JP2005266069A - 光学フィルタ部材およびこれを用いた固体撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 誘電体多層膜のクラックや膜剥がれを防止することができ、光学特性に優れ、長期信頼性に優れた光学フィルタ部材およびこれを用いた固体撮像装置を得ること。
【解決手段】 ホウケイ酸ガラスもしくは複屈折材料から成る透光性基板1の一主面の中央部に高屈折率層3と低屈折率層4とを交互に複数層積層した誘電体多層膜2を被着して成る光学フィルタ部材5において、誘電体多層膜2は、透光性基板1の一主面に平行な圧縮応力が残留していることを特徴とする光学フィルタ部材5。
【選択図】 図1

Description

本発明は、CCD・CMOSイメージセンサ等のカラー固体撮像素子を用いたデジタルカメラや携帯端末用カメラモジュールに搭載される光学フィルタ部材およびこれを用いた固体撮像装置に関する。
近年、CCDやCMOS等のカラー固体撮像素子を搭載する光学機能部品を含むカメラの軽薄短小化および低価格化が急激に進展し、これに伴って搭載されるカメラモジュールをはじめとする光学機能部品も軽薄短小化あるいは部品削減が進んでいる。
このような光学機能部品は、一般に画像を得るために外部からの入射光を集光してカラー撮像素子に導くためのガラス材あるいはプラスチック材から成るレンズと、赤みを帯びた色調を補正するための金属錯体を含有する赤外線カットフィルタガラスと、酸化アルミニウム質焼結体や有機プリント板等の電気絶縁材料から成り、これらの各部品を保持する樹脂筐体とから構成されている。
しかしながら、このような光学機能部品の構成では、部品としての性能を得るためには薄型化には限界があり、その結果、部品を使用したカメラ本体も薄型化が困難である。
また、その部品の中で特に光学特性が厚みに依存するとともに、薄型化が困難である赤外線カットフィルタガラスに変わり、赤外線を遮蔽する部品としてホウケイ酸ガラスに誘電体多層膜を交互に積層した光学フィルタ部材が用いられている。この光学フィルタ部材は、TaやTiO,Nb,LaF,La,Ta,ZrO,Y等の屈折率が1.7以上の誘電体から成る高屈折率層とSiOやMgF,NaAlF等の屈折率が1.6以下の低屈折率層とを、基板片面の全面あるいは画像認識に有効な範囲に交互に数十層積層することにより赤外線を遮蔽する誘電体多層膜を形成するもので、赤外線の遮蔽特性は基板の厚みに依存することがないためカメラの薄型化が可能になるというものである。
誘電体多層膜は、一般的には、各層におけるλ/4(λは任意の設計波長)の整数倍とした光学的膜厚を変えることにより特定波長光の反射を制御する、すなわち、透過率を制御することにより遮蔽膜としての機能を発揮することが可能となる。なお、光学的な膜厚は屈折率nと実際の物理的な膜厚dの積(n×d)で表わされる。
しかしながら、これまでの光学フィルタ部材では、誘電体多層膜は高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層することにより赤外線の遮蔽機能を発揮していたが、誘電体多層膜のある断面において一方側の断面とこれに対する他方側の断面とが引張り合う方向の引張応力となることが頻繁に発生しており、固体撮像装置に接合する際に、誘電体多層膜にクラックが発生するという問題があった。
この問題を解決するため、応力の向きが互いに逆になるような高屈折率層と低屈折率層の組み合わせを用いることにより、内部応力を相殺して誘電体多層膜にクラックが発生することを防止することが試みられている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−149404号公報
しかしながら、応力の向きが逆になるような高屈折率層と低屈折率層の組み合わせを用いて誘電体多層膜を構成し、良好な赤外線の遮蔽機能を有する光学特性を得るようにした場合においても、誘電体多層膜の内部応力は小さくなるものの、完全に相殺されることはなく、誘電体多層膜の断面に引張り合う方向の力、すなわち引張応力が残留しやすくなる。その結果、光学フィルタ部材を絶縁基体や筒体に実装する際、または使用環境下での温度変化等によりホウケイ酸ガラス等から成る透光性基板が膨張し、誘電体多層膜が基板の外周方向にさらに引張られることでクラックが発生しやすいという問題を有していた。
従って、本発明の光学フィルタ部材およびこれを用いた固体撮像装置は上記問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、誘電体多層膜のクラックを防止することができ、光学特性に優れ、長期信頼性に優れた光学フィルタ部材およびこれを用いた固体撮像装置を得ることである。
本発明の光学フィルタ部材は、ホウケイ酸ガラスもしくは複屈折材料から成る透光性基板の一主面の中央部に高屈折率層と低屈折率層とを交互に複数層積層した誘電体多層膜を被着して成る光学フィルタ部材において、前記誘電体多層膜は、前記透光性基板の一主面に平行な圧縮応力が残留していることを特徴とする。
本発明の光学フィルタ部材において、好ましくは、前記高屈折率層は、アモルファス状態の酸化チタンまたは酸化タンタルから成り、前記低屈折率層は、アモルファス状態の酸化シリコンから成ることを特徴とする。
本発明の固体撮像装置は、上面に固体撮像素子を収納するための凹部を有する絶縁基体と、本発明の光学フィルタ部材を有し前記絶縁基体の上面に前記凹部を覆うように封止材を介して接合された蓋体とを具備することを特徴とする。
本発明の固体撮像装置は、前記透光性基板の主面の外周部に配線導体が形成された本発明の光学フィルタ部材と、受光面に形成された電極が前記配線導体にフリップチップ接続されることにより前記光学フィルタ部材上に搭載された固体撮像素子とを具備することを特徴とする。
本発明の固体撮像装置は、上面に固体撮像素子を搭載する搭載部を有する絶縁基体と、前記搭載部に搭載された固体撮像素子と、該絶縁基体の上面の外周部に接合された筒体と、該筒体の上部に取り付けられた撮像レンズと、前記筒体内側の前記撮像レンズの下方に配置されるとともに前記固体撮像素子を覆うように外周部が封止材を介して前記筒体の内面に接合された請求項1記載の光学フィルタ部材とを具備することを特徴とする。
本発明の光学フィルタ部材は、ホウケイ酸ガラスもしくは複屈折材料から成る透光性基板の一主面の中央部に高屈折率層と低屈折率層とを交互に複数層積層した誘電体多層膜を被着して成る光学フィルタ部材であり、誘電体多層膜は透光性基板の一主面に平行な圧縮応力が残留していることから、光学フィルタ部材を絶縁基体や筒体に実装する際、または使用環境下での温度変化等により透光性基板が膨張して誘電体多層膜が透光性基板の外周方向に引張られても、誘電体多層膜には圧縮応力が残留しており、透光性基板が膨張して誘電体多層膜が外周方向に引張られる引張応力と誘電体多層膜に残留している圧縮応力とが相殺することにより、誘電体多層膜でのクラックの発生を防止することができる。このことにより、光学特性に優れた光学フィルタ部材とすることができる。
本発明の光学フィルタ部材は、上記構成において好ましくは、高屈折率層がアモルファス状態の酸化チタンまたは酸化タンタルから成り、低屈折率層がアモルファス状態の酸化シリコンから成ることから、透光性基板に薄膜を形成した際に圧縮応力となる酸化チタンまたは酸化タンタルと酸化シリコンとを交互に積層することができるので、誘電体多層膜全体に圧縮応力を残留させることができることから、ホウケイ酸ガラスもしくは複屈折材料から成る透光性基板との密着性の優れた誘電体多層膜を形成することができるとともに、誘電体多層膜にクラックが発生して赤外線の遮蔽機能が低下することのない光学特性に優れた光学フィルタ部材とすることができる。
また、高屈折率層ならびに低屈折率層を非晶質であるアモルファス状態とすることから、誘電体多層膜における空孔や柱状構造がきわめて少なく、誘電体多層膜の内部への水分の侵入吸着による体積変化により生じる誘電体多層膜でのクラックを防止することができ、誘電体多層膜の赤外線の遮蔽機能が低下することのない光学特性に優れた光学フィルタ部材とすることができる。
本発明の固体撮像装置は、上面に固体撮像素子を収納するための凹部を有する絶縁基体と、本発明の光学フィルタ部材を有し絶縁基体の上面に凹部を覆うように封止材を介して接合された蓋体とを具備することから、光学フィルタ部材を有する蓋体を封止材を介して絶縁基体に接合する際に加わる熱や、使用環境下での固体撮像素子の動作の際に発生する熱で透光性基板が膨張して引張応力が加わる方向へ変形しても誘電体多層膜にクラックが発生することを防止することができ、光学特性に優れるとともに、長期信頼性に優れた固体撮像装置とすることができる。
また、本発明の固体撮像装置は、透光性基板の主面の外周部に配線導体が形成された本発明の光学フィルタ部材と、受光面に形成された電極が配線導体にフリップチップ接続されることにより光学フィルタ部材上に搭載された固体撮像素子とを具備することから、配線導体が形成された光学フィルタ部材に固体撮像素子の電極を接着剤を介してフリップチップ実装法により接続する際の温度変化や外力により光学フィルタ部材に加わる引張応力によって誘電体多層膜にクラックが発生することを防止することができ、光学特性に優れるとともに、長期信頼性に優れた固体撮像装置とすることができる。
また、本発明の固体撮像装置は、上面に固体撮像素子を搭載する搭載部を有する絶縁基体と、搭載部に搭載された固体撮像素子と、絶縁基体の上面の外周部に接合された筒体と、筒体の上部に取り付けられた撮像レンズと、筒体内側の撮像レンズの下方に配置されるとともに固体撮像素子を覆うように外周部が封止材を介して筒体の内面に接合された本発明の光学フィルタ部材とを具備することから、光学フィルタ部材を筒体内側に封止材を介して接合する際に加える熱によって発生する熱応力や封止材が硬化する際の収縮による変形によって誘電体多層膜に引張応力が加わっても、誘電体多層膜にクラックが発生することを防止することができることから、光学特性に優れるとともに、長期信頼性に優れた固体撮像装置とすることができる。
本発明の光学フィルタ部材5および固体撮像装置を添付の図面に基づき詳細に説明する。
図1は本発明の光学フィルタ部材5の実施の形態の一例を示す断面図である。1はホウケイ酸ガラスもしくは複屈折材料から成る透光性基板、2は透光性基板1の一主面に被着形成されている誘電体多層膜であり、主にこれらで本発明の光学フィルタ部材5が構成される。図1に示すように、誘電体多層膜2に残留する応力が、透光性基板1に対して誘電体多層膜2が外側に反るような圧縮応力であることが重要である。
本発明の光学フィルタ部材5によれば、ホウケイ酸ガラスもしくは複屈折材料から成る透光性基板1の一主面の中央部に高屈折率層3と低屈折率層4を交互に複数層積層した誘電体多層膜2を被着形成し、誘電体多層膜2は透光性基板1に対して誘電体多層膜2が外側に反る方向に透光性基板1の一主面に平行な圧縮応力が残留していることから、光学フィルタ部材5を実装する際や使用環境下での温度変化等により透光性基板1が膨張して誘電体多層膜2が透光性基板1の外周方向に引張られても、透光性基板1が膨張して誘電体多層膜2が外周方向に引張られる引張応力と誘電体多層膜2に残留している圧縮応力とが相殺することにより、誘電体多層膜2にクラックが発生して赤外線の遮蔽機能が低下することはなく、光学特性に優れた光学フィルタ部材5とすることができる。
透光性基板1は、ホウケイ酸ガラスもしくはニオブ酸リチウムや水晶、サファイア等の複屈折材料から成る。
ホウケイ酸ガラスは、原料にホウ酸を加えることで耐熱性や耐薬品性に優れる材料となり、さらに透明で平坦な無孔性の表面を有することから光学的に欠陥の少ない材料として好適に用いられる。このようなホウケイ酸ガラスは、溶融した高純度のガラス原料をダウンドロー法により、無研磨にて板厚のバラツキの少ない透光性基板1とすることができる。
または、溶融させた高純度のガラス原料をガラスの溶融温度よりも融点が高い金属から成る容器内、好ましくは、白金(Pt)から成る容器内に流し込んだ後、数日に渡って徐冷却し、ブロック状に形成する。これにより、高純度のガラス原料に固体撮像素子6に悪影響を及ぼすα線を発生する不純物が透光性基板1に溶け込むことを防止することができる。しかる後、所定の板厚および外形寸法に切断するとともに、各稜線部を機械的に切削することによりC面加工を行なったり、バレル加工やケミカルエッチングによりR面加工を行なった後、アルミナ等から成る研磨材を用いてラップ研磨を行ない、さらにアルミナ,酸化セリウム等から成る研磨材を用いて光学研磨することにより透光性基板1とすることができる。
また、ニオブ酸リチウムや水晶、サファイア等の複屈折材料から成る透光性基板1においては、透光性基板1に光が入射すると、2つの屈折光が現れ、強さの等しい2本の光線に分かれて進み、互いに垂直な振動面を持つ直線偏光となって出力される。この現象は複屈折と呼ばれ、物質中に偏光の方向に依存する二つの屈折率があり、各々の屈折率における二つの光線のうち、一方の光線は通常の屈折法則に従い常光線と呼ばれ、他方の光線は、方向によって物質中を進行する光の速度が変化するために屈折法則に従わず、異常光線と呼ばれる。ニオブ酸リチウムや水晶,サファイアは、入射光を常光線と異常光線とに分離することから、一つの入射光を固体撮像素子6の画素配置および画素ピッチに対応して常光線と異常光線とに分離して格子縞などを写すと、固体撮像素子6にて発生する色むらや縞模様などの本来存在しない擬似信号を除去する機能を有する。
また、ニオブ酸リチウムや水晶,サファイア等の複屈折材料は複数枚重ねて使用することにより、入射光を固体撮像素子6の画素配置および画素ピッチに対応させた正方形または長方形の隣接する4つの画素に対応した均等な透過光に分離させることにより、固体撮像素子6の擬似信号をより良好に除去することができる。
このような、ニオブ酸リチウムや水晶、サファイアは高圧高温にした育成炉内で種結晶に人工的に結晶成長させることにより単結晶からなるブロックを得た後、切り出し面が結晶軸に対して所定の角度となるようにワイヤーソーやバンドソー等を用いてウエハーを切り出す。このウエハーを所定の板厚および外形寸法に切断するとともに、各稜線部を機械的に切削することによりC面加工を行なった後、アルミナ等から成る研磨材を用いてラップ研磨を行ない、さらに、アルミナ,酸化セリウム等から成る研磨材を用いて光学研磨することにより透光性基板1とすることができる。
また、透光性基板1の平面視の形状は、正方形や長方形等の四角形状、四隅を面取りした略四角形状、多角形状、円形や楕円形等の略円形状でもよい。
図2は、本発明の光学フィルタ部材5を説明する要部拡大断面図であり、誘電体多層膜2は、高屈折率層3と低屈折率層4とを順次交互に複数層積層することにより形成され、入射光から赤外線の波長領域の成分を反射する機能を有することにより、固体撮像素子6により得られる画像が赤みを帯びることを防止し、画質を高める機能を有する。
誘電体多層膜2は、固体撮像装置とした際に、固体撮像素子6の受光領域と対向する領域を含み、封止材10を介して光学フィルタ部材5が絶縁基体7や筒体16と接合される領域を除く透光性基板1の一主面の中央部に被着される。なお、誘電体多層膜2はこれら中央部を含む透光性基板1の一主面の全面に被着されていてもよい。
このような誘電体多層膜2は、透光性基板1の一主面に平行な圧縮応力が残留しているので、光学フィルタ部材5を絶縁基体7や筒体16に実装する際に、または使用環境下での温度変化等により透光性基板1が膨張して誘電体多層膜2が透光性基板1の外周方向に引張られても、透光性基板1の外周方向に引張られる引張応力と誘電体多層膜2に残留している圧縮応力とが相殺することにより、誘電体多層膜2のクラックの発生を効果的に防止することができる。
なお、誘電体多層膜2に透光性基板1の一主面に平行な圧縮応力を残留させるには、誘電体多層膜2の充填密度を上げて緻密な誘電体多層膜2とすればよいことを本願発明者は見いだした。例えば、透光性基板1の上に蒸着により被着形成された誘電体多層膜2が結晶構造である場合、空孔や柱状構造を伴う多結晶状態となり多くの空隙が存在することがある。この場合、互いの結晶が結び付き合おうとする結合力によって互いが引張り合うことにより、誘電体多層膜2内部に引張応力が発生するが、これら多くの空隙をなくして充填密度を高くすることによってこの引張り合う力が解消されると考えられる。
さらに、高屈折率層3もしくは低屈折率層4の各薄膜を被着形成する際に、これら高屈折率層3もしくは低屈折率層4の表面にアルゴンイオン等に印加電圧を加えることによって得られる加速粒子などを照射して衝突させて、高屈折率層3もしくは低屈折率層4を構成する表面の原子を高屈折率層3もしくは低屈折率層4の内部へ押し込むことで高屈折率層3もしくは低屈折率層4の空隙や結晶格子内に格子間原子を形成させる釘打ちと呼ばれる効果により、誘電体多層膜2の充填密度がより高くなる。そして、緻密に充填された分子同士はお互いに反発しようとして、誘電体多層膜2の体積が膨張する方向に力が働き、誘電体多層膜2の内部に圧縮応力が発生すると推測される。
また、この誘電体多層膜2は、屈折率が1.6以下の誘電体材料から成る低屈折率層4および屈折率が1.7以上の誘電体材料から成る高屈折率層3を数十層に渡って順次交互に複数層積層することにより形成されるのがよく、これにより赤外線の遮蔽機能を有することができる。
なお、高屈折率層3と低屈折率層4との屈折率の差を0.1以上とすることにより、高屈折率層3と低屈折率層4との界面での赤外線の反射量が大きく、すなわち赤外線の遮蔽効果が大きくなり、その結果、良好な赤外線の遮蔽機能を有する固体撮像装置とすることができる。また、この屈折率の差が0.1未満であると、高屈折率層3と低屈折率層4との界面での赤外線の反射量が極端に少なくなり、良好な赤外線の遮蔽機能を得ることが困難となる傾向がある。従って、高屈折率層3と低屈折率層4との屈折率の差を0.1以上とすることが好ましく、さらには低屈折率層4と高屈折率層3とを交互に複数層積層した誘電体多層膜2の層数を30乃至50層とするとともに、良好な赤外線の遮蔽機能を有して各層での干渉効果を高めるためには高屈折率層3と低屈折率層4との屈折率の差を0.5以上とすることがより好ましい。屈折率の差が0.5未満である場合には、良好な赤外線の遮蔽機能を有するために誘電体多層膜2の層数が50乃至100層と大幅に増加させる必要があり、真空蒸着装置の内部に設置可能な蒸着材料の容量では増加した膜数を形成することが困難となる。
このような高屈折率層3としては、アモルファス状態の酸化チタンまたは酸化タンタルから成り、低屈折率層4としてはアモルファス状態の酸化シリコンから成ることが好ましい。
これにより、アモルファス状態すなわち非晶質であるので、内部の空隙の数がきわめて少なく充填密度が十分に高い均質な薄膜となることで圧縮応力を生じる高屈折率層3と成る酸化チタンまたは酸化タンタルと、同じく空隙の数がきわめて少なく充填密度が十分に高い均質な薄膜となることで圧縮応力を生じる低屈折率層4と成る酸化シリコンとを交互に積層することができ、圧縮応力が残留する誘電体多層膜2とすることができる。
また、透光性基板1と誘電体多層膜2との界面において、異種材料間の接合破壊の基点となる空隙が存在しないことからホウケイ酸ガラスもしくは複屈折材料からなる透光性基板1との密着性の優れた誘電体多層膜2を被着形成することができる。従って、誘電体多層膜2にクラックが発生して赤外線の遮蔽機能が低下することをきわめて効果的に防止して、光学特性に優れた光学フィルタ部材5とすることができる。
また、アモルファス状態の酸化チタン,酸化タンタル,酸化シリコンの形成方法として、イオンビームアシスト法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタリング法、スパッタリング法が用いられる。
例えば、イオンビームアシスト法とは、製膜プロセスである真空蒸着法に陽イオンの照射を併用したものである。陽イオンは、アルゴン等の不活性ガスと酸素ガスとを装置のイオン源に導入してプラズマとすることにより得られる。真空蒸着法に陽イオンの照射を併用することにより、陽イオンが真空中を飛来する蒸着物質であるチタン分子やタンタル分子,シリコン分子,酸素分子の気体分子に衝突することによって、蒸着物質の気体分子が励起されて大きな運動エネルギーを得る。そして、この大きな運動エネルギーを得た蒸着物質の気体分子が被着材である透光性基板1の表面に到達すると、被着材の表面の広い領域を移動するとともに、広い領域の移動に伴って被着材表面のより低いエネルギー状態にある場所を見つけ出す確率が大幅に増大するため、蒸着物質の分子同士が凝集することなく被着材の表面に均一に被着する。さらに、蒸着物質の分子は島状に凝集しないために結晶化しない膜成長となることにより、被着材である透光性基板1の表面にアモルファス状態の薄膜を形成することができると考えられる。
また、被着材の表面でエネルギーを失った蒸着物質の分子に陽イオンが衝突すると、その蒸着物質の分子は薄膜内部に押し込まれ、より緻密なアモルファス状態の薄膜を得ることができる。
なお、これら酸化チタンと酸化シリコンまたは酸化タンタルと酸化シリコンとを組合わせた場合は、イオンビームアシスト法を適切な設定で用いてアモルファス状態となるように透光性基板1上に被着形成できることにより、空孔や柱状構造を伴う多結晶状態に対して、低屈折率層3および高屈折率層4の充填密度が高くなり、緻密に充填された分子同士は互いに反発しようとして、誘電体多層膜2を透光性基板1に被着形成した際に誘電体多層膜2に圧縮応力が生じる。
また、高屈折率層3および低屈折率層4をアモルファス状態とすることにより、空孔や柱状構造がきわめて少なくなるので、誘電体多層膜2の内部への水分の侵入吸着による体積変化により生じる誘電体多層膜2のクラックを防止することができ、誘電体多層膜2の赤外線の遮蔽機能が低下することをきわめて効果的に防止して、光学特性に優れた光学フィルタ部材5とすることができる。
このような、高屈折率層3と低屈折率層4とを交互に複数積層した誘電体多層膜2は、透光性基板1の一主面の中央部に、真空蒸着装置内にて、蒸着物質を蒸着することにより得られるが、光学的に良質な誘電体多層膜2を得るためには、酸素欠乏を起こさないように十分に酸素を供給し、酸化チタン(TiO)や酸化タンタル(Ta),酸化シリコン(SiO)等の欠陥のない酸化膜が積層されたものとする必要がある。また、真空蒸着装置内にて誘電体多層膜2が被着形成される際の透光性基板1の表面温度は、熱電対により透光性基板1付近の温度を計測することにより管理され、電熱線ヒーター等を用いて温度範囲30乃至350℃程度に保持される。
高屈折率層3の内部応力と低屈折率層4の内部応力との差による高屈折率層3と低屈折率層4との界面に加わる力を可能な限り小さくするとともに、高屈折率層3と低屈折率層4との光学的な干渉効果による良好な光学特性を得るために、高屈折率層3および低屈折率層4の厚みは10乃至200nmとし、真空蒸着装置の内部に設置可能な蒸着材料の容量で形成できるように層数を50層以下とするとともに、誘電体多層膜2の総厚みを10μmより小さくすることが好ましい。
次に、本発明の光学フィルタ部材5を用いた固体撮像装置の説明を行なう。
図3に示すように、上面に固体撮像素子6を収納するための凹部を有する絶縁基体7の上面に凹部を覆うように封止材10を介して、光学フィルタ部材5を有する蓋体11を接合することにより固体撮像装置が形成されている。これにより、光学フィルタ部材5を有する蓋体11が封止材10を介して絶縁基体7に接合される際の加熱や使用環境下での固体撮像素子6の動作により発生する熱により透光性基板1が膨張し、透光性基板1の引っ張り方向への変形によって誘電体多層膜2にクラックが発生することを防止することができることから、光学特性に優れ、長期信頼性に優れた固体撮像装置とすることができる。
蓋体11は、別に準備した枠体(図示せず)に本発明の光学フィルタ部材5を接合したものでもよいし、図3に示すように、光学フィルタ部材5をそのまま蓋体11としてもよい。
別に準備した枠体に本発明の光学フィルタ部材5を接合した場合は、蓋体11の主面において、固体撮像素子6の受光部に対向して透光性を必要とする領域のみを光学フィルタ部材5とし、その他の部分では透光性を有さず、反射しにくい色調とすることができる。つまり、遮光部材からなる枠体に光学フィルタ部材5を接合することにより、光学フィルタ部材5から入射した迷光が蓋体11内部で乱反射し、擬似信号として固体撮像素子6の受光部に入射することを防止することができ、光学フィルタ部材5をそのまま蓋体11とした場合は、固体撮像装置とした際の厚みを枠体の厚みの分だけ薄くすることができる。
絶縁基体7には、その上面の中央部に固体撮像素子6を搭載するための凹部が形成されており、この凹部の底面には例えばCCDやCMOS等の固体撮像素子6が樹脂等から成る封止材10を介して接着固定されて収容される。
このような絶縁基体7は、酸化アルミニウム質焼結体やムライト質焼結体,窒化アルミニウム質焼結体,窒化珪素質焼結体,炭化珪素質焼結体等の無機絶縁材料あるいは、エポキシ樹脂,フェノール樹脂,液晶ポリマー,ポリフェニレンサルファイド,ポリイミド樹脂等の有機絶縁材料から成り、例えば、酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、酸化アルミニウムや酸化珪素,酸化マグネシウム,酸化カルシウム等の原料粉末に適当な有機バインダ,溶剤,可塑剤および分散剤を添加混合して泥漿物を作り、この泥漿物を従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等のシート成形法によりシート状にしてセラミックグリーンシート(セラミック生シート)を得、しかる後、それらセラミックグリーンシートに適当な打抜き加工を施すとともに複数枚積層し、約1600℃の高温で焼成することによって製作される。あるいは、エポキシ樹脂から成る場合であれば、一般的にシリカ粉末を充填した樹脂コンパウンドを射出成形機により、約180℃に加熱した金型形状に成形硬化することにより形成される。
また、絶縁基体7には、凹部の底面や内側面から絶縁基体7の下面に導出された複数の配線導体8が被着形成されており、この凹部に形成された配線導体8には固体撮像素子6の電極12がボンディングワイヤ9を介して電気的に接続される。また、絶縁基体7の下面に導出された配線導体8の部位(図示せず)は外部電気回路(図示せず)に半田等の電気的接続手段を介して電気的に接続される。
配線導体8は、固体撮像素子6の各電極12を外部電気回路に電気的に接続する導電路として機能し、例えば絶縁基体7が無機絶縁材料から成る場合、タングステンやモリブデン,マンガン等の高融点金属粉末に適当な有機溶剤,溶媒および可塑剤等を添加混合して得た金属ペーストを従来周知のスクリーン印刷法等の厚膜手法により絶縁基体と成るセラミックグリーンシートにあらかじめ印刷塗布し、セラミックグリーンシートと同時に焼成することによって所定パターンに被着形成される。
なお、配線導体8はその表面にニッケルや金等の導電性や耐蝕性に優れるとともにろう材との濡れ性が良好な金属を電解めっき法や無電解めっき法により1乃至20μmの厚みに被着させておくとよい。これにより、配線導体8の酸化腐蝕を有効に防止することができるとともに配線導体8とボンディングワイヤ9との接続および配線導体8と外部電気回路基板の配線導体8との接続をより強固とすることができる。
また、絶縁基体7と蓋体11との接合は、紫外線硬化型エポキシ樹脂もしくは熱硬化型エポキシ樹脂等から成る封止材10を介して行なわれる。熱硬化型エポキシ樹脂を用いる場合、接合部に封止材10を塗布した蓋体11を絶縁基体7に重ねあわせた後、約110℃の温度で60乃至90分間加圧加熱することにより行なわれる。なお、絶縁基体7と蓋体11との接合の際の部材間の応力を低減するという観点からは、110℃程度の低い温度での加熱が好ましいが、90乃至250℃の温度で加熱してもよい。なお、封止材10は、絶縁基体7と蓋体11との接合の際はもちろんのこと、その後の個体撮像装置を外部配線基板(図示せず)に実装する際のリフロー等による熱、さらには固体撮像素子6が作動する際に発生する熱により生ずる部材間の応力を緩和して、蓋体11が破壊されるのを有効に防止する。このような熱硬化型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールA変性エポキシ樹脂,ビスフェノールF型エポキシ樹脂,フェノールノボラック型エポキシ樹脂,クレゾールノボラック型エポキシ樹脂,特殊ノボラック型エポキシ樹脂,フェノール誘導体エポキシ樹脂,ビフェノール骨格型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂にイミダゾール系,アミン系,リン系,ヒドラジン系,イミダゾールアダクト系,アミンアダクト系,カチオン重合系,ジシアンジアミド系等の硬化剤を添加したもので形成されている。なお、2種類以上のエポキシ樹脂を混合して用いてもよい。また、封止材10に含有される有機材料粉末としては、エポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂よりも弾性率が低いシリコンゴムやシリコンレジン,LDPE,HDPE,PMMA,架橋PMMA,ポリスチレン,架橋ポリスチレン,エチレン−アクリル共重合,ポリメタクリル酸エチル,ブチルアクリレート,ウレタン等の軟質が用いられる。
図4に示すように、受光面に電極12が形成された固体撮像素子6と、受光面に対向する透光性基板1の主面の外周部に電極12と金バンプ15等を介してフリップチップ実装により電気的に接続される配線導体8が形成された光学フィルタ部材5を有する配線基板13とが接着剤14を介して接合されている固体撮像装置が形成されている。この構成により、固体撮像素子6が配線基板13に接着剤14を介してフリップチップ実装される際の温度変化や変形により発生する応力によって、誘電体多層膜2にクラックが発生することを防止することができることから、光学特性に優れ、長期信頼性に優れた固体撮像装置とすることができる。
光学フィルタ部材5の主面の外周部には配線導体8が形成される。配線導体8は、アルミニウム,クロム,ニッケル,銀,金,チタン等の少なくとも1種類の金属から成り、真空蒸着法やスパッタリング法、メッキ法により光学フィルタ部材5上に被着形成された後、フォトリソグラフィおよびエッチング等により不要部が除去されて配線導体8のパターンが形成される。
または、ステンレススチール(SUS)やアルミニウム(Al)からなる金属板に配線導体8のパターンに対応した抜き加工を施したマスクパターンを光学フィルタ部材5の表面に載置し、その上から真空蒸着法やスパッタリング法によりマスクパターンの開口部に金属を堆積させることにより配線導体8のパターンが形成される。
あるいは、配線導体8は、例えばタングステン,モリブデン,マンガン等の高融点金属粉末に適当な有機溶剤,溶媒,可塑剤等を添加混合して得た金属ペーストをスクリーン印刷法等の厚膜手法を用いて透光性基板1にマスクパターンを介して印刷塗布しておき、これを焼成することによって被着形成される。
特に、マスクパターンを用いる方法は、配線導体8以外の透光性基板1の素地表面をエッチングしないことから、その表面がエッチング液により化学的に侵食されることがなく光学鏡面からの劣化を防止することができるので好ましい。配線導体8は、固体撮像素子6の各電極12とボンディングワイヤ9等を介して接続され、固体撮像素子6の電気信号を外部電気回路に電気的に接続する際の導電路となる。
なお、配線導体8は、光学フィルタ部材5の誘電体多層膜2の上に形成することを避けるのが好ましく、従って、透光性基板1の誘電体多層膜2が被着されていない主面に形成するか、誘電体多層膜2の被着領域を避けて形成するのが好ましい。誘電体多層膜2の上に配線導体8を形成すると、誘電体多層膜2と配線導体8との熱膨張係数の違いによる熱応力や内部応力の差が配線導体8の周辺に発生し、配線導体8を蒸着等により形成する際の熱や、固体撮像素子6の動作による熱が加わった際に、誘電体多層膜2にクラックが生じやすくなる。
固体撮像素子6の電極12と配線基板13の配線導体8部分を接合として、金バンプ15で電気的に接合するとともに、紫外線硬化樹脂等から成る接着剤14を流し込むことにより機械的に接合される。もしくはエポキシ樹脂に合成樹脂の微細な粒子に金メッキ,ニッケルメッキ等を施した導電性粒子を分散させた異方導電性を有する接着剤14を用いて電気的かつ機械的に接合さてもよい。
図5に示すように、上面に固体撮像素子6を搭載する搭載部を有する絶縁基体7と、搭載部に搭載された固体撮像素子6と、絶縁基体7の上面の外周部に接合された筒体16と、筒体16の上部に取り付けられた撮像レンズ17と、筒体16内側の撮像レンズ17の下方に配置されるとともに固体撮像素子6を覆うように外周部が封止材を介して筒体16の内面に接合された光学フィルタ部材5とを具備することにより、光学フィルタ部材5を筒体16に接合する際の温度変化により発生する熱応力や封止材が硬化する際の収縮による変形によって誘電体多層膜2にクラックが発生することを防止することができることから、光学特性に優れ、長期信頼性に優れた固体撮像装置とすることができる。
筒体16は、一般にはエポキシ樹脂にシリカ粉末を充填した樹脂コンパウンドを射出成形機により約180℃の熱で任意の金型形状に成形し硬化させることによって製作される。
このような筒体16と光学フィルタ部材5との接合は、光学フィルタ部材5の接合部、または筒体16の接合部に封止材10を塗布した後、光学フィルタ部材5を筒体16に重ね合わせる。しかる後、封止材10の種類に合わせて紫外線を当てたり、加熱したりして封止材10を硬化させる。
筒体16と光学フィルタ部材5とを接合する封止材10は、紫外線硬化型エポキシ樹脂もしくは熱硬化型エポキシ樹脂等が用いられる。熱硬化型エポキシ樹脂を用いる場合は、約80乃至150℃の温度で60乃至90分間加熱することにより硬化させる。
撮像レンズ17は、筒体16の上部に取り付けられており、撮像レンズ17の焦点が固体撮像素子6の受光面の表面に合うように配置されている。または、撮像レンズ17は鏡筒18に固定されており、この鏡筒18を撮像レンズ17の焦点が固体撮像素子6の受光面の表面に合うように位置を調整された後に筒体16に固定されてもよい。
板厚0.3mmで外形寸法が90mm角であるホウケイ酸ガラスから成る透光性基板1を、真空蒸着装置内に設置し、加熱温度200℃にて赤外線遮蔽用の誘電体多層膜2を被着形成した。誘電体多層膜2としては、TiOからなる高屈折率層3とSiOからなる低屈折率層4とを交互に層数が41層となるまで積層し、その際に陽イオンとして酸素イオンを使用したイオンビームアシスト法を用いて、誘電体多層膜2の断面に圧縮応力を有する光学フィルタ部材5(試料番号1)と、酸素イオンの照射を行なわない真空蒸着法を用いることにより誘電体多層膜2に引張応力を有する光学フィルタ部材5(試料番号3)とを作製した。
また、誘電体多層膜2として、Taからなる高屈折率層3とSiOからなる低屈折率層4とを交互に層数が49層となるまで積層し、その際にイオンビームアシスト法を用いて、誘電体多層膜2の断面に圧縮応力を有する光学フィルタ部材5(試料番号2)を作製した。作製した光学フィルタ部材5での誘電体多層膜2の内部応力は、光学フィルタ部材5の反りを接触式表面粗さ計により測定し、その反り方向から残留する応力が圧縮応力あるいは引張応力であるかを確認した。
光学フィルタ部材5を取り出した後、10mm×10mmに切断して蓋体11とした。作製した蓋体11と、外形寸法が10mm×10mm、内寸が8mm×8mmである凹部を有するアルミナから成る絶縁基体7とを、ビスフェノール型エポキシ樹脂を主成分としてアミン系の硬化剤を添加した熱硬化型エポキシ樹脂から成る封止材10を介して気密封止を行なうことにより、中空を有する固体撮像装置とした。気密封止は、絶縁基体7に封止材10を介して蓋体11を密着させるとともに、クリップを用いて蓋体11上面と絶縁基体7下面とを挟み込むことにより、蓋体11全体に均一に100kPaの加重を加えるとともに、バッチ式オーブン内にて120℃に加熱した状態で2時間放置することにより、熱硬化型エポキシ樹脂からなる封止材10を硬化させて行なった。蓋体11を絶縁基体7と接合する際には、蓋体11の誘電多層膜2が被着形成された面を凹部の反対側(固体撮像装置の外側)になるように接合を行なった。
その後、固体撮像装置を形成した段階の光学特性の確認および外観確認を行なった。外観確認としては、蓋体11でのクラック発生の有無を顕微鏡(×10倍)を用いて目視にて観察した。光学特性の確認としては、分光光度計を用いて光学フィルタ部材5の透過率を測定し、得られた特性曲線が赤外線を遮蔽する機能が十分に得られるかを判断した。具体的には、400乃至600nmにおける透過率が85%以上であり、700乃至1000nmにおける透過率が5%以下を満足するかを確認した。結果を表1に示す。
Figure 2005266069
TiOからなる高屈折率層3とSiOからなる低屈折率層4を積層した誘電体多層膜2を有する光学フィルタ部材5の内部応力が、圧縮応力を有する場合(試料番号1)には、外観にてクラックが発生しておらず、光学的にも良好な特性を有する固体撮像装置となっていた。また、Taからなる高屈折率層3とSiOからなる低屈折率層4を積層した誘電体多層膜2を有する光学フィルタ部材5の内部応力が、圧縮応力を有する場合(試料番号2)においても、外観にてクラックが発生しておらず、光学特性も問題なく、良好な特性を有する固体撮像装置となっていた。一方、TiOからなる高屈折率層3とSiOからなる低屈折率層4を積層した誘電体多層膜2を有する光学フィルタ部材5の内部応力が引張応力を有する場合(試料番号3)には、外観にてクラックが発生しており、画像を取り込む際にクラックが線として、画像に写り込んでしまい光学的に不具合が非常に高い確率で発生する可能性があることが判った。
上記の結果より、圧縮応力が残留している光学フィルタ部材5は、誘電体多層膜2にクラックが発生することを防止する効果が有ることを確認した。
なお、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を施すことは何等差し支えない。
本発明の光学フィルタ部材の実施の形態の一例を示す断面図である。 本発明の光学フィルタ部材の要部断面図である。 本発明の固体撮像装置の実施の形態の一例を示す断面図である。 本発明の固体撮像装置の実施の形態の他の例を示す断面図である。 本発明の固体撮像装置の実施の形態の他の例を示す断面図である。
符号の説明
1:透光性基板
2:誘電体多層膜
3:高屈折率層
4:低屈折率層
5:光学フィルタ部材
6:固体撮像素子
7:絶縁基体
8:配線導体
9:ボンディングワイヤ
10:封止材
11:蓋体
12:電極
13:配線基板
14:接着剤
15:金バンプ
16:筒体
17:撮像レンズ
18:鏡筒

Claims (5)

  1. ホウケイ酸ガラスもしくは複屈折材料から成る透光性基板の一主面の中央部に高屈折率層と低屈折率層とを交互に複数層積層した誘電体多層膜を被着して成る光学フィルタ部材において、前記誘電体多層膜は、前記透光性基板の一主面に平行な圧縮応力が残留していることを特徴とする光学フィルタ部材。
  2. 前記高屈折率層は、アモルファス状態の酸化チタンまたは酸化タンタルから成り、前記低屈折率層は、アモルファス状態の酸化シリコンから成ることを特徴とする請求項1記載の光学フィルタ部材。
  3. 上面に固体撮像素子を収納するための凹部を有する絶縁基体と、請求項1記載の光学フィルタ部材を有し前記絶縁基体の上面に前記凹部を覆うように封止材を介して接合された蓋体とを具備することを特徴とする固体撮像装置。
  4. 前記透光性基板の主面の外周部に配線導体が形成された請求項1記載の光学フィルタ部材と、受光面に形成された電極が前記配線導体にフリップチップ接続されることにより前記光学フィルタ部材上に搭載された固体撮像素子とを具備することを特徴とする固体撮像装置。
  5. 上面に固体撮像素子を搭載する搭載部を有する絶縁基体と、前記搭載部に搭載された固体撮像素子と、該絶縁基体の上面の外周部に接合された筒体と、該筒体の上部に取り付けられた撮像レンズと、前記筒体内側の前記撮像レンズの下方に配置されるとともに前記固体撮像素子を覆うように外周部が封止材を介して前記筒体の内面に接合された請求項1記載の光学フィルタ部材とを具備することを特徴とする固体撮像装置。
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