JP2005283271A - Icチップ、miセンサ、およびmiセンサを備えた電子装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 複数のMI素子を接続するS/N比の良好なICチップ、MIセンサ、及びMIセンサを備えた電子装置を提供する。
【解決手段】 ICチップ13は、短パルス幅のパルス信号を発生するパルス発生回路20と、パルス信号を分配するXYZ軸切替回路21と、電流増幅されたパルス信号がゲート24−1に供給されることにより励磁電流をMI素子12に供給するスイッチング回路24と、励磁電流によりMI素子12に誘起された検知信号のピーク値を検出するサンプリング回路31等から構成される。分配された後のパルス信号が流通するXYZ軸切替回路21からスイッチング回路24のゲート24−1までの配線W−1、およびXYZ軸切替回路21からサンプリング回路31のアナログスイッチの制御入力部SW−1までの配線W−2の配線抵抗値と配線容量値との積を、各軸のMI素子12に対応する配線W−1、W−2間で略等しく構成する。
【選択図】 図3
【解決手段】 ICチップ13は、短パルス幅のパルス信号を発生するパルス発生回路20と、パルス信号を分配するXYZ軸切替回路21と、電流増幅されたパルス信号がゲート24−1に供給されることにより励磁電流をMI素子12に供給するスイッチング回路24と、励磁電流によりMI素子12に誘起された検知信号のピーク値を検出するサンプリング回路31等から構成される。分配された後のパルス信号が流通するXYZ軸切替回路21からスイッチング回路24のゲート24−1までの配線W−1、およびXYZ軸切替回路21からサンプリング回路31のアナログスイッチの制御入力部SW−1までの配線W−2の配線抵抗値と配線容量値との積を、各軸のMI素子12に対応する配線W−1、W−2間で略等しく構成する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、微弱な磁場を検知可能なMI(Magneto−Impedance effect、磁気インピーダンス効果型)センサに用いられるICチップ、MIセンサ、及びMIセンサを備えた電子装置に関する。
従来、磁気センサとして、ホールセンサ、フラックスゲートセンサ、磁気抵抗効果型(MR)センサ等が実用化されてきた。これらのうちフラックスゲートセンサは1μOeの高い検出感度という特長を有し、MRセンサは大きさが数十μmの感磁素子を備え、低消費電力、及び高速応答性という特長を有している。
一方、磁気センサとして、磁気インピーダンス効果(MI効果)を利用した磁気インピーダンス効果型(MI)センサが提案されている。MIセンサは、感磁素子部分であるMI素子が軟磁性体よりなるアモルファスワイヤに検知コイルを巻回した構造を有する。MIセンサは、高周波あるいはパルス状の励磁電流をアモルファスワイヤに供給して表皮効果を発生させ、アモルファスワイヤの長手方向に印加されている外部磁場との作用で、アモルファスワイヤの透磁率の変化によりインピーダンスが変化し、外部磁場の大きさに対応する検知信号が検知コイルに誘導される現象を利用して外部磁場を検出するものである。
MIセンサは、(1)磁場検出限界が1μOeであり高感度であること、(2)短パルス電流を使用するので低消費電力であること等の特長を有している。MIセンサはこれらの特長を生かして、電子コンパス等の携帯電子装置に搭載され始めている(例えば特許文献1および2参照。)。
特開平6−176930号公報
特開2001−296127号公報
ところで、MI素子の検知コイルに誘導された検知信号はアナログ信号であり、そのピーク値が、外部磁場のアモルファスワイヤの長手方向成分の大きさに比例する。したがって、検知信号のピーク値を的確に検出する程、MIセンサの信号対雑音比(S/N比)を向上することができる。
しかしながら、パルス状の励磁電流の立ち上がり等に伴って誘導される検知信号は時間幅が数nsecから数10nsecと短く、さらに検知信号の波形が急峻であるので、検知信号を検出するタイミングのずれによりピーク値からずれた電圧値を検出してしまい、S/N比の劣化を招き易いという問題がある。
例えば、パルス状の励磁電流を供給するトランジスタの制御信号と、検知信号を検出する際の制御信号として、同一のパルス信号を用いても、パルス信号が配線を伝導する際に配線抵抗Rおよび配線容量Cによる遅延が生じる。
また、複数のMI素子毎に励磁電流を供給する回路や検知信号を検出する回路を設ける必要があり、これらの回路のバラツキにより、検知信号の検出がさらに困難化するという問題がある。
そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、小型化が可能でS/N比が良好なICチップ、MIセンサ、及びMIセンサを備えた電子装置を提供することである。
本発明の一観点によれば、外部磁場を検知する複数のMI素子に励磁電流を供給し、該励磁電流に基づいて該複数のMI素子からの外部磁場の大きさに対応する検知信号が供給されるICチップであって、パルス信号を発生するパルス発生手段と、前記パルス信号に基づいて前記MI素子に励磁電流を供給する電流供給用スイッチング手段と、前記パルス信号に基づいて前記MI素子から供給される検知信号の略ピーク値を検出するサンプリング手段とを備え、前記電流供給用スイッチング手段およびサンプリング手段は前記MI素子毎に設けられ、パルス発生手段の出力側に、前記パルス信号を前記MI素子に対応する電流供給用スイッチング手段の制御信号入力部とサンプリング手段の制御信号入力部に分配する切替手段を備え、前記切替手段と電流供給用スイッチング手段の制御信号入力部との間を接続する励磁電流制御用配線と、前記切替手段とサンプリング手段の制御信号入力部との間を接続するサンプリング制御信号用配線とを有し、前記複数のMI素子のうちいずれか一つのMI素子に対応する励磁電流制御用配線とサンプリング制御信号用配線は、配線抵抗値と配線容量値との積が互いに略等しく形成されてなることを特徴とするICチップが提供される。
本発明によれば、複数のMI素子からの外部磁場の大きさに対応する検知信号のピーク値をサンプリング手段により検出する際に、検知信号を誘起する励磁電流のタイミングを制御するパルス信号が流通する励磁電流制御用配線と、検出のタイミングを制御するパルス信号が流通するサンプリング制御信号用配線を、一つのMI素子に対応するそれらの配線の配線抵抗値と配線容量値との積が互いに略等しくなるように形成する。このことにより、励磁電流制御用配線とサンプリング制御信号用配線を流通するパルス信号の伝送速度が略同等となり、電流供給用スイッチング手段の制御入力部に供給されるパルス信号とサンプリング手段の制御入力部に供給されるパルス信号との遅延量を所定の量とすることで、検出のタイミングを容易に調整することができ略ピーク値を高精度に検出することができる。その結果、検出された信号電圧が向上するのでS/Nを向上することができる。なお、ここで配線抵抗値と配線容量値との積が互いに略等しくとは、積の差が20%以内であることをいい、以下本明細書において同様である。
前記MI素子に対応する励磁電流制御用配線とサンプリング制御信号用配線は、配線長が各々互いに略等しく形成されてもよい。配線長をほぼ同等とすることにより、電流供給用スイッチング手段の制御入力部に供給されるパルス信号とサンプリング手段の制御入力部に供給されるパルス信号との遅延量をほぼ同等の所定量として、サンプリング手段での検出のタイミングを一層容易に調整できる。
前記MI素子に対応する励磁電流制御用配線と他のMI素子に対応する励磁電流制御用配線は、配線抵抗値と配線容量値との積が互いに略等しく形成されてもよく、前記MI素子に対応するサンプリング制御信号用配線と他のMI素子に対応するサンプリング制御信号用配線は、配線抵抗値と配線容量値との積が互いに略等しく形成されてもよい。各々のMI素子に対応するサンプリング手段ごとに検出のタイミングを調整する手間を省ける。
前記電流供給用スイッチング手段は複数のトランジスタからなり、前記トランジスタは、各々のMI素子に対応する電流供給用スイッチング手段間で、互いに略同じ方向に配列されてもよい。トランジスタを形成する際にシリコン基板等に斜めに導電性不純物を注入して形成する浅い不純物領域等の分布の異方性により生じるトランジスタの電気特性のばらつきを抑制することができ、各々のMI素子に供給される励磁電流のパルス信号の遅延量や波形を揃えることができる。
前記切替手段と前記電流供給用スイッチング手段の制御信号入力部との間にパルス信号の電流増幅を行う電流増幅手段を備え、前記電流増幅手段は複数のトランジスタからなり、前記トランジスタが、各々のMI素子に対応する電流増幅手段間で、互いに略同じ方向に配列されてもよい。トランジスタを形成する際にシリコン基板等に斜めに導電性不純物を注入して形成する浅い不純物領域等の分布の異方性により生じるトランジスタの電気特性のばらつきを抑制することができ、各々のMI素子に対応する電流増幅手段のパルス信号の遅延量や波形を揃えることができる。
前記トランジスタは、各々のMI素子に対応する電流供給用スイッチング手段または電流増幅手段間で、回路構成上対応するトランジスタが略同じ寸法を有してもよい。
当該ICチップの表面に前記MI素子に接続される励磁電流用電極と、前記電流供給用スイッチング手段の出力側と励磁電流用電極とを接続する励磁電流用配線とを備え、前記MI素子に対応する励磁電流用配線と前記他のMI素子に対応する励磁電流用配線は、配線抵抗値と配線容量値との積が互いに略等しく形成されてもよい。トランジスタの寄生容量や寄生抵抗がほぼ同等となるので、トランジスタの過渡特性等の電気特性をほぼ同等とすることができる。
当該ICチップの表面に前記MI素子に接続される励磁電流用電極と、前記電流供給用スイッチング手段の出力側と励磁電流用電極とを接続する励磁電流用配線とを備え、前記MI素子に対応する励磁電流用配線と前記他のMI素子に対応する励磁電流用配線は、配線長および配線断面積が各々互いに略等しく形成されてもよい。電流供給用スイッチング手段から出力された励磁電流の伝送速度と波形の変形を、各々のMI素子に対応する励磁電流用配線を流れる励磁電流間でほぼ一定とすることで、MI素子で誘導される検知信号の外部磁場に対する感度差を抑制できる。
当該ICチップの表面に前記MI素子に接続される検知信号用電極と、前記検知信号用電極とサンプリング手段とを接続する検知信号用配線とを備え、前記MI素子に対応する検知信号用配線と前記他のMI素子に対応する検知信号用配線は、配線抵抗値と配線容量値との積が互いに略等しく形成されてもよい。検知信号の伝送速度と波形の変形を、各々のMI素子に対応する検知信号用配線を流通する検知信号間でほぼ一定とすることで、MI素子で誘導される検知信号の外部磁場に対する感度差を抑制できる。
当該ICチップの表面に前記MI素子に接続される検知信号用電極と、前記検知信号用電極とサンプリング手段とを接続する検知信号用配線とを備え、前記MI素子に対応する検知信号用配線と前記他のMI素子に対応する検知信号用配線は、配線長および配線断面積が各々互いに略等しく形成されてもよい。検知信号の電圧降下を各々のMI素子に対応する検知信号用配線間でほぼ一定とすることで、感度差を抑制できる。
本発明の他の観点によれば、複数のMI素子と、上記のいずれかのICチップと、を備えるMIセンサが提供される。
本発明によれば、上記のICチップは良好なS/N比を有するので、外部磁場の大きさおよび方向の検出が正確かつ信頼性が高いMIセンサを実現できる。
前記MI素子とICチップとを収納する容器を備え、前記ICチップは前記容器の略中央に配置されると共に、前記ICチップの近傍に互いに長手方向が略垂直をなす3つのMI素子が配置されてもよい。
本発明のその他の観点によれば、電子基板と、前記電子基板上に上記のMIセンサと、を備える電子装置が提供される。
本発明によれば、上記のMIセンサは良好なS/N比を有し小型化が可能なので、外部磁場の大きさおよび方向の検出が正確かつ信頼性が高く、携帯に適した電子装置を実現できる。
本発明によれば、検知信号を誘起する励磁電流のタイミングを制御するパルス信号が流通する励磁電流制御用配線と、検出のタイミングを制御するパルス信号が流通するサンプリング制御信号用配線を、それらの配線の配線抵抗値と配線容量値との積が互いに略等しくなるように形成することにより、検知信号の略ピーク値を高精度に検出することができ、S/N比が良好なICチップ、MIセンサ、及びMIセンサを備えた電子装置を実現することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係るMIセンサの斜視図である。図1を参照するに、本実施の形態のMIセンサ10は、ケース11内に配設された3つの磁気インピーダンス効果型素子(以下「MI素子」と略称する。)12X、12Y、12z(以下特に断らない限りX軸、Y軸、Z軸についての符号「12X、12Y、12z」を「12」と略称し、他の符号についても同様とする。)と、MI素子12に接続されケース11内に配設されたICチップ13等により構成されている。MI素子12は、同じ面内で互いに略垂直(X軸とY軸とする。)をなしてケース11内に配置された2つMI素子12X、12Yと、これらのMI素子12X、12Yに垂直に配置されたZ軸のMI素子12zとからなる。
図1は、本発明の実施の形態に係るMIセンサの斜視図である。図1を参照するに、本実施の形態のMIセンサ10は、ケース11内に配設された3つの磁気インピーダンス効果型素子(以下「MI素子」と略称する。)12X、12Y、12z(以下特に断らない限りX軸、Y軸、Z軸についての符号「12X、12Y、12z」を「12」と略称し、他の符号についても同様とする。)と、MI素子12に接続されケース11内に配設されたICチップ13等により構成されている。MI素子12は、同じ面内で互いに略垂直(X軸とY軸とする。)をなしてケース11内に配置された2つMI素子12X、12Yと、これらのMI素子12X、12Yに垂直に配置されたZ軸のMI素子12zとからなる。
MIセンサ10は、ICチップ13が励磁電流を各々のMI素子12に供給し、磁気インピーダンス効果により外部磁場のX軸、Y軸、およびZ軸成分の大きさに対応した検知信号が各軸のMI素子12の検知コイル(後述する。)に誘導され、ICチップ13がその検知信号を処理して外部磁場の各軸成分の大きさに対応した出力信号をMIセンサ10に接続されたMPU等(図示せず)に供給し、MPU等により3軸方向の磁場成分が合成され、外部磁場の方向及び大きさを検出することができる。
ケース11は、セラミック、ガラス、プラスチック、シリコン等よりなり、略中心にICチップ13が収納される四角形の凹部が形成される。ケース11は、X軸およびY軸のMI素子12X、12Yが収納される長さ約4mm、幅数mm程度の凹部が形成され、さらにZ軸のMI素子が配置される凹部あるいは貫通孔が形成される。また、ケース11の上面の周辺部にはケース電極14が設けられ、ケース電極14はワイヤ15等によりICチップ13およびMPU等が実装された電子基板等の端子に接続される。
ICチップ13は、後述する回路を有するCMOSまたはバイポーラIC等により構成される。ICチップ13の表面に、MI素子12と接続をするための励磁電流用電極16、励磁電流用グランド電極16G、及び検知信号用電極17が設けられ、また、電源電圧が供給される電源電極や、出力信号を外部のMPU等に供給するための出力用電極19a、接地電位のためのグランド電極等の外部との接続用電極19が設けられる。ICチップ13は、MI素子12のアモルファスワイヤ(図3において示す。)に流すパルス状の励磁電流を励磁電流用電極16及び励磁電流用ワイヤ16aを介して供給し、また、外部磁場の大きさに対応する検知信号が検知信号用電極17を介して供給され、後述する回路により外部磁場の大きさに相当する出力信号がICチップ13に接続されたMPU等に出力される。
MI素子12は、上述したようにケース11に長手方向を各々X軸、Y軸およびZ軸に並行に3つ配置され、外部磁場をX軸、Y軸およびZ軸の3軸方向に分解してそれらの成分の大きさを各々検出する。
図2は、MI素子の一例を示す斜視図である。図2を参照するに、MI素子12は、アモルファスワイヤ41と、そのアモルファスワイヤ41を巻回するように形成された検知コイル42と、アモルファスワイヤ41に接続されICチップ13から励磁電流が供給される端子43等により構成されている。MI素子12は例えばおおよそ長さ数mm、幅1mm、高さ0.3mmの形状を有する。MI素子12は、磁気インピーダンス効果により、MI素子12に印加される外部磁場について、アモルファスワイヤ41の長手方向成分の大きさを検出することが可能である。なお、外部磁場の方向を検出するためには必ずしも3つのMI素子12のアモルファスワイヤ41の長手方向が略垂直をなす必要はなく、互いに平行でなければよい。但し、効率の観点からは、3つのMI素子12のアモルファスワイヤの長手方向が垂直をなすことが好ましい。
アモルファスワイヤ41は、長さ約2mm、直径数十μmの軟磁性のアモルファス磁性体から構成されている。アモルファス磁性体には、例えば、FeB、CoB,FeNiSiB、FeCoSiB、CoSiB等を用いることができ、検知コイル42に誘導される検知信号の線形性の点より、外部磁場が数Oe以下において磁歪を示さない材料、或いは線引き後に熱処理を施した材料が好ましい。なお、アモルファスワイヤ41に替えて軟磁性薄膜あるいは軟磁性薄体を使用することができるが、軟磁性薄膜あるいは軟磁性薄体の幅方向の反磁場がアモルファスワイヤより大きいので、アモルファスワイヤがより好ましい。また、アモルファスワイヤ41に替えて非磁性導体のワイヤを芯材として、その表面を10nmから5μmの厚さの軟磁性材料で、電着法、蒸着法、スパッタ法、CVD法等により被覆したものを用いてもよい。この場合の軟磁性材料には上述した、FeB、CoB,FeNiSiB、FeCoSiB、CoSiBの他、NiFe(パーマロイ)、FeAlSi等の軟磁性材料を用いることができる。芯剤には例えばAl、Cu等を用いることができ、アモルファスワイヤより選択の範囲が拡大する点で好ましく、さらに端子43に接続し易い芯材が選択できる点で好ましい。
また、アモルファスワイヤ41の長さを2mm以下、さらには1mm以下にしてもよい。磁気インピーダンス効果の原理により、アモルファスワイヤ41を短小化しても外部磁場の検出感度は悪化せず、小型化可能な点で好ましい。短小化した場合の問題点はアモルファスワイヤとAl等からなる端子43とのボンディングがより困難になることであるが、超音波併用熱圧着法により可能である。また、アモルファスワイヤ41の周回方向に巻回される検知コイル42は、例えば10t〜100tであり、小型化の観点から10t〜30tであることが好ましい。
図3は、第1の実施の形態に係るICチップの回路図、図4は図3に示す回路の波形図である。
図3および適宜図4を参照しつつ説明する。ICチップ13は、MI素子12に励磁電流を供給するための励磁電流生成部13Aと、MI素子12からの検知信号を処理し出力信号を外部のMPU等に送信する信号処理部13B等から構成される。
励磁電流生成部13Aは、短パルス幅のパルス信号を発生するパルス発生回路20と、パルス信号をスイッチング回路24の制御信号およびサンプリング回路31の制御信号として、X軸、Y軸、およびZ軸用のスイッチング回路24およびサンプリング回路31これらに分配するXYZ軸切替回路21と、前記パルス信号を遅延させる遅延回路22と、パルス信号を電流増幅するバッファ回路23と、電流増幅されたパルス信号が制御入力部に供給されることにより励磁電流をMI素子12に供給するスイッチング回路24等より構成される。
信号処理部13Bは、X軸、Y軸、およびZ軸のMI素子12からの検知信号のピーク値を各々検出するサンプリング回路31およびホールド回路32と、検出された信号を増幅等する増幅回路33および出力回路34等から構成される。以下、具体的に各々の回路を説明する。
パルス発生回路20では、マルチバイブレータや水晶発振器を用いた発振回路等により数百kHz〜数十MHzのパルス状のクロック信号が生成され、クロック信号を分周すると共に、積分回路等により遅延させ、例えば、もとの信号と遅延させた信号の反転信号の「AND」をとって、図4Aに示す例えば1〜50nsec程度の時間幅の短いパルスを生成する。なお、本実施の形態では一例としてパルス周期を500kHzとし、パルス幅を45nsecとした。パルス発生回路20により生成されたパルス信号はXYZ軸切替回路21に送信される。
XYZ軸切替回路21は、パルス発生回路20と、各軸毎に設けられた遅延回路22およびバッファ回路30との間に設けられる。XYZ軸切替回路21では、パルス発生回路20から供給されたパルス信号が、MIセンサに接続されるMPU等の外部から供給されるXYZ軸切替信号(図4B−1およびB−2に示す。)に基づいて、X軸、Y軸、およびZ軸用の各々の配線W−1、W−2に分配され、パルス信号が遅延回路22およびバッファ回路30に供給される。
ここで、XYZ軸切替信号は、例えば図1に示すように、MIセンサ10に接続されるMPU等から切替信号電極46−1、46−2に供給され、図4B−1、B−2に示すように、XYZ軸切替信号B−1、XYZ軸切替信号B−2の2ビットのパラレル信号からなる。図4B−1、B−2、およびCx〜Czに示すように、パルス信号は、XYZ軸切替信号B−1とXYZ軸切替信号B−2の両方が「High」の場合にX軸用の配線Wx−1、Wx−2に分配され(波形Cx)、XYZ軸切替信号B−1が「High」、XYZ軸切替信号B−2が「Low」の場合にY軸用の配線Wy−1、Wy−2に分配され(波形Cy)、XYZ軸切替信号B−1が「Low」、XYZ軸切替信号B−2が「High」の場合にZ軸用の接続線Wz−1、Wz−2に分配される(波形Cz)。なお、XYZ軸切替信号と分配先との対応関係は上述した対応関係に限定されず、XYZ軸切替信号は2ビットに限定されない。また、XYZ軸切替回路21が2つのパルス信号毎に切替えられる例を示したが、1つのパルス信号毎であってもよく、3つ以上でもよい。また、XYZ軸切替信号はICチップの内部で生成してもよい。
遅延回路22は、XYZ軸切替回路21とバッファ回路23との間に、X軸、Y軸、およびZ軸用の3つの回路22X、22Y、22Zが設けられ、例えば積分回路とバッファから構成され、パルス信号を所定の時間を遅延させて、後述するサンプリング回路31における検知信号と制御信号とのタイミングを合わせる。
バッファ回路23は、X軸、Y軸、およびZ軸用の3つの回路23X、23Y、23Zが設けられ、数個〜10数個の直列に接続されたバッファから構成される。各々のバッファはトランジスタ、例えばCMOS−FETからなる。下流のバッファになるほど、より大きな駆動電流を流すことが可能なように、例えばCMOS−FETのゲート幅とゲート長の積を次第に大きく設定してもよい。スイッチング回路24の制御入力部に一層大きな電流を流すことができ、スイッチング回路24のターンオン等を高速化できる。
また、バッファ回路23は、X軸、Y軸、およびZ軸用の各々のバッファ回路23において、回路構成上対応するトランジスタがほぼ同様の構成、すなわち、同様の寸法(ゲート長、ゲート幅、ゲート絶縁膜厚さ等)や材料で形成されることが好ましい。トランジスタの寄生容量や寄生抵抗がほぼ同等となるので、トランジスタの過渡特性等の電気特性をほぼ同等とすることができる。X軸、Y軸、およびZ軸用のバッファ回路23間で回路構成上対応するトランジスタの電気特性をほぼ同等とすることにより、X軸、Y軸、およびZ軸用のバッファ回路23を流通するパルス信号の遅延量や波形を揃えることができる。
また、バッファ回路23はトランジスタが所定の方向に、かつ、X軸、Y軸、およびZ軸用の各々のバッファ回路23間でほぼ同じ方向に配列されることが好ましい。トランジスタを形成する際にシリコン基板等に斜めに導電性不純物を注入して形成する浅い不純物領域の分布の異方性により生じるトランジスタの電気特性のばらつきを抑制することができ、X軸、Y軸、およびZ軸用のバッファ回路23を流通するパルス信号の遅延量や波形を揃えることができる。
スイッチング回路24はX軸、Y軸、およびZ軸用の3つの回路24X、24Y、24Zが設けられ、各々複数のトランジスタ、例えばMOS−FETにより構成される。スイッチング回路24では、バッファ回路23からパルス信号がスイッチング回路24の制御入力部であるゲート24−1に入力される。パルス信号によりこのMOS−FETがターンオンされると、励磁電流がソースから励磁電流用電極16を介して各軸のMI素子12に供給される。励磁電流の波形は図4Dx〜Dzに示すものとなる。すなわち、励磁電流は、X軸用のMI素子12X、Y軸用のMI素子12Y、Z軸用のMI素子12Zに、順次、すなわち時系列的に供給される。これにより各軸のMI素子12に流れた励磁電流が他の軸の検知信号に与える影響を防止する。
また、スイッチング回路24は、X軸、Y軸、およびZ軸用の各々のスイッチング回路24において、回路構成上対応するトランジスタがほぼ同様の構成、すなわち、同様の寸法(ゲート長、ゲート幅、ゲート絶縁膜厚さ等)や材料で形成されることが好ましい。トランジスタの寄生容量や寄生抵抗がほぼ同等となるので、トランジスタの過渡特性等の電気特性をほぼ同等とすることができる。X軸、Y軸、およびZ軸用のスイッチング回路24間で回路構成上対応するトランジスタの電気特性をほぼ同等とすることにより、X軸、Y軸、およびZ軸用のMI素子に流す励磁電流の波形および電流量を揃えて、MI素子の感度をX軸、Y軸、およびZ軸間で容易に合わせることができる。また、ゲート24−1に供給されたパルス信号に対して励磁電流が流れるタイミングをX軸、Y軸、およびZ軸間で揃えることができる。
また、スイッチング回路24は、トランジスタが所定の方向に、かつ、X軸、Y軸、およびZ軸用の各々のスイッチング回路24間でほぼ同じ方向に配列されることが好ましい。トランジスタを形成する際にシリコン基板等に斜めに導電性不純物を注入して形成する浅い不純物領域やいわゆるポケット領域の分布の異方性により生じるトランジスタの電気特性のばらつきを抑制することができ、X軸、Y軸、およびZ軸用のMI素子に供給される励磁電流のパルス信号の遅延量や波形を揃えることができる。
ここで励磁電流は、100mA〜500mAの範囲であることが好ましい。100mAより小さいとMI素子12の検知コイル42に十分な出力電圧が誘導されず、信号対雑音比が低下、すなわち磁場検出感度が低下してしまう。また500mAより大きいとスイッチング時に発生したノイズが検知信号等に重畳してしまい、信号対雑音比が低下してしまう。
励磁電流は、スイッチング回路24から励磁電流用電極16に取り出される。励磁電流用電極16は、スイッチング回路24に近くかつMI素子12のアモルファスワイヤ41の長手方向の一端付近に設けられる。励磁電流用電極16はアモルファスワイヤ41に可能な限り近接して設けられる程よい。励磁電流は比較的大電流であるので、スイッチング回路24からアモルファスワイヤ41までの配線が長すぎると、配線がアンテナとなって電磁波が放射され、その電磁波が例えば検知信号に重畳され信号対雑音比を低下させてしまう。
励磁電流用電極16に接続されたアモルファスワイヤ41にはパルス状の励磁電流が流れ、その他端に接続された励磁電流用グランド電極16Gに落とされる。
検知信号は、図4Ex〜Ezに示すように、外部磁場のアモルファスワイヤ41の長手方向成分の大きさに応じて、X軸、Y軸およびZ軸用の検知コイル42の両端にそれぞれ誘導される。この検知信号は検知コイル42から検知信号用電極17を介してサンプリング回路31に供給される。
サンプリング回路31では、XYZ軸切替回路21において分配されたパルス信号が制御入力部SW−1に供給され、検知信号のメインピークのピーク値が検出される。具体的には、サンプリング回路31は、アナログスイッチSWX、SWY、SWZにより構成されている。すなわち、図4Ex〜Ezに示すように、検知信号に対して、図4SWx−1〜SWz−1に示すパルス信号がアナログスイッチの制御入力部SWX−1、SWY−1、SWZ−1に供給され、例えばパルス信号が「High」のとき、検知信号がアナログスイッチSWX、SWY、SWZを透過し、そのピーク値がホールド回路32で保持される。
なお、パルス信号はアナログスイッチの制御入力部SW−1を駆動するための電流量に増加させるため、XYZ軸切替回路21とアナログスイッチの制御入力部SW−1との間にバッファ30が設けられる。バッファ回路30は、上述したバッファ回路23と略同様に構成される。
ホールド回路32は、コンデンサCap等からなり、サンプリング回路31により検出された検知信号のメインピークのピーク値がホールドされる。その結果、図4Ex〜Ezに示す時系列に連なったX軸、Y軸、Z軸の検知信号のピーク値がホールドされた図4Gに示す検出信号が得られる。なお、コンデンサCapの一端は、基準電圧生成回路26により所定の基準電圧に設定される。
増幅回路33および出力回路34では、ホールドされた検出信号が増幅されアナログの検出信号として図4Gに示される波形と同形で電圧値等が増幅された出力信号が出力される。
なお、アナログの出力信号はAD変換回路を増幅回路33の出力側に設けてデジタル信号として出力してもよく、デジタル信号はシリアルおよびパラレル信号のいずれでもよい。また、検出信号をAD変換回路に供給する場合は増幅回路33および出力回路34を省略してもよい。
次に、検知信号の検出のタイミングを、X軸用の回路の信号を例として詳述する。Y軸およびZ軸用の回路の信号も同様であることはいうまでもない。
図5は、検知信号の検出のタイミングを示す図である。図5および上述した図3を参照するに、XYZ軸切替回路21の出力側のパルス信号Cxが、遅延回路22により所定時間(ここでは約26nsec)遅延され、図5Dxに示すパルス信号となる。このパルス信号に対応してMI素子12に励磁電流が流れ、図5Exに示す検知信号が誘導され、アナログスイッチSWxに入力される。
一方、パルス信号Cxがバッファを介してアナログスイッチの制御入力部SWX−1に、図5SWx−1に示すように寄生容量等による約1nsec遅延されてスイッチング回路24xの制御入力部24X−1に入力される。図5SWx−1に示す制御信号に対応してアナロクスイッチの開閉が行われ、アナロクスイッチは、検知信号のピークの位置(Dxの立ち上がりから十数nsec後)あるいはややピークを過ぎた位置で遮断される。その結果、図5Gに示すようにピーク値あるいはピークの近傍の波高値を検出することができる。
このように、検知信号のピーク値の検出は、パルス信号が「High」から「Low」に立ち下がる際に同期して行われるので、厳密にタイミングを合わせる必要がある。さらに、X軸の他に、Y軸、Z軸の時間合わせが必要となる。
本実施の形態では、1つのXYZ軸切替回路21により分配したパルス信号を各スイッチング回路24とサンプリング回路31の制御信号としている。したがって、サンプリング回路31での検知信号と制御信号とのタイミングが合わせ易くなる。各軸間においても、バッファ回路23、スイッチング回路24を略同様に構成することにより、各軸間でタイミングが合わせ易くなる。
次に、検知信号の検出のタイミングを、X軸用の信号を例として詳述する。Y軸およびZ軸用の信号も同様であることはいうまでもない。
図6は、検知信号の検出のタイミングの他の例を示す図である。上述した図5においては、励磁電流の立ち上がり時に伴って生じた検知信号のメインピークを検出する例を示したが、図6では励磁電流の立ち下がり時に伴って生じた検知信号のメインピークを検出する例である。なお、X軸用の信号を例として詳述する。
図6および上述した図3を参照するに、XYZ軸切替回路21の出力側の例えばパルス幅20nsecのパルス信号Cxが、寄生容量等による約1nsecの遅延で図6Dxに示すパルス信号となる(本例では図3の遅延回路が設けられていない。)。このパルス信号に対応してMI素子12のアモルファスワイヤ41xに励磁電流が流れ、図6Exに示す検知信号が誘導され、アナログスイッチSWxに入力される。
一方、図3のXYZ軸切替回路21とバッファ回路30との間に新たに遅延回路を設け、その遅延回路によりパルス信号Cxが所定時間(ここでは約4nsec)遅延され、バッファ30xを介してアナログスイッチの制御入力部SWX−1に図6SWx−1に示す波形と遅延量で供給される。図6SWx−1に示す制御信号に対応してアナログスイッチSWxの開閉が行われ、アナログスイッチSWxは、検知信号のピークの位置(Dxの立ち下がりから数nsec後)あるいはややピークを過ぎた位置で遮断される。その結果、図6Gに示すように略ピーク値を検出し、ホールドすることができる。
このように図6に示す場合も、上述した図5に場合と同様に、検知信号のピーク値の検出は、パルス信号が「High」から「Low」に立ち下がる際に同期して行われるので、厳密にタイミングを合わせる必要があり、さらに、X軸の他に、Y軸、Z軸の時間合わせが必要となる。上述したように、本実施の形態では、1つのXYZ軸切替回路21により分配したパルス信号を各軸用のスイッチング回路24とサンプリング回路31の制御信号としている。したがって、サンプリング回路31での検知信号と制御信号とのタイミングが合わせ易くなる。各軸間の回路においても、バッファ回路23、スイッチング回路24を略同様に構成することにより、各軸間の回路でタイミングが合わせ易くなる。
図7は、第1の実施の形態に係るMIセンサの平面図である。図7を参照するに、ICチップ13は、2.3mm(X軸方向)×1.6mm(Y軸方向)の寸法の四角形ABCDの形状を有し、ICチップ13の辺ABに面してX軸用のMI素子12X、辺BCに面してY軸用のMI素子12YとZ軸用のMI素子12Zが配置される。また、ICチップを構成する各回路は上述した図3の回路図に基づいて配置・接続されている。
ICチップ13は、パルス発生回路20が辺ADの近傍に配置され、パルス発生回路20の出力側は、辺ADの近傍に配置されたXYZ軸切替回路21に接続される。
XYZ軸切替回路21の出力側は、X軸、Y軸、およびZ軸の各々に独立して形成された遅延回路22、および各軸のMI素子12の近くに配置されたバッファ回路23およびスイッチング回路24に順次、配線W−1により接続される。配線W−1を介してXYZ軸切替回路21からのパルス信号がスイッチング回路24制御入力部24−1に供給される。
スイッチング回路24は、ICチップ13の辺ABまたは辺BCの近傍(例えば辺ABまたは辺BCから50μmの位置)に配置される。スイッチング回路24は、辺ABまたは辺BCと一辺を平行にして、例えば150μm×600μmの範囲(励磁電流が流れる範囲は150μm×200μm)に形成される。
MI素子の面した辺の近傍でICチップの表面に励磁電流用電極16および励磁電流用グランド電極16G、検知信号用電極17が配置される。励磁電流用電極16は、スイッチング回路24の出力側と配線W−3により接続される。スイッチング回路24とMI素子12とを近接して配置することにより、配線W−3や励磁電流用ワイヤ16aの配線長を短くして、励磁電流が流れる際に発生する電磁波の影響を抑制することができる。
励磁電流用電極16は、励磁電流用ワイヤ16aを介してMI素子21のアモルファスワイヤ(不図示)に接続される。配線W−3には励磁電流が流通する。検知信号用電極17は、MI素子の検知コイル(不図示)に接続され、ICチップ中をサンプリング回路31に配線W−4により接続される。
また、XYZ軸切替回路21の出力側は、X軸、Y軸、およびZ軸の各々に独立して形成されたバッファ回路30を介してICチップの略中央に配置されたサンプリング回路のアナログスイッチの制御入力部SW−1に配線W−2により接続され、配線W−2を介して、XYZ軸切替回路21からのパルス信号がアナログスイッチの制御入力部SW−1に供給される。
さらに、サンプリング回路の出力側はホールド回路、増幅回路、出力回路に接続され、出力用電極19aを介してMIセンサ10に接続されたMPU等に接続される。
上述した配線W−1〜W−4は、ICチップ中をいわゆる多層配線構造により配置されている。
図8は、第1の実施の形態に係るICチップの要部断面図である。ここでは一例として2層の配線層を設けた場合を示しているが2層に限定されず、1層でも3層以上でもよい。
図8を参照するに、ICチップ13は、シリコン基板等の基板61にスイッチング回路やバッファ回路等を構成するトランジスタ62が形成され、基板61表面およびトランジスタ62を覆う第1層間絶縁膜63と、第1層間絶縁膜63上に第1配線層64/第2層間絶縁膜65/第2配線層66/パッシベーション膜68が順次積層され、トランジスタ62のソース領域62aやドレイン領域62bに接触するコンタクト69、第1配線層64−第2配線層66間や第1配線層64と電極70とを接続するプラグ71と、ICチップ13表面に露出する図7等に示す励磁電流用電極16等の電極70等から構成される。図7に示す配線W−1〜W−4は、このような第1配線層64および第2配線層66の配線やコンタクト69やプラグ71を組み合わせて構成される。
ここで、図7に示すXYZ軸切替回路21の出力側からスイッチング回路24までの配線W−1とXYZ軸切替回路21の出力側からサンプリング回路31の制御入力部SW−1までの配線W−2は、各軸に対応する配線W−1と配線W−2で配線抵抗Rと配線容量Cの積(RC積)がほぼ同等に設定される。すなわち、例えばX軸用の配線Wx−1の配線抵抗R1と配線容量C1との積R1×C1と、配線Wx−2の配線抵抗R2と配線容量C2との積R2×C2とがほぼ同等に設定される。その結果、配線Wx−1と配線Wx−2を伝導するパルス信号の伝送速度が同等となり、スイッチング回路24の制御入力部24−1に供給されるパルス信号と、サンプリング回路31の制御入力部SW−1に供給されるパルス信号との遅延量を所定の量とすることで、サンプリング回路31での検出のタイミングを遅延回路22により容易に調整することができる。なお、ここでRC積がほぼ同等とは、RC積の差違が20%以下であることをいう。RC積の差違が20%よりも差違が大きくなると、検知信号のピーク位置、例えば図6に示すDxの立ち下がりからExのピークは数nsec後の位置にあるので、検出タイミングが約1nsecよりも大きくなり、検出する波高値がピーク位置から大きく外れS/Nが低下してしまう。
さらに、配線W−1は、X軸、Y軸、およびZ軸の各軸間で配線抵抗と配線容量の積がほぼ同等に設定されることが好ましく、配線W−2についても各軸間で配線抵抗と配線容量の積がほぼ同等に設定されることが好ましい。遅延回路22を構成する積分回路の時定数を軸毎に設定する手間を省ける。配線抵抗は、W−1を例に採ると、図7に示すように、配線長が長いY軸の配線WY−1の配線長に合わせるために、X軸の配線WX−1では、配線の引き回し部WX−1aを設ける。このようにして配線長を軸間で揃えることにより配線抵抗をほぼ同等に設定することができる。他の配線W−2、W−4でも同様に引き回し部WX−2a、WZ−2a、WX−4a、WZ−4aを設けることにより配線長を略同等とすることができる。
また、配線W−1と配線W−2は各軸に対応する配線W−1と配線W−2で配線長をほぼ同等に設定することが好ましい。配線W−1と配線W−2は伝送速度がほぼ同等であるので、配線長をほぼ同等とすることにより、スイッチング回路24のゲート24−1に供給されるパルス信号とサンプリング回路31の制御入力部SW−1に供給されるパルス信号との遅延量をほぼ同等の所定量として、サンプリング回路31での検出のタイミングを遅延回路により一層容易に調整できる。
また、図7に示すスイッチング回路24から励磁電流用電極16までの配線W−3は、各軸間で配線抵抗と配線容量の積がほぼ同等に設定されることが好ましく、特に各軸間で配線長および配線断面積がほぼ同等に設定されることが好ましい。スイッチング回路24から出力された励磁電流の伝送速度と波形の変形を軸間でほぼ一定とすることで、MI素子で誘導される検知信号の外部磁場に対する感度の軸間差を抑制できる。
また、図7に示す検知信号用電極17からサンプリング回路(アナログスイッチSW)までの配線W−4は、各軸間で配線抵抗と配線容量の積がほぼ同等に設定されることが好ましい。MI素子12から供給される検知信号の伝送速度と波形の変形を軸間でほぼ一定とすることで、MI素子で誘導される検知信号の外部磁場に対する感度の軸間差を抑制できる。特に配線W−4は、各軸間で配線長および配線断面積がほぼ同等に設定されることが好ましい。検知信号の電圧降下を軸間でほぼ一定とすることで、感度の軸間差を抑制できる。
配線W−1〜W−4の配線抵抗Rは、配線の断面積SA×配線長LG×比抵抗RSから求める。配線の断面積SAは、配線層内の配線の場合は、配線幅WD×配線の厚さTWであり、垂直配線の場合は基板に平行な面で切断した際の面積である。また、配線W−1〜W−4の配線容量Cは、配線層内の配線の場合は、配線長LG、配線幅WD、配線と基板と間に介在する絶縁膜、すなわち、第1層間絶縁膜63、第2層間絶縁膜65等の誘電率εおよびその厚さTIとすると、C=ε×LG×WD/TIにより求められる。そして、これらの配線抵抗Rおよび配線容量Cから積RCが、上述した配線間でほぼ同等となるように配線W−1〜W−4のレイアウトを構成する。
なお、配線抵抗Rおよび配線容量Cは、ICチップの回路図や実際の形状や配置を示す3次元データを用いて、市販のSPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis)等の回路シミュレータを用いて計算し、配線W−1〜W−4のレイアウトを構成してもよい。
(第2の実施の形態)
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の一例としての携帯電話機を示す分解図である。図9を参照するに、携帯電話機50は、表示部51と、操作部52と、アンテナ53と、スピーカ54と、マイク55と、電子基板56と、電子基板56に搭載されMIセンサ58等から構成されている。
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の一例としての携帯電話機を示す分解図である。図9を参照するに、携帯電話機50は、表示部51と、操作部52と、アンテナ53と、スピーカ54と、マイク55と、電子基板56と、電子基板56に搭載されMIセンサ58等から構成されている。
MIセンサ58は、上述した第1の実施の形態の構成を有し、X軸、Y軸のMI素子が電子基板56と平行に、Z軸のMI素子が電子基板に対して垂直に配置されている。MIセンサ58により、地磁気の方向に基づいて携帯電話機50の向いている方位・角度を検出することが可能である。例えば、携帯電話機50が受信し表示部51に表示された現在地付近の地図を、MIセンサにより検出した携帯電話機50の向いている方位・角度にあわせて、表示部上で地図を回転する。特に、携帯電話機50を真北に向けた場合、電子基板と真北の方角が垂直となる。このような場合であってもZ軸用のMI素子により地磁気を検出することができるので、安定して方位・角度を表示することができる。
上述したように、携帯電話機50は、MIセンサ58が、第1の実施の形態に係るMIセンサであることに特徴がある。MIセンサ58はS/N比が良好であるので、方位・角度の検出が正確かつ信頼性が高い。なお、携帯電話機50の通信機能を有する基本構成自体は周知であり、その詳細な説明は本明細書では省略する。
なお、本実施の形態の電子装置を、携帯電話機を一例として説明したが、携帯電話機に限定されるわけではない。例えば、携帯端末機、カーナビゲーション装置等に適用できる。
以上本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10…MIセンサ 11…ケース 12…MI素子 13…ICチップ 13A…励磁電流生成部 13B…信号処理部 14…ケース電極 15…ワイヤ 16…励磁電流用電極 16a…励磁電流用ワイヤ 16G…励磁電流用グランド電極 17…検知信号用電極 19…接続用電極 20…パルス発生回路 21…XYZ軸切替回路 22…遅延回路 23、30…バッファ回路 24…スイッチング回路 31…サンプリング回路 32…ホールド回路 33…増幅回路 34…出力回路 41…アモルファスワイヤ 42…検知コイル 43…端子 50…携帯電話機 Cap…コンデンサ SW…アナログスイッチ SW−1…アナログスイッチの制御入力部
W−1…XYZ軸切替回路の出力側からスイッチング回路までの配線
W−2…XYZ軸切替回路の出力側からサンプリング回路の制御入力部までの配線
W−3…スイッチング回路から励磁電流用電極までの配線
W−4…検知信号用電極からサンプリング回路までの配線
W−1…XYZ軸切替回路の出力側からスイッチング回路までの配線
W−2…XYZ軸切替回路の出力側からサンプリング回路の制御入力部までの配線
W−3…スイッチング回路から励磁電流用電極までの配線
W−4…検知信号用電極からサンプリング回路までの配線
Claims (14)
- 外部磁場を検知する複数のMI素子に励磁電流を供給し、該励磁電流に基づいて該複数のMI素子からの外部磁場の大きさに対応する検知信号が供給されるICチップであって、
パルス信号を発生するパルス発生手段と、
前記パルス信号に基づいて前記MI素子に励磁電流を供給する電流供給用スイッチング手段と、
前記パルス信号に基づいて前記MI素子から供給される検知信号の略ピーク値を検出するサンプリング手段とを備え、
前記電流供給用スイッチング手段およびサンプリング手段は前記MI素子毎に設けられ、
パルス発生手段の出力側に、前記パルス信号を前記MI素子に対応する電流供給用スイッチング手段の制御信号入力部とサンプリング手段の制御信号入力部に分配する切替手段を備え、
前記切替手段と電流供給用スイッチング手段の制御信号入力部との間を接続する励磁電流制御用配線と、
前記切替手段とサンプリング手段の制御信号入力部との間を接続するサンプリング制御信号用配線とを有し、
前記複数のMI素子のうちいずれか一つのMI素子に対応する励磁電流制御用配線とサンプリング制御信号用配線は、配線抵抗値と配線容量値との積が互いに略等しく形成されてなることを特徴とするICチップ。 - 前記MI素子に対応する励磁電流制御用配線とサンプリング制御信号用配線は、配線長が各々互いに略等しく形成されてなることを特徴とする請求項1記載のICチップ。
- 前記MI素子に対応する励磁電流制御用配線と他のMI素子に対応する励磁電流制御用配線は、配線抵抗値と配線容量値との積が互いに略等しく形成されてなることを特徴とする請求項1または2記載のICチップ。
- 前記MI素子に対応するサンプリング制御信号用配線と他のMI素子に対応するサンプリング制御信号用配線は、配線抵抗値と配線容量値との積が互いに略等しく形成されてなることを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか一項記載のICチップ。
- 前記電流供給用スイッチング手段は複数のトランジスタからなり、
前記トランジスタは、各々のMI素子に対応する電流供給用スイッチング手段間で、互いに略同じ方向に配列されてなることを特徴とする請求項1〜4のうち、いずれか一項記載のICチップ。 - 前記切替手段と前記電流供給用スイッチング手段の制御信号入力部との間にパルス信号の電流増幅を行う電流増幅手段を備え、
前記電流増幅手段は複数のトランジスタからなり、
前記トランジスタが、各々のMI素子に対応する電流増幅手段間で、互いに略同じ方向に配列されてなることを特徴とする請求項1〜5のうち、いずれか一項記載のICチップ。 - 前記トランジスタは、各々のMI素子に対応する電流供給用スイッチング手段または電流増幅手段間で、回路構成上対応するトランジスタが略同じ寸法を有することを特徴とする請求項5または6記載のICチップ。
- 当該ICチップの表面に前記MI素子に接続される励磁電流用電極と、
前記電流供給用スイッチング手段の出力側と励磁電流用電極とを接続する励磁電流用配線とを備え、
前記MI素子に対応する励磁電流用配線と前記他のMI素子に対応する励磁電流用配線は、配線抵抗値と配線容量値との積が互いに略等しく形成されてなることを特徴とする請求項1〜7のうち、いずれか一項記載のICチップ。 - 当該ICチップの表面に前記MI素子に接続される励磁電流用電極と、
前記電流供給用スイッチング手段の出力側と励磁電流用電極とを接続する励磁電流用配線とを備え、
前記MI素子に対応する励磁電流用配線と前記他のMI素子に対応する励磁電流用配線は、配線長および配線断面積が各々互いに略等しく形成されてなることを特徴とする請求項1〜8のうち、いずれか一項記載のICチップ。 - 当該ICチップの表面に前記MI素子に接続される検知信号用電極と、
前記検知信号用電極とサンプリング手段とを接続する検知信号用配線とを備え、
前記MI素子に対応する検知信号用配線と前記他のMI素子に対応する検知信号用配線は、配線抵抗値と配線容量値との積が互いに略等しく形成されてなることを特徴とする請求項1〜9のうち、いずれか一項記載のICチップ。 - 当該ICチップの表面に前記MI素子に接続される検知信号用電極と、
前記検知信号用電極とサンプリング手段とを接続する検知信号用配線とを備え、
前記MI素子に対応する検知信号用配線と前記他のMI素子に対応する検知信号用配線は、配線長および配線断面積が各々互いに略等しく形成されてなることを特徴とする請求項1〜10のうち、いずれか一項記載のICチップ。 - 複数のMI素子と、
請求項1〜11のうちいずれか一項記載のICチップと、を備えるMIセンサ。 - 前記MI素子とICチップとを収納する容器を備え、
前記ICチップは前記容器の略中央に配置されると共に、前記ICチップの近傍に互いに長手方向が略垂直をなす3つのMI素子が配置されてなることを特徴とする請求項12記載のMIセンサ。 - 電子基板と、
前記電子基板上に請求項12または13記載のMIセンサと、を備える電子装置。
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