JP2005273077A - ガス吸着性能を備えた炭化繭の製造方法。 - Google Patents
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Abstract
【目的】繭副産物や繭を原料としてガス吸着能に優れる嵩高な炭化繭を簡便に製造する方策を提供する。
【構成】熱エネルギーやマイクロ波のエネルギーを利用して、繭副産物や繭を簡便に炭化する。
【選択図】 なし
【構成】熱エネルギーやマイクロ波のエネルギーを利用して、繭副産物や繭を簡便に炭化する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、シックハウス症候群の原因物質とされるホルムアルデヒドやアセトアルデヒド、生活臭の原因物質であるアンモニア、メルカプタン、酢酸、悪臭物質のイソ吉草酸など、人間の生活に影響を及ぼすガスを吸着する性能を備えた炭化繭の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、製糸工場や養蚕農家で繭から絹糸を繰糸することが不可能なために選別された選除繭、あるいは蚕の種を採取する目的で繭の一部を切り取った繭、または、製糸工程に供される繭を原料として炭化処理を行い、生活環境対策に適した炭化繭を提供するものである。
シックハウス症候群の原因物質とされるホルムアルデヒドやアセトアルデヒドの除去方法の一つとして、備長炭に代表される木質系の炭や竹を原料とする炭が用いられている。その他、各種原料を用いて作られる活性炭がある。さらに、高性能を求める際には、繊維状活性炭がある。
蚕が作る繭は、絹糸を操糸する原料として古くから生産されてきている。絹糸は衣料品に広く用いられるとともに、最近では、機能性食品、医薬品、化粧品の原料として提供されている。
このように、有用な繭を炭にする例はなく、精練絹糸を無酸素状態で炭化し電磁波シールド材を提供する方法として、特開2002−76686、蚕クリームを製造するために、繭からの精製生糸を薫蒸炭化する方法として、特開平7−330621が知られている。
絹素材を不活性雰囲気中で600℃〜2000℃にて炭素化し、粒子系3〜90μmに超微粒子化し、人体外皮用塗布材料や濾過剤として利用する方法が知られている(特許文献1)。
繭は蚕が吐糸した絹糸で構成されると同時に、蚕の吐糸時の首振りによって極めて良好に絹糸の積層構造を形成している。セリシンを溶解していない生糸であることから、水酸基を含むセリン、カルボキシル基を含むグルタミン酸、アスパラギン酸、アミノ基を含むリジン、ヒスチジン、アルギニン等の高活性アミノ酸が30%存在する。
また、繭を構成する各種アミノ酸には窒素原子や水素原子を含む。この窒素や水素は、外部からのエネルギーを受けることによって化学結合が切断され、低分子化合物となり、炭素を主体とした炭化繭とすることができる。繭を構成する絹タンパク中の窒素を完全に除去することや一部残すことは、炭化条件を設定することで可能である。この炭化条件は、炭化処理温度、処理時間、昇温速度、雰囲気ガスなどである。
繭の分解方法は加熱法が簡便であり、電気炉で直接加熱することができる。
このようにして、絹タンパク質に含まれる活性基の性質を活かし、これらの活性基の一部が存在するように炭化条件を調整すると、シックハウス症候群の原因物質とされるホルムアルデヒドやアセトアルデヒド、生活臭の原因物質であるアンモニア、メルカプタン、酢酸、悪臭物質のイソ吉草酸など、人間の生活に影響を及ぼすガスを吸着する性能を備えた炭化繭の開発が可能となる。
炭化のエネルギーは熱の他に、物理的なエネルギーとしてマイクロ波、光、レーザー等の電磁波や音波が可能である。
また、繭が備える良好な絹糸積層構造を活かし、繭の形状を保ったままで炭化することができるとその応用範囲が広がり、現時点では利用分野の少ない未利用繭の用途拡大策が求められていた。
絹の用途が拡大するなか、製糸工場や養蚕農家で繭から絹糸を繰糸することが不可能なために選別された選除繭、あるいは蚕の種を採取する目的で繭の一部を切り取った繭、または、製糸工程に供される繭を原料として炭化処理を行い、生活環境対策に適した炭化繭を提供することによって、さらなる用途展開が求められている。
そこで、本発明では、上記の点に鑑みて、製糸工場や養蚕農家で繭から絹糸を繰糸することが不可能なために選別された選除繭、あるいは蚕の種を採取する目的で繭の一部を切り取った繭、または、製糸工程に供される繭を原料として、ガス吸着性能に優れた炭化繭の製造方法を提供することを課題としている。
本発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、製糸工場や養蚕農家で繭から絹糸を繰糸することが不可能なために選別された選除繭、あるいは製糸工程に供される繭を炭化繭の原料とすることを特徴とする。
また、第2には、蚕の種を採取する目的で繭の一部を切り取った繭を原料とすることを特徴とする。
そして、第3には、養蚕農家および製糸工場副産物である繭由来の繭毛羽、製糸工程初期に得ることができるキビソ又はキャリアを原料とすることを特徴とする。
第4には、上記の原料を、窒素雰囲気下350℃〜800℃で炭化することによって、ガス吸着性能に優れた炭化繭を提供する。
あるいは、上記の原料を、電子レンジのようなマイクロ波発生装置中で処理して炭化繭を提供する。
以上詳しく説明したとおり、本発明によって、炭化繭を用いたガス吸着を効率良く行うことができる。また、炭化しているので腐敗やカビが発生する心配は無く、嵩高であるので、応用範囲が広いガス吸着材を製造する方策が提供できる。さらに、炭化繭は炭化されているので、再度加熱することによって捕集された悪臭物質が取り除かれることになり、繰り返し使用することができる。一方、未炭化繭では、一度捕集された悪臭物質の除去はできない。このことから、実用性に優れる炭化繭を提供することができる。
本発明は上記のとおりの特徴を持つものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
本発明の特徴を実現するための形態としては、例えば以下のように例示することができる。
(1)選除繭あるいは製糸工程に供することができる繭をそのまま用いるか、あるいは繭の一部を切り、さなぎを取り出して用いる。
(2)蚕の種を採取する目的で繭の一部を切り取った繭をそのまま用いる。
(3)養蚕農家および製糸工場副産物である繭由来の繭毛羽、キビソ、キャリアをそのまま用いる。
(4)上記の原料を、窒素雰囲気の電気炉中で350℃〜800℃で炭化処理を施す。
あるいは、上記(1)〜(3)の原料を電子レンジのようなマイクロ波発生装置中で処理することによって炭化処理を施す。
使用目的によって、上記の炭化繭に賦活処理を施す。
本発明で得られた炭化繭は、未利用資源である選除繭、あるいは蚕の種を採取する目的で繭の一部を切り取った繭の利用用途を拡大するものであり、シックハウス症候群の原因物質とされるホルムアルデヒドやアセトアルデヒド、生活臭の原因物質であるアンモニア、メルカプタン、酢酸、悪臭物質のイソ吉草酸など、人間の生活に影響を及ぼすガスを吸着する性能を備えた炭化繭のとして提供することができる。
次に、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
(実施例1)
群馬県碓氷郡松井田町の農業協同組合碓氷製糸から入手した繭の一部を切り取り、蛹を取り出した後長手方向に二分割した。
群馬県碓氷郡松井田町の農業協同組合碓氷製糸から入手した繭の一部を切り取り、蛹を取り出した後長手方向に二分割した。
この二分割繭を磁性ボード上に置き、電気炉中央部に設置した。窒素雰囲気中で100℃/時間の昇温速度で、所定温度(400℃、500℃、600℃、700℃、800℃、1000℃)に昇温後1時間保持した。
収率は、炭化前後の重量変化から求めた。
ガス吸着性能は、900mlのマヨネーズ瓶中に炭化した2分割繭を1個入れ、蓋で密閉した後、シリンジを用いて初期濃度200ppmのアンモニアガスを注入した。同様に準備したマヨネーズ瓶に、初期濃度20ppmのホルムアルデヒドガスを注入した。
2時間後、検知管を用いてガス濃度を検出し、初期濃度との比較から消臭率を算出した。
異なった炭化温度の炭化繭表面を走査電子顕微鏡で観察した。
結果を表1に示す。
このように、収率は400℃条件が最大であり、500℃〜800℃ではほぼ一定の値、1000℃で最小になった。消臭率はアンモニア、ホルムアルデヒド双方とも、400℃で炭化した炭化繭で最も大きな値であり、温度上昇とともに減少し、1000℃で処理した炭化繭では消臭率が0%である。
このように、炭化温度が低い繭ほど大きな消臭率を得ることができた。未炭化繭を炭化繭と同じ重量用いて、アンモニア消臭試験を行ったところ、消臭率は75%であった。このことから、絹のガス吸着性能は優れていると云われているが、400℃炭化繭ではこれと同じ消臭率が得られる。電気炉を用いる方法では、雰囲気を窒素の代わりに二酸化炭素、水素、水蒸気を通気させることで、炭化繭孔の構造、容積、サイズなどを調節することができる。
600℃で処理した炭化繭の電子顕微鏡写真を図1に示すが、繭を構成する絹糸が融解して、サイズが異なる無数の孔を観察することができる。
(実施例2)
実施例1と同様に調整した繭およびキャリアを電子レンジるつぼに入れ、家庭用電子レンジ(National NE−s200F)を用いて、700Wで1〜5分間マイクロ波処理を行った。その後、収率、アンモニアガス消臭率、電子顕微鏡観察を実施例1と同様に行った。
実施例1と同様に調整した繭およびキャリアを電子レンジるつぼに入れ、家庭用電子レンジ(National NE−s200F)を用いて、700Wで1〜5分間マイクロ波処理を行った。その後、収率、アンモニアガス消臭率、電子顕微鏡観察を実施例1と同様に行った。
結果を表2に示す。
マイクロ波処理炭化繭についても、良好な消臭率が得られた。マイクロ波処理時間が2分以下の試料では収率が80%以上であり炭化が不十分であったが、3分以上の処理では未炭化繭と比較して高い消臭性能を得た。マイクロウエーブ炭化では、出力、処理時間、雰囲気、添加物の有無等によって、孔の容積、形状、サイズなどが制御可能であり、脱臭性能の向上を図ることができる。
5分間マイクロ波処理を行った炭化繭の電子顕微鏡写真を図2に示すが、実施例1と同様に絹の融解や孔を観察することができる。
Claims (6)
- アンモニア、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、メルカプタン、酢酸、イソ吉草酸などの生活臭や感作を引き起こすガスを吸着する性能を備えることを特徴とする炭化繭。
- 製糸工場や養蚕農家で繭から絹糸を繰糸することが不可能なために選別された選除繭、あるいは蚕の種を採取する目的で繭の一部を切り取った繭、または、製糸工程に供される繭を原料とすることを特徴とする請求項1の炭化繭。
- 炭化に際しては、酸素を遮断する雰囲気で、350℃〜800℃で炭化することを特徴とする請求項1ないし2のガス吸着能を備えた炭化繭。
- 電子レンジを使用してマイクロウエーブ処理を施すことによって炭化することを特徴とする請求項1ないし2の炭化繭。
- ガス吸着性能を向上させるために予め炭化処理を行い、その後賦活処理を行うことを特徴とする請求項1〜4の炭化繭。
- 養蚕農家および製糸工場副産物である繭毛羽、キビソ、キャリアを原料とすることを特徴とするガス吸着能を備えた請求項1〜5の繭由来の炭化物。
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JP2004088191A JP2005273077A (ja) | 2004-03-25 | 2004-03-25 | ガス吸着性能を備えた炭化繭の製造方法。 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007224434A (ja) * | 2006-02-21 | 2007-09-06 | Gunma Univ | 絹繭炭素材とその製造方法 |
CN107362770A (zh) * | 2017-07-21 | 2017-11-21 | 浙江省农业科学院 | 一种用于吸附重金属镉的蚕茧生物炭材料 |
KR102228268B1 (ko) * | 2020-08-13 | 2021-03-16 | 한국실크연구원 | 실크볼을 이용한 카본 제조장치 |
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2004
- 2004-03-25 JP JP2004088191A patent/JP2005273077A/ja active Pending
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