ251を有している。複数のアーム252には、複数のヘッドジンバルアセンブリ220が、互いに間隔を開けて垂直方向に並ぶように取り付けられている。キャリッジ251においてアーム252とは反対側には、ボイスコイルモータの一部となるコイル253が取り付けられている。ヘッドスタックアセンブリ250は、ハードディスク装置に組み込まれる。ハードディスク装置は、スピンドルモータ261に取り付けられた複数枚のハードディスク262を有している。各ハードディスク262毎に、ハードディスク262を挟んで対向するように2つのスライダ210が配置される。また、ボイスコイルモータは、ヘッドスタックアセンブリ250のコイル253を挟んで対向する位置に配置された永久磁石263を有している。
スライダ210を除くヘッドスタックアセンブリ250およびアクチュエータは、本発明における位置決め装置に対応し、スライダ210を支持すると共にハードディスク262に対して位置決めする。
本実施の形態に係るハードディスク装置では、アクチュエータによって、スライダ210をハードディスク262のトラック横断方向に移動させて、スライダ210をハードディスク262に対して位置決めする。スライダ210に含まれる磁気ヘッドは、記録ヘッドによって、ハードディスク262に情報を記録し、再生ヘッドによって、ハードディスク262に記録されている情報を再生する。
[第2の実施の形態]
次に、図30ないし図35を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る磁気ヘッドの製造方法について説明する。図30ないし図35において、(a)は、磁気ヘッドの製造過程における積層体の、媒体対向面の近傍における媒体対向面に平行な断面を示し、(b)は積層体の媒体対向面および基板に垂直な断面を示し、(c)は積層体の上面を示している。なお、図30ないし図35では、基板1および絶縁層2を省略している。
次に、図30ないし図35を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る磁気ヘッドの製造方法について説明する。図30ないし図35において、(a)は、磁気ヘッドの製造過程における積層体の、媒体対向面の近傍における媒体対向面に平行な断面を示し、(b)は積層体の媒体対向面および基板に垂直な断面を示し、(c)は積層体の上面を示している。なお、図30ないし図35では、基板1および絶縁層2を省略している。
本実施の形態に係る磁気ヘッドの製造方法では、図11に示した工程まで、第1の実施の形態と同様である。本実施の形態では、次に、図30に示したように、スパッタ法を用いて、積層体の上面全体の上に、後に磁極層20となる磁性層20Pを形成する。
図31は、次の工程を示す。この工程では、まず、スパッタ法を用いて、積層体の上面全体の上に電極膜31を形成する。この電極膜31は、導電性の材料によって形成される。なお、電極膜31を構成する材料は、磁性材料であってもよいし、非磁性材料であってもよい。次に、フォトリソグラフィ技術によって、電極膜31の上に、フォトレジストよりなるフレーム32を形成する。このフレーム32は、内側に空間を有している。この空間は、磁極層20の平面形状に対応した平面形状を有している。
図32は、次の工程を示す。この工程では、まず、めっき法、特に電気めっき法を用いて、フレーム32の空間内に、めっき層33を形成する。その際、電極膜31には電流が流される。めっき層33の材料は、特に限定されないが、例えばNiFeを用いることができる。次に、フレーム32を除去する。
次に、図33に示したように、めっき層33をマスクとして、イオンミリング、反応性イオンエッチング等のドライエッチングを用いて、電極膜31および磁性層20Pを選択的にエッチングする。このとき、磁性層20Pのうち、媒体対向面ABSから幅変化位置P3までの部分における2つの側壁を、これらの側壁の間隔が、非磁性層13Cに近づくに従って小さくなるように、これらの側壁をエッチングしてもよい。これにより、図22に示したように、媒体対向面ABSに配置された磁極層20の端部の形状を、ギャップ層22側の辺が反対側の辺よりも大きい台形形状とすることができる。
次に、図34に示したように、磁性層20P、電極膜31およびめっき層33よりなる積層体を覆うように、非磁性層21を形成する。非磁性層21は、本発明における第2の非磁性層に対応する。
次に、図35に示したように、例えば化学機械研磨を用いて、磁性層20Pが露出するまで非磁性層21の表面を研磨して、非磁性層21および磁性層20Pの上面を平坦化する。これにより、磁性層20Pは、磁極層20となる。
次に、第1の実施の形態と同様に、図17に示したように、スパッタ法を用いて、磁極層20の上に、所定の形状のギャップ層22を形成する。その後の工程は、第1の実施の形態と同様である。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、実施の形態では、基体側に再生ヘッドを形成し、その上に、記録ヘッドを積層した構造の磁気ヘッドについて説明したが、この積層順序を逆にしてもよい。
3…下部シールド層、4…絶縁層、5…MR素子、6…上部シールド層、7…非磁性層、20…磁極層、20A…第1の部分、20B…第2の部分、22…ギャップ層、24…薄膜コイル、26…記録シールド層。
Claims (19)
- 記録媒体に対向する媒体対向面と、
前記記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生するコイルと、
前記媒体対向面に配置された端部を有し、前記コイルによって発生された磁界に対応する磁束を通過させると共に、垂直磁気記録方式によって前記情報を前記記録媒体に記録するための記録磁界を発生する磁極層と、
前記媒体対向面に配置された端部を有し、前記媒体対向面から離れた位置において前記磁極層に連結されたシールド層と、
非磁性材料よりなり、前記磁極層とシールド層との間に設けられたギャップ層とを備え、
前記媒体対向面において、前記シールド層の前記端部は、前記磁極層の前記端部に対して、所定の間隔を開けて記録媒体の進行方向の前側に配置され、
前記コイルの少なくとも一部は、前記磁極層とシールド層との間に、前記磁極層およびシールド層に対して絶縁された状態で配置され、
前記磁極層は、媒体対向面側の端部が媒体対向面から離れた位置に配置され、所定の厚みを有する第1の部分と、前記第1の部分と媒体対向面との間に配置され、前記第1の部分の厚みよりも小さな厚みを有する第2の部分とを有し、
前記磁極層の、ギャップ層側の面のうち、少なくとも媒体対向面側の一部は実質的に平坦であることを特徴とする垂直磁気記録用磁気ヘッド。 - 前記第1の部分と第2の部分との境界位置から、この境界位置よりも媒体対向面に近い所定の位置にかけて、前記第2の部分の厚みは、媒体対向面に近づくに従って徐々に小さくなることを特徴とする請求項1記載の垂直磁気記録用磁気ヘッド。
- 前記媒体対向面における前記磁極層の前記端部と前記シールド層の前記端部との間隔は、30nm〜60nmの範囲内であることを特徴とする請求項1または2記載の垂直磁気記録用磁気ヘッド。
- 前記媒体対向面に配置された前記シールド層の端部の面積は、前記媒体対向面に配置された前記磁極層の端部の面積よりも大きいことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の垂直磁気記録用磁気ヘッド。
- 前記媒体対向面に配置された前記磁極層の端部の形状は、ギャップ層側の辺が反対側の辺よりも大きい台形形状であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の垂直磁気記録用磁気ヘッド。
- 前記磁極層は、媒体対向面から離れた所定の幅変化位置よりも媒体対向面に近い領域では、媒体対向面における磁極層の幅と等しい幅を有し、前記幅変化位置よりも媒体対向面から遠い領域では、前記媒体対向面における磁極層の幅よりも大きな幅を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の垂直磁気記録用磁気ヘッド。
- 前記磁極層は、前記幅変化位置と媒体対向面との間に配置された厚み変化位置よりも媒体対向面に近い領域では、媒体対向面における磁極層の厚みと等しい厚みを有し、前記厚み変化位置よりも媒体対向面から遠い領域では、媒体対向面における磁極層の厚みよりも大きな厚みを有することを特徴とする請求項6記載の垂直磁気記録用磁気ヘッド。
- 記録媒体に対向する媒体対向面と、
前記記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生するコイルと、
前記媒体対向面に配置された端部を有し、前記コイルによって発生された磁界に対応する磁束を通過させると共に、垂直磁気記録方式によって前記情報を前記記録媒体に記録するための記録磁界を発生する磁極層と、
前記媒体対向面に配置された端部を有し、前記媒体対向面から離れた位置において前記磁極層に連結されたシールド層と、
非磁性材料よりなり、前記磁極層とシールド層との間に設けられたギャップ層とを備え、
前記媒体対向面において、前記シールド層の前記端部は、前記磁極層の前記端部に対して、所定の間隔を開けて記録媒体の進行方向の前側に配置され、
前記コイルの少なくとも一部は、前記磁極層とシールド層との間に、前記磁極層およびシールド層に対して絶縁された状態で配置され、
前記磁極層は、媒体対向面側の端部が媒体対向面から離れた位置に配置され、所定の厚みを有する第1の部分と、前記第1の部分と媒体対向面との間に配置され、前記第1の部分の厚みよりも小さな厚みを有する第2の部分とを有し、
前記磁極層の、ギャップ層側の面のうち、少なくとも媒体対向面側の一部は実質的に平坦である垂直磁気記録用磁気ヘッドを製造する方法であって、
前記磁極層を形成する工程と、
前記磁極層の上に、前記ギャップ層およびコイルを形成する各工程と、
前記ギャップ層の上に前記シールド層を形成する工程とを備えたことを特徴とする垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法。 - 前記磁極層を形成する工程は、
前記第1の部分が配置される領域を含む領域に、めっき法を用いて、前記第1の部分の媒体対向面側の端部の位置を決めるための端部を有するめっき層を形成する工程と、
前記めっき層を覆うように第1の非磁性層を形成する工程と、
前記めっき層が露出するまで前記第1の非磁性層およびめっき層を研磨することによって、前記めっき層に隣接した形状となるように第1の非磁性層をパターニングする工程と、
前記めっき層をエッチングによって除去することによって、第1の非磁性層に隣接し、前記めっき層の形状に対応した形状の空間を形成する工程と、
前記空間内および前記第1の非磁性層の上面上に、前記磁極層の平面形状に対応した平面形状を有する磁性層を形成する工程と、
前記磁性層を覆うように第2の非磁性層を形成する工程と、
前記磁性層が前記磁極層となるように、前記磁性層が露出するまで前記第2の非磁性層および磁性層を研磨する工程と
を含むことを特徴とする請求項8記載の垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法。 - 前記磁極層を形成する工程は、更に、前記空間を形成する工程と前記磁性層を形成する工程との間において、前記空間に面する前記第1の非磁性層の壁面と前記第1の非磁性層の上面とによって形成される角部のうち、前記第1の部分と第2の部分との境界位置の近傍に配置される部分を、ドライエッチングによって面取りする工程を含み、
前記第1の部分と第2の部分との境界位置から、この境界位置よりも媒体対向面に近い所定の位置にかけて、前記第2の部分の厚みは、媒体対向面に近づくに従って徐々に小さくなることを特徴とする請求項9記載の垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法。 - 前記磁性層は、めっき法を用いて形成されることを特徴とする請求項9または10記載の垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法。
- 前記磁性層は、スパッタ法を用いて形成されることを特徴とする請求項9または10記載の垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法。
- 前記媒体対向面における前記磁極層の前記端部と前記シールド層の前記端部との間隔は、30nm〜60nmの範囲内であることを特徴とする請求項8ないし12のいずれかに記載の垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法。
- 前記媒体対向面に配置された前記シールド層の端部の面積は、前記媒体対向面に配置された前記磁極層の端部の面積よりも大きいことを特徴とする請求項8ないし13のいずれかに記載の垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法。
- 前記媒体対向面に配置された前記磁極層の端部の形状は、ギャップ層側の辺が反対側の辺よりも大きい台形形状であることを特徴とする請求項8ないし14のいずれかに記載の垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法。
- 前記磁極層は、媒体対向面から離れた所定の幅変化位置よりも媒体対向面に近い領域では、媒体対向面における磁極層の幅と等しい幅を有し、前記幅変化位置よりも媒体対向面から遠い領域では、前記媒体対向面における磁極層の幅よりも大きな幅を有することを特徴とする請求項8ないし15のいずれかに記載の垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法。
- 前記磁極層は、前記幅変化位置と媒体対向面との間に配置された厚み変化位置よりも媒体対向面に近い領域では、媒体対向面における磁極層の厚みと等しい厚みを有し、前記厚み変化位置よりも媒体対向面から遠い領域では、媒体対向面における磁極層の厚みよりも大きな厚みを有することを特徴とする請求項16記載の垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法。
- 請求項1ないし7のいずれかに記載の垂直磁気記録用磁気ヘッドを含み、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、
前記スライダを弾性的に支持するサスペンションと
を備えたことを特徴とするヘッドジンバルアセンブリ。 - 請求項1ないし7のいずれかに記載の垂直磁気記録用磁気ヘッドを含み、回転駆動される円盤状の記録媒体に対向するように配置されるスライダと、
前記スライダを支持すると共に前記記録媒体に対して位置決めする位置決め装置と
を備えたことを特徴とするハードディスク装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004102121A JP2005285296A (ja) | 2004-03-31 | 2004-03-31 | 垂直磁気記録用磁気ヘッドおよびその製造方法、ヘッドジンバルアセンブリならびにハードディスク装置 |
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JP (1) | JP2005285296A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8233234B2 (en) | 2008-12-23 | 2012-07-31 | Hitachi Global Storage Technologies Netherlands B.V. | Stepped main pole for perpendicular write heads in hard disk drives and method of making same |
-
2004
- 2004-03-31 JP JP2004102121A patent/JP2005285296A/ja not_active Withdrawn
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US8233234B2 (en) | 2008-12-23 | 2012-07-31 | Hitachi Global Storage Technologies Netherlands B.V. | Stepped main pole for perpendicular write heads in hard disk drives and method of making same |
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