JP2005268463A - 電波吸収体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 使用周波数帯における比透磁率が高い場合にも反射を抑制できる電波吸収体の製造方法を提供する。
【解決手段】 磁性体原料粉末を含有する成形体を成型する。成形体は、第1焼成工程において焼失する焼失材を含有している。次に、この成形体を焼成して焼結体を形成する(第1焼成工程)。焼失材が在った部分に空孔が形成される。次に、焼結体に、誘電体材料粉末を含有するセラミックスラリーを含浸させる。セラミックスラリーはガラスを含有している。次に、焼結体を焼成する(第2焼成工程)。第2焼成工程における焼成温度は、第1焼成工程における焼成温度より低く設定する。
【選択図】 図1
【解決手段】 磁性体原料粉末を含有する成形体を成型する。成形体は、第1焼成工程において焼失する焼失材を含有している。次に、この成形体を焼成して焼結体を形成する(第1焼成工程)。焼失材が在った部分に空孔が形成される。次に、焼結体に、誘電体材料粉末を含有するセラミックスラリーを含浸させる。セラミックスラリーはガラスを含有している。次に、焼結体を焼成する(第2焼成工程)。第2焼成工程における焼成温度は、第1焼成工程における焼成温度より低く設定する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、高周波の放射ノイズなどを吸収する電波吸収体の製造方法に関する。
従来より、電波吸収体として、特許文献1に記載のものが知られている。この電波吸収体は、フェライト焼結体中に空孔が5〜30体積%の割合でほぼ均一に存在し、多孔質化している。これにより、フェライト焼結体の透磁率を高く維持しながら誘電率を低下させ、電波を吸収する周波数帯域を拡大している。この広帯域電波吸収体は、主にノイズ評価用電波暗室などに用いられるものである。
しかし、フェライト焼結体が高透磁率かつ低誘電率であると、電波吸収体の特性インピーダンスは、低周波領域において、空気の特性インピーダンスに比べて非常に高い値となってしまう。このため、空気と電波吸収体との界面でのインピーダンスマッチングが悪い状態になり、反射が生じ、吸収効果が低下する。なお、特許文献1のように、電波暗室の外から侵入する電磁波を防ぐために、この電波吸収体を用いるのであれば、反射が大きくても問題とならない。
また、樹脂に磁性体粉末を混合した材料や、フェライトとガラスを混合した材料を用いて、電波吸収体を作製した場合には、低周波領域において透磁率の虚数部が急激に低下し、透磁率の損失成分も殆ど発現せず、電波吸収効果が低いという問題がある。
特開平5−55780号公報
そこで、本発明の目的は、使用周波数帯における比透磁率が高い場合にも反射を抑制できる電波吸収体の製造方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明に係る電波吸収体の製造方法は、
(a)磁性体原料粉末を含有する成形体を成型する成型工程と、
(b)成形体を焼成して焼結体を形成する第1焼成工程と、
(c)焼結体に、誘電体材料粉末を含有するセラミックスラリーを含浸させる含浸工程と、
(d)焼結体を焼成する第2焼成工程と、
を備えたことを特徴とする。
(a)磁性体原料粉末を含有する成形体を成型する成型工程と、
(b)成形体を焼成して焼結体を形成する第1焼成工程と、
(c)焼結体に、誘電体材料粉末を含有するセラミックスラリーを含浸させる含浸工程と、
(d)焼結体を焼成する第2焼成工程と、
を備えたことを特徴とする。
成形体は、第1焼成工程において焼失する焼失材を含有している。これにより、焼失材が在った部分に空孔が形成され、焼結体にセラミックスラリーを含浸させる作業が容易になる。
また、第2焼成工程における焼成温度を、第1焼成工程における焼成温度より低く設定することにより、第2焼成工程の焼成温度によって磁性焼結体の特性が変化するのを防止する。
また、誘電体材料粉末を含有するセラミックスラリーが、ガラスを含有していることを特徴とする。これにより、低温焼成可能な誘電体材料が得られる。
本発明によれば、電波吸収体の空孔内に高誘電率の誘電体材料を充填することによって、高い透磁率を維持したまま、誘電率を上昇させることができ、比透磁率と比誘電率の値を近づけられる。この結果、表面での反射が少なく、低周波領域から電波吸収効果の大きい電波吸収体が得られる。
以下、本発明に係る電波吸収体の製造方法の一実施例について添付の図面を参照して説明する。
図1は電波吸収体のフローチャートである。磁性体原料粉末には、比透磁率400のNiZnCuフェライト材料を用いた。この磁性体原料粉末は以下のようにして製作される。NiZnCuフェライト原料と所定量の酸化物原料とを混合して800℃の温度で1時間仮焼する。得られた仮焼粉末をボールミルにて湿式粉砕した後、乾燥してから解砕し、平均粒径が約2μmのフェライトセラミック粉末を得る。
このフェライトセラミック粉末に、平均粒径が約15μmの球状ポリマーを56体積%添加し、溶媒、バインダー(結合材)、分散材を加えてボールミルで所望の時間混合を行う。ここに、球状ポリマーは、後述の第1焼成工程において焼失する焼失材である。得られたフェライトセラミックスラリーをドクターブレード法などを用いて、厚さが約100μmのフェライトセラミックグリーンシートを作製する。
次に、こうして得られたフェライトセラミックグリーンシートを積み重ねた後、プレス機にて圧着して、例えば、100×100mmで厚さが2mmの板状フェライト成形体を成型する(工程1)。
次に、工程2において、フェライト成形体を400℃の温度で脱バインダー処理を3時間行った後、950℃の温度で2時間焼成してフェライト焼結体を形成する(第1焼成工程)。このとき、フェライト成形体に含まれている球状ポリマーが焼失して、球状ポリマーが在った部分に空孔が形成される。
次に、工程3において、フェライト焼結体に、比誘電率が100の低温焼成誘電体材料粉末を含有するセラミックスラリーを含浸させる(含浸工程)。これにより、フェライト焼結体に形成されている空孔内に、低温焼成誘電体材料粉末を含有するセラミックスラリーが充填される。
次に、工程4において、フェライト焼結体を、第1焼成工程での焼成温度よりも低い焼成温度(本実施例の場合は900℃)で焼成し、低温焼成誘電体材料粉末を含有するセラミックスラリーを焼結する(第2焼成工程)。第2焼成工程の焼成温度を第1焼成工程の焼成温度より低くしているのは、第2焼成工程の焼成温度によってフェライト焼結体の特性が変化するのを防止するためである。従って、セラミックスラリーの誘電体材料には、磁性体原料より低い温度で焼結するものを採用することが好ましい。しかし、一般的に誘電体材料の焼結温度は1000℃を超えており、磁性体原料より高い。そこで、本実施例では、誘電体材料粉末(BaO−TiO2−NdO2/3系のセラミックス)にガラスを添加させることにより、低温焼成可能な誘電体材料としたものを用いている。こうして、電波吸収体が完成する。
上記と同様の材料及び製造方法でリング状のフェライト成形体(電波吸収体10、図2参照)を作成して比透磁率及び比誘電率を測定した。表1は測定した結果を示すものである(実施例参照)。表1には、比較例1として磁性体原料粉末に球状ポリマーを混練しないで電波吸収体を作製したもの(すなわち、通常のフェライト焼結体でできたもの)、並びに、比較例2としてフェライト焼結体に誘電体材料粉末を含有するセラミックスラリーを含浸しなかったものについての測定結果も記載している。
また、図3の実線μ’,μ”はそれぞれ、リング状フェライト成形体の透磁率の実数部と虚数部の周波数特性を示すグラフである。図3には、比較のために、比較例1の電波吸収体の透磁率の実数部と虚数部の周波数特性を示すグラフも併せて記載している(点線μ’,μ”参照)。
ここで、一般に電波は、電波吸収体の透磁率の虚数部の数値が大きい程、損失が大きくなり、電波吸収体において熱として消費・吸収され易くなる。従って、低い周波数から大きな虚数部が得られることが好ましい。
フェライト焼結体の内部に空孔が形成されている電波吸収体10は、空孔が形成されていない電波吸収体に比べて透磁率は低下するものの、フェライト焼結体が本来有している特徴を維持した特性を有する。すなわち、透磁率の実数部および虚数部のそれぞれの数値は、フェライト焼結体の透磁率が同比率で低下したものとなる。このため、透磁率の虚数部は、低周波領域から増加する(図3の実線μ”参照)。
また、特性インピーダンスは、以下の式で表される。
Z(0)=377×(μr/εr)1/2
μr:比透磁率
εr:比誘電率
Z(0)=377×(μr/εr)1/2
μr:比透磁率
εr:比誘電率
空気の比透磁率と比誘電率はそれぞれ1であるから、空気の特性インピーダンスはZ(0)=377Ωである。従って、電波吸収体10の特性インピーダンスを空気の特性インピーダンスに合わせるためには、電波吸収体10の比透磁率と比誘電率を等しい値にする必要がある。両者の特性インピーダンスを合わせれば、空気と電波吸収体10との界面での反射がなくなり、殆どのノイズが電波吸収体10に入射することになる。
電波吸収体10の空孔内に高誘電率の誘電体材料を充填することによって、高い透磁率を維持したまま、誘電率を上昇させることができ、比透磁率と比誘電率の値を近づけられる。この結果、表面での反射が少なく、低周波領域から電波吸収効果の大きい電波吸収体10が得られる。
表1や図3より、電波吸収体10は、30〜100MHz付近で空気の特性インピーダンスに近い値となる。このため、この周波数領域では、電波が殆ど反射することなく、電波吸収体10に入射することになる。
また、透磁率は周波数によって変化するが、誘電率は殆ど変化しないため、比透磁率と比誘電率が同一になる周波数を中心にして、電波吸収体10は空気との界面での反射が小さくなり、電波吸収効果が大きくなる。
そして、透磁率と誘電率の調整は、空孔の体積率および空孔に含浸する誘電体の誘電率を調整することによって可能であり、吸収したいノイズの周波数に合わせて調整すればよい。
また、数十MHzから1GHzの間で、比透磁率と比誘電率が同じ数値になる周波数を設定するのであれば、空孔体積率が30〜80体積%、空孔に含浸させる誘電体材料の比誘電率は20〜3000が好ましい。このとき、フェライト焼結体の比誘電率は15程度である。
空孔体積率が30体積%より少ない場合、電波吸収体10の内部の空孔へ誘電体材料が充分に含浸できないという心配がある。さらに、磁性体原料の比率が高くなり、磁性体原料の誘電率の影響により、電波吸収体10の誘電率を高くすることができない。このため、比透磁率と比誘電率を近付けることが困難になる。逆に、空孔体積率が80体積%を超える場合、空孔形成後のフェライト焼結体の機械的強度が低下して脆くなり、加工が困難になる。しかも、磁路が空孔によって分断され、フェライト焼結体の特性が本来の特性から大きく異なったものに変化してしまう心配がある。
また、誘電体材料の比誘電率が3000を超えると、電波吸収体10の比誘電率が比透磁率より大きくなってしまい、特性インピーダンスが377Ωから遠ざかってしまうからである。
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。例えば、空孔体積率が30〜80体積%の範囲より低い場合や、フェライト焼結体の比透磁率がかなり高くなる周波数帯域で電波吸収体10を使用する場合には、さらに大きい比誘電率をもつ誘電体材料を含浸させる必要がある。
10…電波吸収体
Claims (4)
- 磁性体原料粉末を含有する成形体を成型する成型工程と、
前記成形体を焼成して焼結体を形成する第1焼成工程と、
前記焼結体に、誘電体材料粉末を含有するセラミックスラリーを含浸させる含浸工程と、
前記焼結体を焼成する第2焼成工程と、
を備えたことを特徴とする電波吸収体の製造方法。 - 前記成形体が、第1焼成工程において焼失する焼失材を含有していることを特徴とする請求項1に記載の電波吸収体の製造方法。
- 前記第2焼成工程における焼成温度が、前記第1焼成工程における焼成温度より低いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電波吸収体の製造方法。
- 前記誘電体材料粉末を含有するセラミックスラリーが、ガラスを含有していることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電波吸収体の製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2004077502A JP2005268463A (ja) | 2004-03-18 | 2004-03-18 | 電波吸収体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009111197A (ja) * | 2007-10-31 | 2009-05-21 | Toda Kogyo Corp | フェライト成形シート、焼結フェライト基板およびアンテナモジュール |
US9394204B2 (en) | 2007-03-07 | 2016-07-19 | Toda Kogyo Corporation | Molded ferrite sheet, sintered ferrite substrate and antenna module |
JP2017194361A (ja) * | 2016-04-21 | 2017-10-26 | 日本電信電話株式会社 | 誘電分光装置 |
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2004
- 2004-03-18 JP JP2004077502A patent/JP2005268463A/ja active Pending
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