JP2005271247A - Frpの補強・補修方法 - Google Patents
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Abstract
FRPの補強・補修方法において、補強・補修を補修前の形状や機能を復元しつつ、かつ、実施する場所の自由度が高いと言う利点を維持した上で、接着強度を含む強度特性の向上と安定性を高めて、品質が保証できるFRPの補強・補修方法を提供すること。
【解決手段】
本発明に係るFRPの補強・補修方法は、少なくとも以下の(A)〜(E)の工程からなることを特徴とするFRPの補強・補修方法である。
(A)FRP1の補強、補修が所望される欠陥部2の外表面に、接着層3を被覆する接着層被覆工程。
(B)接着層3の上に少なくとも強化繊維基材からなるプリフォーム4を配置するプリフォームセット工程。
(C)プリフォーム4に減圧吸引口6と樹脂注入口5とを接続し、少なくとも接着層とプリフォームの部分をバッグ材9で覆う密閉工程。
(D)バッグ材9で覆われて形成されたキャビテイ内を減圧し、樹脂注入口5から樹脂を注入してプリフォーム4内に樹脂を含浸させる樹脂含浸工程。
(E)注入した樹脂をキュアするキュア工程。
【選択図】図2
Description
(A)接着層3の被覆工程
まず、第2図に示すように、FRP1の欠陥部2に対して、少なくとも欠陥部2の領域の外表面に接着層3を被覆する。接着層3としては、FRP1と補強・補修部材としてのプリフォーム4の接着強度を向上できる樹脂材料であれば特に限定されず、後述の含浸工程において注入される樹脂と同系の樹脂を含むことが接着強度を向上させる点から好ましい。接着層3の形態は、被塗布面に充分保持されれば特に限定されるものでは無いが、例えば、粉体状、液状、ゲル状、フィルム状の樹脂材料のいずれを用いても良い。厚みを均一化して接着強度を保証する点からは、フィルム状接着剤を用いることが好ましい。
(B)プリフォーム4のセット工程
次に、図2に示すように、接着層3上に少なくとも強化繊維からなる所望の形状をしたプリフォーム4をセットする。プリフォーム4の断面形状は、欠陥部2の存在により生じたFRP1の剛性低下分を、充分に補剛しうる断面形状とすることが好ましく、例えば、矩形、C型、I型、L型、Z型、T型、またはハット型にしても良い。また、樹脂を素早くプリフォーム内に流動させる必要性から、プリフォーム4上に離型性のあるピールプライ13と樹脂拡散媒体14を配置することが好ましい。ピールプライ13は、硬化後に樹脂拡散媒体14が容易に離型できれば特に材質を限定するものではないが、例えばナイロン製織布を使用することが好ましい。樹脂拡散媒体14としては、樹脂流動抵抗がプリフォーム4より低ければ特に限定するものではないが、例えば網目状のシートや樹脂流路としての溝を付けた平板を使用することが好ましい。なお、強化繊維は特に限定するものではないが、たとえば、炭素繊維、ガラス繊維、有機繊維、金属繊維、セラミック繊維、これらの組合わせなどを使用することができる。本発明における高強度、高品質の補強・補修方法を提供できる特徴から、プリフォーム4の強化繊維に炭素繊維を用いても良いし、FRP1が炭素繊維で構成されるCFRPであっても良い。
(C)密閉工程
次に、プリフォーム4に樹脂を注入する注入口5とプリフォーム4を減圧する吸引口6とを配置し、接続する。具体的には、図2に示すように、樹脂拡散媒体14の左側に樹脂の注入口5を配置する。樹脂の注入口5は、プリフォーム4の幅方向(第2図の紙面に対して垂直方向)に樹脂が拡散しやすいようにFRP1方向に開口している型材を使用することが好ましく、例えばアルミニューム製のCチャンネルを使用することができる。樹脂ポット10は樹脂注入口5の近くに設置して、注入ライン21で注入口5と連通させる。樹脂ポット10は、補強・補修を実施する場所を選ばず自由度が高いと言う本発明の特徴を発揮させるために、移動式にすることが好ましい。
(D)マトリックス樹脂の含浸工程
次に、吸引側のバルブ12bを開き、減圧吸引口6よりバッグ内を減圧する。成形体内に空気を残存させないためには、20torr以下まで減圧することが好ましい。本発明では、バッグ内を減圧することにより、補強・補修部位やプリフォーム4内の空気の残存が極めて少なくなるために、補強・補修部位にボイドによる強度低下が極めて少ない補強・補修が可能となる。
(F)マトリックス樹脂のキュア工程
プリフォーム4への樹脂含浸が完了したら、注入側のバルブ12aを閉鎖する。吸引側のバルブ12bについては、揮発性のガスを抜きたい場合や充分に減圧して成形体の繊維体積含有率を上げたい場合には開放させたままで良いが、表面の平滑性が必要な場合は過剰に樹脂が吸引されないように閉止しても良い。次に、必要に応じて成形部の温度を硬化温度まで上げて、成形体を固化させる。なお、本工程においては、耐熱性が必要なFRP1の補強・補修等で、樹脂のTgを上げる必要がある場合等は、注入工程と同様にプリフォーム4の温度を80℃〜200℃に加熱することが好ましい。
第2図に示すように、東レ株式会社製一方向炭素繊維織物(“トレカ”T800S×190g/m2目付)と東レ株式会社製エポキシ樹脂TR−A36からなる1000mm×500mm×5mmtのFRP1の表面に、長さ50mm×幅2mm×深さ1mmの欠陥部2(鋭利な突起物で付いた傷)が生じた。
第3図に示すように、東レ株式会社製一方向炭素繊維織物(“トレカ”T800S×190g/m2目付)と東レ株式会社製エポキシ樹脂TR−A36からなるI型ストリンガー付きのFRP1のストリンガーの内部に、複数の欠陥部2(衝撃による層間剥離)が生じた。
2:欠陥部
3:接着層
4:プリフォーム(補強・補修部材)
5:注入口
6:吸引口
7:真空トラップ
8:真空ポンプ
9:バッグ材
10:樹脂ポット
11:シーラント
12a:バルブ(注入側)
12b:バルブ(吸引側)
13:ピールプライ
14:樹脂拡散媒体
15:局所加熱装置
21:注入ライン
22:吸引ライン
31:通気材料
51:桁材
61:成形ツール
62:プレッシャープレート
101:切除領域
Claims (14)
- 少なくとも以下の(A)〜(E)の工程からなることを特徴とするFRPの補強・補修方法。
(A)FRPの補強、補修が所望される欠陥部の外表面に、接着層を被覆する接着層被覆工程。
(B)接着層の上に少なくとも強化繊維基材からなるプリフォームを配置するプリフォームセット工程。
(C)プリフォームに減圧吸引口と樹脂注入口とを接続し、少なくとも接着層とプリフォームの部分をバッグ材で覆う密閉工程。
(D)バッグ材で覆われて形成されたキャビテイ内を減圧し、樹脂注入口から樹脂を注入してプリフォーム内に樹脂を含浸させる樹脂含浸工程。
(E)注入した樹脂をキュアするキュア工程。 - 接着層が、フィルム状、粉体状、液体状、またはゲル状の樹脂材料であることを特徴とする請求項1に記載のFRPの補強・補修方法。
- 接着層の被覆工程(A)の前に、少なくとも欠陥部を含むFRPの一部を除去する欠陥部除去工程を設けることを特徴とする請求項1または2に記載のFRPの補強・補修方法。
- 接着層の被覆工程(A)の前に、欠陥部または欠陥部の除去部分を、樹脂、パテ材、または強化繊維基材からなるプリフォームを用いて補修する工程を設けることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のFRPの補強・補修方法。
- 密閉工程(C)において、接着層で被覆される部分以外には注入される脂が流出しないように、樹脂の流れ止めを設けることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のFRPの補強・補修方法。
- キュア工程(E)において、プリフォームの温度を50℃〜200℃の範囲に加熱することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のFRPの補強・補修方法。
- 含浸工程(D)において、プリフォームの温度を50℃〜100℃の範囲に加熱することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のFRPの補強・補修方法。
- プリフォームの加熱装置として、局所加熱装置を用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のFRPの補強・補修方法。
- プリフォームの加熱装置として、加熱炉を利用することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のFRPの補強・補修方法。
- 繊維強化基材として、炭素繊維を用いることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のFRPの補強・補修方法。
- FRPは、強化繊維が少なくとも炭素繊維で形成されるCFRPであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のFRPの補強・補修方法。
- 注入樹脂の粘度として、注入温度で10〜1500mPa・sのものを用いることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のFRPの補強・補修方法。
- 密閉工程(C)において、プリフォーム上に少なくとも樹脂拡散媒体を配置することを特徴とする請求項に1〜12のいずれかに記載のFRPの補強・補修方法。
- 航空機、自動車もしくは船舶の輸送機器における一次構造部材、二次構造部材、外装部材、内装部材またはそれらの部品として用いられているFRP構造体を補強・補修することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のFRPの補強・補修方法。
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