JP2005269746A - 鉄心材料特性の特定方法とその装置並びにその特定方法により設計された回転機とその設計方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】予め決めた鉄心の材料特性及び設計仕様に基づき回転機における鉄心部の局所的な磁気特性を計算すると共に、上記材料特性とされる鉄心材料及び設計仕様にて作製した試験回転機における鉄心部の局所的な磁気特性を測定する。上記局所的な磁気特性についての計算値と測定値との乖離量に基づき、乖離量が所定以下となるまで上記鉄心材料特性を補正し、その補正後の鉄心材料特性を最適化設計で使用する鉄心材料特性とする。
【選択図】 図1
Description
これに対して近年、計算機能力の向上により有限要素法や積分要素法などによる電磁界解析を用いた、回転機の模擬計算(計算機シミュレーション)が可能となり、機器の設計に適用されつつある(非特許文献l及び2参照)。これらの方法を用いて最適化設計を行う場合は、従来から使用されてきた回転機に関する解析的な式から大まかな仕様を決定し、最終的な厳密計算を電磁界解析により実施しつつ上記仕様内容を変更して最終的な仕様を決定するといった方法が一般的である。
また、いずれの設計方法においても、従来にあっては、最適化設計で使用される鉄心の材料特性としては、鉄心材料自体から直接に測定した値か、理論や経験から求めた鉄心材料自体の鉄心材料特性が使用されている。
日野その他、「鉄損解析と形状最適化による高効率モータの設計検討」、電気学会回転機研究資料 RM02−7、平成14年 藤島その他、「最適化計算への応答曲面近似法の適用に関する基礎的検討」、電気学会回転機研究資料 RM02−6、平成14年
磁界解析を用いた設計法では、経験により設計する方法よりも高精度の機器予測が可能であるものの、依然として予測値と現実の値の間には乖離が生じる場合がある。このため、所望の機器特性が得られないことによる再度の仕様変更や再設計といった問題が発生するおそれがある。
このように現在の模擬計算技術は、現実的な種々の因子をすべて考慮したものではなく、理想的かつ単純化された条件下で行わざるを得ないために、回転機特性の厳密な予測が出来ず、回転機の最適化設計に適用した場合に必ずしも最適な解を導出しているとは限らないという問題がある。
本発明は、このような点に着目したもので、より精度良く回転機の最適化設計を可能とすることを課題としている。
(1)計算では予測できない鉄心内の回転磁束挙動
(2)局所鉄損分布の計算結果との乖離
(3)固定子内部の磁束密度の大きさとその分布の計算との乖離
という現象が少なくとも生じていることが分かった。
これらは、モータ設計を行う上で計算機による模擬計算の結果に誤差をもたらす要因である。発明者らは、各要因に対応した補完を行うことで高精度な設計計算を実施可能と考えた。
従来、鉄心材料そのものの回転磁束や回転鉄損を測定するための方法は種々検討されており、この結果を回転機の電磁界解析に反映させることが検討されているが、回転機に組まれた状態での鉄心各部分に生じるような、例えば加工歪等の影響を逐次考慮することは困難である。また、ヒステリシス特性まで考慮した鉄心材料の回転磁束特性の厳密なデータベース化は困難であるため、たとえばヒステリシス特性が鉄心の形状等を介して回転磁束挙動に影響するような場合は、計算精度を低下させる要因となる。
これに対し、本願発明者らは、対象とする回転機の一次モデルを試作し、この回転機の鉄心内部の磁束密度、とくに回転磁束の挙動を局所的に実測し、電磁界解析の計算結果がもっとも実測に近づくように鉄心材料特性データを変更・補正することで、実際の回転機の特性を正確に計算することが可能であるとの着想のもとに本発明に至った。
また、今日の設計において、回転機の損失のうちのかなりの部分は鉄心で発生する損失(鉄損)で占められていることから、鉄心部に着目して上記補正をするものである。
予め決めた鉄心の材料特性及び設計仕様に基づき回転機における鉄心部の磁気特性を計算すると共に、上記材料特性とされる鉄心材料及び設計仕様にて作製した試験回転機における鉄心部の局所的な磁気特性を測定し、上記磁気特性についての計算値と測定値との乖離量に基づき、上記鉄心材料特性を補正し、その補正後の鉄心材料特性を上記最適化設計で使用する鉄心材料特性とすることを特徴とするものである。
次に、請求項3に記載した発明は、同一の材料特性とされる鉄心材料を使用して、複数の設計仕様について、それぞれ上記請求項1又は請求項2に記載の方法で各設計仕様毎の鉄心材料特性を特定することで、上記各設計仕様と補正後の鉄心材料特性との組を予め求めておき、
上記予め求めた各設計仕様と補正後の鉄心材料特性との組に基づいて、作製する回転機の設計仕様と同じ若しくは近い上記設計仕様での補正後の鉄心材料特性を求め、その求めた鉄心材料特性を、最適化設計で使用する鉄心材料特性とすることを特徴とする鉄心材料特性の特定方法を提供するものである。
次に、請求項5に記載した発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した構成に対し、上記鉄心材料特性のうち補正される変数は、鉄心材料の磁化曲線に関わる変数、及び鉄心材料の鉄損特性に関わる変数の少なくとも一方であることを特徴とするものである。
次に、請求項6に記載した発明は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載した構成に対し、上記鉄心部の磁気特性の測定は、探針法による局所的な磁束密度測定により行うことを特徴とするものである。
次に、請求項8に記載した発明は、上記請求項7の設計方法によって決定された設計仕様に基づき製造されたことを特徴とする回転機を提供するものである。
次に、請求項9に記載した発明は、上記請求項7の設計方法を用いて製造することを特徴とする回転機の製造方法を提供するものである。
上記入力された鉄心の材料特性及び設計仕様の情報に基づき、予め決められた電磁界解析の計算方式で計算して鉄心部の局所的な磁気特性を求める磁気特性演算手段と、その磁気特性演算手段が求めた局所的な磁気特性と入力した局所的な磁気特性との乖離量に基づき上記鉄心の材料特性を変更する特性変更手段と、を備え、上記磁気特性演算手段と特性変更手段を、上記乖離量が所定値以下となるまで交互に実行することを特徴とするものである。
対象とする最適化設計に係る鉄心材料及び設計仕様の情報が入力されると、上記データベースのデータに基づき、入力された鉄心材料及び設計仕様に対応する鉄心材料特性を求める材料特性決定手段を備えることを特徴とする鉄心材料特性特定装置を提供するものである。
ここで、本発明で重要な点は、局所領域の磁気特性の測定データと計算結果から、回転機に組み込んだ状態での鉄心内部の局所磁気特性を計算するのに適した補正された材料磁気特性を得るというものである。すなわち、このような最適化は、例えば、鉄心の各位置での計算結果と実測結果のずれの平均値を最小化するという指針に基づいて行うことができる。あるいは、鉄心内部をいくつかの部分に区分して、計算と測定のずれの最小化を実施することもできる。鉄心内部を区分して計算結果の補正を行う方法は、たとえば加工歪が鉄心の各部分で異なるような場合に有効である。同様に、局所領域の鉄損に関しても、計算結果とのずれを最小化するように、材料の磁束密度−鉄損の関係を鉄心全体あるいは鉄心内部の部分ごとに変化させることが出来る。
図1は、本実施形態の設計方法の概要を示す図であって、本願の一番の特徴部分である鉄心材料特性の特定段階と、実際の回転機の最適化設計段階との2段階に大きく設計段階は分かれる。
まず、本発明の主な特徴である鉄心材料特性の特定段階の処理手順について図1を参照しつつ説明する。
ここでの試作機は実際の試作回転機にて鉄心部における局所の磁気特性を測定するためのものである。設計仕様の詳細としては、例えば駆動条件、鉄心部の設計仕様(各部分のサイズや比率等)などが挙げられる。試作機の仕様の決定する方法としては、従来存在した仕様をそのまま用いる方法や、従来的な解析式を用いる方法、電磁界解析を用いる方法など、種々の方法が採用可能である。ここで試作機の仕様は目標となる最適解(最適化設計)に近ければ近いほど理想的である。ただし、本発明は実測結果による補正を取り入れた、より精度の高い鉄心材料特性を使用して最適化設計のための計算を行うものであるため、試作機の設計段階では必ずしも厳密な計算を行う必要性はない。
一方、ステップS3では、ステップS12で定めた仕様に基づいて実際の回転機を作製し、続いてステップS4にて、これを実際の駆動条件またはこれに近い条件で駆動させた場合の鉄心内部の局所的な磁気特性分布を測定する。ここでの測定は出来るだけ鉄心の全域に渡って行うのがよいが、測定領域が限られる場合は、鉄心の代表的な局所部分のみであってもよい。また、計算で正確に再現出来ない成分を、実測により補正する本発明においては、ここでの局所磁気測定は、r方向(回転機の径方向)とθ方向(回転機の周方向)などの2方向に対して行う二次元局所磁気測定とすることで補正の精度を高めることができる。
ここで、評価する乖離量の対象としては、局所磁束密度(固定子内部の局所的な部分での磁束密度)や局所鉄損特性(固定子内部の局所的な部分での鉄損)などが考えられる。
なお、上記乖離量目標量は、要求される設計精度に応じて、例えば、乖離量対象量となった磁気特性値の初期値の数%などに設定する。
ここで、変更する変数としては、たとえば透磁率に関しては、例えば下記(1)式の透磁率行列の各成分やHベクトルとBベクトルの間の角度θが挙げられる。そして、これらを記述する係数や関数形を変更する。鉄損に関する(2)式の係数(c1 、c2 )の変更が可能である。(1)式や(2)式において、Br、Hrはそれぞれ磁束密度、磁界の径成分、Bθ、Hθはそれぞれ磁束密度、磁界の周方向成分である。
W=c1 ・f・Bm1.6 + c2 ・f2 ・Bm2 ・・・(2)
ここで、c1 、c2 は係数Bmは磁束密度ベクトルBの大きさの最大値、fは周波数である。
実測結果に計算結果を近づけるための材料変数の変更は、何らかの基準に基づいて行ってもよいし、数値をランダムに変化させながら最適解を探してもよい。または、最適解を求めるために繰り返し計算の回数や目標とする計算と測定値の差は、必要に応じて任意に選ぶことが出来る。
まず、素材の磁化曲線を
B=a1 /[a2 +(a3 H+a4 )a5+a6 H+a7
:a1 〜a7 は素材によって決まる係数
といった関数で表すと、透磁率μは
μ=μ(H)=(a1 /[a2 +(a3 H+a4 )a5+a6 H+a7 )/Hとなる。
μ11 =c11μ(H)
μ12 =c12
μ21 =c21
μ22 =c22μ(H)とおく。
上記で定めた係数と式(1)のθを用いて初期モデルのモータの磁界解析により計算される局所磁束密度ベクトル軌跡を、Bcalc =(Brcalc、Bθcalc)とし、初期モデル試験モータで実測した局所磁束密度ベクトル軌跡をBmeas =(Brmeas、Bθmeas)とするとき、実測値と計算値の1周期にわたる乖離の平均値を、
ここで、ωは局所磁束密度ベクトルの回転角度であり、0〜2πの範囲で上式による積分を行う。
ここで、測定位置の番号1〜NでのΔBの平均値を<ΔB>とし、
さらに、<ΔB>の許容値を、測定点番号1〜Nでの磁束密度の最大値の平均値<Bm>の3%とする。
すなわち、<ΔB>/<Bm> < 0.03を目標条件とする。
以上のようにして求められる透磁率行列をモータの電磁解析に適用し、これにより回転機の最適化設計を行うことによって、従来より精度の高い模擬計算いよりモータ特性の向上を図ることが可能となる。
上述の処理で求めた、補正された、すなわち材料変数が変更済みの最適化された鉄心材料特性を用いる以外は、従来の最適化のための設計法と同じである。すなわち、上記求めた補正後の鉄心材料特性を用いて、当該鉄心材料特性以外の回転機の各部分のサイズや比率等の変数を変化させながら最適化計算(電磁界解析)を行い、予め設定された所定の目標特性が達成される回転機設計仕様を求める(S8〜S15)。
そして、その求めた設計仕様及び上記評価した鉄心材料によって実際の回転機を作製する。
ここで、鉄心材料特性の特定段階での試作機の仕様と、最適化段階の実際の回転機の仕様とは同一若しくは近いものを選択することが好ましい。上述のように鉄心材料特性に対し未知の変数量(加工歪などによる誤差など)も含まれるので、両者の仕様が近いほど補正後の鉄心材料特性の信頼性が向上する。
または、予め求めた複数の鉄心材料特性と設計仕様の組に基づき、鉄心材料特性を設計仕様の関数式やグラフ等としておき、その関数式等を使用して使用する鉄心材料特性を演算して特定するようにしても良い。
また、上記の計算値と実測値との乖離量を小さくしていく際は、回転数やトルクなどの使用条件が設計する回転機とほぼ同じ条件で行うのがよいが、回転数やトルクなどが広い範囲で使用される場合は、乖離量の評価を使用条件での平均値や重み付け平均値で行うのがよい。
鉄心内部の局所的な磁束密度の測定にあたっては、従来から用いられている探りコイル法を用いてもよいし、探針法や、ロゴスキーコイル法などいずれも適用可能である。これらの方法の中で非破壊かつ迅速な多点測定が可能である点において探針法がもっとも優れた方法である。また、二次元的な回転磁束挙動が従来の電磁界解析では正確に予測できない点から、局所磁束密度の実測も二次元で行うことが好ましい。探針法による回転機鉄心内部での局所磁気測定に関する模式図を図2に示す。探針法による回転機固定子内部の局所磁気測定法についてはすでに特開2000−352579号公報にて開示している。この探針法は特に、十分に薄い磁性材料において磁束密度の測定精度が保証されるものであるが、板状磁性体を積層したタイプの鉄心であればその効果が発揮される。
回転機設計の最適化のために変更される仕様としては、鉄心のサイズ、形状や巻線の巻き数、結線方法など鉄心そのものに関する項目の他、回転機の駆動・制御方法等も含まれる。
図3に示す8極12スロットの集中巻き表面磁石型ブラシレスDCモータ(出力300W、直径160mm)において、下記の手順にて回転磁束挙動を厳密に評価したモータの最適化設計を行った。
1)JISグレード35A300の無方向性電磁鋼板を鉄心材料として用い、過去の同種のモータの仕様(鉄心材料特性及び設計仕様)に基づき試作モータを設計した。
2)このモータ仕様に関して計算機上で二次元静磁場解析による有限要素法(FEM)の模擬計算を行い、局所領域の磁束密度の挙動を計算した。
3)上記1)の仕様によって局所磁気特性測定用の試験モータを試作した。この際、ティース内部の磁束密度が、探針法によって測定出来るようにティース部の巻線は嵩上げした。
4)上記3)の試験モータの局所磁束密度を探針法にて二次元測定した。
5)測定点P(r、θ)[但しr、θは径方向および周方向]における局所領域の磁束密度の計算結果をBcal =( Brcal 、 Bθcal ) 、実測結果をBmeas=( Brmeas、 Bθmeas) とし、計算値と実測値の乖離量ΔBを下記式とするとき、
ΔB=|{(Brcal )2 +(Bθcal )2 }1/2
−{(Brmeas)2 +(Bθmeas )2 }1/2 |
上記モータ設計の最適化によって得られた最適化設計に従ってモータを製作した。その製作したモータを使用して測定した最大効率を、従来法および最適化前の試験モータとを表1に示す。ここで従来法とは、材料磁気特性の変更・補正をいっさい行わずに電磁界解析から求めた最適計算とした。
「実施例2」
図3に示した8極12スロットの集中巻き表面磁石型ブラシレスDCモータ(出力300W、直径160mm)において、下記の手順にて回転磁束挙動を厳密に評価したモータの最適化設計を行った。
2)このモータ仕様に関して計算機上で二次元静磁場解析による有限要素法(FEM)の模擬計算を行い、局所領域の磁束密度の挙動を計算した。
3)上記1)の仕様に基づき局所磁気特性測定用の試験モータを試作した。この際、ティース内部の磁束密度が測定出来るようにティース部の巻線は嵩上げした。
4)上記3)の試験モータの局所磁束密度を探針法にて二次元測定した。
5)測定点P(r、θ)[但しr、θは径方向および周方向]における局所領域の磁束密度の計算結果をBcal =( Brcal 、 Bθcal ) 、実測結果をBmeas=( Brmeas、 Bθmeas) とし、計算値と実測値の乖離量ΔBを下記式とするとき、
ΔB=|{(Brcal )2 +(Bθcal )2 }1/2
−{(Brmeas)2 +(Bθmeas )2 }1/2 |
トルク脈動量[%]
={(平均トルクからのずれの絶対値の平均値)/平均トルク}×100・・・(3)
上記モータ設計の最適化によって得られた最適化設計に従ってモータを製作した。その製作したモータを使用して測定したトルク脈動量と、従来法および最適化計算前の試験機で測定したトルク脈動量とを表2に示す。ここで従来法とは材料磁気特性の変更・補正をいっさい行わずに電磁界解析から求めた最適計算とした。
「実施例3」
8極48スロットの分布巻き・埋め込み磁石型ブラシレスDCモータ(出力10kW、直径200mm)において、下記の手順にて回転磁束挙動を厳密に評価したモータの最適化設計を行った。
2)このモータ仕様に関して計算機上で有限要素法(FEM)による模擬計算を行い、局所領域の磁束密度の挙動を計算した。
3)上記1)の仕様のモータから局所磁気特性測定用の試験モータを試作した。この際、ティース内部の局所鉄損が測定出来るようにティース部の巻線は嵩上げした。
4)上記3)の試験モータの局所鉄損を探針法にて測定した。この際、回転数を1000〜5000rpmの範囲で500rpm刻みにて変化させ、トルクを20〜50Nmの範囲で10Nm刻みにて変化させ、それぞれの回転数・トルク条件にてモータ効率の測定および探針法とホール素子からなるプローブによる局所磁気測定を行った。
5)測定点P(r、θ)[r、θは径方向および周方向]における局所領域の鉄損を下式により計算した。
W=∫{Σ(c1 ・fi ・Bi 1.6 +c2 ・fi 2 ・Bi 2 )}dv ・・・(4)
△W= |Wcal −Wmeas | ・・・(5)
ここで、Wcal : (4)式に基づいた計算による鉄損
Wmeas :図2の局所磁気測定プローブを用いて測定した局所鉄損
である。
続いて、補正後の鉄心材料特性の変数であるc1 、c2 を用いて電磁界解析によるモータ設計の最適化を行った。最適化計算にあたってはステータ外径を一定とし、図3に示した変数を変更した(モータ仕様は図3と異なるが変数の決め方は同じである)。
このようにして本願発明を適用して求めた最適化設計時の効率および計算値と予測値との誤差を、従来法での結果とともに表3に示す。ここで従来法とは材料磁気特性の変更・補正をいっさい行わずに電磁界解析から求めた最適計算とした。
次に、第2実施形態を図面を参照しながら説明する。
本実施形態は、補正後の最適化された鉄心材料特性を演算する鉄心材料特性特定装置10の例を説明するものである。
本装置は、図7に示すように、予め決めた鉄心材料特性及び設計仕様と、試験機で測定した鉄心部の測定磁気特性とがデータとして入力される。入力された各データは記憶部10Aに格納される。なお、鉄心材料特性は式として後述の特性変更手段10Dに設定され、実際には、その鉄心材料特性を表す式の変数値が装置に入力される。設計仕様についても同様である。
磁気特性演算手段10Bは、記憶部10Aに格納されている鉄心材料特性及び設計仕様のデータを使用して、上述に述べたような公知の電磁気界解析に基づく模擬計算を行い磁気特性のうちの比較評価する計算値を求め比較評価部10Cに出力する。
上記構成の鉄心材料特性特定装置10では、予め決めた鉄心材料特性及び設計仕様と、試験機で測定した鉄心部の測定磁気特性とを入力するだけで、最適化した鉄心材料特性を得ることが可能となる。
本実施形態は、補正後の最適化された鉄心材料特性を特定する鉄心材料特性特定装置12の例を説明するものである。
本装置は、図8に示すように、予め決めた鉄心材料を特定するデータ及び設計仕様とが入力され、データベース11を参照して補正後の最適化した鉄心材料特性を出力する。
そして、上記鉄心材料特性特定装置12は、入力した鉄心材料に対応するテーブルをデータベース11中から検索すると共に、そのテーブル内における、入力した設計仕様と同一若しくは近いデータに対応するテーブルを取得する。
続いて、入力した設計仕様と同じ設計仕様データのテーブルがあれば、そのテーブルの補正後の鉄心材料特性を出力する。
上記構成の鉄心材料特性特定装置12では、予め決めた鉄心材料特性及び設計仕様と、試験機で測定した鉄心部の測定磁気特性とを入力するだけで、最適化した鉄心材料特性を得ることが可能となる。
また、最適演算の度に試験機を作製して測定した磁気特性を求めていない分だけ、モータ仕様の特性期間が短縮される。
10A 記憶部
10B 磁気特性演算手段
10C 比較評価部
10D 特性変更手段
11 データベース
12 鉄心材料特性特定装置
Claims (11)
- 鉄心材料特性及び設計仕様に基づいて回転機の最適化設計を行う際に使用される上記鉄心材料特性の特定方法であって、
予め決めた鉄心材料特性及び設計仕様に基づき回転機における鉄心部の磁気特性を計算すると共に、上記材料特性とされる鉄心材料及び設計仕様にて作製した試験回転機における鉄心部の局所的な磁気特性を測定し、上記磁気特性についての計算値と測定値との乖離量に基づき、上記鉄心材料特性を補正し、その補正後の鉄心材料特性を上記最適化設計で使用する鉄心材料特性とすることを特徴とする鉄心材料特性の特定方法。 - 上記乖離量が所定値以下になるまで、上記鉄心材料特性の補正及び上記鉄心部の磁気特性の計算を繰り返すことを特徴とする請求項1に記載した鉄心材料特性の特定方法。
- 同一の材料特性とされる鉄心材料を使用して、複数の設計仕様について、それぞれ上記請求項1又は請求項2に記載の方法で各設計仕様毎の鉄心材料特性を特定することで、上記各設計仕様と補正後の鉄心材料特性との組を予め求めておき、
上記予め求めた各設計仕様と補正後の鉄心材料特性との組に基づいて、作製する回転機の設計仕様と同じ若しくは近い上記設計仕様での補正後の鉄心材料特性を求め、その求めた鉄心材料特性を、最適化設計で使用する鉄心材料特性とすることを特徴とする鉄心材料特性の特定方法。 - 上記設計仕様は、少なくとも鉄心部仕様及び駆動条件仕様であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した鉄心材料特性の特定方法。
- 上記鉄心材料特性のうち補正される変数は、鉄心材料の磁化曲線に関わる変数、及び鉄心材料の鉄損特性に関わる変数の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した鉄心材料特性の特定方法。
- 上記鉄心部の局所的な磁気特性の測定は、探針法による局所的な磁束密度測定により行うことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載した鉄心材料特性の特定方法。
- 上記請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載した特定方法で特定した鉄心材料特性を使用して回転機の最適化設計を行うことを特徴とする回転機の設計方法。
- 上記請求項7の設計方法によって決定された設計仕様に基づき製造されたことを特徴とする回転機。
- 上記請求項7の設計方法を用いて製造することを特徴とする回転機の製造方法。
- 予め決定した鉄心の材料特性及び設計仕様の情報と、その材料特性とされる鉄心材料及び上記設計仕様にて作製した試験回転機を使用し測定にて求めた鉄心部の局所的な測定磁気特性とが入力され、その入力された情報に基づき最適化された鉄心の材料特性を求める鉄心材料特性特定装置であって、
上記入力された鉄心の材料特性及び設計仕様の情報に基づき、予め決められた電磁界解析の計算方式で計算して鉄心部の局所的な磁気特性を求める磁気特性演算手段と、その磁気特性演算手段が求めた局所的な磁気特性と入力した局所的な磁気特性との乖離量に基づき上記鉄心の材料特性を変更する特性変更手段と、を備え、上記磁気特性演算手段と特性変更手段を、上記乖離量が所定値以下となるまで交互に実行することを特徴とする鉄心材料特性特定装置。 - 上記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の特定方法によって、予め使用される鉄心材料及び設計仕様毎に補正後の鉄心材料特性を演算し、その鉄心材料及び設計仕様と補正後の鉄心材料特性の各データを格納したデータベースを用意し、
対象とする最適化設計に係る鉄心材料及び設計仕様の情報が入力されると、上記データベースのデータに基づき、入力された鉄心材料及び設計仕様に対応する鉄心材料特性を求める材料特性決定手段を備えることを特徴とする鉄心材料特性特定装置。
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