JP2005271613A - 電動車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、不十分なバッテリ残量を有効に利用し、行程途上でのバッテリ切れを回避することが可能な電動車両を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る電動車両は、距離計22と;バッテリ監視手段(電流計23及び電圧計24)と;バッテリ残量計17bと;メモリ25と;複数ある走行モードのいずれかを選択指示するモード指示部26と;第1の走行モードが指示された場合は、所定の走行区間毎にバッテリ17の充放電量を記憶するようにメモリ25を制御し、第2の走行モードが指示された場合は、バッテリ17の残量とメモリ25の記憶内容に基づいてバッテリ17の使用計画を立案するとともに、当該計画に従ってモータ装置21の駆動制御を行う制御手段28と;を有して成る構成としている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、駆動手段或いは駆動補助手段として、バッテリを電源とするモータ装置を用いた電動車両に関するものである。
従来より、電動ハイブリッド自転車や電気自動車など、駆動手段或いは駆動補助手段として、バッテリを電源とするモータ装置を用いた電動車両に関しては、その走行可能距離やバッテリ残量を正確に検出するための技術が数多く開示・提案されている(例えば、特許文献1〜6を参照)。
特開平7−140216号公報 特許第3177806号明細書 特開平6−189402号公報 特許第3193486号明細書 特開平10−304502号公報 特許第3264123号明細書
確かに、上記の従来技術を採用した電動車両であれば、その走行開始に先立ち、ユーザに対して正確な走行可能距離やバッテリ残量を報知し、必要であればバッテリの充電を促すことができるので、道半ばでのバッテリ切れを未然に回避することが可能である。
しかしながら、上記の従来技術はいずれも、走行可能距離やバッテリ残量の検出精度向上、並びにその適切な報知を目的とするものに過ぎず、ユーザの目的地が走行可能範囲外であると判断された場合でも、バッテリの充電が必要である旨の報知が為されるだけであった。そのため、上記報知にも拘わらず、ユーザがバッテリの充電を十分に行わなかった場合には、結局バッテリ切れを生じる結果となっていた。
特に、従来の電動ハイブリッド自転車では、バッテリの残量に依らず、そのアシスト比(人力に対する補助駆動力の比率)が固定値(通常は1.0)とされていたため、行程後半に最もアシストを必要とする地形(上り坂等)が存在する場合には、行程前半だけでバッテリを使い切ってしまうことがあり、電動アシスト機能が十分に発揮されない、という課題があった。
本発明は、上記の問題点に鑑み、バッテリ残量が不十分な場合でも、当該バッテリ残量を有効に利用し、行程途上でのバッテリ切れを回避することが可能な電動車両を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る電動車両は、駆動手段或いは駆動補助手段として、バッテリを電源とするモータ装置を用いた電動車両において、走行距離を検出する走行距離検出手段と;走行中における前記バッテリの充放電量を監視するバッテリ監視手段と;前記バッテリの残量を検出するバッテリ残量検出手段と;情報を記憶するメモリ手段と;複数ある走行モードのいずれかを選択的に指示するモード指示手段と;前記走行モードのうち、第1の走行モードが指示された場合には、所定の走行区間毎に前記バッテリの充放電量を逐次記憶するように前記メモリ手段を制御し、第2の走行モードが指示された場合には、前記バッテリの残量と前記メモリ手段の記憶内容に基づいて前記バッテリの使用計画を立案するとともに、当該計画に従って前記モータ装置の駆動制御を行う制御手段と;を有して成る構成としている。
なお、上記構成から成る電動車両において、前記制御手段は、前記バッテリの使用計画立案に際し、所定の走行区間毎に記憶された前記バッテリの充放電量に応じて、各走行区間に前記バッテリの残量を比例配分することで、各走行区間の許容放電量を決定する構成にするとよい。
或いは、前記制御手段は、前記バッテリの使用計画立案に際し、所定の走行区間毎に記憶された前記バッテリの充放電量を少なくとも1つの閾値と比較することによって複数の負荷区分に分類し、高負荷区分に分類された走行区間ほどその許容放電量が大きくなるように、各走行区間の許容放電量を決定する構成にするとよい。
また、上記構成から成る電動車両において、前記制御手段は、第2の走行モード完了に際し、前記使用計画に対する前記バッテリの残量の過不足を示す走行履歴を記憶するように前記メモリ手段を制御する一方、前記バッテリの使用計画立案に際し、前記走行履歴に基づいて当該計画を補正する構成にするとよい。
また、上記構成から成る電動車両は、前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度検出手段を有して成り、前記制御手段は、前記バッテリの使用計画立案に際し、前記バッテリの温度に基づいて当該計画を補正する構成にするとよい。
また、上記構成から成る電動車両において、前記モータ装置は、補助駆動手段であり、前記制御手段は、前記バッテリの使用計画に従って主駆動力に対する補助駆動力の比率を制御する構成にするとよい。
上記構成から成る電動車両であれば、バッテリ残量が不十分な場合でも、当該バッテリ残量を有効に利用し、行程途上でのバッテリ切れを回避することが可能となる。
以下では、本発明を電動ハイブリッド自転車に適用した場合を例に挙げて説明を行う。
図1は本発明に係る電動ハイブリッド自転車の一実施形態を示す全体図である。本図に示すように、本実施形態の電動ハイブリッド自転車1は、そのフレーム2に前輪3、後輪4、ハンドル5及びサドル6が取り付けられて成り、前輪3はハンドル5によって操舵されるように構成されている。
また、フレーム2のサドル支持部分には、後述する電動駆動部10の電源となるバッテリ17が着脱自在に取り付けられている。本実施形態では、略24ボルトの電源電圧を生成可能なバッテリ17を用いている。なお、バッテリ17の設置位置はこれに限定されるものではなく、他の箇所(かご16の下など)に設けてもよい。
人力駆動部7は、ペダル8及びチェーン9を備えて成り、使用者がペダル8を踏むことで、チェーン9を介して後輪4が回転される。なお、本実施形態では、人力を後輪4に伝達する部材としてチェーン9を用いた場合を例に挙げたが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、チェーン9の代わりにベルトや回転軸等を用いても構わない。
前輪3のハブ(回転軸部)に設けられる電動駆動部10は、ハブモータ装置を具備して成り、電動駆動が必要なときに前記ハブモータ装置を駆動することで、人力駆動部10と共に後輪4を回転させる。なお、前輪3は、チェーン9や不図示の変速機などから独立しているため、当該前輪3のハブに電動駆動部10を設けることにより、そのメンテナンス性を向上することが可能となる。ただし、電動駆動部10の設置位置はこれに限定されるものではなく、後輪4のハブに設けても構わない。
前輪3の操舵手段であるハンドル5の左右両端には、ブレーキレバー11がそれぞれ取付けられており、該ブレーキレバー11は、前輪3及び後輪4のブレーキ装置12、13とワイヤ14、15によってそれぞれ連結されている。また、ハンドル5の前方にはかご16が設けられている。なお、ワイヤ14、15の途中には図示しないブレーキスイッチが設けられており、ブレーキレバー11を操作したときに、電動駆動部10への通電が停止され、バッテリ17への電力回生が開始される機構となっている。
次に、上記構成から成る電動ハイブリッド自転車1の電気信号系統について詳細に説明する。図2は電動ハイブリッド自転車1の電気信号系統を示すブロック図である。本図に示すように、本実施形態の電動ハイブリッド自転車1は、補助駆動手段であるモータ装置21と、該モータ装置21の回転に基づいて走行距離(または車速)を検出する距離計22(または車速計)と、バッテリ17の充放電電流を検出する電流計23と、バッテリ17の端子間電圧を検出する電圧計24と、情報を不揮発的に記憶するメモリ25(フラッシュメモリやEEPROM[Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory]など)と、複数ある走行モードのいずれかを選択的に指示するモード指示部26(ユーザ操作を受け付ける操作部等を含む)と、選択された走行モードを表示するモード表示部27(その他情報を表示する表示部等を含む)と、上記各部の動作を統括制御するほか各走行モードにおけるアシスト制御を行う制御部28(CPU[Central Processing Unit]など)と、を有して成る。なお、上記の電流計23及び電圧計24は、走行中におけるバッテリ17の充放電量を監視するバッテリ監視手段として機能するものであり、メモリ25及び制御部28とともに、主制御回路上に構成されている。一方、モード指示部26及びモード表示部27は、操作部回路上に構成されている。また、バッテリ17は、その温度を検出する温度計17aと、その残量を検出する残量計17bと、を有して成る。
次に、制御部28による各走行モードのアシスト制御について詳細に説明する。図3は各走行モードにおけるアシスト制御の一例を示すフローチャートである。
本図に示すように、本実施形態の電動ハイブリッド自転車1の電源が投入されると、まず、ステップS0において、いずれの走行モードがユーザによって選択されたかの判定が行われる。ここで、「走行パターン記憶モード(第1の走行モード)」が選択されたと判定された場合は、フローがステップS1−1に進められ、「アシスト計画走行モード(第2の走行モード)」が選択されたと判定された場合は、フローがステップS2−1に進められる。一方、「通常走行モード(第3の走行モード)」が選択されたと判定された場合には、フローがステップS3−1に進められる。
まず、ステップS0にて、「走行パターン記憶モード」が選択され、フローがステップS1−1に進められた場合について説明する。
この場合、制御部28は、電動ハイブリッド自転車1の走行開始に先立ち、そのアシスト比(人力に対する補助駆動力の比率)を通常値(1.0)に設定する(ステップS1−2)。その後、電動ハイブリッド自転車1の走行が開始されると、制御部28は、目的地までの走行パターンデータ(バッテリ消費パターンデータ)を生成すべく、所定の走行区間毎にバッテリ17の充放電量を逐次記憶するようにメモリ25を制御する(ステップS1−3)。電動ハイブリッド自転車1の走行が終了され、電源がオフ状態にされると、一連の「走行パターン記憶モード」は終了される。
図4は走行パターンデータの一例を示す図である。なお、本図(a)は、距離の推移に対する行程高度の推移(起伏)を示しており、本図(b)は、距離の推移に対するバッテリ17の充放電電流の推移(或いは充放電電力の推移)を示している。また、本図(c)は、メモリ25に記憶される走行パターンデータを模式的に示している。
本図に示すように、上り坂を含む走行区間では、ペダル8の踏込みトルクの増大に応じてモータ補助トルクが大きくなるため、放電電流の積算値は大きくなり、逆に、平坦路を含む走行区間では、ペダル8の踏込みトルクの減少に応じてモータ補助トルクが小さくなるため、放電電流の積算値は小さくなる。また、本実施形態の電動ハイブリッド自転車1は、下り坂で減速する時や停車する際のブレーキレバー操作と連動して、モータ装置21で発電を行い、バッテリ17に充電を行う機能(いわゆる回生充電機能)を具備しているため、下り坂を走行中は、放電電流の積算値がマイナス値(すなわちバッテリ17の充電状態)となる。なお、本実施形態において、上記した放電電流の積算値は、アンペア・アワー[Ah]単位(単位時間当たりの放電電流値)でメモリ25に逐次記憶される。
このような「走行パターン記憶モード」を設けることにより、ユーザは、頻繁に走行する行程(例えば、通勤時に走行する駅までの行程や買物時に走行する店舗までの行程)についての走行パターンデータをメモリ25に記憶させることが可能となる。なお、本実施形態の電動ハイブリッド自転車1は、メモリ25の容量が許す限り、複数ルートについての走行パターンデータを記憶することが可能な構成とされている。
次に、ステップS0にて、「アシスト計画走行モード」が選択され、フローがステップS2−1に進められた場合について説明する。
この場合、制御部28は、電動ハイブリッド自転車1の走行開始に先立ち、メモリ25から「走行パターン記憶モード」で得られた走行パターンデータを読み出すとともに、残量計17bの出力に基づくバッテリ17の残量検出を行い、当該バッテリ残量と走行パターンデータに基づいてアシスト計画(バッテリ使用計画)の立案を行う(ステップS2−2〜S2−4)。
図5はアシスト計画データの一例を示す図である。なお、本図(a)はメモリ25から読み出された走行パターンデータを模式的に示している。また、本図(b)、(c)は、後述する第1、第2の手法で立案されたアシスト計画データを各々模式的に示している。
まず、第1の手法によるアシスト計画立案について詳述する。本手法によるアシスト計画の立案に際し、制御部28は、所定走行区間毎に記憶されたバッテリ17の放電量(放電電流の積算値)に応じて、各走行区間にバッテリ17の残量を比例配分することで、各走行区間の許容放電量を決定し、当該許容放電量に応じたアシスト比を算出する。なお、マイナスの放電(つまり充電)については、アシスト比が0とされる。
例えば、メモリ25の走行パターンデータから、目的地到達に必要な合計放電量が15[Ah]であると認識された走行路に対して、バッテリ17の残量が12[Ah]しかなかった場合、充放電電流の積算値が0.8[Ah]であった走行区間については、その許容放電量を0.64(=0.8×12/15)[Ah]とした上でアシスト比(例えば、0.7)が算出される(図5(b)を参照)。同様に、充放電電流の積算値がi[Ah]であった走行区間については、その許容放電量を(i×12/15)[Ah]としてアシスト比が算出される。
このような手法でアシスト計画データを立案し、当該計画に従ってモータ装置21の駆動制御を行う構成であれば、行程後半に最もアシストを必要とする地形(上り坂など)が存在する場合でも、行程前半だけでバッテリ17を使い切ってしまうことがなくなる。
次に、第2の手法によるアシスト計画立案について詳細に説明する。本手法によるアシスト計画立案に際し、制御部28は、バッテリ17の放電量(放電電流の積算値)を少なくとも1つの閾値と比較することによって複数の負荷区分に分類し、高負荷区分に分類された走行区間ほどその許容放電量が大きくなるように各走行区間の許容放電量を決定した上で、当該許容放電量に応じたアシスト比を算出する。
より具体的に述べると、本実施形態の制御部28は、バッテリ17の放電量(放電電流の積算値)が所定の閾値以上であった高負荷走行区間については、その放電量或いはそれを所定の比率で減じた値をバッテリ17の許容放電量とし、当該許容放電量に応じたアシスト比を算出する一方、バッテリ17の放電量が所定の閾値未満であった低負荷走行区間については、各走行区間毎に記憶されたバッテリ17の放電量に応じて、各走行区間に前記高負荷走行区間の割当分が差し引かれたバッテリ17の残量を比例配分することで、各走行区間の許容放電量を決定し、当該許容放電量に応じたアシスト比を算出する。なお、マイナス放電(つまり充電)については、アシスト比が0とされる。
例えば、上記の閾値として1.0[Ah]と0.5[Ah]という2値を有し、バッテリ17の充放電電流の積算値が1.0[Ah]以上であった走行区間を第1高負荷走行区間、0.5[Ah]以上で1.0[Ah]未満であった走行区間を第2高負荷走行区間、0.5[Ah]未満であった走行区間を低負荷走行区間、と認識する場合を考える。
この場合、図5(a)で示す走行区間のうち、充放電電流の積算値が2[Ah]や1.2[Ah]である走行区間は、第1高負荷走行区間と認識され、その充放電量そのものを当該走行区間での許容放電量とした上でアシスト比が上限値(1.0)に設定される(図5(c)を参照)。また、充放電電流の積算値が0.8[Ah]である走行区間は、第2高負荷走行区間と認識され、その充放電量を所定の比率で減じた値をバッテリ17の許容放電量とした上でアシスト比(例えば、0.9)が算出される(図5(c)を参照)。
一方、図5(a)で示す走行区間のうち、上記以外の走行区間は低負荷走行区間と認識され、各走行区間毎に記憶されたバッテリ17の充放電量に応じて、各走行区間に第1、第2高負荷走行区間の割当分が差し引かれたバッテリ17の残量を比例配分することで、各走行区間の許容放電量を決定し、当該許容放電量に応じたアシスト比が算出される。
例えば、メモリ25の走行パターンデータから、目的地到達に必要な合計放電量が15[Ah]であると認識された走行路に対して、第1、第2高負荷走行区間の割当分が差し引かれたバッテリ17の残量が8[Ah]しかなかった場合、充放電電流の積算値が0.4[Ah]であった低負荷走行区間については、その許容放電量を0.27(=0.4×8/15)[Ah]とした上でアシスト比(例えば0.4)が算出される(図5(c)を参照)。同様に、充放電電流の積算値がi[Ah]であった低負荷走行区間については、その許容放電量を(i×8/15)[Ah]としてアシスト比が算出される。
このような手法でアシスト計画データを立案し、当該計画に従ってモータ装置21の駆動制御を行う構成であれば、さほどアシストを必要としない地形(平坦路など)でのバッテリ消費を抑えて、本当にアシストを必要とする地形(上り坂など)でのアシスト比低減をできる限り回避することが可能となる。
なお、当該ステップにおけるアシスト計画立案の結果、バッテリ17の残量が少な過ぎて、アシスト比を可変制御しても目的地まで到達できないと認識された場合には、図示しない報知手段(表示部や音声出力部)によって、要充電である旨の報知が行われる。その際、電動ハイブリッド自転車1が乾電池などの予備電源を取付け可能な構成(例えば、昇圧回路を具備する構成)であれば、予備電源の取付けを促す報知を併せて行ってもよい。
上記したアシスト計画データの立案後、ステップS2−5では、走行履歴データに基づく当該アシスト計画データの補正処理が行われる。ここで、走行履歴データとは、アシスト計画走行モードの終了時におけるバッテリ残量の過不足を示すデータであり、後述するステップS2−8にて、メモリ25に記憶されるものである。例えば、走行履歴データから、前回のアシスト計画走行モードでは、バッテリ残量に余剰が生じていたと認識された場合には、今回立案のアシスト計画データについて、各走行区間のアシスト比を上げる方向に補正が行われる。逆に、前回のアシスト計画モードでは、バッテリ残量が不足して、目的地まで到達できなかったと認識された場合には、今回立案のアシスト計画データについて、各走行区間のアシスト比を下げる方向に補正が行われる。このような補正を行うことにより、走行パターンデータの記憶時における諸条件(重量、地形、風など)の影響によって生じたアシスト計画データの誤差を修正し、当該計画に基づくモータ駆動制御を適正化することが可能となる。
上記した走行履歴データに基づくアシスト計画データの補正処理後、続くステップS2−6では、バッテリ温度に基づくアシスト計画データの補正処理が行われる。当該処理に際し、制御部28は、バッテリ17の温度が低いほど、同一バッテリ容量でも走行可能距離が短くなることに鑑みて、上記のアシスト計画データを修正する。具体的に述べると、例えば、バッテリ温度が20[℃]以上であれば、立案された各走行区間のアシスト比に1.0を乗じ、0[℃]以上20[℃]未満であれば、各走行区間のアシスト比に0.8を乗じる。また、バッテリ温度が0[℃]未満であれば、立案された各走行区間のアシスト比に0.6を乗じる。このような補正を行うことにより、外気温等の影響によって生じるであろうアシスト計画データの誤差を未然に修正し、当該計画に基づくモータ駆動制御を適正化することが可能となる。
上記したアシスト計画データの立案、並びにその補正が完了された後、電動ハイブリッド自転車1の走行が開始されると、制御部28は、補正済みのアシスト計画データに従ってモータ装置21の駆動制御を行い、各走行区間毎にアシスト比を逐次変化させていく。このような構成とすることにより、バッテリ残量が不十分な場合でも、当該バッテリ残量を有効に利用し、行程途上でのバッテリ切れを回避することが可能となる。
その後、電動ハイブリッド自転車1の走行が終了されると、制御部28は、前述の走行履歴データを記憶するようにメモリ25を制御する(ステップS2−8)。このとき、同一の行程について過去にアシスト計画走行を行った実績がある場合には、各回(例えば直近5回分)のアシスト計画走行終了時におけるバッテリ残量の過不足の平均値を求め、当該平均値を走行履歴データとしてメモリ25に記憶する構成にするとよい。このような構成とすることにより、走行履歴データの最適値化を進めることができるので、当該走行履歴データに基づく補正処理によって、アシスト計画走行毎に、アシスト計画データが大きく変動することを回避することが可能となる。ただし、メモリ25の容量低減を最優先するのであれば、最直近の走行履歴データのみを記憶する構成としても構わない。
上記した走行履歴データの記憶処理が完了され、電源がオフ状態にされると、上記一連の「アシスト計画走行モード」は終了される。
最後に、ステップS0にて、「通常走行モード」が選択され、フローがステップS3−1に進められた場合について説明する。当該走行モードでは、上記した「アシスト計画走行モード」や「走行パターン記憶モード」と異なり、走行開始前のアシスト計画立案や走行中の走行パターン記憶が行われることはなく、従来構成から成る電動ハイブリッド自転車1と同様、通常アシスト比(1.0)での走行のみが行われる(ステップS3−2)。すなわち、当該走行モードは、バッテリ17の残量が十分である場合や、頻繁に走行する予定のない行程を走行する場合に好適であると言える。
なお、上記の実施形態では、「アシスト計画走行モード」でのアシスト計画立案について、第1、第2の手法を例示して説明を行ったが、本発明のアシスト計画手法はこれに限定されるものではなく、その他のアシスト計画手法(例えば、負荷に応じた関数を定義してバッテリ残量の配分を行う手法)を採用しても構わない。
上記したその他のアシスト計画手法の具体例としては、負荷に比例したアシスト比とする手法(図6(a)、図7(a)を参照)や、負荷に依らず一律にアシスト比を低減する手法が考えられる。また、負荷による分類を2段階とした場合におけるアシスト計画手法の具体例としては、低負荷時はアシスト比を0とし、高負荷時はアシスト比を1(最大)とする手法(図6(b)を参照)や、低負荷時はアシスト比を負荷に比例させ、高負荷時はアシスト比を1とする手法(図6(c)を参照)、或いは、低負荷時はアシスト比を1未満の所定値とし、高負荷時にはアシスト比を1とする手法(図6(d)を参照)が考えられる。同様に、負荷による分類を3段階とした場合におけるアシスト計画手法の具体例としては、低負荷時はアシスト比を0とし、中負荷時はアシスト比を0〜1の間の所定値とし、高負荷時はアシスト比を1(最大値)とする手法(図7(b)を参照)や、低負荷時はアシスト比を0とし、中負荷時はアシスト比を負荷に比例させ、高負荷時はアシスト比を1とする手法(図7(c)を参照)、或いは、低負荷時はアシスト比を第1の傾きで負荷に比例させ、中負荷時はアシスト比を第1の傾きよりも大きい第2の傾きで負荷に比例させ、高負荷時にはアシスト比を1とする手法(図7(d)を参照)が考えられる。
また、上記の実施形態では、電動ハイブリッド自転車に本発明を適用した場合を例に挙げて説明を行ったが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、駆動手段或いは駆動補助手段としてバッテリを電源とするモータ装置を用いた電動車両全般に適用が可能である。例えば、電動自動車であれば、上記実施形態におけるアシスト比の可変制御に代えて、アクセル制限(速度制限やトルク制限)などを行う構成とすればよい。
また、上記の実施形態では、いわゆる回生充電機能を具備した構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、当該機能を具備しない電動車両のも広く適用が可能である。
また、上記の実施形態では、ユーザの操作負担軽減を最優先し、アシスト計画を完全に自動立案する構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、目的地までの行程図等を模式的に表示し、当該表示に基づいてユーザにアシスト区間(或いはバッテリ残量を温存する非アシスト区間)や各走行区間のアシスト比を選択させる構成としても構わない。
また、上記の実施形態では、「走行パターン記憶モード」で生成された走行パターンデータに基づいて、バッテリ17の使用計画を立案する構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、GPS[Global Positioning System]等により取得された地形情報(勾配や距離)に基づいて目的地到達までに必要な各走行区間の放電量を推定し、バッテリ17の使用計画を立案する構成としても構わない。
本発明は、不十分なバッテリ残量の有効利用を図る上で有用な技術であり、特に、電動ハイブリッド自転車のバッテリ切れ防止に好適な技術である。
は、本発明に係る電動ハイブリッド自転車の一実施形態を示す全体図である。 は、電動ハイブリッド自転車1の電気信号系統を示すブロック図である。 は、各走行モードにおけるアシスト制御の一例を示すフローチャートである。 は、走行パターンデータの一例を示す図である。 は、アシスト計画データの一例を示す図である。 は、アシスト計画手法の一例(負荷とアシスト比との関係)を示す図である。 は、アシスト計画手法の一例(負荷とアシスト比との関係)を示す図である。
符号の説明
1 電動ハイブリッド自転車
2 フレーム
3 前輪
4 後輪
5 ハンドル
6 サドル
7 人力駆動部
8 ペダル
9 チェーン
10 電動駆動部
11 ブレーキレバー
12、13 ブレーキ装置
14、15 ワイヤ
16 かご
17 バッテリ
17a 温度計
17b 残量計
21 モータ装置
22 距離計(または車速計)
23 電流計
24 電圧計
25 メモリ
26 モード指示部
27 モード表示部
28 制御部

Claims (6)

  1. 駆動手段或いは駆動補助手段として、バッテリを電源とするモータ装置を用いた電動車両において、
    走行距離を検出する走行距離検出手段と;走行中における前記バッテリの充放電量を監視するバッテリ監視手段と;前記バッテリの残量を検出するバッテリ残量検出手段と;情報を記憶するメモリ手段と;複数ある走行モードのいずれかを選択的に指示するモード指示手段と;前記走行モードのうち、第1の走行モードが指示された場合には、所定の走行区間毎に前記バッテリの充放電量を逐次記憶するように前記メモリ手段を制御し、第2の走行モードが指示された場合には、前記バッテリの残量と前記メモリ手段の記憶内容に基づいて前記バッテリの使用計画を立案するとともに、当該計画に従って前記モータ装置の駆動制御を行う制御手段と;を有して成ることを特徴とする電動車両。
  2. 前記制御手段は、前記バッテリの使用計画立案に際し、所定の走行区間毎に記憶された前記バッテリの充放電量に応じて、各走行区間に前記バッテリの残量を比例配分することで、各走行区間の許容放電量を決定することを特徴とする請求項1に記載の電動車両。
  3. 前記制御手段は、前記バッテリの使用計画立案に際し、所定の走行区間毎に記憶された前記バッテリの充放電量を少なくとも1つの閾値と比較することによって複数の負荷区分に分類し、高負荷区分に分類された走行区間ほどその許容放電量が大きくなるように、各走行区間の許容放電量を決定することを特徴とする請求項1に記載の電動車両。
  4. 前記制御手段は、第2の走行モード完了に際し、前記使用計画に対する前記バッテリの残量の過不足を示す走行履歴を記憶するように前記メモリ手段を制御する一方、前記バッテリの使用計画立案に際し、前記走行履歴に基づいて当該計画を補正することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電動車両。
  5. 前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度検出手段を有して成り、前記制御手段は、前記バッテリの使用計画立案に際し、前記バッテリの温度に基づいて当該計画を補正することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電動車両。
  6. 前記モータ装置は、補助駆動手段であり、前記制御手段は、前記バッテリの使用計画に従って主駆動力に対する補助駆動力の比率を制御することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電動車両。
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