JP2005283567A - プロテインチップ - Google Patents

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Abstract

【課題】タンパク質をその活性を保った状態で基板上に固定できるプロテインチップ技術を提供する。
【解決手段】基板1上に水を含浸したバクテリアセルロース(BC)層を形成し、BC層上に脂質二重層51を形成し、脂質二重層51にタンパク質(プローブ生体分子)52を埋め込む。細胞膜に相当する脂質二重層51が水を含んだBCによって支えられているため、生体内と似た状態で細胞膜構成物質の研究を行うことができる。BCとしてナタデココを使用する。BCの代わりにホヤセルロースを用いることも可能である。
【選択図】図28

Description

本発明は、プローブ生体分子と生体由来のターゲット分子との相互作用を観察することによりターゲット分子の同定や解析等を行う技術に関し、特に、タンパク質をプローブとして少なくとも一部に保持したプロテインチップとそれを製造するための技術に関する。
ヒト・ゲノムシーケンスの解読が終了し、加えてDNAチップ技術(マイクロアレイ法)が普及したことに伴い、ゲノムDNAの発現解析が急速に推し進められ、大量のゲノム情報が蓄積されつつある。
しかし、生体内において、細胞の機能はタンパク質が他のタンパク質や低分子、DNAなどと相互作用したり、リン酸化などの翻訳後修飾を受けたりすることにより調節・維持されているので、直接的に細胞機能にかかわるタンパク質を解析することが必須である。
4種類の塩基から構成されるDNAとは異なり、タンパク質は20種類のアミノ酸から構成され、1次構造から4次構造までの高次構造を有するため、高次構造まで含めたその存在種は膨大な数にのぼる。
また、DNAにおけるPCRのようなタンパク質増幅方法がなく、発現量の少ない制御タンパク質などを高感度に検出するのは難しいため、異なる幾つかの分析手法を組み合わせて用いる必要があり、各手法にも熟練を要する操作が要求されるなど、タンパク質の研究は労力と時間を要するものである。そこで、生体内で発現しているタンパク質を短時間で同定し、または相互作用を解析するハイスループットシステムの開発が切望されている。
このような背景のもと、網羅的解析が可能であるDNAチップ技術の利点を、プロテオーム解析に応用することが試みられている。そのひとつとしてプロテインチップ(プロテインアレイとも呼ばれる)を用いた解析方法がある。
プロテインチップには大きく分けて2つのタイプがある。1番目のタイプは、基板表面に化学処理を施したもの、すなわち基板表面に疎水性やイオン交換性、金属イオンなどを導入して性質の異なる多数のスポットを形成し、これらのスポットへのタンパク質の物理化学的親和性の違いを利用して、タンパク質の発現解析や同定、精製に用いられる、ケミカルチップと呼ばれるものである。2番目のタイプは、タンパク質や抗体、DNAなど生体分子を基板表面に固定し、タンパク質の生化学的親和性を利用して、相互作用するタンパク質やリガンドを探索するバイオロジカルチップである。
プロテインチップを用いた解析では、このような化学的もしくは生化学的修飾が施された多数のスポットにタンパク質を反応させた後、親和性を示さないタンパク質やその他の夾雑物を洗浄により取り除き、TOF−MS(Time OF Flight-mass Spectrometer、飛行時間型質量分析計)により、スポットに捕捉されたタンパク質の正確な分子量を測定することができる。
プロテインチップは、多種・大量試料のタンパク質の発現解析や相互作用解析、さらには精製や同定、機能解析などへも応用が可能であり、プロテオーム解析を加速するためのプラットホーム技術として期待されている。また、糖鎖の機能解析や細胞機能解析を目的とした、糖鎖チップや細胞チップの研究も進められており、ポストゲノム研究を支えるチップ技術として注目されている(非特許文献1)。
しかし、DNAチップ技術をプロテインチップにそのまま転用することはできない。DNAチップは乾燥した基板上にDNAやRNAを固定したものであるが、大多数のタンパク質は水溶液中でしか機能せず、乾燥した瞬間にその高次構造(立体構造)が損なわれてしまう。しかもタンパク質は一旦乾燥してしまったら水を与えても元に戻らない。このため、タンパク質をその本来の高次構造を保ったまま乾燥させて基板上に固定することはできない。この点がDNAとは大きく異なる。
このような背景から、ペプチドやタンパク質を超分子ヒドロゲルでソフトに包み込んで活性を保ちつつ基板上に固定するセミウエットデバイス技術が開発された。この技術では、まず超分子ヒドロゲル化剤を緩衝溶液に加熱して溶かし、ガラスなどの基板上にスポットして冷やすことにより、ヒドロゲルのアレイを作る。そこにペプチドやタンパク質を打ち込んで、ペプチドやタンパク質のセミウエットアレイとする。この技術によれば、ペプチドやタンパク質が並んだアレイを簡単に作成することができる(非特許文献2)。
また、タンパク質を含んだ脂質二重層を含水緩衝材の上に置くことにより、タンパク質を活性状態に保持することを可能にしたラボオンアチップ(lab-on-a-chip)デバイス技術が開発された。従来、この技術では、50%から98%まで空隙率が調整可能な多孔質シリカからなる新規なエアロゲルを緩衝剤に用いる。この技術によれば、多孔質シリカの孔が生理的緩衝液で満たされてできる坦体が細胞体と同様、脂質二重層(細胞膜に相当する)を支えるため、生体内と似た状態で細胞膜構成物質の研究を行うことが可能になる(非特許文献3、非特許文献4)。
川合 知二監修、「ナノテクノロジー大辞典」、工業調査会、2003年12月25日、p853−854 浜地 格、他2名、超分子ヒドロゲルを利用したセミウエット型ペプチド/プロテインの開発、「Bioベンチャー]、羊土社、2004年4月20日、Vol.4No.3、p42−43 橋本 明子(翻訳)、「エアロゲルが実現する次世代型ラボチップやモデル細胞膜(米国)」、NEDO海外レポート、2004年4月14日、NO.929、p33−35、インターネット(URL:http://www.nedo.go.jp/kankoubutsu/report/929/929.pdf) Dawn Levy, "Aerogels may spawn life-like lab-on-a-chip devices and better model membranes",Stanford University -News Release-,March 12,2004,インターネット(URL:http://www.stanford.edu/dept/news/pr/04/aerogel317.html)
本発明が解決しようとする課題は、以下のとおりである。
課題1:ペプチドやタンパク質の保持媒体(マトリクス)として、超分子ヒドロゲル化剤を使用することなく、ペプチドやタンパク質をその活性を保った状態で基板上に保持し得るプロテインチップ技術を提供する。
課題2:タンパク質を含んだ脂質二重膜を支持するための緩衝材として、多孔質シリカを使用することなく、タンパク質をその活性を保った状態で基板上に保持し得るプロテインチップ技術を提供する。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明にかかる第1の製造方法は、基板上にバクテリアセルロース層を形成する工程と、前記バクテリアセルロース層を整然と並んだアレイ要素からなるバクテリアセルロースアレイに加工する工程と、互いに隣接する前記アレイ要素間の基板表面を疎水処理する工程と、タンパク質(プローブ生体分子)を含む水溶液を前記アレイ要素に含浸させる(滴下する、スポットする)工程と、を含む。
本発明にかかる第2の製造方法は、バクテリアセルロースのシートを整然と並んだアレイ要素からなるバクテリアセルロースアレイに加工する工程と、前記バクテリアセルロースアレイを基板上に固定する工程と、互いに隣接する前記アレイ要素間の基板表面を疎水処理する工程と、タンパク質(プローブ生体分子)を含む水溶液を前記アレイ要素に含浸させる工程と、を含む。
本発明にかかる第3の製造方法は、基板上に水を含浸したバクテリアセルロース層を形成する工程と、前記バクテリアセルロース層上に脂質二重層を形成する工程と、前記脂質二重層にタンパク質(プローブ生体分子)を埋め込む工程と、を含む。
本発明にかかる第4の製造方法は、基板上にバクテリアセルロース層を形成する工程と、前記バクテリアセルロース層を整然と並んだアレイ要素からなるバクテリアセルロースアレイに加工する工程と、前記アレイ要素上に脂質二重層を形成する工程と、前記脂質二重層にタンパク質を埋め込む工程と、を含む。この場合も、更に、互いに隣接するアレイ要素間の基板表面を疎水処理する工程を含むことが望ましい。
本発明にかかる第5の製造方法は、バクテリアセルロースのシートを整然と並んだアレイ要素からなるバクテリアセルロースアレイに加工する工程と、前記バクテリアセルロースアレイを基板上に固定する工程と、前記アレイ要素上に脂質二重層を形成する工程と、前記脂質二重層にタンパク質(プローブ生体分子)を埋め込む工程と、を含む。この場合も、更に、互いに隣接するアレイ要素間の基板表面を疎水処理する工程を含むことが望ましい。
本発明にかかる第1のプロテインチップは、タンパク質(プローブ生体分子)を含む水溶液を含浸したバクテリアセルロースからなるプローブセルを基板上に整然と並べて固定するとともに、互いに隣接するプローブセル間の基板表面を疎水処理してなる。
本発明にかかる第2のプロテインチップは、水を含浸したバクテリアセルロースからなるアレイ要素を基板上に整然と並べて固定するとともに、タンパク質(プローブ生体分子)を埋め込んだ脂質二重層を各アレイ要素上に形成してなる。この場合も、互いに隣接するアレイ要素間の基板表面を疎水処理しておくことが望ましい。
本発明の第1のプロテインチップ作成用プレートは、水(タンパク質を含む水溶液を除く)を含浸したバクテリアセルロースまたは水を含浸する前のバクテリアセルロースを基板上に固定してなる。
本発明の第1のタンパク質保持方法は、タンパク質を埋め込んだ脂質二重層を、含水状態のバクテリアセルロース上に形成することを特徴としている。
本発明にかかる第6の製造方法は、基板上にホヤセルロース層を形成する工程と、前記ホヤセルロース層を整然と並んだアレイ要素からなるホヤセルロースアレイに加工する工程と、互いに隣接する前記アレイ要素間の基板表面を疎水処理する工程と、タンパク質(プローブ生体分子)を含む水溶液を前記アレイ要素に含浸させる(滴下する、スポットする)工程と、を含む。
本発明にかかる第7の製造方法は、ホヤセルロースのシートを整然と並んだアレイ要素からなるホヤセルロースアレイに加工する工程と、前記ホヤセルロースアレイを基板上に固定する工程と、互いに隣接する前記アレイ要素間の基板表面を疎水処理する工程と、タンパク質(プローブ生体分子)を含む水溶液を前記アレイ要素に含浸させる工程と、を含む。
本発明にかかる第8の製造方法は、基板上にホヤセルロース層を形成する工程と、タンパク質(プローブ生体分子)を含む水溶液を前記ホヤセルロース層上に整然と並べてスポットする工程と、を含む。
本発明にかかる第9の製造方法は、基板上に水を含浸したホヤセルロース層を形成する工程と、前記ホヤセルロース層上に脂質二重層を形成する工程と、前記脂質二重層にタンパク質(プローブ生体分子)を埋め込む工程と、を含む。
本発明にかかる第10の製造方法は、基板上にホヤセルロース層を形成する工程と、前記ホヤセルロース層を整然と並んだアレイ要素からなるホヤセルロースアレイに加工する工程と、前記アレイ要素上に脂質二重層を形成する工程と、前記脂質二重層にタンパク質を埋め込む工程と、を含む。この場合も、更に、互いに隣接するアレイ要素間の基板表面を疎水処理する工程を含むことが望ましい。
本発明にかかる第11の製造方法は、ホヤセルロースのシートを整然と並んだアレイ要素からなるホヤセルロースアレイに加工する工程と、前記ホヤセルロースアレイを基板上に固定する工程と、前記アレイ要素上に脂質二重層を形成する工程と、前記脂質二重層にタンパク質(プローブ生体分子)を埋め込む工程と、を含む。この場合も、更に、互いに隣接するアレイ要素間の基板表面を疎水処理する工程を含むことが望ましい。
本発明にかかる第3のプロテインチップは、タンパク質(プローブ生体分子)を含む水溶液を含浸したホヤセルロースからなるプローブセルを基板上に整然と並べて固定するとともに、互いに隣接するプローブセル間の基板表面を疎水処理してなる。
本発明にかかる第4のプロテインチップは、水を含浸したホヤセルロースからなるアレイ要素を基板上に整然と並べて固定するとともに、タンパク質(プローブ生体分子)を埋め込んだ脂質二重層を各アレイ要素上に形成してなる。この場合も、互いに隣接するアレイ要素間の基板表面を疎水処理しておくことが望ましい。
本発明の第2のプロテインチップ作成用プレートは、水(タンパク質を含む水溶液を除く)を含浸したホヤセルロースまたは水を含浸する前のホヤセルロースを基板上に固定してなる。
本発明の第2のタンパク質保持方法は、タンパク質を埋め込んだ脂質二重層を、含水状態のホヤセルロース上に形成することを特徴としている。
本発明にかかる第12の製造方法は、バクテリアセルロースまたはホヤセルロースをタンパク質を含む水溶液中に浸漬することにより、タンパク質を含む水溶液を含浸したセルロースを作成する工程と、当該セルロースからなるセルロース層を基板上に固定する工程と、を含む。
本発明にかかる第13の製造方法は、バクテリアセルロースまたはホヤセルロースをタンパク質を含む水溶液中に浸漬することにより、タンパク質を含む水溶液を含浸したセルロースを作成する工程と、当該セルロースからなるセルロース層を基板上に固定する工程と、前記セルロース層を整然と並んだプローブセルからなるプローブセルアレイに加工する工程と、を含む。この場合も、互いに隣接するプローブセル間の基板表面を疎水処理しておくことが望ましい。
本発明にかかる第14の製造方法は、バクテリアセルロースまたはホヤセルロースをタンパク質を含む水溶液中に浸漬することにより、タンパク質を含む水溶液を含浸したセルロースを作成する工程と、当該セルロースからなるプローブセルを基板上に整然と並べて固定する工程と、を含む。この場合も、互いに隣接するプローブセル間の基板表面を疎水処理しておくことが望ましい。
[課題を解決するための手段の補足説明1]
バクテリアセルロースは、セルロース成分に対して数倍〜数百倍の重量の水分を保持できる。バクテリアセルロースは、三次元的に複雑に張り巡らされたフィブリルのネットを骨格として持つ。水分を含んだバクテリアセルロースは、その水分の大部分をフィブリルネットの網目内に保持する。タンパク質を含む水溶液をバクテリアセルロースに含浸させると、その水溶液の大部分はフィブリルネットの網目内に保持される。水溶液内のタンパク質は、フィブリルネットの網目内を充たす水溶液中に浮遊しているため、そのタンパク質本来の高次構造を保つ。
したがって、本発明の製造方法によれば、バクテリアセルロース層を基板上に形成し、そのバクテリアセルロース層を整然と並んだアレイ要素からなるバクテリアセルロースアレイに加工し、タンパク質を含む水溶液を各アレイ要素に含浸させることにより、タンパク質をその活性を保ちつつ基板上に整然と並べて固定することができる。
また、本発明の製造方法によれば、バクテリアセルロースのシートを整然と並んだアレイ要素からなるバクテリアセルロースアレイに加工し、そのバクテリアセルロースアレイを基板上に固定し、互いに隣接するアレイ要素間の基板表面を疎水処理し、タンパク質を含む水溶液をアレイ要素に含浸させることにより、タンパク質をその活性を保ちつつ基板上に整然と並べて固定することができる。
また、本発明の製造方法によれば、バクテリアセルロースをタンパク質を含む水溶液中に浸漬することにより、タンパク質を含む水溶液を含浸したセルロースを作成し、当該セルロースからなるセルロース層を基板上に固定することにより、タンパク質をその活性を保ちつつ基板上に固定することができる。
また、本発明の製造方法によれば、バクテリアセルロースをタンパク質を含む水溶液中に浸漬することにより、タンパク質を含む水溶液を含浸したセルロースを作成し、当該セルロースからなるセルロース層を基板上に固定し、当該セルロース層を整然と並んだプローブセルからなるプローブセルアレイに加工することにより、タンパク質をその活性を保ちつつ基板上に整然と並べて固定することができる。
また、本発明の製造方法によれば、バクテリアセルロースをタンパク質を含む水溶液中に浸漬することにより、タンパク質を含む水溶液を含浸したセルロースを作成し、当該セルロースからなるプローブセルを基板上に整然と並べて固定することにより、タンパク質をその活性を保ちつつ基板上に整然と並べて固定することができる。
また、互いに隣接するアレイ要素(プローブセル)間の基板表面を疎水処理するようにしたため、互いに隣接するアレイ要素(プローブセル)に含まれている水溶液同士が基板表面を伝って移動し混ざり合うのを防止することができる。
なお、タンパク質の本来の高次構造が保たれるならば、タンパク質を完全に自由に浮遊できる状態にしておく必要はない。すなわち、タンパク質をバクテリアセルロースのフィブリルに繋ぎ止めておくことも有効である。そのための方法として、バクテリアセルロース中のヒドロキシル基とタンパク質中の官能基とを何らかの酵素で触媒して互いに結合させる方法、バクテリアセルロース中のヒドロキシル基をまず何らかのスペーサ物質に変換し、そのスペーサ物質とタンパク質中の官能基とを互いに結合させる方法、等を挙げることができる。また、使用するタンパク質の立体構造に悪影響を及ぼさないならば、バクテリアセルロース内の親水環境を疎水環境に変換することも可能である。
[課題を解決するための手段の補足説明2]
タンパク質を脂質二重層に埋め込むと、タンパク質が自然に存在している場所である細胞膜に似た非常に快適な環境となる(図32参照)。そして、タンパク質を埋め込んだ脂質二重層をウォーターベッドのような水を含んだバクテリアセルロースの上に置くことで、タンパク質は自然のままの形状と機能を保持できる。
したがって、本発明の製造方法およびプロテインチップによれば、基板上に水を含んだバクテリアセルロース層を形成し、そのバクテリアセルロース層上に脂質二重層を形成し、その脂質二重層にタンパク質を埋め込むことにより、タンパク質をその活性を保った状態で基板上に固定することができる。
また、本発明の製造方法およびプロテインチップによれば、基板上にバクテリアセルロース層を形成し、そのバクテリアセルロース層を整然と並んだアレイ要素からなるバクテリアセルロースアレイに加工し、各アレイ要素上に脂質二重層を形成し、各脂質二重層にタンパク質を埋め込むことにより、タンパク質をその活性を保った状態で基板上に整然と並べて固定することができる。
また、本発明の製造方法およびプロテインチップによれば、バクテリアセルロースのシートを整然と並んだアレイ要素からなるバクテリアセルロースアレイに加工し、そのバクテリアセルロースアレイを基板上に固定し、各アレイ要素上に脂質二重層を形成し、各脂質二重層にタンパク質を埋め込むことにより、タンパク質をその活性を保った状態で基板上に整然と並べて固定することができる。
[課題を解決するための手段の補足説明3]
「整然と並んだ」とは、ライン状、マトリクス状、ハニカム状といった一定の整列状態に規則正しく並んでいることを表している。バクテリアセルロース層のアレイ要素やプローブセルが一定の整列状態に規則正しく並んでいることにより、プローブセル(アレイ要素)のアドレッシングやプローブ生体分子水溶液の自動スポッティングが可能となる。ホヤセルロース層のアレイ要素やプローブセルが一定の整列状態に規則正しく並んでいることにより、プローブセル(アレイ要素)のアドレッシングやプローブ生体分子水溶液の自動スポッティングが可能となる。
[課題を解決するための手段の補足説明4]
本発明で使用するバクテリアセルロースとしてはナタデココが最適である。ナタデココは、食べることができるほど無害な素材である。ナタデココは、高い形状保持性能(強いコシ)を有している。ナタデココは、薄くスライスしたり細かくカットしたりするといった加工が容易である。ナタデココは、無菌状態に保てば長期保存も可能である。ナタデココは、特別な生産設備を必要とせずに常温で簡単に培養できるので、生産コストが安い。ナタデココは、天然セルロースであるので自然環境に優しい。
バクテリアセルロースは、天然のセルロース生産菌によって生産されたセルロースである。セルロース生産菌の例として、アセトバクター アセトサム(Acetobactor acetosum)、アセトバクター キシリナム(Acetobactor xylinum)、アセトバクター パスツリアヌム(Acetobactor pasterianum)、アセトバクター ランセンス(Acetobactor rancens)等の酢酸菌、サルシナ ベントキュリ(Sarcina ventriculi)、バクテリウム キシロイデス(Bacterium xyloides)、シュードモナス(Pseudomonas)属菌、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属菌等を挙げることができる。本発明で使用するバクテリアセルロースの生産菌としては、Acetobactor aceti var. xylinumが最も好ましい。Acetobactor aceti var. xylinumは、ナタと呼ばれる繊維質厚膜の生産菌としてフィリピン等で古くから利用されてきたバクテリアである。
バクテリアセルロース層を基板上に形成する方法は幾つかある。その一例として、培養槽から取り出したバクテリアセルロース(ナタ)をシート状にスライスして基板に貼り付ける方法を挙げることができる。その際、バクテリアセルロース内に存在している生産菌由来のタンパク質やDNAなどは適切な処理剤を使用して除去しておくことが望ましい。バクテリアセルロース・シートは、乾燥させてからガラスなどの基板に貼り付けてもよいし、湿った状態のまま基板に貼り付けてもよい。貼り付けた基板上でバクテリアセルロース・シートを乾燥させてもよい。
バクテリアセルロースを乾燥させる場合には、セルロース内のフィブリル同士の癒着を防止することが望ましい。その最も効果的な方法として、超臨界乾燥を挙げることができる。また、バクテリアセルロースの水懸濁液を凍結乾燥や溶剤置換乾燥することによって、乾燥時にフィブリル間に水素結合に由来する結合を生じさせないようにする方法も有効である。さらに、バクテリアセルロースを含有する水性懸濁液に水以外の第3成分を加えた後に脱水乾燥する方法(特開平09−165402)や、撹拌培養により製造されたバクテリアセルロースを緊張下で脱水乾燥し、得られたバクテリアセルロースを離解処理する方法(WO97/48730)などもある。
バクテリアセルロース層を基板上に形成する別の方法として、バクテリアセルロースを基板上で直接培養する方法がある。基板にセルロース材料等の生体高分子を用い、その基板表面にセルロース生産菌に対して親和性を持つ物質からなるレールを形成しておけば、セルロース生産菌が当該レールに沿って走行しつつフィブリルを産生するため、配向性の高いセルロース膜を形成することができる。また、基板表面に多数のピット(小さな窪み(pit)、井戸(well))を整然と並べて形成しておき、各ピット内でバクテリアセルロースを直接培養してもよい。
バクテリアセルロース層を整然と並んだアレイ要素からなるバクテリアセルロースアレイに加工する方法は幾つかある。たとえば、基板に貼り付けたシート状のバクテリアセルロースをレーザビーム等を使用してアレイ要素に切断・分割する方法を挙げることができる。基板に貼り付けたバクテリアセルロースをレーザビームで切断することにより、微細且つ精密に加工することができる。また、シート状のバクテリアセルロースを基板とは別の場所でアレイ要素に分割してから基板に貼り付けてもよい。
[課題を解決するための手段の補足説明5]
基板表面を疎水処理する方法として、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、フッ化グラファイト、等)やシリコン化合物(フルオロアルキルシラン化合物、アルキルシロキサン化合物、等)の撥水性或いは疎水性を示す物質で被覆する方法、紫外線を照射することにより疎水化する方法、RFプラズマエッチング等により微細な凹凸を形成して超撥水化する方法、等を挙げることができる。
[課題を解決するための手段の補足説明6]
ホヤセルロースは、セルロース成分に対して数倍〜数百倍の重量の水分を保持できる。ホヤセルロースは、三次元的に複雑に張り巡らされたフィブリルのネットを骨格として持つ。水分を含んだホヤセルロースは、その水分の大部分をフィブリルネットの網目内に保持する。タンパク質を含む水溶液をホヤセルロースに含浸させると、その水溶液の大部分はフィブリルネットの網目内に保持される。水溶液内のタンパク質は、フィブリルネットの網目内を充たす水溶液中に浮遊しているため、そのタンパク質本来の高次構造を保つ。
したがって、本発明の製造方法によれば、ホヤセルロース層を基板上に形成し、そのホヤセルロース層を整然と並んだアレイ要素からなるホヤセルロースアレイに加工し、タンパク質を含む水溶液を各アレイ要素に含浸させることにより、タンパク質をその活性を保ちつつ基板上に整然と並べて固定することができる。
また、本発明の製造方法によれば、ホヤセルロースのシートを整然と並んだアレイ要素からなるホヤセルロースアレイに加工し、そのホヤセルロースアレイを基板上に固定し、互いに隣接するアレイ要素間の基板表面を疎水処理し、タンパク質を含む水溶液をアレイ要素に含浸させることにより、タンパク質をその活性を保ちつつ基板上に整然と並べて固定することができる。
また、本発明の製造方法によれば、ホヤセルロースをタンパク質を含む水溶液中に浸漬することにより、タンパク質を含む水溶液を含浸したセルロースを作成し、当該セルロースからなるセルロース層を基板上に固定することにより、タンパク質をその活性を保ちつつ基板上に固定することができる。
また、本発明の製造方法によれば、ホヤセルロースをタンパク質を含む水溶液中に浸漬することにより、タンパク質を含む水溶液を含浸したセルロースを作成し、当該セルロースからなるセルロース層を基板上に固定し、当該セルロース層を整然と並んだプローブセルからなるプローブセルアレイに加工することにより、タンパク質をその活性を保ちつつ基板上に整然と並べて固定することができる。
また、本発明の製造方法によれば、ホヤセルロースをタンパク質を含む水溶液中に浸漬することにより、タンパク質を含む水溶液を含浸したセルロースを作成し、当該セルロースからなるプローブセルを基板上に整然と並べて固定することにより、タンパク質をその活性を保ちつつ基板上に整然と並べて固定することができる。
また、互いに隣接するアレイ要素(プローブセル)間の基板表面を疎水処理するようにしたため、互いに隣接するアレイ要素(プローブセル)に含まれている水溶液同士が基板表面を伝って移動し混ざり合うのを防止することができる。
なお、タンパク質の本来の高次構造が保たれるならば、タンパク質を完全に自由に浮遊できる状態にしておく必要はない。すなわち、タンパク質をホヤセルロースのフィブリルに繋ぎ止めておくことも有効である。そのための方法として、ホヤセルロース中のヒドロキシル基とタンパク質中の官能基とを何らかの酵素で触媒して互いに結合させる方法、ホヤセルロース中のヒドロキシル基をまず何らかのスペーサ物質に変換し、そのスペーサ物質とタンパク質中の官能基とを互いに結合させる方法、等を挙げることができる。また、使用するタンパク質の立体構造に悪影響を及ぼさないならば、ホヤセルロース内の親水環境を疎水環境に変換することも可能である。
[課題を解決するための手段の補足説明7]
タンパク質を脂質二重層に埋め込むと、タンパク質が自然に存在している場所である細胞膜に似た非常に快適な環境となる(図32参照)。そして、タンパク質を埋め込んだ脂質二重層をウォーターベッドのような水を含んだホヤセルロースの上に置くことで、タンパク質は自然のままの形状と機能を保持できる。
したがって、本発明の製造方法およびプロテインチップによれば、基板上に水を含んだホヤセルロース層を形成し、そのホヤセルロース層上に脂質二重層を形成し、その脂質二重層にタンパク質を埋め込むことにより、タンパク質をその活性を保った状態で基板上に固定することができる。
また、本発明の製造方法およびプロテインチップによれば、基板上にホヤセルロース層を形成し、そのホヤセルロース層を整然と並んだアレイ要素からなるホヤセルロースアレイに加工し、各アレイ要素上に脂質二重層を形成し、各脂質二重層にタンパク質を埋め込むことにより、タンパク質をその活性を保った状態で基板上に整然と並べて固定することができる。
また、本発明の製造方法およびプロテインチップによれば、ホヤセルロースのシートを整然と並んだアレイ要素からなるホヤセルロースアレイに加工し、そのホヤセルロースアレイを基板上に固定し、各アレイ要素上に脂質二重層を形成し、各脂質二重層にタンパク質を埋め込むことにより、タンパク質をその活性を保った状態で基板上に整然と並べて固定することができる。
[課題を解決するための手段の補足説明8]
ホヤセルロースは、ホヤ(海鞘、Ascidian)によって生産されたセルロースである。 ホヤは、脊索動物門 尾索動物亜門 ホヤ綱 に属する海産動物の総称である。ホヤの名は、ランプシェードに当たる火屋(ほや)にかたちが似ていることに由来している。また、ホヤはその形状から「海のパイナップル」と呼ばれたりもする。
ホヤは、成長過程で変態する動物として知られ、成体は海底に固着し、植物の一種とさえ誤認されるような外観を持つ。幼生はオタマジャクシ様の形態を示す。ホヤは、脊椎動物に近縁であり、発生過程の研究材料としても有用である。ホヤは、光受容器、神経、筋肉、脊索等の組織をもつ。血液(血球中)にバナジウムを高濃度に含む種類がある。ホヤは、体内でセルロースを生成することのできる、現在確認されている唯一の動物である。
カタユウレイボヤ (Ciona intestinalis) は、生物学において発生のモデル生物として用いられる。ホヤは発生学の材料として古くから用いられてきたため、その分野での知見が蓄積されている。また2002年にはドラフトゲノム配列が決定された。動物としては7番目となる。さらに近縁種のユウレイボヤ (C.savignyi) でもゲノムプロジェクトが行われている。
ホヤから得られるセルロースは、きわめて分子量が大きいことが判っている。一部の音響機器メーカでは、ホヤセルロースを用いたスピーカ振動板の開発が行われている。
本発明の製造方法によれば、超分子ヒドロゲル化剤のような人工合成剤を使用することなく、タンパク質をその活性を保った状態で基板上に固定したプロテインチップを製造することができる。
本発明のプロテインチップによれば、タンパク質をその活性を保った状態で基板上に保持しているので、基板上のタンパク質と生体由来の分子との相互作用解析やスクリーニング等を正確に且つ効率良く実施することができる。
本発明のプロテインチップ作成用プレートによれば、本発明のプロテインチップを容易に製造することができる。
本発明のタンパク質保持方法によれば、バクテリアセルロースまたはホヤセルロースのフィブリル間に存在する水溶液中にタンパク質を浮遊させた状態で保持するようにしたので、タンパク質をその高次構造を壊すことなく活性を保った状態で基板上に保持できる。
本発明のタンパク質保持方法によれば、バクテリアセルロースまたはホヤセルロース上にタンパク質を含んだ脂質二重膜を形成するようにしたので、タンパク質を含んだ脂質二重膜を支持するための緩衝材として、多孔質シリカを使用することなく、タンパク質をその活性を保った状態で基板上に保持することができる。
本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。複数の図において共通の構成要素もしくは実質的に同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
[プロテインチップの製造方法]
1.1 製造方法その1
1.1.1 構成
図1は本発明にかかるプロテインチップの製造方法の一例を示す製造工程図である。
(1)基板洗浄工程:この工程では、ガラス基板1を洗浄して不純物を除去する。
(2)バクテリアセルロース層形成工程:この工程では、バクテリアセルロース(BC)のシート2sをガラス基板1の表面に貼り付けることにより、バクテリアセルロースのシート2sからなるバクテリアセルロース層2をガラス基板1上に形成する。
シート2sは、培養槽から取り出したバクテリアセルロース(ナタ)をシート状にスライスした物である。培養中にバクテリアセルロース内に存在していた生産菌の死骸や生産菌由来のタンパク質、DNA等は、バクテリアセルロースを清浄な水流中に置くことにより除去してある。水流だけては生産菌の死骸等を除去できない場合は、バクテリアセルロースを適切な処理剤の溶液中に漬け込んだ後、水洗する方法が採られる。また、処理剤としては、タンパク質分解酵素、DNA分解酵素、希酸、アルカリ、次亜塩酸ソーダ、過酸化水素、界面活性剤(ラウリル硫酸ソーダ、デオキシコール酸、等)を挙げることができる。また、常温から200℃の範囲の加熱洗浄も有効である。
(3)バクテリアセルロースアレイ形成工程:この工程では、バクテリアセルロース層2を、レーザビーム4で細かく縦横に切断することにより、マトリクス状に並んだアレイ要素3aからなるバクテリアセルロースアレイ3に加工する。レーザビーム4の照射ポイントを正確にコントロールできる自動微細加工装置(図示省略)を使用することにより、バクテリアセルロース層2をバクテリアセルロースアレイ3に精密に加工することができる。
(4)クリーニング工程:この工程では、レーザビーム照射によって発生した塵(レーザビーム照射による燃え滓、灰などの粒)を水洗、送風、加振など何らかの方法により除去する。この工程をバクテリアセルロースアレイ形成工程と並行して実施してもよい。生産菌の死骸等の除去をこの工程で実施してもよい。
(5)湿度調節工程:この工程では、バクテリアセルロースアレイ3の湿度(湿潤度、水分量)調節を行う。ここで、湿度調節の態様には、水分除去すなわち乾燥と水分添加とがある。乾燥とは、ほとんど水分を含まない程に乾いた状態だけでなく、生乾きの状態(若干水分が残っている状態)や、水の中から取り出した直後よりも水分含有率が減少した程度の状態をも含む広い概念である。乾燥物に含まれる固形分(主にフィブリル)の重量に対して、水分量が約25%以下であれば、ほとんど乾いた状態といえる。
バクテリアセルロースアレイ3を乾燥させる場合には、各アレイ要素3aを構成するセルロース内のフィブリル同士の癒着を防止する対策が講じられる。その方法として、バクテリアセルロースの水懸濁液を凍結乾燥や溶剤置換乾燥することによって、乾燥時にフィブリル間に水素結合に由来する結合を生じさせないようにする方法がある。さらに、バクテリアセルロースを含有する水性懸濁液に水以外の第3成分を加えた後に脱水乾燥する方法(特開平09−165402)や、撹拌培養により製造されたバクテリアセルロースを緊張下で脱水乾燥し、得られたバクテリアセルロースを離解処理する方法(WO97/48730)などもある。
(6)プローブ生体分子固定工程:この工程では、タンパク質(レセプタ、ホルモン、酵素、抗体、等)を含む水溶液6を湿度調整したバクテリアセルロースアレイ3の各アレイ要素3aに滴下する。その際、互いに異なるタンパク質を含む複数種類の水溶液6を予め用意しておき、各アレイ要素3aに各々異なるタンパク質を含む水溶液6を滴下する。各アレイ要素3aに滴下された水溶液6は、そのアレイ要素3aを構成するバクテリアセルロースにしみ込む。その結果、滴下された各水溶液6中のタンパク質が各々のアレイ要素3a内に保持された状態でガラス基板1上に固定される。
この工程において、各水溶液6の滴下ポイントおよび滴下量を正確にコントロール可能な自動滴下装置を使用することにより、各水溶液6をバクテリアセルロースアレイ3の各アレイ要素3aに正確に滴下することができる。また、各アレイ要素3a内に保持させるタンパク質の量は、各水溶液6中のタンパク質濃度および各アレイ要素3aへの水溶液滴下量をコントロール沸騰することにより自在に調節できる。自動滴下装置(スポッタ)として、スポット型DNAチップを製造する際に用いられる公知のアレイヤ(特表平10−503841、特表2002−507386、特表2003−515113、特表2004−512514、特開2003−156492、特開2003−344014、特開2004−045241、等参照)を利用することが可能である。バクテリアセルロースアレイ3を損傷しないようにするためには、非接触式スポッタを使用することが望ましい。ピンタイプのスポッタを使用する場合には、Spot-Pin-Over Travel値を最適化する必要がある。
(7)後処理工程:以上の一連の工程により、タンパク質を含む水溶液6を含浸したバクテリアセルロース(アレイ要素3a)からなる多数のプローブセル3pをガラス基板1上にマトリクス状に配置して固定してなるプロテインチップ7が製造される(図5参照)。製造されたプロテインチップ7は、必要に応じて、合成樹脂製パッケージ(ケーシング)などに収められる。
1.1.2 作用・効果
バクテリアセルロースは、セルロース成分に対して数倍〜数百倍の重量の水分を保持できる。バクテリアセルロースは、三次元的に複雑に張り巡らされたフィブリル2fのネット(フィブリルネット)を骨格として持つ(図2(a)参照)。水分を含んだバクテリアセルロースは、その水分の大部分をフィブリルネットの網目内に保持する。タンパク質5を含む水溶液6をバクテリアセルロースに含浸させると、その水溶液6の大部分はフィブリルネットの網目内に保持される(図2(b))。水溶液6内のタンパク質5は、フィブリルネットの網目内を充たす水溶液6中に浮遊しているため、その生体分子本来の立体構造を保つことができる。
したがって、バクテリアセルロース層2をガラス基板1上に形成し、そのバクテリアセルロース層2をマトリクス状に配置されたアレイ要素3aからなるバクテリアセルロースアレイ3に加工し、タンパク質5を含む水溶液6を各アレイ要素3aに滴下することにより、タンパク質5をその活性を保ちつつガラス基板1上にマトリクス状に配置して固定することができる。
このようにして製造されたプロテインチップ7を使用することにより、ガラス基板1上のタンパク質5と結合するタンパク質やその他の分子を効率良くスクリーニングすることができる。
上記の例では、マトリクス状に配置されたアレイ要素3aからなるバクテリアセルロースアレイ3を備えたプロテインチップについて説明したが、ライン状、ハニカム状といったその他の整列状態となるようにアレイ要素3aを配置することも可能である(図6参照)。
1.2 製造方法その2
1.2.1 構成
図3は本発明にかかるプロテインチップの製造方法の別の例を示す製造工程図である。
(1)基板洗浄工程:この工程では、ガラス基板1を洗浄して不純物を除去する。
(2)バクテリアセルロースアレイ形成工程:この工程では、バクテリアセルロース(BC)のシート2s(図1参照)を、レーザビーム4等を使用して細かく縦横に切断することにより、マトリクス状に並んだアレイ要素3aからなるバクテリアセルロースアレイ3に加工する。
(3)バクテリアセルロースアレイ固定工程:この工程では、バクテリアセルロースアレイ3を、洗浄したガラス基板1の表面に固定する。
(4)湿度調節工程:この工程では、バクテリアセルロースアレイ3の湿度(湿潤度、水分量)調節を行う。
(5)プローブ生体分子固定工程:この工程では、タンパク質(レセプタ、ホルモン、酵素、抗体、等)を含む水溶液6を湿度調整したバクテリアセルロースアレイ3の各アレイ要素3aに滴下する。その際、互いに異なるタンパク質を含む複数種類の水溶液6を予め用意しておき、各アレイ要素3aに各々異なるタンパク質を含む水溶液6を滴下する。各アレイ要素3aに滴下された水溶液6は、そのアレイ要素3aを構成するバクテリアセルロースにしみ込む。その結果、滴下された各水溶液6中のタンパク質が各々のアレイ要素3a内に保持された状態でガラス基板1上に固定される。
(6)後処理工程:以上の一連の工程により、タンパク質を含む水溶液6を含浸したバクテリアセルロース(アレイ要素3a)からなる多数のプローブセル3pをガラス基板1上にマトリクス状に配置して固定してなるプロテインチップ7が製造される(図5参照)。製造されたプロテインチップ7は、必要に応じて、合成樹脂製パッケージ(ケーシング)などに収められる。
1.2.2 作用・効果
バクテリアセルロースは、セルロース成分に対して数倍〜数百倍の重量の水分を保持できる。バクテリアセルロースは、三次元的に複雑に張り巡らされたフィブリル2fのネット(フィブリルネット)を骨格として持つ(図2(a)参照)。水分を含んだバクテリアセルロースは、その水分の大部分をフィブリルネットの網目内に保持する。タンパク質5を含む水溶液6をバクテリアセルロースに含浸させると、その水溶液6の大部分はフィブリルネットの網目内に保持される(図2(b))。水溶液6内のタンパク質5は、フィブリルネットの網目内を充たす水溶液6中に浮遊しているため、その生体分子本来の立体構造を保つことができる。
したがって、バクテリアセルロースのシートをマトリクス状に配置されたアレイ要素3aからなるバクテリアセルロースアレイ3に加工してガラス基板1上に固定し、タンパク質5を含む水溶液6を各アレイ要素3aに滴下することにより、タンパク質5をその活性を保ちつつガラス基板1上にマトリクス状に配置して固定することができる。
このようにして製造されたプロテインチップ7を使用することにより、ガラス基板1上のタンパク質5と結合するタンパク質やその他の分子を効率良くスクリーニングすることができる。
上記の例では、マトリクス状に配置されたアレイ要素3aからなるバクテリアセルロースアレイ3を備えたプロテインチップについて説明したが、ライン状、ハニカム状といったその他の整列状態となるようにアレイ要素3aを配置することも可能である(図6参照)。
1.3 製造方法その3
1.3.1 構成
図4は本発明にかかるプロテインチップの製造方法の更に別の例を示す製造工程図である。
(1)基板洗浄工程:この工程では、ガラス基板1を洗浄して不純物を除去する。
(2)バクテリアセルロース層形成工程:この工程では、バクテリアセルロース(BC)のシート2sをガラス基板1の表面に貼り付けることにより、バクテリアセルロースのシート2sからなるバクテリアセルロース層2をガラス基板1上に形成する。
(3)湿度調節工程:この工程では、バクテリアセルロース層2の湿度(湿潤度、水分量)調節を行う。
(4)プローブ生体分子固定工程:この工程では、タンパク質を含む水溶液6を湿度調整したバクテリアセルロース層2の上にマトリクス状にスポットする。
(5)後処理工程:以上の一連の工程により、タンパク質を含む水溶液6をバクテリアセルロース層2上にマトリクス状にスポットしてなる、多数の検出スポット(プローブセル)2spを有するプロテインチップ8が製造される(図7参照)。製造されたプロテインチップ8は、必要に応じて、合成樹脂製パッケージ(ケーシング)などに収められる。
1.3.2 作用・効果
バクテリアセルロースは、セルロース成分に対して数倍〜数百倍の重量の水分を保持できる。バクテリアセルロースは、三次元的に複雑に張り巡らされたフィブリル2fのネット(フィブリルネット)を骨格として持つ(図2(a)参照)。水分を含んだバクテリアセルロースは、その水分の大部分をフィブリルネットの網目内に保持する。タンパク質5を含む水溶液6をバクテリアセルロースに含浸させると、その水溶液6の大部分はフィブリルネットの網目内に保持される(図2(b))。水溶液6内のタンパク質5は、フィブリルネットの網目内を充たす水溶液6中に浮遊しているため、その生体分子本来の立体構造を保つことができる。
したがって、バクテリアセルロース層2をガラス基板1上に形成し、タンパク質5を含む水溶液6をバクテリアセルロース層2上にマトリクス状にスポットすることにより、タンパク質5をその活性を保ちつつガラス基板1上にマトリクス状に配置して固定することができる。
このようにして製造されたプロテインチップ8を使用することにより、ガラス基板1上のタンパク質5と結合するタンパク質やその他の分子を効率良くスクリーニングすることができる。
上記の例では、検出スポット2spをマトリクス状に配置してなるプロテインチップについて説明したが、ライン状、ハニカム状といったその他の整列状態となるように検出スポット2spを配置することも可能である(図8参照)。
[プロテインチップ]
2.1 プロテインチップその1
2.1.1 構成
図5は本発明にかかるプロテインチップの形態例を示す平面図である。このプロテインチップ7は、タンパク質を含む水溶液6を含浸したバクテリアセルロースからなる多数のプローブセル3pをガラス基板1上にマトリクス状に配置して固定してなる。このプロテインチップ7は、図1の一連の工程を経て製造された物である。
2.1.2 作用・効果
このプロテインチップ7の各プローブセル3p内には、タンパク質5が水溶液6中に浮遊した状態でその活性を保ちつつ保持されている(図2(a)、(b)参照)。
したがって、このプロテインチップ7を使用することにより、ガラス基板1上のタンパク質5と結合するタンパク質やその他の分子を効率良くスクリーニングすることができる。
上記の例では、マトリクス状に配置されたプローブセル3pからなるバクテリアセルロースアレイ3を備えたプロテインチップ7について説明したが、図6に示すように、ライン状、ハニカム状といったその他の整列状態となるようにプローブセル3p(3a)を配置したプロテインチップも本発明のプロテインチップに含まれる。
2.2 プロテインチップその2
2.2.1 構成
図7は本発明にかかるプロテインチップの形態例を示す平面図である。このプロテインチップ8は、タンパク質を含む水溶液6をバクテリアセルロース層2上にマトリクス状にスポットしてなる多数の検出スポット2spを有する。このプロテインチップ8は、図4の一連の工程を経て製造された物である。
2.1.2 作用・効果
このプロテインチップ8の各検出スポット2sp内には、タンパク質5が水溶液6中に浮遊した状態でその活性を保ちつつ保持されている(図2(a)、(b)参照)。
したがって、このプロテインチップ8を使用することにより、ガラス基板1上のタンパク質5と結合するタンパク質やその他の分子を効率良くスクリーニングすることができる。
上記の例では、マトリクス状に配置された検出スポット2spを有するプロテインチップ8について説明したが、図8に示すように、ライン状、ハニカム状といったその他の整列状態となるように検出スポット2spを配置したプロテインチップも本発明のプロテインチップに含まれる。
2.3 プロテインチップその3
2.3.1 構成
図9(a)は本発明にかかるプロテインチップの形態例を示す平面図、図9(b)は縦断面図である。このプロテインチップ9は、タンパク質を含む水溶液6を含浸したバクテリアセルロース(BC)からなる多数のプローブセル3pをガラス基板1上にマトリクス状に配置して固定してなる。プロテインチップ9のガラス基板1の表面には半球状の多数のピット1pがマトリクス状に形成されている。プロテインチップ9は、各ピット1p内でバクテリアセルロース(BC)を直接培養した後、各ピット1pのバクテリアセルロース(BC)にタンパク質を含む水溶液6を含浸させることにより製造された物である。すなわち、各ピット1p内の水溶液含有バクテリアセルロース(BC)がプローブセル3pを構成している。
2.3.2 作用・効果
このプロテインチップ9の各プローブセル3p内には、タンパク質5が水溶液6中に浮遊した状態でその活性を保ちつつ保持されている(図2(a)、(b)参照)。
したがって、このプロテインチップ9を使用することにより、ガラス基板1上のタンパク質5と結合するタンパク質やその他の分子を効率良くスクリーニングすることができる。
上記の例では、マトリクス状に配置されたピット1p内にプローブセル3pが形成されているが、ライン状、ハニカム状といったその他の整列状態となるように配置されたピット1p内にプローブセル3pを形成したプロテインチップも本発明のプロテインチップに含まれる。
[プロテインチップ作成用プレート]
3.1 基板その1
3.1.1 構成
図10は本発明にかかるプロテインチップ作成用プレートの形態例を示す平面図である。このプロテインチップ作成用プレート11は、ガラス基板1上に、マトリクス状に配置された多数のアレイ要素3aからなるバクテリアセルロースアレイ3を形成してなる。このプロテインチップ作成用プレート11は、図1中の基板洗浄工程、バクテリアセルロース層形成工程、バクテリアセルロースアレイ形成工程、クリーニング工程、および湿度調節工程を経ることにより製造された物である。プロテインチップ作成用プレート11は、必要に応じて、合成樹脂製パッケージ(ケーシング)などに収められる。
3.1.2 作用・効果
このプロテインチップ作成用プレート11によれば、そのガラス基板1上に固定されたバクテリアセルロースアレイ3の各アレイ要素3aに、タンパク質を含む水溶液6を滴下することにより(図1中のプローブ生体分子固定工程に相当)、図5のプロテインチップ7を容易に作成することができる。
上記の例では、マトリクス状に配置されたアレイ要素3aからなるバクテリアセルロースアレイ3を備えたプロテインチップ作成用プレート11について説明したが、ライン状、ハニカム状といったその他の整列状態となるようにアレイ要素3aを配置したプロテインチップ作成用プレートも本発明のプロテインチップ作成用プレートに含まれる。
また、湿度調節工程を省略して製造した物をプロテインチップ作成用プレート11としてもよい。その場合、タンパク質を含む水溶液6を滴下するに際し、バクテリアセルロースアレイ3の湿度調節を実施することが望ましい。
3.2 基板その2
3.2.1 構成
図11は本発明にかかるプロテインチップ作成用プレートの別の形態例を示す平面図である。このプロテインチップ作成用プレート12は、ガラス基板1上に、バクテリアセルロース層2を形成してなる。このプロテインチップ作成用プレート12は、図4中の基板洗浄工程、バクテリアセルロース層形成工程、湿度調節工程を経ることにより製造されたものである。プロテインチップ作成用プレート12は、必要に応じて、合成樹脂製パッケージ(ケーシング)などに収められる。
3.2.2 作用・効果
このプロテインチップ作成用プレート12によれば、バクテリアセルロース層2の上に、タンパク質5を含む水溶液6をマトリクス状にスポットすることにより(図4中のプローブ生体分子固定工程に相当)、図7のプロテインチップ7を容易に作成することができる。
また、バクテリアセルロース層2の上に、タンパク質5を含む水溶液6をライン状、ハニカム状といったその他の整列状態となるようにスポットすることにより、図8のような、ライン状、ハニカム状といったその他の整列状態となるように検出スポット2sを配置したプロテインチップを容易に作成することができる。
また、湿度調節工程を省略して製造した物をプロテインチップ作成用プレート12としてもよい。その場合、タンパク質を含む水溶液6を滴下するに際し、バクテリアセルロースアレイ層2の湿度調節を実施することが望ましい。
3.3 基板その3
3.3.1 構成
図12(a)は本発明にかかるプロテインチップ作成用プレートの更に別の形態例を示す平面図、図12(b)は縦断面図である。このプロテインチップ作成用プレート13は、ガラス基板1の表面に多数のピット1pをマトリクス状に形成し、各ピット1p内でバクテリアセルロース(BC)を直接培養してなる。このプロテインチップ作成用プレート13は、基板洗浄工程、バクテリアセルロース層形成工程、湿度調節工程を経ることにより製造されたものである。プロテインチップ作成用プレート13は、必要に応じて、合成樹脂製パッケージ(ケーシング)などに収められる。
3.3.2 作用・効果
このプロテインチップ作成用プレート13によれば、各ピット1pのバクテリアセルロース(BC)にタンパク質を含む水溶液6を含浸させることにより、図9のプロテインチップ9を容易に作成することができる。
湿度調節工程を省略して製造した物をプロテインチップ作成用プレート13としてもよい。その場合、タンパク質を含む水溶液6を滴下するに際し、ピット1p内のバクテリアセルロース(BC)の湿度調節を実施することが望ましい。
[補足説明1]
以上の説明では、プローブ生体分子としてタンパク質を保持したプローブセルまたは検出スポットのみをガラス基板上に形成したプロテインチップについて説明したが、タンパク質を含むプローブセルと、その他の物質(物体)たとえばペプチド、DNA、RNA、金属イオン、細胞、等を保持したプローブセルを同一基板上に形成してなるハイブリッド型のプロテインチップも本発明のプロテインチップに含まれる(図13参照)。
また、上記の例では、プロテインチップおよびチップ作成用プレートの基板として、ガラス基板を使用することとしたが、合成樹脂基板、金属基板、バクテリアセルロース基板、等その他の材質の基板を用いてもよい。
また、バクテリアセルロースアレイの各プローブセル(アレイ要素3a)の平面形状は、正方形である必要はない。長方形でも三角形でも五角形でも六角形でも八角形でも円形でも楕円形でもよいが、円形であることが望ましい(図14参照)。
また、プローブセル(アレイ要素)のセルサイズおよびセル間隔は任意である。セルサイズ(直径)は、好ましくは十数ミクロン〜数ミリメートルの範囲から選ばれる。既製のアレイヤによりスポッティング可能なセルサイズおよびセル間隔とすることが望ましい。
また、バクテリアセルロース層あるいはプローブセル(アレイ要素)の厚さは任意である。好ましくは湿潤状態で十数ミクロン〜十数ミリメートルの範囲から選ばれる。
また、プロテインチップおよびチップ作成用プレートの形状(平面形状)は任意である。正方形、長方形、円形、楕円形、台形、等どのような形状でもよい。
[プロテインチップの製造方法]
1.4 製造方法その4
1.4.1 構成
図15は本発明にかかるプロテインチップの製造方法の別の例を示す製造工程図である。
(1)基板洗浄工程:この工程では、ガラス基板1を洗浄して不純物を除去する。
(2)ホヤセルロース層形成工程:この工程では、ホヤセルロース(AC)のシート22sをガラス基板1の表面に貼り付けることにより、ホヤセルロースのシート22sからなるホヤセルロース層22をガラス基板1上に形成する。
シート22sは、ホヤが生成したホヤセルロースをシート状に形成した物である。ホヤから採取したホヤセルロース内に存在していたタンパク質、DNA等は、ホヤセルロースを清浄な水流中に置くことにより除去してある。水流だけてはタンパク質等を除去できない場合は、ホヤセルロースを適切な処理剤の溶液中に漬け込んだ後、水洗する方法が採られる。また、処理剤としては、タンパク質分解酵素、DNA分解酵素、希酸、アルカリ、次亜塩酸ソーダ、過酸化水素、界面活性剤(ラウリル硫酸ソーダ、デオキシコール酸、等)を挙げることができる。また、常温から200℃の範囲の加熱洗浄も有効である。
(3)ホヤセルロースアレイ形成工程:この工程では、ホヤセルロース層22を、レーザビーム4で細かく縦横に切断することにより、マトリクス状に並んだアレイ要素23aからなるホヤセルロースアレイ23に加工する。レーザビーム4の照射ポイントを正確にコントロールできる自動微細加工装置(図示省略)を使用することにより、ホヤセルロース層22をホヤセルロースアレイ23に精密に加工することができる。
(4)クリーニング工程:この工程では、レーザビーム照射によって発生した塵(レーザビーム照射による燃え滓、灰などの粒)を水洗、送風、加振など何らかの方法により除去する。この工程をバクテリアセルロースアレイ形成工程と並行して実施してもよい。生産菌の死骸等の除去をこの工程で実施してもよい。
(5)湿度調節工程:この工程では、ホヤセルロースアレイ23の湿度(湿潤度、水分量)調節を行う。ここで、湿度調節の態様には、水分除去すなわち乾燥と水分添加とがある。乾燥とは、ほとんど水分を含まない程に乾いた状態だけでなく、生乾きの状態(若干水分が残っている状態)や、水の中から取り出した直後よりも水分含有率が減少した程度の状態をも含む広い概念である。乾燥物に含まれる固形分(主にフィブリル)の重量に対して、水分量が約25%以下であれば、ほとんど乾いた状態といえる。
ホヤセルロースアレイ23を乾燥させる場合には、各アレイ要素23aを構成するセルロース内のフィブリル同士の癒着を防止する対策が講じられる。その方法として、ホヤセルロースの水懸濁液を凍結乾燥や溶剤置換乾燥することによって、乾燥時にフィブリル間に水素結合に由来する結合を生じさせないようにする方法がある。さらに、ホヤセルロースを含有する水性懸濁液に水以外の第3成分を加えた後に脱水乾燥する方法や、採取したホヤセルロースを緊張下で脱水乾燥し、得られたホヤセルロースを離解処理する方法などもある。
(6)プローブ生体分子固定工程:この工程では、タンパク質(レセプタ、ホルモン、酵素、抗体、等)を含む水溶液6を湿度調整したホヤセルロースアレイ23の各アレイ要素23aに滴下する。その際、互いに異なるタンパク質を含む複数種類の水溶液6を予め用意しておき、各アレイ要素23aに各々異なるタンパク質を含む水溶液6を滴下する。各アレイ要素23aに滴下された水溶液6は、そのアレイ要素23aを構成するホヤセルロースにしみ込む。その結果、滴下された各水溶液6中のタンパク質が各々のアレイ要素23a内に保持された状態でガラス基板1上に固定される。
この工程において、各水溶液6の滴下ポイントおよび滴下量を正確にコントロール可能な自動滴下装置を使用することにより、各水溶液6をホヤセルロースアレイ23の各アレイ要素23aに正確に滴下することができる。また、各アレイ要素23a内に保持させるタンパク質の量は、各水溶液6中のタンパク質濃度および各アレイ要素23aへの水溶液滴下量をコントロール沸騰することにより自在に調節できる。自動滴下装置(スポッタ)として、スポット型DNAチップを製造する際に用いられる公知のアレイヤ(特表平10−503841、特表2002−507386、特表2003−515113、特表2004−512514、特開2003−156492、特開2003−344014、特開2004−045241、等参照)を利用することが可能である。ホヤセルロースアレイ23を損傷しないようにするためには、非接触式スポッタを使用することが望ましい。ピンタイプのスポッタを使用する場合には、Spot-Pin-Over Travel値を最適化する必要がある。
(7)後処理工程:以上の一連の工程により、タンパク質を含む水溶液6を含浸したホヤセルロース(アレイ要素23a)からなる多数のプローブセル23pをガラス基板1上にマトリクス状に配置して固定してなるプロテインチップ37が製造される(図19参照)。製造されたプロテインチップ37は、必要に応じて、合成樹脂製パッケージ(ケーシング)などに収められる。
1.4.2 作用・効果
ホヤセルロースは、セルロース成分に対して数倍〜数百倍の重量の水分を保持できる。ホヤセルロースは、三次元的に複雑に張り巡らされたフィブリル22fのネット(フィブリルネット)を骨格として持つ(図16(a)参照)。水分を含んだホヤセルロースは、その水分の大部分をフィブリルネットの網目内に保持する。タンパク質5を含む水溶液6をホヤセルロースに含浸させると、その水溶液6の大部分はフィブリルネットの網目内に保持される(図16(b))。水溶液6内のタンパク質5は、フィブリルネットの網目内を充たす水溶液6中に浮遊しているため、その生体分子本来の立体構造を保つことができる。
したがって、ホヤセルロース層22をガラス基板1上に形成し、そのホヤセルロース層22をマトリクス状に配置されたアレイ要素23aからなるホヤセルロースアレイ23に加工し、タンパク質5を含む水溶液6を各アレイ要素23aに滴下することにより、タンパク質5をその活性を保ちつつガラス基板1上にマトリクス状に配置して固定することができる。
このようにして製造されたプロテインチップ37を使用することにより、ガラス基板1上のタンパク質5と結合するタンパク質やその他の分子を効率良くスクリーニングすることができる。
上記の例では、マトリクス状に配置されたアレイ要素23aからなるホヤセルロースアレイ23を備えたプロテインチップについて説明したが、ライン状、ハニカム状といったその他の整列状態となるようにアレイ要素23aを配置することも可能である(図20参照)。
1.5 製造方法その5
1.5.1 構成
図17は本発明にかかるプロテインチップの製造方法の別の例を示す製造工程図である。
(1)基板洗浄工程:この工程では、ガラス基板1を洗浄して不純物を除去する。
(2)ホヤセルロースアレイ形成工程:この工程では、ホヤセルロース(AC)のシート22s(図15参照)を、レーザビーム4等を使用して細かく縦横に切断することにより、マトリクス状に並んだアレイ要素23aからなるホヤセルロースアレイ23に加工する。
(3)ホヤセルロースアレイ固定工程:この工程では、ホヤセルロースアレイ23を、洗浄したガラス基板1の表面に固定する。
(4)湿度調節工程:この工程では、ホヤセルロースアレイ23の湿度(湿潤度、水分量)調節を行う。
(5)プローブ生体分子固定工程:この工程では、タンパク質(レセプタ、ホルモン、酵素、抗体、等)を含む水溶液6を湿度調整したホヤセルロースアレイ23の各アレイ要素23aに滴下する。その際、互いに異なるタンパク質を含む複数種類の水溶液6を予め用意しておき、各アレイ要素23aに各々異なるタンパク質を含む水溶液6を滴下する。各アレイ要素23aに滴下された水溶液6は、そのアレイ要素23aを構成するホヤセルロースにしみ込む。その結果、滴下された各水溶液6中のタンパク質が各々のアレイ要素23a内に保持された状態でガラス基板1上に固定される。
(6)後処理工程:以上の一連の工程により、タンパク質を含む水溶液6を含浸したホヤセルロース(アレイ要素23a)からなる多数のプローブセル23pをガラス基板1上にマトリクス状に配置して固定してなるプロテインチップ37が製造される(図19参照)。製造されたプロテインチップ37は、必要に応じて、合成樹脂製パッケージ(ケーシング)などに収められる。
1.5.2 作用・効果
ホヤセルロースは、セルロース成分に対して数倍〜数百倍の重量の水分を保持できる。ホヤセルロースは、三次元的に複雑に張り巡らされたフィブリル22fのネット(フィブリルネット)を骨格として持つ(図16(a)参照)。水分を含んだホヤセルロースは、その水分の大部分をフィブリルネットの網目内に保持する。タンパク質5を含む水溶液6をホヤセルロースに含浸させると、その水溶液6の大部分はフィブリルネットの網目内に保持される(図16(b))。水溶液6内のタンパク質5は、フィブリルネットの網目内を充たす水溶液6中に浮遊しているため、その生体分子本来の立体構造を保つことができる。
したがって、ホヤセルロースのシートをマトリクス状に配置されたアレイ要素23aからなるホヤセルロースアレイ23に加工してガラス基板1上に固定し、タンパク質5を含む水溶液6を各アレイ要素23aに滴下することにより、タンパク質5をその活性を保ちつつガラス基板1上にマトリクス状に配置して固定することができる。
このようにして製造されたプロテインチップ37を使用することにより、ガラス基板1上のタンパク質5と結合するタンパク質やその他の分子を効率良くスクリーニングすることができる。
上記の例では、マトリクス状に配置されたアレイ要素23aからなるホヤセルロースアレイ23を備えたプロテインチップについて説明したが、ライン状、ハニカム状といったその他の整列状態となるようにアレイ要素23aを配置することも可能である(図20参照)。
1.6 製造方法その6
1.6.1 構成
図18は本発明にかかるプロテインチップの製造方法の更に別の例を示す製造工程図である。
(1)基板洗浄工程:この工程では、ガラス基板1を洗浄して不純物を除去する。
(2)ホヤセルロース層形成工程:この工程では、ホヤセルロース(AC)のシート22sをガラス基板1の表面に貼り付けることにより、ホヤセルロースのシート22sからなるホヤセルロース層22をガラス基板1上に形成する。
(3)湿度調節工程:この工程では、ホヤセルロース層22の湿度(湿潤度、水分量)調節を行う。
(4)プローブ生体分子固定工程:この工程では、タンパク質を含む水溶液6を湿度調整したホヤセルロース層22の上にマトリクス状にスポットする。
(5)後処理工程:以上の一連の工程により、タンパク質を含む水溶液6をホヤセルロース層22上にマトリクス状にスポットしてなる、多数の検出スポット(プローブセル)22spを有するプロテインチップ38が製造される(図21参照)。製造されたプロテインチップ38は、必要に応じて、合成樹脂製パッケージ(ケーシング)などに収められる。
1.6.2 作用・効果
ホヤセルロースは、セルロース成分に対して数倍〜数百倍の重量の水分を保持できる。ホヤセルロースは、三次元的に複雑に張り巡らされたフィブリル22fのネット(フィブリルネット)を骨格として持つ(図16(a)参照)。水分を含んだホヤセルロースは、その水分の大部分をフィブリルネットの網目内に保持する。タンパク質5を含む水溶液6をホヤセルロースに含浸させると、その水溶液6の大部分はフィブリルネットの網目内に保持される(図16(b))。水溶液6内のタンパク質5は、フィブリルネットの網目内を充たす水溶液6中に浮遊しているため、その生体分子本来の立体構造を保つことができる。
したがって、ホヤセルロース層22をガラス基板1上に形成し、タンパク質5を含む水溶液6をホヤセルロース層22上にマトリクス状にスポットすることにより、タンパク質5をその活性を保ちつつガラス基板1上にマトリクス状に配置して固定することができる。
このようにして製造されたプロテインチップ38を使用することにより、ガラス基板1上のタンパク質5と結合するタンパク質やその他の分子を効率良くスクリーニングすることができる。
上記の例では、検出スポット22spをマトリクス状に配置してなるプロテインチップについて説明したが、ライン状、ハニカム状といったその他の整列状態となるように検出スポット22spを配置することも可能である(図22参照)。
[プロテインチップ]
2.4 プロテインチップその4
2.4.1 構成
図19は本発明にかかるプロテインチップの形態例を示す平面図である。このプロテインチップ37は、タンパク質を含む水溶液6を含浸したホヤセルロースからなる多数のプローブセル23pをガラス基板1上にマトリクス状に配置して固定してなる。このプロテインチップ37は、図15の一連の工程を経て製造された物である。
2.4.2 作用・効果
このプロテインチップ37の各プローブセル23p内には、タンパク質5が水溶液6中に浮遊した状態でその活性を保ちつつ保持されている(図16(a)、(b)参照)。
したがって、このプロテインチップ37を使用することにより、ガラス基板1上のタンパク質5と結合するタンパク質やその他の分子を効率良くスクリーニングすることができる。
上記の例では、マトリクス状に配置されたプローブセル23pからなるホヤセルロースアレイ23を備えたプロテインチップ37について説明したが、図20に示すように、ライン状、ハニカム状といったその他の整列状態となるようにプローブセル23p(23a)を配置したプロテインチップも本発明のプロテインチップに含まれる。
2.5 プロテインチップその5
2.5.1 構成
図21は本発明にかかるプロテインチップの形態例を示す平面図である。このプロテインチップ38は、タンパク質を含む水溶液6をホヤセルロース層22上にマトリクス状にスポットしてなる多数の検出スポット22spを有する。このプロテインチップ38は、図18の一連の工程を経て製造された物である。
2.5.2 作用・効果
このプロテインチップ38の各検出スポット22sp内には、タンパク質5が水溶液6中に浮遊した状態でその活性を保ちつつ保持されている(図16(a)、(b)参照)。
したがって、このプロテインチップ38を使用することにより、ガラス基板1上のタンパク質5と結合するタンパク質やその他の分子を効率良くスクリーニングすることができる。
上記の例では、マトリクス状に配置された検出スポット22spを有するプロテインチップ38について説明したが、図22に示すように、ライン状、ハニカム状といったその他の整列状態となるように検出スポット22spを配置したプロテインチップも本発明のプロテインチップに含まれる。
2.6 プロテインチップその6
2.6.1 構成
図23(a)は本発明にかかるプロテインチップの形態例を示す平面図、図23(b)は縦断面図である。このプロテインチップ39は、タンパク質を含む水溶液6を含浸したホヤセルロース(AC)からなる多数のプローブセル23pをガラス基板1上にマトリクス状に配置して固定してなる。プロテインチップ39のガラス基板1の表面には半球状の多数のピット1pがマトリクス状に形成されている。プロテインチップ39は、各ピット1p内にホヤセルロース(AC)を充填した後、各ピット1pのホヤセルロース(AC)にタンパク質を含む水溶液6を含浸させることにより製造された物である。すなわち、各ピット1p内の水溶液含有ホヤセルロース(AC)がプローブセル23pを構成している。
2.6.2 作用・効果
このプロテインチップ39の各プローブセル23p内には、タンパク質5が水溶液6中に浮遊した状態でその活性を保ちつつ保持されている(図16(a)、(b)参照)。
したがって、このプロテインチップ39を使用することにより、ガラス基板1上のタンパク質5と結合するタンパク質やその他の分子を効率良くスクリーニングすることができる。
上記の例では、マトリクス状に配置されたピット1p内にプローブセル23pが形成されているが、ライン状、ハニカム状といったその他の整列状態となるように配置されたピット1p内にプローブセル23pを形成したプロテインチップも本発明のプロテインチップに含まれる。
[プロテインチップ作成用プレート]
3.4 基板その4
3.4.1 構成
図24は本発明にかかるプロテインチップ作成用プレートの形態例を示す平面図である。このプロテインチップ作成用プレート41は、ガラス基板1上に、マトリクス状に配置された多数のアレイ要素23aからなるホヤセルロースアレイ23を形成してなる。このプロテインチップ作成用プレート41は、図15中の基板洗浄工程、ホヤセルロース層形成工程、ホヤセルロースアレイ形成工程、クリーニング工程、および湿度調節工程を経ることにより製造された物である。プロテインチップ作成用プレート41は、必要に応じて、合成樹脂製パッケージ(ケーシング)などに収められる。
3.4.2 作用・効果
このプロテインチップ作成用プレート41によれば、そのガラス基板1上に固定されたホヤセルロースアレイ23の各アレイ要素23aに、タンパク質を含む水溶液6を滴下することにより(図15中のプローブ生体分子固定工程に相当)、図19のプロテインチップ37を容易に作成することができる。
上記の例では、マトリクス状に配置されたアレイ要素23aからなるホヤセルロースアレイ23を備えたプロテインチップ作成用プレート41について説明したが、ライン状、ハニカム状といったその他の整列状態となるようにアレイ要素23aを配置したプロテインチップ作成用プレートも本発明のプロテインチップ作成用プレートに含まれる。
また、湿度調節工程を省略して製造した物をプロテインチップ作成用プレート41としてもよい。その場合、タンパク質を含む水溶液6を滴下するに際し、ホヤセルロースアレイ23の湿度調節を実施することが望ましい。
3.5 基板その5
3.5.1 構成
図25は本発明にかかるプロテインチップ作成用プレートの別の形態例を示す平面図である。このプロテインチップ作成用プレート42は、ガラス基板1上に、ホヤセルロース層22を形成してなる。このプロテインチップ作成用プレート42は、図18中の基板洗浄工程、ホヤセルロース層形成工程、湿度調節工程を経ることにより製造されたものである。プロテインチップ作成用プレート42は、必要に応じて、合成樹脂製パッケージ(ケーシング)などに収められる。
3.5.2 作用・効果
このプロテインチップ作成用プレート42によれば、ホヤセルロース層22の上に、タンパク質5を含む水溶液6をマトリクス状にスポットすることにより(図18中のプローブ生体分子固定工程に相当)、図21のプロテインチップ38を容易に作成することができる。
また、ホヤセルロース層22の上に、タンパク質5を含む水溶液6をライン状、ハニカム状といったその他の整列状態となるようにスポットすることにより、図22のような、ライン状、ハニカム状といったその他の整列状態となるように検出スポット22sを配置したプロテインチップを容易に作成することができる。
また、湿度調節工程を省略して製造した物をプロテインチップ作成用プレート42としてもよい。その場合、タンパク質を含む水溶液6を滴下するに際し、ホヤセルロースアレイ層22の湿度調節を実施することが望ましい。
3.6 基板その6
3.6.1 構成
図26(a)は本発明にかかるプロテインチップ作成用プレートの更に別の形態例を示す平面図、図26(b)は縦断面図である。このプロテインチップ作成用プレート43は、ガラス基板1の表面に多数のピット1pをマトリクス状に形成し、各ピット1p内ぶホヤセルロース(AC)を充填してなる。このプロテインチップ作成用プレート43は、基板洗浄工程、ホヤセルロース層形成工程、湿度調節工程を経ることにより製造されたものである。プロテインチップ作成用プレート43は、必要に応じて、合成樹脂製パッケージ(ケーシング)などに収められる。
3.6.2 作用・効果
このプロテインチップ作成用プレート43によれば、各ピット1pのホヤセルロース(AC)にタンパク質を含む水溶液6を含浸させることにより、図23のプロテインチップ9を容易に作成することができる。
湿度調節工程を省略して製造した物をプロテインチップ作成用プレート43としてもよい。その場合、タンパク質を含む水溶液6を滴下するに際し、ピット1p内のホヤセルロース(AC)の湿度調節を実施することが望ましい。
[補足説明2]
以上の説明では、プローブ生体分子としてタンパク質を保持したプローブセルまたは検出スポットのみをガラス基板上に形成したプロテインチップについて説明したが、タンパク質を含むプローブセルと、その他の物質(物体)たとえばペプチド、DNA、RNA、金属イオン、細胞、等を保持したプローブセルを同一基板上に形成してなるハイブリッド型のプロテインチップも本発明のプロテインチップに含まれる(図13参照)。
また、上記の例では、プロテインチップおよびチップ作成用プレートの基板として、ガラス基板を使用することとしたが、合成樹脂基板、金属基板、セルロース基板、等その他の材質の基板を用いてもよい。
また、ホヤセルロースアレイの各プローブセル(アレイ要素23a)の平面形状は、正方形である必要はない。長方形でも三角形でも五角形でも六角形でも八角形でも円形でも楕円形でもよいが、円形であることが望ましい(図27参照)。
また、プローブセル(アレイ要素)のセルサイズおよびセル間隔は任意である。セルサイズ(直径)は、好ましくは十数ミクロン〜数ミリメートルの範囲から選ばれる。既製のアレイヤによりスポッティング可能なセルサイズおよびセル間隔とすることが望ましい。
また、ホヤセルロース層あるいはプローブセル(アレイ要素)の厚さは任意である。好ましくは湿潤状態で十数ミクロン〜十数ミリメートルの範囲から選ばれる。
また、プロテインチップおよびチップ作成用プレートの形状(平面形状)は任意である。正方形、長方形、円形、楕円形、台形、等どのような形状でもよい。
[プロテインチップの製造方法]
1.7 製造方法その7
1.7.1 構成
図1および図3の製造方法において、互いに隣接するアレイ要素3a(プローブセル3p)間の基板表面を疎水処理する工程を更に含む。
1.7.2 作用・効果
構成互いに隣接するアレイ要素3a(プローブセル3p)間の基板表面を疎水処理しておくことにより、互いに隣接するアレイ要素3a(プローブセル3p)に含まれている水溶液同士が基板表面を伝って移動し混ざり合うのを防止することができる。
1.8 製造方法その8
1.8.1 構成
図15および図17の製造方法において、互いに隣接するアレイ要素23a(プローブセル23p)間の基板表面を疎水処理する工程を更に含む。
1.8.2 作用・効果
構成互いに隣接するアレイ要素23a(プローブセル23p)間の基板表面を疎水処理しておくことにより、互いに隣接するアレイ要素23a(プローブセル23p)に含まれている水溶液同士が基板表面を伝って移動し混ざり合うのを防止することができる。
1.9 製造方法その9
1.9.1 構成
図5、図6および図9のプロテインチップにおいて、互いに隣接するアレイ要素3a(プローブセル3p)間の基板表面を疎水処理する工程を更に含む。
1.9.2 作用・効果
構成互いに隣接するアレイ要素3a(プローブセル3p)間の基板表面を疎水処理しておくことにより、互いに隣接するアレイ要素3a(プローブセル3p)に含まれている水溶液同士が基板表面を伝って移動し混ざり合うのを防止することができる。
1.10 製造方法その10
1.10.1 構成
図19、図20および図23のプロテインチップにおいて、互いに隣接するアレイ要素23a(プローブセル23p)間の基板表面を疎水処理する工程を更に含む。
1.10.2 作用・効果
構成互いに隣接するアレイ要素23a(プローブセル23p)間の基板表面を疎水処理しておくことにより、互いに隣接するアレイ要素23a(プローブセル23p)に含まれている水溶液同士が基板表面を伝って移動し混ざり合うのを防止することができる。
1.11 製造方法その11
1.11.1 構成
図28は本発明にかかるプロテインチップの製造方法の一例を示す製造工程図である。この製造方法では、基板1上に整然と並んだアレイ要素3aを形成した後、(a)各アレイ要素3a上に脂質二重層51を形成し、(b)脂質二重層51にタンパク質(膜タンパク質)52を埋め込む。アレイ要素3aは、たとえば、図1中のバクテリアセルロースアレイ形成工程または図3中のバクテリアセルロースアレイ固定工程により形成される。
1.11.2 作用・効果
水を含んだバクテリアセルロース(BC)からなるアレイ要素3a上に脂質二重層51を形成し、脂質二重層51にタンパク質(膜タンパク質)52を埋め込むことにより、タンパク質52を含んだ脂質二重層51が水を含んだバクテリアセルロース(BC)の上に形成される。タンパク質52を含んだ脂質二重層51は、バクテリアセルロース(BC)の表面に保持されている水の中に浸された状態で保持される。このようにして製造されたプロテインチップによれば、細胞膜に相当する脂質二重層51が水を含んだバクテリアセルロース(BC)によって支えられているため、生体内と似た状態で細胞膜構成物質の研究を行うことが可能になる。
1.12 製造方法その12
1.12.1 構成
図29は本発明にかかるプロテインチップの製造方法の一例を示す製造工程図である。この製造方法では、図15中のホヤセルロースアレイ形成工程または図17中のホヤセルロースアレイ固定工程により基板1上に形成した各アレイ要素23a上に脂質二重層51を形成し、その脂質二重層51にタンパク質(膜タンパク質)52を埋め込む。
1.12.2 作用・効果
水を含んだホヤセルロース(AC)からなるアレイ要素3a上に脂質二重層51を形成し、脂質二重層51にタンパク質(膜タンパク質)52を埋め込むことにより、タンパク質52を含んだ脂質二重層51が水を含んだホヤセルロース(AC)の上に形成される。タンパク質52を含んだ脂質二重層51は、ホヤセルロース(AC)の表面に保持されている水の中に浸された状態で保持される。このようにして製造されたプロテインチップによれば、細胞膜に相当する脂質二重層51が水を含んだホヤセルロース(AC)によって支えられているため、生体内と似た状態で細胞膜構成物質の研究を行うことが可能になる。
1.13 製造方法その13
1.13.1 構成
図28の製造方法において、互いに隣接するアレイ要素3a間の基板表面を疎水処理する工程を更に含む。
1.13.2 作用・効果
構成互いに隣接するアレイ要素3a間の基板表面を疎水処理しておくことにより、互いに隣接するアレイ要素3aに含まれている水溶液同士が基板表面を伝って移動し混ざり合うのを防止することができる。
1.14 製造方法その14
1.14.1 構成
図29の製造方法において、互いに隣接するアレイ要素23a間の基板表面を疎水処理する工程を更に含む。
1.14.2 作用・効果
構成互いに隣接するアレイ要素23a間の基板表面を疎水処理しておくことにより、互いに隣接するアレイ要素23aに含まれている水溶液同士が基板表面を伝って移動し混ざり合うのを防止することができる。
1.15 製造方法その15
1.15.1 構成
図10〜図12のプロテインチップ作成用プレートのバクテリアセルロース(BC)上に、図28と同様に、脂質二重層51を形成し、その脂質二重層51にタンパク質(膜タンパク質)52を埋め込む。図30は、図12のタイプのプロテインチップ作成用プレート13のバクテリアセルロース(BC)上に、タンパク質(膜タンパク質)52を埋め込んだ脂質二重層51を形成して得られるプロテインチップのプローブセルの構造を例示している。
1.15.2 作用・効果
このプロテインチップによれば、細胞膜に相当する脂質二重層51が水を含んだバクテリアセルロース(BC)によって支えられているため、生体内と似た状態で細胞膜構成物質の研究を行うことが可能になる。この場合も、構成互いに隣接するアレイ要素3a間の基板表面を疎水処理しておくことが望ましい。
1.16 製造方法その16
1.16.1 構成
図24〜図26のプロテインチップ作成用プレートのホヤセルロース(AC)上に、図29と同様に、脂質二重層51を形成し、その脂質二重層51にタンパク質(膜タンパク質)52を埋め込む。図31は、図26のタイプのプロテインチップ作成用プレート33のホヤセルロース(AC)上に、タンパク質(膜タンパク質)52を埋め込んだ脂質二重層51を形成して得られるプロテインチップのプローブセルの構造を例示している。
1.16.2 作用・効果
このプロテインチップによれば、細胞膜に相当する脂質二重層51が水を含んだホヤセルロース(AC)によって支えられているため、生体内と似た状態で細胞膜構成物質の研究を行うことが可能になる。この場合も、構成互いに隣接するアレイ要素3a間の基板表面を疎水処理しておくことが望ましい。
[バクテリアセルロースを用いたプロテインチップ]
本発明のプロテインチップは、その基板上のバクテリアセルロース内に生体細胞を導入もしくは培養することにより、細胞アレイとして利用することができる。すなわち、発現ベクターに挿入した状態のcDNAクローンをバクテリアセルロース(たとえば、図10に示すチップ作成用プレート11のアレイ要素3a、図11に示すチップ作成用プレート12のバクテリアセルロース層2、等)上にスポットし、その上で細胞を増殖させ、アレイされた遺伝子を導入することにより、外来遺伝子が発現した状態の細胞アレイを作成することができる。セルアレイ上の細胞に対しては蛍光免疫染色法、FISH法などの技術を使用することができる。バクテリアセルロースは含水性が極めて高いため、細胞の培養に必要な水分や栄養分を長時間保持することができる。
本発明のプロテインチップは、その基板上のバクテリアセルロース上に生体組織標本(ティッシュ)を載せ置くことにより、ティッシュアレイとして利用することができる。ホヤセルロースは含水性が極めて高いため、生体組織標本を長時間好適な湿潤状態に保つことができる。
本発明のプロテインチップは、その基板上のバクテリアセルロースに糖鎖を含む水溶液を含浸させることにより、糖鎖アレイとして利用することができる。
[ホヤセルロースを用いたプロテインチップ]
本発明のプロテインチップは、その基板上のホヤセルロース内に生体細胞を導入もしくは培養することにより、細胞アレイとして利用することができる。すなわち、発現ベクターに挿入した状態のcDNAクローンをホヤセルロース(たとえば、図24に示すチップ作成用プレート31のアレイ要素23a、図25に示すチップ作成用プレート32のバクテリアセルロース層22、等)上にスポットし、その上で細胞を増殖させ、アレイされた遺伝子を導入することにより、外来遺伝子が発現した状態の細胞アレイを作成することができる。セルアレイ上の細胞に対しては蛍光免疫染色法、FISH法などの技術を使用することができる。ホヤセルロースは含水性が極めて高いため、細胞の培養に必要な水分や栄養分を長時間保持することができる。
本発明のプロテインチップは、その基板上のホヤセルロース上に生体組織標本(ティッシュ)を載せ置くことにより、ティッシュアレイとして利用することができる。ホヤセルロースは含水性が極めて高いため、生体組織標本を長時間好適な湿潤状態に保つことができる。
本発明のプロテインチップは、その基板上のホヤセルロースに糖鎖を含む水溶液を含浸させることにより、糖鎖アレイとして利用することができる。
本発明にかかるプロテインチップの製造方法の一例を示す製造工程図 (a)バクテリアセルロースの内部構造を示す概念図 (b)バクテリアセルロース内においてタンパク質が水溶液中に浮遊した状態で保持されている様子を示す概念図 本発明にかかるプロテインチップの製造方法の一例を示す製造工程図 本発明にかかるプロテインチップの製造方法の一例を示す製造工程図 本発明にかかるプロテインチップの形態例を示す平面図 (a)プローブセルがライン状に並べて配置されているプロテインチップの形態例を示す平面図 (b)プローブセルがハニカム状に配置されているプロテインチップの形態例を示す平面図 本発明にかかるプロテインチップの形態例を示す平面図 (a)検出スポットがライン状に並べて配置されているプロテインチップの形態例を示す平面図 (b)検出スポットがハニカム状に配置されているプロテインチップの形態例を示す平面図 (a)本発明にかかるプロテインチップの形態例を示す平面図(b)本発明にかかるプロテインチップの形態例を示す縦断面図 本発明にかかるプロテインチップ作成用プレートの形態例を示す平面図 本発明にかかるプロテインチップ作成用プレートの形態例を示す平面図 (a)本発明にかかるプロテインチップ作成用プレートの形態例を示す平面図(b)本発明にかかるプロテインチップ作成用プレートの形態例を示す縦断面図 本発明にかかるプロテインチップの形態例を示す概念図 本発明にかかるプロテインチップまたはチップ作成用プレートの形態例を示す平面図 本発明にかかるプロテインチップの製造方法の一例を示す製造工程図 (a)ホヤセルロースの内部構造を示す概念図 (b)ホヤセルロース内においてタンパク質が水溶液中に浮遊した状態で保持されている様子を示す概念図 本発明にかかるプロテインチップの製造方法の一例を示す製造工程図 本発明にかかるプロテインチップの製造方法の一例を示す製造工程図 本発明にかかるプロテインチップの形態例を示す平面図 (a)プローブセルがライン状に並べて配置されているプロテインチップの形態例を示す平面図 (b)プローブセルがハニカム状に配置されているプロテインチップの形態例を示す平面図 本発明にかかるプロテインチップの形態例を示す平面図 (a)検出スポットがライン状に並べて配置されているプロテインチップの形態例を示す平面図 (b)検出スポットがハニカム状に配置されているプロテインチップの形態例を示す平面図 (a)本発明にかかるプロテインチップの形態例を示す平面図(b)本発明にかかるプロテインチップの形態例を示す縦断面図 本発明にかかるプロテインチップ作成用プレートの形態例を示す平面図 本発明にかかるプロテインチップ作成用プレートの形態例を示す平面図 (a)本発明にかかるプロテインチップ作成用プレートの形態例を示す平面図(b)本発明にかかるプロテインチップ作成用プレートの形態例を示す縦断面図 本発明にかかるプロテインチップまたはチップ作成用プレートの形態例を示す平面図 本発明にかかるプロテインチップの製造方法の一例を示す製造工程図(概念図) 本発明にかかるプロテインチップの製造方法の一例を示す製造工程図(概念図) 本発明にかかるプロテインチップのプローブセルの構造を例示する概略断面図(概念図) 本発明にかかるプロテインチップのプローブセルの構造を例示する概略断面図(概念図) タンパク質が脂質二重膜(脂質二重層)中に埋め込まれている状態を示す模式図概略断面図(1972年にシンガー・ニコルソンにより提案された膜モデルの図)
符号の説明
1 ガラス基板
1p ピット
2 バクテリアセルロース層
2f フィブリル
2s シート
2sp 検出スポット
3 バクテリアセルロースアレイ
3a アレイ要素
3p プローブセル
4 レーザビーム
5 タンパク質
6 水溶液
7 プロテインチップ
8 プロテインチップ
9 プロテインチップ
11 プロテインチップ作成用プレート
12 プロテインチップ作成用プレート
13 プロテインチップ作成用プレート
22 ホヤセルロース層
22f フィブリル
22s シート
22sp 検出スポット
23 ホヤセルロースアレイ
23a アレイ要素
23p プローブセル
37 プロテインチップ
38 プロテインチップ
39 プロテインチップ
41 プロテインチップ作成用プレート
42 プロテインチップ作成用プレート
43 プロテインチップ作成用プレート
52 タンパク質(膜タンパク質)
51 脂質二重層
AC ホヤセルロース
BC バクテリアセルロース

Claims (32)

  1. 基板上にバクテリアセルロース層を形成する工程と、
    前記バクテリアセルロース層を整然と並んだアレイ要素からなるバクテリアセルロースアレイに加工する工程と、
    互いに隣接する前記アレイ要素間の基板表面を疎水処理する工程と、
    タンパク質を含む水溶液を前記アレイ要素に含浸させる工程と、
    を含むプロテインチップの製造方法。
  2. バクテリアセルロースのシートを整然と並んだアレイ要素からなるバクテリアセルロースアレイに加工する工程と、
    前記バクテリアセルロースアレイを基板上に固定する工程と、
    互いに隣接する前記アレイ要素間の基板表面を疎水処理する工程と、
    タンパク質を含む水溶液を前記アレイ要素に含浸させる工程と、
    を含むプロテインチップの製造方法。
  3. 基板上に水を含浸したバクテリアセルロース層を形成する工程と、
    前記バクテリアセルロース層上に脂質二重層を形成する工程と、
    前記脂質二重層にタンパク質を埋め込む工程と、
    を含むプロテインチップの製造方法。
  4. 基板上にバクテリアセルロース層を形成する工程と、
    前記バクテリアセルロース層を整然と並んだアレイ要素からなるバクテリアセルロースアレイに加工する工程と、
    前記アレイ要素上に脂質二重層を形成する工程と、
    前記脂質二重層にタンパク質を埋め込む工程と、
    を含むプロテインチップの製造方法。
  5. バクテリアセルロースのシートを整然と並んだアレイ要素からなるバクテリアセルロースアレイに加工する工程と、
    前記バクテリアセルロースアレイを基板上に固定する工程と、
    前記アレイ要素上に脂質二重層を形成する工程と、
    前記脂質二重層にタンパク質を埋め込む工程と、
    を含むプロテインチップの製造方法。
  6. 互いに隣接する前記アレイ要素間の基板表面を疎水処理する工程を更に含む請求項4または5に記載の製造方法。
  7. 前記バクテリアセルロースはナタデココである、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかの製造方法。
  8. タンパク質を含む水溶液を含浸したバクテリアセルロースからなるプローブセルを基板上に整然と並べて固定するとともに、互いに隣接するプローブセル間の基板表面を疎水処理してなるプロテインチップ。
  9. 水を含浸したバクテリアセルロースからなるアレイ要素を基板上に整然と並べて固定するとともに、タンパク質を埋め込んだ脂質二重層を各アレイ要素上に形成してなるプロテインチップ。
  10. 互いに隣接するアレイ要素間の基板表面を疎水処理してなる請求項9のプロテインチップ。
  11. 前記バクテリアセルロースはナタデココである、ことを特徴とする請求項8〜9のいずれかのプロテインチップ。
  12. 請求項8〜11のいずれかのプロテインチップを作成するためのプレートであって、
    水(タンパク質を含む水溶液を除く。)を含浸したバクテリアセルロースまたは水を含浸する前のバクテリアセルロースを基板上に固定してなるプロテインチップ作成用プレート。
  13. タンパク質を埋め込んだ脂質二重層を、含水状態のバクテリアセルロース上に形成したことを特徴とするタンパク質保持方法。
  14. 前記バクテリアセルロースはナタデココである、ことを特徴とする請求項13のタンパク質保持方法。
  15. 基板上にホヤセルロース層を形成する工程と、
    前記ホヤセルロース層を整然と並んだアレイ要素からなるホヤセルロースアレイに加工する工程と、
    互いに隣接する前記アレイ要素間の基板表面を疎水処理する工程と、
    タンパク質を含む水溶液を前記アレイ要素に含浸させる工程と、
    を含むプロテインチップの製造方法。
  16. ホヤセルロースのシートを整然と並んだアレイ要素からなるホヤセルロースアレイに加工する工程と、
    前記ホヤセルロースアレイを基板上に固定する工程と、
    互いに隣接する前記アレイ要素間の基板表面を疎水処理する工程と、
    タンパク質を含む水溶液を前記アレイ要素に含浸させる工程と、
    を含むプロテインチップの製造方法。
  17. 基板上にホヤセルロース層を形成する工程と、
    タンパク質を含む水溶液を前記ホヤセルロース層上に整然と並べてスポットする工程と、
    を含むプロテインチップの製造方法。
  18. 基板上にホヤセルロース層を形成する工程と、
    前記ホヤセルロース層を整然と並んだアレイ要素からなるホヤセルロースアレイに加工する工程と、
    互いに隣接する前記アレイ要素間の基板表面を疎水処理する工程と、
    タンパク質を含む水溶液を前記アレイ要素に含浸させる工程と、
    を含むプロテインチップの製造方法。
  19. ホヤセルロースのシートを整然と並んだアレイ要素からなるホヤセルロースアレイに加工する工程と、
    前記ホヤセルロースアレイを基板上に固定する工程と、
    互いに隣接する前記アレイ要素間の基板表面を疎水処理する工程と、
    タンパク質を含む水溶液を前記アレイ要素に含浸させる工程と、
    を含むプロテインチップの製造方法。
  20. 基板上に水を含浸したホヤセルロース層を形成する工程と、
    前記ホヤセルロース層上に脂質二重層を形成する工程と、
    前記脂質二重層にタンパク質を埋め込む工程と、
    を含むプロテインチップの製造方法。
  21. 基板上にホヤセルロース層を形成する工程と、
    前記ホヤセルロース層を整然と並んだアレイ要素からなるホヤセルロースアレイに加工する工程と、
    前記アレイ要素上に脂質二重層を形成する工程と、
    前記脂質二重層にタンパク質を埋め込む工程と、
    を含むプロテインチップの製造方法。
  22. ホヤセルロースのシートを整然と並んだアレイ要素からなるホヤセルロースアレイに加工する工程と、
    前記ホヤセルロースアレイを基板上に固定する工程と、
    前記アレイ要素上に脂質二重層を形成する工程と、
    前記脂質二重層にタンパク質を埋め込む工程と、
    を含むプロテインチップの製造方法。
  23. 互いに隣接する前記アレイ要素間の基板表面を疎水処理する工程を更に含む請求項21または22に記載の製造方法。
  24. タンパク質を含む水溶液を含浸したホヤセルロースからなるプローブセルを基板上に整然と並べて固定するとともに、互いに隣接するプローブセル間の基板表面を疎水処理してなるプロテインチップ。
  25. 水を含浸したホヤセルロースからなるアレイ要素を基板上に整然と並べて固定するとともに、タンパク質を埋め込んだ脂質二重層を各アレイ要素上に形成してなるプロテインチップ。
  26. 互いに隣接するアレイ要素間の基板表面を疎水処理してなる請求項24のプロテインチップ。
  27. 請求項24〜26のいずれかのプロテインチップを作成するためのプレートであって、
    水(タンパク質を含む水溶液を除く。)を含浸したホヤセルロースまたは水を含浸する前のホヤセルロースを基板上に固定してなるプロテインチップ作成用プレート。
  28. タンパク質を埋め込んだ脂質二重層を、含水状態のホヤセルロース上に形成したことを特徴とするタンパク質保持方法。
  29. バクテリアセルロースまたはホヤセルロースをタンパク質を含む水溶液中に浸漬することにより、タンパク質を含む水溶液を含浸したセルロースを作成する工程と、
    当該セルロースからなるセルロース層を基板上に固定する工程と、
    を含むプロテインチップの製造方法。
  30. 前記セルロース層を整然と並んだプローブセルからなるプローブセルアレイに加工する工程を更に含む請求項29に記載のプロテインチップの製造方法。
  31. バクテリアセルロースまたはホヤセルロースをタンパク質を含む水溶液中に浸漬することにより、タンパク質を含む水溶液を含浸したセルロースを作成する工程と、
    当該セルロースからなるプローブセルを基板上に整然と並べて固定する工程と、
    を含むプロテインチップの製造方法。
  32. 互いに隣接するプローブセル間の基板表面を疎水処理する工程を更に含む請求項30または31に記載のプロテインチップの製造方法。
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