JP2005269589A - 導波管ステップツイスト - Google Patents

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光宏 吉田
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Abstract

【課題】導波管ツイストにおいて、小型化するとともに、汎用工作機械で容易に製造する事を可能にする。
【解決手段】ツイスト回転角の半分の角度に傾けた直方体空洞31を挿入する事により、電磁波を透過させることができるという性質を利用して、電磁波を進行方向軸回りに回転させる。挿入する直方体空洞31は波長の数分の1と短尺で、製造も容易であり、さらに導波管フランジ一体型とする事で小型化できる。
【選択図】図3

Description

発明の詳細な説明
本発明は、マイクロ波等の高周波数の電磁波を伝送する導波管の途中に直列に接続し、その電磁波を進行方向軸回りに回転させる導波管ツイストに関する。
従来技術において、導波管の面を進行方向軸回りに回転させるためには、図4に示すようにEコーナーとHコーナーの導波管を組み合わせて使用する。これはEコーナー42A、Hコーナー43及びEコーナー42Bの、Eコーナー計2個とHコーナー1個の組み合わせ、もしくはHコーナー2個とEコーナー1個の組み合わせにより可能である。この技術において電磁波の透過特性は、EコーナーとHコーナーそれぞれの特性で決定される。
前記従来技術の他には図5に示すようなツイスト導波管の使用がある。この技術において、ツイスト導波管51は緩やかにねじれており、導波管内で電磁波は進行方向軸回りに回転する。
発明が解決しようとする課題
しかしながら以上の従来技術によれば、図4のEコーナーとHコーナーの組み合わせは、同一軸で回転できないため配置について考慮が必要である。またEコーナー、Hコーナーそれぞれは少なくとも波長の半分程度の長さを要し、組み合わせた結果全体では波長の数倍以上のスペースを必要とする問題点がある。
図5のツイスト導波管は緩やかにねじれている形状を要求されるため、徐々にねじ曲げる製造工程に特殊な治具や機械等の専用の設備を要する。ねじ曲げる工程は何度も重ねられるため製造コストが高い。特に大電力用の導波管は銅製で肉厚であり、ねじ曲げるのは至難である。また電磁波の透過特性に関しては繰り返しの試験を要する。さらにこのツイスト導波管は配置に波長の5〜10倍程度の長さを必要とする問題点がある。
そこで本発明は上記問題点に鑑みなされたもので、長さは波長の数分の1〜波長程度と小型化が可能であると同時に、汎用工作機械のみでの加工が可能であり、整形用の特殊工具などの治具を必要とせず容易に製造できる導波管ツイストを提供することを課題とする。
課題を解決するための手段
以上の課題を解決するために、請求項1にかかる本発明の導波管ステップツイストは、ツイスト回転角の半分の角度に傾けた直方体空洞を挿入する事を特徴としている。
図1は導波管を伝わるTE10モードの電磁波を進行方向軸線13回りに90度回転させる場合の斜視図である。導波管12Aを伝わるTE10モードの電磁波は、45度傾けた直方体空洞11に伝送される。
直方体空洞11は前後の導波管である導波管12Aと導波管12Bに対して半分の角度に傾けてあるため、この直方体空洞11から見た前後の導波管との結合定数は等しくなる。
前記直方体空洞11の長さを調節してTE101モードの空洞共振器とする事で、対象の周波数の電磁波を導波管12Bへ完全に透過させることができる。
また請求項2にかかる本発明の導波管ステップツイストは、導波管フランジと一体型とする事により小型化でき、汎用工作機械のみで容易に製造が可能であることを特徴とする。
図1の直方体空洞11単体は汎用工作機械もしくは板金加工などの手段により製造できる。その直方体空洞を含む構造物に直接導波管フランジを加工、もしくは対称な2枚の導波管フランジと接合して一体型とする事により、波長の数分の1〜波長程度に小型化した導波管ツイストを製造できる。
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。その説明ではさらなる実施例を取り上げる。
実施例1. 図2は本発明の実施例1の真空対応導波管ステップツイストの構成を示す斜視図である。この図に示すように導波管ステップツイストを小型化するため、直方体空洞を含む構造物に、真空対応導波管フランジと同様の真空シール25及びボルト挿入孔26Aを直接加工して、真空対応導波管ステップツイスト2としている。
前記の構成により、導波管フランジ24A付の導波管22A、及び導波管フランジ24B付の導波管22Bを、ボルト挿入孔26A及びボルト挿入孔26Bを用いて真空対応導波管ステップツイスト2に接続できるようになっている。
図2の実施例によれば、C−バンド帯(波長〜6cm)で軸線23回りに90度回転させる真空対応導波管ステップツイストを設計製作した場合、全長は2cm以下とすることが可能である。
またこの導波管ステップツイストは、汎用機械のみで加工できる形状であり、製造が容易である。電磁波の波長の長い場合についても、同様の形状で板金加工により簡便に製造する事が可能である。
このように製造した実施例1の導波管ステップツイストの電気的特性としては、中心周波数から10%離れた周波数においても透過率が99%以上と非常に良く、広い帯域において十分な透過率が得られる。
さらに計算機シミュレーションは本実施例のような電磁波機器の開発には必須であるが、この導波管ステップツイストは形状が単純であるため、シミュレーションのための形状作製が容易であると同時に、中心周波数を0.1%以下という非常に高い精度で求る事が可能である。
実施例2. 実施例1における図2の真空フランジでは超高真空大電力には対応できないため、図3に示すように2枚の超高真空大電力対応導波管フランジを別に用意して、直方体空洞の両側に直付けで接合を行った導波管ステップツイストがある。
図3は実施例2の超高真空大電力対応導波管ステップツイストの構成を示す斜視図である。この導波管ステップツイストでは真空ガスケット溝35とボルト挿入孔36が設けられた超高真空大電力対応フランジ34A及び34Bを、ロウ付けなどの接合方法により、直方体空洞31を含む構造体に接合を行っている。
前記の構成により、この導波管ステップツイストに超高真空大電力対応フランジを持つ導波管コンポーネントを接続することができる。
図3の実施例によれば、C−バンド帯(波長〜6cm)で軸線33回りに90度回転する超高真空大電力対応導波管ツイストを設計製作した場合、34A、34Bの超高真空大電力対応導波管フランジを含めて全長は5cm以下とすることが可能である。
発明の効果
以上説明したように、本発明によれば、導波管を伝わるTE10モードの電磁波を進行方向軸回りに任意角度回転させる導波管ツイストにおいて、ツイスト回転角の半分の角度に傾けた直方体空洞を挿入することで、対象の周波数の電磁波を完全に透過させることが可能である。
また導波管ステップツイストにおいて挿入する直方体空洞は単純な形状であり、汎用工作機械のみで容易に製造が可能で、その結果製造コストが低減できる。また直方体空洞自体の長さは波長の数分の1と短尺であり、導波管フランジを直接加工もしくは直付けして一体型とする事で小型化できるという利点がある。
本発明である導波管ステップツイストの構成を示す斜視図である。 本発明の一実施例としての真空対応導波管ステップツイストを示す斜視図である。 本発明の他の実施例としての超高真空大電力対応導波管ステップツイストを示す斜視図である。 従来使用されていたEコーナーとHコーナーの組み合わせの斜視図である. 従来使用されていたツイスト導波管の斜視図である。
符号の説明
11 直方体空洞
12A,12B 導波管
13 軸線
2 真空対応導波管ステップツイスト
21 直方体空洞
22A,22B 導波管
23 軸線
24A,24B 導波管フランジ
25 真空シール
26A,26B ボルト挿入孔
3 超高真空大電力対応導波管ステップツイスト
31 直方体空洞
32A,32B 導波管
33 軸線
34A,34B 超高真空大電力対応導波管フランジ
35 真空ガスケット溝
36 ボルト挿入孔
41A,41B,41C,41D 導波管
42A,42B Eコーナー
43 Hコーナー
51 ツイスト導波管
52A,52B 導波管フランジ

Claims (2)

  1. 導波管を伝わるTE10モードの電磁波を進行方向軸回りに任意角度回転させる導波管ツイストにおいて、対象の周波数の電磁波を透過させるために、ツイスト回転角の半分の角度に傾けた直方体空洞を間に挟む構成を持つことを特徴とする導波管ステップツイスト。
  2. 導波管フランジと一体化する事により、小型化が可能であると同時に、汎用工作機械のみで加工が可能であることを特徴とする請求項1記載の導波管ステップツイスト。
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