JP5504035B2 - 充電制御方法 - Google Patents
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Description
また、燃料電池は発電に伴い発熱し、この発熱を放置すると劣化が進行する。このため、燃料電池を所定の許容温度以下に冷却するために、冷却ポンプによって冷却水を循環させ、この冷却水を介して熱交換器(ラジエータ)により燃料電池の熱量を大気側に放出している。
例えば、車両がこれから走行する走行路の走行条件に関する情報をナビゲーションシステムから取得し、取得した情報に基づいて冷却水の温度が許容上限温度を超えないように燃料電池の発電量を補正すると共に、補正された燃料電池の発電量と予測される出力を得るために必要な燃料電池の発電量の差異に応じて、バッテリの目標SOC値を設定しようとする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、事前に充電を促進したにも関わらず、前回のSOC余裕度以下になった場合は、以前に記憶されたSOC余裕度の値を使用することが充電制御の精度を悪化させる虞があると考えられえるので、記憶値更新工程により記憶値を更新することで、充電制御の精度を高めることが可能になる。
ここで、事前に充電を促進したにも関わらず、前回の出力余裕度以下になった場合は、以前に記憶された出力余裕度の値を使用することが充電制御の精度を悪化させる虞があると考えられえるので、記憶値更新工程により出力余裕度の値を更新することで、充電制御の精度を高めることが可能になる。
また、記憶値更新工程によりSOC余裕度を更新することで、充電制御の精度を高めることが可能になる。
ここで、燃料電池の劣化がある場合、より蓄電装置のアシストが必要になると考えられるため、最低セル電圧から算出した劣化度合いでSOC余裕度を補正することで、アシスト不足をより確実に防ぐことができる。
また、記憶値更新工程により出力余裕度を更新することで、充電制御の精度を高めることが可能になる。
(燃料電池車)
次に、この発明の第一実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。
図1は、燃料電池車1に搭載されている燃料電池システム2のブロック図である。
同図に示すように、燃料電池システム2は、動力源となる駆動システム50と、この駆動システム3の電源となる電源システム60とを備えている。
駆動モータ4は、不図示のギヤを介して燃料電池車1の車輪に接続されている。駆動モータ4が回転することにより、燃料電池車1が走行するようになっている。
電源システム60は、燃料電池13と、燃料電池13にVCU6を介して接続されている高圧バッテリ15とを備えている。
燃料電池13は、例えば、数十個から数百個のセルが積層されたスタック構造である。各セルは、膜電極構造体(MEA)を一対のセパレータで挟持して構成される。膜電極構造体は、アノード電極(陽極)およびカソード電極(陰極)の2つの電極と、これら電極に挟持された固体高分子電解質膜とで構成される。通常、両電極は、固体高分子電解質膜に接して酸化・還元反応を行う触媒層と、この触媒層に接するガス拡散層とから形成される。
また、燃料電池13で発電された電力は、VCU6、およびPDU5を介して駆動モータ4に供給されると共に、VCU6を介して高圧バッテリ15に供給される。
すなわち、駆動システム50、および電源システム60には、コントローラ30が接続されており、このコントローラ30によって、燃料電池13の電力を駆動モータ4に供給したり高圧バッテリ15に供給したりするようになっている。
走行履歴記憶部31は、GPS衛星等から受信したGPS信号等に基づいて、コントローラ30に接続されているGPS装置25によって求められた燃料電池車1の走行位置を記憶すると共に、記憶された走行位置における高圧バッテリ15のSOCを記憶するためのものである。
充電促進制御部33は、余裕度判断部32の判断結果に基づいて、高圧バッテリ15への充電を促進させるためのものである。
より詳しく、高圧バッテリ15の充電制御方法について説明する。
図2は、コントローラ30全体の充電制御方法の流れを示すフローチャート、図3は、充電制御方法の流れを示す説明図であって、(a)〜(c)は、燃料電池車1が道路Rを走行している状態を示す。
そして、事前に高圧バッテリ15を充電しておく必要があるか否かの判断を行う(ステップS30)。
ステップS60における判断が「No」、つまり、イグニションスイッチがオフされていない場合、再びステップS10に戻り、燃料電池車1の走行位置が以前走行したことのある地点に近づいているか否かの判断を行う。
また、ステップS30における判断が「No」、つまり、事前に高圧バッテリ15を充電しておく必要がない場合もステップS50に進み、走行履歴記憶部31における処理を開始する。
次に、図4、図5に基づいて、余裕度判断部32における処理について説明する。
図4は、余裕度判断部32における処理の流れを示すフローチャートである。
同図に示すように、余裕度判断部32では、まず、以前に記憶された高圧バッテリ15のSOCの実測値、つまり、走行履歴記憶部31に記憶されている高圧バッテリ15のSOCの値からSOCの基準値を減算し、SOC余裕度A1を算出する(ステップS21、SOC余裕度算出工程)。
例えばSOCの目標値は、高圧バッテリ15の満充電に対して約50%程度に設定されている。SOCの変化量は、任意の2地点間で消費された高圧バッテリ15の電力消費量に基づいて設定される。すなわち、任意の2地点間の高圧バッテリ15の充電量における変化量の許容値がSOCの変化量として設定される。
なお、以下の説明においては、SOCの基準値として、SOCの目標値を用いた場合について説明し、その他、SOCの基準値として許容上限値、許容下限値、および変化量の何れかの値を用いた場合についての説明を省略する。
ここで、所定値B1とは、算出されたSOC余裕度A1の値が高圧バッテリ15を事前に充電を促進する必要があるか否かを判断するための指標となる値である。
図5は、縦軸をSOC余裕度A1とし、横軸を以前に記憶された高圧バッテリ15のSOCの実測値からSOCの目標値を減算した値とした場合のSOC余裕度A1の変化を示すグラフである。同図に示すように、SOCの目標値に対してSOCの実測値が小さければ小さいほど、高圧バッテリ15のSOCに余裕がないということになる。
また、所定値B1の値は、走行履歴記憶部31により記憶されている地点ごとに予め設定されている。例えば、コントローラ30に予め地図情報等を記憶しておき、登坂路等の高負荷走行となる地点では、高圧バッテリ15の電力消費量が大きくなるので、この分所定値B1を大きく設定しておく。
一方、ステップS22における判断が「No」、つまり、SOC余裕度A1が所定値B1よりも大きい場合、事前に高圧バッテリ15の充電を促進させておく必要がないと判断する(ステップS24)。そして、余裕度判断部32における処理が完了し、ステップS30(図2参照)に進む。
次に、図6に基づいて、走行履歴記憶部31における処理について説明する。
図6は、走行履歴記憶部31における処理の流れを示すフローチャートである。
同図に示すように、走行履歴記憶部31では、まず、GPS装置25によって求められた燃料電池車1の走行位置を位置データとして記憶すると共に、記憶された走行位置での
高圧バッテリ15のSOCをSOCデータとして記憶する(走行経路記憶工程、SOC記憶工程)。これら位置データとSOCデータは、互いに対応付けされて保存される。
ステップS51における判断が「No」、つまり、以前に同じ地点を走行したときのSOC余裕度A1の値よりも今回余裕度判断部32によって算出されたSOC余裕度A1の値が大きい場合、SOC余裕度A1の値を更新せず(ステップS52)、走行履歴記憶部31における処理が終了する。
これら最低セル電圧や平均セル電圧の値を、前述の余裕度判断部32により算出されたSOC余裕度A1を補正するための値として用いる。
このため、その地点を走行する際、高圧バッテリ15のSOCが不足して燃料電池13を十分にアシストできなくなる虞を防止できる(図3(c)参照)。
図7は、縦軸を駆動システム50の駆動モータ4の出力、高圧バッテリ15のSOC、および高圧バッテリ15の充電促進(ON)、停止(OFF)とし、横軸を燃料電池車1の走行距離とした場合の、駆動モータ4の出力、および高圧バッテリ15のSOCの変化を示すグラフである。なお、図7中、本第一実施形態の充電制御を行った場合の駆動モータ4の出力、および高圧バッテリ15のSOCの変化を破線で示し、従来の駆動モータ4の出力、および高圧バッテリ15のSOCの変化を実線で示している。
一方、本第一実施形態の充電制御を行う場合、高負荷運転地点に近づくと、事前に高圧バッテリ15の充電が促進され、高負荷運転地点に近づく前に、高圧バッテリ15のSOCが十分確保される。このため、高負荷運転地点付近において、高圧バッテリ15の燃料電池13に対するアシストが十分行われ、駆動モータ4に出力制限がかからず、所望の出力を発揮できる。
したがって、上述の第一実施形態によれば、燃料電池車1による運転状況の差を考慮して必要に応じて事前に高圧バッテリ15の充電を促進することができるので、駆動モータ4の出力が制限される可能性を低減できる。よって、適正な制御を行うことにより、運転者が要求する走行性能を確実に維持することが可能になる。
さらに、所定値B1の値は、走行履歴記憶部31により記憶されている地点ごとに予め設定されているので、必要以上に所定値B1を設定する必要がなく、余裕度判断部32でのデータ量を必要最低限に抑えることができる。このため、制御の簡素化を図ることが可能になる。そして、例えば、コントローラ30に予め地図情報等を記憶しておき、登坂路等の高負荷走行となる地点では、高圧バッテリ15の消費量が大きくなるので、この分所定値B1を大きく設定しておくことで、余裕度判断部32での判断結果の精度を高めることができる。
次に、この発明の第二実施形態を図2を援用し、図8〜図13に基づいて説明する。なお、第一実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明する。
図8は、燃料電池車1に搭載されている燃料電池システム200のブロック図である。
この第二実施形態において、燃料電池システム2は、動力源となる駆動システム50と、この駆動システム3の電源となる電源システム60とを備えている点、駆動システム50は、駆動モータ4と、駆動モータ4の駆動を制御するPDU5と、燃料電池システム2から駆動モータ4に供給される電力を調整するVCU6とを備えている点、電源システム60は、燃料電池13と、燃料電池13にVCU6を介して接続されている高圧バッテリ15とを備えている点、駆動システム50、および電源システム60には、コントローラ300が接続されており、このコントローラ300によって、燃料電池13の電力を駆動モータ4に供給したり高圧バッテリ15に供給したりするようになっている点等の基本的構成は、前述した第一実施形態と同様である。
なお、高圧バッテリ15の充電制御を行うにあたり、駆動モータ4、燃料電池13、および高圧バッテリ15の何れかの出力を用いても基本的な制御方法は同様であるので、以下の説明においては、高圧バッテリ15の出力を用いて高圧バッテリ15の充電制御を行う場合についてのみ説明する。
図9は、第二実施形態における余裕度判断部320での処理の流れを示すフローチャートである。
同図に示すように、余裕度判断部320における処理では、走行履歴記憶部31で記憶された高圧バッテリ15の実測出力データから目標出力データを減算し、出力余裕度A2を算出する(ステップS210、出力余裕度算出工程)。
なお、前述の第一実施形態と同様に、出力余裕度A2を、燃料電池13の最低セル電圧等に基づいて補正してもよい(出力余裕度補正工程)。
ここで、所定値B2とは、出力余裕度A2の値が、事前に高圧バッテリ15を充電する必要があるか否かの判断を行うための指標となる値である。
図10は、縦軸を出力余裕度A2とし、横軸を実測出力データから目標出力データを減算した値とした場合の出力余裕度A2の変化を示すグラフ、図11は、正常運転時の燃料電池13、駆動システム50、および高圧バッテリ15の出力変化を示すグラフ、図12は、出力制限がかかる場合の燃料電池13、駆動システム50、および高圧バッテリ15の出力変化を示すグラフである。
つまり、正常運転時には、実測出力J1(図11における実線参照)が目標出力M1(図11における点線参照)を満たす。また、燃料電池13、駆動システム50、および高圧バッテリ15の上限出力U1(図11における破線参照)が目標出力M1’を下回ることがない。
ここで、所定値B2よりも出力余裕度A2が下回った場合、高圧バッテリ15のSOCが不足していると判断する。
また、所定値B2の値は、走行履歴記憶部310により記憶されている地点ごとに予め設定されている。例えば、コントローラ300に予め地図情報等を記憶しておき、登坂路等の高負荷走行となる地点では、高圧バッテリ15の消費量が大きくなるので、この分所定値B2を大きく設定しておく。
一方、ステップS220における判断が「No」、つまり、出力余裕度A2が所定値B2よりも大きい場合、事前に高圧バッテリ15の充電を促進する必要がないと判断する(ステップS240)。そして、余裕度判断部320における処理が完了し、ステップS30(図2参照)に進む。
図13は、第二実施形態における走行履歴記憶部310での処理の流れを示すフローチャートである。
同図に示すように、走行履歴記憶部310の処理は、前述の第一実施形態の走行履歴記憶部31の処理と基本的には同様である。ここで、走行履歴記憶部310における記憶値更新工程が前述の第一実施形態と異なってくる。
また、走行履歴記憶部310での処理におけるステップS540では、SOC余裕度A1に代わって出力余裕度A2の値を更新する(記憶値更新工程)。
例えば、上述の第二実施形態では、GPS装置25によって求められた位置データと各出力データとを対応付け、各出力データに基づいて高圧バッテリ15の充電制御を行う場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、所定の走行区間と各出力データとを対応付け、所定の走行区間に近づいたとき、事前に高圧バッテリ15の充電を促進するか否かを判断してもよい。
さらに、上述の実施形態では、燃料電池車1に搭載されている燃料電池システム2,200の高圧バッテリ15の充電制御方法について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ハイブリッド車に用いられる高圧バッテリにも上述の実施形態を適用することが可能である。
Claims (5)
- 少なくとも1つの蓄電装置を有する電動車両に備えられ、閾値以上のSOCを保つように制御される蓄電装置の充電制御方法であって、
前記電動車両の走行経路を記憶する走行経路記憶工程と、
前記走行経路記憶工程による前記走行経路の記憶時に、前記走行経路上の区間、および地点の何れか一方における蓄電装置のSOCを記憶するSOC記憶工程と、
前記走行経路と前記SOCを記憶したよりも後に、記憶された前記走行経路上の区間、および地点の何れか一方を走行することが予測された場合、予め設定された基準値と記憶されている前記SOCとに基づいて、SOC余裕度を算出するSOC余裕度算出工程と、
前記SOC余裕度算出工程において算出された余裕度が、前記走行経路上の区間、および地点の何れか一方を走行後に基準値以下となる場合には、この基準値以下となる前記走行経路上の区間、および地点の何れか一方を走行するよりも前に、前記蓄電装置の充電を促進する充電促進工程と、
前記充電促進工程により、事前に充電を促進した後、記憶された前記走行経路上の区間、および地点の何れか一方を走行した際、今回記憶されたSOC余裕度の値が、以前に記憶されたSOC余裕度の値よりも小さい場合、記憶する値を今回のSOC余裕度の値に更新する記憶値更新工程と、
からなることを特徴とする充電制御方法。 - 請求項1に記載の充電制御方法であって、
前記電動車両は、燃料電池を備えた燃料電池車両であることを特徴とする充電制御方法。 - 請求項2に記載の充電制御方法であって、
前記記憶値更新工程に、前記燃料電池の最低セル電圧を記憶するセル電圧記憶工程を含み、
前記記憶値更新工程よりも後に、前記走行経路上の区間、および地点の何れか一方を走行することが予測された場合、現在の最低セル電圧を検出するセル電圧検出工程と、
以前に前記セル電圧記憶工程で記憶された最低セル電圧と、現在の最低セル電圧とに基づいて、前記SOC余裕度を補正する余裕度補正工程と、
を有することを特徴とする充電制御方法。 - 電源装置として少なくとも蓄電装置を有する電動車両に備えられ、閾値以上のSOCを保つように制御される蓄電装置の充電制御方法であって、
前記電動車両は少なくとも一つの駆動装置を備え、
前記電動車両の走行経路を記憶する走行経路記憶工程と、
前記走行経路記憶工程による前記走行経路の記憶時に、前記走行経路上の区間、および地点の何れか一方における前記電源装置、および駆動装置の少なくとも何れか一方の目標出力を記憶する目標出力記憶工程と、
前記走行経路記憶工程による前記走行経路の記憶時に、前記走行経路上の区間、および地点の何れか一方における前記電源装置、および駆動装置の少なくとも何れか一方の実測出力を記憶する実測出力記憶工程と、
前記走行経路と出力を記憶したよりも後に、記憶された走行経路上の区間、および地点の何れか一方を走行することが予測された場合、記憶された前記目標出力と前記実測出力とに基づいて、出力余裕度を算出する出力余裕度算出工程と、
前記出力余裕度算出工程により算出された出力余裕度が閾値以下の場合には、予測されている走行経路上の区間、および地点の何れか一方を走行するよりも前に、前記蓄電装置の充電を促進する充電促進工程と、
前記充電促進工程により、事前に充電を促進した後、記憶された前記走行経路上の区間、および地点の何れか一方を走行した際、今回記憶された出力余裕度の値が、以前に記憶された出力余裕度の値よりも小さい場合、記憶する値を今回の出力余裕度の値に更新する記憶値更新工程と、
からなることを特徴とする充電制御方法。 - 請求項4に記載の充電制御方法であって、
前記電動車両は、燃料電池を備えた燃料電池車両であることを特徴とする充電制御方法。
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