JP2005273592A - 遠心ファン - Google Patents

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Abstract

【課題】静圧を高くするとともに送風量を増大し、さらにモータの発熱量を抑えて電子部品を熱から保護する。
【解決手段】遠心ファン1は、外径が25mm以下であって長い略円筒状のインペラ2と、インペラ2を回転するモータ3と、インペラ2を収納するハウジング4とを備える。モータ3は、3相モータであり、インペラ2を中心軸10の回りに毎分10000回転以上で回転する。モータ3が3相モータであるため、コイルの利用効率が高く、ステータ38の発熱量が減少する。また、モータ3は、3つのコイルが常に通電されるように駆動され、これによってもステータ38の発熱量の低減が図られる。その結果、小型・高速回転の遠心ファン1において、電子部品391が熱から保護され、故障や動作異常が防止される。
【選択図】図1

Description

本発明は、電動の遠心ファンに関し、特に、電気製品や電子機器を空冷するために用いられる遠心ファンに関する。
近年、電子機器の小型化と高性能化に伴って、電子機器に搭載される冷却用のファンの小型化が要求されている。また、このようなファンにおいて、比較的高い静圧と風量を得ることも要求されている。例えば、特許文献1には、クロスフローファンを放熱用ヒートシンク上に設けることにより、冷却効果を高めると共に薄型化を図った冷却用のヒートシンクファンが記載されている。また、特許文献2には、インペラを構成する複数の翼の外周部の半径をインペラの回転軸方向の長さより小さくすることにより、回転軸に垂直な面の断面積を小さくして携帯型電子機器への搭載を図った遠心ファンが記載されている。
特許第3378632号公報 特開2003−307196号公報
しかしながら、特許文献1に記載のヒートシンクファンでは、ヒートシンク上に設けられているファンがクロスフローファンであるため、高い静圧を得ることができない。特許文献2に記載の遠心ファンでは、クロスフローファンを用いるよりは高い静圧を得ることができるものの、小型の電子機器に搭載される小型のファンとしては、更なる高い静圧を得ることが要求される。
また、このような用途のファンでは、高速回転するモータが小型のハウジング内に収納されるため、モータのコイルや駆動回路から発生した熱が蓄積され易く温度上昇が著しいため、高速回転させた場合にモータが高温になってしまったり、駆動回路のサーマルシャットダウン機能が動作してモータが停止するおそれがある。したがって、モータの発熱量を抑え、さらには、駆動回路を熱から保護することが極めて重要となる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、静圧を高くし、送風量を増大することができる小型の遠心ファンにおいてモータの発熱量を抑えることを目的としており、駆動回路を熱から保護することも目的としている。
請求項1に記載の発明は、遠心ファンであって、外径が25mm以下の略円筒状のインペラと、前記インペラに接続されて前記インペラを中心軸回りに毎分10000回転以上で回転する3相モータと、前記インペラを収納するハウジングとを備え、前記インペラが、それぞれが前記中心軸に平行であり、前記外径を2rとして長さhが、2≦h/r≦20、を満たす、前記中心軸の周囲に配列された複数の翼と、前記複数の翼の前記3相モータ側の端部が固定されるとともに前記3相モータに接続される接続端と、前記複数の翼の前記接続端とは反対側の端部が固定される開口端とを備え、前記ハウジングが、前記インペラの前記開口端側に形成された吸気口と、前記インペラの側面に対向して前記中心軸に平行に長く形成された送風口とを備える。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の遠心ファンであって、前記3相モータの全てのコイルが、常に通電される。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の遠心ファンであって、前記3相モータのロータマグネットが、希土類ボンド磁石である。
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の遠心ファンであって、前記3相モータの駆動回路を有する電子部品または前記電子部品が実装された基板の実装部位が、前記3相モータのステータが設けられる金属製のベース部に直接または熱伝導性を向上させる部材を介して接触する。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の遠心ファンであって、前記ベース部に取り付けられた放熱フィンをさらに備える。
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の遠心ファンであって、前記ハウジングの少なくとも一部が金属により形成され、前記3相モータの駆動回路を有する電子部品または前記電子部品が実装された基板の実装部位が、前記ハウジングの前記少なくとも一部に直接または熱伝導性を向上させる部材を介して接触する。
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の遠心ファンであって、前記3相モータの駆動回路を有する電子部品または前記電子部品が実装された基板の実装部位が、前記ハウジングの外側面のうち前記複数の翼とは反対側の領域に直接または熱伝導性を向上させる部材を介して接触する。
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の遠心ファンであって、前記3相モータの駆動回路を有する電子部品に取り付けられた放熱フィンをさらに備える。
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の遠心ファンであって、前記3相モータと前記インペラの中心軸が一致し、前記3相モータの直径が前記インペラの外径以下である。
本発明によれば、モータを高速回転させる小型の遠心ファンにおいて、静圧を高くして送風量を増大するとともに、モータの発熱量を低減することができる。また、請求項4ないし8の発明では、モータの駆動回路を有する電子部品を熱から保護することができ、請求項9の発明では、さらに小型化を図ることができる。
図1は、本発明の一の実施の形態に係る遠心ファン1の構成を示す図であり、中心軸10を含む平面で切断した縦断面を示す。図2は、遠心ファン1の正面図であり、図3は、遠心ファン1の横断面図である。
遠心ファン1は、例えば電気製品や電子機器(特に、携帯型のもの)の内部の電子部品を空冷するために用いられる電動ファンであり、回転することにより空気の流れを発生するインペラ2と、インペラ2を回転させるモータ3と、インペラ2およびモータ3を収納すると共にインペラ2の回転により発生した空気の流れを制御して空気を送出するためのハウジング4とを備える。
インペラ2は、外形が略円筒状になっており、空気の流れを発生するための複数の翼21と、複数の翼21のモータ3側の端部を連結固定するとともにモータ3に接続される端部である接続部22と、複数の翼21の接続部22とは反対側の端部を固定して翼21の連結を補強する補強リング23とを備えている。複数の翼21、接続部22、および補強リング23は、樹脂により一体的に形成されている。
複数の翼21は、図3に示すように、中心軸10から一定の距離にて中心軸10の周囲に隙間を空けて一定ピッチで配列されており、図1に示すようにそれぞれ中心軸10に平行に伸びている。複数の翼21で囲まれた内部の空間90には、モータ3の回転時に補強リング23側から空気が流入する。すなわち、インペラ2において補強リング23は空間90へと空気を導く開口端となっている。空間90の接続部22側は、接続部22がモータ3に接続されることにより閉塞されている。
モータ3は、3相駆動により回転される3相モータであり、ロータヨーク(継鉄)31、シャフト32、およびロータマグネット35により回転組立体が構成され、ベースプレート36、スリーブ34、ホルダ33、シール37、ステータ(固定子)38により固定組立体が構成されている。
ロータヨーク31は、略板状のベースプレート36に対して中心軸10回りに(すなわち、中心軸10を中心として)回転するようになっており、ベースプレート36はハウジング4(の後述のキャップ46)に挿入され、ロータヨーク31はインペラ2の接続部22に接続される。ロータヨーク31には中心軸10に沿うシャフト32が固定されており、シャフト32はスリーブ34に回転可能に挿入される。ロータヨーク31の内周面には、回転力発生用のロータマグネット35が固定される。ロータマグネット35は、希土類ボンド磁石であり、本実施の形態ではNd(ネオジウム)ボンド磁石が用いられる。
ベースプレート36は、金属製(本実施の形態ではステンレス鋼(SUS304))とされ、ベースプレート36には、スリーブ34が挿入されるホルダ33が固定される。ホルダ33のインペラ2側の開口とシャフト32との間は、シール37により閉塞される。また、ベースプレート36には、回転力発生用のコイル等を有するステータ38がホルダ33の周囲に位置するように固定される。
ベースプレート36の裏面には、FPC(フレキシブルプリント基板)である回路基板392が取り付けられ、回路基板392上には、モータ3の駆動回路を含むパッケージ化された電子部品391が実装される。すなわち、電子部品391が実装された回路基板392の少なくとも実装部位が、ベースプレート36に直接接触する。電子部品391は、回路基板392を介してステータ38に接続される。電子部品391は、ハウジング4(のキャップ46)にも接触している。なお、回路基板392はサーマルテープ、サーマルグリース、接着剤、両面テープ等の熱伝導性を向上させる部材を介してベースプレート36に接触してもよい。また、ベースプレート36上において電子部品391と回路基板392との位置が入れ替えられてもよく、この場合、電子部品391がベースプレート36に直接または熱導電性を向上させる部材を介して接触することとなる。
ロータヨーク31、ベースプレート36、ステータ38等のモータ3の構成部品や電子部品391はインペラ2の外径以下の大きさとされる。すなわち、モータ3とインペラ2の中心軸が一致し、モータ3の直径がインペラの外径以下とされ、モータ3がインペラ2の外径と同等以下の円柱領域内に配置される。
モータ3は、電子部品391の駆動回路にてステータ38のコイルに供給される電流が制御されることにより、ロータマグネット35とステータ38との間の磁気作用によってロータヨーク31がシャフト32を中心として回転駆動される。これにより、ロータヨーク31に接続されているインペラ2が中心軸10を中心として回転する。ロータヨーク31の回転方向(すなわちインペラ2の回転方向)は、図3中に矢印Pにて示す方向とされ、その回転数は、毎分10000回転以上とされる。モータ3の駆動方法については、後述する。
モータ3では、ロータマグネット35が高い磁束密度を発生する希土類ボンド磁石であるため、小型でありながら低電力にて十分な回転駆動力が確保され、ステータ38のコイルでの発熱量が低減される。これにより、モータ3が非常に高温となって熱が電子部品391へと伝わってしまうことが防止され、熱による電子部品391の故障や動作異常が防止される。また、ベースプレート36が金属により形成されるとともに電子部品391がベースプレート36に実質的に接触しているため、モータ3内部で発生する熱のみならず電子部品391の駆動回路で発生する熱が効率よく外部へと散逸し、これによっても、電子部品391が熱から保護されて故障や動作異常が防止される。
なお、ロータマグネット35は、Nd(ネオジウム)ボンド磁石に限られず、他の希土類ボンド磁石であってもよい。また、ベースプレート36は、ステンレス鋼に限られず、アルミニウムや銅等の他の金属により形成されてもよい。
インペラ2およびモータ3を収納するハウジング4は、外形が中心軸10に平行に長い略直方体形状になっており、図1に示すようにインペラ2の補強リング23(開口端)に対向する箇所に形成された吸気口41と、図2に示すようにインペラ2の側面に対向して中心軸10に平行に長く形成された送風口42とを備える。吸気口41は、インペラ2の外径と略同じ大きさの円形に形成されている。送風口42は、図3に示すようにハウジング4の外側に向かって広がっており、インペラ2を囲む内面49に繋がっている。
ハウジング4は、図1および図2に示すように、インペラ2およびモータ3の主要部分(ステータ38付近まで)を収納するハウジング本体45と、ハウジング本体45に嵌着されるキャップ46とを備えており、吸気口41および送風口42はハウジング本体45に設けられている。ハウジング本体45は、樹脂製であり、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタレート)をベースとしたFRP(繊維強化プラスチック)とされる。キャップ46は、アルミニウムにより形成される。
ハウジング4では、キャップ46が金属製とされ、さらに、モータ3の電子部品391と直接(または、上述の熱伝導性を向上させる部材を介して)接触するため、電子部品391の駆動回路で発生する熱がベースプレート36のみならずキャップ46からも効率的に散逸し、電子部品391が熱から保護される。なお、キャップ46は、アルミニウムに限らず、銅やステンレス等の他の金属により形成されてもよい。また、ハウジング本体45は、樹脂に代えて、アルミニウム、銅、ステンレス等の金属により形成されてもよい。ベースプレート36上において電子部品391と回路基板392との位置が入れ替えられる場合は、回路基板392の電子部品391が実装される部位がキャップ46に直接または熱導電性を向上させる部材を介して接触することとなる。
以上の構造を有する遠心ファン1では、インペラ2が回転すると空気が吸気口41から空間90内に流入して複数の翼21の間から流出し、ハウジング4の内面49に沿って移動して送風口42から送出される。
ここで、図1(および図3)に示すインペラ2の外径2r(rは半径)は25mm以下とされ、複数の翼21の中心軸10の方向の長さhは、2≦h/r≦20の関係を満たす長さとされる。なお、より好ましくは、3≦h/rの関係を満たすようにされる。近年のノートブック型コンピュータの厚さを考慮した場合、インペラ2の外径2rは20mm以下とされることがさらに好ましい。本実施の形態では、外径2rが12mm、長さhが27mm(うち、補強リング23の幅が4mm)とされている。
インペラ2では、2≦h/rの関係が満たされることにより、複数の翼21の間から流出する空気の流速最大点が翼12の両端の中間付近になり、その結果、空気の流量を増して、効率の良い空気の流れを発生することが可能になっている。また、h/r≦20が満たされることにより、振動することなく毎分10000回転以上(例えば、20000回転)の高速回転が実現され、高速回転により一層空気の流量を増し、静圧も高めて効率の良い空気の流れを発生することが可能になっている。また、インペラ2では補強リング23を備えることにより、高速回転による翼21の変形が抑制される。
次に、遠心ファン1のモータ3の駆動方法について説明する。図4はモータ3の電気回路および駆動回路を示す図であり、図5はモータ3のコイルへの通電状態を示す波形図である。
モータ3は、上述したように3相駆動により回転される3相モータであり、図4に示すように、回転力発生用の3つのコイル51、52、53がスター結線された3相巻線54とされており、3相巻線54への通電が制御されることによりロータヨーク31、シャフト32、およびロータマグネット35を有する回転組立体が回転駆動される。3相巻線54への通電は、バイポーラトランジスタであるスイッチ部61、62、63でのスイッチングにより制御される。
モータ3は、図5に示すように、いわゆる180°通電法で駆動される。すなわち、3相巻線54の端子Uは、電気角が0°から180°の間はL(ロー)レベル、180°から360°の間はH(ハイ)レベルとされ、以降、このサイクルで電位レベルの切換えが繰り返される。また、端子Vは、端子Uに対して電気角の位相が120°進んでおり、端子Uと同様のサイクルで電位レベルの切換えが繰り返され、端子Wは、端子Uに対して電気角の位相が240°進んでおり、端子Uと同様のサイクルで電位レベルの切換えが繰り返される。これにより、3相巻線54の通電状態は、電気角が60°進む毎に変化し、電気角が360°の周期で同様の通電状態が繰り返される。
このようなモータ3では、電気角が0°から60°の間(通電周期の最初の約1/6の間)は、端子Uと端子VがLレベルで端子WがHレベルであるため、端子Wから端子Uと端子Vの両方に電流が流れ、全てのコイル51、52、53が通電される。また、電気角が60°から120°の間(通電周期の次の1/6の間)は、端子UがLレベルで端子Vと端子WがHレベルであるため、端子Vと端子Wの両方から端子Uに電流が流れ、全てのコイル51、52、53が通電される。さらに、他の電気角においても、端子U、V、Wの何れか1つがHレベルで残りの2つがLレベルであるか、または何れか2つがHレベルで残りの1つがLレベルであるため、同様に、全てのコイル51、52、53が通電される。このようにモータ3では、スイッチング等の影響を無視すると、全てのコイル51、52、53が、常に(通電周期の全ての間に亘って)通電される。
以上、遠心ファン1の構造について説明してきたが、遠心ファン1ではインペラ2の外径2rが25mm以下であり、複数の翼21の中心軸10の方向の長さhが2≦h/r≦20を満たし、インペラ2の回転数が毎分10000回転以上であることにより、小型化が実現され、さらに、静圧を高くするとともに送風量が増大される。また、モータ3がインペラ2の外径2rと同等以下の寸法とされ、中心軸10と同軸の小さな円柱領域内に配置されることにより、より一層の小型化が実現される。
また、既述のように、モータの駆動回路は、温度上昇による故障や動作異常を防止するために熱から保護する必要がある。特に、毎分10000回転以上で高速回転するモータを直径25mm以下の狭い領域に収納する際には、モータの駆動回路やコイルから発生した熱が蓄積され易く温度上昇が著しいため、駆動回路を熱から保護することが極めて重要となる。
遠心ファン1では、モータ3が3相モータであるため、電子機器の冷却で多く用いられている2相モータと比較してコイルの利用効率が高く、同じ回転数で回転させる際には、ステータ38の発熱量が減少する。その結果、高い静圧および大きな風量を維持しつつ、電子部品391をモータ3の熱から保護することが実現される。なお、電子部品391を熱から保護することにより、高温に耐える特殊仕様の高価な駆動回路を使用する必要がなくなり、遠心ファン1の製造コストの削減も実現される。
さらに、3つのコイルがスター結線された3相巻線を、仮に120°通電法(後述の図7参照)で駆動した場合、通電周期の約1/6(ただし3相巻線の各端子の電圧波形が矩形波よりも滑らかである場合は1/6以下)の間連続して非通電状態となるコイルが存在することとなり、駆動効率が低下してしまうが、遠心ファン1では、3つのコイルがスター結線されて180°通電法で駆動されることにより、モータ3の全てのコイルが常に通電されるため、120°通電法のように通電周期のある区間で非通電状態となるコイルが存在する駆動方法と比較して電流密度が低下し、ステータ38の発熱量がさらに減少する。これにより、電子部品391が熱からさらに保護されることとなる。
図6は、モータ3の他の結線構造を示す電気回路図であり、図7は図6のコイルへの通電状態を示す波形図である。
図6では、回転力発生用の3つのコイル51、52、53がデルタ結線された3相巻線55とされており、図7に示すように、いわゆる120°通電法で駆動される。すなわち、3相巻線55の端子Wは、電気角が0°から120°の間はL(ロー)レベル、120°から180°の間はOFF、180°から300°の間はL(ロー)レベル、300°から360°の間はOFFとされ、以降、このサイクルで電位レベルの切換えが繰り返される。また、端子Vは、端子Wとは電気角の位相が120°進み、端子Uは、端子Wとは電気角の位相が240°進む。これにより、3相巻線55の通電状態は、電気角が60°進む毎に変化し、360°の周期で同様の通電状態が繰り返される。
このようなモータ3では、電気角が0°から60°の間(通電周期の最初の約1/6の間)は、端子UがHレベルで端子VがOFFで端子WがLレベルであるため、端子Uから端子Wに直接に電流が流れるとともに、端子Uから端子Vを経由して端子Wにも電流が流れ、全てのコイル51、52、53が通電される。また、他の電気角においても、端子U、V、Wの何れか1つがHレベル、他の何れか1つがOFF、残りの1つがLレベルであるため、同様に、全てのコイル51、52、53が通電される。その結果、スイッチング等の影響を無視すると、全てのコイル51、52、53が、常に(通電周期の全ての間に亘って)通電される。
仮に、デルタ結線された3相巻線を180°通電法で駆動すると、通電周期の約1/6(ただし3相巻線の各端子の電圧波形が矩形波よりも滑らかである場合は1/6以下)の間連続して非通電状態となるコイルが存在することとなるが、遠心ファン1では、120°通電法で駆動されることにより、全てのコイルが常に通電され、効率のよい駆動が行われる。その結果、ステータ38の発熱量の低減が図られ、電子部品391が熱から保護される。もちろん、図6に示すモータ3の場合も図4の場合と同様に3相モータとすることによる発熱量の低減が図られる。
図8ないし図10は、電子部品391をさらに冷却する必要がある場合の遠心ファン1の改良された構造を示す縦断面図である。図8に示す遠心ファン1は、図1に示す構造にと比べて2つの放熱フィン71,72をさらに備え、ハウジング4は、キャップ46が省かれてモータ3を収納する側の端面および側面の一部が開口している。ハウジング4は、樹脂製であり、PBTをベースとしたFRPとされる。その他の構成は、図1ないし図3と同様である。
放熱フィン71は、電子部品391に取り付けられてハウジング4の端面の開口から露出している。放熱フィン72は、金属製のベースプレート36のハウジング4の側面の開口から露出している部分に取り付けられる。放熱フィン71および放熱フィン72は、金属(例えば、アルミニウム)により形成される。
図8に示す遠心ファン1では、電子部品391の駆動回路で発生する熱が放熱フィン71から効率的に放熱されるため、電子部品391が高温状態になることはなく、熱に起因する故障や動作異常が防止される。また、駆動回路やモータ3で発生する熱がベースプレート36を介して放熱フィン72からも効率的に放熱されるため、電子部品391がさらに確実に熱から保護される。なお、必ずしも放熱フィン71と放熱フィン72の両方を設ける必要はなく、何れか一方のみが設けられてもよい。
図9に示す遠心ファン1では、電子部品391はハウジング4の外側面に直接または上述の熱伝導性を向上させる部材を介して接触するように取り付けられる。電子部品391が接触している箇所は、ハウジング4の外側面のうち、インペラ2の複数の翼21とは反対側の領域、すなわち、ハウジング4内の空気の流路となっている領域の外側の面に接触している。ハウジング4は、樹脂製、より好ましくは熱伝導性の高い金属製であり、モータ3を収納する側の端面が開口している。FPCである回路基板392は、ベースプレート36の裏面およびハウジング4に開口端から屈曲しながらハウジング4の外側面に沿って伸びており、これにより、電子部品391は、回路基板392を介してステータ38に接続される。その他の構成は、図1ないし図3と同様である。
図9の遠心ファン1では、インペラ2の回転(すなわちモータ3の回転)によりハウジング4の内部で発生する空気の流れにより、電子部品391からハウジング4に伝達した熱が効率的に放出される。ハウジング4を金属とすることにより、冷却性能がさらに向上される。このような構造により、遠心ファン1では電子部品391が熱から確実に保護され、故障や動作異常が防止される。なお、図9では図示を省略しているが、電子部品391を覆って保護する保護カバーが設けられてもよい。また、電子部品391は回路基板392の反対側の面に実装されてもよく、この場合、回路基板392の電子部品391が実装される部位が、ハウジング4の外側面のうち翼21とは反対側の領域に直接または熱伝導性を向上させる部材を介して接触することとなる。
図10に示す遠心ファン1では、ハウジング4の外側に、カバー80に囲まれた補助空間81が設けられており、補助空間81内の壁面に電子部品391が取り付けられている。補助空間81は、ハウジング4内の空気の流路となっている領域の外側に設けられ、ハウジング4には補助空間81とハウジング4内部の空気の流路とを連通する複数の孔82が設けられる。
図10に示す遠心ファン1では、インペラ2の回転(すなわちモータ3の回転)によりハウジング4の内部で発生する空気の流れの一部が、孔82を通って補助空間81内に流入したり補助空間81から流出する。これにより、補助空間81内の空気の流れが生じ、電子部品391から発生する熱が、空気の流れによって効率的に除去される。なお、カバー80を金属により形成することにより、電子部品391の冷却がさらに促進される。
以上、本発明の実施の形態に係る遠心ファン1について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
例えば、モータ3のコイルの数は3に限らず、6以上の3の倍数のコイルを備える3相モータが用いられてもよい。このような3相モータを用いても、2相モータと比較してステータ38の発熱量が減少し、また、モータの全てのコイルが常に通電されるように駆動することで、ステータ38の発熱量がさらに減少する。モータ3内部の構造も、適宜変更されてよく、例えば、スリーブ34とステータ38とが中心軸10に沿って並べられてもよい。スイッチ部61、62、63にもバイポーラトランジスタ以外のスイッチング素子が用いられてよい。
図1ではハウジング4のキャップ46が金属により形成され、図9ではハウジング4が金属により形成されることが好ましいと説明したが、電子部品391の取付場所はこれらに限定されず、より一般的には、ハウジング4の少なくとも一部が金属により形成され、電子部品391をこの金属とされた部分に接触させることにより、電子部品391の効果的な冷却が実現される。
インペラ2の翼21の断面形状は、図3に例示したものに限定されず、平らであってもよい。翼21は樹脂ではなく金属により形成されてもよい。ハウジング4の中心軸10に垂直な断面における外形も図3に例示するような矩形である必要はなく、不要な角は適宜丸められてよい。送風口42や内面49の断面形状も、図3に例示したものには限定されず、送風効率を考慮して適宜変形されてよい。さらに、補強リング23は円筒状には限定されず、厚い円環状とされてもよく、翼21の先端は図1に示すように補強リング23の内側に取り付けられるのではなく、補強リング23のモータ3側の端面に接続されてもよい。
本発明の一の実施の形態に係る遠心ファンを示す縦断面図である。 遠心ファンを示す正面図である。 遠心ファンを示す横断面図である。 モータの電気回路および駆動回路を示す図である。 モータのコイルへの通電状態を示す波形図である。 モータの他の電気回路および駆動回路を示す図である。 モータのコイルへの通電状態を示す波形図である。 遠心ファンの他の例を示す縦断面図である。 遠心ファンのさらに他の例を示す縦断面図である。 遠心ファンのさらに他の例を示す横断面図である。
符号の説明
1 遠心ファン
2 インペラ
3 モータ
4 ハウジング
21 翼
22 接続部
35 ロータマグネット
36 ベースプレート
38 ステータ
41 吸気口
42 送風口
45 ハウジング本体
46 キャップ
51、52、53 コイル
71、72 放熱フィン
90 空間
391 電子部品
392 回路基板

Claims (9)

  1. 遠心ファンであって、
    外径が25mm以下の略円筒状のインペラと、
    前記インペラに接続されて前記インペラを中心軸回りに毎分10000回転以上で回転する3相モータと、
    前記インペラを収納するハウジングと、
    を備え、
    前記インペラが、
    それぞれが前記中心軸に平行であり、前記外径を2rとして長さhが、2≦h/r≦20、を満たす、前記中心軸の周囲に配列された複数の翼と、
    前記複数の翼の前記3相モータ側の端部が固定されるとともに前記3相モータに接続される接続端と、
    前記複数の翼の前記接続端とは反対側の端部が固定される開口端と、
    を備え、
    前記ハウジングが、
    前記インペラの前記開口端側に形成された吸気口と、
    前記インペラの側面に対向して前記中心軸に平行に長く形成された送風口と、
    を備えることを特徴とする遠心ファン。
  2. 請求項1に記載の遠心ファンであって、
    前記3相モータの全てのコイルが、常に通電されることを特徴とする遠心ファン。
  3. 請求項1または2に記載の遠心ファンであって、
    前記3相モータのロータマグネットが、希土類ボンド磁石であることを特徴とする遠心ファン。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の遠心ファンであって、
    前記3相モータの駆動回路を有する電子部品または前記電子部品が実装された基板の実装部位が、前記3相モータのステータが設けられる金属製のベース部に直接または熱伝導性を向上させる部材を介して接触することを特徴とする遠心ファン。
  5. 請求項4に記載の遠心ファンであって、
    前記ベース部に取り付けられた放熱フィンをさらに備えることを特徴とする遠心ファン。
  6. 請求項1ないし3のいずれかに記載の遠心ファンであって、
    前記ハウジングの少なくとも一部が金属により形成され、前記3相モータの駆動回路を有する電子部品または前記電子部品が実装された基板の実装部位が、前記ハウジングの前記少なくとも一部に直接または熱伝導性を向上させる部材を介して接触することを特徴とする遠心ファン。
  7. 請求項1ないし3のいずれかに記載の遠心ファンであって、
    前記3相モータの駆動回路を有する電子部品または前記電子部品が実装された基板の実装部位が、前記ハウジングの外側面のうち前記複数の翼とは反対側の領域に直接または熱伝導性を向上させる部材を介して接触することを特徴とする遠心ファン。
  8. 請求項1ないし3のいずれかに記載の遠心ファンであって、
    前記3相モータの駆動回路を有する電子部品に取り付けられた放熱フィンをさらに備えることを特徴とする遠心ファン。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載の遠心ファンであって、
    前記3相モータと前記インペラの中心軸が一致し、前記3相モータの直径が前記インペラの外径以下であることを特徴とする遠心ファン。
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