JP2005280123A - 画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸素が画像形成を阻害する感光材料を用いた感光層を有する印刷版原版に好適な画像形成方法及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録媒体(印刷版原版)をアウタードラム40に装着する際に、ラミネート機構50により感光層上にラミネートフィルムを形成して感光層に酸素が供給されないようにする。露光ヘッド21により、ラミネートフィルムを介して露光光を照射して感光層に画像を形成する。感光層には、画像形成を阻害する酸素が供給されないため画像が形成される。露光を終えた記録媒体から、剥離機構60によりラミネートフィルムを剥離する。装置10から記録媒体を取り出して明室環境下に放置しても感光層には大気中の酸素が供給されるため画像形成が阻害されて感光層が感光することはない。
【選択図】図1

Description

本発明は、支持体上に感光層を備える印刷版原版の画像形成方法及び画像形成装置に関し、現像することなく製版することが可能な印刷版原版の画像形成方法及び画像形成装置する。
画像形成技術の発展に伴い、コンピュータで扱われる文字原稿、画像原稿等のデジタルデータを、レーザスキャナ等を用いて感光層に形成し、形成した画像を現像して直接印刷版を作製するCTP(Computer-To-Plate)システムが注目されている。CTPシステムに用いられる印刷版原版(以下、CTP版という)は、基本的には、使用されるレーザに応じて、可視光レーザに反応するフォトンモードのCTP版と、赤外線レーザに反応するヒートモードのCTP版の2種類に大別される。
ヒートモードのCTP版の画像形成は、感光層に赤外線レーザ光を照射して、感光層に含まれる赤外線吸収剤等の光熱変換物質を発熱させ、その発生した熱により化学反応を起こさせて現像液に対する溶解性を変化させることによって行なわれる。このようなヒートモードのCTP版の感光層は、白色蛍光灯(以下、白灯という)の発する波長域の光では感光しないため、露光後に、たとえ室内の環境光に暴露されても、感光層に形成された画像が影響を受けることがない。
しかしながら、ヒートモードのCTP版の感光層に用いられる感光材料は、一般に、低感度(100〜200mJ/cm2)であり、この感光層に画像を形成するためには高パワーのレーザ光を短期間(例えば1μsec程度)で照射しなければならず、高価な高出力の赤外線レーザが必要となる。
また、ヒートモードのCTP版の感光層は、熱伝導率の高いアルミニウムなどの金属の支持体上に形成されているため、赤外線レーザ光の照射により感光層と支持体との界面付近で発生した熱が、画像形成反応が十分進行する前に支持体内部に移動してしまう。そうすると、特に感光層と支持体との界面付近において、感光層の画像形成反応が不十分となるため、その部分における現像液耐性が不十分となり、画像部分が細くなる。このような印刷版を用いて印刷を繰り返し行なうと、画像が形成された部分が欠落してしまうため、耐刷性が悪かった。
一方、フォトンモードのCTP版の感光層に用いられる感光材料は比較的高感度であるため、安価な低出力のレーザであっても感光層を確実に感光させることができ、感光層に確実に画像を形成することができる。また、レーザ光に反応して感光層が感光されるため、支持体との界面付近に存在する感光層にレーザ光が到達しさえすれば、その部分の感光層の画像形成反応を確実に起こすことができる。このため、フォトンモードのCTP版は、画像形成領域における感光層と支持体との密着性が高く、高耐刷性が実現されている。
しかしながら、フォトンモードのCTP版は、可視光領域の光に感度を有する感光材料を感光層に用いているため、露光後、室内の環境光に暴露されると、感光層が感光してしまい、露光により形成された画像が影響を受けてしまうという問題がある。また、露光後は感光層が定着していないため、例えば、現像装置に装着するまでの間に、露光後のCTP版を遮光状態あるいはセーフライトの環境化に維持しておかなければならず、画像を形成するための画像形成装置(CTPセッター)や現像装置の設置場所が制限されていた。
近年、CTPシステムにおいては、より一層の工程の合理化と廃液処理の問題を解決するために、画像形成装置での露光後、印刷機上で、例えば湿し水などにより現像を行なうことができる機上現像方式の無処理CTP版(以下、無処理CTP版という)の研究が進められている。ここで、「機上現像」とは、印刷機を用いて、液体(通常は湿し水)を接触させることにより、印刷版原版の感光層の未露光部分を除去し、親水性を示す支持体の表面を露出させる方法及び工程を意味する。一般に印刷機は、白色蛍光灯が点灯されるような明るい部屋(以下、明室という)に設置されるため、機上現像される前、すなわち、印刷機に装填される前においても感光しないような感光層を有する無処理CTP版、例えば、白色蛍光灯400luxの環境下で6時間以上放置しても感光しないような感光層を有する無処理CTP版が求められている。
本発明者らの知見によれば、現在、無処理CTP版用の感光材料として種々の材料が研究されており、それら感光材料の一つとして、酸素が画像形成を阻害する感光材料が開発されている。本発明者は、この感光材料に着目し、この感光材料を無処理CTP版の感光層として用いて、露光時のみ酸素を遮断する環境にして感光層に画像を形成するようにすれば、明室に記録媒体を放置しても大気中の酸素が感光層への画像の形成を妨げるため、感光層が感光しなくなることを見出した。
本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、白灯環境下での取り扱いが可能であり、高感度で高速に露光をすることができ、優れた耐刷性能を有する新規な無処理CTP版、特に、酸素が画像形成を阻害する感光材料を用いた感光層を有する印刷版原版に好適な画像形成方法及び画像形成装置を提供することにある。
本発明の第1の態様は、支持体上に感光層を有する印刷版原版に画像を形成するための画像形成方法であって、前記印刷版原版として、酸素が画像形成を阻害する感光材料を感光層に用いた印刷版原版を用意し、前記印刷版原版の感光層が形成されている側に、大気中の酸素の前記感光層への侵入を遮断するための酸素遮断膜を形成し、前記酸素遮断膜を通して前記感光層に露光光を照射して画像を形成する画像形成方法を提供する。
本発明の第1の態様の画像形成方法においては、更に、前記感光層への画像形成後に、前記酸素遮断膜を前記印刷版原版から剥離することが好ましい。
また、本発明の第1の態様の画像形成方法において用いられる印刷版原版の酸素遮断膜は、低温で熱接着性を有するフィルム状の酸素遮断膜であることが好ましく、当該フィルム状の前記酸素遮断膜を前記感光層上に熱圧着させることによって前記酸素遮断膜を形成することが好ましい。
本発明の第2の態様は、支持体上に感光層を有する印刷版原版に画像を形成するための画像形成方法であって、前記印刷版原版として、酸素が画像形成を阻害する感光材料を用いて構成された感光層と、前記感光層上に、大気中の酸素の前記感光層への侵入を遮断するための酸素遮断膜とを備える印刷版原版を準備し、前記印刷版原版の感光層に、前記酸素遮断膜を通して露光光を照射して前記感光層に画像を形成し、前記感光層への画像形成を終えた前記記録媒体から前記酸素遮断膜を剥離する画像形成方法を提供する。
本発明の第2の態様の画像形成方法において用いられる印刷版原版の酸素遮断膜は、低温で熱接着性を有するフィルム状の酸素遮断膜であることが好ましく、前記酸素遮断膜を加熱しつつ前記記録媒体から剥離することが好ましい。
本発明の第3の態様は、支持体上に感光層を有する印刷版原版の画像形成装置であって、前記印刷版原版を支持するための支持体と、前記印刷版原版の感光層に露光光を照射して前記感光層に画像を形成する露光手段と、前記印刷版原版の感光層上にラミネートフィルムを積層するためのラミネート手段とを備える画像形成装置を提供する。
本発明の第3の態様の画像形成装置において、前記ラミネート手段は、前記ラミネートフィルムが巻設されたフィルム供給ローラと、前記ラミネートフィルムを挟持して前記ラミネートフィルムの先端部を前記印刷版原版の感光層に圧着するためのフィルム挟持部と、前記ラミネートフィルムが形成された印刷版原版を押圧するスクイーズローラとを有することが好ましい。
また、本発明の第3の態様の画像形成装置は、更に、前記印刷版原版から前記ラミネートフィルムを剥離するための剥離手段を有することが好ましい。
また、本発明の第3の態様の画像形成装置に用いられる印刷版原版の感光層は、酸素が画像形成を阻害する感光材料を用いて構成されていることが好ましい。
本発明の第4の態様は、支持体上に感光層を有する印刷版原版の画像形成装置であって、前記印刷版原版は、酸素が画像形成を阻害する感光材料を用いて構成された感光層と、前記感光層上に、大気中の酸素の前記感光層への侵入を遮断するための酸素遮断膜とを備えており、前記印刷版原版を支持するための支持体と、前記印刷版原版の感光層に露光光を照射して前記感光層に画像を形成する露光手段と、前記露光手段により露光された前記印刷版原版から前記酸素遮断膜を剥離するための剥離手段とを備える画像形成装置を提供する。
本発明の第4の態様の画像形成装置において、前記剥離手段は、前記酸素遮断膜を巻き取るための巻取りローラと、前記印刷版原版の酸素遮断膜を挟持するとともに、前記巻取りローラに酸素遮断膜を接着する挟持部とを備えることが好ましい。
また、本発明の第4の態様の画像形成装置において、前記剥離手段は、前記印刷版原版に形成されている前記酸素遮断膜を加熱押圧するスクイーズローラを備えることが好ましい。
本発明の第1の態様の画像形成方法及び第3の態様の画像形成装置は、感光層を露光する前に、印刷版原版の感光層にラミネートフィルムを形成して感光層を酸素から遮断させることができるので、酸素が画像形成を阻害する感光材料を用いて構成された感光層を備える印刷版原版の画像形成方法及び画像形成装置として最適である。また、印刷版原版は、明室でも感光しないので、画像形成装置を白灯下の室内に設置することが可能となる。
また、本発明の第2の態様の画像形成方法及び第4の態様の画像形成装置は、露光を終えた印刷版原版の感光層上からラミネートフィルムを剥離することができるので、酸素が画像形成を阻害する感光材料から構成される感光層を備えるとともに、この感光層上に予めラミネートフィルムが形成された形態で提供される印刷版原版の画像形成方法及び画像形成装置として最適である。
以下、本発明の画像形成方法及び画像形成装置について、添付の図面に示される好適な態様を基に、詳細に説明する。
図1は本発明の画像形成装置の一例を示す概略斜視図である。図1に示す画像形成装置10は、アウタードラム型(円筒外面走査型)刷版露光装置であり、露光ヘッド21から露光光を出射するとともに、アウタードラム40を所望の速度で回転させることにより、ドラム40に装着された記録媒体Pをアウタードラム40の回転方向(主走査方向)rに走査露光しつつ、露光ヘッド21をアウタードラム40の軸線方向と略平行な方向(副走査方向(紙面に対して垂直な方向))に走査することによって、副走査方向に走査露光する。こうして、記録媒体Pの感光層を記録画像に応じて二次元的に露光する。
記録媒体Pは、特別な現像処理を不要とした、いわゆる無処理CTP版と呼ばれる印刷版原版であり、アルミニウム又はアルミ合金からなる支持体上に感光材料からなる感光層を備える。このような無処理CTP版の感光層及び支持体については後で詳述する。
画像形成装置10は、図1に示したように、基本的に、筐体11内に、記録媒体Pを支持するアウタードラム40と、記録媒体Pを搬送するための搬送ユニット70と、記録媒体Pを露光するための露光手段20と、記録媒体の表面にラミネートフィルムを形成するためのラミネート機構50と、記録媒体に被覆されているラミネートフィルムを剥離する剥離機構60を有する。
搬送ユニット70は、記録媒体Pの給排版機構のことであり、複数の記録媒体Pが載置される給版台71と、複数の搬送ローラ72と、プレート状の搬送ガイド部材74とを備える。搬送ユニット70は、画像記録に際し、記録媒体Pをアウタードラム40に供給するとともに、画像記録終了後に記録媒体Pをアウタードラム40から排出する。給版台71には、記録媒体の束から1枚の記録媒体を分離して、1枚の記録媒体を搬送ガイド部材74に供給するための分離装置(図示せず)が設けられている。記録媒体Pのアウタードラム40への供給及び排出は制御装置(図示せず)により制御される。
搬送ユニット70により記録媒体Pがアウタードラム40に搬送されると、チャック機構48が、記録媒体Pの先端部をアウタードラム40に先端チャックによりチャックする。このとき、アウタードラムが回転軸を中心に回転を開始する。先端チャックにより先端部がアウタードラム40に拘束された記録媒体は、ガイドローラ(図示しない)によりアウタードラム40の外周面に加圧されつつ巻きつけられる。
画像形成装置10は、アウタードラム40に装着された記録媒体Pの露光が完了すると、アウタードラム40を逆方向に回転させて、チャック機構48により記録媒体Pの後端部をアウタードラム40から解放する。また、これに連動して、搬送ユニット70は搬送ローラ72を回転させて、アウタードラム40から搬送ガイド部材74の先端に送り出された記録媒体Pを排出トレーに搬送する。
図示例では、搬送ユニット70により、記録媒体Pの供給と排出を行なう構成にしたが、給版機構と排版機構をそれぞれ独立に設けて、記録媒体Pの供給と排出をそれぞれ個別に行なっても良い。
露光手段20は、基本的に、露光ヘッド21と、露光光源ユニット25と、光ファイバとを用いて構成される。露光ヘッド21は、マルチビームを用いて露光を行なうマルチビーム露光ヘッドであり、複数の半導体レーザが搭載された露光光源ユニット25と接続されている。露光ヘッド21は、露光光源ユニット25から光ファイバ29を介して供給される複数のレーザ光をアウタードラム40の側面の所定の領域に集光して照射することができる。露光ヘッド21から出射したレーザ光は、露光ヘッド21に設けられたオートフォーカス機構により、常に焦点を合わせながらレンズユニット26により記録媒体Pの表面上に結像される。
露光ヘッド21は、ファイバホルダ24と、レンズユニット26とを備えている。ファイバホルダ24は、複数本の光ファイバ29を保持するためのものであり、複数本の光ファイバ29の先端部を挟んで保持する支持板(図示せず)と、光ファイバの先端面を保護するための透明の保護板(図示せず)等を有する。ファイバホルダ24によって保持された複数本の光ファイバ29の他端部は、光ファイバコネクタ(図示しない)を介して露光光源ユニット25からの光ファイバ29と接続されている。露光光源ユニット25には、複数個の半導体レーザ(図示しない)が設けられており、それぞれの半導体レーザと光ファイバ29とが接続されている。露光光源ユニット25の各半導体レーザから射出されたレーザビームは、光ファイバ29を通じて露光ヘッド21に伝送され、ファイバホルダ24から、各半導体レーザから射出された複数のレーザビームが、記録画像情報に応じて出射される。
また、図1に示すように、露光ヘッド21には、ファイバホルダ24側から順に、コリメータレンズ部27及び結像レンズ部28が配列されている。ファイバホルダ24から出射した露光光としてのレーザビームは、コリメータレンズ部27により平行光にされた後、結像レンズ部28により、アウタードラム40の側面に設けられる記録媒体Pの感光層に集光される。
露光ヘッド21は、後述する副走査ステージ32上に搭載されており、駆動時には、副走査ステージ32と一体となって副走査方向(紙面に対して垂直な方向)に移動する。
アウタードラム40の外周面に巻きつけられた記録媒体Pの感光層には、露光ヘッド21から射出された複数のレーザビームに応じて複数のビームスポットが形成される。露光ヘッド21を、後述する露光ヘッド移動部30により所定のピッチで副走査方向に送って、複数のビームスポットで感光層を副走査方向に走査露光するとともに、アウタードラム40を回転させて、複数のビームスポットで感光層を主走査方向に走査露光することにより、画像データに応じた2次元画像が記録媒体Pの感光層上に形成される。
露光ヘッド移動部30は、露光ヘッド21を副走査方向に所定の速度で移動させるためのものであり、基本的に、露光ヘッド21を載置するための副走査ステージ32と、ボールネジ15と、2本のガイドレール14と、副走査モータ(図示せず)から構成される。2本のガイドレール14は、基台12の表面上にドラム40の回転軸と平行に配置されている。ボールネジ15は、2本のガイドレール14によって挟まれた位置に形成された基台12の溝部13に、それらガイドレール14と平行に配置されている。
副走査ステージ32の下面にはブロック状の雌ねじ部材33が形成されており、雌ねじ部材33には、ボールネジ15と螺合する雌ねじ孔が穿孔されている。ボールネジ15の一方の端部は、副走査モータ(図示せず)と連結されており、副走査モータを駆動させることにより、ボールネジ15は所定の回転数で回転する。
また、副走査ステージ32の下面には、基台12に設けられたガイドレール14と整合するガイド部材34が設けられている。ガイド部材34は、ガイドレール14に沿って移動し、副走査ステージ32が、アウタードラム40に向かう方向に変動することを規制している。副走査モータ36を駆動させてボールネジ15を回転させると、ボールネジ15と接続された副走査ステージ32は、ガイドレール14に案内された状態で、副走査方向に、ボールネジ15の回転量に対応する距離だけ移動する。
アウタードラム40は、記録媒体Pが巻き付けられる外周面を有する円柱状又は円筒状の支持台であり、アウタードラム40の外周面には、記録媒体Pを固定保持する先端チャック44および後端チャック46が設けられている(図3参照)。このアウタードラム40は、その回転軸方向の両側の端面に設けられた支持軸(図示せず)を、基台12に設けられた1対の支持部材(図示せず)で支持することによって回転可能に配置されている。アウタードラム40の支持軸は、回転駆動手段としての主走査モータ(図示せず)と接続されており、主走査モータを駆動させることにより、アウタードラム40を所定の回転数で回転させることができる。主走査モータとアウタードラム40の支持軸とは直接接続されていても良いし、主走査モータの動力を伝達するための手段、例えば、プーリやベルトなどを用いて構成された公知の巻掛伝導手段を介して接続されていても良い。
チャック機構48は、搬送ユニット70によりアウタードラム40の上方の外周面に搬送される記録媒体Pの先端部をアウタードラム40の外周面に先端チャックでチャックすることができる。また、アウタードラム40を更に回転させることによって記録媒体Pの後端部がアウタードラム40に巻きつけられたときには、記録媒体Pの後端部を後端チャックでアウタードラム40の外周面にチャックする。
アウタードラム40に記録媒体Pを固定保持する先端チャック44及び後端チャック46としては、磁石を利用する手段及び固定部材をボルトで固定する手段等の公知の手段が各種利用可能である。
チャック機構48により先端部及び後端部がチャックされた記録媒体Pはアウタードラム40上に密着されて固定される。
次に、ラミネートフィルムを記録媒体の表面に形成するためのラミネート手段としてのラミネート機構50について説明する。ラミネート機構50は、図1に示すように、画像形成装置10の筐体11内に設けられており、基本的には、フィルム供給ローラ52と、フィルム挟持部56と、カッタ54と、押圧部(スクイーズローラ)58とを用いて構成される。フィルム供給ローラ52には、厚さが30μm〜300μmで、幅が記録媒体の幅よりも大きなラミネートフィルム51が巻き付けられており、搬送ユニット70により搬送される記録媒体Pの上方に設けられている。
フィルム挟持部56は、フィルム供給ローラ52から引き出されたラミネートフィルム51の先端を挟持するとともに、搬送ユニット70により搬送される記録媒体Pの先端に向かって接近して、ラミネートフィルム51の先端を記録媒体Pの先端部分に圧着させることができる。フィルム挟持部56は、ラミネートフィルム51を記録媒体Pの先端部分に圧着させた後、挟持していたラミネートフィルム51を解放して、ラミネートフィルム51から離間した方向に移動する。
カッタ54は、フィルム供給ローラ52のラミネートフィルム51が引き出される側に設けられており、フィルム供給ローラ52から引き出されたラミネートフィルム51を所望の長さで切断することができる。
スクイーズローラ58は、アウタードラム40の回転軸と平行に、アウタードラム40の外周面に対して所定の間隔だけ離れて配置されており、アウタードラム40の外周面に対して接近又は離間するように移動することができる。スクイーズローラ58は、図示しない押圧手段、例えば、ばねやシリンダにより、アウタードラム40の外周面に巻き付けられた記録媒体Pを所定の圧力で押圧することができる。また、スクイーズローラ58は、図示しない加熱装置により所望の温度に加熱され、記録媒体Pの表面を所定の温度で加熱しつつ押圧することができる。スクイーズローラ58は、アウタードラム40に記録媒体Pの先端部がチャックされた後に、記録媒体Pへの押圧動作を開始して、アウタードラム40に巻き付けられた記録媒体Pの、ラミネートフィルム51が形成されている面を所定の圧力で加熱しつつ押圧する。
ここでは、スクイーズローラ58を図示しない加熱機構により加熱する形態としたが、記録媒体Pの表面に形成するラミネートフィルムの性質に応じて、加熱機構を不要とすることもできる。すなわち、ラミネートフィルムとして、低温(50℃〜150℃)で接着力を示す性質の材料を用いた場合は、前述のように加熱機構によりスクイーズローラを加熱して、スクイーズローラ58によりラミネートフィルム51と記録媒体Pとを圧着させればよいが、ラミネートフィルム58として加熱による接着が不要な場合は、スクイーズローラ58を加熱するための加熱装置は設けずに、常温のスクイーズローラ58でラミネートフィルム51を記録媒体Pに圧着させるようにすれば良い。また、スクイーズローラ58により加熱圧着されたラミネートフィルム51の冷却を促進させるための冷却ローラを別途設けることも可能である。
また、ラミネートフィルム51を記録媒体Pの表面に形成したときに、ラミネートフィルム51に皺が発生したり、ラミネートフィルム51と記録媒体Pとの間に気泡が発生したりすることを防止するために、塑性変形する柔らかい樹脂の層を外周面に有するローラを用いて、記録媒体Pのラミネートフィルム形成面を圧接するようにしても良い。或いは、塑性変形する柔らかい樹脂の層を、記録媒体Pの支持体と感光層との間又は感光層の上に設けてもよい。これにより、スクイーズローラ58を用いてラミネートフィルム51を記録媒体Pに圧着させたときに、その樹脂の層の緩衝力によりスクイーズローラ58の押圧力が吸収されてスクイーズローラ58の外周面が記録媒体に密着することになり、皺や気泡の発生が防止される。
また、ラミネートフィルム51を記録媒体Pの表面に貼り付ける際に、例えば、テンションローラを用いてフィルム供給ローラ52から引き出されたラミネートフィルム51に一定の張力を与えてもよい。このような方法によっても、ラミネートフィルム51を記録媒体Pの表面に形成する時に、皺や気泡などが発生することを防止することができる。
ここで、ラミネート機構50の動作について図2(A)〜(E)を参照して具体的に説明する。ここでは、フィルム供給ローラ52に巻き付けられているラミネートフィルム51が低温で熱接着性を有し、高温で接着性が低下する性質を有するフィルムを用いた場合について説明する。
まず、記録媒体Pが搬送ユニット70の搬送ガイド部材74で搬送されると、ラミネート機構50が動作を開始し、図2(A)に示すように、フィルム挟持部56が、フィルム供給ローラ52から引き出されたラミネートフィルム51の先端部を挟持するとともに、ラミネートフィルム51を挟持させたまま、搬送ユニット70の搬送ガイド部材74に沿って搬送される記録媒体Pの先端部分に向かって移動する。そして、フィルム挟持部56は、記録媒体Pの先端部分に、挟持していたラミネートフィルム51の先端部分を加熱圧着する。ここで、記録媒体Pの先端部分へのラミネートフィルム51の圧着は熱によるものでも、接着剤によるものでもよい。
次いで、図2(B)に示すように、フィルム挟持部56は、ラミネートフィルム51を解放するとともに、ラミネートフィルム51から離間する方向に移動する。記録媒体Pがアウタードラム40に向かって搬送され、記録媒体Pの先端部分がアウタードラム40の上方の外周面に位置づけられると、図1に示したチャック機構48が、記録媒体Pの先端部分をラミネートフィルム51とともに先端チャック44を用いてチャックする。
続いて、図2(C)に示すように、アウタードラム40の回転により、アウタードラム40に巻き付けられた記録媒体Pの先端部分が、スクイーズローラ58と対面する位置を通過すると、所定の温度に加熱されたスクイーズローラ58が、アウタードラム40に向かって前進し、アウタードラム40に巻き付けられた記録媒体Pを所定の圧力で加熱押圧する。こうして、スクイーズローラ58は、記録媒体Pの表面上に積層されたラミネートフィルム51を記録媒体Pに加熱圧着させる。次いで、図2(D)に示すように、ラミネートフィルム51が記録媒体Pを覆う長さになると、カッタ54がラミネートフィルム51を切断する。
更にアウタードラム40の回転により、アウタードラム40に巻き付けられた記録媒体Pの後端部分が図1に示したチャック機構48に対面する位置に移動すると、チャック機構48は、後端チャック46を用いて、記録媒体Pの後端部をラミネートフィルム51とともにチャックする。そして、後端チャック46がスクイーズローラ58と対面する手前の位置に移動すると、スクイーズローラ58はアウタードラム40から離間する方向に移動する。こうして、記録媒体Pにラミネートフィルム51を積層する。なお、後端チャック46によってチャックされた部分の記録媒体Pは、スクイーズローラ58による加熱圧着が行なわれていないため、その部分のラミネートフィルムは記録媒体Pと接着されていない。
そして、ラミネートフィルム51が積層された記録媒体Pは、アウタードラム40に装着された状態で、露光ヘッド21からの露光光がラミネートフィルム51を介して記録媒体Pの感光層に照射され、感光層に潜像が形成される。こうしてラミネートフィルムが形成された記録媒体の露光が行われる。
次に、図1を参照して、記録媒体Pからラミネートフィルムを剥離して分離する剥離手段としての剥離機構60について説明する。
図1に示す画像形成装置10において、剥離機構60は、巻取りローラ62と、圧接ローラ64と、フィルム挟持部56と、スクイーズローラ58とを基本的に備える。剥離機構60は、画像形成装置10の筐体11内に設けられている。図示例では、フィルム挟持部56及びスクイーズローラ58は、それぞれ、前述のラミネート機構60のフィルム挟持部56及びスクイーズローラ58と共用としている。しかし、フィルム挟持部56及びスクイーズローラ58は、ラミネート機構50と別個に独立して設けることも可能である。
巻取りローラ62は、その回転軸がモータ(図示せず)と接続されており、所定の回転速度で回転駆動することができる。巻取りローラ62は、アウタードラム40の上方に設けられており、露光処理後、アウタードラム40から記録媒体が引き出されて搬送ユニット70の搬送ガイド部材74に搬送するときに、その引き出された記録媒体Pの端部に向かって接近する方向に移動することができる。巻取りローラ62は、その回転軸方向の長さが、記録媒体Pの表面上に積層されたラミネートフィルム51の幅よりも長くなっている。
フィルム挟持部56は、アウタードラム40から引き出された記録媒体の後端部分に形成されているラミネートフィルム51を挟持するとともに、そのラミネートフィルム51を挟持したまま巻取りローラ62に向かって移動して、巻取りローラ62の外周面に、ラミネートフィルム51の未接着部分を圧着することができる。
圧接ローラ64は、巻取りローラ62と対向する位置に設けられており、巻取りローラ62の外周面に向かって前進又は後退することができる。圧接ローラ64は、巻取りローラに巻き取られているラミネートフィルムを所定の圧力で圧接することができる。
次に、剥離機構60の動作について、図3(A)〜(D)を参照しながら具体的に説明する。
ここでは、前述と同様に、ラミネートフィルム51として、低温で熱接着性を有し、高温で接着性が低下する性質を有するフィルムを用いた場合について説明する。
露光を終えて、アウタードラム40に巻きつけられた状態の記録媒体Pは、ラミネートフィルム51と感光層とが互いに接着された状態となっている。剥離機構60を駆動すると、アウタードラム40は、図3(A)に示すように、ラミネート機構50を駆動させるときとは逆の方向に回転し、アウタードラム40の後端チャック46をチャック機構(図示せず)の下方に位置づける。そして、所定温度に加熱したスクイーズローラ58は、アウタードラム40に向かって前進し、アウタードラム40に巻き付けられている記録媒体の後端部を所定の圧力で加熱押圧する。スクイーズローラ58で記録媒体を加熱押圧することにより、記録媒体Pに積層されたラミネートフィルム51が加熱されて粘着力が低下するため、記録媒体からラミネートフィルム51を容易に剥離することが可能となる。
その後、チャック機構(図示せず)は、後端チャック46をアウタードラム40から取り外し、記録媒体Pの後端をアウタードラム40から解放する。ラミネートフィルム51の後端部は、ラミネート機構50による加熱圧着がされておらず、記録媒体Pと十分に接着されていないために、アウタードラム40に固定されていた記録媒体Pの後端部をアウタードラム40から解放すると、ラミネートフィルム51の後端部は記録媒体Pから若干浮き上がった自由な状態となっている。
アウタードラム40から後端チャック46が取り外されると、図3(B)に示すように、巻取りローラ62が、アウタードラム40から引き出される記録媒体Pの後端部と搬送ユニット70の搬送ガイド部材74との間に向かって前進し、アウタードラム40から引き出されてガイド部材に向かう記録媒体Pに対して上方の位置に移動する。また、フィルム挟持部56は、記録媒体Pから浮き上がった状態のラミネートフィルム51の後端部51bを挟持した後、ラミネートフィルム51の挟持を維持したまま、巻取りローラ62に向かって移動する。
そして、図3(C)に示すように、フィルム挟持部56は、アウタードラム40から排出される記録媒体Pの移動速度と同期した速度で、巻取りローラ62と圧接ローラ64との間に移動し、挟持しているラミネートフィルム51の後端部を、巻取りローラ62の外周面の上部に加熱圧着する。
図3(D)に示すように、フィルム挟持部56が、巻取りローラ62へのラミネートフィルム51の圧着を終えると、圧接ローラ64が巻取りローラ62に向かって前進し、巻取りローラ62に圧着されたラミネートフィルム51を挟み込む。フィルム挟持部56は、ラミネートフィルム51の後端部51bを解放した後、巻取りローラ62から離間する方向に移動する。巻取りローラ62は、記録媒体Pの移動速度と同期した回転速度で回転して、記録媒体Pの表面に形成されていたラミネートフィルム51を、その外周面で巻き取る。
アウタードラム40が回転し、先端チャック44がスクイーズローラ58の手前に位置すると、スクイーズローラ58は、記録媒体の加熱押圧を停止して、アウタードラム40から離間する方向に移動する。そして、残りのラミネートフィルム51を巻取りローラ62で巻き取って剥離機構60により記録媒体Pからラミネートフィルム51を剥離する工程を終了する。
剥離機構60の巻取りローラ62に巻き取られたラミネートフィルム51は、廃棄しても良いし、再利用しても良い。再利用する場合は、例えば、クリーニングしてから再利用しても良いし、所定回数連続して使用してからクリーニングし、そして再利用しても良い。所定回数連続して使用してからクリーニングするような場合は、巻取りローラ62を、ラミネート機構50のフィルム供給ローラ52と共用させてもよい。
なお、上述のラミネート機構50及び剥離機構60において、スクイーズローラ58によりラミネートフィルム51を接着又は剥離する際の加熱温度は、ラミネートフィルム51を接着又は剥離するのに必要な温度であれば、接着時と剥離時で異なる温度にすることができるが、記録媒体の感光層が化学的な変化を起こさない程度の温度であることが好ましい。
次に、記録媒体Pの表面上に積層されるラミネートフィルム51について説明する。ラミネートフィルム51を構成する材料は、記録媒体の感光層の性質に応じて適宜選択することができる。本発明では、感光層が、酸素遮断雰囲気中で高い露光感度を示し、酸素が遮断されていない雰囲気、例えば大気中で低い露光感度を示すような材料から構成される場合は、1〜100[cc/m2/day]の酸素透過率を有する材料から構成することが好ましい。このような性質を有するラミネートフィルムは、酸素を遮断するための酸素遮断膜として機能することになる。このような材料としては、例えば、アルミナ蒸着PET(ポリエチレンテレフタレート)SiO2蒸着PET、PVA(ポリビニルアルコール)、PVAとPVP(ポリビニルピロリドン)との共重合体を例示することができる。
ラミネートフィルムの厚さは、酸素を遮断するという観点からは2、3μmであれば足りるが、ラミネート機構50によるラミネートや剥離機構60による剥離を容易に且つ確実に行なうためには10μm以上であることが好ましい。また、露光時に、露光光を記録媒体の感光層に確実に照射させるために、露光光に対して十分な光透過性、例えば、波長250nm〜420nmの波長域の光に対して90%以上の光透過率を有することが好ましい。
以上の説明では、ラミネート機構50を用いて記録媒体Pにラミネートフィルム51を形成し、記録媒体Pへの露光を終えた後、記録媒体Pに形成したラミネートフィルム51を、剥離機構60を用いて剥離する画像形成装置10の構成例について説明したが、記録媒体Pとして予めラミネートフィルム51が形成されている記録媒体を用いる場合は、本発明の別の態様として、上述のラミネート機構を設けずに、記録媒体Pからラミネートフィルムを剥離する剥離機構のみを有する画像形成装置にすることもできる。すなわち、画像形成装置に、ラミネートフィルムが形成された記録媒体を装填し、露光手段によって記録媒体を露光した後、上述と同様の構成を有する剥離機構を用いて記録媒体からラミネートフィルムを剥離する画像形成装置とすることもできる。
或いは、既にラミネートフィルムが形成された形態で画像形成装置に装填される記録媒体を用いる場合は、例えば、ラミネート機構の動作を制御するための制御装置を設けて、このような記録媒体が装填された際にラミネート機構を動作させないように制御させてもよい。
次に、本発明の画像形成方法及び画像形成装置に好適に使用される記録媒体について詳細に説明する。
本発明の画像形成方法および画像形成装置に好適に用いられる記録媒体Pは、支持体上に感光層を備える印刷版原版であり、機上現像方式の無処理CTP版であることが好ましい。無処理CTP版の感光層は、UVから可視域の光で照射された領域あるいは赤外線レーザ照射領域が硬化して画像部を形成するネガ型の感光層であり、未露光領域は、印刷機上で、印刷インキ及び/または湿し水に溶解除去または分散除去される機上現像型無処理タイプであることが好ましい。このような無処理CTP版に好適に用いられる感光層について以下に説明する。
[感光層]
感光層は、所定の光に対して感度を有し、且つ、酸素が画像形成を阻害するような感光材料を用いて構成されることが好ましく、例えば、露光に用いられる波長250nm〜420nmの光に対し、酸素が存在する雰囲気において低い感度(例えば、露光エネルギー密度が1J/cm2 〜10J/cm2 程度)を示し、酸素遮断雰囲気において高い感度(例えば、露光エネルギー密度が0.1J/cm2 〜1mJ/cm2 程度)を示すような材料から構成されていることが好ましい。
ここで、このような感光材料を用いて形成された感光層に有する記録媒体が、本発明の画像形成装置に最適な理由について説明する。
酸素が画像形成を阻害するような感光材料は、酸素が十分供給されるような環境下においては、光が照射されても画像が形成されないが、酸素の供給が遮断された環境下で光が照射されると、光照射部分が感光して画像が形成される。したがって、記録媒体の感光層の環境を、露光以外の時は酸素を遮断しない環境にし、露光の時だけ酸素の供給が遮断される環境にすることで、明室においても感光層が感光しないようにすることが可能となる。しかも、感光層の感光材料として、酸素遮断雰囲気において露光光に対して高感度を示すような材料を選択すれば、露光時に感光層を酸素遮断雰囲気にすることで、高解像度で感光層に画像を形成することが可能となる。
そこで、酸素が画像形成を阻害するような感光材料を有する記録媒体を、上述の本発明の画像形成装置で使用される記録媒体として用いれば、ラミネート機構により感光層がラミネートフィルムによって被覆されるので、酸素が遮断された環境下の感光層を実現することが可能となる。また、ラミネートフィルムが形成された感光層にラミネートフィルムを介して露光光を照射することができるので、感光層に確実に画像を形成することができる。一方、画像形成装置に装填された記録媒体は、露光を終えると、感光層上に積層されたラミネートフィルムが剥離機構により剥離される。すなわち、記録媒体の感光層が、酸素が十分に供給される雰囲気下に提供される。したがって、感光層の感度は著しく低下し、露光を終えた記録媒体が、画像形成装置から取り出されて、白灯下に放置されても感光層が感光されることがない。このように、本発明の画像形成装置は、酸素が画像形成を阻害するような感光材料により形成された感光層を有する記録媒体の画像形成に極めて最適な装置である。
ここで、酸素が画像形成を阻害するような好適な感光材料としては、例えば、光重合型感光性組成物(以下、「光重合性組成物」という)を挙げることができる。
光重合性組成物は、付加重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物(以下、単に「エチレン性不飽和結合含有化合物」という。)と、光重合開始剤と、高分子結合剤とを必須成分として含有し、必要に応じて、着色剤、可塑剤、光重合禁止剤等の種々の化合物を含有する。
光重合性組成物に含有されるエチレン性不飽和結合含有化合物は、光重合性組成物が活性光線の照射を受けた場合に、光重合開始剤の作用により付加重合し、架橋し硬化するようなエチレン性不飽和結合を有する化合物である。エチレン性不飽和結合含有化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物の中から任意に選択することができ、例えば、モノマー、プレポリマー(すなわち、2量体、3量体及びオリゴマー)、これらの混合物、これらの共重合体等の化学的形態を有する。モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドが挙げられる。また、ウレタン系付加重合性化合物も好適である。
光重合性組成物に含有される光重合開始剤としては、使用する光源の波長により、種々の光重合開始剤又は2種以上の光重合開始剤の併用系(光開始系)を適宜選択して用いることができ、例えば、トリアジン系開始剤、有機ハロゲン化合物、オキシムエステル化合物、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、及びスルホニウム塩系の重合開始剤や、特開2001−22079号公報の[0021]〜[0023]や、特開2001−133969号公報の[0030]〜[0033]に記載されている開始系が好ましい。
更に、これら重合開始剤は、増感剤と組み合わせて用いることが好ましい。増感剤と組み合わせて用いることにより、光重合速度を増大させることができる。
このような増感剤の具体例として、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、9−フルオレノン、9−アントロン、9,10−アントラキノン、キサントン、チオキサントン、ペンジル、ジベンザルアセトン、p−(ジメチルアミノ)フェニルスチリルケトン、p−(ジメチルアミノ)フェニルp−メチルスチリルケトン、ペンゾフェノン、p−(ジメチルアミノ)ペンゾフェノン、p−(ジエチルアミノ)ペンゾフェノン、ベンズアントロンや、特公昭51−48516号公報、特公平5−47095号公報、特開2000−14763号公報に記載のメロシアニン色素、ケトクマリン系化合物などが挙げられる。
また、赤外線レーザに感光する感光材料としては、赤外線吸収剤を含有させることが好ましく、例えば、記録感度の観点から、波長700nm〜1200nmの赤外域に光吸収域がある顔料又は染料が好ましい。染料としては、具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体(例えば、ニッケルチオレート錯体)等が挙げられる。中でも、シアニン染料が好ましく、例えば、特開2001−305722号公報の一般式(1)や、特開2001−122969号公報の[0017]〜[0019]に記載されたシアニン染料が挙げられる。
本発明に用いることができるバインダーポリマーは、従来公知のものを制限なく使用でき、皮膜性を有する線状有機ポリマーが好ましい。例えば、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂、ポリエステル樹脂、合成ゴム、天然ゴム等の疎水性バインダーポリマーや、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸等の親水性バインダーポリマーが挙げられる。
また、機上現像性を改善するために、親水性バインダーポリマーや、アルカリ可溶性基を有さない疎水性バインダーポリマーを用いることが好ましい。
また、画像部の皮膜強度を向上するために、架橋性を有していることが好ましい。バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子の主鎖中又は側鎖中に導入すればよい。
本発明における無処理タイプの感光層には、機上現像性を改善するために、可塑剤、界面活性剤、低分子親水性化合物などを添加することが好ましい。
本発明に用いることができる可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート等のフタル酸エステル類、ジメチルグリコールフタレート等のグリコールエステル類、トリクレジルホスフェート等のリン酸エステル類、ジイソブチルアジペート等の脂肪族二塩基酸エステル類、ポリグリシジルメタクリレート、クエン酸トリエチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル等が好適に挙げられる。
本発明に用いることができる界面活性剤としては、例えば、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が好適に挙げられる。
本発明に用いることができる親水性低分子化合物としては、例えば、水溶性有機化合物として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類及びそのエーテル又はエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等の有機アミン類及びその塩、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類及びその塩、フェニルスルホン酸等の有機ホスホン酸類及びその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類及びその塩等が挙げられる。
本発明の画像形成装置に用いられる無処理CTP版は、必要に応じて、着色剤、熱重合禁止剤等の化合物を有しても良い。画像部視認性や経時安定性向上に有効である。
また、本発明の画像形成装置を用いて取り扱うことができる記録媒体としては、既に知られた高感度フォトポリマを感光層に用いたCTP版(高感度フォトポリマCTP版という)も好適である。高感度フォトポリマCTP版は、通常、感光層上に酸素の遮断を目的としたオーバーコート層を備えている。したがって、オーバーコート層を設けていない高感度フォトポリマCTP版を本発明の画像形成装置に装着し、露光前に装置内でオーバーコート層として機能するラミネートフィルムを形成し、ラミネートフィルムを介して感光層を露光し、露光後はラミネートフィルムを剥離することによって印刷版を作製することができる。
特に、オーバーコート層を備える公知の高感度フォトポリマCTP版は、現像する前にオーバーコート層を温水等により除去する必要があったため、自動現像装置内に、オーバーコート層の除去のための特別な装置を設けなければならなかった。また、オーバーコート層が溶解した廃液の処理も問題となっていた。しかし、本発明の画像形成装置を用いれば、上述したように、オーバーコート層を不要とすることができるとともに、オーバーコート層の除去のための装置も不要となり、オーバーコート層が溶解した廃液の処理の問題を解決することができる。
また、本発明の画像形成装置を用いれば、画像形成装置内で、オーバーコート層としてのラミネートフィルムを感光層上に形成して、そのラミネートフィルムを更に剥離することもできるため、白灯(波長365nm〜700nmの光)に対する感光層の感度を大幅に下げることができる。これにより、自動現像装置がオフラインの場合であっても、画像形成装置が設置されている室内のセーフライトを従来よりも明るくすることが可能となり、更には白灯にすることもできる。このため、従来よりも明るい環境下に装置を配置することが可能となるため、装置のメンテナンスもしやすくなる。
このように、本発明の画像形成装置に用いられ、オーバーコート層を不要とした高感度フォトポリマCTP版において、オーバーコート層の代わりに形成されるラミネートフィルムとしては、前述したような酸素透過率が1〜100[cc/m2/day]であるような材料を用いることができる。
次に、本発明の画像形成装置に用いられる印刷版原版の支持体について説明する。
[支持体]
印刷版原版に用いられる支持体は、特に限定されず、寸度的に安定な板状物であればよい。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされまたは蒸着された紙またはプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルムおよびアルミニウム板が挙げられる。中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板が好ましい。
アルミニウム板は、純アルミニウム板、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、または、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているものである。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は10質量%以下であるのが好ましい。本発明においては、純アルミニウム板が好ましいが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、わずかに異元素を含有するものでもよい。アルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、公知公用の素材のものを適宜利用することができる。
支持体の厚さは0.1〜0.6mmであるのが好ましく、0.15〜0.4mmであるのがより好ましく、0.2〜0.3mmであるのが更に好ましい。
アルミニウム板を使用するに先立ち、粗面化処理、陽極酸化処理等の表面処理を施すのが好ましい。表面処理により、親水性の向上および感光層と支持体との密着性の確保が容易になる。アルミニウム板を粗面化処理するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための界面活性剤、有機溶剤、アルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理(電気化学的に表面を溶解させる粗面化処理)、化学的粗面化処理(化学的に表面を選択溶解させる粗面化処理)が挙げられる。
機械的粗面化処理の方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。
電気化学的粗面化処理の方法としては、例えば、塩酸、硝酸等の酸を含有する電解液中で交流または直流により行なう方法が挙げられる。また、特開昭54−63902号公報に記載されているような混合酸を用いる方法も挙げられる。
粗面化処理されたアルミニウム板は、必要に応じて、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液を用いてアルカリエッチング処理を施され、更に、中和処理された後、所望により、耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理を施される。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成させる種々の電解質の使用が可能である。一般的には、硫酸、塩酸、シュウ酸、クロム酸またはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変わるので一概に特定することはできないが、一般的には、電解質濃度1〜80質量%溶液、液温5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2 、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分であるのが好ましい。形成される陽極酸化皮膜の量は、1.0〜5.0g/m2であるのが好ましく、1.5〜4.0g/m2 であるのがより好ましい。
陽極酸化処理を施した後、必要に応じて、アルミニウム板の表面に親水化処理を施す。親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号および同第3,902,734号の各明細書に記載されているようなアルカリ金属シリケート法がある。この方法においては、支持体をケイ酸ナトリウム等の水溶液で浸せき処理し、または電解処理する。そのほかに、特公昭36−22063号公報に記載されているフッ化ジルコン酸カリウムで処理する方法、米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号および同第4,689,272号の各明細書に記載されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法等が挙げられる。
本発明の画像形成装置に用いられる印刷版原版においては、必要に応じて、感光層と支持部との間に下塗層を設けることができる。下塗層により、露光部の密着性と、未露光部の現像性が改良され、耐刷性が良好で、汚れにくい印刷版原版を得ることができる。
例えば、ホウ酸亜鉛等の水溶性金属塩のような無機下塗層や、有機下塗層を設けても良い。
有機下塗層に用いられる有機化合物としては、例えば、カルボキシメチルセルロース;デキストリン;アラビアガム;スルホン酸基を側鎖に有する重合体及び共重合体;ポリアクリル酸;2−アミノエチルホスホン酸等のアミノ基を有するホスホン酸類;置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸、エチレンジホスホン酸等の有機ホスホン酸;置換基を有してもよいフェニルリン酸、ネフチルリン酸、アルキルリン酸、グリセロリン酸等の有機リン酸;置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸、グリセロホスフィン酸等の有機ホスフィン酸;グリシン、β−アラニン等のアミノ酸類;トリエタノールアミンの塩酸塩等のヒドロキシル基を有するアミンの塩酸塩;黄色染料、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物等が好適に挙げられる。これらは単独で用いられても良く2種以上を混合して用いても良い。
有機下塗層の乾燥後の被覆量は、2〜200mg/m2 であるのが好ましく、5〜100mg/m2 であるのがより好ましい。上記範囲であると、耐刷性が良好になる。
本発明の画像形成装置に用いられる印刷版原版においては、感光層における傷等の発生防止、高照度レーザ露光時のアブレーション防止のため、必要に応じて、感光層の上に保護層を設けることができる。
本発明の画像形成装置に用いられる印刷版原版において、印刷版用支持体上に各種の感光層を設けて得られた印刷版原版の裏面には、必要に応じて、重ねた場合における感光層の傷付きを防止するために、有機高分子化合物からなるバックコート層を設けることができる。
上記の感光層を形成する液を上記印刷版原版用支持体の粗面化面に塗布する方法としては、コーディングロッドを用いる方法、エクストルージョン型コータを用いる方法、スライドビードコータを用いる方法等、従来公知の方法が使用でき、また公知の条件に従って行うことができる。
塗布後のアルミニウム板を乾燥する装置としては、特開平6−63487号公報に記載の、乾燥装置内にパスロールを配置し、上記パスロールで搬送しつつ乾燥するアーチ型ドライヤー、上下からノズルによりエアーを供給し、ウェブを浮上させながら乾燥するエアードライヤー、高温に加熱された媒体からの輻射熱で乾燥する輻射熱ドライヤー、及びローラを加熱し、上記ローラとの接触による伝導伝熱により乾燥するローラドライヤー等がある。
以下、実施例により、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例]
まず、記録媒体として、375nmに露光感度を有するフォトンモードラジカル重合無処理CTP版を作製する。
最初に以下のようにして支持体を作製した。
Al:99.5質量%以上、Fe:0.30質量%、Si:0.10質量%、Ti:0.02質量%、Cu:0.013質量%を含有し、残部は不可避不純物のJIS A1050アルミニウム合金の溶湯に清浄化処理を施し、鋳造した。清浄化処理としては、溶湯中の水素等の不要なガスを除去するために脱ガス処理し、更に、セラミックチューブフィルタ処理を行なった。鋳造法はDC鋳造法で行なった。凝固した板厚500mmの鋳塊の表面を10mm面削し、金属間化合物が粗大化してしまわないように550℃で10時間均質化処理を行なった。ついで、400℃で熱間圧延し、連続焼鈍炉中、500℃で60秒間、中間焼鈍した後、冷間圧延を行なって、厚さ0.30mmのアルミニウム圧延板とした。圧延ロールの粗さを制御することにより、冷間圧延後の中心線平均粗さRを0.2μmに制御した。その後、平面性を向上させるためにテンションレベラーにかけた。得られたアルミニウム板を、以下に示す表面処理に供した。
上記アルミニウム板の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミスー水懸濁液(比重1.1g/cm3 )を用いアルミ表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、更に60℃で20質量%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。このときの砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行なった。このときの電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流地がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行なった。補助アノードには、フェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm2 、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。硝酸電界における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dm2 であった。その後、スプレーによる水洗を行なった。
次に、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dm2の条件で、硝酸電解と同様の方法で、電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行なった。この板を15質量%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dm2 で2.5g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥し、更に、珪酸ナトリウム2.5質量%水溶液にて30℃で10秒処理した。この基板の中心線表面粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
つぎに、支持体上に以下のようにして感光層を形成した。
上記支持体上に、下記組成の下塗層塗布液を、液量7.5ml/m2となるバーを用いて塗布した後、80℃、10秒でオーブン乾燥した。下記組成の感光層塗布液をバー塗布した後、70℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/m2の感光層を形成し、この上に下記組成よりなる保護層塗布液を乾燥塗布質量が0.5g/m2となるように塗布し、120℃で1分間乾燥して無処理CTP版を得た。
<下塗層塗布液>
・水 300g
・メタノール 2700g
下記化学式(1)の化合物C−1 1.45g
Figure 2005280123
<感光層塗布液>
・下記化学式(2)の重合開始剤(1) 0.2g
・下記化学式(3)のバインダーポリマー(1) 6.0g
・重合性化合物 12.4g
イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート(東亜合成(株)製M−315)
・ロイコクリスタルバイオレット 3.0g
・熱重合禁止剤 0.1g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・テトラエチルアンモニウムクロリド 0.1g
・下記化学式(4)のフッ素系界面活性剤(1) 0.1g
・メチルエチルケトン 70.0g
Figure 2005280123
Figure 2005280123
Figure 2005280123
<保護層塗布液>
ポリビニルアルコール(ケン化度95モル%、重合度800) 40g
ポリビニルピロリドン(分子量5万) 5g
ポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル(1/1))分子量7万 5g
水 950g
こうして作製された記録媒体は、空気中においては著しく低い感度(露光エネルギー密度が1J/cm2 〜3J/cm2 程度)を示すが、酸素が遮断されて感光層に酸素が供給されないような雰囲気においては、高い感度(露光エネルギー密度が0.1mJ/cm2 〜1mJ/cm2 程度)を示す。
このような記録媒体を図1に示す画像形成装置10に装填して、ラミネート機構50により、記録媒体の表面に酸素を遮断するための酸素遮断膜としてのラミネートフィルム51を所定の膜厚で形成する。酸素遮断膜としてのラミネートフィルムを、記録媒体の感光層上に形成することにより、大気中に存在する酸素が感光層に供給されることが防止される。
ラミネートフィルムを形成した記録媒体の感光層に、露光ヘッド21から露光光として波長375nmのレーザ光を、ラミネートフィルムを介して、画像に応じて照射して感光層に潜像を形成する。感光層は、ラミネートフィルムによって酸素が遮断されているために高感度であり、レーザ光が照射された領域(露光領域)は、重合開始剤が直接光励起され、重合開始剤からラジカルが発生する。このラジカルが感光層中のモノマーと重合させることにより露光領域の感光層が硬化する。一方、露光光が照射されていない部分は、このような反応がされないため硬化しない。
また、感光層は、露光エネルギー密度が0.1mJ/cm2 〜1mJ/cm2 の高い感度を有しているので、低出力のレーザ光であっても高解像度で高速に画像形成することができる。
次いで、剥離機構60により、酸素遮断膜としてのラミネートフィルムを感光層上から剥離する。これにより、感光層中に空気中の酸素が十分に供給される状態となる。したがって、酸素遮断膜が剥離された記録媒体を白灯環境下に放置することによって、感光層中の増感色素が光励起されて重合開始剤からラジカルが発生したとしても、感光層中に酸素が十分供給されるので、その酸素がラジカルを失活させ、白灯によって感光層が硬化することはない。すなわち、白灯によってカブリが発生することがない。また、白灯環境下においてもカブリが発生しないので、印刷版原版を手動装填する場合であっても本発明の画像形成装置を明室に配置させることが可能である。
こうして本発明の画像形成装置により画像形成を終えた印刷版原版は、印刷機上で現像されて印刷版として使用される。こうして得られた印刷版は耐刷性に極めて優れている。
以上、本発明の画像形成装置及び画像形成方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施態様及び実施例に限定はされず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
例えば、上記実施態様では、露光ヘッド21を、マルチビーム露光ヘッドとして構成したが、単一のレーザを用いて記録媒体Pの感光層を露光するシングルビームの露光ヘッドとして構成しても良い。また、上記実施態様では、本発明をアウタードラム方式の画像形成装置に適用したが、インナードラム方式やフラットベット方式の画像形成装置に適用することもできる。
本発明の画像形成装置の概略構成図である。 (A)〜(E)は、本発明の画像形成装置のラミネート機構の動作を説明するための図である。 (A)〜(D)は、本発明の画像形成装置の剥離機構の動作を説明するための図である。
符号の説明
10 画像形成装置
11 筐体
12 基台
13 溝部
14 ガイドレール
15 ボールネジ
20 露光手段
21 露光ヘッド
24 ファイバホルダ
27 コリメータレンズ部
28 結像レンズ
29 光ファイバ
30 露光ヘッド移動部
32 副走査ステージ
33 雌ねじ部材
34 ガイド部材
40 アウタードラム
44 先端チャック
46 後端チャック
48 チャック機構
50 ラミネート機構
52 フィルム供給ローラ
54 カッタ
56 フィルム挟持部
58 スクイーズローラ
60 剥離機構
62 巻取りローラ
64 圧接ローラ
70 搬送ユニット
71 給版台
72 搬送ローラ
74 搬送ガイド部材

Claims (12)

  1. 支持体上に感光層を有する印刷版原版に画像を形成するための画像形成方法であって、
    前記印刷版原版として、酸素が画像形成を阻害する感光材料を感光層に用いた印刷版原版を用意し、
    前記印刷版原版の感光層が形成されている側に、大気中の酸素の前記感光層への侵入を遮断するための酸素遮断膜を形成し、
    前記酸素遮断膜を通して前記感光層に露光光を照射して画像を形成する画像形成方法。
  2. 更に、前記感光層への画像形成後に、前記酸素遮断膜を前記印刷版原版から剥離する請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記酸素遮断膜は、低温で熱接着性を有するフィルム状の酸素遮断膜であり、当該フィルム状の前記酸素遮断膜を前記感光層上に熱圧着させることによって前記酸素遮断膜を形成する請求項1又は2に記載の画像形成方法。
  4. 支持体上に感光層を有する印刷版原版に画像を形成するための画像形成方法であって、
    前記印刷版原版として、酸素が画像形成を阻害する感光材料を用いて構成された感光層と、前記感光層上に、大気中の酸素の前記感光層への侵入を遮断するための酸素遮断膜とを備える印刷版原版を準備し、
    前記印刷版原版の感光層に、前記酸素遮断膜を通して露光光を照射して前記感光層に画像を形成し、
    前記感光層への画像形成を終えた前記記録媒体から前記酸素遮断膜を剥離する画像形成方法。
  5. 前記酸素遮断膜は、低温で熱接着性を有するフィルム状の酸素遮断膜であり、前記酸素遮断膜を加熱しつつ前記記録媒体から剥離する請求項4に記載の画像形成方法。
  6. 支持体上に感光層を有する印刷版原版の画像形成装置であって、
    前記印刷版原版を支持するための支持体と、
    前記印刷版原版の感光層に露光光を照射して前記感光層に画像を形成する露光手段と、
    前記印刷版原版の感光層上にラミネートフィルムを積層するためのラミネート手段とを備える画像形成装置。
  7. 前記ラミネート手段は、前記ラミネートフィルムが巻設されたフィルム供給ローラと、前記ラミネートフィルムを挟持して前記ラミネートフィルムの先端部を前記印刷版原版の感光層に圧着するためのフィルム挟持部と、前記ラミネートフィルムが形成された印刷版原版を押圧するスクイーズローラとを有する請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 更に、前記印刷版原版から前記ラミネートフィルムを剥離するための剥離手段を有する請求項6又は7に記載の画像形成装置。
  9. 前記感光層は、酸素が画像形成を阻害する感光材料を用いて構成されている請求項6〜8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  10. 支持体上に感光層を有する印刷版原版の画像形成装置であって、
    前記印刷版原版は、酸素が画像形成を阻害する感光材料を用いて構成された感光層と、前記感光層上に、大気中の酸素の前記感光層への侵入を遮断するための酸素遮断膜とを備えており、
    前記印刷版原版を支持するための支持体と、
    前記印刷版原版の感光層に露光光を照射して前記感光層に画像を形成する露光手段と、
    前記露光手段により露光された前記印刷版原版から前記酸素遮断膜を剥離するための剥離手段とを備える画像形成装置。
  11. 前記剥離手段は、前記酸素遮断膜を巻き取るための巻き取りローラと、前記印刷版原版の酸素遮断膜を挟持するとともに、前記巻き取りローラに酸素遮断膜を接着する挟持部とを備える請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 前記剥離手段は、前記印刷版原版に形成されている前記酸素遮断膜を加熱押圧するスクイーズローラを備える請求項10又は11に記載の画像形成装置。
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