JP2005271123A - 被覆部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】
近年、切削加工の高能率化、省力化に対する要求は強く、これに伴い、切削加工は高速化し、高送り、高切り込みなど、切削条件が過酷になる傾向がある。従来の表面被覆超硬合金製切削工具では、層間の密着性が不足するため外側層が剥離して短寿命になるという問題がある。そこで本発明は層間の密着性に優れた被覆部材の提供を目的とする。
【解決手段】
基材とその表面に被覆された被覆層とを備え、被覆層の少なくとも1層は基材に対して垂直に成長した薄片状結晶からなる薄片状結晶層であり、薄片状結晶は、表面から観察したとき略菱形の断面形状を持ち、略菱形の断面形状の長径は0.4〜2.0μmであり、略菱形の断面形状の長径に対する短径の比(短径/長径)は0.01〜0.5である被覆部材は、層間の密着性に優れる。
近年、切削加工の高能率化、省力化に対する要求は強く、これに伴い、切削加工は高速化し、高送り、高切り込みなど、切削条件が過酷になる傾向がある。従来の表面被覆超硬合金製切削工具では、層間の密着性が不足するため外側層が剥離して短寿命になるという問題がある。そこで本発明は層間の密着性に優れた被覆部材の提供を目的とする。
【解決手段】
基材とその表面に被覆された被覆層とを備え、被覆層の少なくとも1層は基材に対して垂直に成長した薄片状結晶からなる薄片状結晶層であり、薄片状結晶は、表面から観察したとき略菱形の断面形状を持ち、略菱形の断面形状の長径は0.4〜2.0μmであり、略菱形の断面形状の長径に対する短径の比(短径/長径)は0.01〜0.5である被覆部材は、層間の密着性に優れる。
Description
本発明は、被覆層の層間の密着性に優れた被覆部材に関するものである。
切削工具などに用いられる被覆部材として、超硬合金の基体の表面に化学蒸着法を用いて、TiC、TiN、Ti(C,N)などのチタン化合物層と、Al2O3などの酸化アルミニウム層とを積層した被覆超硬合金がよく知られている。しかしチタン化合物層と酸化アルミニウム層とは密着性が悪く、層間で剥離するため工具寿命は向上しなかった。そこで、これらの層間の密着性向上が求められていた。
チタン化合物層と酸化アルミニウム層との層間の密着性を向上させることを目的とした従来技術として、炭化チタン層、窒化チタン層および炭窒化チタン層のうちの1種以上からなる内側層と、酸化アルミニウム層からなる外側層との間に、炭酸化チタン層および/または炭窒酸化チタン層からなる中間層を設けて、中間層における外側層との界面部分が先鋭針状結晶構造としたことを特徴とする表面被覆超硬合金製切削工具がある(例えば、特許文献1参照。)。
近年、切削加工の高能率化、省力化に対する要求は強く、これに伴い、切削加工は高速化し、高送り、高切り込みなど、切削条件が過酷になる傾向がある。従来の表面被覆超硬合金製切削工具では、層間の密着性が不足するため外側層が剥離して短寿命になるという問題がある。そこで本発明は層間の密着性に優れた被覆部材の提供を目的とする。
チタン化合物の内側層と酸化アルミニウムの外側層との間に、外側層との界面部分を先鋭針状結晶構造とした中間層を設けて密着性を向上させる方法は、層間を剥離する力がかかったとき、先鋭針状結晶が破壊しやすく十分な密着性が得られない。本研究者は、層間の密着性が高い密着層の開発に取り組んだところ、密着層の表面形状を薄片状にすると、層間の密着性を増加させることに見出した。
すなわち、本発明の被覆部材は、基材とその表面に被覆された被覆層とを備え、被覆層の少なくとも1層は基材に対して垂直に成長した薄片状結晶からなる薄片状結晶層であることを特徴とする。
本発明の被覆部材の基材としては、従来から切削工具材種として用いられている材料からなり、具体的には、WC−Co系、WC−(W,Ti,Ta)C−Co系、WC−TaC−Co系に代表される超硬合金、TiC−Mo−Ni系、Ti(C,N)−WC−TaC−Ni−Co系などのサーメット、Al2O3系、Al2O3−TiC系、Si3N4系などのセラミックス、立方晶窒化硼素焼結体、高速度鋼、工具鋼などを挙げることができる。その中でも超硬合金は耐摩耗性と耐欠損性に優れているため、さらに好ましい。
本発明の被覆部材の被覆層は、周期律表4a、5a、6a族元素、アルミニウム、シリコンの炭化物、窒化物、酸化物、硼化物、これらの相互固溶体、ダイヤモンド、ダイヤモンド状カーボン、窒化硼素の中から選ばれた少なくとも1種からなる。具体的には、TiC、TiN、Ti(C,N)、Ti(C,N,O)、(Ti,Al)N、(Ti,Al)(C,N)、(Ti,Al)(C,N,O)、(Ti,Si)N、(Cr,Si)N、ZrN、HfN、VN、Al2O3、ZrO2、ダイヤモンド、ダイヤモンド状カーボン、cBN、hBNなどを挙げることができる。
本発明の被覆部材の薄片状結晶層は基材に対して垂直に成長した薄片状結晶からなる。薄片状結晶は先鋭針状結晶よりも強度があり、接触面積が大きく、隣接した被覆層内に楔状に食い込むため、薄片状結晶層に接する被覆層を機械的に強固に密着させることができる。薄片状結晶層の薄片状結晶は、表面から観察したとき略菱形の断面形状を持ち、略菱形の断面形状の長径は0.4〜2.0μmであり、略菱形の断面形状の長径に対する短径の比(短径/長径)が0.01〜0.75であると薄片状結晶の強度が高く、薄片状結晶層に接する被覆層を機械的に強固に密着させる効果が高いため、好ましい。その中でも略菱形の断面形状の長径に対する短径の比(短径/長径)は0.2〜0.5であると、さらに好ましい
炭化チタン、窒化チタン、炭窒化チタンの中の少なくとも1種からなるチタン化合物層と、酸化アルミニウム層とは密着性が低い。これらの間に本発明の薄片状結晶層を存在させると、本発明の薄片状結晶層を介してチタン化合物層と酸化アルミニウム層とを強固に密着させることができる。特に、基材に近い内側層をチタン化合物層とし、その上を本発明の薄片状結晶層とし、さらに、その上の外側層を酸化アルミニウム層とした被覆部材は、層間の密着性に優れるため、チタン化合物層の耐摩耗性と、酸化アルミニウム層の耐酸化性、耐溶着性、高温硬さとを兼ね備えることができる。このような構成をもつ本発明の被覆部材を切削工具として用いると優れた切削性能を示す。
本発明の被覆部材の薄片状結晶層が、チタンアルミニウムの炭酸化物、窒酸化物、炭窒酸化物の中の少なくとも1種からなると、薄片状結晶の略菱形の断面形状の(短径/長径)比を小さくできるとともに、薄片状結晶の高さを0.1〜2.0μmと大きくすることができ、楔効果を高めるため非常に好ましい。また、チタンアルミニウムの炭酸化物、窒酸化物、炭窒酸化物は、チタン化合物層と酸化アルミニウム層とそれぞれ共通する元素があるため、チタン化合物層と酸化アルミニウム層との間に存在させるとこれらを強固に密着させることができる。チタンアルミニウムの炭酸化物、窒酸化物、炭窒酸化物として、具体的には、(Ti,Al)(C,O)、(Ti,Al)(N,O)、(Ti,Al)(C,N,O)などを挙げることができる。
本発明の薄片状結晶層を作製するためには、化学蒸着法において原料ガス中のハロゲン化金属ガス量に対する非金属ガス量の体積比を調節することが重要である。例えば、チタンアルミニウムの炭酸化物、窒酸化物、炭窒酸化物の中の少なくとも1種からなる薄片状結晶膜を作製するには、原料ガス中の四塩化チタンに対する一酸化炭素の体積比を0.9〜1.1の範囲に調整するとよい。
本発明のチタンアルミニウム炭窒酸化物からなる薄片状結晶層が最表面になるように被覆した試料を走査型電子顕微鏡で観察した。図1に薄片状結晶層の表面組織を示す。図1より薄片状結晶は基材に対して垂直に成長していることが分かる。
本発明の被覆部材は、薄片状結晶層の薄片による楔効果により、隣接する層を強固に密着させる。被覆層のうち特にチタン化合物層と酸化アルミニウム層との密着性を顕著に向上させる効果が高い。そのため、本発明の被覆部材を切削工具として用いた場合、工具寿命の長寿命化が実現できる。
K20種相当の超硬合金製切削工具をCVD炉内に装入した後、炉内温度を900℃まで加熱し、表1に示す条件で厚さ1μmの第1層目のTiN層を被覆し、その後、H2雰囲気にて炉内温度を1000℃まで上昇させ、表1に示す条件で厚さ8μmの第2層目のTiCN層を被覆し、次いで表2に示される条件で密着層(第3層)を被覆した。さらに、表1に示す条件で厚さ1μmのAl2O3層(第4層)を被覆した。最後に表1に示す条件で厚さ0.5μmのTiN層(第5層)を被覆し、本発明品および比較品を作製した。
得られた本発明品および比較品について、各試料の密着層高さの中間まで研削加工およびラップ加工して表面側から密着層の断面形状を走査型電子顕微鏡により観察した。断面形状が、略菱形の本発明品については、略菱形の断面形状の長径と(短径/長径)比を測定した。その結果を表3に示す。
次に、切削速度Vc=150m/min、送りf=0.35mm/rev、切り込みap=2.0mm、水溶性切削油を使用し、被削材には4本のV形溝のある鋳鉄FCD600を用いる切削試験を行った。この試験条件では、試料のAl2O3層の密着性が高いほど、すくい面の摩耗量、逃げ面の摩耗量、逃げ面の最大摩耗量は少ない。そこで、切削数が20Passに達した時点でのすくい面の摩耗量、逃げ面の平均摩耗量、逃げ面の最大摩耗量を測定した。その結果を表4に示す。
表4に示されるように、すくい面の摩耗量、逃げ面の平均摩耗量、逃げ面の最大摩耗量において本発明品は比較品よりも優れている。切削試験結果より本発明品は、Al2O3層の密着性に優れていることが分かる。
Claims (5)
- 基材とその表面に被覆された被覆層とを備え、被覆層の少なくとも1層は基材に対して垂直に成長した薄片状結晶からなる薄片状結晶層である被覆部材。
- 薄片状結晶は、表面から観察したとき略菱形の断面形状を持ち、略菱形の断面形状の長径は0.4〜2.0μmであり、略菱形の断面形状の長径に対する短径の比(短径/長径)は0.01〜0.5である請求項1に記載の被覆部材。
- 被覆層の少なくとも1層は炭化チタン、窒化チタン、炭窒化チタンの中の少なくとも1種からなるチタン化合物層であり、被覆層の少なくとも1層は酸化アルミニウム層であり、薄片状結晶層の少なくとも1種は、チタン化合物層と酸化アルミニウム層との間に存在する請求項1または2に記載の被覆部材。
- 薄片状結晶層は、チタンアルミニウムの炭酸化物、窒酸化物、炭窒酸化物の中の少なくとも1種からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の被覆部材。
- 基材は、超硬合金からなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の被覆部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004086509A JP2005271123A (ja) | 2004-03-24 | 2004-03-24 | 被覆部材 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004086509A JP2005271123A (ja) | 2004-03-24 | 2004-03-24 | 被覆部材 |
Publications (1)
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009119554A (ja) * | 2007-11-14 | 2009-06-04 | Mitsubishi Materials Corp | 表面被覆切削工具 |
JP2010228031A (ja) * | 2009-03-26 | 2010-10-14 | Mitsubishi Materials Corp | ダイヤモンド被覆切削工具 |
WO2013081047A1 (ja) * | 2011-11-29 | 2013-06-06 | 京セラ株式会社 | 被覆工具 |
US8747990B2 (en) | 2009-11-06 | 2014-06-10 | Tungaloy Corporation | Coated tool |
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2004
- 2004-03-24 JP JP2004086509A patent/JP2005271123A/ja active Pending
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