JP2005272798A - 蛍光体粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高輝度な小粒子蛍光体粒子を効率良く製造する蛍光体の製造方法を提供する。
【解決手段】融剤を用いて焼成する工程を含む蛍光体粒子の製造方法であって、前記工程において融剤を、蛍光体原料粉末と融剤との合計重量に対して、40wt%以上99.9wt%以下になる量含有させる蛍光体粒子の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、蛍光体粒子、特に、分散型エレクトロルミネッセンス蛍光体粒子、およびその製造方法に関するものである。
分散型エレクトロルミネッセンス素子は、蛍光体粒子を高誘電率のバインダー中に分散した蛍光体層を、少なくとも一方が透明な二枚の電極の間に挟み込んだ構造からなり、両電極間に交流電場を印加することにより発光する。エレクトロルミネッセンス蛍光体粒子を用いて作成された発光素子は数mm以下の厚さとすることが可能で、面発光体であり、発熱が少ないなど数多くの利点を有する。分散型エレクトロルミネッセンス素子は、高温プロセスを用いない為、プラスチックを基板としたフレキシブルな素子が可能であること、真空装置を使用することなく比較的簡便な工程で、低コストで製造が可能であること、また発光色の異なる複数の蛍光体粒子を混合することで素子の発光色の調節が容易であるという特長を有し、各種バックライトに応用されている。しかしながら、分散型エレクトロルミネッセンス素子は、輝度と寿命の点でまだ十分といえないため、携帯電話のバックライトなど、用途が限定されていた。
用途拡大のために、エレクトロルミネッセンス蛍光体粒子では、高輝度化が求められている。特許文献1に記されているように、得られた蛍光体粒子を分級し、小さい粒子を選ぶことで、輝度が向上することが知られている。輝度が向上する理由は必ずしも明らかではないが、小粒子化することにより、発光する表面の面積が増大するためと考えられる。
蛍光体層の膜厚を薄くして蛍光体層への印加電界を高めるためにも、また、塗布膜への蛍光体粒子の充填密度を高めるためにも、蛍光体粒子のサイズは小さくした方が好ましい。
従来のエレクトロルミネッセンス蛍光体粒子の製造方法は、例えば特許文献2や、特許文献3に記されている。液相法で10〜100nm程度の蛍光体原料粉末(通常生粉と呼ぶ)を作成し、これを一次粒子として用い、これに付活剤と呼ばれる不純物を混入させる。付活剤を混入した原料粉末に、融点が焼成温度以下、沸点が焼成温度以上であり、焼成温度において液体として存在する、「融剤」と呼ばれる物質を10〜20wt%混合して坩堝に充填し、900〜1300℃で30分〜24時間加熱して焼成をおこない、粒子を得る。
このような従来の焼成方法では、10〜20wt%程度と、CRT用の蛍光体などと比較して、多量の融剤を用いて焼成しなければならなかった。10〜20wt%程度の融剤を用いることで粒径が大きくなり、輝度な大粒子が多数混在するため、選択的に、高輝度で且つ小粒子の電場発光蛍光体を得ることは、従来難しかった。
CRT用の蛍光体粒子など、紫外線や電子線などの外部励起によって電子が発光中心に導入され発光する蛍光体粒子においては、融剤の量を減らすなどによって、小粒子を得ることが可能であることが知られている。しかし、エレクトロルミネッセンス蛍光体粒子では、蛍光体粒子中に存在する、CuxSの針状結晶において電界が集中し、電子が発生し、発光中心に電子が導入され発光すると考えられている(例えば、非特許文献1、2参照。)。蛍光体粒子中にCuxSの針状結晶を析出させるためには、粒子中に固溶限界以上のCuを取り込ませ、CuxSの針状結晶を析出させる必要がある。融剤を減らして焼成を行うと、粒子は小さくなるものの、共付活剤であるハロゲンの量が少なくなるために、十分なCuを導入することができず、十分な輝度のエレクトロルミネッセンス蛍光体粒子を得ることができなかった。
また、融剤の量を減らさずに、高温で安定である物質を、粒径抑制剤として使用することで、高輝度なエレクトロルミネッセンス蛍光体粒子を作製することも可能である(例えば、特許文献4参照。)。しかし、この方法の場合、微粒子の粒径抑制剤を取り除くために洗浄回数が多くなり、また多数の洗浄を繰り返してもなお、粒径抑制剤が粒子表面に吸着して、完全に取り除くことが難しかった。
さらに、用途拡大のために、エレクトロルミネッセンス蛍光体粒子では、同時に長寿命化が求められている。特許文献5に記載されているように金を、特許文献6に記載されているようにセシウムを、特許文献7に記載されているようにアンチモンを、特許文献8に記載されているようにビスマスをそれぞれ含有していると、寿命が向上することが知られているが、これら元素を添加して寿命を向上させてもなお、エレクトロルミネセンス蛍光体の寿命は十分ではなく、前記したような高輝度な蛍光体粒子で、なおかつ更なる長寿命化することが求められていた。
特開2002−235080号公報 特開平8−183954号公報 特開2000−136381号公報 特開平11−193378号公報 特許第2994058号明細書 特開平11−172245号公報 特開2000−178551号公報 特開2002−053854号公報 フィッシャー等(Fischeret al.)著 ジャーナル・オブ・ジ・エレクトロケミカル・ソサエティ(Journal of the Electrochemical Society)、Vol.109 No.11 (1962)1043. フィッシャー等(Fischeret al.)著 ジャーナル・オブ・ジ・エレクトロケミカル・ソサエティ(Journal of the Electrochemical Society)、Vol.110No.7 (1962)733
本発明では、高輝度かつ長寿命の小粒子蛍光体粒子を効率良く作製する蛍光体の製造方法を提供すること、及び該方法によって小粒子化した蛍光体粒子を用いた、高輝度でかつ長寿命な分散型エレクトロルミネッセンス素子を提供することを目的とする。
本発明の課題は以下の手段によって達成された。
(1)融剤を用いて焼成する工程を含む蛍光体粒子の製造方法であって、前記工程において融剤を、蛍光体原料粉末と融剤との合計重量に対して、40wt%以上99.9wt%以下になる量含有させることを特徴とする、蛍光体粒子の製造方法。
(2)前記融剤が、ハロゲン化物であることを特徴とする(1)項に記載の蛍光体粒子の製造方法。
(3)前記融剤が、アルカリ金属ハライド、アルカリ土類金属ハライド、ハロゲン化アンモニウム、および該ハロゲン化物の混晶のうち、1物質、もしくは2種類以上の混合物質を主体として構成される、(1)又は(2)項に記載の蛍光体粒子の製造方法。
(4)前記融剤が、塩化ストロンチウム及び塩化マグネシウムを含む混合物質から構成される、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の蛍光体粒子の製造方法。
(5)前記蛍光体粒子が、銅、マンガン、及び希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する硫化亜鉛であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の蛍光体粒子の製造方法。
(6)前記蛍光体粒子が、さらに塩素、臭素、ヨウ素、及びアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含有することを特徴とする、(5)項に記載の蛍光体粒子の製造方法。
(7)前記蛍光体粒子が、さらに、金、銀、ビスマス、セシウム、及びアンチモンからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有することを特徴とする(5)又は(6)項に記載の蛍光体粒子の製造方法。
(8)融剤を用いて焼成する第1の焼成工程の後、焼成された蛍光体粒子に衝撃を加え、再度焼成を行う第2の焼成工程を有することを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載の蛍光体粒子の製造方法。
(9)(1)〜(8)のいずれか1項に記載の方法により得られる蛍光体粒子。
(10)前記蛍光体粒子の平均粒径が20μm以下であることを特徴とする(9)項に記載の蛍光体粒子。
(11)前記蛍光体粒子の平均粒径が15μm以下であることを特徴とする(9)又は(10)項に記載の蛍光体粒子。
(12)前記蛍光体粒子の30%(個)以上が、5nm以下の間隔の積層欠陥を10層以上含有していることを特徴とする(9)〜(11)のいずれか1項に記載の蛍光体粒子。
(13)(9)〜(12)のいずれか1項に記載の蛍光体粒子を含むことを特徴とする分散型エレクトロルミネッセンス素子。
(14)蛍光体粒子を含む蛍光体層を有し、その厚みが0.1μm以上30μm以下であることを特徴とする(13)項に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
本発明によって、高輝度な小粒子蛍光体粒子を効率良く作製することができ、高輝度の分散型エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
本発明を用いて製造される蛍光体粒子は、具体的には第II族元素と第VI族元素とから成る群から選ばれる少なくとも1種の元素と、第III族元素と第V族元素とから成る群から選ばれる少なくとも1種の元素とから成る半導体粒子であり、必要な発光波長領域により任意に選択される。例えば、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CaS、MgS、SrS、GaP、GaAs、BaAl24、CaGa24、Ga23、Zn2SiO4、Zn2GaO4、ZnGa24、ZnGeO3、ZnGeO4、ZnAl24、CaGa24、CaGeO3、Ca2Ge27、CaO、Ga23、GeO2、SrAl24、SrGa24、SrP27、MgGa24、Mg2GeO4、MgGeO3、BaAl24、Ga2Ge27、BeGa24、Y2SiO5、Y2GeO5、Y2Ge27、Y4GeO8、Y23、Y22S、SnO2及びそれらの混晶などを好ましく用いることができる。本発明において用いられる付活剤としては銅、マンガン、及び希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素があげられる。本発明では、銅、マンガンが好ましく用いられる。本発明の製造方法で製造した蛍光体粒子は、付活剤が単独で含有されていても良いが、共付活剤として、塩素、臭素、ヨウ素、及びアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有していることも好ましい。本発明において、付活剤の添加量は特に制限はしないが、蛍光体原料粉末に対し、全ての付活剤を合計して、0.01wt%以上1wt%以下であることが好ましく、0.05wt%以上0.5wt%以下であることがより好ましい。共付活剤が存在する場合は、すべての共付活剤をあわせ、0.01wt%以上1wt%以下であることが好ましく、0.05wt%以上0.5wt%以下であることがより好ましい。
本発明の蛍光体粒子の製造方法は、液相法で通常は粒径が1nm〜1μm程度の蛍光体原料粉末(通常生粉と呼ぶ)を作成し、これを一次粒子として用い、これに付活剤と呼ばれる不純物を混入させて40wt%以上の融剤とともに坩堝にて900〜1300℃の高温で30分〜24時間、焼成をおこない、粒子を得る。
従来のエレクトロルミネセンス蛍光体粒子の製造方法では、10〜20wt%程度の融剤を用いていたが、平均粒径が大きくなるという問題があった。本発明では、40wt%以上という、従来よりも、更に大量の融剤を用いることを特徴とし、従来量よりも更に大量の融剤を用いることで、蛍光体粒子の平均粒径が小さくできる。融剤の量は40wt%以上99.9wt%以下で効果を得ることができるが、小サイズ化の効果が顕著な領域である50wt%以上が好ましく、また、1回の焼成で得る蛍光体量を多くするために、80wt%以下であることが好ましい。ここにおける融剤の割合は、
融剤の割合(wt%)=融剤の重量/(原料蛍光体1次粒子の重量+融剤の重量)
で示される。例えば、後述する銅付活硫化亜鉛蛍光体のように、蛍光体原料粉末に付活剤である銅を予め混入させておく場合においては、付活剤である銅も蛍光体原料粉末と一体となっており、このような場合は、銅も含め蛍光体原料粉末の重量と計量するものとする。
融剤は、室温の重量と焼成温度での重量は異なる場合がある。例えば塩化バリウムは、室温ではBaCl2・2H2Oの状態で存在しているが、焼成温度では水和水が失われ、BaCl2となっていると考えられる。しかし、ここでの融剤の割合とは、室温で安定な状態での、融剤の重量をもとに計算される。
本発明の蛍光体粒子の平均粒径は、例えば堀場製作所製・レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(商品名)のような、レーザー散乱による方法を用いることができる。ここで、平均粒径は、メジアン径を指すものとする。本発明により、従来作製が難しかった、高輝度な平均粒径20μm以下のエレクトロルミネッセンス蛍光体粒子を容易に作製することができる。蛍光体の平均粒径は、0.01μm以上20μm以下が好ましく、0.01μm以上15μm以下がより好ましい。
本発明において融剤は、ハロゲン化物が主体であることが好ましく、アルカリ金属ハライド、アルカリ土類金属ハライド、ハロゲン化アンモニウムのうち、1物質、もしくは2種類以上の混合物質が主体であることがより好ましく、塩化ストロンチウム及び塩化マグネシウムを含む混合物質が主体であることが特に好ましい。主体であるとは、重量で、融剤の80wt%以上程度を占めるとの意味である。
アルカリ金属ハライドとは、例えば塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化ルビジウム、臭化ルビジウム、ヨウ化ルビジウム、塩化セシウム、臭化セシウム、ヨウ化セシウムなどを含む。
アルカリ土類金属ハライドとは、例えば、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化ストロンチウム、臭化ストロンチウム、ヨウ化ストロンチウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウムなどを含む。
ハロゲン化アンモニウムとは、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウムなどを含む。
また、例えば特開平11−193378号公報に記されているように、高温で安定である物質を、粒径抑制剤として、使用して焼成を行うことにより、更に小さい粒子を得ることも可能である。この場合は、融剤の割合中には、粒径抑制剤の重量は勘案せず、蛍光体原料粉末と融剤の混合体における融剤の割合で定義するものとする。しかし、本発明方法においてはこのような粒径抑制剤は用いなくても蛍光体の小粒子を製造することができる。
また、上述の粒径抑制剤は、前述したように、微粒子の粒径抑制剤を取り除くために洗浄回数が多くなり、また多数の洗浄を繰り返してもなお、粒径抑制剤が粒子表面に吸着して、完全に取り除くことが難しい。そのため、上述の粒径抑制剤は、酸もしくはアルカリに溶解する物質であることが好ましく、酸化マグネシウムであることがより好ましい。
このようにして、蛍光体粒子を得ることができるが、この蛍光体粒子では、未だ十分なエレクトロルミネッセンスを得ることができない場合には、更なる工程を行うことができる。今までの工程を第1の焼成と呼ぶことにする。
第1の焼成によって得られる中間蛍光体粒子は、イオン交換水や酸、アルカリで繰り返し洗浄され、融剤、及び過剰の付活剤、共付活剤を除去する。また、粒径抑制剤を焼成に用いた場合、該工程により、同様に取り除かれる。
次いで、得られた中間体蛍光体粉末に第2の焼成をほどこす。第2の焼成は、第1の焼成より低温の400〜800℃で、また30分〜12時間の加熱(アニーリング)をする。これら焼成により蛍光体粒子内には多くの積層欠陥が発生するが、より多くの積層欠陥が蛍光体粒子内に含まれるように、第1の焼成と第2の焼成の条件を適宜選択することが好ましい。
また、第1の焼成物に、ある範囲の大きさの衝撃力を加えることにより、粒子を破壊することなく、積層欠陥の密度を大幅に増加させることができる。積層欠陥の数を増加させることによって、エレクトロルミネッセンス輝度が向上することが知られている。衝撃力を加える方法としては、シェーカー・ジェットミルなどで中間蛍光体粒子同士を接触混合させる方法、アルミナ等の球体を混ぜて混合させる(ボールミル)方法、粒子を加速させ衝突させる方法(ジェット流法)、超音波を照射する方法、蛍光体にラバープレスや静水加圧などにより圧力を印加する方法、などを好ましく用いることができる。必要な衝撃力の目安は、例えばボールミル衝撃の場合、0.5mmφのアルミナビーズを用いて、100回転/分で10分〜12時間程度である。
高輝度なエレクトロルミネッセンスを得るためには、蛍光体粒子の30%(個)以上が、5nm以下の間隔の積層欠陥構造を、10層以上含有していることが好ましい。50%(個)の蛍光体粒子が積層欠陥構造を有していることがより好ましく、75%(個)の蛍光体粒子が積層欠陥構造を有していることが更に好ましい。
蛍光体粒子内部の積層欠陥の定量は、透過電子顕微鏡で観察することで行うことができる。積層欠陥の定量を行いたい蛍光体粒子100mg程度を、メタノール、エタノール、アセトンの如き溶媒に懸濁させ、乳鉢で10分程度粉砕する。このようにして得られた蛍光体粒子破片を、透過型電子顕微鏡で観察すると、積層欠陥構造を有する蛍光体粒子破片は、破片に筋状の線を有している。一方、積層欠陥構造を持たない粒子は、構造がまったくない、平滑な表面として観察される。この筋状の線を数えた際、線が5nm以下の間隔で10本以上有している破片が50%(個)以上であった場合、蛍光体粒子の50%(個)以上が、5nm以下の間隔の積層欠陥構造を、10層以上含有しているとみなすことができる。
観察の際は、加速電圧が高い、例えば400kV程度の透過電子顕微鏡が、コントラスト良く粒子を観察できるので望ましい。透過電子顕微鏡の観察には、試料を電子が透過することが必須であるから、蛍光体粒子破片は、厚み0.1nm以上100nm以下に粉砕されている必要がある。厚みが100nm以上の破片は、積層欠陥を有していない破片か、それとも単に電子が透過していないだけなのか、判断することができないので、観察には適さない。
第2の焼成を経て得られた蛍光体粒子は、HCl等の酸でエッチングして、第2の焼成の過程で表面に生成した金属酸化物などを除去し、さらに表面に付着した付活剤化合物(例えば硫化銅)を、KCNで洗浄して除去する。続いて該中間蛍光体を乾燥してエレクトロルミネッセンス蛍光体粒子を得る。
本発明の製造方法で得られるエレクトロルミネセンス蛍光体は、さらに金、銀、ビスマス、セシウム、およびアンチモンからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有していることが好ましい。
これらの元素の含有量は、1×10-3〜1×10-1mol%であることが好ましく、3×10-3〜6×10-2mol%であることがより好ましい。金の含有量は、1×10-3〜5×10-2mol%であることが好ましく、3×10-3〜3×10-2mol%であることがより好ましい。ビスマスの含有量は1×10-3〜5×10-2mol%であることが好ましく、3×10-3〜3×10-2mol%であることがより好ましい。セシウムの含有量は、1×10-3〜5×10-2mol%であることが好ましく、3×10-3〜3×10-2mol%であることがより好ましい。アンチモンの含有量は、1×10-3〜5×10-2mol%であることが好ましく、3×10-3〜3×10-2mol%であることがより好ましい。
特許第2994058号明細書に記載されているように、金を含有していると、素子の寿命が向上することが知られているが、その効果は、例えば粒径抑制剤を使用して製造した特開平11−193378号公報に記載の小さい蛍光体粒子に適用した場合、その効果は十分ではなかった。我々は、本発明の製造方法で作成するエレクトロルミネセンス蛍光体に金を適用すると、この効果が著しくなり、従来のエレクトロルミネッセンス蛍光体の製造方法では得られなかった高輝度かつ長寿命の蛍光体粒子が効率よく得られることを見出した。
また、特開平11−172245号公報に記載されているようにセシウムを、特開2000−178551号公報に記載されているようにアンチモンを、特開2002−053854号公報に記載されているようにビスマスをそれぞれ含有していると、寿命が向上するが、これらの元素も、金と同様に、本発明の製造方法で作製したエレクトロルミネセンス蛍光体において、その効果が顕著になる。
金は、塩化金酸のごとき、金の化合物を、水に懸濁してスラリー状にした硫化亜鉛生粉に水溶液を滴下することで添加する。金は、第1の焼成工程の前および/または第2の焼成工程の前に添加することが可能であるが、第1の焼成工程の前に添加することが好ましい。
セシウムは、塩化セシウムのごときセシウムの化合物を他のフラックスと同様に混合して、焼成を行うことで導入する。セシウムは、第1の焼成工程の前および/または第2の焼成工程の前に添加することが可能であるが、第1の焼成工程の前に添加することが好ましい。
ビスマス及びアンチモンは、これらの単体元素、もしくは塩化ビスマス、塩化アンチモンのごとき化合物と蛍光体とを加熱することで導入する。ビスマス、アンチモンとも揮発性が高い元素であるため、フタなどがないと飛散しやすい。第1の焼成工程および/または第2の焼成工程で導入することが可能であるが、揮発性が高いため、第2の焼成工程において、ビスマスまたはアンチモンの単体元素(もしくは化合物)と中間蛍光体粒子を石英管に封じ、加熱して導入することがより好ましい。
蛍光体粒子は、粒子の表面に非発光シェル層を有することがより好ましい。このシェル層形成は、蛍光体粒子のコアとなる半導体微粒子の調製に引き続いて化学的な方法を用いて0.01μm以上の厚みで設置するのが好ましい。好ましくは0.01μm以上1.0μm以下である。
非発光シェル層は、酸化物、窒化物、酸窒化物や、母体蛍光体粒子上に形成した同一組成で発光中心を含有しない物質から作成することができる。また、母体蛍光体粒子材料上に異なる組成の物質をエピタキシャルに成長させることによっても形成することができる。
非発光シェル層の形成方法として、レーザー・アブレーション法、CVD法、プラズマCVD法、スパッタリングや抵抗加熱、電子ビーム法などと、流動油面蒸着を組み合わせた方法などの気相法と、複分解法、ゾルゲル法、超音波化学法、プレカーサーの熱分解反応による方法、逆ミセル法やこれらの方法と高温焼成を組み合わせた方法、水熱合成法、尿素溶融法、凍結乾燥法などの液相法や噴霧熱分解法なども用いることができる。特に、蛍光体の粒子形成で好適に用いられる、水熱合成法、尿素溶融法や噴霧熱分解法は、非発光シェル層の合成にも適している。
例えば、水熱合成法を用いて硫化亜鉛蛍光体粒子の表面に非発光シェル層を付設する場合は、溶媒中にコア粒子となる硫化亜鉛蛍光体を添加し、懸濁させる。粒子形成の場合と同様に、非発光シェル層材料となる金属イオンと、必要に応じてアニオンを含む溶液を反応容器外から、制御された流量で、決められた時間で添加する。反応容器内を十分に撹拌することで、粒子は溶媒中を自由に動くことができ、かつ添加されたイオンは溶媒中を拡散して粒子成長を均一に起こすことができるため、コア粒子の表面に非発光シェル層を均一に形成することができる。この粒子を必要に応じて焼成することで、非発光シェル層を表面に有する硫化亜鉛蛍光体粒子が合成できる。
また、尿素溶融法を用いて硫化亜鉛蛍光体粒子の表面に非発光シェル層を付設する場合は、非発光シェル層材料となる金属塩が溶解し、溶融した尿素溶液中に、硫化亜鉛蛍光体粒子を添加する。硫化亜鉛は尿素に溶解しないため、粒子形成の場合と同様に溶液を昇温し、尿素由来の樹脂中に硫化亜鉛蛍光体と非発光シェル層材料が均一に分散した固体を得る。この固体を微粉砕した後、電気炉中で樹脂を熱分解させながら焼成する。焼成雰囲気として、不活性雰囲気、酸化性雰囲気、還元性雰囲気、アンモニア雰囲気、真空雰囲気を選択することで、酸化物、硫化物、窒化物からなる非発光シェル層を表面に有する硫化亜鉛蛍光体粒子が合成できる。
また、噴霧熱分解法を用いて硫化亜鉛蛍光体粒子の表面に非発光シェル層を付設する場合は、非発光シェル層材料となる金属塩が溶解した溶液中に、硫化亜鉛蛍光体粒子を添加する。この溶液を霧化し、熱分解することで、硫化亜鉛蛍光体粒子の表面に非発光シェル層が生成する。熱分解の雰囲気や追加焼成の雰囲気を選択することで、酸化物、硫化物、窒化物からなる非発光シェル層を表面に有する硫化亜鉛蛍光体粒子が合成できる。
本発明で製造したエレクトロルミネッセンス蛍光体粒子を用いて分散型エレクトロルミネッセンス素子を作製する場合、発光色は特に限定されるものではないが、光源としての用途を考えると、発光色は白色が好ましい。発光色を白色とする方法としては、例えば、銅とのマンガンが付活され、焼成後に徐冷された硫化亜鉛のように単独で白色発光する蛍光体粒子を用いる方法や、3原色または補色関係に発光する複数の蛍光体粒子を混合する方法が好ましい。(青−緑−赤の組み合わせや、青緑−オレンジの組み合わせなど)また、特開平7−166161号、同9−245511号、特開2002−62530号の各公報に記載の青色のように短い波長で発光させて、蛍光顔料や蛍光染料を用いて発光の一部を緑色や赤色に波長変換(発光)させて白色化する方法も好ましい。さらに、CIE色度座標(x,y)は、x値が0.30〜0.43の範囲で、かつy値が0.27〜0.41の範囲が好ましい。
本発明の分散型エレクトロルミネッセンス素子は、構造自体は通常のものを採用することができ、基本的には蛍光体層を、少なくとも一方が透明な、対向する一対の電極で挟持した構成をもつ。蛍光体層と電極の間に誘電体層を隣接することが好ましい。
本発明の分散型エレクトロルミネッセンス素子の基板は、ガラス基板やセラミック基板に加え、フレキシブルは透明樹脂シートを用いることができる。
蛍光体層は、蛍光体粒子を分散剤に分散したものを用いることができる。分散剤としては、シアノエチルセルロース系樹脂のように、比較的誘電率の高いポリマーや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ化ビニリデンなどの樹脂を用いることができる。
これらの樹脂に、BaTiO3やSrTiO3などの高誘電率の微粒子を適度に混合して誘電率を調整することもできる。分散手段としては、ホモジナイザー、遊星型混練機、ロール混練機、超音波分散機などを用いることができる。
誘電体層は、誘電率と絶縁性が高く、且つ高い誘電破壊電圧を有する材料であれば任意のものが用いられる。これらは金属酸化物、窒化物から選択され、例えばTiO2、BaTiO3、SrTiO3、PbTiO3、KNbO3、PbNbO3、Ta23、BaTa26、LiTaO3、Y23、Al23、ZrO2、AlON、ZnSなどが用いられる。これらは均一な膜として設置されても良いし、また粒子構造を有する膜として用いても良い。
発光層と誘電体層は、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法、あるいはスプレー塗布法などの通常の方法を用いて塗布することが好ましい。この中で特に、スクリーン印刷法のような印刷面を選ばない方法やスライドコート法のような連続塗布が可能な方法を用いることが好ましい。例えば、スクリーン印刷法は、蛍光体や誘電体の微粒子を高誘電率のポリマー溶液に分散した分散液を、スクリーンメッシュを通して塗布する。メッシュの厚さ、開口率、塗布回数を選択することにより膜厚を制御できる。
分散型エレクトロルミネッセンス素子の輝度を高めるためには、蛍光体粒子の発光効率を向上させると共に、蛍光体層への印加電界を高めることが有効である。蛍光体層への印加電界を高めるためには、素子の印加電圧を高めるほかにも、蛍光体層の膜厚を薄くすることで実現できる。蛍光体層の膜厚は、0.1〜30μmが好ましく、0.5〜30μmがより好ましく、0.5〜25μmが特に好ましい。ところが従来のエレクトロルミネッセンス蛍光体粒子を用いた素子では、粒径が大きい粒子を多数含むため、膜厚を30μm以下にすることは難しかった。本発明によって蛍光体粒子を小粒子化できることにより、30μm以下の膜厚で均一性、薄膜性などに優れる蛍光体層を塗布することが可能となり、同一蛍光体粒子、同一印加電圧を用いた場合でも、より高輝度となる分散型エレクトロルミネッセンス素子を作製することが可能となった。
分散液を換えることで、蛍光体層や誘電体層のみならず、背面電極層なども形成でき、さらにスクリーンの大きさを変えることで大面積化が容易である。
誘電体層の調製法はスパッター、真空蒸着等の気相法であっても良く、この場合膜の厚みは通常0.1〜1μmの範囲で用いられる。
本発明のEL素子において用いられる前記透明電極としては、一般的に用いられる任意の透明電極材料を用いて形成された電極が用いられる。該透明電極材料としては、例えばITO(酸化インジウム錫)、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、ZTO(亜鉛ドープ酸化錫)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、等の酸化物、銀の薄膜を高屈折率層で挟んだ多層構造、ポリアニリン、ポリピロールなどのπ共役系高分子などが挙げられる。これら透明電極には、櫛型、グリッド型、等の金属細線を配置して通電性を改善することも好ましい。
光を取り出さない側の背面電極は、導電性の有る任意の材料が使用出来る。金、銀、白金、銅、鉄、アルミニウムなどの金属、グラファイトなどの中から、作成する素子の形態、作製工程の温度等により適時選択される。また導電性さえあればITO等の透明電極を用いても良い。
また、分散型エレクトロルミネッセンス素子は、水分の影響により、発光輝度が駆動時間の増加に伴い減少する。それを防止するために、ポリ塩化三フッ化エチレン樹脂からなる封止フィルムや特開2003−249349号公報に記載の封止フィルムなどで素子を封止する方法や、特公平1−19756号公報に記載の素子内に侵入した水分を乾燥剤で吸着する方法などが考えられている。しかし、これらの方法ではエレクトロルミネッセンス素子の水分による輝度低下を防止するに必ずしも十分ではない。前者は接着部分からの水分の侵入を考慮しておらず、後者は封止フィルムの性能を考慮していない。エレクトロルミネッセンス素子の連続駆動による輝度低下を極限まで防止するためには、封止フィルム面からの水分の侵入と封止フィルムの接着面からの水分の侵入を同時に且つ効率よく防止する必要がある。そこで、素子作製の際には、水分の存在下該エレクトロルミネッセンス素子は、例えば40℃−90%RHでの水蒸気透過率が0.05g/m2/day以下の封止フィルムで両面を封止されており、且つ少なくとも前記エレクトロルミネッセンス素子と封止フィルムの間に乾燥剤層を配置することが好ましい。水蒸気透過率が、0.01g/m2/day以下であることが更に好ましい。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明は以下の実施例には限定されない。
ZnS(フルウチ化学製、純度99.999%)150gに水を加えてスラリーとし、CuSO4・5H2Oを0.416g含む水溶液を添加し、一部にCuを置換したZnS生粉(平均粒径100nm)を得た。得られた生粉に、それぞれ表1に示す割合で融剤を混合してアルミナ坩堝に充填し、蛍光体1〜3及び比較例1と2の場合は1200℃で4時間、蛍光体4〜9の場合は1200℃で1時間焼成を行い、蛍光体中間体を得た。上記の粒子をイオン交換水で10回水洗し、乾燥した。得られた中間体を、700℃で6時間、アニールした。得られた蛍光体粒子を、10%のKCN水溶液で洗浄して表面にある余分な銅(硫化銅)を取り除いた後5回水洗を行い、表1に示すエレクトロルミネッセンス蛍光体粒子を得た。
得られた蛍光体粒子を用いて、以下のように素子を作製した。
上記で得られた蛍光体粒子を、30wt%のシアノレジンCR-S(商品名、信越化学製)のDMF溶液に分散させ、これをITOが蒸着されたPETベースに、膜厚が50μmとなるように塗布し、80℃で4時間乾燥させた。その後、チタン酸バリウム粉末BT-02(商品名、堺化学製)を、同様の30wt%のシアノレジンに分散して、蛍光体層上から塗布し、80℃で4時間乾燥させた。その上からアルミニウムを蒸着し、TOPCOM社製輝度計
BM-9(商品名)により、輝度を評価した。また、粒径分布は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA-920(商品名、堀場製作所製)により評価した。
比較例1は、従来、エレクトロルミネッセンス蛍光体の製造によく用いられてきた融剤によるものである。これに対し、比較例2は、融剤量を減らして小粒子化を試みたものである。確かに小サイズ化しているものの、十分なエレクトロルミネッセンス輝度が得られていない。これに対し蛍光体1は、本発明によるものであり、比較例1の約6倍量の融剤を用いている。小サイズ化と共に、EL強度の向上が見られている。蛍光体2〜9も、同様に融剤を大量に用いた本発明による蛍光体であり、平均粒径の減少と、エレクトロルミネッセンス輝度の向上が見られている。特に、塩化マグネシウム及び塩化ストロンチウムを混合した融剤を用いた蛍光体4は、最も顕著な小粒子化とエレクトロルミネセンス輝度の向上の効果が見られた。
Figure 2005272798
ZnS(フルウチ化学製、純度99.999%)150gに水を加えてスラリーとし、CuSO4・5H2Oを0.416gと、HAuCl4・4H2OをZnSに対して1.3×10-2mol%となるように加え、他は、実施例1に準じて作製し、金以外は蛍光体4と同一の処方の蛍光体10と、金以外は比較例1と同一処方の比較例3の蛍光体を作製した。ICPにより金を分析したところ、どちらの蛍光体も1.0×10-2mol%の金の含有が確認された。
蛍光体4、蛍光体10、比較例1、比較例3の4種類のサンプルに関して、以下の方法により素子を作製した。
チタン酸バリウム粉末BT−02(商品名、堺化学製)を、30wt%のシアノレジンDMF溶液に分散して、75μmのアルミシート上に、誘電体層の厚みが25μmとなるように塗布し、温風乾燥機にて110℃6時間乾燥させた。
上記蛍光体粒子を30wt%のシアノレジンDMF溶液に分散し、トービ社製の透明導電性フイルム上に蛍光体層の厚みが40μmとなるように積層塗布し、温風乾燥機で110℃6時間乾燥させた。
このようにして作製したアルミシートと透明導電性フイルムを、誘電体層と蛍光体層が重なるように両者を貼り合わせ、150℃のヒートローラーを用いて真空中で熱圧着した。
上記素子の透明電極と背面電極から、それぞれ厚み80μmの銅アルミシートを用いて外部接続用の端子を取り出した後、素子を2枚のナイロン6から成る吸水性シートと2枚のSiO2層を有する防湿フイルムとで挟んで熱圧着し、封止した。
このようにして得られた素子を、100V、1kHz、室温25℃、湿度60%の環境下で連続駆動し、初期輝度に対して半減する時間を求めた。下表に示すように、大粒子、小粒子共に、金によって寿命の向上が見られるが、本発明の蛍光体において、効果がより顕著であった。
Figure 2005272798
蛍光体4の作製方法において、フラックスとして、ZnS生粉25.0gに対して、BaCl2・2H2O 4.2g、MgCl2・6H2O
11.1g、SrCl2・6H2O 27.3gの他に、CsClを5.0gを加え、他の処方を同一にして作製した蛍光体11を作製した。比較例1の作製方法において、同様に、他のFluxにCsClを5.0g加えた比較例4を作製した。これを、実施例2と同様の方法で、エレクトロルミネセンス輝度および相対寿命を評価した。Csの量は、ICPによって評価を行った。Csにおいても、いずれの蛍光体粒子も長寿命化の効果があったが、本発明のエレクトロルミネセンス蛍光体粒子において、その効果は顕著であった。
Figure 2005272798
蛍光体4と同様の方法で第1の焼成工程を行った後、得られた蛍光体中間体20gに対して、ビスマス粉末(フルウチ化学製)3gと共に石英管に真空に封じ、700℃6時間加熱した。同様に、アンチモン粉末(フルウチ化学製)3gと共に石英管に真空に封じ、700℃6時間加熱した。得られた蛍光体粒子を、10%のKCN水溶液で洗浄して表面にある余分な銅(硫化銅)を取り除いた後5回水洗を行った。各々、Biを含有する蛍光体を蛍光体12、Sbを含有する蛍光体を蛍光体13、同様の作製方法でBiもSbも添加しなかった蛍光体を、蛍光体14とした。
比較例1と同様の方法で第1の焼成工程を行った試料も、同様の処理を行い、それぞれ、Biを含有する蛍光体を比較例5、Sbを含有する蛍光体を比較例6、BiもSbも添加しないで作製した蛍光体を、比較例7とした。
BiもSbも、いずれの蛍光体粒子も長寿命化の効果があったが、本発明のエレクトロルミネセンス蛍光体粒子において、その効果は顕著であった。
Figure 2005272798
第1の焼成(1200℃、4時間)と第2の焼成(700℃、6時間アニール)の間にアルミナビーズによるボールミル衝撃工程(蛍光体5gに対してボールサイズφ0.5mmのアルミナビーズ50gを混合し、20分ミルをかけた。)を加え、それ以外は蛍光体1と同様の方法で作製された、蛍光体15を作製した。小粒子化により高輝度になった蛍光体1に、ボールミル衝撃によって積層欠陥を増加させた蛍光体15では、更にエレクトロルミネッセンス輝度は向上した。
Figure 2005272798
実施例1に記載の蛍光体1と、比較例1を、実施例1に記載のように蛍光体層の膜厚が50μmとなるように塗布した。
また、同試料を、蛍光体層の膜厚が上述の半分である25μmとなるように塗布し、輝度を比較した。塗布膜厚50μmの場合、全ての蛍光体粒子を塗布することができるが、塗布膜厚25μmにして塗布しようとすると、粒径25μm以上の蛍光体粒子はアプリケータに引きずられて塗布されず、塗布される蛍光体粒子の数が減少する。比較例1に記載の蛍光体は、25μm以上の粒子が多数混在しているため、塗布される粒子数が減少し、輝度が低下した。一方、本発明による蛍光体は、ほとんどの粒子が25μm以下のため、大部分の蛍光体が塗布された。また膜厚が低下したことによって、同一印加電圧時に蛍光体層にかかる印加電界が増加し、膜厚の薄膜化により更に輝度が向上した。小粒子化により、粒子そのものが高輝度になったばかりでなく、塗布膜厚を薄くすることも可能となり、エレクトロルミネッセンス素子の更なる高輝度化が可能となった。
Figure 2005272798

Claims (14)

  1. 融剤を用いて焼成する工程を含む蛍光体粒子の製造方法であって、前記工程において融剤を、蛍光体原料粉末と融剤との合計重量に対して、40wt%以上99.9wt%以下になる量含有させることを特徴とする、蛍光体粒子の製造方法。
  2. 前記融剤が、ハロゲン化物であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体粒子の製造方法。
  3. 前記融剤が、アルカリ金属ハライド、アルカリ土類金属ハライド、ハロゲン化アンモニウム、および該ハロゲン化物の混晶のうち、1物質、もしくは2種類以上の混合物質を主体として構成される、請求項1又は2に記載の蛍光体粒子の製造方法。
  4. 前記融剤が、塩化ストロンチウム及び塩化マグネシウムを含む混合物質から構成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蛍光体粒子の製造方法。
  5. 前記蛍光体粒子が、銅、マンガン、及び希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する硫化亜鉛であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の蛍光体粒子の製造方法。
  6. 前記蛍光体粒子が、さらに塩素、臭素、ヨウ素、及びアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含有することを特徴とする、請求項5に記載の蛍光体粒子の製造方法。
  7. 前記蛍光体粒子が、さらに、金、銀、ビスマス、セシウム、及びアンチモンからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有することを特徴とする請求項5又は6に記載の蛍光体粒子の製造方法。
  8. 融剤を用いて焼成する第1の焼成工程の後、焼成された蛍光体粒子に衝撃を加え、再度焼成を行う第2の焼成工程を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の蛍光体粒子の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法により得られる蛍光体粒子。
  10. 前記蛍光体粒子の平均粒径が20μm以下であることを特徴とする請求項9に記載の蛍光体粒子。
  11. 前記蛍光体粒子の平均粒径が15μm以下であることを特徴とする請求項9又は10に記載の蛍光体粒子。
  12. 前記蛍光体粒子の30%(個)以上が、5nm以下の間隔の積層欠陥を10層以上含有していることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の蛍光体粒子。
  13. 請求項9〜12のいずれか1項に記載の蛍光体粒子を含むことを特徴とする分散型エレクトロルミネッセンス素子。
  14. 蛍光体粒子を含む蛍光体層を有し、その厚みが0.1μm以上30μm以下であることを特徴とする請求項13に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
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