JP2005284108A - 液晶表示パネルおよび大型液晶表示装置 - Google Patents

Abstract

【課題】 カイラルネマチック液晶を用いた液晶表示パネルの表示画面を実際の液晶封入領域よりも広く見せることができる液晶表示パネルを提供する。
【解決手段】 シール材３の色を、カイラルネマチック液晶５のプレナー配列の選択反射によって得られる選択反射色と比較して色差が６以下、またはシール材３の色の分光スペクトルのピーク波長と選択反射色の分光スペクトルのピーク波長との差を２０ｎｍ以下とし、シール材３に混入される顔料６の粒径を、両透明基板２のギャップ寸法以下とする。
【選択図】 図２

Description

本発明は、液晶表示パネルおよび大型液晶表示装置に関し、特に一対の基板間に液晶配列がプレナー配列またはフォーカルコニック配列となるカイラルネマチック液晶が挟持された液晶表示パネルおよび前記液晶表示パネルを用いた大型液晶表示装置に関する。

従来より、薄型かつ軽量であり、消費電力も小さい等の理由により、パーソナルコンピュータや携帯情報端末等の表示画面として液晶表示パネルが多用されている。

この液晶表示パネルは、一対の基板の相互に対向する内面に複数の透明電極が設けられており、両基板の内面における周縁部に配設されたシール材によって前記両基板は一体に形成されている。前記シール材としては、主に、エポキシ系の熱硬化樹脂等の樹脂材料に黒色の染料または顔料を含有した黒若しくは灰色系のシール材が用いられている。そして、前記両基板および前記シール材に囲まれた内部には液晶が封入されており、この液晶が封入されている部分が液晶表示パネルにおいて表示を行う表示領域とされている。

また、近年、このような液晶表示パネルの液晶として、カイラルネマチック液晶が利用されるようになっている。

このカイラルネマチック液晶は、ネマチック液晶にカイラル剤（光学活性物質）を添加してなる液晶であり、液晶の配列方向が一定周期ごとに回転する螺旋構造になっている。

カイラルネマチック液晶は、カイラルネマチック液晶の螺旋軸が両基板に対してほぼ垂直な配列であるプレナー配列であるとき、その螺旋軸のねじれの向きに対応する特定の波長の光を反射するようになっており、このプレナー配列において特定の波長の光を反射する現象を選択反射と呼ぶ。一方、カイラルネマチック液晶の螺旋軸が両基板に対してランダムな方向または非垂直方向であるフォーカルコニック配列であるときは、液晶は全体として弱い散乱状態を示し、特定の波長の光を反射することなく光を透過させるようになっている。

そして、カイラルネマチック液晶を用いたカイラルネマチック液晶表示パネルにおいては、各透明電極を介してカイラルネマチック液晶に電圧を印加して、カイラルネマチック液晶のプレナー配列とフォーカルコニック配列とを切り換えることができるようになっており、任意のカイラルネマチック液晶をプレナー配列として選択反射を起こさせ、フォーカルコニック配列の部分において光を散乱させることにより、所望の表示を行っている（例えば、特許文献１および２参照）。

このようなカイラルネマチック液晶表示パネルによれば、カイラルネマチック液晶のプレナー配列およびフォーカルコニック配列を切り換えることによって表示を行うことができる。このため、液晶表示パネルに照射光を照射するためのバックライトや、所定の偏光方向の光を透過させまたは遮断するための偏光板を用いずに所望の表示が可能であり、これにより、特に一層の薄型化や消費電力の低下が望まれる携帯情報端末等において、カイラルネマチック液晶表示パネルの利用が注目されている。

ここで、偏光板を用いて所定の偏光方向の光を透過しまたは遮断させることにより表示を行う液晶表示パネルは、シール材の部分も偏光板を通して視認されるので、シール材の部分は黒色または透過色となる。そこで、例えばネガ表示型の液晶表示パネルにおいて黒色のシール材を用いることによりシール内側の液晶封入領域とシール材の配置領域との境界を不明瞭とすることができる。

しかし、前述のように偏光板を用いないカイラルネマチック液晶表示パネルにおいては、黒色または灰色等のシール材は液晶封入領域の色と異なる色であるので、図６に示すように、液晶封入領域とシール材１１の配置領域との境界が明瞭となってしまう。例えば、カイラルネマチック液晶表示パネル１２を表示画面として利用する際にシール材１１の配置領域が見えてしまうと、液晶封入領域の境界線が明確に認識されてしまい、見栄えが悪く、表示画面が狭く見えてしまうこととなる。そこで、カイラルネマチック液晶表示パネル１２を表示装置に実装する場合には、シール材１１の配置領域は非表示領域として隠さなければならなかった。

特開平２００２−１０７７１３号公報 特開２００３−２９５２２３号公報

本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、カイラルネマチック液晶を用いた液晶表示パネルであって、表示画面を実際の液晶封入領域よりも広く見せることのできる液晶表示パネルおよび大型液晶表示装置を提供することを目的とする。

前記目的を達成するため、請求項１に記載の発明に係る液晶表示パネルの特徴は、一対の基板の対向する内面に配設されたシール材によって前記両基板が一体に形成され、前記両基板および前記シール材に囲まれた内部に、印加電圧により液晶配列がプレナー配列またはフォーカルコニック配列となるカイラルネマチック液晶が封入されている液晶表示パネルにおいて、前記シール材の色は、前記プレナー配列時の選択反射によって得られる選択反射色と比較して色差が６以下、または前記シール材の色の分光スペクトルのピーク波長と前記選択反射色の分光スペクトルのピーク波長との差が２０ｎｍ以下とされている点にある。

ここで、色差とは、２つの色の違いを表す数値であり、詳しくはＣＩＥ１９７６Ｌ＊ａ＊ｂ＊色空間の中において位置づけられる２つの色座標間の直線距離ΔＥ＊ａｂをいう。

この請求項１に記載の発明によれば、シール材の色を、選択反射色と比較して色差が６以下、またはシール材の色の分光スペクトルのピーク波長と前記選択反射色の分光スペクトルのピーク波長との差を２０ｎｍ以下とするので、液晶封入領域における選択反射の色と近似の色とすることができ、液晶封入領域とシール材の配置領域との境界を不明瞭にすることができる。

また、請求項２に記載の発明に係る液晶表示パネルの特徴は、前記シール材に顔料または染料が混入されており、前記顔料または前記染料の粒径が、前記両基板のギャップ寸法以下である点にある。

この請求項２に記載の発明によれば、両基板の間において前記顔料または染料の粒子を均等に配置させることができ、シール材を全体的に均一な色彩にすることができる。

さらに、請求項３に記載の発明に係る大型液晶表示装置の特徴は、請求項１または２に記載の液晶表示パネルを平面上において複数個並列配置させることにより構成されている点にある。

この請求項３に記載の発明によれば、各液晶表示パネルにおける液晶封入領域とシール材の配置領域との境界を不明瞭にすることができるとともに、各液晶表示パネル同士の隣接部も目立たなくすることができる。

以上述べたように、本発明に係る各液晶表示パネルによれば、液晶封入領域とシール材の配置領域との境界線を認識しづらくなるので、液晶表示パネルを表示画面として液晶表示装置に実装する場合に、シール材の配置領域が見えても見栄えが悪いことはなく、かえってシール材の配置領域を見せることにより表示画面を実際よりも広く見せることができる。

また本発明に係る大型液晶表示装置によれば、各液晶表示パネルにおいてシール材の配置領域と液晶封入領域との境界が認識しづらく、各液晶表示パネルの隣接部も目立たないので、シール材の配置領域および各液晶表示パネルの隣接部が見えても見栄えが悪いことはなく、かえって各液晶表示パネルの隣接部を見せることにより表示画面を広く見せることができる。

以下、本発明に係る液晶表示パネルの一実施形態を図１から図６を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。ここで、本実施形態においては偏光板を用いない反射型の液晶表示パネルとして、カイラルネマチック液晶を利用した液晶表示パネルを用いて説明する。

図１は、本実施形態に係る液晶表示パネルを示す模式的断面図である。

図１に示すように、本実施形態の液晶表示パネル１は一対の透明基板２を有し、両透明基板２の相互に対向する内面には、ＩＴＯ（Indium Tin Oxide：インジウムスズ酸化物）等からなる複数の透明電極４が設けられている。

両透明基板２の内面における周縁部には、シール材３が配設され、このシール材３により両透明基板２は貼り合わされて一体に形成されており、前記シール材３は、両透明基板２が貼り合わされた後、図２に示すように、前記両透明基板２の各端縁２ａに至るように配置されていることが好ましい。

両透明基板２およびシール材３に囲まれた内部には、液晶としてカイラルネマチック液晶５が封入されており、このカイラルネマチック液晶５は、ネマチック液晶にカイラル剤を添加して構成されている。このカイラルネマチック液晶５は、プレナー配列であるときは、特定波長の光を選択反射し、フォーカルコニック配列であるときは、光が散乱するようになっており、各透明電極４を介して電圧が印加されることにより、プレナー配列とフォーカルコニック配列とが切り換えられるようになっている。

なお、このカイラルネマチック液晶５がプレナー配列の際の選択反射によって液晶表示パネル１において表示される選択反射色は、両透明基板２のギャップ寸法と、カイラルネマチック液晶５が螺旋軸上において１回転する間の距離である液晶ピッチとを調整することにより、任意の色に設定することが可能である。

そして、液晶表示パネル１におけるカイラルネマチック液晶５が封入されている部分は、液晶表示パネル１において表示領域を含む液晶封入領域とされている。

また、前述のシール材３は、シール材３の色が液晶封入領域における前記選択反射色と近似の色、すなわち、本発明においては、シール材３の色の前記選択反射色との色差が６以下の色、あるいは、図３に示すように、シール材３の色の分光スペクトルにおけるピーク波長と選択反射色の分光スペクトルにおけるピーク波長との差が２０ｎｍ以下の色となるように形成されている。

具体的には、例えば液晶表示パネル１に用いられるシール材３の重量に対して３〜１０ｗｔ％以内の任意の色の顔料６を混合させて、シール材３を選択反射色に近い色、好ましくは同系統の色にする。なお、このシール材３を選択反射色に近い色にするために、染料を混合させてもよい。このシール材３に混合される顔料６または染料は、両透明基板２のギャップ寸法を考慮し、前記ギャップ寸法以下の粒径の顔料６等を使用することが好ましい。

また、液晶表示パネル１の背面側に任意の色の光吸収層８を設けることにより、カイラルネマチック液晶５をフォーカルコニック配列とすると、フォーカルコニック配列の部分において光が散乱し、表示画面において光吸収層８の色の表示を得ることができる。

そして、液晶表示パネル１は、カイラルネマチック液晶５のプレナー配列の部分における選択反射色を背景色とし、カイラルネマチック液晶５をフォーカルコニック配列として光を散乱させて得られる光吸収層８の色を表示色とし、所望の表示を行うようになっている。

次に本実施形態の作用について説明する。

本実施形態によれば、シール材３の色を液晶封入領域における選択反射の色、すなわち背景色と近似の色とするので、液晶封入領域とシール材３の配置領域との境界を不明瞭にすることができる。

したがって、液晶封入領域とシール材３の配置領域との境界線を認識しづらくすることができるので、本液晶表示パネル１を表示画面として表示装置に実装する場合に、シール材３の配置領域が見えても見栄えが悪いことはなく、かえってシール材３の配置領域を見せることにより表示画面を実際よりも広く見せることができる。

また、図４に示すように、本実施形態に係る複数の液晶表示パネル１を平面上において例えば２列３行に並列配置させて表示を行う大型液晶表示装置１０においても、シール材３の配置領域と表示領域との境界が認識しづらく、各液晶表示パネル１同士の隣接部も目立たなくすることができる。これにより、シール材３の配置領域および各液晶表示パネル１の隣接部が見えても見栄えが悪いことはなく、かえって各液晶表示パネル１の隣接部を見せることにより表示画面を広く見せることができる。

さらに、シール材３を着色するための顔料６または染料の粒径を、両透明基板２のギャップ寸法以下とすることにより、両透明基板２の間において前記顔料６または染料の粒子を均等に配置させることができ、シール材３を全体的に均一な色にすることができる。

なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。

例えば、本実施形態においては、シール材３が両透明基板２の各端部に至るように配置されているが、これに限定されず、図６に示すように、両透明基板２の端部近傍に配置されるものであればよい。

本発明に係る液晶表示パネルを示す模式的断面図 図１の液晶表示パネルにおける液晶封入領域とシール材の配置領域との境界を示す模式的拡大図 図１の液晶表示パネルにおける選択反射色およびシール材の色の分光スペクトルを示すグラフ 図１の液晶表示パネルを平面上において複数個並列配置させて構成した大型の表示画面を示す模式的平面図 本発明に係る液晶表示パネルの他の実施形態における液晶封入領域とシール材の配置領域との境界を示す模式的拡大図 従来のカイラルネマチック液晶表示パネルにおける液晶封入領域とシール材の配置領域との境界を示す模式的平面図

符号の説明

１ 液晶表示パネル
２ 透明基板
２ａ 透明基板の端縁
３ シール材
５ カイラルネマチック液晶
６ 顔料
８ 光吸収層

Claims (3)

1. 一対の基板の対向する内面に配設されたシール材によって前記両基板が一体に形成され、前記両基板および前記シール材に囲まれた内部に、印加電圧により液晶配列がプレナー配列またはフォーカルコニック配列となるカイラルネマチック液晶が封入されている液晶表示パネルにおいて、
   前記シール材の色は、前記プレナー配列時の選択反射によって得られる選択反射色と比較して色差が６以下、または前記シール材の色の分光スペクトルのピーク波長と前記選択反射色の分光スペクトルのピーク波長との差が２０ｎｍ以下とされていることを特徴とする液晶表示パネル。
2. 前記シール材に顔料または染料が混入されており、前記顔料または前記染料の粒径が、前記両基板のギャップ寸法以下である請求項１に記載の液晶表示パネル。
3. 請求項１または２に記載の液晶表示パネルを平面上において複数個並列配置させることにより構成されていることを特徴とする大型液晶表示装置。