JP2005280368A - 車両用パワーステアリング装置及び車両用外乱推定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 車両の操舵−車両系モデルに基づいて、操舵角検出手段22,ヨーレイト検出手段23,車速検出手段25によりそれぞれ検出された該車両の操舵角δとヨーレイトγと車速Vと横加速度推定手段37により推定された、車両の横方向運動にかかる横加速度成分Gy´とから、該車両の横方向外乱を推定する推定手段32と、推定手段32による推定結果から、車両の横方向外乱を抑制するように操舵アシストトルクの補正量を設定し、この補正量で操舵アシストトルクを補量する制御手段30とをそなえる。
【選択図】 図1
Description
例えば特許文献1には、電動パワーステアリング装置を用いた操舵アシスト制御により、車両に加わる横風等の外乱がドライバの操舵操作に影響しないようにする、いわゆる外乱抑制性能を高めることができるようにするものが提案されている。
さらに、該推定手段は、該操舵角検出手段と該ヨーレイト検出手段と該車速検出手段とによりそれぞれ検出された操舵角δfとヨーレイトγと車速Vと、該横加速度検出手段により推定された横加速度Gy´との各状態量から、状態量である上記の該車両の横勾配外乱と他の横方向外乱とを推定するメインオブザーバをそなえていることが好ましい(請求項4)。
また、該車両の操舵角速度ωfを検出する操舵角速度検出手段をさらにそなえ、該推定手段は、該車両のヨーレイトγ及び横方向速度vをさらに推定するように構成され、該補正手段は、該操舵角速度検出手段と該操舵角検出手段と該車速検出手段とによりそれぞれ検出された操舵角速度ωfと操舵角δfと車速Vと、該推定手段により推定されたヨーレイトγと横方向速度vとから第1補正トルクを算出し、該推定手段により推定された上記の横勾配外乱と他の横方向外乱とから第2補正トルクを算出して、該第1補正トルクと第2補正トルクとに基づいて該操舵アシストトルクを補正することが好ましい(請求項6)。
さらに、該推定手段は、該操舵角検出手段と該ヨーレイト検出手段と該車速検出手段とによりそれぞれ検出された操舵角δfとヨーレイトγと車速Vと、該横加速度検出手段により推定された横加速度Gy´との各状態量から、状態量である上記の該車両の横勾配外乱と他の横方向外乱とを推定するメインオブザーバをそなえていることが好ましい(請求項11)。
つまり、カーブ路をスムーズに走行できるようにするために設けられた路面の横勾配等に起因する横勾配外乱φrbについては影響を抑制することなく、これ以外の横風や轍路などに起因して車両挙動に影響を及ぼし操舵の妨害になる外乱(他の横方向外乱)については影響を抑制することができ、例えばカーブ路のスムーズな走行性能を確保しながら、操舵への横力外乱の影響を抑制して、アクティブ・セーフティを向上させることができるようになる。
請求項8の本発明の車両用外乱推定装置によれば、推定手段により、車両の操舵−車両系モデルに基づいて、車速検出手段,操舵角検出手段,ヨーレイト検出手段によりそれぞれ検出された車両の車速Vと操舵角δfとヨーレイトγと、横加速度推定手段により推定された、車両の横方向運動にかかる横加速度Gy´とから、車両の横方向外乱を推定するが、このとき、横加速度推定手段では、車両の車体ロールによる横加速度成分を含むことなく車両の横方向運動にかかる横加速度成分のみを推定するので、車体ロールによる横加速度成分を含まない車両の横方向運動にかかる横加速度成分のみに基づいて横方向外乱を推定することができ、車両の操舵系の制御を適切に行なえなるようになる。
請求項11の本発明の車両用外乱推定装置によれば、推定手段は、メインオブザーバによって、操舵角検出手段とヨーレイト検出手段と車速検出手段とによりそれぞれ検出された操舵角δとヨーレイトγと車速Vと、横加速度検出手段により推定された横加速度Gy´との各状態量から、状態量である上記の該車両の横勾配外乱と他の横方向外乱とを推定するので、操舵の妨害になる外乱のみを排除するように、操舵アシスト制御を行なうことが可能になる。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明すると、図1〜図9は本発明の第1実施形態としての車両用パワーステアリング装置及び車両用外乱推定装置について示すもので、これらの図に基づいて説明する。
サブオブザーバ37では、車両の車体ロールによる横加速度成分を含むことなく車両の横方向運動にかかる横加速度成分のみを推定するもので、車体ロールによる横加速度成分を含まない車両の横方向運動にかかる横加速度成分のみに基づいて横方向外乱を推定することができ、車両の操舵系の制御を適切に行なえなるようになっている。
操舵アシスト補正量演算部34は、オブザーバ32で推定されたヨーモーメント外乱推定値(以下,単に、モーメント外乱推定値ともいう)φmo_e,横勾配外乱推定値φrb_e,横速度推定値ve,ヨーレイト推定値γeと、前輪舵角速度検出手段21で検出された前輪舵角速度ωf_sと、前輪舵角速度検出手段21で検出された前輪舵角δf_sと、車速検出手段25で検出された車速Vとに基づいて、操舵系に加わる外乱成分に応じた補正アシストトルクTm_addを算出する。
つまり、図5に示すように、一般に、カーブ路における道路の横勾配はカーブを曲がることによって生じる遠心力を打ち消してカーブでの旋回走行を容易にするために設けられている。また、直線路における横勾配は、2〜3%程度の小さい値であるが排水のために設けられている。オブザーバ32では、横方向外乱のうちこのような横勾配外乱については外乱抑制対象から除外して横風外乱の影響のみを抑制するように制御系を構成しているのである。
なお、図1〜図3における各パラメータについては以下の表1に示す。
したがって、オブザーバ32では、前輪舵角δf_s,ヨーレイトγs,横加速度Gy´,車速Vの各状態量を入力量として、横速度推定値veとヨーレイト推定値reとモーメント外乱推定値φmo_eと横勾配外乱推定値φrb_eとの各状態量を推定することができる。
オブザーバ32を設計するにあたって、ロバストな横制御システムを構成する必要があり、次の仮定(a)〜(d)を基本とする。
(a)センサ信号は,ステアリング角,ステアリンクトルク,ヨーレイト,横加速度を仮定する。
(b)タイヤとサスペンションの非線形性は考慮しない。
(c)横外乱に対してロバストな制御系を設計するためドライバの操作を想定しない(Th=0)。
(d)車両に生じる勾配以外の横力外乱は想定しないので、勾配以外の横力外乱はモーメント外乱推定値に含まれる。
ここで、前輪実舵角δfは、センサ値であるドライバトルクThとハンドル角αとから計測可能である。
車両の横運動とヨー運動を表す微分方程式を示す上記の式(5),(6)は、一般によく知られているものである。
これらのモーメント外乱φmo,横勾配外乱φrbは式(5),(6)に外部入力として与えられるが、直接計測することはできない。そこで、これらの横方向外乱の対策として、図8に示すように、オブザーバ(メインオブザーバ)で外乱を推定し、コントローラ(ECU30内の制御指令系)ではフィードフォワードループによって外乱の影響を近似的に打ち消す制御手法をとった。この手法では、外乱が一定値の場合積分制御と等価である。計測される出力信号である横加速度センサ値は、次式に示すように車両の状態量と横勾配外乱φrbとで表現されるが、モーメント外乱φmoは含まれない。なお、コントローラ30では横外乱以外の外乱については、車両の各状態量をフィードバックして外乱の影響を抑制している。
線形ロバスト制御するにあたり、4次の微分方程式を制御対象モデルとして適用すると、この4次モデルは、操舵系モデルの2つの状態変数である前輪実舵角δfと前輪実舵角速度ωfおよび車両系の2つの状態変数である横速度vとヨーレイトγとで構成される。ここで、外乱φmo,φrbは外部入力として制御対象に与えられる。なお、前式(1)におけるドライバトルクはゼロと仮定する(Th=0)。
v,φmo,φrbは前記のように、外乱オブザーバから推定される。一方、外乱抑制フィードフォワードループは、横風等により車両に発生するヨー運動の影響を低減することを目的し、具体的にはモーメント外乱推定値φmo_eによって生じるヨーレイトの定常値をゼロにするようにフィードフォワードゲインを定める。このフィードフォワードゲインkffを定める際,式(14)においてφrb=0と仮定する。
次に、第2実施形態について説明すると、図10,図11は本発明の第2実施形態としての車両用パワーステアリング装置及び車両用外乱推定装置について示すもので、これらの図に基づいて説明する。
本実施形態は、メインオブザーバ32の演算に用いる状態量である車両の横加速度(横G)Gy´を推定する横加速度推定手段38が異なっている。
本実施形態の横加速度推定手段38は、図10に示すように、横加速度センサ(横加速度推定手段)24と、横加速度センサ24により検出された横加速度Gyから横加速度Gy中に含まれる車両の車体ロールによる横加速度成分を除去する横G補正手段(横加速度補正手段)39とから構成されている。
本実施形態では、このような横加速度推定手段38以外は、第1実施形態と同様に構成されている。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明すると、図12,図13は本発明の第3実施形態としての車両用パワーステアリング装置及び車両用外乱推定装置について示すもので、これらの図に基づいて説明する。
また、横加速度推定手段については第1実施形態と同様のオブザーバ37(図3参照)によって構成されている。
オブザーバ32については、図13に示すように制御ブロックにモデル化することができる。なお、図12及び図13における各パラメータについては前記の表1に示す。
したがって、オブザーバ32では、前輪舵角δf_s,ヨーレイトγs,横加速度Gy_s,車速Vの各状態量を入力量として、横速度推定値veとヨーレイト推定値γeと横力外乱推定値φcw_eと横勾配外乱推定値φrb_eとの各状態量を推定することができる。
次に、第4実施形態について説明すると、図14〜図18は本発明の第4実施形態としての車両用パワーステアリング装置及び車両用外乱推定装置について示すもので、これらの図に基づいて説明する。
第1実施形態では、車両に生じる勾配以外の横力外乱は想定せずに、勾配以外の横力外乱はモーメント外乱推定値に含まれるものと考え、車両の横勾配外乱以外の外乱としてのヨーモーメント外乱φmoを推定しているが、本実施形態では、車両に生じるヨーモーメント外乱φmoと勾配以外の横力外乱φCWとの両方を想定し、これらを推定するようになっている。
また、横加速度推定手段については第1実施形態と同様のオブザーバ37(図3参照)によって構成されている。
オブザーバ32については、図15及び図16〜図18(図15の部分拡大図)に示すように制御ブロックにモデル化することができる。なお、図14〜図18における各パラメータについては前記の表1に示す。
したがって、オブザーバ32では、前輪舵角δf_s,ヨーレイトγs,横加速度Gy_s,車速Vの各状態量を入力量として、横速度推定値veとヨーレイト推定値γeと横力外乱推定値φcw_eとモーメント外乱推定値φmo_eと横勾配外乱推定値φrb_eとの各状態量を推定することができる。
(その他)
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
21 前輪舵角速度検出手段(操舵角速度検出手段)
22 前輪舵角検出手段(操舵角検出手段)
23 ヨーレイト検出手段
24 横加速度検出手段
25 車速検出手段
26 操舵トルク検出手段
30 制御手段としての電子制御ユニット(ECU)
31 基本制御量設定部(電動パワステ制御演算部)
32 推定手段(オブザーバ)
33 補正手段(外乱抑制補正手段)
34 操舵アシスト補正量演算部(外乱抑制制御演算部)
35 演算部
37,38 横加速度推定手段
Claims (11)
- 車両に搭載され操舵系に操舵アシストトルクを付与するアクチュエータと、該車両の車速を検出する車速検出手段と、該車両に加えられる操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、該車速検出手段及び該操舵トルク検出手段からの検出情報に基づいて該アクチュエータを制御する制御手段とをそなえた、パワーステアリング装置であって、
該車両の操舵角を検出する操舵角検出手段と、
該車両のヨーレイトを検出するヨーレイト検出手段と、
該車両の車体ロールによる横加速度成分を含むことなく該車両の横方向運動にかかる横加速度成分のみを推定する横加速度推定手段と、
該車両の操舵−車両系モデルに基づいて、該車速検出手段,該操舵角検出手段,該ヨーレイト検出手段によりそれぞれ検出された該車両の車速Vと操舵角δfとヨーレイトγと、該横加速度推定手段により推定された、該車両の横方向運動にかかる横加速度Gy´とから、該車両の横方向外乱を推定する推定手段とをそなえ、
該制御手段には、該推定手段による推定結果から、該車両の横方向外乱を抑制するように該アクチュエータに発生させる該操舵アシストトルクを補正する補正手段をそなえている
ことを特徴とする、車両用パワーステアリング装置。 - 該横加速度推定手段は、
該車両の横方向速度vを推定する横方向速度推定手段と、
路面勾配に応じた該車両の横方向外乱φrbを推定する路面勾配外乱推定手段と、
該ヨーレイト検出手段により検出されたヨーレイトγと、該車速検出手段により検出された車速Vと、該横方向速度推定手段により推定された横方向速度vと、該路面勾配外乱推定手段により推定された横方向外乱φrbとの各状態量から、状態量である上記の車両の横方向運動にかかる横加速度成分Gy´を推定する横加速度推定オブザーバとをそなえている
ことを特徴とする、請求項1記載の車両用パワーステアリング装置。 - 該横加速度推定手段は、
該車両の横加速度を検出する横加速度検出手段と、
該横加速度検出手段により検出された横加速度Gy中から車体ロールによる横加速度成分を排除して車両の横方向運動にかかる横加速度成分Gy´のみを取り出す車体ロール成分除去手段とから構成されている
ことを特徴とする、請求項1記載の車両用パワーステアリング装置。 - 該推定手段は、該操舵角検出手段と該ヨーレイト検出手段と該車速検出手段とによりそれぞれ検出された操舵角δfとヨーレイトγと車速Vと、該横加速度検出手段により推定された横加速度Gyとの各状態量から、状態量である上記の該車両の横勾配外乱と他の横方向外乱とを推定するメインオブザーバをそなえている
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用パワーステアリング装置。 - 該補正手段は、該推定手段による推定結果から、該車両の横方向外乱のうち主として上記他の横方向外乱を抑制するように該アクチュエータで付与する該操舵アシストトルクを補正する
ことを特徴とする、請求項4記載の車両用パワーステアリング装置。 - 該車両の操舵角速度ωfを検出する操舵角速度検出手段をさらにそなえ、
該推定手段は、該車両のヨーレイトγ及び横方向速度rをさらに推定するように構成され、
該補正手段は、該操舵角速度検出手段と該操舵角検出手段と該車速検出手段とによりそれぞれ検出された操舵角速度ωfと操舵角δfと車速Vと、該推定手段により推定されたヨーレイトγと横方向速度vとから第1補正トルクを算出し、該推定手段により推定された上記の横勾配外乱と他の横方向外乱とから第2補正トルクを算出して、該第1補正トルクと第2補正トルクとに基づいて該操舵アシストトルクを補正する
ことを特徴とする、請求項4又は5記載の車両用パワーステアリング装置。 - 該補正手段は、上記の操舵角δf,舵角速度ωf,ヨーレイトγ,横方向速度vのそれぞれに、車速Vに応じてそれぞれ設定されるゲインを乗算して該第1補正トルクを算出するとともに、上記の横勾配外乱,他の横方向外乱のそれぞれに、車速Vに応じてそれぞれ設定されるゲインを乗算して該第2補正トルクを算出して、該第1補正トルクと第2補正トルクとに基づいて該操舵アシストトルクを補正する
ことを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項に記載の車両用パワーステアリング装置。 - 車両の操舵角を検出する操舵角検出手段と、
該車両のヨーレイトを検出するヨーレイト検出手段と、
該車両の車体ロールによる横加速度成分を含むことなく該車両の横方向運動にかかる横加速度成分のみを推定する横加速度推定手段と、
該車両の操舵−車両系モデルに基づいて、該車速検出手段,該操舵角検出手段,該ヨーレイト検出手段によりそれぞれ検出された該車両の車速Vと操舵角δωfとヨーレイトγと、該横加速度推定手段により推定された、該車両の横方向運動にかかる横加速度Gy´とから、該車両の横方向外乱を推定する推定手段とをそなえている
ことを特徴とする、車両用外乱推定装置。 - 該横加速度推定手段は、
該車両の横方向速度vを推定する横方向速度推定手段と、
路面勾配に応じた該車両の横方向外乱φrbを推定する路面勾配外乱推定手段と、
該ヨーレイト検出手段により検出されたヨーレイトγと、該車速検出手段により検出された車速Vと、該横方向速度推定手段により推定された横方向速度vと、該路面勾配外乱推定手段により推定された横方向外乱φrbとの各状態量から、状態量である上記の車両の横方向運動にかかる横加速度成分を推定する横加速度推定オブザーバとをそなえている
ことを特徴とする、請求項8記載の車両用外乱推定装置。 - 該横加速度推定手段は、
該車両の横加速度を検出する横加速度検出手段と、
該横加速度検出手段により検出された横加速度Gy中から車体ロールによる横加速度成分を排除して車両の横方向運動にかかる横加速度成分Gy´のみを取り出す車体ロール成分除去手段とから構成されている
ことを特徴とする、請求項8記載の車両用外乱推定装置。 - 該推定手段は、該操舵角検出手段と該ヨーレイト検出手段と該車速検出手段とによりそれぞれ検出された操舵角δfとヨーレイトγと車速Vと、該横加速度検出手段により推定された横加速度Gyとの各状態量から、状態量である上記の該車両の横勾配外乱と他の横方向外乱とを推定するメインオブザーバをそなえている
ことを特徴とする、請求項8〜10の何れか1項に記載の車両用外乱推定装置。
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