JP2005279717A - 溶接ガン、スタッド溶接装置およびそれを用いた板金補修方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 コンデンサ式の溶接機を用いてスチール製の板金に誰でも容易にワッシャを取り付けることができる溶接ガン、スタッド溶接装置およびそれを用いた板金補修方法を提供する。
【解決手段】 一端が開口した筒状のケーシング2と、このケーシング2の下部から下方に向かって延設されたグリップ3と、前記ケーシング2の中空部の一端側に設置された可動体4と、この可動体4の一端側に取り付けられたワッシャアタッチメント5と、この可動体4の他端側とケーシング2の底部2bとの間に設置されたスプリング6と、前記ケーシング2の内部であって前記グリップ3の付け根付近に設けられたスイッチ7とから溶接ガン1を構成する。かかる溶接ガン1によれば、スプリング6の弾性力が所定値になったときに、プッシャ7aによって板バネ7bが押し下げられ、コンデンサスタッド溶接機10からワッシャWに電流が供給される。
【選択図】 図1
【解決手段】 一端が開口した筒状のケーシング2と、このケーシング2の下部から下方に向かって延設されたグリップ3と、前記ケーシング2の中空部の一端側に設置された可動体4と、この可動体4の一端側に取り付けられたワッシャアタッチメント5と、この可動体4の他端側とケーシング2の底部2bとの間に設置されたスプリング6と、前記ケーシング2の内部であって前記グリップ3の付け根付近に設けられたスイッチ7とから溶接ガン1を構成する。かかる溶接ガン1によれば、スプリング6の弾性力が所定値になったときに、プッシャ7aによって板バネ7bが押し下げられ、コンデンサスタッド溶接機10からワッシャWに電流が供給される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、補修対象である板金の凹み部を板金の表面側から補修する溶接ガン、スタッド溶接装置およびそれを用いた板金補修方法に関する。
従来、スチール製の板金に通常の溶接機(例えば、単相交流式もしくは三相整流式の溶接機)を用いてスチール製のワッシャやボルト等を溶接し、これにプーラーを引っ掛けて引っ張ることで、板金の凹み部を表面側へと引き出して補修する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
一方、板金がアルミニウム製の場合は、アルミニウムの電気抵抗がスチール(鋼鉄)よりも小さいことから、通常の溶接機ではうまく溶接することができないため、コンデンサ式の溶接機を用いてプーラーを引っ掛ける部材(ボルト等)を溶接している。
特開2001−113315(段落0016、図3)
一方、板金がアルミニウム製の場合は、アルミニウムの電気抵抗がスチール(鋼鉄)よりも小さいことから、通常の溶接機ではうまく溶接することができないため、コンデンサ式の溶接機を用いてプーラーを引っ掛ける部材(ボルト等)を溶接している。
ところで、スチール製の板金に通常の溶接機を用いてスチール製のワッシャを溶接する場合、板金の背面(裏面)が高温になり、板金の背面に塗布されていた防錆用の塗装膜が焼けて裏焼けが生じることがある。このような裏焼けが生じると、再塗装する必要があり、手間がかかる。
そこで、本発明者らは、鋭意研究を行い、コンデンサ式の溶接機を用いてスチール製の板金にワッシャを溶接すると、裏焼けが起こらないことを見出した。これは、コンデンサ式の溶接機によって、板金とワッシャとの間に一瞬のうちに大電流を通流させるため、板金の表面のみが高温となり、裏面の温度は裏焼けに至るほどには上昇しないからであると考えられる。
そこで、本発明者らは、鋭意研究を行い、コンデンサ式の溶接機を用いてスチール製の板金にワッシャを溶接すると、裏焼けが起こらないことを見出した。これは、コンデンサ式の溶接機によって、板金とワッシャとの間に一瞬のうちに大電流を通流させるため、板金の表面のみが高温となり、裏面の温度は裏焼けに至るほどには上昇しないからであると考えられる。
しかし、コンデンサ式の溶接機を用いる場合、スチール製の板金にワッシャを押し付ける力が弱いと、スパーク(爆発)が起こり、板金の表面が損傷してしまうことがある。また、強い力でワッシャを押し付けたとしても、溶接ガンの引き金を引くときに押付力が弱くなり、スパークしてしまうことがある。そのため、コンデンサ式の溶接機でスチール製の板金にワッシャを溶接するには熟練した作業者を必要とするという問題がある。
一方、アルミニウム製の板金にコンデンサ式の溶接機を用いて特殊なボルトを植え付ける場合には、板金に対するボルトの押付力を管理できる溶接ガンが使用されている。即ち、この溶接ガンは、当該溶接ガンの先端にボルトを装着し、このボルトを板金に押し付け、押し付ける力を次第に増加させていくと、所定の力になったところで、コンデンサ式の溶接機のスイッチが入るようになっている。
このような溶接ガンを用いると、常に一定の力でボルトを板金に押し付けながら溶接を行うことが可能となる。しかし、溶接ガンの先端にワッシャを取り付けるためのアタッチメントがないという問題がある。
このような溶接ガンを用いると、常に一定の力でボルトを板金に押し付けながら溶接を行うことが可能となる。しかし、溶接ガンの先端にワッシャを取り付けるためのアタッチメントがないという問題がある。
本発明は、前記課題に鑑みて創案されたものであり、コンデンサ式の溶接機を用いてスチール製の板金に誰でも容易にワッシャを取り付けることができる溶接ガン、スタッド溶接装置およびそれを用いた板金補修方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決すべく構成されるものであり、請求項1に記載の発明は、一端側が開口した中空の筒状体からなるケーシングと、前記ケーシング内に軸方向に摺動可能に挿入された可動体と、前記可動体の一端側に設けられ、板金補修時に板金の凹み部を引き出すためのワッシャを把持するワッシャ把持具と、前記ケーシング内に位置して前記可動体と前記ケーシングの他端側との間に伸縮可能に設けられた弾性体と、常時はOFF状態に保持され、前記ワッシャ把持具に把持されたワッシャを前記弾性体の弾性力に抗して前記板金の凹み部に所定値以上の押付力をもって押し付けたときにON状態となってコンデンサスタッド溶接機に信号を出力するスイッチ手段とを備えたことを特徴とする溶接ガンである。
請求項1に記載の発明によれば、溶接ガンのワッシャ把持具でワッシャを確実に把持した状態に保つことができる。そして、このワッシャを板金の凹み部の表面に押し付けることにより、ワッシャ把持具と一体となった可動体が弾性体の弾性力に抗してケーシング内を軸方向に摺動する。この結果、凹み部に対するワッシャの押付力が所定値以上となったときにスイッチ手段がOFF状態からON状態となり、スイッチ手段からコンデンサスタッド溶接機に信号が出力される。これにより、ワッシャと凹み部との間に電流が流れ、スパークさせること無く、ワッシャを凹み部に強固に溶接することができる。
請求項2に記載の発明は、スイッチ手段は、可動体に一体に設けられたプッシャと、板ばねとからなり、前記プッシャが前記板ばねから後退したときには、板ばねが開いてOFF状態に保持され、前記プッシャが前記板ばねに向けて前進したときにプッシャが板ばねを押圧して閉じることによりON状態となることを特徴とする請求項2に記載の溶接ガンである。
請求項2に記載の発明によれば、ワッシャを板金の凹み部に押し付けると、これに伴ってプッシャが板ばねに向けて前進して前記板ばねを閉じることにより、スイッチ手段をON状態にすることができる。また、ワッシャを板金から離すと、弾性体の弾性復元力により、プッシャが板ばねから後退して、スイッチ手段をOFF状態に保つことができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の溶接ガンと、この溶接ガンから送られる信号に基づいて、当該溶接ガンに電流を供給するコンデンサスタッド溶接機と、からなることを特徴とするスタッド溶接装置である。
かかるスタッド溶接装置によれば、ワッシャの押圧力が所定の値以上になったときに、コンデンサスタッド溶接機に信号が送られ、ワッシャと板金に電流が流されることとなるため、スパークが生じることがない。また、ワッシャを板金に押し付けるという単純な動作で、ワッシャの押付力と通電のタイミングを管理できることから、かかる作業に熟練する必要が無く、誰でも容易にコンデンサスタッド溶接機を用いてワッシャを板金に溶接することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の溶接ガンを用いた板金補修方法であって、補修対象である板金の凹み部のうち前記凹み部の表面側に塗布された塗装膜を除去する塗装膜除去工程と、コンデンサスタッド溶接機に接続された溶接ガンの先端側でワッシャを把持するワッシャ把持工程と、前記溶接ガンを押して前記ワッシャを前記凹み部の表面側に押し付けるワッシャ押付工程と、前記凹み部へのワッシャの押付力が所定値以上となったときに溶接ガンのスイッチが入り、コンデンサスタッド溶接機に信号を出力することにより前記凹み部と前記ワッシャとの間に電流を流して前記ワッシャを前記凹み部に溶接するワッシャ溶接工程と、前記凹み部に溶接されたワッシャに引掛具を引っ掛けて引っ張ることにより凹み部を引き出す凹み部引出工程とからなることを特徴とする板金補修方法である。
請求項4に記載の発明によれば、ワッシャ把持工程において、溶接ガンの先端側でワッシャを確実に把持した状態に保つことができる。そして、次のワッシャ押付工程において、凹み部へのワッシャの押付力が所定値以上となったときに溶接ガンのスイッチが入る。この結果、コンデンサスタッド溶接機に信号が出力され、凹み部とワッシャとの間に電流が流れてワッシャを凹み部に強固に溶接することができる。そして、かかるワッシャに引掛具を引っ掛けて引っ張ることにより凹み部を引き出して平坦にすることができる。
本発明によれば、溶接ガンの先端側でワッシャを確実に把持することができるため、ワッシャを、板金の凹み部に所定値以上の押付力をもって安定して押し付けることができる。また、ワッシャの押付力が所定値以上となったときに自動的に電流が流れるため、スパークが起こることが無い。従って、板金の表面を傷つけることなく、コンデンサ式の溶接機を用いてワッシャを凹み部の表面に強固に溶接することができ、ワッシャを板金に誰でも容易に取り付けることができる。また、コンデンサ式の溶接機を用いることにより、板金の背面側に塗装された防錆用の塗装膜が焼けるような不具合を解消することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本実施形態に係る溶接ガンの断面図である。図2ないし図6は本実施の形態に係る板金補修方法の各工程を示す断面図である。なお、参照する図面において、同一の要素には同一の番号を付し、重複する説明は省略する。
<溶接ガン>
本実施形態に係る溶接ガン1は、図1に示すように、拳銃のような形状をしており、主に、一端が開口した筒状のケーシング2と、このケーシング2の下部から下方に向かって延設されたグリップ3と、前記ケーシング2の中空部の一端側に設置された可動体4と、この可動体4の一端側に取り付けられたワッシャアタッチメント5と、この可動体4の他端側とケーシング2の底部2bとの間に設置されたスプリング6と、前記ケーシング2の内部であって前記グリップ3の付け根付近に設けられたスイッチ7とから構成されている。
また、溶接ガン1は、プラス極ケーブルPおよびスイッチケーブルSを介してコンデンサスタッド溶接機10に接続されている。
本実施形態に係る溶接ガン1は、図1に示すように、拳銃のような形状をしており、主に、一端が開口した筒状のケーシング2と、このケーシング2の下部から下方に向かって延設されたグリップ3と、前記ケーシング2の中空部の一端側に設置された可動体4と、この可動体4の一端側に取り付けられたワッシャアタッチメント5と、この可動体4の他端側とケーシング2の底部2bとの間に設置されたスプリング6と、前記ケーシング2の内部であって前記グリップ3の付け根付近に設けられたスイッチ7とから構成されている。
また、溶接ガン1は、プラス極ケーブルPおよびスイッチケーブルSを介してコンデンサスタッド溶接機10に接続されている。
ケーシング2は、一端側に開口部2aが形成され、他端側に底部2bが形成された筒状部材である。底部2bには、弾性体であるスプリング6の弾性力を調節するための調節ねじ2cが設けられている。調節ねじ2cは、回転させることによって、ケーシング2の底部2bに対して進退可能になっている。ケーシング2の中空部は、底部2b側に比べて開口部2a側が狭小に形成されており、この狭小部に後記する可動体4が摺動可能に嵌装されている。
グリップ3は、作業者に把持される部分であり、ケーシング2の他端側(底部2b側)の下部から下方に向かって延設されている。グリップ3の底部には、コンデンサスタッド溶接機10からの各種ケーブルを接続するためのケーブル接続部3aが設けられている。
可動体4は、導電性材料からなる棒状部材であり、ケーシング2の中空部に摺動可能に保持される電極棒4aと、この電極棒4aの一端側に設けられたカップラ4bと、電極棒4aの他端側にプラス極ケーブルPの圧着端子Paを固定する取付ねじ4cとから構成されている。電極棒4aの一端側にはワッシャアタッチメント5の差込部5bを差し込むための差込穴4dが形成されており、他端側には取付ねじ4cと係合する雌ねじ部4eが形成されている。カップラ4bは、ワッシャアタッチメント5を電極棒4aの一端側に着脱自在に固定可能な構造であり、差込穴4dと連通する連通孔を備えている。取付ねじ4cは、電極棒4aの他端側に圧着端子Paを圧着しており、これにより電極棒4aに電流が供給されるようになっている。また、取付ねじ4cの頭部端面から溶接ガン1の後方(図1の右側)に向かってプッシャ7aが突設されている。
なお、図示は省略するが、可動体4の電極棒4a外周面には突起が形成されており、この外周面と摺接するケーシング2の中空部の内周面にはこの突起と係合する係合溝が軸方向に所定長さで形成されている。この突起と係合溝により、可動体4の回転及び抜け出しが防止されている。
ワッシャアタッチメント5は、ワッシャWを把持する部材であり、クリップ部5aと、差込部5bとから構成されている。クリップ部5aは、図示しないばねの付勢力でワッシャWを両側から挟んで強固に把持するように構成されている。差込部5bは、電極棒4aの差込穴4dに差し込まれる部分であり、カップラ4bを介して電極棒4aに連結されるようになっている。
弾性体であるスプリング6は、可動体4に弾性力を付与する部材であり、ケーシング2の中空部内であって可動体4の後端(取付ねじ4cの頭部端面)とケーシング2の底部2b(調節ねじ2cの一端面)との間に介設されている。すなわち、ワッシャWを板金に押し付け、可動体4をケーシング2内に没入させると、スプリング6が縮むようになっている。
スイッチ7は、コンデンサスタッド溶接機10に対して信号を発信するものであり、板バネ7bと、この板バネ7bを押すプッシャ7aとから構成されている。板バネ7bは、ケーシング2の中空部であって可動体4の後方に設置されている。また、板バネ7bには、コンデンサスタッド溶接機10から延びるスイッチケーブルSが、ケーブル接続部3aを介して接続されている。板バネ7bが浮き上がっているときは、スイッチケーブルSに電流は流れず(OFF状態)、板バネ7bが押し下げられたときにスイッチケーブルSに電流が流れる(ON状態)ようになっている。プッシャ7aは、可動体4の後端に突設されており、可動体4をケーシング2内に所定深さだけ没入させたときに、プッシャ7aが板バネ7bに当接して、板バネ7bを押し下げるように構成されている。
ここで、板バネ7bが押し下げられるまで可動体4をケーシング2内に没入させたときのスプリング6の弾性力は、ワッシャWを板金に押し当てて溶接したときにスパークしない程度の押圧力と等しくなるように調節されている。すなわち、溶接ガン1は、可動体4が所定の位置まで没入されて、スプリング6の弾性力が所定値になったときに、プッシャ7aによって板バネ7bが押し下げられ、スイッチケーブルSに電流が流れ、コンデンサスタッド溶接機10からワッシャWに溶接のための電流が供給されるようになっている。このとき、ワッシャWは、所定の押圧力で板金に押し当てられているため、スパークすることがない。
<コンデンサスタッド溶接機>
コンデンサスタッド溶接機10は、コンデンサの放電エネルギーを利用して、10000A前後の大電流を約2/1000秒の間に一度に流すことができる装置である。そのため、溶接時の通電時間が非常に短く抑えられ、板金の裏面側の温度の上昇を低く抑えることができる。コンデンサスタッド溶接機10は、プラス極ケーブルPと、マイナス極ケーブルMと、スイッチケーブルSを備えており、このうち、プラス極ケーブルPとスイッチケーブルSは、溶接ガン1のケーブル接続部3aに接続され、マイナス極ケーブルMは、板金に接続されている。
コンデンサスタッド溶接機10は、コンデンサの放電エネルギーを利用して、10000A前後の大電流を約2/1000秒の間に一度に流すことができる装置である。そのため、溶接時の通電時間が非常に短く抑えられ、板金の裏面側の温度の上昇を低く抑えることができる。コンデンサスタッド溶接機10は、プラス極ケーブルPと、マイナス極ケーブルMと、スイッチケーブルSを備えており、このうち、プラス極ケーブルPとスイッチケーブルSは、溶接ガン1のケーブル接続部3aに接続され、マイナス極ケーブルMは、板金に接続されている。
<板金>
図2は、本実施形態に係る板金補修方法の補修対象となる板金を示した側断面図である。
板金101は、高張力鋼板等の鉄板からなり、例えば自動車のボディやドアに用いられる。なお、この高張力鋼板は、焼き入れが施されているため、600℃程度の熱を加えると、焼き戻されてしまい、材質の劣化が生じるものである。また、この板金101の板厚は、一般に軽自動車で0.5mm程度、軽自動車以外の乗用車で0.7〜0.8mm程度に設定されている。
図2は、本実施形態に係る板金補修方法の補修対象となる板金を示した側断面図である。
板金101は、高張力鋼板等の鉄板からなり、例えば自動車のボディやドアに用いられる。なお、この高張力鋼板は、焼き入れが施されているため、600℃程度の熱を加えると、焼き戻されてしまい、材質の劣化が生じるものである。また、この板金101の板厚は、一般に軽自動車で0.5mm程度、軽自動車以外の乗用車で0.7〜0.8mm程度に設定されている。
また、板金101の表面側には塗装膜102が全面に亘って塗布されると共に、板金101の裏面側には、防錆用塗装膜103が全面に亘って塗布されている。なお、自動車の防錆塗装に使用されている一般的な塗料は、例えば、ウレタン系アクリル樹脂、ウレタン系ポリエステル樹脂、熱硬化型ポリエステル樹脂等からなり、その溶融温度は120℃程度である。
そして、図1に示すように、この板金101には、外部からの衝撃力が加えられることにより、補修対象である断面コ字状の凹み部104が形成されている。この凹み部104は、前記衝撃時に板金101が塑性変形して延びることにより形成され、側壁104Aと底部104Bとを有している。
<板金補修方法>
次に、本実施形態に係る板金補修方法について図3ないし図6を参照して説明する。
まず、図3に示すように、補修対象である板金101の凹み部104のうち、側壁104Aの表面側および底部104Bの表面側に塗布された塗装膜102(図2参照)を除去する(塗装膜除去工程)
次に、本実施形態に係る板金補修方法について図3ないし図6を参照して説明する。
まず、図3に示すように、補修対象である板金101の凹み部104のうち、側壁104Aの表面側および底部104Bの表面側に塗布された塗装膜102(図2参照)を除去する(塗装膜除去工程)
次に、溶接ガン1のワッシャアタッチメント5にワッシャWを把持させる(ワッシャ把持工程)。
次に、図4に示すように、凹み部104の底部104Bに、ワッシャWを当接させて、溶接ガン1を板金101に押し付け、可動体4をケーシング2の内部に所定の深さまで没入させる(ワッシャ押付工程)。
可動体4がケーシング2内に没入されると、可動体4の後端とケーシング2の底部2bとの間隔が狭まり、その間に介設されているスプリング6が縮む。スプリング6が縮むと、可動体4に作用するスプリング6の弾性力はその分だけ大きくなる。そのため、作業者は、可動体4をケーシング2内に没入させるにつれて徐々に大きくなるスプリング6の弾性力に対抗して、ワッシャWを底部104Bに押し付ける力を大きくしていくことになる。
そして、可動体4がケーシング2の内部に所定量だけ没入されたとき、すなわち、ワッシャWの押付力が所定値以上となったときに、プッシャ7aによって板バネ7bが押し下げられ、スイッチケーブルSを介してコンデンサスタッド溶接機10に信号が伝えられる。これにより、コンデンサスタッド溶接機10から大電流が短時間に流され、ワッシャWが凹み部104の底部104Bに強固に溶接される(ワッシャ溶接工程)。このとき、ワッシャWの押付力は、所定値以上となっているため、板金101の表面がスパークして損傷することがない。また、コンデンサスタッド溶接機10の通電時間は非常に短いため、板金101の表面しか高温にならず、防錆用塗装膜103が裏焼けすることがない。
次に、図5に示すように、凹み部104の底部104Bに溶接された2つのワッシャWに、プーラーと呼ばれる板金引き出し用の専用工具を引っ掛けて、当該凹み部104を矢印A方向に引っ張ることにより、凹み部104を引き出して平らに加工し、図6に示す平坦部105を形成する(凹み部引出工程)。
次に、トーチ等を用いて平坦部105を熱したのち、水にぬらした布で平坦部105の表面を急冷する所謂「急冷絞り工程」を行う。これにより、延びた板金101の強度を回復させることができる。
なお、トーチの熱源としてはプロパンガス又はブタンガスを用い、平坦部105の表面の最高温度が250℃〜350℃、より好ましくは300℃程度となるように熱する。これにより、絞り効果を十分に発揮させながら、板金101の裏面に塗装された防錆用塗装膜103が溶融したり焼け焦げたりして損傷することを防止することができる。
なお、トーチの熱源としてはプロパンガス又はブタンガスを用い、平坦部105の表面の最高温度が250℃〜350℃、より好ましくは300℃程度となるように熱する。これにより、絞り効果を十分に発揮させながら、板金101の裏面に塗装された防錆用塗装膜103が溶融したり焼け焦げたりして損傷することを防止することができる。
次に、平坦部105の表面に塗装膜102を塗装する(仕上げ工程)。これにより、板金補修が完了する。
このような板金補修方法によれば、溶接ガン1を板金101に押し付けるだけの操作で、スパークさせることなく、誰でも容易に所定の圧力でワッシャWを溶接することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、「弾性体」としてスプリング6を用いたが、可動体4に所定値以上の弾性力を付与できるものであれば、どのようなものでもよい。
また、本実施形態においては、「スイッチ手段」として、プッシャ7aと板バネ7bとを用いたが、これに限られるものではなく、弾性体の弾性力が所定値以上となったときにコンデンサスタッド溶接機10に信号を送るような構成であればどのようなものでもよい。
さらに、本実施形態においては、凹み部引出工程において、ワッシャWに引掛具Hを直接引っ掛けて引き出す方法を採用しているが、本発明はこれに限られることなく、直接、間接を問わず、例えば各ワッシャWに棒状の部材等を通してこれに引掛具Hを引っ掛けて引き出すようにしてもよい。
1 溶接ガン
2 ケーシング
3 グリップ
4 可動体
5 ワッシャアタッチメント
6 スプリング
7 スイッチ
10 コンデンサスタッド溶接機
101 板金
102 塗装膜
103 防錆用塗装膜
104 凹み部
105 平坦部
W ワッシャ
2 ケーシング
3 グリップ
4 可動体
5 ワッシャアタッチメント
6 スプリング
7 スイッチ
10 コンデンサスタッド溶接機
101 板金
102 塗装膜
103 防錆用塗装膜
104 凹み部
105 平坦部
W ワッシャ
Claims (4)
- 一端側が開口した中空の筒状体からなるケーシングと、
前記ケーシング内に軸方向に摺動可能に挿入された可動体と、
前記可動体の一端側に設けられ、板金補修時に板金の凹み部を引き出すためのワッシャを把持するワッシャ把持具と、
前記ケーシング内に位置して前記可動体と前記ケーシングの他端側との間に伸縮可能に設けられた弾性体と、
常時はOFF状態に保持され、前記ワッシャ把持具に把持されたワッシャを前記弾性体の弾性力に抗して前記板金の凹み部に所定値以上の押付力をもって押し付けたときにON状態となってコンデンサスタッド溶接機に信号を出力するスイッチ手段と、を備えたことを特徴とする溶接ガン。 - 前記スイッチ手段は、前記可動体に一体に設けられたプッシャと、板ばねとからなり、前記プッシャが前記板ばねから後退したときには、板ばねが開いてOFF状態に保持され、前記プッシャが前記板ばねに向けて前進したときにプッシャが板ばねを押圧して閉じることによりON状態となることを特徴とする請求項2に記載の溶接ガン。
- 請求項1又は請求項2に記載の溶接ガンと、
この溶接ガンから送られる信号に基づいて、当該溶接ガンに電流を供給するコンデンサスタッド溶接機と、からなることを特徴とするスタッド溶接装置。 - 請求項1または請求項2に記載の溶接ガンを用いた板金補修方法であって、
補修対象である板金の凹み部のうち前記凹み部の表面側に塗布された塗装膜を除去する塗装膜除去工程と、
コンデンサスタッド溶接機に接続された前記溶接ガンの先端側でワッシャを把持するワッシャ把持工程と、
前記溶接ガンを押して前記ワッシャを前記凹み部の表面側に押し付けるワッシャ押付工程と、
前記凹み部へのワッシャの押付力が所定値以上となったときに溶接ガンのスイッチが入り、コンデンサスタッド溶接機に信号を出力することにより前記凹み部と前記ワッシャとの間に電流を流して前記ワッシャを前記凹み部に溶接するワッシャ溶接工程と、
前記凹み部に溶接されたワッシャに引掛具を引っ掛けて引っ張ることにより凹み部を引き出す凹み部引出工程とからなることを特徴とする板金補修方法。
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---|---|---|---|---|
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CN102107324A (zh) * | 2009-12-28 | 2011-06-29 | 上海华谊集团装备工程有限公司 | 用于大型设备中的传热柱焊接工艺 |
JP2014054664A (ja) * | 2012-09-14 | 2014-03-27 | Dengen Kk | スポット溶接ガン |
CN108145299A (zh) * | 2016-12-06 | 2018-06-12 | 现代自动车株式会社 | 焊枪和设置有焊枪的单向焊接系统 |
-
2004
- 2004-03-30 JP JP2004097965A patent/JP2005279717A/ja active Pending
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