JP2005282745A - プッシュチェーン動力伝達装置 - Google Patents

Abstract

【課題】 プッシュチェーンを用いた動力伝達装置であって、プッシュチェーンが後退する際に後端がスプロケットに巻き込まれないようにするプッシュチェーンの動力伝達装置の提供。
【解決手段】 プッシュチェーン２が巻き掛けられるスプロケット１を、両側から挟み込むハウジング３，３の収容空間１２、１２に収容すると共に軸穴１３、１３に回転可能に軸支し、両ハウジング３，３にはプッシュチェーン２をガイドする為のチェーンガイド付き収納マガジン４を取付け、そしてハウジング３，３の内側にはストリッパー１１，１１を突出している。
【選択図】 図１

Description

本発明はプッシュチェーンを備えた動力伝達装置であって、該プッシュチェーンを後退させた場合にスプロケットに巻き込まれないようにしたハウジングに特徴がある動力伝達装置に関するものである。

プッシュチェーンは概略長方形リンクが配列して構成され、内側には屈曲する為にスプロケットに巻き付くことが出来るが、外側に屈曲することは出来ないリンク形状と成っている。各リンクを連結するためのピンは内側に位置し、該ピンを中心として回転可能なように内側コーナーには丸みが形成されている。そしてスプロケットに巻き掛けられたプッシュチェーンは該スプロケットの回転に伴って先端は前進・後退することが出来る。

前進する場合、概略長方形の各リンクの側端は互いに当接する為にスプロケットの回転トルクを押圧力に変換することが出来、プッシュチェーンはその先端にて物体を押すことが出来る。物体への押圧力は油圧シリンダーやエアシリンダーのピストンロッドが一般に使用されるが、プッシュチェーンはスプロケットの回転トルクを直線運動に変換することが出来ると共に、大きなスペースを要しない利点があることから、その利用も多い。

図８は従来の一般的なプッシュチェーンを用いた動力伝達装置を表している。スプロケット(イ)に巻き付いたプッシュチェーン(ロ)は、該スプロケット(イ)が時計方向に回転することでプッシュチェーン(ロ)の先端(ハ)は右方向へスライドすることが出来る。この際、先端(ハ)が移動物体に連結されることで、プッシュチェーン(ロ)はその自重にて下方へ垂れることはない為に、ガイド無くして物体を移動させることが可能と成る。

物体を移動させる際に発生する押圧力Ｐは、その反力としてスプロケット(イ)の歯に作用し、高い面圧が発生する。そこで、プッシュチェーン(ロ)がある位置まで前進し、その後該位置から後退する場合、スプロケット(ロ)の歯に圧接したプッシュチェーン(ロ)の後端は、該スプロケット(イ)の反時計回転に伴って、該スプロケット(イ)に巻き込まれる。図８(ｂ)は後端が巻き込まれた状態を示しているが、このままではスプロケット(イ)の回転が不能と成る。

すなわち、前進する際の押圧力の作用でプッシュチェーン(ロ)はスプロケット歯に圧着してしまい、後退時に反時計方向にスプロケット(イ)が回転しても、該スプロケット歯から外れることが出来ず、同図のように巻き込まれる。このままスプロケット(イ)が回転するならば、後端がプッシュチェーン(ロ)に当って噛み込まれてスプロケット(イ)の回転は停止する。すなわち、プッシュチェーン(ロ)は後退することが出来なくなる。

このように、従来のプッシュチェーンを用いた動力伝達装置には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、スプロケット歯に圧着したプッシュチェーンの後端が、後退時に巻き込むことがないようにしたプッシュチェーンを用いた動力伝達装置を提供する。

本発明はプッシュチェーンの後端がスプロケットの回転に伴って巻き込まれないように構成したハウジングの収容空間に収容している。すなわち、ハウジング内にスプロケットを収容して回転可能に軸支し、そしてスプロケットを両側から挟み込むハウジングの内面にはストリッパーを形成し、プッシュチェーンの後端がスプロケットの回転に伴って巻き込まないように、該ストリッパーに当るようにしている。

該ストリッパーはスプトケット歯先と僅かな隙間を残して設けられ、しかも該スプロケットに巻き付いているプッシュチェーンのリンクに当接する。ここで、該ストリッパーはハウジングと一体的に形成する形状としたり、又は別部品として製作したストリッパーをハウジング内側に固定することも出来る。

一方、プッシュチェーンの後端巻き込みを防止する手段として、ハウジングに磁石を取付けて後端の巻き込みを防止することが出来る。すなわち、磁石の磁気力にてプッシュチェーンの後端を引き寄せてスプロケットへの巻き込みを防止することが可能である。

本発明に係るプッシュチェーンを用いた動力伝達装置では、スプロケットをハウジングの収容空間に回転可能に収容し、該ハウジングにストリッパーが形成されることで、プッシュチェーンが後退する際にはスプロケットに巻き込むことはなく、チェーン収納マガジンに格納される。すなわち、スプロケットに巻き込まれそうなプッシュチェーンはハウジングに設けたストリッパーに後端が当接することが出来る。

すなわち、プッシュチェーン後端がスプロケットに密着したままで巻き込まれようとしても、ストリッパーに当ることで該スプロケットから離れてしまう。従って、本発明のプッシュチェーンを用いた動力伝達装置は、該プッシュチェーンがスプロケットに噛み込むことなく、その動作はスムーズに行われる。これは、ストリッパーを設けた場合に限らず、磁石をハウジングに取付けた場合であっても、プッシュチェーンの巻き込み防止を図ることが可能である。

図１は本発明に係るプッシュチェーンの動力伝達装置を示す実施例であり、(ａ)は正面図、(ｂ)はＡ−Ａ断面図を表している。同図の１はスプロケット、２はプッシュチェーン、３はハウジング、４はチェーンガイド付き収納マガジンを表している。そこで、上記プッシュチェーン２はスプロケット１に巻き付き、スプロケット１が回転するならば、プッシュチェーン２はチェーンガイド付き収納マガジンの上縁部に形成しているチェーンガイド部５に沿って往復摺動し、前進する際には先端６に押圧力Ｐを負荷することが出来る。すなわち、プッシュチェーン２の両リンクプレート７，７の間にチェーンガイド部５が挟まれてガイドされる。

又チェーンガイド付き収納マガジン４にはガイド溝８が延びていて、該ガイド溝８にはプッシュチェーン２のローラが遊嵌し、そして両リンクプレート７，７はチェーンガイド付き収納マガジン４を挟んで往復移動することが出来る。このチェーンガイド付き収納マガジン４は両ハウジング３，３にて挟まれ、同じくスプロケット１も両ハウジング３，３にて挟まれた状態で回転自在に軸支されている。

上記チェーンガイド付きマガジン４が両ハウジング３，３にて挟み込まれた状態では、上記スプロケット１の外周にはプッシュチェーン２が移動する円弧状の誘導溝１０が形成される。図２はハウジング３の詳細図を示しているように、スプロケット１は両ハウジング３，３に挟まれて軸支され、誘導溝１０にはプッシュチェーン２が収容されて移動し、そして両ハウジング３，３はチェーンガイド付き収納マガジン４を挟み込んでいる。

ところで、プッシュチェーンの動作方法は色々あるが、先端に押圧力Ｐが作用しても座屈しないように、押圧力Ｐの位置はピンより外側に成っている。ここでプッシュチェーン２の説明は省略するが、概略長方形のリンクプレート７，７・・が連結されて、その側端は互いに当接し合っている。従って、プッシュチェーン２は側端が当接し合うことで座屈することなく伸長して押圧力が作用する。

スプロケット１が反時計方向に回転してプッシュチェーン２が後退するならば、チェーン収納マガジン４のガイド溝８に収納される。この際、プッシュチェーン２の後端９は、スプロケット１から必ず離れてチェーンガイド付き収納マガジン４のガイド溝８へ導かれるようにハウジング３，３の内側にはストリッパー１１，１１を設けている。図１において、上記ハウジング３の斜線で示している部分がストリッパー１１である。

図３はハウジング３を表している。両ハウジング３，３は互いに突き合わされた状態で組み合わされ、間にはスプロケット１が収容され、チェーンガイド付き収納マガジン４が挟持される。スプロケット１が収納され得るようにハウジング３には収容空間１２が形成され、スプロケット１の軸が貫通する軸穴１３を設けている。収容空間１２の外周部はスプロケット１が収容された状態で、プッシュチェーン２が移動する上記誘導溝１０と成る。

そして、ハウジング３の内側にはストリッパー１１が突出して設けられ、両ハウジング３，３にて挟まれるチェーンガイド付き収納マガジン４の表面に当接することが出来る。該ストリッパー１１は軸穴１３の内径とほぼ同じ幅で誘導溝１０と平行して延びている。そこで、スプロケット１に巻き付こうとするプッシュチェーン２のリンクプレート７は該ストリッパー１１に当接してスプロケット１から離れる。そして、スプロケット外周部側面に接しないように、スプロケット外周部が位置する箇所は、ストリッパー１１に段差ａが形成されている。

図４はチェーンガイド付き収納マガジン４を示している。所定の厚さの板部材で構成され、スプロケット１から離れたプッシュチェーン２が移動するガイド溝８が延び、基部側には円弧を成した湾曲ガイド部１４が設けられている。この湾曲ガイド部１４は前記図３に示すハウジング３の取付け面１５に当接して両ハウジング３，３にて挟まれる。又基部には挟持部１５を設けていて、該挟持部１５は両ハウジング３，３のストリッパー１１にて挟まれる。

図５はハウジング３の上側に取付けられる湾曲ガイド部１６であり、上記チェーンガイド付き収納マガジン４の基部に設けている湾曲ガイド部１４と対を成して取付けられる。ハウジング３，３の取付け面１５，１５に挟まれた湾曲ガイド部１４，１６は、その内縁部１７は誘導溝１０側へはみ出し、スプロケット１に巻き付いて該スプロケット１と共に回転するプッシュチェーン２がガイドされる。図６は挟持部１８を示し、ストリッパー１１の上側に取付けられる。

図７は図１のＢ−Ｂ断面拡大図である。このようにハウジング３，３の内側にはストリッパー１１，１１が設けられ、該ストリッパー１１，１１はプッシュチェーン２の両リンクプレート７，７より内側まで突出している。従って、スプロケット１に巻き付いている状態では何ら問題ないが、スプロケット１の外周より中心軸側へ入ることは出来ない。

プッシュチェーン２が後退する際に、スプロケット１に巻き込まれることは防止される。すなわち、スプロケット１に巻き付いたプッシュチェーン２の後端９がストリッパー１１，１１に当接することに成り、スプロケット１から強制的に外れ、チェーン収納マガジン４のガイド溝８へ導かれる。

上記ストリッパー１１，１１の間には挟持部１５，１８が挟まれているが、挟持部１５，１８は湾曲ガイド部１４、１６と同じ厚さである為に、プッシュチェーン２のリンクプレート７，７が当接することは出来ず、該挟持部１５，１８にてプッシュチェーン２のスプロケット１への巻き込みは防止されない。本発明は、挟持部１５，１８の両側にストリッパー１１，１１を設けることで巻き込み防止を図っている。

スプロケット１に巻き付いたプッシュチェーン２を離す手段として、上記ストリッパー１１に限るものではなく、磁石を用いることが出来る。すなわち、後退するプッシュチェーン２はチェーンガイド付き収納マガジン４のガイド溝８に沿って導かれるが、該スプロット１から離れる部位に磁石を取付け、該磁石の磁気力をプッシュチェーン２に作用させることが出来る。すなわち、磁気力にてプッシュチェーン２がスプロケット１に巻き込まれないようにする。

本発明に係るプッシュチェーンを用いた動力伝達装置の実施例。 ハウジング部の詳細図。 ハウジング。 チェーンガイド付き収納マガジン。 湾曲ガイド部。 挟持部。 図１のＢ−Ｂ断面拡大図。 従来のプッシュチェーン動力伝達装置。

符号の説明

１ スプロケット
２ プッシュチェーン
３ ハウジング
４ チェーンガイド付き収納マガジン
５ チェーンガイド部
６ 先端
７ リンクプレート
８ ガイド溝
９ 後端
10 誘導溝
11 ストリッパー
12 収容空間
13 軸穴
14 湾曲ガイド部
15 挟持部
16 湾曲ガイド部
17 内縁部
18 挟持部
19 取付け面

Claims (3)

1. プッシュチェーンを用いた動力伝達装置において、該プッシュチェーンが巻き掛けられるスプロケットを両側から挟み込むハウジングの収容空間に収容すると共に軸穴に回転可能に軸支し、両ハウジングにはプッシュチェーンをガイドする為のチェーンガイド付き収納マガジンを取付け、そしてハウジングの内側にはストリッパーを突出すると共に、後退するプッシュチェーンの後端がスプロケットに巻き込まれることがないようにリンクプレートが上記ストリッパーに当接可能としたことを特徴とするプッシュチェーンを用いた動力伝達装置。
2. プッシュチェーンを用いた動力伝達装置において、該プッシュチェーンが巻き掛けられるスプロケットを両側から挟み込むハウジングの収容空間に収容すると共に軸穴に回転可能に軸支し、両ハウジングにはプッシュチェーンをガイドする為のチェーンガイド付き収納マガジンを取付け、そしてハウジングの内側にはストリッパーを突出し、上記チェーンガイド付き収納マガジンの挟持部を両ハウジングのストリッパーにて挟み込んで取付け、後退するプッシュチェーンの後端がスプロケットに巻き込まれることがないようにリンクプレートが上記ストリッパーに当接可能としたことを特徴とするプッシュチェーンを用いた動力伝達装置。
3. プッシュチェーンを用いた動力伝達装置において、該プッシュチェーンが巻き掛けられるスプロケットを両側から挟み込むハウジングの収容空間に収容すると共に軸穴に回転可能に軸支し、両ハウジングにはプッシュチェーンをガイドする為のチェーンガイド付き収納マガジンを取付け、そしてプッシュチェーンが後退してスプロケットから離れる部位に磁石を取付けたことを特徴とするプッシュチェーンを用いた動力伝達装置。
   

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