JP2005280935A - エレベータの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 かご9内の積載重量に応じてエレベータの一定速走行時の速度と加減速走行時の加減速度を変更してエレベータの運転を行うエレベータにおいて、エレベータシステムに供給する電源に流れる電流を検出する電流検出手段3と、電流検出手段により検出された電流の検出値が所定の値を超えた場合にはエレベータの速度または加減速度を減少させる減速指令手段14とを備える。
【選択図】 図1
Description
図1はこの発明の実施の形態1におけるエレベータの制御装置を示すシステム構成図である。
図1において、交流電源1、電源遮断手段2、電流検出器3、コンバータ4、インバータ5、モータ6、速度検出器7、シーブ8、かご9、釣合錘10、かご負荷検出手段11、モータ速度制御装置13、ロープ15は従来装置と同様の動作をする。この発明は減速指令手段14を有することを特徴とし、また、速度パターン生成手段12も従来の装置と若干動作が異なる。
交流電源1は電源遮断手段2を介してコンバータ4に接続される。電源遮断手段2はヒューズや遮断器などであり、モータ6やインバータ5の容量をもとに定格電流値が選定されており、コンバータ4に流れ込む電流が定格電流を超えると回路を保護するため電源を遮断する。コンバータ4は交流電源1を直流に変換しインバータ5に出力する。インバータ5はモータ速度制御装置13により駆動され、モータ6を回転させる。モータ6にはシーブ8が接続されており、シーブ8にはロープ15を介してかご9と釣合錘10が設置されており、それぞれを昇降させる。
電流検出器3は電流センサなどであり、コンバータ4に入力される電流値を検出する装置であり、その検出値は減速指令手段14に入力される。
かご負荷検出手段11はかご9内の積載重量を検出する手段であり、検出値は速度パターン生成手段12に送られる。かご負荷検出手段11としては秤装置などがある。また、モータ6の電流値などからかご負荷に換算する等によっても求められる。
速度検出器7はモータ6の回転速度を検出する装置であり、エンコーダなどにより実現される。また速度検出値はモータ速度制御装置13に送られる。
モータ速度制御装置13はモータ6の回転速度を速度パターン生成手段12により生成された速度パターンに一致させるように追従制御を行う。前記モータ速度制御装置13は速度検出器7の検出値を前記速度パターンに一致するようにインバータ5を駆動する装置であり、インバータ等の制御プログラム等を指す。
減速指令手段14は電流検出器3の電流検出値をもとに、前記電流検出値がある所定値を超えたことでエレベータシステムの過負荷状態を判定し、速度パターン生成手段12に減速指令を出力する。
速度パターン生成手段12はエレベータのかご9、またはシーブ8を駆動するモータ6の速度パターンを演算する手段であり、かご負荷に応じてモータ6等のエレベータを構成する機器の駆動範囲内で一定速走行時の速度や加減速走行時の加減速度を調整し目的階に最短時間で到達するような速度パターンを生成する。速度パターンの計算方法は、例えば、前記特許文献1に記載されている方法などを用いることができる。また、前記減速指令手段14により減速指令が入力された場合には、その時点で出力している一定速走行時の速度よりも小さな速度になるように速度パターンを変更してモータ速度制御装置13へ出力する。
まず、かご呼びが発生すると、ステップS21でかご負荷検出手段11により、かご負荷が検出され速度パターン生成手段12に送られる。次にステップS22では、速度パターン生成手段12により、前記かご負荷の検出値をもとにエレベータを構成する機器の駆動範囲内で加減速走行時の加減速度及び一定速走行時の速度を設定し、目的階に最短時間で到達するような速度パターンを生成してモータ速度制御装置13へ出力する。ステップS23ではブレーキが開放され、前記速度パターンに従ってモータ6が駆動されかご9が走行を開始する。ステップS24では電流検出器3により走行中の電流検出値iaが減速指令手段14に送られる。減速指令手段14は電流検出値ia と所定の値Imax を比較し、ia>Imax の場合にはステップS25に遷移する。ステップS25では ia>Imax となった時間をカウントし、それが所定時間Δt以上持続した場合には過負荷状態と判断し、速度パターン生成手段12に対して減速指令を出力する。ステップS26では減速指令に基づき、速度パターン生成手段12が、その時点で走行している速度よりも小さい速度に一定速走行時の速度を設定し直すことで、エレベータの減速運転を行う。
図3の上段はモータ6の回転速度を表したものであり、下段は電流検出器3による電流検出値を表す。図3ではかご負荷検出手段11の検出誤差等で誤った速度パターンが生成された場合を示している。時刻t1で電流検出値iaが所定の許容値Imaxを超えている。電流検出値iaが所定の許容値Imaxを超えた時間が所定時間のΔt持続した時刻t2で減速指令手段14により減速指令が速度パターン生成手段12に送られ、その時点の一定速走行時の速度ω1よりも小さい一定速走行時の速度ω2で走行するように速度パターンを変更し、減速を始める。その後、速度ω2にモータ6の回転速度が落ち着き、目的階に停止する。また、時刻t2以降でモータ6の回転速度が速度ω2に落ち着いたときには電流検出値iaも許容値以下になっている。
以上によりこの発明では過電流のため電源遮断手段2によって電源が遮断される前に、かご9の走行速度を落とすことで電源から入力される電流を減少させ、電源が遮断されることを未然に防止することができる。
また、加減速中は一時的に電流量が大きくなるため、一定速走行になった時点での電流検出値に基づいて減速を行うようにしてもよい。この場合、図3の時刻t3からカウントを行い、ia>Imaxとなる期間がΔt持続した場合に減速指令が発せられる。
また、この実施の形態1では電流検出値iaが所定の許容値Imaxを超える状態が所定の経過時間Δtだけ持続した場合に減速指令を発するようにしたが、許容値を超えると直ちに減速指令を発するようにしても良い。
ia = Kinv×Vinv×Iinv
として推定できる。
また、その他、何らかの理由でモータ電流や電源により供給される電力が想定している定格値を超えた場合にも効果を発揮する。
また、減速指令により減速を行うときに、予め定めておいた速度まで減速するのではなく、電流検出値が所定の許容値以下になるまで減速を続け、許容値付近の速度に制御するようにしてもよい。これにより、減速を必要最小限に止めるため、減速することによる運行サービスの低下を必要最小限に抑えることができる。また、昇降路効率が著しく悪い場合などには予め定めておいた速度まで減速しても電流値が許容値以下にならない可能性が存在するが、本方式によりそのような現象を回避することができる。
この実施の形態2では電流検出器3による電流検出値を用いる代わりに、交流電源1が供給する電流の推定値を用いることを特徴とする。推定はモータ速度制御装置13内で行い、その推定値を減速指令手段14に出力し、減速指令手段14は前記推定値をもとに減速指令を発する。他の装置及び機器の動作は実施の形態1で述べたものと同様である。
交流モータを制御する場合、一般的にベクトル制御が用いられることが多い。このときモータ6を駆動するインバータ5に印加する電圧は磁束方向のd軸とそれに直交するq軸方向に分解され制御される。このときインバータ5が供給する電力Pは概ね以下のように表せる。
P= Vd×Id + Vq×Iq + H0
ここで、Vd、 Vq はそれぞれd軸とq軸方向の電圧値または電圧指令値であり、Id、Iq はそれぞれd軸とq軸方向の電流値または電流指令値である。また、H0は昇降路効率に起因する損失を電力値に換算したものである。上記の電力Pを用いて電流の推定値iaは、
ia=Kp×P
として推定できる。ここで、係数Kpはインバータ5が発生する電力から電源が供給する電流値へ換算する係数であり、インバータ5やコンバータ4の変換効率、電源電圧値などに基づいて設定されている。なお、上記の例ではインバータが出力する電圧、電流値をd、q軸に変換したが、変換を行わないで交流値を用いて電力値の演算を行っても良い。
また、Iq はモータの発生するトルクに比例するため、Iqにより求めたモータの発生トルクと、速度検出器7によるモータの回転速度ωからもインバータ5が供給する電力Pを次のように求めることができる。
P=Kr×Kq×Iq×ω+H0
ここで、KqはIqをモータの発生トルクに換算する係数である。またKrは単位を電力値に換算する係数である。
なお、モータ6の発生トルクをトルク検出器(図示せず)により検出してもよい。
この発明では電源に流れる電流値を推定することにより、電流検出器3が不要となるのでより安価なエレベータ装置が実現できる。
この実施の形態3では、減速指令手段14により減速指令を出力した回数をカウントし、それが所定の回数を超えた場合には異常状態であると判断し、かご負荷に応じて一定速走行時の速度及び加減速走行時の加減速度を設定することを中止し、全てのかご負荷に対して、一律の一定速走行時の速度と加減速走行時の加減速度を設定する。さらにこれは過電流とならないことが保証されたものであることを特徴とする。前記一律の一定速走行時の速度と加減速走行時の加減速度は例えば、かご負荷が最大積載の場合にも過電流とならないような一定速走行時の速度と加減速走行時の加減速度と選ぶことができる。通常、電源により供給される電流が過電流となるのはかご負荷の検出誤差が大きく、誤った速度パターンが設定された場合などであるので、このような場合が多く発生したときには秤故障等の故障が発生しているか、または異常状態であると判断した方が合理的である。従って、この発明によれば、このような異常状態を検出することができ、さらに過負荷とならない速度パターンを設定することで、モータ等の機器に過負荷をかけないようにできる。なお、減速指令を出力した回数を用いる代わりに、減速指令を出力した割合を用いてもよい。
2 電源遮断手段
3 電流検出器
4 コンバータ
5 インバータ
6 モータ
7 速度検出器
8 シーブ
9 かご
10 釣合錘
11 かご負荷検出手段
12 速度パターン生成手段
13 モータ速度制御装置
14 減速指令手段
15 ロープ
Claims (4)
- かご内の積載重量に応じてエレベータの一定速走行時の速度と加減速走行時の加減速度を変更してエレベータの運転を行うエレベータの制御装置において、
エレベータシステムに供給する電源に流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段により検出された電流の検出値が所定の値を超えた場合にはエレベータの速度または加減速度を減少させる減速指令手段と、
を備えたことを特徴とするエレベータの制御装置。 - 減速指令手段は、電流の検出値が所定の値よりも小さくなるまで減速することを特徴とする請求項1記載のエレベータの制御装置。
- 電流検出手段は、電流値を推定する手段であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエレベータの制御装置。
- 減速指令手段は、電流の検出値が所定の値を超えることに起因する減速運転回数が所定の割合を超えたときには、負荷に応じて一定速走行時の速度と加減速走行時の加減速度を変更することを中止し、所定の一定速走行時の速度と加減速走行時の加減速度によりエレベータの運転を行うことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のエレベータの制御装置。
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