JP2005277896A - 車載ネットワーク拡張装置及び車載電子制御ユニット - Google Patents

車載ネットワーク拡張装置及び車載電子制御ユニット Download PDF

Info

Publication number
JP2005277896A
JP2005277896A JP2004089603A JP2004089603A JP2005277896A JP 2005277896 A JP2005277896 A JP 2005277896A JP 2004089603 A JP2004089603 A JP 2004089603A JP 2004089603 A JP2004089603 A JP 2004089603A JP 2005277896 A JP2005277896 A JP 2005277896A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
buses
bus
vehicle network
expansion device
communication
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004089603A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Kawamura
憲司 川村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Wiring Systems Ltd
AutoNetworks Technologies Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Wiring Systems Ltd
AutoNetworks Technologies Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Wiring Systems Ltd, AutoNetworks Technologies Ltd, Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Wiring Systems Ltd
Priority to JP2004089603A priority Critical patent/JP2005277896A/ja
Publication of JP2005277896A publication Critical patent/JP2005277896A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Small-Scale Networks (AREA)

Abstract

【課題】自動車内に配線されるCAN通信のネットワークを多系統のバスに分割した場合に、バス間の通信を効率よく調停する。
【解決手段】自動車内に配線されるCAN通信のネットワークを多系統のバス31,33に分割して配線した場合に、これらのバス31,33の間のレセシブ/ドミナントの調停を効率よく行うことができる。即ち、従来のゲートウェイを使用した車載ネットワークに比べると、このゲートウェイがバス31,33の相互間の調停を行う機能が無かったのに対して、この実施形態のように車載ネットワーク拡張装置30でバス31,33の相互間の調停を効率よく行うことができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、車載ネットワーク拡張装置及びそれに関連する技術に関するものである。
電子通信技術の進展に伴って、現在、自動車においては多くの車載電子制御ユニット(ECU)が搭載されつつある。このように多くの車載電子制御ユニットが搭載されると、車載電子制御ユニット間の通信において信号の多重化が行われることが必須となっており、この信号の多重化に適した車載ネットワークの一つであるCAN(Control Area Network)が使用されつつある。
このCANは、ISO/DIS−11898などで規定された通信プロトコルであり、通信速度や使用するケーブルの種類がいろいろあり、最大ケーブル長や配線トポロジ、接続ユニット数などに制限がある。即ち、CANで適用されるバスの信号波形は、ワイヤハーネスの引き回し方により反射や遅延の影響を受ける。これは通信品質の低下につながるため、ワイヤハーネスの配策や接続できるECU(ノード)数に制約が出る場合がある。
例えば、ISO/DIS−11898では、1Mbpsのとき、接続ユニット数が30、最大ケーブル長が40m、ケーブルの突出長が0.3m、ノード間距離が最小で0.1m、最大で40mで、ネットワーク内での信号の波形の乱れを避けるためには、できるだけ1本の線に近づけることが望ましい。
しかしながら、自動車内では配線に利用できる空間が限られており、またCANバスについて様々な分岐が必要な場合が多いことからも、ワイヤハーネスの配線トポロジを1本の線に近づけることは難しく、最大ケーブル長制約や配線トポロジ制約のためにネットワークを分割しなければならないことが多くなる。このように、ネットワークは1系統で構成できない場合、何らかの方法でバス間の通信を確保する必要がある。
そこで、従来、図6の如く、ネットワークを多系統のバス(bus−A,bus−B)1,3に分割して配線し、これらのバス1,3間をゲートウェイ5でつないで構成することが行われていた。
このゲートウェイ5は、バス1,3間で受け渡しするデータのフィルタリングや誤り制御などを行うもので、通常はマイクロコンピュータを有して構成されている。図7はゲートウェイ5の内部構成例を示すブロック図である。図7の如く、ゲートウェイ5は、各バス1,3に接続するためのバス接続部コネクタ7,9と、各バス1,3への入出力をそれぞれ行うCANトランシーバ11,13と、このCANトランシーバ11,13での通信制御をそれぞれ行うCAN通信コントローラ15,17と、このCAN通信コントローラ15,17に制御指令を与えるCPU19とを備えて構成される。尚、図7中の符号21はCPU19に接続されるROM、同じく符号23はCPU19に接続されるRAMをそれぞれ示しており、例えば、CPU19、ROM21及びRAM23がマイクロコンピュータを構成する。
このゲートウェイ5は単独の装置としてだけでなく、他のECU内部に機能の一部として実装されることもある。
上述のように、ネットワークを1系統で構成できない場合に、バス1,3間の通信を確保するため、従来はゲートウェイ5を使用していたが、このゲートウェイ5は、マイクロコンピュータ(即ち、図7中のCPU19、ROM21及びRAM23)を使用して構成しなければならず、部品コストの上昇が避けられなかった。
さらに、ゲートウェイ5は、これがバス1,3間で受け渡しするデータの選択通過(フィルタリング)や誤り制御等を行う関係上、車載装備の増加や変更があった場合、そのソフトウェアプログラムの作り直しが必要になることが多い。
そうすると、複数車種への部品共通化の障害になり、量産効果が損なわれる。
また、ソフトウェアプログラムを作り直すたびに、バグの入り込む可能性が生じる。
さらに、一方のバス(bus−A)1から来たデータが、一旦ゲートウェイ5の内部に蓄積された後、他方のバス(bus−B)3に送出されるため、両バス1,3間でデータ到達の時間的不一致が生ずる。これは、時間的にクリティカルな制御を必要とする用途では使えない場合があることを意味する。
さらにまた、一方のバス(bus−A)1から来たデータが、一旦ゲートウェイ5の内部に蓄積されて、この一方のバス(bus−A)1のデータ通信が完了した後に、他方のバス(bus−B)3への送出が開始されるため、他方のバス(bus−B)3内の1個のECU故障等、何らかの原因で他方のバス(bus−B)3への送出が失敗すると、バス1,3間でのデータ共有ができていないという重大な事態となる。
かかる事態を避けるためには、ゲートウェイ5自身が一方のバス(bus−A)1に対してデータの伝送失敗を通知する手段を持たなければならない。このことは、通信のプロトコルを複雑化することに繋がり、データの到達確認までの時間を著しく遅らせることになる。
そこで、本発明の課題は、自動車内に配線されるCAN通信のネットワークを多系統のバスに分割した場合に、バス間の通信を効率よく調停することにあり、併せて、コストの上昇を可及的に緩和し得、データ伝送の遅延を防止し、併せて小型・軽量化を可能にする車載ネットワーク拡張装置及び車載電子制御ユニットを提供することにある。
上記課題を解決すべく、請求項1に記載の発明は、自動車内に配線されるCAN通信のネットワークを多系統のバスに分割し、当該両バスの間に介在される車載ネットワーク拡張装置であって、前記各バスにそれぞれ接続するためのバス接続部コネクタと、前記各バス接続部コネクタを通じた通信を行うCANトランシーバと、前記各バスを監視し、前記CANトランシーバを制御して前記各バス間の通信を実行するとともに、前記各バス間で通信の衝突が生じた際にはそれらの通信データに付与された優先順位に基づいて前記各バス間の通信を調停する回線監視・制御論理回路とを備えるものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車載ネットワーク拡張装置であって、
、前記回線監視・制御論理回路の動作クロックを規定するクロック回路をさらに備え、前記クロック回路が、前記バスで使用される量子化時間の逆数以上の周波数のクロック信号を発生し、前記回線監視・制御論理回路が、前記クロック信号の周波数で前記両バスを監視し、所定の手順に従って前記両バス間の通信を調停するものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の車載ネットワーク拡張装置であって、少なくとも一つのCANトランシーバに、複数のバス接続部コネクタが接続されたものである。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の車載ネットワーク拡張装置であって、前記クロック回路が、PLLを用いた逓倍回路であるものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の車載ネットワーク拡張装置であって、前記回線監視・制御論理回路が、前記各バスの異常を検知する機能を有し、異常と判定した場合に、前記バス間でのデータの中継を行わないものである。
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の車載ネットワーク拡張装置が内蔵されたことを特徴とする車載電子制御ユニットである。
請求項1に記載の発明の車載ネットワーク拡張装置は、自動車内に配線されるCAN通信のネットワークを多系統のに分割して配線した場合に、これらのバスの間のレセシブ/ドミナントの調停を効率よく行うことができる。
請求項2に記載の発明の車載ネットワーク拡張装置は、回線監視・制御論理回路の動作クロックを規定するクロック回路(例えば、請求項4のようにPLLを用いた逓倍回路)が、バスで使用される量子化時間の逆数以上の周波数のクロック信号を発生し、回線監視・制御論理回路が、そのクロック信号の周波数で両バスを監視し、所定の手順に従って両バス間の通信を調停するので、バス間でのデータ伝送の遅延を緩和することができる。
請求項3に記載の発明の車載ネットワーク拡張装置は、少なくとも一つのCANトランシーバに、複数のバス接続部コネクタが接続されて構成されるので、車載ネットワーク拡張装置のひとつのCANトランシーバが分岐コネクタの構成をなす。したがって、ひとつの車載ネットワーク拡張装置に3個以上のバス接続部コネクタが設けられることになることから、別途にジャンクションコネクタを設けることなく、3本以上のバスを容易に接続できる。したがって、ジャンクションコネクタコストの上昇を可及的に緩和し得、データ伝送の遅延を防止し、併せて小型・軽量化を可能にする。
請求項5に記載の発明の車載ネットワーク拡張装置は、回線監視・制御論理回路が、各バスの異常を検知する機能を有し、異常と判定した場合に、バス間でのデータの中継を行わないので、異常時の回線トラブルを容易に防止することができる。
そして、請求項6に記載の発明のように、車載ネットワーク拡張装置を独立した機器としてではなく、なんらかの車載電子制御ユニット内に内蔵して構成することで、コストの上昇を可及的に緩和し、併せて小型・軽量化が可能となる。
<構成>
図1は本発明の一の実施形態に係る車載ネットワーク拡張装置30がネットワークに組み込まれた状態を示すブロック図、図2は車載ネットワーク拡張装置30の内部構成を示すブロック図、図3は車載ネットワーク拡張装置30内のCANトランシーバの構成を示す回路図である。
この車載ネットワーク拡張装置30は、図1の如く、自動車内に配線されるCAN通信のネットワークを多系統のバス(bus−A,bus−B)31,33に分割して配線し、これらのバス31,33の間に介在されるものであって、図2の如く、各バス31,33にそれぞれ接続されるバス接続部コネクタ35,37と、このバス接続部コネクタ35,37を通じてそれぞれのバス31,33への入出力を行うCANトランシーバ39,41と、このCANトランシーバ39,41を制御して両バス31,33間の通信を制御する回線監視・制御論理回路43と、この回線監視・制御論理回路43に回線サンプリングと当該回線監視・制御論理回路43の動作に必要な動作クロックを供給するクロック回路45とを備えて構成される。
各CANトランシーバ39,41は、図3の如く、1個の比較器51と1個のバッファ53とを備える。
比較器51は、各バス31,33の状態監視を行うもので、CAN通信における各バス31,33のハイ側バスラインCANHの非反転入力とロー側バスラインCANLの反転入力とが行われ、これらを比較して、回線監視・制御論理回路43に信号Rの反転出力を行う。
バッファ53は、回線監視・制御論理回路43からの信号Dが反転入力され、各バス31,33のハイ側バスラインCANHに非反転出力するとともにロー側バスラインCANLに反転出力する。
クロック回路45は、PLLを用いた逓倍回路であって、CAN通信で使用される量子化時間(Tq)に対し、1/Tq以上の周波数、望ましくは2/Tq以上の周波数のクロック信号を発生する。
回線監視・制御論理回路43は、マイクロコンピュータを使用せずに、ASIC等の回路が適用されて構成されており、クロック回路45から与えられるクロック信号の周波数で、各CANトランシーバ39,41の比較器51から与えられる信号Rのレベル(ハイ/ロー)によって各バス31,33の状態を監視し、これに基づいて各CANトランシーバ39,41のバッファ53に反転入力する信号Dを制御する。
また、この回線監視・制御論理回路43には、各バス31,33の異常を検知する機能が内蔵されており、いずれかのバス31,33に異常が発生していると判定した場合は、回線監視・制御論理回路43はデータの中継を行わないようになっている。
ここで、CAN通信では、すべてのメッセージが、予め定められたフォーマットで送信される。バス31,33が空いているときには、バス31,33に接続されるすべての車載電子制御ユニット(ECU:図示省略)がこのバス31,33を通じて新しいメッセージの送信を開始することができる。また、2つ以上の車載電子制御ユニットが同時にバス31,33を通じてメッセージの送信を始ようとした場合は、識別子(以下「ID」と称す)によって優先順位が決められる。このIDは、メッセージの送り先を示すものでなく、バス31,33にアクセスする際のメッセージの優先順位を示す。
具体的に、1つ以上の車載電子制御ユニットが同時にメッセージを開始した場合、各メッセージのIDに対してビット単位で調停を行う。そして、調停において一番高い優先順位を持っている、即ち調停に勝ったと判断された車載電子制御ユニットは、そのまま送信を続け、優先順位が低い、即ち負けた車載電子制御ユニットは、直ちに送信を停止して受信動作に移る。
ここで図4は、いずれかのバス31,33内で車載電子制御ユニットが接続されるノードとそのバス31,33の状態を示す図であり、図4(A)は第1のノードのレセシブ(不活性)/ドミナント(活性)の状態、図4(B)は第2のノードのレセシブ/ドミナントの状態、図4(C)はそれらのノードが接続されたバス31,33のレセシブ/ドミナントの状態をそれぞれ示している。尚、レセシブの状態では、各バス31,33が、その各バス31,33の終端抵抗の値によって決定される電圧レベルに設定され、ドミナントの状態では、各バス31,33がグランドレベルに設定されるようになっている。
今、第1のノードよりも第2のノードの方が優先順位が高いものとすると、例えば図4において、時刻T1で2つのノードの調停が行われる場合、図4(B)に示した第2のノードがドミナントとなり、図4(A)に示した第1のノードはレセシブとなる。このとき、バス31,33はドミナントの状態になる。
このように、バス31,33は、ドミナントとレセシブという2つの電気的信号レベルが遷移するようになっており、ドミナントとレセシブとが衝突したときはドミナントが勝つようになっている。そして、調停に勝ったと判断されたノード(図4(B)の第2のノード)はそのまま送信を続け、調停に負けたと判断されたノード(図4(A)の第1のノード)は直ちに送信を停止する。即ち、各ノードが受信動作に移ることは、送信動作を中断してバス31,33駆動をレセシブに保つことと等価である。
このような調停を行うためには、各ノード間で、図4に示したレセシブ/ドミナントの遷移の時間的単位であるビットタイミングの同期が取れていなければならない。CAN通信においては、1ビットタイムの1/8〜1/25を量子時間(Tq)と規定しており、これを最小単位としている。
ここで、ビットは次の4つのセグメントに分割される。
(1)シンクロナイゼーションセグメント(SS)
(2)プロパゲーションタイムセグメント(PTS)
(3)フェーズバッファセグメント1(PBSl)
(4)フェーズバッファセグメント2(PBS2)
各セグメントのビットタイムとして、シンクロナイゼーションセグメント(SS)は1Tqを要し、プロパゲーションタイムセグメント(PTS)は1〜8Tqを要し、フェーズバッファセグメント1(PBSl)は1〜8Tqを要し、フェーズバッファセグメント2(PBS2)は2〜8Tqを要する。
これらの(1)〜(4)のセグメントのうち、ビットの同期に大きく影響があるのはシンクロナイゼーションセグメント(SS)及びプロパゲーションタイムセグメント(PTS)である。
シンクロナイゼーションセグメント(SS)は、バス31,33につながる複数のノードが、このセグメントの間でタイミングを合わせ、そろって送受信の動作を行うために必要なセグメントであり、レセシブからドミナントへのエッジまたはドミナントからレセシブへのエッジが、このセグメントの中にあることが期待される。
プロパゲーションタイムセグメント(PTS)は、ネットワーク(バス31,33)上の物理的な遅延を吸収するセグメントである。ネットワーク上の物理的な遅延は、(送信ノードの出力遅延+バス31,33上での信号の伝播遅延+受信ノードの入力遅延)×2となる。
ここで、図1のように2つに分割されたCAN通信のバス31,33は、通信速度が互いに同じであるから、これらの間でビット同期が取れるように制御し、且つビット調停が相互にできるようにすれば、2つのバス31,33はあたかも1つのビットタイミングで動作しているように見える。
この実施形態における車載ネットワーク拡張装置30は、上述のように、2つのバス31,33の間に介在設置されて、両バス31,33の間でビット同期が取れるように制御し、且つ両者の間でビット調停を行うことで、2つのバス31,33をあたかも1つのビットタイミングで動作しているようにする。
但し、車載ネットワーク拡張装置30での遅れ時間が大きいと、両バス31,33の間でビット同期が取ることが困難となる。
そこで、ここでは、トラックやバスなどの大型車を除けば、通常の普通車等では車載LANのケーブル長が比較的短いことに着目し、このように短い車載LANではプロパゲーションタイムセグメント(PTS)に余裕があることを利用して、回線監視・制御論理回路43での制御によって、バス31,33のサンプリング周波数をCAN通信のバス31,33のTqに対して「1/Tq」以上(望ましくは「2/Tq」以上)で行うことにより、調停遅延の影響を最小限にするものである。
<動作>
上記構成の車載ネットワーク拡張装置30の具体的な動作の一例を説明する。
回線監視・制御論理回路43は、基本的には次の(ア)〜(オ)の規則に従ってCANトランシーバ39,41を制御する。
(ア)最初に、バス31,33に流れる信号を、ハザード防止のために、一旦クロッキング(タイミング合わせ)する。
(イ)両バス31,33ともにレセシブの場合は、両バス31,33の調停を行う必要がない状態にあるため、CANトランシーバ39,41及びバス接続部コネクタ35,37を通じて両バス31,33にレセシブを出力する。
(ウ)第2のバス(bus−B)33がレセシブであり、第1のバス(bus−A)31にエッジを検出した場合は、第1のバス(bus−A)31がドミナントである期間中、第2のバス(bus−B)33にドミナントを出力する。これは、第1のバス(bus−A)31が調停に勝ったと判断して、第1のバス(bus−A)31を第2のバス(bus−B)33に接続することを意味している。
(エ)第1のバス(bus−A)31がレセシブであり、第2のバス(bus−B)33にエッジを検出した場合は、第2のバス(bus−B)33がドミナントである期間中、第1のバス(bus−A)31にドミナントを出力する。これは、第2のバス(bus−B)33が調停に勝ったと判断して、第2のバス(bus−B)33を第1のバス(bus−A)31に接続することを意味している。
(オ)両バス31,33に同時にエッジを検出した場合は、両バス31,33の調停がまだつけられない状態にあることから、両バス31,33にレセシブを出力する。
ここで、トラックやバスなど大型車を除けば、通常の普通車の車載LANのケーブル長が短いため、プロパゲーションタイムセグメント(PTS)の値はあまり大きく取る必要がないと期待できる。逆に言えば、値の設定に余裕があることになる。
バス31,33のサンプリング周波数を1/Tqとすると、上記(ア)の条件により、両バス31,33のうちの少なくともいずれかにおいて最大Tqの遅延が起こり、両者間のクロッキング(タイミング合わせ)が行われる。
そして、上記(ウ)または上記(エ)の条件が成立して初めて、バス31,33の制御がなされる。このことから、このような条件での車載ネットワーク拡張装置30における遅延は最大で2Tqとなる。これは、プロパゲーションタイムセグメント(PTS)が3以上あれば吸収できるものである。
ここで、バス31,33のサンプリング周波数を2/Tqとすると、上記(ア)の条件により最大Tq/2の遅延が起こり、上記(ウ)または上記(エ)の条件が成立して初めてバス31,33の制御がなされるから、このような条件での車載ネットワーク拡張装置30における遅延は最大でTqとなる。これは、プロパゲーションタイムセグメント(PTS)が2以上あれば吸収できるものである。
尚、実際のバス31,33には、それ自体に大きな容量成分が存在するため、ドミナントからレセシブへの切り替えがTq以内に収まらないことが考えられる。これは、バス31,33の容量成分への充電が終端抵抗を通して行われるためである。このため、ドミナントからレセシブへの切り替えの遅延は、バス31,33の時定数で計算できる。
例えば、図5に示したような各バス31,33のレセシブ/ドミナントの遷移動作を考える。尚、図5においては、第1のバス31を符号「A」、第2のバス33を符号「B」で表している。まず、上記(ア)のように両バス31,33のクロッキングを行った後、上記(イ)、即ち両バス(A,B)31,33ともレセシブになる場合は、図5中のステップS01のように、アイドル(idle)状態のまま状態遷移はなされない。また、即ち両バス(A,B)31,33ともドミナントとなる場合など、両バス31,33に同時にエッジを検出した場合は、両バス31,33の調停がまだつけられない状態にあることから、両バス31,33にレセシブを出力して、図5中のステップS02のように、アイドル(idle)状態のまま維持される。
次に、回線監視・制御論理回路43が上記(ウ)の条件、即ち第2のバス(B)33がレセシブであり、第1のバス(A)31がドミナントとなる場合は、ステップS03からステップS04に遷移して、両バス31,33ともドミナントの状態に遷移する。
しかしながら、その後に第1のバス(A)31がレセシブに移行すると(ステップS05)、回線監視・制御論理回路43は、その直前まで第2のバス(B)33にドミナントを出力していたのであるから、第1のバス(A)31を観測すると、バス31,33の時定数/2の期間はドミナントの状態(ここでは「ドミナントノイズ」と称す:ステップS06a〜S08a)が観測される。
したがって、このステップS06a〜S08aの期間中は、回線監視・制御論理回路43によって、ステップS06〜S08のように、両バス31,33のCANトランシーバ39,41をレセシブに制御すればよい。
かかるステップS05〜S07のステップ数は、上述のプロパゲーションタイムセグメント(PTS)の期間によって決定される。
また、上記(エ)の場合、即ち第2のバス(B)33がドミナントとなり、第1のバス(A)31がレセシブである場合も同様に、ステップS09〜S13のように遷移する。
そして、上記(ウ)及び(エ)のいずれの場合も、プロパゲーションタイムセグメント(PTS)の期間によって決定されるステップ数を超えて、レセシブの状態が検出された場合は、最初のアイドル状態(ステップS00a)に戻る(ステップS14,S15)。
このように、この実施形態の車載ネットワーク拡張装置30では、自動車内に配線されるCAN通信のネットワークを多系統のバス31,33に分割して配線した場合に、これらのバス31,33の間のレセシブ/ドミナントの調停を効率よく行うことができる。即ち、従来のゲートウェイを使用した車載ネットワークに比べると、このゲートウェイがバス31,33の相互間の調停を行う機能が無かったのに対して、この実施形態のように車載ネットワーク拡張装置30でバス31,33の相互間の調停を効率よく行うことができる。
この場合、各バス31,33を流れるデータに依存しないで、しかもバス31,33に流れる元の信号の波形を乱さないで、データ到達の時間遅れがないように、滞り無く調停を行うことができる。
特に、両方のバス31,33間で遅延を無くすことができるので、少なくともいずれかのバス31,33の通信速度が遅い場合であっても、このバス31,33について設計変更することなく容易にCAN通信の調停を行うことができる。
また、回線監視・制御論理回路43としてマイクロコンピュータを使用せずに、ASIC等の回路で構成しているので、ROMやRAM等が必要なくなり、よって部品点数が少ない車載ネットワーク拡張装置30を構成できる。
しかも、回線監視・制御論理回路43としてマイクロコンピュータを使用していないので、ソフトウェアが必要なくなる。したがって、ソフトバグの入る余地がなくなり、またマイクロコンピュータを使用しないことから、車載ネットワーク拡張装置30の起動時間が早くなる利点がある。
また、この回線監視・制御論理回路43に、各バス31,33の異常を検知する機能が内蔵されており、いずれかのバス31,33に異常が発生していると判定した場合に、回線監視・制御論理回路43はデータの中継を行わないようになっているので、異常時の回線トラブルを一定時間に抑えることができる。
以上のことから、車載ネットワーク拡張装置30の内部の実装密度の向上を図ることができ、また実装部品点数の低減、コストダウン及び軽量化を図ることができる。
尚、上記実施形態では、一対のバス接続部コネクタ35,37に一対のバス31,33をそれぞれ接続していたが、少なくともいずれかのバス31,33に複数のバス接続部コネクタを接続し、これを分岐コネクタとしてもよい。この場合は、ひとつの車載ネットワーク拡張装置30に3個以上のバス接続部コネクタが設けられることになるため、別途にジャンクションコネクタを設けることなく、3本以上のバスを容易に接続できる。この場合でも、接続される全てのバスの調停を行う点で、上記実施形態と同様である。
また、上記実施形態では、車載ネットワーク拡張装置30を独立した機器として例示して説明したが、なんらかの車載電子制御ユニット内に内蔵して構成してもよい。これにより、コストの上昇を可及的に緩和し、併せて小型・軽量化が可能となる。
本発明の一の実施形態に係る車載ネットワーク拡張装置がネットワークに組み込まれた状態を示すブロック図である。 本発明の一の実施形態に係る車載ネットワーク拡張装置の内部構成を示すブロック図である。 本発明の一の実施形態に係る車載ネットワーク拡張装置のCANトランシーバを示す回路図である。 本発明の一の実施形態に係る車載ネットワーク拡張装置が適用された場合に、いずれかのバス内で車載電子制御ユニットが接続されるノードとそのバスの状態を示す図である。 本発明の一の実施形態に係る車載ネットワーク拡張装置が適用された場合の各バスのレセシブ/ドミナントの遷移動作を示す図である。 従来のゲートウェイがネットワークに組み込まれた状態を示すブロック図である。 従来のゲートウェイの内部構成を示すブロック図である。
符号の説明
30 車載ネットワーク拡張装置
31,33 バス
35,37 バス接続部コネクタ
39,41 トランシーバ
43 回線監視・制御論理回路
45 クロック回路
51 比較器
53 バッファ

Claims (6)

  1. 自動車内に配線されるCAN通信のネットワークを多系統のバスに分割し、当該バスの間に介在される車載ネットワーク拡張装置であって、
    前記各バスにそれぞれ接続するためのバス接続部コネクタと、
    前記各バス接続部コネクタを通じた通信を行うCANトランシーバと、
    前記各バスを監視し、前記CANトランシーバを制御して前記各バス間の通信を実行するとともに、前記各バス間で通信の衝突が生じた際にはそれらの通信データに付与された優先順位に基づいて前記各バス間の通信を調停する回線監視・制御論理回路と
    を備える車載ネットワーク拡張装置。
  2. 請求項1に記載の車載ネットワーク拡張装置であって、

    前記回線監視・制御論理回路の動作クロックを規定するクロック回路をさらに備え、
    前記クロック回路が、前記バスで使用される量子化時間の逆数以上の周波数のクロック信号を発生し、
    前記回線監視・制御論理回路が、前記クロック信号の周波数で前記各バスを監視し、所定の手順に従って前記バス間の通信を調停することを特徴とする車載ネットワーク拡張装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の車載ネットワーク拡張装置であって、
    少なくとも一つのCANトランシーバに、複数のバス接続部コネクタが接続されたことを特徴とする車載ネットワーク拡張装置。
  4. 請求項2に記載の車載ネットワーク拡張装置であって、
    前記クロック回路が、PLLを用いた逓倍回路である、車載ネットワーク拡張装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の車載ネットワーク拡張装置であって、
    前記回線監視・制御論理回路が、前記各バスの異常を検知する機能を有し、異常と判定した場合に、前記バス間でのデータの中継を行わないことを特徴とする車載ネットワーク拡張装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載の車載ネットワーク拡張装置が内蔵されたことを特徴とする車載電子制御ユニット。
JP2004089603A 2004-03-25 2004-03-25 車載ネットワーク拡張装置及び車載電子制御ユニット Pending JP2005277896A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004089603A JP2005277896A (ja) 2004-03-25 2004-03-25 車載ネットワーク拡張装置及び車載電子制御ユニット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004089603A JP2005277896A (ja) 2004-03-25 2004-03-25 車載ネットワーク拡張装置及び車載電子制御ユニット

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005277896A true JP2005277896A (ja) 2005-10-06

Family

ID=35177076

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004089603A Pending JP2005277896A (ja) 2004-03-25 2004-03-25 車載ネットワーク拡張装置及び車載電子制御ユニット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005277896A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008113097A (ja) * 2006-10-27 2008-05-15 Fujitsu Ten Ltd ゲートウェイ装置及び転送制御方法
CN106067904A (zh) * 2016-08-22 2016-11-02 中国重汽集团济南动力有限公司 一种车辆can通讯通道切换电路
US9515906B2 (en) 2014-01-10 2016-12-06 Hyundai Motor Company Transceiver integrated circuit device and method of operation thereof
JP2020048131A (ja) * 2018-09-20 2020-03-26 ボッシュ株式会社 Can通信方法及びcan通信システム
CN114567656A (zh) * 2022-03-04 2022-05-31 中铁上海设计院集团有限公司 一种网络隔离通信的铁路车载设备监测装置
US11695590B2 (en) 2019-03-14 2023-07-04 National University Corporation Tokai National Higher Education And Research System Communication device, communication system and message arbitration method
US11949575B2 (en) 2019-06-21 2024-04-02 National University Corporation Tokai National Higher Education And Research System In-vehicle communication system, in-vehicle communication device, and transmission cycle calculation method
CN114567656B (zh) * 2022-03-04 2024-04-30 中铁上海设计院集团有限公司 一种网络隔离通信的铁路车载设备监测装置

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008113097A (ja) * 2006-10-27 2008-05-15 Fujitsu Ten Ltd ゲートウェイ装置及び転送制御方法
US8265087B2 (en) 2006-10-27 2012-09-11 Fujitsu Ten Limited Gateway apparatus and data transfer control method
US9515906B2 (en) 2014-01-10 2016-12-06 Hyundai Motor Company Transceiver integrated circuit device and method of operation thereof
CN106067904A (zh) * 2016-08-22 2016-11-02 中国重汽集团济南动力有限公司 一种车辆can通讯通道切换电路
JP2020048131A (ja) * 2018-09-20 2020-03-26 ボッシュ株式会社 Can通信方法及びcan通信システム
JP7079180B2 (ja) 2018-09-20 2022-06-01 ボッシュ株式会社 Can通信方法及びcan通信システム
US11695590B2 (en) 2019-03-14 2023-07-04 National University Corporation Tokai National Higher Education And Research System Communication device, communication system and message arbitration method
US11949575B2 (en) 2019-06-21 2024-04-02 National University Corporation Tokai National Higher Education And Research System In-vehicle communication system, in-vehicle communication device, and transmission cycle calculation method
CN114567656A (zh) * 2022-03-04 2022-05-31 中铁上海设计院集团有限公司 一种网络隔离通信的铁路车载设备监测装置
CN114567656B (zh) * 2022-03-04 2024-04-30 中铁上海设计院集团有限公司 一种网络隔离通信的铁路车载设备监测装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101095583B1 (ko) 차량내 네트워크에서의 통합 게이트웨이 모니터링 시스템 및 방법
JP5434512B2 (ja) 車載通信システム、ゲートウェイ装置
Talbot et al. Comparision of fieldbus systems can, ttcan, flexray and lin in passenger vehicles
US10484202B2 (en) Relay device, electronic control device, and vehicle-mounted network system
JP2007336267A (ja) 車載通信システム
CN111108725A (zh) 用于监视通信总线上的通信的方法和用于连接到通信总线的电子设备
JP2011182123A (ja) 通信システム、通信装置及び通信方法
JP6674312B2 (ja) ゲートウェイ装置
JP2005277896A (ja) 車載ネットワーク拡張装置及び車載電子制御ユニット
JP5976157B2 (ja) コントローラエリアネットワーク(can)デバイス及びcan交通制御方法
US11337184B2 (en) Method and apparatus for transmitting and receiving data stream performed in vehicle network
Camek et al. An automotive Side-View system based on Ethernet and IP
JP2006192970A (ja) 車載用通信接続装置および車載通信システム
JP4754940B2 (ja) 中継接続ユニット
JP2009010852A (ja) 車載ゲートウェイ装置
JP2019047413A (ja) 車両ネットワークシステム
JP4954832B2 (ja) 車載用通信システム
KR101165854B1 (ko) 모스트 시스템의 자기진단 시스템
CN107800599B (zh) 车载控制装置
CN112398901A (zh) 执行双报文仲裁的方法和系统
JP7410085B2 (ja) 通信システム及び上位制御装置
CN111176251A (zh) 网络系统
JP2007243322A (ja) ゲートウェイ装置、データ転送方法及びプログラム
Yoo et al. Unidirectional ring ethernet for low-complexity in-vehicle control network
JP2015039924A (ja) 車載ネットワークシステム