JP2005268874A - 静磁波デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】 所定の周波数において、その近傍より挿入損失が小さく、所定の周波数のみを伝搬させることができる静磁波デバイスを得る。
【解決手段】 静磁波デバイス10は、静磁波素子12を含む。静磁波素子12は、GGG単結晶基板14と、その一方主面上に形成されるYIG単結晶膜16とを含む。静磁波素子12の長手方向に平行に、YIG単結晶膜16の主面からGGG単結晶基板14まで達する2つの溝18を形成する。YIG単結晶膜16上に、溝18と直交するようにして、互いに平行な入力トランスデューサ20および出力トランスデューサ22を形成する。YIG単結晶膜16に直流磁界を印加し、入力トランスデューサ20に高周波信号を入力することにより、YIG単結晶膜16に静磁波が伝搬する。この静磁波を出力トランスデューサ22で電気信号に変換し、所定の周波数を有する電気信号を出力させる。
【選択図】 図1
【解決手段】 静磁波デバイス10は、静磁波素子12を含む。静磁波素子12は、GGG単結晶基板14と、その一方主面上に形成されるYIG単結晶膜16とを含む。静磁波素子12の長手方向に平行に、YIG単結晶膜16の主面からGGG単結晶基板14まで達する2つの溝18を形成する。YIG単結晶膜16上に、溝18と直交するようにして、互いに平行な入力トランスデューサ20および出力トランスデューサ22を形成する。YIG単結晶膜16に直流磁界を印加し、入力トランスデューサ20に高周波信号を入力することにより、YIG単結晶膜16に静磁波が伝搬する。この静磁波を出力トランスデューサ22で電気信号に変換し、所定の周波数を有する電気信号を出力させる。
【選択図】 図1
Description
この発明は、静磁波デバイスに関し、特にたとえば、マイクロ波帯のフィルタとして用いられる静磁波デバイスに関する。
図13は、従来の静磁波デバイスの一例を示す斜視図である。静磁波デバイス1は、静磁波素子2を含む。静磁波素子2は、非磁性ガーネット単結晶基板としてのGGG(ガドリニウム−ガリウム−ガーネット)単結晶基板3を含む。GGG単結晶基板3の一方面上には、磁性ガーネット単結晶膜としてのYIG(イットリウム−鉄−ガーネット)単結晶膜4が形成されている。YIG単結晶膜4上には、互いに平行となるように配置される入力トランスデューサ5および出力トランスデューサ6が形成される。さらに、YIG単結晶膜4には、入力トランスデューサ5および出力トランスデューサ6と平行に複数の溝7が形成される。これらの溝7は、図14に示すように、入力トランスデューサ5および出力トランスデューサ6の外側において、GGG単結晶基板3にまで達しないように形成される。
この静磁波デバイス1のYIG単結晶膜4に直交する向きあるいは平行する向きに、直流磁界が印加され、YIG単結晶膜4が磁化される。この状態で、入力トランスデューサ5に高周波信号を入力することにより、入力トランスデューサ5の周囲に高周波磁界が形成される。このように、磁化されたYIG単結晶膜4に高周波磁界が印加されることにより、YIG単結晶膜4において、電子スピンによる磁気モーメントに歳差運動が生じる。そして、YIG単結晶膜4には、磁気モーメントの歳差運動を介して伝搬する静磁波が発生する。伝播する静磁波のモードは、印加される直流磁界の方向によって変わる。たとえば、YIG単結晶膜4に直交する向きに直流磁界を印加した場合、YIG単結晶膜4には静磁前進体積波が伝搬される。
この静磁波デバイス1は、たとえば高周波フィルタとして用いられる。この場合、入力トランスデューサ4に高周波信号を入力し、YIG単結晶膜3に静磁波を伝搬させ、この静磁波が出力トランスデューサ5で電気信号に変換されて出力される。このようにして、静磁波デバイス1は、共振周波数に対応した所定の高周波信号を通過させる高周波フィルタとして機能させることができる。
さらに、この静磁波デバイス1においては、入力トランスデューサ5および出力トランスデューサ6と平行に、YIG単結晶膜4を貫通しないようにして、YIG単結晶膜4上に複数の溝7が形成されていることにより、溝7のピッチの2倍の波長を有する静磁波を選択的に反射させることができ、不要な妨害波を除去することができる(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、入力トランスデューサや出力トランスデューサと平行に溝を形成した静磁波デバイスでは、通過させたい所定の周波数帯においても挿入損失を十分に小さくすることができず、しかも、所定の周波数帯の挿入損失とその近傍の周波数帯における挿入損失の差が小さいため、所定の周波数だけを効率良く通過させることが難しかった。
それゆえに、この発明の主たる目的は、所定の周波数帯における挿入損失が小さく、かつ、所定の周波数帯の挿入損失とその近傍の周波数帯における挿入損失との差が大きく、より選択的に所望の周波数帯だけを通過させることができる静磁波デバイスを提供することである。
この発明は、非磁性ガーネット単結晶基板、非磁性ガーネット単結晶基板上に形成される磁性ガーネット単結晶膜、および磁性ガーネット単結晶膜の主面において、間隔を隔てて平行に形成される入力トランスデューサと出力トランスデューサとを含む静磁波デバイスにおいて、入力トランスデューサおよび出力トランスデューサに直交する向きに延びるように溝が形成されており、溝は前記磁性ガーネット単結晶膜の主面から、少なくとも非磁性ガーネット単結晶基板にまで達するように形成されたことを特徴とする、静磁波デバイスである。
このような静磁波デバイスにおいて、溝は、少なくとも入力トランスデューサと出力トランスデューサとに挟まれた領域の一部に形成されていればよい。
また、この発明は、複数の非磁性ガーネット単結晶基板、および複数の非磁性ガーネット単結晶基板のそれぞれの上に形成される磁性ガーネット単結晶膜を含み、複数の非磁性ガーネット単結晶基板上の磁性ガーネット単結晶膜が連続するようにして非磁性ガーネット単結晶基板が配置され、複数の非磁性ガーネット単結晶基板および磁性ガーネット単結晶膜の境界部に直交するようにして入力トランスデューサと出力トランスデューサとが形成された、静磁波デバイスである。
これらの静磁波デバイスにおいて、非磁性ガーネット単結晶基板をGGG(ガドリニウム−ガリウム−ガーネット)単結晶基板とし、磁性ガーネット単結晶膜をYIG(イットリウム−鉄−ガーネット)単結晶膜とすることができる。
このような静磁波デバイスにおいて、溝は、少なくとも入力トランスデューサと出力トランスデューサとに挟まれた領域の一部に形成されていればよい。
また、この発明は、複数の非磁性ガーネット単結晶基板、および複数の非磁性ガーネット単結晶基板のそれぞれの上に形成される磁性ガーネット単結晶膜を含み、複数の非磁性ガーネット単結晶基板上の磁性ガーネット単結晶膜が連続するようにして非磁性ガーネット単結晶基板が配置され、複数の非磁性ガーネット単結晶基板および磁性ガーネット単結晶膜の境界部に直交するようにして入力トランスデューサと出力トランスデューサとが形成された、静磁波デバイスである。
これらの静磁波デバイスにおいて、非磁性ガーネット単結晶基板をGGG(ガドリニウム−ガリウム−ガーネット)単結晶基板とし、磁性ガーネット単結晶膜をYIG(イットリウム−鉄−ガーネット)単結晶膜とすることができる。
本発明者は、種々の実験の結果、非磁性ガーネット単結晶基板上に磁性ガーネット単結晶膜が形成されており、磁性ガーネット単結晶膜の主面に、入力トランスデューサと出力トランスデューサとが間隔を隔てて平行となるように形成されてなる静磁波デバイスにおいて、入力トランスデューサおよび出力トランスデューサに直交する向きに延びる溝を形成し、この溝は磁性ガーネット単結晶膜の主面から少なくとも非磁性ガーネット単結晶基板を達するように形成することで、通過させたい所定の周波数帯における挿入損失が小さく、その近傍の周波数帯の挿入損失との差が大きい静磁波デバイスが得られることを見出した。
ここで言う溝は、間隔を隔てて形成された入力トランスデューサと出力トランスデューサとに挟まれた領域の一部に形成されていればよく、必ずしもトランスデューサと交差しなくてもよい。この場合、トランスデューサと交差していないため、設計がより容易に行える。また、溝は磁性ガーネット単結晶膜の主面から、厚み方向に貫通しており、非磁性ガーネット単結晶基板に少なくとも達している状態を示す。磁性ガーネット単結晶膜は厚み方向に貫通しており、非磁性ガーネット単結晶基板は切り込まれていない平滑な状態も含む。
また、磁性ガーネット単結晶膜が形成された非磁性ガーネット単結晶基板を複数並べて配置し、その境界部に直交する向きに入力トランスデューサおよび出力トランスデューサを形成しても、溝を形成した静磁波デバイスと同様の効果を得ることができる。すなわち、溝が磁性ガーネット単結晶膜の主面から、非磁性ガーネット単結晶基板の裏面まで貫いた状態と同じ構成になる。
このように、溝を形成したり、磁性ガーネット単結晶膜を形成した非磁性ガーネット基板を複数並べた静磁波デバイスにおいて、非磁性ガーネット単結晶基板として、たとえばGGG単結晶基板を用いることができ、磁性ガーネット単結晶膜として、たとえばYIG単結晶膜を用いることができる。
ここで言う溝は、間隔を隔てて形成された入力トランスデューサと出力トランスデューサとに挟まれた領域の一部に形成されていればよく、必ずしもトランスデューサと交差しなくてもよい。この場合、トランスデューサと交差していないため、設計がより容易に行える。また、溝は磁性ガーネット単結晶膜の主面から、厚み方向に貫通しており、非磁性ガーネット単結晶基板に少なくとも達している状態を示す。磁性ガーネット単結晶膜は厚み方向に貫通しており、非磁性ガーネット単結晶基板は切り込まれていない平滑な状態も含む。
また、磁性ガーネット単結晶膜が形成された非磁性ガーネット単結晶基板を複数並べて配置し、その境界部に直交する向きに入力トランスデューサおよび出力トランスデューサを形成しても、溝を形成した静磁波デバイスと同様の効果を得ることができる。すなわち、溝が磁性ガーネット単結晶膜の主面から、非磁性ガーネット単結晶基板の裏面まで貫いた状態と同じ構成になる。
このように、溝を形成したり、磁性ガーネット単結晶膜を形成した非磁性ガーネット基板を複数並べた静磁波デバイスにおいて、非磁性ガーネット単結晶基板として、たとえばGGG単結晶基板を用いることができ、磁性ガーネット単結晶膜として、たとえばYIG単結晶膜を用いることができる。
この発明によれば、通過させたい所定の周波数帯における挿入損失が小さく、かつ、所定の周波数帯の挿入損失とその近傍の周波数帯における挿入損失との差が大きく、より選択的に所望の周波数帯だけを通過させることができる静磁波デバイスを得ることができる。
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための最良の形態の説明から一層明らかとなろう。
図1は、この発明の静磁波デバイスの一例を示す斜視図である。静磁波デバイス10は、静磁波素子12を含む。静磁波素子12は、たとえば直方体状の非磁性ガーネット単結晶基板としてのGGG(ガドリニウム−ガリウム−ガーネット)単結晶基板14を含む。GGG単結晶基板14の一方主面上には、たとえば液相エピタキシャル法などによって、磁性ガーネット単結晶膜としてのYIG(イットリウム−鉄−ガーネット)単結晶膜16が形成される。
YIG単結晶膜16には、静磁波素子12の長手方向に延びるように、2つの直線状の溝18が形成される。これらの溝18は、たとえばYIG単結晶膜16を幅方向に3等分する位置において、YIG単結晶膜16の長手方向の両端面にまで達するように形成される。溝18は、図2に示すように、YIG単結晶膜16の主面からYIG単結晶膜を厚み方向に切断し、GGG単結晶基板14の一部まで切り込まれた状態に形成されている。さらに、YIG単結晶膜16上には、互いに平行に配置される直線状の入力トランスデューサ20および出力トランスデューサ22が間隔を隔てて形成されており、入力トランスデューサ20および出力トランスデューサ22は、溝18に直交するように形成される。入力トランスデューサ20および出力トランスデューサ22は、たとえばAlなどの金属材料を用いて、真空蒸着などの方法により、静磁波素子12の幅方向に向かって延びるように形成される。入力トランスデューサ20および出力トランスデューサ22は、YIG単結晶膜16の主面および溝18の内壁に沿って形成される。なお、各トランスデューサの一端は接地され、他端は入力または出力端子(図示せず)にそれぞれ接続される。
この静磁波デバイス10には、たとえばYIG単結晶膜16に直交する向きに、直流磁界が印加される。この状態で、入力トランスデューサ20に高周波信号が入力される。この高周波信号により、入力トランスデューサ20の周囲に高周波磁界が発生し、高周波磁界がYIG単結晶膜16に印加されることにより、YIG単結晶膜16に静磁波が伝搬する。この静磁波が出力トランスデューサ22で電気信号に変換され、出力トランスデューサ22から電気信号が出力される。
この静磁波デバイス10は、たとえば高周波フィルタとして機能し、入力トランスデューサ20に高周波信号を入力すると、所定の共振周波数の静磁波がYIG単結晶膜16を伝搬し、この静磁波が出力トランスデューサ22で電気信号に変換されて出力される。このとき、入力トランスデューサ20および出力トランスデューサ22に直交するように溝18が形成され、かつ溝18がYIG単結晶膜16の主面からGGG単結晶基板14まで達するように形成されていることにより、所定の共振周波数において挿入損失が小さく、その近傍を含む他の周波数において挿入損失が大きくなっている。そのため、この静磁波デバイス10は、所定の共振周波数の信号のみを通過させる高周波フィルタとして用いることができる。
また、溝18は、YIG単結晶膜16の長手方向の両端面にまで達するように形成される必要はなく、図4に示すように、入力トランスデューサ20および出力トランスデューサ22の間に挟まれた領域に形成されており、入力トランスデューサ20及び出力トランスデューサ22と直交する向きに形成されていれば、上述のような効果を得ることができる。さらに、図5に示すように、入力トランスデューサ20および出力トランスデューサ22の間の挟まれた領域の一部に形成されているだけでも、同様の効果を得ることができる。ただし、このような効果を得るためには、図4や図5に示す静磁波デバイス10においても、溝18は、入力トランスデューサ20および出力トランスデューサ22に直交するように、かつYIG単結晶膜16の主面からGGG単結晶基板14にまで達するように形成されている必要がある。
このように、入力トランスデューサ20と出力トランスデューサ22との間において、YIG単結晶膜16の主面からGGG単結晶基板14まで達するようにして、入力トランスデューサ20および出力トランスデューサ22に直交するように溝18を形成することにより、所定の周波数のみをより選択的に通過させることができる静磁波デバイス10を得ることができる。また、複数のGGG単結晶基板14およびYIG単結晶膜16の境界部34に直交するようにして、入力トランスデューサ20および出力トランスデューサ22を形成することにより、所定の周波数のみを通過させることができる静磁波デバイス30を得ることができる。
なお、溝18は、YIG単結晶膜16の主面からGGG単結晶基板14まで達するように形成されていればよく、溝18の数や、複数の溝18間の間隔は任意に変更可能である。また、溝18の深さは、少なくともYIG単結晶膜16を貫通してGGG単結晶基板14に達していればよく、GGG単結晶基板14を貫通していてもよい。さらに、非磁性ガーネット単結晶基板としては、GGG組成にCa、MrおよびZrを置換したSGGG単結晶基板などを用いてもよいが、これらに限定されるものではない。また、磁性ガーネット単結晶膜としては、YIG単体に限らず、Bi、Ga、Laなどを置換したものを用いてもよい。
なお、図3に示す静磁波デバイス30のように、YIG単結晶膜16が形成されたGGG単結晶基板14を複数並べて、YIG単結晶膜16が連続するように配置した静磁波素子32を用いることもできる。この場合、複数のGGG単結晶基板14およびYIG単結晶膜16の境界部34に直交する向きに、入力トランスデューサ20および出力トランスデューサ22が形成される。このような静磁波デバイス30において、GGG単結晶基板14およびYIG単結晶膜16の境界部34が、図1に示す静磁波デバイス10の溝18と同様の作用をするものと考えられる。
図1に示す静磁波デバイス10を得るために、直径75.6mmで厚さ0.5mmのGGG(Gd3Ga5O12)単結晶基板14の上に、液相エピタキシャル成長法により、膜厚10μmのYIG(Y3Fe5O12)単結晶膜16を形成した。次に、YIG単結晶膜16を形成したGGG単結晶基板14を5mm×3mmの大きさとなるように、ダイサーで切断した。さらに、ダイサーを用いて、GGG単結晶基板14の長手方向に平行に、YIG単結晶膜16の主面からGGG単結晶基板14にまで達するように、2つの溝18を形成した。これらの溝18は、GGG単結晶基板14の幅方向の両端から各々1mmの位置に形成した。これらの溝18の深さは100μmであり、溝18の幅は60μmである。
さらに、入力トランスデューサ20および出力トランスデューサ22を形成するために、YIG単結晶膜16上にフォトレジストを塗布してレジストパターンを形成した。そののち、真空蒸着機で厚み200nmとなるようにAlを蒸着し、フォトレジストを剥離した。このようにして、幅0.3mm、長さ3mmの入力トランスデューサ20および出力トランスデューサ22を形成した。これらのトランスデューサ20,22は、溝18と直交するように形成され、トランスデューサ20,22間の間隔は2mmである。
この静磁波デバイス10において、YIG単結晶膜16の主面に対して直交する向きに190mTの直流磁界を印加した。そして、静磁波デバイス10をネットワークアナライザに接続し、1.9GHzから2.1GHzの周波数のスパンで通過特性を測定し、その結果を図6に示した。図6からわかるように、周波数2010MHzにおいて挿入損失が極端に小さくなっており、2010MHz近傍の挿入損失に対して、約20dB程度の差が得られた。これにより、この静磁波デバイス10においては、所定の周波数だけを伝搬させることが可能であることがわかる。
図3に示すような静磁波デバイス30を得るために、直径75.6mmで厚さ0.5mmのGGG単結晶基板14の上に、液相エピタキシャル成長法により、膜厚10μmのYIG単結晶膜16を形成した。次に、YIG単結晶膜16を形成したGGG単結晶基板14を5mm×3mmの大きさとなるように、ダイサーで切断した。さらに、ダイサーを用いて、1mmおきにYIG単結晶膜16およびGGG単結晶基板14を切断し、5mm×1mmの試料を得た。これらの試料を、図3に示すように、YIG単結晶膜16が連続するようにして3個並べ、5mm×3mmの静磁波素子32とした。さらに、実施例1と同様にして、3つの試料の境界部34に直交するように、入力トランスデューサ20および出力トランスデューサ22を形成した。入力トランスデューサ20および出力トランスデューサ22の幅は0.3mmであり、長さは3mmであって、トランスデューサ20,22間の間隔は2mmである。
この静磁波デバイス30において、YIG単結晶膜16の主面に対して直交する向きに190mTの直流磁界を印加した。そして、静磁波デバイス30をネットワークアナライザに接続し、1.9GHzから2.1GHzの周波数のスパンで通過特性を測定し、その結果を図7に示した。図7からわかるように、周波数2010MHzにおいて挿入損失が極端に小さくなっており、2010MHz近傍の挿入損失に対して、約20dB程度の差が得られた。これにより、この静磁波デバイス30においては、所定の周波数だけをより選択的に伝搬させることが可能であることがわかる。さらに、静磁波デバイス30に形成された試料間の境界部34は、YIG単結晶膜16の主面からGGG単結晶基板14の底面まで形成されていることから、YIG単結晶膜16を分割する切れ目がGGG単結晶基板14にまで達していれば、GGG単結晶基板14の底面まで達していても、同様の効果が得られることがわかる。
図4に示すような静磁波デバイス10を得るために、直径75.6mmで厚さ0.5mmのGGG単結晶基板14の上に、液相エピタキシャル成長法により、膜厚10μmのYIG単結晶膜16を形成した。次に、YIG単結晶膜16を形成したGGG単結晶基板14を5mm×3mmの大きさとなるように、ダイサーで切断した。さらに、ダイサーを用いて、GGG単結晶基板14の長手方向に平行に、YIG単結晶膜16の主面からGGG単結晶基板14にまで達するように、2つの溝18を形成した。これらの溝18は、GGG単結晶基板14の幅方向の両端から各々1mmの位置に形成した。また、これらの溝18は、YIG単結晶膜16の長手方向の中央部において、長さが2mm、深さ0.1mmとなるように形成した。さらに、実施例1と同様にして、溝18の両端において溝18と直交するように、入力トランスデューサ20および出力トランスデューサ22を形成した。入力トランスデューサ20および出力トランスデューサ22の幅は0.3mmであり、長さは3mmであって、トランスデューサ20,22間の間隔は2mmである。
この静磁波デバイス10において、YIG単結晶膜16に対して直交する向きに190mTの直流磁界を印加した。そして、静磁波デバイス10をネットワークアナライザに接続し、1.9GHzから2.1GHzの周波数のスパンで通過特性を測定し、その結果を図8に示した。図8からわかるように、周波数2010MHzにおいて挿入損失が極端に小さくなっており、2010MHz近傍の挿入損失に対して、約20dB程度の差が得られた。これにより、この静磁波デバイス10においては、所定の周波数だけを伝搬させることが可能であることがわかる。
なお、図5に示すように、入力トランスデューサ20と出力トランスデューサ22との間の一部に溝18を形成した静磁波デバイス10においても、同様の効果を得ることができる。さらに、溝18は、YIG単結晶膜16の主面からGGG単結晶基板14まで達するように形成されていれば、GGG単結晶基板14を貫通するように形成されていてもよい。
(比較例1)
図13に示す静磁波デバイス1を得るために、直径75.6mmで厚さ0.5mmのGGG単結晶基板2の上に、液相エピタキシャル成長法により、膜厚10μmのYIG単結晶膜3を形成した。次に、YIG単結晶膜4を形成したGGG単結晶基板3を5mm×3mmの大きさとなるように、ダイサーで切断した。さらに、ダイサーを用いて、GGG単結晶基板3の幅方向に平行に、YIG単結晶膜34主面に2つの溝7を形成した。これらの溝7は、GGG単結晶基板3の長手方向の2箇所に間隔を隔てて形成され、それぞれの部分において3本ずつの溝7を形成した。これらの溝7の深さは7μmであり、溝7の幅は60μmである。さらに、実施例1と同様にして、2箇所の溝の内側に、入力トランスデューサ5および出力トランスデューサ6を形成した。これらのトランスデューサ5,6の形状は、幅300μm、長さ3mmであり、トランスデューサ5,6間の間隔は2mmである。
図13に示す静磁波デバイス1を得るために、直径75.6mmで厚さ0.5mmのGGG単結晶基板2の上に、液相エピタキシャル成長法により、膜厚10μmのYIG単結晶膜3を形成した。次に、YIG単結晶膜4を形成したGGG単結晶基板3を5mm×3mmの大きさとなるように、ダイサーで切断した。さらに、ダイサーを用いて、GGG単結晶基板3の幅方向に平行に、YIG単結晶膜34主面に2つの溝7を形成した。これらの溝7は、GGG単結晶基板3の長手方向の2箇所に間隔を隔てて形成され、それぞれの部分において3本ずつの溝7を形成した。これらの溝7の深さは7μmであり、溝7の幅は60μmである。さらに、実施例1と同様にして、2箇所の溝の内側に、入力トランスデューサ5および出力トランスデューサ6を形成した。これらのトランスデューサ5,6の形状は、幅300μm、長さ3mmであり、トランスデューサ5,6間の間隔は2mmである。
この静磁波デバイス1において、YIG単結晶膜4に対して直交する向きに190mTの直流磁界を印加した。そして、静磁波デバイス1をネットワークアナライザに接続し、1.9GHzから2.1GHzの周波数のスパンで通過特性を測定し、その結果を図9に示した。図9からわかるように、比較例1の静磁波デバイス1では、挿入損失が大きく、2000MHz以上の周波数帯において、挿入損失の大きさにあまり差が生じていないため、十分なメインレスポンスが得られていない。
(比較例2)
図10に示す静磁波デバイス50を得るために、直径75.6mmで厚さ0.5mmのGGG単結晶基板14の上に、液相エピタキシャル成長法により、膜厚10μmのYIG単結晶膜16を形成した。次に、YIG単結晶膜16を形成したGGG単結晶基板14を5mm×3mmの大きさとなるように、ダイサーで切断した。さらに、ダイサーを用いて、GGG単結晶基板14の長手方向に平行に、YIG単結晶膜16の主面に2つの溝54を形成して、静磁波素子52を形成した。これらの溝54は、GGG単結晶基板14の幅方向の両側から1mmの位置に形成した。これらの溝54の深さは7μmであり、溝54の幅は60μmである。したがって、図11に示すように、溝54は、YIG単結晶膜16にのみ形成され、GGG単結晶基板14まで達していない。さらに、実施例1と同様にして、入力トランスデューサ20および出力トランスデューサ22を形成した。入力トランスデューサ20および出力トランスデューサ22の幅は0.3mmであり、長さは3mmであって、トランスデューサ20,22間の間隔は2mmである。
図10に示す静磁波デバイス50を得るために、直径75.6mmで厚さ0.5mmのGGG単結晶基板14の上に、液相エピタキシャル成長法により、膜厚10μmのYIG単結晶膜16を形成した。次に、YIG単結晶膜16を形成したGGG単結晶基板14を5mm×3mmの大きさとなるように、ダイサーで切断した。さらに、ダイサーを用いて、GGG単結晶基板14の長手方向に平行に、YIG単結晶膜16の主面に2つの溝54を形成して、静磁波素子52を形成した。これらの溝54は、GGG単結晶基板14の幅方向の両側から1mmの位置に形成した。これらの溝54の深さは7μmであり、溝54の幅は60μmである。したがって、図11に示すように、溝54は、YIG単結晶膜16にのみ形成され、GGG単結晶基板14まで達していない。さらに、実施例1と同様にして、入力トランスデューサ20および出力トランスデューサ22を形成した。入力トランスデューサ20および出力トランスデューサ22の幅は0.3mmであり、長さは3mmであって、トランスデューサ20,22間の間隔は2mmである。
この静磁波デバイス50において、YIG単結晶膜16に対して直交する向きに190mTの直流磁界を印加した。そして、静磁波デバイス50をネットワークアナライザに接続し、1.9GHzから2.1GHzの周波数のスパンで通過特性を測定し、その結果を図12に示した。図12からわかるように、比較例2の静磁波デバイスでは、2010MHz近傍において挿入損失は小さくなっているが、その前後の周波数帯の挿入損失に対してあまり差が生じていないため、十分なメインレスポンスが得られていない。
これらの実施例および比較例からわかるように、入力トランスデューサおよび出力トランスデューサに直交するように、かつYIG単結晶膜の主面からGGG単結晶基板まで達するように溝を形成することにより、所定の周波数における挿入損失が小さく、メインレスポンスを有する静磁波デバイスを得ることができる。
10,30 静磁波デバイス
12,32 静磁波素子
14 GGG単結晶基板
16 YIG単結晶膜
18 溝
20 入力トランスデューサ
22 出力トランスデューサ
34 境界部
12,32 静磁波素子
14 GGG単結晶基板
16 YIG単結晶膜
18 溝
20 入力トランスデューサ
22 出力トランスデューサ
34 境界部
Claims (4)
- 非磁性ガーネット単結晶基板、
前記非磁性ガーネット単結晶基板上に形成される磁性ガーネット単結晶膜、および
前記磁性ガーネット単結晶膜の主面において、間隔を隔てて平行に形成される入力トランスデューサと出力トランスデューサとを含む静磁波デバイスにおいて、
前記入力トランスデューサおよび前記出力トランスデューサに直交する向きに延びるように溝が形成されており、
前記溝は前記磁性ガーネット単結晶膜の主面から、少なくとも前記非磁性ガーネット単結晶基板にまで達するように形成されたことを特徴とする、静磁波デバイス。 - 前記溝は、少なくとも前記入力トランスデューサと前記出力トランスデューサとに挟まれた領域の一部に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の静磁波デバイス。
- 複数の非磁性ガーネット単結晶基板、および
複数の前記非磁性ガーネット単結晶基板のそれぞれの上に形成される磁性ガーネット単結晶膜を含み、
複数の前記非磁性ガーネット単結晶基板上の前記磁性ガーネット単結晶膜が連続するようにして前記非磁性ガーネット単結晶基板が配置され、
複数の前記非磁性ガーネット単結晶基板および前記磁性ガーネット単結晶膜の境界部に直交するようにして入力トランスデューサと出力トランスデューサとが形成された、静磁波デバイス。 - 前記非磁性ガーネット単結晶基板はGGG(ガドリニウム−ガリウム−ガーネット)単結晶基板であり、前記磁性ガーネット単結晶膜はYIG(イットリウム−鉄−ガーネット)単結晶膜である、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の静磁波デバイス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004074231A JP2005268874A (ja) | 2004-03-16 | 2004-03-16 | 静磁波デバイス |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004074231A JP2005268874A (ja) | 2004-03-16 | 2004-03-16 | 静磁波デバイス |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005268874A true JP2005268874A (ja) | 2005-09-29 |
Family
ID=35093003
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004074231A Pending JP2005268874A (ja) | 2004-03-16 | 2004-03-16 | 静磁波デバイス |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005268874A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
RU2736922C1 (ru) * | 2020-06-22 | 2020-11-23 | Федеральное государственное бюджетное учреждение науки Институт радиотехники и электроники им. В.А. Котельникова Российской академии наук | Элемент пространственно-частотной фильтрации сигнала на основе магнонных кристаллов |
RU2815062C1 (ru) * | 2023-11-02 | 2024-03-11 | Федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего образования "Саратовский национальный исследовательский государственный университет имени Н.Г. Чернышевского" | Управляемый фильтр магнитостатических волн |
-
2004
- 2004-03-16 JP JP2004074231A patent/JP2005268874A/ja active Pending
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