テレビジョン放送を行なっている地上波テレビジョン局、衛星テレビジョン局、ケーブルテレビジョン局などの各放送局では、毎日、多くのテレビ放送番組の放送を行なっている。これらテレビ放送番組の中のドラマや映画などで用いられる番組素材の多くは、例えばドラマや映画などの製作会社から購入して放送するが、ドラマや映画などを放送する場合、一つの放送番組のドラマや映画などの途中を数回中断し、複数のテレビCM(Commercial Message)で構成されたCM枠を挿入して、放送を行なうことが多々ある。
このように、一つの番組素材(映像素材と音声素材とを含んでいる。)をいくつかの部分に分割する編集作業を行なうが、これをロール分割と呼んでいる。また、分割された番組素材のうち、分割された一つの部分をロールと呼び、ロール分割する編集作業をロール編集と呼んでいる。このロール編集では、例えば、購入した30分間のドラマを、テレビ放送番組のオープニング、エンディング、CMを含めて、30分間の放送枠に割り当てる場合があるが、この場合は、番組素材を一部削除し短縮する編集を行なっている。また、テレビ放送番組で、CM映像の後に、そのCM映像の直前の何秒間かに放送した映像(以下、特に記さないかぎり、映像は音声も含むものとする。)の部分と同一映像部分を再度繰り返して放送する場合がある。この場合は、CM挿入の後の位置に、CM直前の同一映像部分を再度放送するように編集を行なっている。
このようなロール編集作業を行なう従来の映像編集方法を、図3に示す編集システムの系統図を使用して説明する。ドラマや映画などの映像と音声とからなる映像情報を記録した映像素材300は、ビデオテープあるいはフィルムに記録された形で入手され、この映像素材300を放送枠に合うように短縮して放送をする必要があり、編集を必要とする。編集において、まず、映像素材300の映像を、例えば磁気記録再生装置あるいはテレシネ装置のような映像再生機301を使用して再生させ、映像編集機303を介し映像モニタ304で再生した映像をモニタ(同様に音声については、スピーカ306でモニタ)して、ビデオテープあるいはフィルムに記録された映像を短縮するための削除可能な映像の位置を探し、削除可能な映像の位置のタイムコード、シーンの概要、時間長を机上で記録する。
一例として、映画を放送する2時間番組があるとする。映像ソースの映画は全部で120分であり、挿入するCM映像が合計で12分と決められているとすると、映像ソースの映画の映像から12分の量の映像を削除してCM映像の挿入区間を確保しなくてはならない。つまり映像ソースを108分に短縮するために、削除する部分を選択する必要がある。映像ソースの一部を削除し、またCM映像を追加する編集を行って決まった時間長の1本の番組を作成する場合、映像の削除箇所とCM映像の挿入箇所を決定する。CMの挿入箇所は映像ソース中のどこでもよいわけでない。ロール分割点でCM画像挿入することが視聴者への悪影響を最小限にするので望ましい。編集者は、映像ソースの再生画像を見ながら適切なロール分割点の位置を決める。ロール分割点では、映像ソースの流れが切断される。テレビの放送番組の中には、番組の時間内でのCM映像の挿入箇所(時刻)が予め決まっているものがある。たとえば、番組の開始から20分間の1ロールで映画を流し、その後に最初のCM画像を3分間挿入し、その次に、映画の続きを15分流すロールがあり、次に2回目のCM画像を3分流すというような番組構成が決まっている場合がある。この場合は、CM画像挿入点は映画の内容の連続性とは無関係に決まり、ロール長(1ロールの素材長)がそれぞれ決められている。このようなロール長が決まっている番組映像の編集で、映像内容の連続性とは無関係に映像ソースの一部を削除して、そこにCM画像を挿入した場合、削除して映像ソースが不連続になっている部分にCM映像を挿入することにより、CM映像が緩衝期間の役目をはたして視聴者への違和感を少なくすることができる。編集者は、映像ソースの削除可能な位置に関する時間情報と、CM映像後の繰り返し映像の時間長とに基づき、所定のロール長を考慮して、適切なロール分割点を決定する。
そして、上記検討により削除する映像の位置と、時間長と、ロール分割点とが決定されたならば、映像素材300の編集作業を行い、ロール分割された記録テープ302を作成する。編集作業は、まず、映像素材300の映像を映像再生機301を使用して再生させモニタ304に映す。映像編集機303を介して、再生した映像を映像記録機305に送りそれを記録テープ302に記録する。つぎに、モニタ304に再生されている映像素材300が、削除する映像の初めの位置まできたならば、映像記録機305を停止させたままで、削除する一連の映像の終わりの位置まで、映像素材300を進ませる。削除する映像の終わりの位置で、映像記録機305を動作させ映像素材300をふたたび再生させ、記録テープ302への記録を再開する。ロール分割点から先の記録を、別の記録テープ307に記録する場合は、映像素材300の再生が進み、再生位置がロール分割点にきたときに、記録テープ302を別な記録テープ307に入れ換える。
また、ロール分割点の後に、ロール分割点直前の映像と同一映像の記録をする編集の場合は、映像再生機301を動作させ、映像素材300を、同一映像を再生させる開始点まで巻き戻す。また、ロール分割点で、映像を削除させる編集の場合は、映像素材300を巻き戻した位置からロール分割点の停止させた位置まで再生させ、記録テープ302に記録する。そして、ふたたび映像記録機305を停止させ、削除する映像を記録しない。また、映像を削除短縮させない編集の場合は、前記の巻き戻した位置より映像素材300を再生させて、映像を記録する。上記動作を、種々組合せて、映像素材300の最後まで繰返し、削除すべき映像がすべて削除され、ロール分割された記録テープ302を作成することで編集が完了する。
特開平2−184181号公報
放送用編集システムにおいて、テレビ放送番組を編集するための、本発明の映像編集方法の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、放送用編集システムを使用し、本発明の映像編集方法により編集する映像は、音声を伴ったものであるが、特に説明として必要でないかぎり、映像としての説明のみとする。図5は、本発明の映像編集方法を実施する放送用編集システムの系統図である。編集システムは、ビデオテープ、フィルム、ビデオディスク等の映像と音声とからなる映像情報を記録した映像素材300を再生するための映像再生機301、映像を記録するための映像記録再生装置503、映像再生機301で再生した映像をモニタするための映像モニタ304、映像再生機301で再生した音声をモニタするためのスピーカ306、編集システムを制御するシステム制御コンピュータ504で構成されている。
システム制御用コンピュータ504は、制御プログラムに従って命令を実行するCPU511と、制御プログラムを格納するメモリ512と、外部装置との信号のやり取りをする入出力インタフェース513とを含む一般的なマイクロコンピュータやDSPなどで実現できる。なお、コンピュータ504は、処理デー夕を格納するメモリ(図示せず。)を含むこともできる。コンピュータ504のメモリ512は、コンピュータ内部に配置された半導体メモリや、あるいはコンピュータ外部に設置された磁気ディスク装置あるいは光ディスク装置などで読み取りが可能な記憶媒体などである。以下に説明する編集処理の実施例では、編集者がコンピュータと対話しながら行う。コンピュータ504は編集処理プログラムをメモリ512から読み出し、編集者が入力した情報に応じて処理プログラムを実行し、その処理結果をディスプレイに表示する。
また、システム制御コンピュータ504に接続されている周辺装置として、モニタディスプレイ507、キーボード508、マウス509、音声波形データ用ファイル506、画像データ用ファイル505、送出順序情報ファイル510がある。
次に、図5のシステムブロック図と図9のフローチャートを参照して映像素材をランダムアクセス記録媒体に記録する手順について説明する。映像ソースの製作会社から購入したドラマや映画などの映像素材300の記録を、ステップ302で例えばハードディスクを使用した、ランダムアクセスが可能な映像記録再生装置503に記録開始する。記録媒体はランダムアクセスが可能であれば他のメモリ装置、例えば、光ディスクや半導体メモリでもよい。この映像記録再生装置503に映像素材300の映像を記録する際に、システム制御コンピュータ504は、映像素材300から映像信号を取り込む。映像記録再生装置503は、取り込まれた映像信号を記録する間に、ステップ31でシステム制御コンピュータ504は、記録する映像のシーンの変化点を検出し、ステップ32で検出した映像シーンの変化点の画像にタイムコードデータを付加して、ステップ33でそれらを画像データ用ファイル505へ出力し、画像データ用ファイル505がそれらを記録する。なお、映像のシーンの変化点とは、映像のカットの変わり目のことであり、シーンは1個以上のカットからなっている。
映像シーンの変化点の検出方法としては、特開平2−184181号公報に開示された、音声信号の解析により検出する方法や、特開平5−290549号公報に開示の音声認識あるいはノイズレベルに基づく検出方法などが利用できる。また、特開平9−200687号公報に開示された音声が所定時間無い期間の映像を分割候補点とする方法も利用できる。
また、映像記録再生装置503での記録の間に、コンピュータ504は、映像信号に付随する音声信号をステップ34でサンプリングする。サンプリングした音声データを音声波形データ用ファイル506に記録する。映像記録再生装置503に映像素材300のすべての映像の記録が終了した後(ステップ35)から、編集が必要な場合は、システム制御用コンピュータ504で用いられるグラフィカル・ユーザ・インタフェイス(以下、GUIと記す。)の機能を利用して、編集システムを操作することにより、編集をすることができる。GUIを使用した各種編集操作は、システム制御コンピュータ504に接続されているモニタ507に表示された操作画面を、キーボード508、マウス509を操作して行なわれる。例えば、画面上のボタンを押す操作は、マウス509で、カーソルを所要のボタン表示位置に重ねて、マウス509のスイッチを押す操作、すなわち、クリック操作でもってボタンを押す操作となる。
まず、映像素材300に記録されている映像情報のどの位置を、どれだけ削除するかを大まかに決定して、全体的な映像の流れを確認するための粗編集を行なう。編集作業を始めるに当たり、モニタディスプレイ507上に、図1に示す操作画面10を表示する。操作画面10には、映像記録再生装置503での映像の記録と同時に検出した映像シーンの変化点の画像100が、検出した順序でもって、画像100−1から100−2、100−3・・・100−6と表示可能な数だけ表示されている。このシーンの変化点の画像100が持つ奥行き表現(奥行き)109は、画像100の下側に数字で表示されているシーン長102の量を表現しており、シーン長が長いときは、奥行きが長くなっているため、シーン長が視覚的に理解できるようになっている。なお、初期状態では、音声波形103は表示されていない。
分割点候補の抽出には、特開平9−200687号公報に開示された無音区間の検出を利用する方法が使用される。無音状態がある程度連続する場合は、映像の内容が切り替わる場面である場合が多い。音声信号の再生レベルがある所定値以下(実質的な無音)になる状態が所定時間続くと無音区間と判定し、その無音区間の映像を分割点候補にするものである。
操作画面10の無音検出ボタン111を押す(マウス509で選択する。以下、同じ。)と、図8に示す、無音区間検出設定ウィンドウ80が操作画像10上にポップアップ表示され、この無音区間検出設定ウィンドウ80でGUIの操作をすることにより、操作者は無音区間を検出する設定を行なうことができる。
この無音区間検出の設定は、無音区間検出設定ウィンドウ80の無音区間判定基準の設定欄801に、キーボード508から無音区間と判定する時間長を入力し指定するもので、これは、無音区間判定基準の設定欄801に指定した時間長以下の無音区間は、無音区間として検出しないということである。無音区間を検出する区間を指定する場合は、その区間の開始位置のタイムコードを検出区間の設定欄802に、終了位置のタイムコードを検出区間の設定欄803に、キーボード508から入力し指定する。
図10に無音状態の検出による分割候補点の自動決定のフローチャートを示す。システム制御コンピュータ504は、音声信号レベルの検出器(図示せず)と信号比較回路(図示せず)とを有する。コンピュータ504は、ステップ51において、検出した音声信号のレベルとあらかじめ設定した閾値とを比較して、閾値以下となっている時間をカウントし、カウント値が編集者の入力した基準値を越えた時を分割候補点とする。なお、分割点候補の検出方法として、音声信号の特徴を検出する他の方法も可能である。例えば、座談会のような会話が中心の番組素材では、その音声信号の周波数帯はおおよそ300〜3,400Hzの範囲に集中する。また、コンサートの録画のような番組素材では、音声信号はより広い周波数範囲にエネルギ成分が分布する。従って、音声信号の中に特定の周波数帯の成分が少なくなるか、別の周波数帯に変化した場合を検知することによりシーンの切れ目を検出でき、それが分割点の候補となりうる。例えば、音声信号を300〜3,400Hzのバンドパスフィルタを通過させてその出力レベルを基準値と比較して、基準値以下の出力レベルが一定期間持続した場合を分割候補点とすることができる。また、背景音に特定の音声が重畳されている場合には、重畳されている音声成分の音質を検出して、音質が変化してそれが一定時間持続した場合を分割候補点とすることもできる。
つぎに、検出ボタン804を押すと、ステップ51においてシステム制御コンピュータ504は、音声波形データ用ファイル506に記録した音声波形データをもとに、映像記録再生装置503に記録した音声の指定された区間の無音区間を検出する。図1の画面10内に、最初に検出した無音区間および前後の音声波形103と、この音声波形103上に無音区間を示す図形108(ハッチング)が表示される。図形108は、その輝度や色を他の領域とは違う状態とすることで表示される。
この操作の例においては、無音区間を検出し表示しても、検出した無音区間に対して何も行なわず、つぎの無音区間を検出したい場合は、さらに図8の検出ボタン804を押すことにより、つぎの無音区間を検出し同様に表示する。検出され表示されている無音区間に対して編集作業を行なう場合は、まず、図8の閉じるボタン805を押し、無音区間検出設定ウィンドウ80を閉じてから、編集作業を行なう。ステップ52において、図1の無音区間を示す図形108の横幅の大きさや位置を変更することができる。マウス509を用いて図形108をドラッグすることで、画面上でカーソルを重ね選択されている図形の位置を移動させることができる。すなわち編集者はマウスの手動操作でもって、無音区間の位置であって、切り取り対象となる位置の微調整ができる。そして、無音区間の映像を削除する編集作業の場合は、ステップ53において切り取りボタン112を押すことで無音区間を削除でき、無音区間に対応する映像情報の区間も削除される。
切り取り位置の微調整をするときに、音声波形を拡大表示して、さらに細かい位置の設定を行ないたい場合は、図1の画面の目盛120にカーソルを重ねてマウス509のスイッチをダブルクリックすると、操作画面10上に、図6に示す、音声波形目盛設定ウィンドウ60がポップアップ表示され、この目盛設定ウィンドウ60で目盛の幅を設定することができる。この目盛の幅設定は、目盛設定ウィンドウ60上で、ある時間長を、図1の画面10上においていくつの長さで表現するかを指示するもので、画面10上の長さの値を、図6の目盛りの設定欄603に、および時間長でいくつにするかを目盛りの設定欄604に、所要の値をキーボード508から入力する。同様に、図1の画面10の目盛120をどれくらいの間隔で表示するかを、図6の目盛り表示の設定欄600に、所要の値をキーボード508から入力する。
設定が終了したらOKボタン601を押すことにより、設定結果が図1の音声波形103に反映さ表示される。
このほかに、無音区間は比較的時間が短いため、無音区間の削除だけでは映像短縮が効果的になされない場合は、あるシーンを削除して長い時間分の映像を短縮させる方法がある。この方法は、前述した、操作画面10(図1参照)に表示されている、映像の記録時に取得したシーンの変化点の画像100−1〜100−6を使用して操作する。図11にそのフローチャートを示す。ステップ71で削除するシーンの画像を、マウス509でダブルクリックすると、その画像が選択状態になる。つぎにステップ72で音声波形ボタン110を押すと、削除するシーンの音声波形103が表示される。表示された音声波形103上に、削除される位置の範囲が図形106(ハッチング)で示される。ステップ73で、この図形106は、無音区間を示す図形108の場合と同様に、マウス509でドラッグすることにより、手動で位置や大きさを微調整することができる。ステップ74で、切り取りボタン112を押し下げて微調整された図形106の区間の映像と音声が削除される。
このようにして粗編集が終了したら、粗編集された映像素材全体の素材長(ロール長)がロール長表示ウィンドウ118に表示されて、その表示の値を確認しながら、さらに、ロール分割点を決定するとともに、全体的なより細かい調整をすることができる。また、映像をノーカットで放送する場合は、削除する編集は必要ないので、ロール分割点だけを決定することができる。ロール分割点の決定は、図1の分割点ボタン113を押し、ロール分割位置を指定することで行なわれる。図12にロール分割位置決定の編集処理フローチャートを示す。
ステップ91において、最初のIN点が設定される。最初のIN点は、原則的に素材映像の先頭に自動的に設定される。素材映像の先頭が削除編集されている場合には、削除された素材映像の先頭が最初のIN点に設定される。
ステップ92で例えば図1に示す画像100−4をマウス509でダブルクリックして選択する。次にステップ92でさらに分割点ボタン113を押すと、画像100−4が含まれるシーンと、画像100−4のシーンの一つ前のシーン(画像100−3の最後のフレーム)の変わり目をロール分割点と設定することができる。
ステップ94において、分割点が削除される区間の先頭位置かあるいはその後ろの位置かどうかが判定される。ステップ94でYESであれば、ステップ95において、削除される区間の先頭をOUT点とし、該区間の後ろをIN点と設定する。ステップ94で分割点が削除される区間の先頭位置でも後ろの位置でもないと判定された場合には、ステップ96で、分割点をIN点とOUT点の共通位置として設定する。
そして、音声波形103上に、ロール分割位置のIN点を示す直線105、ロール分割位置のOUT点を示す直線104、または、ある一点がOUT点とIN点の共通点であることを示す直線119が表示される。
マウス509を使用して直線119をドラッグすることにより、このIN点とOUT点の共通点を示す1本の直線119を、互いに異なる位置のIN点とOUT点を示す2本の直線に変更することができる。すなわち、IN点とOUT点の共通点をIN点とOUT点とが別々の位置に変更できる。(ステップ97)
なお、上述の直線104、105、119は、音声波形上の位置を示すことができる図形であれば、直線に限らず他の記号でも良い。以下に記述される直線についても同様である。なお、IN点とは一連の映像からなるロールの始まりを示し、OUT点とはロールの終わりを示す。
通常は、CM挿入点となるロールの分割点、すなわち前のロールのOUT点と、つぎのロールのIN点は、同位置(隣接)であるが、そうでない場合もある。例えば、画像100−4を選択して、分割点ボタン113を押すと、画像100−4は、削除されるシーンの画像なので、ロールのOUT点は、削除される映像の直前の位置となり、図形106の左にOUT点を示す直線104が表示される。(ステップ95)つぎのロールのIN点は、削除されたシーン直後となり、図形106の右にロールのIN点を示す直線が表示される。(ステップ95)
その他にも、無音区間を示す図形108(ハッチング)を選択して、分割点ボタン113を押すと、削除される映像を挾む両端位置に、OUT点とIN点が設定される。(ステップ95)
また、挿入したCMの直後に、CMの直前の映像を再度挿入する場合は、図には示されていないが、ロールのIN点105を、前ロールのOUT点104より前に設定する。ロール長の表示も、重複した映像の時間長を加算して、ロール長表示ウィンドウ118に表示される。
ステップ97では、画面の音声波形上でIN点とOUT点を必要に応じてマウス509の操作により変更することができる。すなわち、IN点の線105とOUT点の線104で囲まれた図形(ハッチング)は無音区間を示す図形108と同様に、マウス509でドラッグすることによりその位置を微調整することができる。
また、設定したロール分割点を取り消したい場合は、設定した分割点を示す直線104、105、あるいは119を、マウス509で音声波形103の枠外へドラッグすると消去される。このとき、OUT点を示す直線104を枠外へドラッグすると、自動的に対応するIN点を示す直線105も消去される。同様に、IN点を示す直線105を枠外へドラッグすると、対応するOUT点を示す直線104が消去され、ロール長表示ウィンドウ118にも、自動的に反映され表示内容が変更される。また、ロール長表示ウィンドウ118を使用して、直接ロール長をキーボード508から入力すると、ロール分割点を設定することが可能である。ロール長表示ウィンドウ118のロール長が記されているロール長欄700(図7参照)に、キーボード508より値を入力すると、音声波形103上で対応するIN点、OUT点を示す直線104、105、119が、入力されたロール長に変更した位置に表示される。
ステップ98で、編集対象のすべてのロール分割位置が決定されたかどうか判定する。全てのロール分割位置が決定されるまでステップ92〜98を繰り返す。ステップ99では、番組の最後のロールのOUT点を投定する。最後のOUT点は、通常は素材の最後の位置に設定される。素材の最後が編集で削除されている場合には、削除された素材の最後の位置が最後のOUT点となる。
また、挿入したCMの前あるいは後に、放送される番組に付随する固有の映像(例えば番組の案内)を挿入する場合は、図1の挿入設定ボタン116を押すと、図2に示す挿入操作ウィンドウ20がポップアップ表示される。挿入される映像は、上述の編集している番組素材と同じ記録媒体に、あらかじめ記録されている。モードの選択パネル203上で、ロールごとに挿入点を設定(単独設定)することや、ロールとロールの間に挿入されるCM、すなわち中CMが挿入される挿入点(ロール分割点)を一度にすべて設定するなどとして、挿入設定を指定する。そして、モード選択パネル203上で、オプションボタン群207の中から、指定したい項目のオプションボタン208を一つ選択し、マウス509でクリックすると、指定された項目のオプションボタン208がONになり、オプションボタン群207の中のそれ以外の項目は自動的にOFFとなる。
この挿入映像の挿入位置(挿入点)は、前記と同様にモード選択パネル203上で、オプションボタン群209の中から、ロールの最後か最初か、例えばロールの最初であればオプションボタン210をマウス509でクリックすることにより指定される。以上のように挿入位置を指定したら、つぎに、挿入映像をリスト204より選択する。挿入映像リスト204には、挿入映像素材の識別符号(ID)と名前が表示されているので、挿入したい映像の欄をマウス509でクリックすると、ウィンドウ20上に挿入映像のカットの画像206が表示される。また、以後、ロール長を計算するうえで、挿入映像素材の素材長をロール長に加算して計算したい場合は、「素材長をロール長に加算」のチェックボックス205を、マウス509でクリックする。ON状態であればチェックボックスに、チェックマークが付き、ON状態でクリックすると、再びOFF状態になり、チェックマークが消える。上述の編集作業を完了し、編集結果に問題がない場合は、図1の操作画面10上の完了ボタン117を押すことで、システム制御コンピュータ504が、図4に示す送出順序情報40を作成し、送出順序情報ファイル510に記録する。
図4に示す送出順序情報40は、ある1つのロールの終わりに挿入映像が挿入設定された例である。この送出順序情報40には、映像記録再生装置503に記録したときの編集対象映像ID番号401、各ロール毎に付けられたロール番号402、各ロールの送出位置と送出順序情報403と、挿入映像ID404とが所定の順に記載されている。なお、作成された送出順序情報40に変更あるいは修正を加える場合は、送出順序情報ファイル510に記録されているこの送出順序情報40をもとに、図1に示す操作画面10が再び呼び出され、操作画面10上で修正する個所だけを、設定時と同様に操作し、変更作業を行なう。変更あるいは修正の終了後は、再び図1の完了ボタン117を押すと、送出順序情報40が変更操作に従って更新され、再び送出順序情報ファイル510に記録される。以上の操作によりロール編集したテレビ放送番組を放送する場合は、送出順序情報ファイル510に記録されている送出順序情報40のもとに、映像記録再生装置503に記録されている映像が映像送出装置(図示されていない。)へ直接出力され、放送される。(編集された映像を映像記録再生装置503に記録後は、記録された映像を別の記録媒体にダビングすることなく出力される。)
以上の編集処理全体のフローチャートを図13に示す。ステップ131で、素材がランダムアクセス記録媒体に記録される。ステップ132で、素材の削除位置が決定される。ステップ133で、ロール分割位置が決定される。ステップ134で番組に付随する固有の映像(番組予告等)の挿入箇所を決定する。ステップ135で、画面上の音声波形を見ながら削除位置や分割位置などの設定を微調整し、設定結果を確認する。ステップ136で編集処埋された映像の送出順序情報を作成する。
上述した映像編集方法が用いられる映像編集システムは、図9〜図13を参照して説明した映像編集方法の手順がコンピュータが読み取り可能なコードの形式で記録媒体に記録されているものである。なお、この映像編集方法の手順が記録された記録媒体は、半導体メモリ、磁気テープ、磁気ディスクあるいは光ディスクなど種々な形態を用いることができるものである。
10:映像編集を行う操作画面、20:挿入操作ウィンドウ、40:送出順序情報、60:目盛設定ウィンドウ、80:無音区間検出設定ウィンドウ、100:シーンの変化点の画像、101:タイムコード、102:シーン長、103:音声波形、104:ロールのOUT点を示す直線、105:ロールのIN点を示す直線、106:削除される区間の図形、108:無音区間を示す図形、109:シーン長を表現する奥行き、110:音声波形ボタン、111:無音検出ボタン、112:切り取りボタン、113:分割点ボタン、115:PREVIEWボタン、116:挿入設定ボタン、117:完了ボタン、118:ロール長表示ウィンドウ、119:ロールのOUT点、IN点を示す直線、120…目盛。300:映像素材、301:映像再生機、304:映像モニタ、306:スピーカ、503:映像記録再生装置、504:システム制御コンピュータ、505:画像データ用ファイル、506:音声波形用データファイル、507:モニタディスプレイ、508:キーボード、509:マウス、510:送出順序情報ファイル。