JP2005272741A - ノルボルナン基を有する含フッ素単量体、含フッ素重合体および表面処理剤 - Google Patents

ノルボルナン基を有する含フッ素単量体、含フッ素重合体および表面処理剤 Download PDF

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育男 山本
Yutaka Ohira
豊 大平
Yoshiro Funakoshi
義郎 舩越
Shinichi Minami
晋一 南
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Abstract

【課題】 優れた撥水性、撥油性、防汚性を有する含フッ素重合体を提供する。
【解決手段】 (A)ノルボルナン基またはノルボルナン誘導体基およびフルオロアルキル基を有する含フッ素単量体から誘導された繰り返し単位、
(B)フッ素原子を含まない単量体から誘導された繰り返し単位、および
(C)必要により存在する、架橋性単量体から誘導された繰り返し単位
を有して成る含フッ素重合体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、繊維製品や石材、静電フィルター、防塵マスク、燃料電池の部品に、優れた撥水性、撥油性、防汚性を付与するポリマー及びその処理に関する。
従来、種々の含フッ素化合物が提案されている。含フッ素化合物には、耐熱性、耐酸化性、耐候性などの特性に優れているという利点がある。含フッ素化合物の自由エネルギーが低い、すなわち、付着し難いという特性を利用して、含フッ素化合物は、例えば、撥水撥油剤および防汚剤として使用されている。
撥水撥油剤として使用できる含フッ素化合物として、フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートエステルを構成モノマーとする含フッ素重合体が挙げられる。アクリル酸基とフルオロアルキル基との間に有機基をスペーサーとして配置した(メタ)アクリレートエステルを含フッ素重合体において用いることが提案されている。スペーサーを有するそのような含フッ素重合体は、例えば、米国特許第3655732号、米国特許第3773826号、米国特許第3916053号および米国特許第5439998号に開示されている。しかし、これらの含フッ素重合体は、充分な撥水撥油性を与えるものではなかった。
本発明の目的は、優れた撥水性および撥油性を有する撥水撥油剤を提供することにある。
本発明の別の目的は、そのような撥水撥油剤の構成成分となる含フッ素重合体および含フッ素単量体を提供することにある。
本発明は、式:
Figure 2005272741
[式中、Xは、水素原子、メチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子または塩素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基;
1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a、R9a、R10aは同じかまたは異なり、H、F、Cl、炭素数1〜14のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、または炭素数1〜21のフルオロアルキル基(Rf基)であり、ただし、R1a〜R10aの少なくとも1つは炭素数1〜21のフルオロアルキル基(Rf基)であり;
11aは直接結合または分岐鎖を含んでいてもよい炭素数1〜6のアルキレン基;
nは0、1または2である。]
で示される含フッ素単量体を提供する。
本発明は、
(A)ノルボルナン基またはノルボルナン誘導体基およびフルオロアルキル基を有する含フッ素単量体から誘導された繰り返し単位を有して成る含フッ素重合体をも提供する。
本発明は、含フッ素重合体および液体媒体(水および/または有機溶媒)を含んでなる表面処理剤をも提供する。
本発明によれば、撥水性、撥油性、および防汚性に優れた表面処理剤が得られる。
本発明の含フッ素重合体は、
(A)ノルボルナン基またはノルボルナン誘導体基およびフルオロアルキル基を有する含フッ素単量体(a)から誘導された繰り返し単位
を有して成る。
含フッ素重合体は、ホモポリマーまたはコポリマーである。
含フッ素重合体がコポリマーである場合に、含フッ素重合体は、繰り返し単位(A)に加えて、
(B)フッ素原子を含まない単量体から誘導された繰り返し単位、および
(C)必要により存在する、架橋性単量体から誘導された繰り返し単位
を有してよい。
本発明において、繰り返し単位(A)は、ノルボルナン基またはノルボルナン誘導体基およびフルオロアルキル基を有する含フッ素単量体(a)によって構成される。含フッ素単量体(a)は、アクリレート系単量体であってよい。含フッ素単量体(a)は、一般に、式:
Figure 2005272741
[式中、Xは、水素原子、メチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子または塩素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基;
1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a、R9a、R10aは同じかまたは異なり、H、F、Cl、炭素数1〜14のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、または炭素数1〜21のフルオロアルキル基(Rf基)であり、ただし、R1a〜R10aの少なくとも1つは炭素数1〜21のフルオロアルキル基(Rf基)であり;
11aは直接結合または分岐鎖を含んでいてもよい炭素数1〜6のアルキレン基;
nは0、1または2である。]
で示される単量体である。
上記式において、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a、R9a、R10aの内の少なくとも2つが、フルオロアルキル基(Rf基)であってよいが、通常、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a、R9a、R10aの内の1つがフルオロアルキル基(Rf基)である。R9aまたはR10aがフルオロアルキル基(Rf基)であることが好ましい。
上記式において、Rf基が、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。Rf基の炭素数は、1〜6、例えば1〜4であってよい。Rf基の例は、−CF3、−CF2CF3、−CF2CF2CF3、−CF(CF3) 2、−CF2CF2CF2CF3、−CF2CF(CF3)2、−C(CF)3、−(CF2)4CF3、−(CF2)2CF(CF3)2、−CF2C(CF3)3、−CF(CF3)CF2CF2CF3、−(CF2)5CF3、−(CF2)3CF(CF3)2、−(CF2)4CF(CF3)2、−(CF2)7CF3、−(CF2)5CF(CF3)2、−(CF2)6CF(CF3)2、−(CF2)9CF3等である。
含フッ素単量体(a)の具体例には、次のものが挙げられる。
Figure 2005272741
Figure 2005272741

[式中、Rfは炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である。]
含フッ素単量体(a)は、例えば、次のようにして製造できる。
環状ジエン(例えば、シクロペンタジエン)と、Rf基で置換されたエチレン(CH2=CH-Rf)とを加熱下(例えば、100〜200℃)で、必要により重合禁止剤(例えば、ヒドロキノン)の存在下で、(例えば5〜100時間で)反応させ、Rf基で置換されたノルボルネン誘導体を得る。
次いで、Rf基で置換されたノルボルネン誘導体の二重結合を水和して、ヒドロキシル基およびRf基で置換されたノルボルナン誘導体を得る。水和は、ボラン、水酸化ナトリウム、過酸化水素によって行える。
ヒドロキシル基およびRf基で置換されたノルボルナン誘導体を、α位が置換されていてよいアクリル酸と60〜120℃で3〜30時間で反応させ、目的の含フッ素単量体を得る。
上記の一連の反応は、溶媒の存在下で行ってもよいし、溶媒の不存在下で行ってもどちらでもよい。
繰り返し単位(B)は、フッ素原子を含まない単量体(b)によって誘導される。単量体(b)は、フッ素を含有せず、炭素-炭素二重結合を有する単量体であることが好ましい。単量体(b)は、フッ素を含有しないビニル性単量体であることが好ましい。フッ素原子を含まない単量体(b)は、一般に、1つの炭素-炭素二重結合を有する化合物である。フッ素原子を含まない単量体(b)として好ましい単量体としては、例えば、エチレン、酢酸ビニル、ハロゲン化ビニル(例えば、塩化ビニル)、ハロゲン化ビニリデン(例えば、塩化ビニリデン)、アクリロニトリル、スチレン、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ビニルアルキルエーテル、イソプレンなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。
フッ素原子を含まない単量体(b)は、アルキル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルであってよい。アルキル基の炭素数は、1〜30、例えば、6〜30、例示すれば、10〜30であってよい。例えば、フッ素原子を含まない単量体(b)は一般式:
CH=CACOOA
[式中、Aは水素原子またはメチル基、AはC2n+1(n=1〜30)で示されるアルキル基である。]
で示されるアクリレート類であってよい。
繰り返し単位(C)は、架橋性単量体(c)によって誘導される。架橋性単量体(c)は、少なくとも2つの反応性基および/または炭素−炭素二重結合を有し、フッ素を含有しない化合物であってよい。架橋性単量体(c)は、少なくとも2つの炭素−炭素二重結合を有する化合物、あるいは少なくとも1つの炭素−炭素二重結合および少なくとも1つの反応性基を有する化合物であってよい。反応性基の例は、ヒドロキシル基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックドイソシアネート、アミノ基、カルボキシル基、などである。
架橋性単量体(c)としては、例えば、ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ブタジエン、クロロプレン、グリシジル(メタ)アクリレートなどが例示されるが、これらに限定されるものでない。
単量体(b)および/または単量体(c)を共重合させることにより、撥水撥油性や防汚性およびこれらの性能の耐クリーニング性、耐洗濯性、溶剤への溶解性、硬さ、感触などの種々の性質を必要に応じて改善することができる。
含フッ素重合体において、含フッ素単量体(a)100重量部に対して、
フッ素原子を含まない単量体(b)の量が0.1〜100重量部、例えば0.1〜50重量部であり、
架橋性単量体(c)の量が50重量部以下、例えば20重量部以下、特に0.1〜15重量部であってよい。
含フッ素重合体は、例えば、以下のようにして製造することができる。
溶液重合では、重合開始剤の存在下で、単量体を有機溶剤に溶解させ、窒素置換後、30〜120℃の範囲で1〜10時間、加熱撹拌する方法が採用される。重合開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどが挙げられる。重合開始剤は単量体100重量部に対して、0.01〜20重量部、例えば0.01〜10重量部の範囲で用いられる。
有機溶剤としては、単量体に不活性でこれらを溶解するものであり、例えば、アセトン、クロロホルム、HCHC225、イソプロピルアルコール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、テトラクロロジフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタンなどが挙げられる。有機溶剤は単量体の合計100重量部に対して、50〜2000重量部、例えば、50〜1000重量部の範囲で用いられる。
乳化重合では、重合開始剤および乳化剤の存在下で、単量体を水中に乳化させ、窒素置換後、50〜80℃の範囲で1〜10時間、撹拌して共重合させる方法が採用される。重合開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチルパーベンゾエート、1−ヒドロキシシクロヘキシルヒドロ過酸化物、3−カルボキシプロピオニル過酸化物、過酸化アセチル、アゾビスイソブチルアミジン−二塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性のものやアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどの油溶性のものが用いられる。重合開始剤は単量体100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲で用いられる。
放置安定性の優れた共重合体水分散液を得るためには、高圧ホモジナイザーや超音波ホモジナイザーのような強力な破砕エネルギーを付与できる乳化装置を用いて、単量体を水中に微粒子化し、油溶性重合開始剤を用いて重合することが望ましい。また、乳化剤としてはアニオン性、カチオン性あるいはノニオン性の各種乳化剤を用いることができ、単量体100重量部に対して、0.5〜20重量部の範囲で用いられる。アニオン性および/またはノニオン性および/またはカチオン性の乳化剤を使用することが好ましい。単量体が完全に相溶しない場合は、これら単量体に充分に相溶させるような相溶化剤、例えば、水溶性有機溶剤や低分子量の単量体を添加することが好ましい。相溶化剤の添加により、乳化性および共重合性を向上させることが可能である。
水溶性有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エタノールなどが挙げられ、水100重量部に対して、1〜50重量部、例えば10〜40重量部の範囲で用いてよい。また、低分子量の単量体としては、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートなどが挙げられ、単量体の総量100重量部に対して、1〜50重量部、例えば10〜40重量部の範囲で用いてよい。
本発明の表面処理剤は、溶液、エマルションまたはエアゾールの形態であることが好ましい。表面処理剤は、含フッ素重合体および媒体(例えば、有機溶媒および水などの液状媒体)を含んでなる。表面処理剤において、含フッ素共重合体の濃度は、例えば、0.01〜50重量%であってよい。
本発明の表面処理剤は、従来既知の方法により被処理物に適用することができる。通常、該表面処理剤を有機溶剤または水に分散して希釈して、浸漬塗布、スプレー塗布、泡塗布などのような既知の方法により、被処理物の表面に付着させ、乾燥する方法が採られる。また、必要ならば、適当な架橋剤と共に適用し、キュアリングを行ってもよい。さらに、本発明の表面処理剤に他の表面処理剤(例えば、撥水剤や撥油剤)あるいは、防虫剤、柔軟剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、塗料定着剤、防シワ剤などを添加して併用することも可能である。浸漬塗布の場合、浸漬液における含フッ素重合体の濃度は0.05〜10重量%であってよい。スプレー塗布の場合、処理液における含フッ素重合体の濃度は0.1〜5重量%であってよい。ステインブロッカーを併用してもよい。ステインブロッカーを使用する場合には、アニオン性またはノニオン性乳化剤を使用することが好ましい。
本発明の表面処理剤(例えば、撥水撥油剤)で処理される被処理物としては、繊維製品、石材、フィルター(例えば、静電フィルター)、防塵マスク、燃料電池の部品(例えば、ガス拡散電極およびガス拡散支持体)、ガラス、紙、木、皮革、毛皮、石綿、レンガ、セメント、金属および酸化物、窯業製品、プラスチック、塗面、およびプラスターなどを挙げることができる。繊維製品は、特にカーペットであってよい。繊維製品としては種々の例を挙げることができる。例えば、綿、麻、羊毛、絹などの動植物性天然繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンなどの合成繊維、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維などの無機繊維、あるいはこれらの混合繊維が挙げられる。本発明の表面処理剤は、ナイロン、ポリプロピレンのカーペットに対して好適に使用できる。
繊維製品は、繊維、糸、布等の形態のいずれであってもよい。本発明の表面処理剤でカーペットを処理する場合に、繊維または糸を表面処理剤で処理した後にカーペットを形成してもよいし、あるいは形成されたカーペットを表面処理剤で処理してもよい。
本発明の実施例について具体的に説明するが、実施例が本発明を限定するものではない。
試験は、以下のようにして行った。
シャワー撥水性試験
シャワー撥水性は、JIS-L-1092のスプレー法による撥水性No.(下記表1参照)をもって表す。
Figure 2005272741
撥水性試験
処理済み試験布を温度21℃、湿度65%の恒温恒湿機に4時間以上保管する。試験液(イソプロピルアルコール(IPA)、水、およびその混合液、表2に示す)も温度21℃で保存したものを使用する。試験は温度21℃、湿度65%の恒温恒湿室で行う。試験液を試験布上に 0.05ml静かに滴下し、30秒間放置後、液滴が試験布上に残っていれば、その試験液をパスしたものとする。撥水性は、パスした試験液のイソプロピルアルコール(IPA)含量(体積%)の最大なものをその点数とし、撥水性不良なものから良好なレベルまでFail、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10の12段階で評価する。
Figure 2005272741
撥油性試験
処理済み試験布を温度21℃、湿度65%の恒温恒湿機に4時間以上保管する。試験液(表3に示す)も温度21℃で保存したものを使用する。試験は温度21℃、湿度65%の恒温恒湿室で行う。試験液を試験布上に 0.05ml静かに滴下し、30秒間放置後、液滴が試験布上に残っていれば、その試験液をパスしたものとする。撥水性は、パスした試験液の最高点数とし、撥水性不良なものから良好なレベルまでFail、1、2、3、4、5、6、7および8の9段階で評価する。
Figure 2005272741
以下のようにモノマーを合成した。
合成例1
5-(パーフルオロブチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エンの合成:
Figure 2005272741
ジシクロペンタジエン60gを190℃に加熱することで生成したシクロペンタジジエン(沸点 38〜39.5℃)を水冷コンデンサーで冷却採取し、16gを得た。
15g(226mmol)のシクロペンタジエンを300ml耐圧反応管に仕込み、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキサ-1-エン55.8g(226mmol)及びジヒドロキノン1.5g(12.6mmol)を加えて密封した。170℃で72時間攪拌し、室温(23℃)に冷却後、ヘキサン100mlで反応混合物を均一にして濾過した。濾液を濃縮後、減圧蒸留し、55〜56℃/17mmHgの留分を集め、5-(パーフルオロブチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン(エンド体:エキソ体=78:22)を40.8g得た。収率57.7%。
1H NMR(CDCl3; 内部標準TMS δppm): 6.1(m, 2H, CH=CH), 3.1(m, 2H, 架橋部CH×2), 2.8(m, 1H, CHCF2),1.2〜2.1(m, 4H, CH 2 ×2)
19F NMR(CDCl3; 内部標準CFCl3 δppm):-81.5(t, 3F, JFF=9.7Hz, CF3), -113.4(AB四重線, 0.78×2F, JFF=274Hz, エンドCHCF 2 ), -114.9(AB四重線, 0.22×2F, JFF=272Hz, エキソCHCF 2 ), -123.1(m, 2F, CHCF2CF 2 ), -126.6(m, 2F, CF 2 CF3).
合成例2(9FNbCAモノマー)
5(6)-(パーフルオロブチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル2-クロロアクリレートの合成:
Figure 2005272741
5-(パーフルオロブチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン30.1g(96.4mmol)を窒素雰囲気下無水THF80mlに溶かし、0℃に冷却下、攪拌しながら30分要して1M ボラン-THF溶液240ml(240ml)を滴下した。同温度で2時間攪拌し、窒素雰囲気下室温(23℃)で18時間攪拌した。再度0℃に冷却し、水1.6Lを滴下した。次いで、3N 水酸化ナトリウム水溶液138ml、30%過酸化水素水溶液90ml(790mmol)を加え室温(23℃)で1時間攪拌した。ヘキサン500mlで2回抽出し、有機層を飽和食塩水で2回洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥して、ろ過後の濾液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製することで5(6)-(パーフルオロブチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オールを得た。
5(6)-(パーフルオロブチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール Rf=0.42(ヘキサン:酢酸エチル=3:1) 18.1g(収率 56.9%)
1H NMR(CDCl3; 内部標準TMS δppm): 4.3(d, 0.78H, J=6.7Hz, エンドCHOH), 3.8(d, 0.22H, J=6.7Hz, エキソCHOH), 2.6(m, 1H, CHCF2), 2.5(m, 2H, 架橋部CH×2), 1.2〜2.1(m, 6H, CH 2 ×3)
19F NMR(CDCl3; 内部標準CFCl3 δppm):-81.5(t, 3F, JFF=9.7Hz, CF3), -113.0(AB四重線, 0.78×2F, JFF=278Hz, エンドCHCF 2 ), -115.8(AB四重線, 0.22×2F, JFF=272Hz, エキソCHCF 2 ), -123.2(m, 2F, CHCF2CF 2 ), -126.8(m, 2F, CF 2 CF3).
5(6)-(パーフルオロブチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール(Rf=0.42)16.9g (51.2mmol)、2-クロロアクリル酸5.47g(51.3mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(pTsOH)0.30g(1.6mmol)をシクロヘキサン25mlに溶解し、t-ブチルカテコール(TBC)0.044mgを加えてから、Dean-Stark法を用いて16時間、脱水縮合反応(浴温100℃)を行った。反応液をセライトろ過後、有機層を水で3回、さらに飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、減圧濃縮後の残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製することで、5(6)-(パーフルオロブチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル 2-クロロアクリレート17.6gを得た。収率82.1%。
1H NMR(CDCl3; 内部標準TMS δppm): 6.5(m, 1H, =CHA), 6.0(m, 1H, =CHB), 5.2(d, 0.78H, J=6.8Hz, エンドCHOCO), 4.8(d, 0.22H, J=6.6Hz, エキソCHOCO), 2.7(m, 1H, CHCF2), 2.6(m, 2H, 架橋部CH×2), 1.2〜2.1(m, 6H, CH 2 ×3)
19F NMR(CDCl3; 内部標準CFCl3 δppm):-81.5(t, 3F, JFF=9.5Hz, CF3), -115.9(t, 0.78×2F, JFF=15Hz, エンドCHCF 2 ), -114.3(AB四重線, 0.22×2F, JFF=284Hz, エキソCHCF 2 ), -122.9(m, 2F, CHCF2CF 2 ), -126.6(m, 2F, CF 2 CF3).
以下のようにポリマーを合成した。
製造例 1
9FNbCA/StA共重合体
200mL 4つ口フラスコに合成例2で合成したモノマー(9FNbCAモノマー)(5(6)-(パーフルオロブチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル 2-クロロアクリレート) 3.00g (0.007mol) 、ステアリルアクリレート1.26g(0.0039mol)と酢酸ブチル12.0gを仕込んで60分間窒素フローした。内温を60℃に昇温後、酢酸ブチル0.4gに溶かしたパーブチルPV (日本油脂(株)製、過酸化物)0.032g (0.0002mol) を添加し、10時間反応させた。反応の工程管理はガスクロマトグラフィーで行い、モノマーピーク消失を確認して反応終了とした。重合上がり溶液にメタノールを加えて析出した白色の沈殿物について減圧濾過を行い真空デシケーターで乾燥して白色粉体4.0g (ポリマー収率94%)を得た。ポリマーの同定は元素分析(表4)で行った。
比較製造例1
9FAホモポリマー
200mL 4つ口フラスコに2-(パーフルオロブチル)エチルアクリレート(9F-Alc/AA) (ダイキン化成品販売(株)製R-1420) 15g (0.047mol) とテトラクロロヘキサフルオロブタン121gを仕込んで30分間溶液中の窒素バブリング後、気相中の窒素置換を30分行った。内温を60℃に昇温後、トリクロロエタン7.86gに溶かしたパーブチルPV 1.61g (0.0092mol) を添加し、5.5時間反応させた。反応の工程管理はガスクロマトグラフィーで行い、モノマーピーク消失を確認して反応終了とした。反応終了後、重合上がり溶液にメタノールを加えると沈殿した白色水あめ状沈殿物が析出した。デカンテーションにより上澄み液を取り除き、沈殿物をエバポレーターにかけて溶媒を除去すると、非常に粘度の高い透明な液状物質9.36g (ポリマー収率82%) が得られた。ポリマーの同定は元素分析(表4)で行った。
比較製造例2
9FA/StA共重合体
100mL 4つ口フラスコに2-(パーフルオロブチル)エチルアクリレート(9F-Alc/AA) (ダイキン化成品販売(株)製R-1420) 7.00g (0.022mol) とテトラクロロヘキサフルオロブタン56.47gを仕込んで30分間溶液中の窒素バブリング後、気相中の窒素置換を30分行った。内温を60℃に昇温後、トリクロロエタン3.67gに溶かしたパーブチルPV 0.75g (0.0043mol) を添加し、6時間反応させた。反応の工程管理はガスクロマトグラフィーで行い、9F-Alc/AAモノマーとステアリルアクリレートモノマーのピークの消失を確認して反応終了とした。反応終了後、重合上がり溶液にメタノールを加えると白色沈殿物が生成した。デカンテーションにより上澄み液を取り除き、沈殿物をエバポレーターにかけて溶媒を除去すると、非常に粘度の高い白濁した液状物質7.06g (ポリマー収率70.6%) が得られた。ポリマーの同定は元素分析(表4)で行った。
実施例1
製造例1で得られたポリマー1.5gをHCFC-225 150gに溶解した。この試験溶液150gにナイロン試験布(510mm×205mm)×1枚を浸漬(約5分間)後、遠心脱水機で脱溶媒(500rpm, 30秒間)を行った。同じ操作をPET試験布(510mm×205mm)×1枚、PET/綿混紡試験布(510mm×205mm)×1枚、綿試験布(510mm×205mm)×1枚について行った。その後夫々の試験布を28℃で一晩乾燥した。
次に、ナイロン試験布、PET試験布、PET/綿試験布、綿試験布を夫々一枚ずつ、ピンテンターで150℃処理(3分間)を行い、その後夫々の試験布を半分に切断し(255mm×205mm)、一方をシャワー撥水試験に使用し、残りを撥水試験、撥油試験に使用した。試験結果を表5に示す。
比較例1
比較製造例1で得られたポリマーを実施例1と同様に処理後、シャワー撥水試験、撥水試験、撥油試験をおこなった。結果を表5に示す。
比較例2
比較製造例2で得られたポリマーを実施例1と同様に処理後、シャワー撥
水試験、撥水試験、撥油試験をおこなった。結果を表5に示す。
Figure 2005272741
Figure 2005272741


Claims (15)

  1. 式:
    Figure 2005272741
    [式中、Xは、水素原子、メチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子または塩素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基;
    1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a、R9a、R10aは同じかまたは異なり、H、F、Cl、炭素数1〜14のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、または炭素数1〜21のフルオロアルキル基(Rf基)であり、ただし、R1a〜R10aの少なくとも1つは炭素数1〜21のフルオロアルキル基(Rf基)であり;
    11aは直接結合または分岐鎖を含んでいてもよい炭素数1〜6のアルキレン基;
    nは0、1または2である。]
    で示される含フッ素単量体。
  2. フルオロアルキル基(Rf基)の炭素数が1〜4である請求項1に記載の含フッ素単量体。
  3. フルオロアルキル基(Rf基)がパーフルオロアルキル基である請求項1に記載の含フッ素単量体。
  4. (A)ノルボルナン基またはノルボルナン誘導体基およびフルオロアルキル基を有する含フッ素単量体(a)から誘導された繰り返し単位を有して成る含フッ素重合体。
  5. 繰り返し単位(A)に加えて、
    (B)フッ素原子を含まない単量体(b)から誘導された繰り返し単位、および
    (C)必要により存在する、架橋性単量体(c)から誘導された繰り返し単位
    を有する請求項4に記載の含フッ素重合体。
  6. 繰り返し単位(A)が請求項1に記載の含フッ素単量体から誘導されたものである請求項4に記載の含フッ素重合体。
  7. 繰り返し単位(B)を形成するフッ素原子を含まない単量体(b)が、一般式:
    CH=CACOOA
    [式中、Aは水素原子またはメチル基、Aは炭素数1〜30の炭化水素基(特に、CnH2n+1(n=1〜30)で示されるアルキル基)である。]
    で表わされるアクリレートである請求項5に記載の重合体。
  8. 繰り返し単位(C)を形成する架橋性単量体が、少なくとも2つの反応性基および/または炭素-炭素二重結合を有し、フッ素を含有しない単量体(c)である請求項5に記載の含フッ素重合体。
  9. 含フッ素重合体において、含フッ素単量体100重量部に対して、フッ素原子を含まない単量体の量が0.1〜50重量部であり、架橋性単量体の量が20重量部以下である請求項5に記載の含フッ素重合体。
  10. 請求項4または5に記載の含フッ素重合体および水および/または有機溶媒を含んでなる表面処理剤。
  11. 溶液、エマルションまたはエアゾールの形態である請求項10に記載の表面処理剤。
  12. 請求項10に記載の表面処理剤で被処理物を処理する方法。
  13. 被処理物が、繊維製品、石材、フィルター(例えば、静電フィルター)、防塵マスク、燃料電池、ガラス、紙、木、皮革、毛皮、石綿、レンガ、セメント、金属および酸化物、窯業製品、プラスチック、塗面またはプラスターである請求項12に記載の方法。
  14. 請求項10に記載の表面処理剤で処理された繊維製品。
  15. 請求項10に記載の表面処理剤で処理されたカーペット。

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JP2013034941A (ja) * 2011-08-08 2013-02-21 Toyobo Co Ltd 耐油性フィルター

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