JP2005269760A - 充電電池あるいは充電電池パック - Google Patents

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Abstract

【課題】残容量の算出精度を向上させることができる充電電池および充電電池パックを提供する。
【解決手段】充電電池が放電状態にあるときに積算放電量を算出して記憶する積算放電量算出手段と、充電電池の等価回路の回路素子のデータを記憶する素子データ記憶手段と、素子データ記憶手段のデータと現在の放電電流値から充電率に応じた推定放電特性を得る推定放電特性算出手段と、放電開始時の充電電池の残容量とその後に積算放電量算出手段により算出される積算量とに応じて算出する充電率算出手段と、現在の充電率における充電電池の電圧値と満充電時の電圧値との差と、現在の充電率に対応する推定放電特性から得られる電圧値と満充電時の電圧値との差の比率を算出して推定放電特性を前記比率に応じて補正する放電特性補正手段とを備え、前記の放電開始時における充電電池の残容量を補正した推定放電特性により得るものである。
【選択図】図1

Description

この発明は、充電電池あるいは充電電池パックに関し、詳しくは、充電コントローラを有するリチウム・イオン二次蓄電池(以下リチウム電池)あるいはその充電電池パックにおいて、充電電池の残容量を外部に出力することが可能な回路を有し、この回路が算出する残容量の算出精度を向上させることができるような回路と一体化された充電電池および充電電池パックに関する。
従来、リチウム電池等の充電は、蓄電池が放電後の状態にあるものとすれば、最初は定電流での充電が行われ、次にかなり充電されてほぼ満充電に近い状態になったときに定電圧での充電形態に切り換わり、この定電圧充電の下で、充電電流が所定値以下になったとき、あるいは充電電圧が所定値以上になったとき、十分に充電が行われたものとしてスイッチをOFFして充電を終了させる制御が行われている。そして、リチウムイオン電池あるいはその充電電池パック側には、過充電を防止するために充電制御のコントローラ(またはその一部の回路)が内蔵されあるいは一体化されている。
この種の充電電池および充電電池パック(以下充電電池で代表)は、携帯型電話、携帯型のコンピュータやハンドヘルド電子装置等の電子装置に内蔵され、充電電池の電圧が所定値以下に降下すると電子装置側の充電回路により充電が行われ、その充電電流を受け、充電が完了したときに充電を終了させ、電池駆動のときには電子装置側に電力を供給するために放電を行う。そのために充電制御のコントローラは、充電電池の正極側と充電端子との間を双方向に電流を流す充放電切換のスイッチ回路あるいは切換デバイス等を設けて電流方向を切換えるようになっている。
また、充放電切換のスイッチ回路の多くは、充電、放電のそれぞれの方向にスイッチ回路等に並列にダイオードを挿入して一方向の電流を選択し、逆方向の電流を阻止するダイオード回路を有している。
この種の充電電池を有する電子装置にあっては、AC電源に接続され電子装置が動作していないとき、あるいは動作しているときに、充電電池に対して充電が行われ、AC電源が取り外されて電子装置を動作させるときには充電電池からの電力により電子装置が動作する。
最近では、この種の電子装置に内蔵されるバッテリーとしてスマートバッテリ規格に従ったバッテリーが開発され、使用されている。このスマートバッテリ規格では、SMバスにより電子装置内のプロセッサ(MPU)と充電電池に内部回路として設けられたプロセッサを有するコントロール回路とが接続されて、充電電池の状態を電子装置内のプロセッサ(MPU)にデータとして送出することができる。
この電池の状態として転送されるデータの1つに、充電電池の残容量を示すデータがある。充電電池の残容量データは、通常、電子装置内で予定されているデータ処理が現在の充電電池の残容量により誤動作なく、処理できるかどうかの判定に利用される。
従来、スマートバッテリ規格に従ったバッテリーにおいて、充電電池の残容量を電子装置側に送出する場合には、使用の都度放電電流値を検出して満充電のときから現在までの使用電流値から使用電荷量(使用放電量)を求め、求められた使用電荷量をあらかじめ設定されている放電終止電圧までの総放電容量(例えば、充電電池の電圧が3.0Vになったのときの固定の総放電容量値Qo)から減算することで求められている。
しかし、そのときどきの放電電流値や温度等、その他の放電条件が相違すれば、それに応じて放電停止までの総放電容量が相違するので、残容量も変動してくる。そのため、放電末期から満充電終了までの充電量、あるいは放電量を計測することにより満充電容量の測定、いわゆる満充電学習が行われている(特許文献1)。
また、このような満充電学習を不要とするために、充電電池について開放回路電圧特性(以下OCV特性)を測定してその測定値(データ)をメモリに関数データあるいはテーブルとして記憶しておき、この特性を利用して満充電容量を算出し、残容量を検出することが行われている。OCV特性は、電池の劣化状態に依存しないとう特徴があるので、電池劣化を考慮せずに残容量の算出ができる利点がある。
なお、OCV特性は、図2に示すものであり、実質的に負荷を接続しない状態で、長時間、例えば、8時間以上放置されたときの電池の端子間電圧V(開放電圧V)と、満充電のときの容量を1としたときの充電容量の割合(%)との関係を特性として示すものである。
特開2001−51029号公報。
後者のOCV特性を利用して残容量検出をする場合においては、充電の開始前と充電終了後に充電電池の電圧を測定して、この2つの電圧値からOCV特性を参照してそれぞれの充電率K(%)を求めて、さらにこれらの差の充電率を求める。さらに現在の充電電流を積分して充電量を求めて、(充電量/差充電率)×100により満充電量Fを求めるものである。そして、充電が行われる都度、算出した満充電量Fを更新記憶する。
放電時においては、放電開始時点における充電電池の電圧からOCV特性を参照して充電率K(%)を求め、F×K(%)により、そのときの放電開始時の残容量が算出される。これと実際の放電電流とからそのときどきの残容量を算出するものである。
これとは別に、出願人による特願2001−245224号に記載されるように、充電電池の等価回路のデータを記憶しておき、そのときどきの放電電流値から放電特性を推定して推定放電特性により残容量を算出することが行われる。
これは、溶液抵抗Rと、電荷移動抵抗r、ワーブルグインピーダンス(拡散抵抗)Zw、電池容量C、そして理想電池Epとかなる回路を充電電池を等価回路として、この等価回路を溶液抵抗Rの値と、電荷移動抵抗rおよびワーブルグインピーダンス(拡散抵抗)Zwの値を充電率の関数としてデータあるいはテーブル化しておき、放電開始時の放電電流値と前記等価回路とから放電特性を推定して、放電開始時の放電電流値でそのまま放電が継続すると仮定したときの推定放電特性上から残容量を算出するものである。
このような残容量算出にあっては、OCV特性を参照して残容量を推定し、あるいは放電特性の推定に基づいて残容量を算出する関係から実際の残容量との誤差が発生し、要求される算出精度に応えきれない問題がある。
この発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決するものであって、残容量の算出精度を向上させることができる充電電池および充電電池パックを提供することにある。
このような目的を達成するためのこの発明の充電電池あるいは充電電池パックの構成は、充電電池が放電状態にあるときに放電開始時から現在までの放電電荷の積算放電量を算出して記憶する積算放電量算出手段と、充電電池の等価回路を形成するための回路素子のデータを記憶する素子データ記憶手段と、素子データ記憶手段のデータを参照して現在の放電電流値から充電率に応じた推定放電特性を得る推定放電特性算出手段と、放電開始時における充電電池の残容量とその後に積算放電量算出手段により算出される積算量とに応じて充電電池の現在の充電率を算出する充電率算出手段と、現在の充電率における充電電池の電圧値と満充電時の電圧値あるいはこれに相当する所定の電圧値との第1の差と、現在の充電率に対応する推定放電特性から得られる電圧値と満充電時の電圧値あるいはこれに相当する所定の電圧値との第2の差の比率を算出して推定放電特性を前記比率に応じて補正する放電特性補正手段とを備えていて、前記の放電開始時における充電電池の残容量を補正した推定放電特性により得るものである。
このように、現在の充電率における充電電池の電圧値と満充電時の電圧値あるいはこれに相当する所定の電圧値との第1の差と、現在の充電率に対応する推定放電特性から得られる電圧値と満充電時の電圧値あるいはこれに相当する所定の電圧値との第2の差の比率を算出して、放電特性補正手段により推定放電特性を前記の比率に応じて補正するようにしているので、推定放電特性を実際の放電特性に近づけることが可能になる。
その結果、推定放電特性が実測値の特性に近い形で補正されるので、放電開示時に推定放電特性に応じて充電電池の残容量を算出してもその精度が向上し、この残容量に基づいてその後の充電電池の残容量を積算放電量から算出してもあるいは前記補正された推定放電特性から算出しても高い精度で充電電池の残容量を算出することができる。
図1は、この発明の充電電池を適用した一実施例の電子装置に内蔵されるリチウム充電電池を中心とする回路図、図2は、OCV特性の説明図、図3は、推定される放電特性の説明図、図4は、放電開始タイミングとそのときの過渡電圧、電流特性の説明図、図5は、その等価回路と充電率に対するその各抵抗特性の説明図、図6は、実測放電特性と推定放電特性との説明図である。
図1において、20は、電子装置であって、その内部には着脱可能に装着された電池内充電制御回路を有する充電電池10を有している。
充電電池10は、リチウム電池セル(以下電池本体あるいは素電池)1a,1b,…,1nが複数(図では3個)、直列接続された組電池を有していて、装置本体21に設けられた電源回路22から充放電端子14a,充放電電源ライン+Vcc(以下電源ライン+Vcc)、充放電切換スイッチ回路13を介して充電電流を受け、装置本体21は、充放電端子14aを介して電池本体側からの放電電流により電力が供給される。また、充電電池10は、装置本体21に設けられたMPU23によりSMバス12を介して充電電池10の現在の電池の残容量が読出される。
なお、電源ライン+Vccは、充放電端子14aに接続され、これを介して装置本体21に接続されている。また、グランドラインGNDLは、接地端子14bに接続され、これを介して装置本体21のグランドGNDに接続されている。
ところで、ここで説明する充電電池10に内蔵される内蔵回路は、通常、CMOS等で構成され、クロック周波数の低い、低消費電力型の回路が用いられる。その動作電力は、非常に小さいものであり、ここでの内蔵回路は、充電状態にあるときを除いて、充電電池からの電力で動作する。また、充電電池10が満充電されたときの満充電検出は、電池本体の端子電圧が満充電に対応する所定値か、それ以上になったとき、例えば、4.2V(電池本体が3本直列の場合の端子電圧)になったときに検出される。
電源回路22は、充電電池10と商用AC電源との切り換え回路を有していて、通常は、商用AC電源からの電力が供給されて装置本体21が動作する。
充電電池10の電池本体1aの正極側の電極と電源ライン+Vccとの間に設けられた充放電切換スイッチ回路13は、充電側スイッチと放電側スイッチとを有していて、充電、放電に応じてコントローラ2により充電側スイッチと放電側スイッチとが充放電に応じてON、OFF制御される。
充電電池10の内部には、このようなコントローラ2のほかに、電圧検出回路3、電流値検出回路4、温度検出回路5が設けられている。
電圧検出回路3は、電池本体1a,1b,…,1nのそれぞれの正極側と負極側とに接続され、それぞれの端子電圧を検出してコントローラ2からの制御信号に従ってコントローラ2にそれぞれ電池本体の現在の電圧値を出力する。さらに、これとは別に直列接続された電池本体1a,1b,…,1n全体の端子間電圧Vを検出する。
コントローラ2は、各電池本体1a,1b,…,1nの端子電圧を電圧検出回路3から各電池本体対応に制御信号に応じて得て、検出された電圧値に応じて電池本体1a,1b,…,1nのいずれか1つが過充電あるいは過放電になったときには、充放電切換スイッチ回路13を制御して過充電のときに充電側のスイッチをOFFし、過放電のときに放電側のスイッチをOFFしてそれぞれに充放電動作を停止させる。
電流値検出回路4は、検出抵抗Rsを有していて、この検出抵抗Rsは、電池本体1nの負極側の電極とグランドラインGNDLとの間に直列に挿入されている。そして、コントローラ2からの制御信号に従ってコントローラ2に現在の充放電の電流値を出力する。なお、充電電流か、放電電流かは、検出抵抗Rsの端子電圧の極性による。
温度検出回路5は、温度センサ(図示せず)を有していて、温度センサからの信号を受けてコントローラ2からの制御信号に従ってコントローラ2に現在の温度値を出力する。
コントローラ2には、MPU6と、メモリ7、A/D変換回路(A/D)8、そして、タイマ9とが設けられ、これら回路がバス11を介して相互に接続されている。また、前記の各制御信号がバス11を介して各回路に送出される。そして、電圧検出回路3と、電流値検出回路4、そして温度検出回路5の検出信号値は、A/D8を介してMPU6に渡される。
なお、メモリ7は、基本的には、例えば、EEPROM等の不揮発性メモリを主体として構成され、一時的に処理するデータを記憶する作業領域についてはRAM等により構成されている。
タイマ9は、充電中あるいは放電中は、所定の周期(前記時間Δt毎=5秒毎)に定期的に割込み信号を発生して積算放電量算出プログラム7bをMPU6に実行させる。
タイマ9は、充放電が終了している休止期間に、例えば、8時間ごとにタイマ割込み信号を発生し、スリープ状態のMPU6を起動して開放電圧Vを測定してOCV特性の現在のデータを採取してメモリに現在の充電率Kとともに記憶する。なお、現在の充電率Kは、最後の充電あるいは放電終了後において検出された開放電圧VからそのときのOCV特性を参照して得られた充電率である。
MPU6は、スリープ状態のときにこのタイマ割込み信号により起動させて後述するOCV特性測定プログラム7aの処理を実行する。
メモリ7には、OCV特性測定プログラム7aと、積算充放電量算出プログラム7b、残容量算出プログラム7c、推定放電特性補正プログラム7d、電圧差補正係数算出プログラム7e、OCV特性テーブル7f、電池の等価回路テーブル7g、パラメータ記憶領域7h、そして時間カウンタ7i(いわゆるソフトカウンタ)とが設けられている。
パラメータ記憶領域7hには、満充電のときの総容量QA、残容量Qc等が記憶されている。また、電池の等価回路テーブル7gには、図5(a)に示す充電電池の等価回路の溶液抵抗値R(一定値)、電荷移動抵抗の抵抗値r、容量C、拡散抵抗値Zw(分極電圧Ep)、理想電池電圧Eが記憶されている。そのうち、電荷移動抵抗の抵抗値rと拡散抵抗値Zw(Ep)とは、図5(b),(c)に示すような特性として充電率Kに対応してテーブル化されて記憶されいる。
ここで、OCV特性測定プログラム7aは、基本的にはタイマ割込み信号に応じてOCV特性テーブル7fにOCV特性のデータを記憶していく。なお、最初のOCV特性は、電池パック出荷時等に別途測定されたデータが入力され、OCV特性テーブル7fに記憶されている。その後、OCV特性が測定され、OCV特性の全データが測定されたときに、前のOCV特性が更新されて新しいOCV特性が使用される。なお、OCV特性の測定は、長い休止期間をおくことなく、充電中、放電中、あるいはこれらの間において測定されてもよい。この場合には、充電中あるいは放電中のOCV特性の測定は、充電前の最後の放電終了時に測定した放電率あるいは放電する前の最後の充電終了時に測定した放電率に積算した充電量を積分して、補正した開放電圧との関係で求めることができる。
充電中はすでに記憶されているOCV特性の電圧特性よりも高い開放電圧が得られ、放電中はその逆になる。そのため、それぞれにおいて補正する必要が生じる。補正は、補正特性データあるいは所定の関数等をメモリ7に記憶しておき、これらにより補正する方法と、等価回路等により補正する方法とがある。
さて、OCV特性測定プログラム7aは、充放電休止時あるいは充電開始時又は放電開始時を基準として所定のタイミングでコールされてMPU6に実行される。リチウム電池セルの3個直列の端子電圧を電圧検出回路3を介して測定して、そのときの電圧検出回路3から得られる測定電圧値から開放電圧Voを得て、そのときに算出されている充電率とともにOCV特性テーブル7fに新しいOCV特性が記憶されていく。充放電切換スイッチ回路13がOFFあるいはオープンのときには充電電流も放電電流も流れないので、実質的に開放電圧Voを検出することができる。
積算充放電量算出プログラム7bは、充電開始時あるいは放電開始時を基準として充電中あるいは放電中のときに所定の周期(前記時間Δt毎=5秒毎)に定期的にコールされてMPU6により実行される。これが実行されたときには、電流値検出回路4を介して現在の電池の放電電流値i(充電時には充電電流i)を検出してメモリ7に記憶し、一つ前の放電容量Qn-1(充電時には充電容量Qn-1)に現在の電流値iと時間Δtとから算出される使用放電容量i×Δt(充電時には充電容量i×Δt)との和により放電を開始したときから現在までの放電量あるいは充電を開始してから現在までの充電容量の積算値Qn(以下積算充放電量値)を算出してそれをメモリ7に記憶する。そして、放電時には、この後、MPU6は、残容量算出プログラム7cをコールして実行する。
なお、充電時における積算値Qnは、すでに記憶されている充電率から現在の充電率Kを算出する場合に利用される。これによりOCV特性測定のための充電率を得ることができる。また、これにより満充電量(総容量QA)を算出することができる。
残容量算出プログラム7cは、放電時の積算充放電量算出プログラム7bの実行後の前記のコールとは別に、放電開始時点でもMPU6にコールされて実行される,このとき、MPU6は、放電を実際に開始する前に、言い換えれば、充放電切換スイッチ回路13を放電に切り換える前に、充放電切換スイッチ回路13をOFF(オープン状態)にして、電圧検出回路3からそのときの電圧値を得て充電電池の開放電圧Voを測定する。そして、パラメータ記憶領域7hに測定した開放電圧Voを記憶する。その後、充放電切換スイッチ回路13を放電に切り換える処理をして放電を開始する。図3に示すように、推定される放電特性Dは、放電開始時に電圧が低下する。図中、t1は、放電開示時点である。そしてこのときの電圧が開放電圧Voである。このとき測定された開放電圧Voは、このときに充電率Kが測定されているときには、前記のOCV特性のデーブル7fに転送されて新しいOCV特性のデータにされる。
図4(a)に示すように、放電開始の制御信号Pcが発生すると、その立上がりで、前記の開放電圧Voが読込まれ、時点t1の、その立下がりで、図4(b)に示すように、放電電流が流れ始める。この時点t1が実際の放電開示時点であり、このとき、(c)に示すような充電電池の端子電圧降下特性が現れる。すなわち、この時点t1で充電電池の端子電圧Vが瞬間的に電圧VRに落ちて、その後徐々に落ちて電圧Vr分だけさらに落ちて一定の電池端子電圧Vbになる。通常、一定電圧Vbになるのは、10秒程度後であるので、これらの電圧VR,電圧Vrを電圧検出回路3から得られる電圧から10秒程度後に得られる一定電圧までの降下電圧Vcから逆算して算出することができる。これら算出された電圧VR,電圧Vrは、パラメータ記憶領域7hにそれぞれ記憶される。
その結果、図3の推定放電特性Dに示すように、放電開始時点で電圧が所定量降下し、その後に直線状の傾斜となって、時点t2で電池端子電圧Vbに至り、推定される放電特性D上に乗ることになる。
そこで、電圧検出回路3からの電圧が一定電圧Vbになった時点t2のタイミングで、電流値検出回路4から現在の電流値iを得て、MPU6は、推定放電特性補正プログラム7dをコールして図3に示す放電特性Dを推定して算出する。推定放電特性Dは、ある電流値iで放電が継続するものとすれば、その時流れている現在の電流iを充電電池の等価回路に流すと仮定して、満充電時点から充電率Kを変数として電池の等価回路テーブル7gのデータに従って、100%とから0%まで、例えば、1%単位で算出することで得る。
得られた放電特性Dの特性データは、メモリ7の作業領域に記憶される。このとき、検出した現在の電流値iに対応して後述する補正係数Pがパラメータ記憶領域7hに記憶されているときには、特性データを補正係数Pに応じて補正して、補正された推定放電特性Dを生成する。そうでないときには、そのまま補正しない特性データを放電特性Dとして生成する。なお、補正係数Pによる補正は後述する。
この特性データの算出後に、MPU6は、残容量算出プログラム7cにリターンして、放電開始後から10秒以上経った時点t2において、安定した現在の充電電池の端子電圧Vbを電圧検出回路3を介して得て、この推定放電特性D上における電圧Vbにおける推定放電率Kbを得る。さらに、図3において示す放電停止電圧Vt(例えば、3.0V、時点t4)と推定放電特性Dとの間において推定放電率Kbから後の斜線部分の面積Sを推定残容量Qbとして算出して、算出された推定残容量Qbをパラメータ記憶領域7hに記憶する。このとき前に推定残容量Qbがあるときにはそれが更新される。
さらに、MPU6は、現在の電流値iが所定値、例えば、数mA程度以上変化した場合には、それに応じて改めて残容量算出プログラム7cを実行して新しい電流値iに対応する推定残容量Qbを算出する。
これは、前記と同様に変化したときの現在の電流値iに対応する補正係数Pがあるときにはそれによる補正をし、そうでないときには補正なしに推定特性Dの算出して現在の検出電圧Vbからこの推定放電特性D上の電圧Vbに対応する推定放電率Kbを得て、推定残容量Qbとして算出して、算出された残容量Qbをパラメータ記憶領域7hに更新して記憶する。
ところで、前記の放電特性Dの推定は、電池の等価回路テーブル7gのデータから推定するものであるが、これとは別に図4(c)に示す電圧Vrと現在の電流値iと電池の容量Cとから抵抗値を求め、図5(b)の電荷移動抵抗rの特性テーブルを参照して現時の放電率Kを求め、これによりこのときの残容量を算出することも可能である。
それは、図4(a)の電圧Vrの変化特性は、容量Cと電荷移動抵抗rとの時定数で決定されているからである。ただし、このようにすると多少精度が低下する。
さらに、残容量算出プログラム7cは、積算充放電量算出プログラム7bの実行後にコールされてMPU6に実行される。このときには、MPU6は、パラメータ記憶領域7hから推定残容量Qbを読出して、この残容量Qbを基準として実際に流れた電流から積算される積算値Qnを所定の周期で、例えば、前記と同じ時間Δt毎=5秒毎ごとに算出されるそのときの積算値Qnを減算すること実測値としての残容量Qc(=Qb−Qn)を算出する。そして、この算出された残容量Qcをパラメータ記憶領域7hに更新記憶していく。残容量Qcを記憶した後に、電圧差補正係数算出プログラム7eをコールする。
なお、この残容量Qcは、装置本体21側からの転送要求により送信プログラム等をMPU6が実行して装置本体21に転送される。
電圧差補正係数算出プログラム7eがコールされ、次にMPU6に実行されると、現在の放電電流値iに対応する補正係数Pが算出される。
以下、これについて説明すると、まず、電圧検出回路3から得られた現在の検出電圧Vbと電流値検出回路4から得られた現在の電流値iと、さらに算出された前記の残容量Qcからこれに対応する推定放電特性D上における推定電圧Vcを算出する。この推定電圧Vcは、例えば、推定放電特性Dにおいて放電停止電圧Vtまでの満充電における全容量に対する算出残容量Qcの比により現在の充電率Kbを得て、充電率Kbに対応する電圧値を推定放電特性Dのデータ上で算出すればよい。
次に、実測放電特性上の満充電時の電圧4.2Vとの差値ΔVbと推定放電特性D上の満充電時の電圧4.2Vとの差値ΔVcと、これらの比を補正係数Pとして次のように算出する。
ΔVb=4.2−Vb
ΔVc=4.2−Vc
P=ΔVb/ΔVc
そして、パラメータ記憶領域7hに現在の電流値iとこれに対応して算出した補正係数Pとを記憶する。すでに、電流値iについて補正係数があるときにはそれを更新して記憶する。また、それがないときには順次追加記憶する。
なお、前記満充電時の電圧4.2Vは、これに対応する実際の放電特性に応じて決定される所定の一定電圧、例えば、4.3Vあるいは4.0V等が使用されてもよい。
ここで、MPU6が推定放電特性補正プログラム7dを実行した際の放電特性補正について説明する。
図6に示すように、ある電流値iで放電が継続するものとすれば、前記積算値Qnにより放電開始時点の残容量残容量Qbから実測される実測放電特性Aと推定放電特性Dとの間には差がある。これら特性を直線として近似した場合に、満充電時の端子電圧4.2Vからの差分についての実測放電特性Aと推定放電特性Dと比率は、どの位置でもほぼ同じと考えることができる。そこで、放電が停止した時点t3で(図3,図6参照)、これらの差分割合を補正係数Pとして記憶しておき、推定放電特性Dをこの補正係数Pで補正することで推定放電特性Dを実測放電特性Aに近づける。
なお、図6における時点t4は、放電停止電圧Vtに対応するタイミングである。
ある放電開示時点で、そのときの電流値iに対応した補正係数Pがあるときには、満充電時点から充電率Kを変数として100%とから0%まで、例えば、1%単位で得られる補正前の推定放電特性Dの算出データの各放電率Kに対応する電圧値に対して4.2Vからの差値ΔVを算出し、この差値ΔVに補正値Pをかけて補正差値ΔV’を算出する。さらにVb=4.2−ΔV×Pにより各放電率Kに対応するそれぞれの端子電圧値Vbを得て、推定放電特性D上の端子電圧値として補正した特性データを生成していく。
これにより端子電圧値Vbを補正をして前に電流値iで放電したときに採取した実測データに近い値に放電特性データに補正する。その結果、推定放電特性Dが実測データに近い特性に補正することができる。
そこで、この補正係数Pにより補正された推定放電特性Dから算出される残容量Qbも実測値に近い値となり、この残容量Qbから算出される残容量Qcの精度が向上する。
以上説明してきたが、前記した各処理プログラムは、順次コールされて実行されるだけであり、特別な分岐処理や判定処理が伴わない関係から、また、各処理内容をプログラム処理名として説明しているので、ここでは、特にフローチャートとしてこれらの処理手順を独立に説明することは割愛する。
ところで、ここで算出している充電電池の残容量は、放電停止電圧Vtまでの残容量であるが、残容量は、必ずしも放電停止電圧までの容量である必要はなく、使用可能な容量全体からの残容量あるいは電池が本来的に持っている総放電容量からみた残容量であってもよい。
前記実施例にあっては、OCV特性テーブル7f、電池の等価回路テーブル7g、そしてパラメータ記憶領域7hの各データは、25度Cにおけるデータ値が記憶されている。図1では、温度検出回路5が設けられているので、より検出精度を上げるために、これらのデータは、現在検出された温度に応じて温度補正して使用するとよい。なお、温度補正の関数式等については周知事項であるので、ここでは割愛する。また、前記の各データは、所定の各温度に対応してテーブル化されていてもよい。
さらに、OCV特性テーブル7f、電池の等価回路テーブル7gのデータは、実測されたデータに基づいて、それぞれに順次更新することができる。これは、放電中あるいは充電中、その他のタイミングで、充電電池の端子電圧、現在電流値等を定期的に測定して、所定の関数に従って演算をすれば得ることができる。
したがって、この発明におけるOCV特性テーブル7f、電池の等価回路テーブル7gの各データは、このような測定されて更新されたたデータであってもよいことはもちろんである。
さらに、実施例では、残容量算出の際に、残容量を積算充放電量算出プログラム7bにより積算された電荷量を算出して実測データとして算出しているが、補正された推定放電特性Dは、実測値に近い値になるので、必ずしも積算することなく、直接補正された推定放電特性Dを用いて残容量を算出してもよい。この場合には、各電流値に対応して多数の補正係数Pが算出される必要がある。
したがって、残容量の算出は、実測から得られる補正係数Pが存在すれば、積算充放電量算出プログラム7bにより算出された積算値を用いる必要がなくなる。
ところで、この発明の充電電池は、リチウム電池に限定されないことはもちろんである。
図1は、この発明の充電電池を適用した一実施例の電子装置に内蔵されるリチウム充電電池を中心とする回路図である。 図2は、OCV特性の説明図である。 図3は、推定される放電特性の説明図である。 図4は、放電開始タイミングとそのときの過度電圧、電流特性の説明図である。 図5は、その等価回路と充電率に対するその各抵抗特性の説明図である。 図6は、実測放電特性と推定放電特性との説明図である。
符号の説明
1,1a,1b,1n…リチウム電池本体(電池本体)、
2…コントローラ、3…電圧検出回路、
4…電流値検出回路、5…温度検出回路、
6,23…MPU、7…メモリ、
7a…OCV特性測定プログラム、
7b…積算充放電量算出プログラム、
7c…残容量算出プログラム、
7d…推定放電特性補正プログラム、
7e…電圧差補正係数算出プログラム、
7f…OCV特性テーブル、7g…電池の等価回路テーブル、
7h…パラメータ記憶領域、
7i…時間カウンタ7i(いわゆるソフトカウンタ)、
8…A/D変換回路(A/D)、9…タイマ、10…充電電池、11…バス、
12…SMバス、13…充放電切換スイッチ回路、
20…電子装置、21…装置本体、
22…電源回路、23…MPU。

Claims (7)

  1. 充電電池が放電状態にあるときに放電開始時から現在までの放電電荷の積算放電量を算出して記憶する積算放電量算出手段と、
    充電電池の等価回路を形成するための回路素子のデータを記憶する素子データ記憶手段と、
    前記素子データ記憶手段のデータを参照して現在の放電電流値から充電率に応じた推定放電特性を得る推定放電特性算出手段と、
    前記放電開始時における前記充電電池の前記残容量とその後に前記積算放電量算出手段により算出される積算量とに応じて前記充電電池の現在の充電率を算出する充電率算出手段と、
    現在の充電率における前記充電電池の電圧値と満充電時の電圧値あるいはこれに相当する所定の電圧値との第1の差と、前記現在の充電率に対応する前記推定放電特性から得られる電圧値と前記満充電時の電圧値あるいはこれに相当する所定の電圧値との第2の差の比率を算出して前記推定放電特性を前記比率に応じて補正する放電特性補正手段とを備え、
    前記放電開始時における前記充電電池の前記残容量を前記補正した前記推定放電特性により得る充電電池。
  2. さらに、前記放電電流の電流値検出回路と、前記充電電池の電圧値検出回路とを有し、
    前記充電率算出手段は、さらに前記放電開始時における前記充電電池の前記残容量と前記積算放電量算出手段により算出される積算量とに応じて前記充電電池の残容量を算出するものであり、
    前記推定放電特性算出手段は、前記現在の放電電流値を前記電流値検出回路から得るものであり、
    前記放電特性補正手段は、前記比率を、その比率が算出されたときあるいはその比率が算出されるときの前記放電電流値に対応して記憶し、前記電流値検出回路により検出される放電時の電流値に対応する前記比率が記憶されているときに、前記推定放電特性を記憶されている前記比率に応じて補正する請求項1記載の充電電池。
  3. 前記放電特性補正手段は、前記電流値検出回路により検出される放電時の電流値に対応する前記比率が記憶されていないときには、前記推定放電特性を補正しない請求項2記載の充電電池。
  4. 前記放電開始時における前記充電電池の前記残容量は、前記電圧値検出回路により検出された電圧値に応じて前記推定放電特性のデータから得られる充電率と放電停止電圧とに対応して算出されるものであり、
    前記放電特性補正手段は、前記放電電流値が変化したときに前記推定放電特性を記憶されている前記比率に応じて補正する請求項3記載の充電電池。
  5. 前記素子データ記憶手段は、少なくとも溶液抵抗値、電荷移動抵抗値、電池の容量、拡散抵抗値あるいは分極電圧Ep、そして理想電池電圧Eに相当する値についてのデータを記憶するものであり、前記放電特性補正手段は、前記推定放電特性のデータにおける各充電率に対応する電圧値と前記満充電時の電圧値との差を前記比率に応じて補正することにより前記推定放電特性のデータを補正するものであり、前記算出された残容量が外部に送出される請求項4記載の充電電池。
  6. さらに、プロセッサとメモリとA/D変換回路を有し、前記電流値検出回路と、前記電圧値検出回路との検出値が前記D/A変換回路を介して前記プロセッサに渡されて、前記積算放電量算出手段は、前記プロセッサが所定の周期で所定のプログラムを実行して前記積算放電量を算出してそれを前記メモリに記憶することで実現され、前記充電率算出手段は、前記積算放電量算出手段による前記積算放電量の算出に応じて前記プロセッサが所定のプログラムを実行して前記充電電池の現在の充電率を算出することで実現され、前記推定放電特性算出手段と前記放電特性補正手段とは、前記プロセッサが所定のプログラムを実行することで実現される請求項5記載の充電電池。
  7. 請求項1〜6記載の充電電池を内蔵する充電電池パック。
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