JP2018025732A - 光学フィルタ部材および撮像装置 - Google Patents

光学フィルタ部材および撮像装置 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の技術では、透過率の自由度を高めることの要求と薄型化の要求とを同時に満足させることが難しい。【解決手段】光学フィルタ部材3は、第1の光透過膜32、第2の光透過膜33、第3の光透過膜34を有しており、第2の光透過膜33の平均屈折率が第1の光透過膜32の平均屈折率よりも高い。可視光の波長範囲においては平坦な透過特性であり、近赤外光の波長範囲においては可視光の波長範囲よりも平均透過率が低く、その平均透過率は第3の光透過膜34の透過特性で任意に設定することができる。したがって、近赤外光の波長範囲における透過率の自由度が高く、小型化にも有効である。【選択図】図2

Description

本発明は、光学フィルタ部材およびこれを備えた撮像装置に関するものである。
CCDまたはCMOS等の撮像素子を有するカラー撮像装置等において、可視領域外の波長範囲に含まれる赤外線を遮断する部品として、透光性材料から成る基体の表面に光学膜が形成された構造を有する光学フィルタ部材が用いられている。カラー撮像装置等において、可視領域外の波長範囲に含まれる赤外線が撮像素子に入射されると、撮像の精度が低下するため、赤外線を遮断する光学フィルタ(以下IRカットフィルタと記す)が用いられている。
また、1つの撮像装置で可視光および近赤外光の両方の撮像ができるような技術も提案されている。例えば監視カメラでは、昼間はIRカットフィルタで近赤外光を遮断して可視光によるカラー画像の撮像を行い、夜間はIRカットフィルタを外して近赤外照明と組み合わせることで白黒画像の撮像を行う。このような監視カメラで昼間および夜間の監視が行なわれている。
しかし、このような撮像装置では、IRカットフィルタを夜間は移動等して外す必要があり、監視カメラの小型化ができない等の問題があった。
それに対して近年、可視光と一部の波長帯の近赤外光を通すデュアルバンドパスフィルタを用いる技術も提案されている。デュアルバンドパスフィルタを着けたままで昼間はカラー画像の撮像を行い、夜間は白黒画像の撮像を行なうことができる(例えば特許文献1を参照)。
特開平10−108206号公報
近年、より電子装置の薄型の要求が高まっている。また、近赤外線波長帯の透過率が、撮像装置が使用される用途、目的によっても異なるために、近赤外線領域の透過率の自由度(変更可能な範囲)を高めたいという要求がある。これに対して上記技術のデュアルバンドパスフィルタでは、近赤外線波長帯の透過波長は変更できるが、透過率のばらつきを小さく高精度に調節することができない。つまり、透過率の自由度を高めることが難しい。また、別途フィルタを挿入することで透過率の自由度を高めることはできるが、フィルタの追加が必要であるため薄型化が難しい。
つまり、従来の技術では、透過率の自由度を高めることの要求と薄型化の要求とを同時に満足させることが難しい。
本発明の一つの態様による光学フィルタ部材は、透光性材料からから成る基体と、基体の表面に設けられた光学膜とを備えており、光学膜が、第1、第2およぴ第3の光透過膜を含んでおり、前記第1および前記第2の光透過膜はそれぞれ屈祈率の異なる複数の誘電体層が積層されている誘電体多層膜であり、第1の光透過膜が、可視光から近赤外光の波
長範囲における第1の光透過範囲を有しており、第2の光透過膜が、可視光の波長範囲における第2の光透過範囲を有しているとともに、近赤外光の波長範囲における前記第1の光透過範囲に含まれる波長範囲で光反射範囲を有しており、第2の光透過膜の平均屈折率が第1の光透過膜の平均屈折率よりも高く、第3の光透過膜が、可視光から近赤外光の波長範囲において第2の光透過範囲では平坦な透過特性であり、光反射範囲よりも高く第1の光透過範囲に含まれる波長範囲における平均透過率は平坦部の平均透過率よりも低い。
本発明の他の態様による撮像装置は、上記構成の光学フィルタ部材と、光学フィルタ部材の下方に設けられた撮像素子とを含んでいる。
本発明の一つの態様による光学フィルタ部材は、可視光の波長範囲においては平坦な透過特性であり、近赤外光の波長範囲においては可視光の波長範囲よりも平均透過率が低く、その平均透過率は第3の光透過膜の透過特性で任意に設定することができる。したがって、近赤外光の波長範囲における透過率の自由度が高く、小型化にも有効である。
本発明の他の態様による撮像装置は、上記構成の光学フィルタ部材を含むため、透過率の自由度が高く、小型化にも有効である。
本発明の実施形態における撮像装置を示す縦断面図である。 図1に示す撮像装置における光学フィルタ部材を示す縦断面図である。 図2に示す光学フィルタ部材において符号Aによって示された部分の拡大図である。 (a)は、本発明の実施形態の光学フィルタ部材における第1の光透過膜の透過特性を示すグラフであり、(b)は、第2の光透過膜の透過特性を示すグラフであり、(c)は第1および第2の光透過膜の両方を透過した場合の透過特性を示すグラフである。 (a)は、第3の光透過膜の透過特性を示すグラフであり、(b)は、光学フィルタ部材の透過特性を示すグラフである。 図3に示す光学フィルタ部材において符号Bによって示された第2の光透過膜の部分の拡大図である。 図3に示す光学フィルタ部材において符号Bによって示された第2の光透過膜の部分の拡大図の他の例である。 (a)は、本発明の実施形態の光学フィルタ部材における第1および第2の光透過膜の高屈折率層と低屈折率層との厚みの分布の一例を示すグラフであり、(b)は本発明の実施形態の光学フィルタ部材における第3の光透過膜の高屈折率層と低屈折率層との厚みの分布の一例を示すグラフである。 図1に示す撮像装置における光学フィルタ部材の他の例を示す縦断面図である。 本発明の実施形態の光学フィルタ部材における応力調整層が形成された第3の光透過膜の高屈折率層と低屈折率層との厚みの分布の一例を示すグラフである。 (a)〜(d)のそれぞれは図2に示された光学フィルタ部材の製造方法において各工程によって得られる構造物を示す縦断面図である。 図2に示す光学フィルタ部材の他の例を示す縦断面図である。
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における上下の区別は便宜的なものであり、実際に光学フィルタ部材または撮像装置が使用される際の上下を限定するものではない。また、以下の説明において、近赤外光を単に
赤外光という場合があり、赤外光を赤外線という場合がある。
図1に示されているように、本発明の実施形態における撮像装置は、素子搭載用部材1と、素子搭載用部材1に搭載された撮像素子2と、撮像素子2の上方に設けられた光学フィルタ部材3とを含んでいる。光学フィルタ部材3は、撮像装置に入射される光における特定の波長範囲の遮断または減衰を行うものである。本実施形態において、光学フィルタ部材3は、例えば、赤外線の波長範囲の光を一部の波長範囲で減衰させ、他の波長範囲で遮断するものである。
まず、本実施形態における光学フィルタ部材3について図2〜図7を参照して説明する。撮像装置におけるその他の構成については後述する。なお、図2〜図7においては、第2の光透過膜33が、第1の光透過膜32とともに基体31の同じ主面側に設けられており、第3の光透過膜34が基体31の他方主面側に設けられている例を示している。
光学フィルタ部材3は、無色透明の平板から成る基体31と、基体31の表面に設けられた光学膜(光学膜全体としては符号なし)とを含んでいる。光学膜は、それぞれ屈折率の異なる複数の誘電体層が積層されている第1の光透過膜32、第2の光透過膜33および第3の光透過膜34を含んでいる。
第2の光透過膜33は、基体31の一方の主面に接して設けられており、第1の光透過膜32は、第2の光透過膜33上に設けられている。第3の光透過膜34は、基体31の他の主面に接して設けられている。
基体31は、例えば、ホウケイ酸ガラス等のガラス材料、ニオブ酸リチウム、水晶またはサファイア等の複屈折を有する材料、あるいは、アクリル樹脂等の高分子材料から成る。
基体31は、ガラス材料から成る場合に、溶融させた高純度のガラス原料をガラスの溶融温度よりも融点が高い金属から成る容器内、好ましくは、不純物の溶け込みを効果的に防止できるような容器(例えば、白金(Pt))内に流し込んだ後、数日に渡って徐冷却し、ブロック状に形成される。しかる後、所定の板厚および外形寸法に切断する。その後アルミナ等から成る研磨材を用いてラップ研磨を行ない、さらにアルミナ、酸化セリウム等から成る研磨材を用いて光学研磨することにより基体31とすることができる。このようにして作製することで、撮像素子2に悪影響を及ぼすα線を発生する不純物が高純度のガラス原料に溶け込むことを防止することができる。
また、ホウケイ酸ガラスは、ガラス原料にホウ酸を加えることで耐熱性または耐薬品性に優れる材料となり、さらに透明で平坦な無孔性の表面を有することから光学的に欠陥の少ない材料として好適に用いられる。
このようなホウケイ酸ガラスは、溶融した高純度のガラス原料をダウンドロー法によって作製することにより、無研磨にて板厚のバラツキの少ない透光性平面基板とすることができる。
また、基体31がニオブ酸リチウム、水晶またはサファイアから成る場合には、ニオブ酸リチウム、水晶またはサファイアは、高圧高温にした育成炉内で種結晶に人工的に結晶成長させることにより単結晶からなるブロックを得た後、切り出し面が結晶軸に対して所定の角度となるようにワイヤーソーやバンドソー等を用いてウエハーに切り出される。
そして、このウエハーを所定の板厚および外形寸法に切断するとともに、各稜線部を機械的に切削することによりC面加工を行なった後、アルミナ等から成る研磨材を用いてラ
ップ研磨を行ない、さらに、アルミナ、酸化セリウム等から成る研磨材を用いて光学研磨することにより、ニオブ酸リチウム、水晶、またはサファイアは、透光性平面基板とすることができ、基体31となる。
基体31は、例えば、0.03mm以上0.5mm以下の範囲に含まれる厚みを有することが好
ましい。基体31の厚みが0.03mm以上であることによって、基体31を撮像装置の蓋体として使用した場合に構造材としての強度を保つことができ、内部の撮像素子2を気密に封止することができる。また、基体31の強度も十分に得ることができる。基体31の厚みが0.5
mm以下であることによって、薄型化を図ることができ、撮像装置の低背化を実現できる。なお、基体31の反射率は、200nmから1200nmまでの範囲にわたって数パーセント程
度である。
第1の光透過膜32は、可視光から近赤外光の波長範囲における第1の光透過範囲W1を有している。ここでいう可視光から近赤外光とは、例えば、350nmから900nmまでの波長範囲に含まれる光のことをいう。図4(a)に示されているように、一つの例における第1の光透過膜32において、第1の光透過範囲W1は、透過率50%において、約380nm
から約900nmまでの範囲である。なお、図4(a)において、第1の光透過範囲W1が
、符号W1によって示されている。
第1の光透過膜32は、図4(a)に示されているように、400nmよりも小さい波長範
囲に含まれる紫外線の透過率が低減されているものであり、さらに、900nmよりも大き
い波長範囲に含まれる近赤外線の透過率が低減されているものである。このようなフィルタ特性を得るために、第1の光透過膜32は、第1の低屈折率誘電体層32aと第1の高屈折率誘電体層32bとを含んでいる。第1の高屈折率誘電体層32bは屈折率が1.7以上の誘電
体材料から成り、第1の低屈折率誘電体層32aは屈折率が1.6以下の誘電体材料から成る
そして、第1の光透過膜32は、蒸着法またはスパッタリング法等を用いて、第1の低屈折率誘電体層32aおよび第1の高屈折率誘電体層32bを30〜50層に渡って順次交互に複数層積層することにより形成される。第1の光透過膜32は、例えば、第1の光透過範囲W1の赤外領域側において、第1の光透過膜32のピーク透過率の半値における波長(透過率が50%のときの波長)が、入射角0度の時に比べて、入射角が40度の場合におよそ40nm短波長側にずれるものである。すなわち、入射角が40度の時に、第1の光透過膜32は、第1の光透過範囲W1の赤外領域側のピーク透過率の半値における波長が短波長側におよそ40nmシフトすることになる。なお、シフト量が大きいと入射角依存性が大きくなる。
第2の光透過膜33は、第1の光透過範囲W1内に含まれる第2の光透過範囲W2を有している。図4(b)に示されているように、一つの例における第2の光透過膜33において、第2の光透過範囲W2は、透過率50%において、約410nmから約660nmまでの範囲である。なお、図4(b)において、第2の光透過範囲W2が、符号W2によって示されている。
また、第2の光透過膜33は、近赤外光の波長範囲における第1の光透過範囲W1に含まれる波長範囲で、光反射範囲Wを有している。図4(b)に示されているように、一つの例における第2の光透過膜33において、光反射範囲Wは約660nmから約840nmまでの範囲である。図4(b)において、光反射範囲Wが、符号Wによって示されている。また、光反射範囲においては、その波長の光の透過率が10%未満である。
第1の光透過膜32と第2の光透過膜33を透過した光は、図4(c)に示されている様に、波長範囲W2および、光反射範囲Wよりも高く前記第1の光透過範囲に含まれる第3の
光透過範囲W3の2つの波長範囲で透過するようになる。
また、第2の光透過膜33は、第1の光透過膜32よりも高い平均屈折率を有している。第2の光透過膜33の平均屈折率を第1の光透過膜32の平均屈折率よりも高くするために、例えば、第2の光透過膜33が複数の誘電体層の第2の低屈折率誘電体層33aと第2の高屈折率誘電体層33bとを含み、第2の低屈折率誘電体層33aが第1の低屈折率誘電体層32aの誘電体材料の屈折率より高い屈折率を有する誘電体材料を使用する方法がある。
また、第2の光透過膜33を構成する複数の誘電体層(第2の高屈折率誘電体層33aおよび第2の低屈折率誘電体層33b)の厚み比率と第1の光透過膜32を構成する複数の誘電体層(第1の高屈折率誘電体層32aおよび第1の低屈折率誘電体層32b)の厚み比率とを異ならせる方法がある。例えば、複数の誘電体層のうち屈折率の高い方の誘電体層の厚みを屈折率の低い方の誘電体層の厚みに対して相対的に厚くなるように設定する方法がある。
例えば、第1の光透過膜32および第2の光透過膜33が、それぞれ酸化ケイ素(SiO:低屈折率層)および酸化チタン(TiO:高屈折率層)という複数の誘電体層から成る場合、第2の光透過膜33における酸化チタン(TiO)に対する酸化ケイ素(SiO)の厚み比率を第1の光透過膜32における酸化チタン(TiO)に対する酸化ケイ素(SiO)の厚み比率よりも小さくすることによって、第2の光透過膜33は、平均屈折率を第1の光透過膜32の平均屈折率よりも高くすることができる。
第2の光透過膜33が第1の光透過膜32よりも高い平均屈折率を有していることによって、第2の光透過膜33は、第1の光透過膜32に比べて、光の入射角による光の透過率に対する影響が低減される。
第2の光透過膜33は、図4(b)に示されているように、400nmよりも小さい波長範
囲に含まれる紫外線の透過率が低減されているものであり、さらに、660nm〜840nmの波長範囲で赤外線が反射されて遮断されているものである。このようなフィルタ特性を得るために、第2の光透過膜33は、第2の低屈折率誘電体層33aと第2の高屈折率誘電体層33bとを含んでいる。第2の高屈折率誘電体層33bは屈折率が2.0以上の誘電体材料から
成り、第2の低屈折率誘電体層33aは第2の高屈折率誘電体層33bの誘電体材料より屈折率が0.1以上小さい誘電体材料から成る。
そして、第2の光透過膜33は、蒸着法またはスパッタリング法等を用いて、第2の低屈折率誘電体層33aおよび第2の高屈折率誘電体層33bを30〜50層に渡って順次交互に複数層積層することにより形成される。
第2の光透過膜33は、例えば、第2の光透過範囲W2の赤外領域側において、第2の光透過膜33のピーク透過率の半値における波長(透過率50%のときの波長)が、入射角0度の時に比べて、入射角が40度の場合におよそ20nm短波長側にずれるものである。すなわち、入射角が40度の時に、第2の光透過膜33は、第2の光透過範囲W2の赤外領域側のピーク透過率の半値における波長が短波長側におよそ20nmシフトすることになる。
第2の光透過膜33の第2の光透過範囲W2の赤外領域側のピーク透過率の半値における波長は第1の光透過膜32の第1の光透過範囲W1の赤外領域側のピーク透過率の半値における波長より短波長側にあるために、第2の光透過膜33の第2の光透過範囲W2の赤外領域側のピーク透過率の半値における波長を、光が第1の光透過膜32および第2の光透過膜33の光学膜を通る際の光透過範囲のピーク透過率の半値における波長とすることができるので、光学膜のうち入射側に配置されている第1の光透過膜32および第2の光透過膜33において入射角に対する透過率の角度依存性を小さくすることができる。
このように、光学フィルタ部材3において、光学膜は、第2の光透過範囲W2が第1の光透過範囲W1内に含まれており、第2の光透過膜33が第1の光透過膜32よりも高い平均屈折率を有していることによって、撮像装置は、光の入射角の違いによって、中心付近と周辺での色合いの差が低減されて、画像の画質が向上する。
第1の光透過膜32全体の平均屈折率をn32、第2の光透過膜33全体の平均屈折率をn33とし、第1および第2の高屈折率誘電体層32b、33bの誘電体材料および第1および第2の低屈折率誘電体層32a、33aの誘電体材料の各層の屈折率をn1、n2、n3、n4とし、各層の層数をp1、p2、p3、p4とし、各層の厚みをt1、t2、t3、t4とした場合に、平均屈折率n32、n33は、以下の数式1および2のように表すことができる。なお、n33>n32である。
なお、光学フィルタ部材3を含む撮像装置による近赤外光の画像(白黒画像)の効果的な撮像のために、補助光を用いる場合がある。この補助光は、近赤外光であり、特定波長を中心として発光する補助光用LED等によって対象物に照射され、撮像装置に反射される。
一般に撮像素子(例えばこの実施形態における撮像素子2)の波長による感度は長波長側で1000nm程度であるため、第3の光透過範囲W3は上限で1000nm未満となり、補助光に使用されるLEDは発光の波長の広がりが100nm程度あるため、下限波長は900nm未満が多く使用される。例えば、第2の光透過膜33の平均屈折率n33が1.9となるように
設計した場合には、光反射範囲W(上限波長と下限波長との差)は約210nmとなる。ま
た、第2の光透過範囲W2を半値波長で可視光域を十分にカバーできる430〜650nmとした場合には、第3の光透過範囲W3の下限波長は半値波長で860nm程度になる。この場
合、第3の光透過範囲W3の上限波長(つまり第1の光透過膜32の第1の光透過範囲W1の上限波長)は960nm程度となり、撮像素子2の感度の長波長側の1000nmより短いの
で、実用の範囲となる。
それに対して第2の光透過膜33の平均屈折率n33が例えば2.0になると、光反射範囲W
は約170nmとなり、第2の光透過範囲W2を430〜650nmとしながら、第3の光透過範
囲W3の下限波長を半値波長で820nmとすることすることができるようになる。そのた
め、第3の光透過範囲W3の上限波長(=第1の光透過膜32の第1の光透過範囲W1の上限波長)は920nm程度とすればよくなり、第3の光透過範囲W3をより撮像素子2の感
度の高い範囲で利用することができるようになり、映像(近赤外光による白黒画像等)の感度を高めることができるようになる。
さらに平均屈折率n33が2.09になると、光反射範囲Wは約130nmまで狭くなり、第2
の光透過範囲W2を430〜650nmとしながら、第3の光透過範囲W3の下限波長を半値波長で780nmとすることすることができるようになるので、上限波長を半値波長で880nm
とすることができ、より撮像素子2の感度の高い900nm未満の範囲を利用できるように
なる。また、第3の光透過範囲の下限波長である780nmから撮像素子2の感度がある上
限波長である1000nmまで使用できる波長範囲が広がることで、補助光として使用できるLEDの波長の自由度も広がる。なお、780nm以下の波長は可視光として認識されやす
くなるため、補助光を認識されたくない場合には補助光として使用するLEDには780n
m以下の波長が含まれないものを使用するのが良い。
以上から、第2の光透過膜33の平均屈折率n33が1.9以上であると、第2の光透過範囲
W2を半値波長で可視光域を十分にカバーできる430〜650nmとした場合に、撮像素子2の感度がある1000nm未満の範囲に第3の光透過範囲を設定できる。それによって撮像素子2の感度が高く、可視光の画像に影響を与え難い赤外線波長で赤外線画像を得ることができるので、撮像装置の自由度を高めるためには有利となる。
また、第3の光透過範囲W3の透過率は図4(c)に示すように、安定した高い透過率を得ることができるようになるので、第2の光透過範囲W2と第3の光透過範囲W3の平均の透過率をともに高く保つことができるようになる、これは、第2の光透過膜の全域にわたり低屈折率誘電体層33a、高屈折率誘電体層33bの膜厚を意図的に同じ厚みの繰り返しにならないような膜構成としていることで実現することができる。
例えば、同じ厚みの低屈折率誘電体層33a、高屈折率誘電体層33bの繰り返しで第2の光透過膜33を作成すると、シミュレーション上では第3の光透過範囲W3の透過率は単一ピークによるリップルで高透過率なるが、製造ロット毎の成膜時の表面の微妙な各層の厚みばらつき等によってピークが鈍り、透過率の変動が発生する可能性が大きくなる傾向がある。
光学フィルタ部材3における第3の光透過範囲W3の角度依存性は、以下の通りである。上記補助光用のLEDが発光する補助光の特定波長をWL1(nm)とした場合に、例えば入射角0度における第3の光透過範囲W3の短波長側の半値波長(第2の光透過膜33できまる)をWL1−50(nm)となるように設計し長波長側の半値波長(第1の光透過膜32で決まる)をWL1+50(nm)となるように設計したとする。
この場合には、上記のように第2の光透過膜33の角度依存性が小さいことで、入射角40度における第3の光透過範囲W3の短波長側の半値波長(第2の光透過膜33できまる)はおよそWL1−75(nm)となり、長波長側の半値波長(第1の光透過膜32で決まる)はおよそWL1(nm)となる。
つまり、第2の光透過膜33の角度依存性が小さいことで、第3の光透過範囲W3の短波長側の半値波長の短波長側へのずれが小さくなる。
そのため、中心付近に比べて周辺から傾斜して入射して第1の光透過膜32および第2の光透過膜33を透過した光の第3の光透過膜34における透過範囲(第3の光透過範囲W3)が短波長側にずれることが抑制される。
これによって、例えば第2の光透過膜の平均屈折率を高めることで入射角0度における第3の光透過範囲W3の短波長側の半値波長と第2の光透過範囲W2の上限波長の差が小さくなった場合でも、入射角40度での第3の光透過範囲W3の短波長側の半値波長の変化が小さいので、周辺領域の可視光域の画像の色合いには第3の透過範囲W3の影響を与え難くなるため、高画質と自由度を両立させることができる。つまり、近赤外光の撮像において有利な、可視光に近い波長範囲の近赤外線の透過についても有効な光学膜を有する光学フィルタ部材3とすることができる。
なお、傾斜して入射した補助光に対する第3の光透過範囲W3が補助光の発光範囲をす
べて含むように予め設計して第3の光透過範囲を決めるようにしてもよい。
第1および第2の光透過膜32、33は、複数の誘電体層の少なくとも一部が同じ誘電体材料から成り、第1および第2の光透過膜32、33の両方において、同じ誘電体材料から成る誘電体層が基体31に接している場合には、第1の光透過膜32および第2の光透過膜33の基体31に対する接合強度を向上させることができる。
第1および第2の光透過膜32、33は、複数の誘電体層の少なくとも一部が同じ誘電体材料から成る構造としては次の3つの例がある。
1つ目の例は、第1および第2の光透過膜32、33の複数の誘電体層の低屈折率誘電体層と高屈折率誘電体層とが同じ誘電体材料から成る構造である。例えば、第1の光透過膜32が酸化ケイ素層(SiO層:低屈折率層)および酸化チタン層(TiO層:高屈折率層)から成り、第2の光透過膜33が酸化ケイ素層(SiO層:低屈折率層)および酸化チタン層(TiO層:高屈折率層)から成る場合である。例えば、基体31が酸化ケイ素(SiO)を主成分として含んでいる場合、第1および第2の光透過膜32、33の両方において、酸化ケイ素層(SiO層:低屈折率層)が基体31に接していると、第1の光透過膜32および第2の光透過膜33の基体31に対する接合強度を向上させることができる。
2つ目の例は、第1および第2の光透過膜32、33の複数の誘電体層のうち低屈折率誘電体層および高屈折率誘電体層のうちの一方が同じ誘電体材料から成る構造である。この場合、低屈折率誘電体層および高屈折率誘電体層のうちの他方は異なる誘電体材料から成っていてもよい。例えば、第1の光透過膜32が酸化ケイ素層(SiO層:低屈折率層)および五酸化タンタル層(高屈折率層)から成り、第2の光透過膜33が酸化ケイ素層(SiO層:低屈折率層)および酸化チタン層(TiO層:高屈折率層)であるから成る場合である。例えば、基体31が酸化ケイ素(SiO)を主成分として含んでいる場合、第1および第2の光透過膜32、33の両方において、酸化ケイ素層(SiO層:低屈折率層)が基体31に接していると、第1の光透過膜32および第2の光透過膜33の基体31に対する接合強度を向上させることができる。
3つ目の例は、第1および第2の光透過膜32、33のうちの一方の光透過膜の低屈折率誘電体層と、第1および第2の光透過膜32、33のうちの他方の光透過膜の高屈折率誘電体層とが、同じ誘電体材料から成る構造である。
第3の光透過膜34は、可視光から近赤外光の波長範囲において第2の光透過範囲W2では平坦な透過特性であり、光反射範囲Wよりも高く第1の光透過範囲W1に含まれる第3の光透過範囲W3における平均透過率は平坦部の平均透過率よりも低い透過特性を持つ膜であれば、IRカットガラスを使用する場合のように板厚みを変更して撮像装置の厚みを増やしたりすることなしに、近赤外帯域の透過率を任意の値とすることが容易になる。例えば、第3の光透過膜の例としては安息香酸銅(Cu(CCO)をリン酸ジエチルヘキシル(C1635P)と反応させ赤外線吸収特性を持つ有機物としそれを基体31の表面に成膜した赤外線吸収膜やITO(Indium Tin Oxide)膜等の金属薄膜を基体31の表面に蒸着した金属反射膜および、第1の光透過膜32や第2の光透過膜33と同様な誘電体多層膜等を基体31の表面に形成したものがある。なお、第3の光透過膜34は第3の低屈折率誘電体層34aと第3の高屈折率誘電体層34bとを含んでおり、第2の光透過範囲では平坦な透過特性であり、第3の光透過範囲W3における平均透過率は平坦部の平均透過率よりも低い誘電体多層膜であると第3の光透過膜34の膜構成を適宜設計する事によって第3の光透過範囲W3における平均透過率は任意の平均透過率とすることができる。赤外線吸収膜や金属反射膜においては一般的に可視光の波長範囲においても相当程度の吸収や反射があるために第3の光透過範囲W3の透過率を変更させようとして単純に色素濃
度や膜厚みを変更した場合には第3の光透過範囲W3と同時に第2の光透過範囲W2も変化してしまう事が起きてしまうが、誘電体多層膜の場合は、膜設計によって第2の光透過範囲W2の透過率に影響を与えずに第3の光透過範囲W3の透過率を変更できるのでより透過率の自由度を高めることができるようになる。図5(a)に示されているように、一つの例における第3の光透過膜34において、第3の光透過範囲W3においては、透過率Tを約82%とさせることができる。
同様にして、第2の光透過範囲W2を430〜650nmとしながら、第1の光透過膜32、第2の光透過膜33の各々の平均屈折率n32、n32および第3の光透過膜34の透過率を表1に示すように調整した光学フィルタ部材3を作製して、その光学的な特性を具体的に確認した。
確認した特性は、表1に示す各例(試料No1〜16)の光学フィルタ部材3を図1の撮像装置の蓋体として使用した場合の、撮像装置における可視光画像の色むら、可視光画像の色合いおよび赤外線画像の感度の3つである。これらの観点で光学フィルタ部材を評価した結果を表1に示す。
表1において、可視光画像の色むらは、1枚の画像中で中央部に比べ周縁部の色が紫がかる色むらが明確に分かる場合を△、はっきり分からないものを○、分からないものを◎とした。画像の色合いは、画像の全体的な色合いを観察し、可視光だけを透過する光学フィルタを使用した撮像装置の画像(レファレンス画像)との比較を観察して確認した。レファレンス画像に対して画像の色合いが多少赤色がかっている場合を△、赤色がかっているか否かがはっきりわからないものを○、レファレンス画像と同等のものを◎とした。赤外感度は850nm波長のLED補助光を用いて、得られた画像を観察することで確認した
。このときの感度が不十分なものを△、実用上問題ないものを○、より感度の高いものを◎とした。なお、表1に示す各例において、第3の光透過範囲W3の透過率をT、第3の光透過範囲の透過率Tの50%の透過率での透過波長幅(=半値幅)をΔλ(nm)とした(以後、上記の透過波長幅を半値幅ともいう)。
表1に示す各例の判定は、上記の3つの判断基準の中で最も悪い結果を、それぞれの例(No.)の総合判断とした。すると、25≦T×Δλ<125の関係式を満たす各例の光学フィルタ部材3は、いずれも総合判定で良い結果となることが分った。
言い換えれば、第1の光透過範囲W1を有する第1の光透過膜32と、第2の光透過範囲W2および光反射範囲Wを有し、第1の光透過膜32よりも平均屈折率が高い第2の光透過膜33と、所定の波長領域に対応して平坦な透過特性または比較的低い平均透過率を有する第3の光透過膜34とを有する光学フィルタ部材3は、25≦T×Δλ<125の関係式を満た
すときには可視光画像および赤外感度といった光学装置の特性を効果的に向上させることができる。
これは、次のような理由による。25≦T×Δλ<125とすることで、図5(b)におけ
る第3の光透過範囲W3の面積(透過率0.00の軸と透過率を示す線とで囲まれる部分の面積)の範囲が規定されるために、波長に広がりのある近赤外LEDを光源として使用した場合の夜間の画像感度を一定の範囲で確保できるようになる。このときに透過率Tが比較的低い場合には、第3の光透過範囲W3の半値幅Δλを広くして赤外感度を容易に確保することができる。また、透過率が比較的高い場合には、光反射範囲Wを広げて第3の光透過範囲W3の半値幅Δλを狭くすることによって、赤外領域の光が可視光の画像に影響を与えにくくなるので、可視光画像が赤色がかることを抑制することができる。そのため、可視光画像が自然な色合いとなる。
なお、表1に示す具体例の光学フィルタ部材3は、40≦T×Δλ<63の関係式を満たすものであると、可視光画像の色むら、可視光画像の色合い、赤外線画像の感度の3つの観点すべてにおいて良好な光学フィルタ部材3となることがわかった。
図3に示された例において、第2の光透過膜33および第1の光透過膜32は、基体31の同じ主面側に形成されており、第2の光透過膜33および第1の光透過膜32の両方が、基体31の上面側に形成されている。
第2の光透過膜33と第1の光透過膜32とが基体31の同じ主面側に形成されていることによって、例えば、第2の光透過膜33の第2の光透過範囲W2の下限波長(例えば、400n
m)と第1の光透過膜32の第1の光透過範囲W1の下限波長(例えば、400nm)とを基
準に第1の光透過範囲W1を第2の光透過範囲W2の2倍に設計しても、第2の光透過膜33と第1の光透過膜32とが同様の成膜条件にて形成されることによって、第2の光透過膜33の第2の光透過範囲W2の下限波長と第1の光透過膜32の第1の光透過範囲W1の下限波長とのずれが低減されるので、所望の光透過範囲を確保することができる。また、第1の光透過範囲W1は、第2の光透過範囲の下限波長と同じ下限波長を有することにより、所望の光透過範囲を得ることができる。
ここでいう所望の光透過範囲とは、第2の光透過範囲W2および第3の光透過範囲W3のことである。仮に、例えば、第2の光透過膜33と第1の光透過膜32との成膜条件が異なって、第1の光透過膜32の第1の光透過範囲W1の下限波長が第2の光透過膜33の第2の光透過範囲W2の下限波長よりも長波長側にずれると、第2の光透過範囲W2の一部が削られて、すなわち、第2の光透過範囲のうちの一部が光透過しない範囲となり、所望の第2の光透過範囲W2を確保することができなくなる。第1の光透過範囲W1は、第2の光透過範囲W2の下限波長を含むことで、第2の光透過範囲W2の一部を削られにくくすることができる。
なお、後述するように、第1の光透過膜32、第2の光透過膜33および第3の光透過膜34は、イオンビームアシスト蒸着法によって形成されることが好ましい。
以上を組み合わせた光学フィルタ部材3は、図5(b)に示されているように、可視光の波長範囲においては平坦な透過特性であり、第3の光透過範囲W3においては可視光の
波長範囲よりも平均透過率が低減されているものとなる。各波長における光学フィルタ部材3の透過率は各波長での基体31の透過率、第1の光透過膜32の透過率、第2の光透過膜33の透過率および第3の光透過膜34の透過率の積となる。なお、基体31は、可視光範囲から1200nmまでの範囲ではほぼフラットの透過率となるのでこの範囲では考慮しなくてもよい。
このように、第3の光透過範囲W3の平均透過率は第3の光透過膜34の第3の光透過範囲W3の透過特性を膜設計で任意に設定することができる。
第1の光透過膜32の第1の高屈折率誘電体層32bおよび第3の光透過膜34の第3の高屈折率誘電層34bに好適な屈折率が1.7以上の高屈折率誘電体材料としては、例えば五酸化
タンタル(屈折率:2.16)、酸化チタン(屈折率:2.52)、五酸化ニオブ(屈折率:2.33)、酸化ランタン(屈折率:1.88)または酸化ジルコニウム(屈折率:2.40)等があり、第1の低屈折率誘電体層32aおよび第3の低屈折率誘電体層34aに好適な屈折率が1.6以
下の低屈折率誘電体材料としては、例えば、酸化ケイ素(屈折率:1.46)、フッ化ランタン(屈折率:1.59)またはフッ化マグネシウム(屈折率:1.38)等がある。硬さまたは安定性等の機械的特性、および所望の光学フィルタとしての機能を付与するために必要となる屈折率等の光学的特性から、第1および第3の高屈折率誘電体層32b、34bとしては酸化チタンを、第1および第3の低屈折率誘電体層32a、34aとしては酸化ケイ素を用いることが望ましい。
そして、第2の光透過膜33の平均屈折率を第1の光透過膜32の平均屈折率より高くする方法として、第2の低屈折率誘電体層33aが第1の低屈折率誘電体層32aの誘電体材料の屈折率より高い屈折率を有する誘電体材料を使用する方法がある。この場合は、図3のB部の誘電体層を拡大した構造は、例えば、図6に示すように第1の光透過膜32と同様に、第2の低屈折率誘電体層33aと第2の高屈折率誘電体層33bのそれぞれの物理膜厚をLt0
、Ht0とし、それぞれの屈折率をnL0、nH0とすると、光学膜厚は、ほぼ同じ光学膜厚とな
るように、Lt0×nL0=Ht0×nH0とする。
なお、具体的な物質としては以下の様な誘電体材料が使用される。第2の光透過膜33に好適な屈折率が2.0以上の第2の高屈折誘電体層33bの高屈折率の誘電体材料としては、
例えば、五酸化タンタル(屈折率:2.16)、酸化チタン(屈折率:2.52)、五酸化ニオブ(屈折率:2.33)または酸化ジルコニウム(屈折率:2.40)等があり、屈折率が高屈折率の誘電体材料より0.1以上小さい第2の低屈折率誘電体層33aの低屈折率誘電体材料とし
ては、例えば、酸化チタン(屈折率:2.52)に対しては、五酸化タンタル(屈折率:2.16)、五酸化ニオブ(屈折率:2.33)、酸化ジルコニウム(屈折率:2.40)または酸化ケイ素(屈折率:1.46)等がある。
それぞれ使用する誘電体材料の屈折率に応じて使用すれば良いが、第2の光透過膜33の角度依存性を小さくするためには、第2の光透過膜33の第2の高屈折誘電体層33bの高屈折率の誘電体材料と第2の低屈折率誘電体層33aの低屈折率の誘電体材料の平均の屈折率が大きいほど好ましいが、硬さまたは安定性等の機械的特性、および所望の光学フィルタとしての機能を付与するために必要となる屈折率等の光学的特性から、第2の高屈折率誘電体層33bとしては酸化チタンを、第2の低屈折率誘電体層33aとしては五酸化タンタルを用いることが望ましい。
また、第2の光透過膜33を構成する複数の誘電体層の厚み比率と第1の光透過膜32を構成する複数の誘電体層の厚み比率とを異ならせる方法がある。具体的には、図3のB部の誘電体層を拡大した構造は、例えば、図7に示すように、第2の高屈折率誘電体層33bの厚みを第2の低屈折率誘電体層33aの厚みに対して相対的に厚くなるように設定する方法
である。この場合には、例えば、等価膜理論により低屈折率層とみなせる誘電体層は、第2の低屈折率誘電体層33aとその両側のみなし低屈折率誘電体層に含まれる高屈折率層部位33b2とであり、その厚みは、Lt0+2×Ht2とみなすことができる。そのため、実際の
第2の高屈折率誘電体層33bの厚みHt0は、みなし高屈折率誘電体層部位33b1とみなし低
屈折率誘電体層に含まれる高屈折層部位33b2の2倍を加えた、Ht1+2×Ht2となるため、
実際の第1の低屈折率誘電体層33aの誘電体厚みLt0に対し、相対的に高く設定できるよ
うになる。
このように設定することによって、第1の光透過膜32、第2の光透過膜33および第3の光透過膜34は、全て同じ組成の高屈折率の誘電体層と同じ組成の低屈折率の誘電体層との厚みの組み合わせで形成できるようになり、蒸着工程等の製造工程中に第3の組成が他の各誘電体層に微量に含有することがなくなるので、よりフィルタ特性に影響を与える要因を少なくでき安定した光学特性を形成できるようになる。
また、光学膜は、誘電体層の組成が2種類になることで、工数も減少する。また、基体31はガラス材料または水晶が多く使用されており、光学膜は、基体31に直接形成される第2の低屈折誘電体層33aとして、ガラス材料または水晶と密着強度の強い酸化ケイ素を使用することが出来るようになるので、膜の密着強度が高くなり、水分の浸透等をより防ぐことができるようになるので信頼性が向上する。
上述のように、光学膜は、イオンビームアシスト蒸着法によって形成されることが好ましい。イオンビームアシスト蒸着法は、成膜プロセスである真空蒸着法に陽イオンの照射を併用する真空蒸着法である。イオンビームアシスト法では陽イオンが使用され、陽イオンは、例えば、アルゴンからなる不活性ガスと酸素ガスからなる活性ガスとの両方を装置のイオン源に導入してプラズマとしたものから生成されたものが用いられる。
イオンビームアシスト蒸着法では、例えば、基体31を真空蒸着装置内に設置した蒸着用ドーム内に配置し、光学的に良質な光学膜を得るために、酸素欠乏を起こさないように十分に酸素を供給し、そして、真空蒸着装置内を1×10-3Pa程度の真空度に設定された
状態で陽イオンの照射を併用しながら真空蒸着が行なわれる。真空蒸着装置内にて光学膜が形成される際の基体31の表面温度は、熱電対により基体31付近の温度を計測することにより管理され、電熱線ヒーター等を用いて温度範囲30〜350℃程度に保持される。
第2の光透過膜33が、第3の光透過膜34とともに基体31の同じ主面側に設けられ、第1の光透過膜32が基体31の他の主面側に設けられている場合には、例えば、基体31の一方の主面の全面あるいはマスキングをして撮像素子2に対向する所望の領域に、第1の光透過膜32を形成するために第1の低屈折率誘電体層32aと第1の高屈折率誘電体層32bとを順次交互に被着する。そして、他方の主面の全面あるいはマスキングをして撮像素子2に対向する所望の領域に、第2の光透過膜33を形成するために第2の低屈折率誘電体層33aと第2の高屈折率誘電体層33bとを順次交互に被着し、次に、第2の光透過膜33上に第3の光透過膜33を形成するために第3の低屈折率誘電体層34aと第3の高屈折率誘電体層34bとを順次交互に被着する。このように、陽イオンの照射を併用しながら順次交互に誘電体層を被着することにより、光学膜を形成した光学フィルタ部材3となる母光学フィルタ部材3’が得られる。なお、第1および第2の光透過膜32、33は、例えば、それぞれ合計30〜50層程度の誘電体層が被着され、第3の光透過膜34は、例えば合計3〜10層程度の誘電体層が被着される。
図8(a)は、本発明の実施形態の光学フィルタ部材における第1および第2の光透過膜の高屈折率層に酸化チタン(屈折率:2.52)、低屈折率層に酸化ケイ素(屈折率:1.46)を用いた場合の厚みの分布の一例を示すグラフであり、(b)は本発明の実施形態の光
学フィルタ部材における第3の光透過膜の高屈折率層と低屈折率層との厚みの分布の一例を示すグラフである。
陽イオンが真空中を飛来する蒸着物質の気体分子に衝突することによって、蒸着物質の気体分子は、励起されて大きな運動エネルギーを得る。そして、この大きな運動エネルギーを得た蒸着物質の気体分子は、被着材である基体31の表面に到達すると、被着材の表面の広い領域を移動するとともに、広い領域の移動に伴って被着材表面のより低いエネルギー状態にある場所を見つけ出す確率が大幅に増大する。これによって、蒸着物質の分子同士が凝集することなく被着材の表面に均一に被着し、周辺に存在する蒸着物質の分子同士が凝集して核を形成することなく緻密に充填した光学膜を形成することができる。したがって、例えば、光学膜は、大気中の水分が浸透することが抑制されており、被着材である基体31から剥がれる可能性が低減される。
なお、基体31の表面に直接形成される誘電体層は、ガラス材料との密着性の高い酸化ケイ素膜であると、基体31と光学膜との密着性が向上するため好ましい。
また、本実施形態における撮像装置は、上述の光学フィルタ部材3を含んでいることによって、光学フィルタ部材3において光の入射角の違いによる光学特性の変化が低減されており、撮像画像の質に関して向上されている。
以上のように、第2の光透過膜33が、第1の光透過膜32とともに基体31の同じ主面側に設けられ、第3の光透過膜34が基体31の他の主面側に設けられている例を説明した。
図9で示すように、第2の光透過膜33が、第3の光透過膜34とともに基体31の同じ主面側に設けられ、第1の光透過膜32が基体31の他の主面側に設けられている構成であってもよい。
この場合には、第2の光透過膜32は、基体31の一方の主面に接して設けられており、第1の光透過膜32は、基体31の他の主面に接して設けられている。第3の光透過膜34は、第2の光透過膜33上に設けられている。
このような構成であっても、図5(b)に示すように、可視光の波長範囲においては平坦な透過特性であり、第3の光透過範囲W3においては可視光の波長範囲よりも平均透過率が低減されているものとなる。
各光透過膜の作成の順序としては、最初に基体31の表面に第2の光透過膜33を形成し、その後第1の光透過膜32または第3の光透過膜34を形成するようにすると、第2の光透過膜33は光学フィルタ部材3の入射角度依存性に最も影響が大きいので、光透過膜の応力によって湾曲する前の平面度の高い基体31に対して第2の光透過膜33を形成することで、基体31の全面に各光透過膜の蒸着膜が均一に形成されやすくなるので、光学フィルタ部材3の面内での膜厚のばらつき等が小さくなり好ましい。
第2の光透過膜33は、図2および図9に示すように、第1の光透過膜32または第3の光透過膜34とともに基体31の同じ主面側に設けられている。
また、図10に示された第3の光透過膜34のように、例えば、低屈折率誘電体層が酸化ケイ素(SiO)から成るとともに高屈折率誘電体層が酸化チタン(TiO)から成る場合、成膜時に内在する応力は酸化ケイ素(SiO)の方が大きいので基体31の表面に直接形成される第3の光透過膜34の1層目に当たる酸化ケイ素膜(SiO層)の厚みを厚く調整することによって、第1の光透過膜32の残留応力F32と第2の光透過膜33の残留
応力F33および第3の光透過膜34の残留応力F34の合計との差異を低減することで基体31の反りをより小さくすることができる。なお、基体31の表面に直接形成される酸化ケイ素膜(SiO層)は光透過膜の光学特性にほとんど影響を与えないので、基体31の両主面に加わる応力差が大きくなる場合には厚みを調整することで光学特性を変えずに応力を調整することができる。
本発明においては、光学フィルタ部材3の両主面に加わる応力差を小さくすることができるため、上記例において、基体31の厚みが0.1mmであり、第1、第2および第3の光
透過膜32、33、34の合計の厚みが0.013mmの厚みとなるように光学フィルタ部材3を基
体31に形成した場合には、どちらの面から3点曲げ強度を測定しても、元の基体31単体の3点曲げ強度より強い光学フィルタ部材3が得られた。なお、0.013mmは、基体31の厚
みの10%を越える厚みである。
また、図9の構造のように、第2の光透過膜33が、第3の光透過膜34とともに基体31の同じ主面側に設けられ、第1の光透過膜32が基体31の他の主面側に設けられている構成である場合は、第2の光透過膜33は、同様に基体31の表面に直接形成される第2の光透過膜33の1層目に当たる酸化ケイ素膜(SiO層)の厚みを調整することによって、応力調整層(応力調整層としては符号なし)を含んでいてもよい。ここでいう応力調整層とは、基体31の上面に設けられた第1の光透過膜32と基体31の下面に設けられた第2の光透過膜33および第3の光透過膜34との誘電体層構造の違いによって、基体31の上面および下面に生じる応力の差を低減し得るものである。
応力調整層は、第2の光透過膜33の複数の第1の低屈折率誘電体層33aの一部であり、他の第1の低屈折率誘電体層33aとは膜厚の異なるものである。応力調整層は、基体31の上面および下面に生じる応力の差を低減し得るように、他の第1の低屈折率誘電体層33aとは膜厚が異なるように設計されている。
本実施形態の例において、第2の光透過膜33は、酸化ケイ素(SiO)から成る複数の第2の低屈折率誘電体層33aと酸化チタン(TiO)から成る複数の第2の高屈折率誘電体層33bとを含んでおり、基体31の主成分が酸化ケイ素(SiO)であって、かつ応力調整層は酸化ケイ素(SiO)から成る。基体31の主成分が酸化ケイ素(SiO)から成り応力調整層が基体31の主成分と同じ酸化ケイ素(SiO)から成る場合は、基体31に対する応力調整層の接合強度が向上されて、例えば、応力調整層が基体31から剥がれにくくなり、光学フィルタ部材3における光学特性を向上させることができる。
また、光学フィルタ部材3の光学膜は、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope)を用いることで、膜厚、組成、膜の結晶状態等を確認することができる。なお、膜組成を特定することによって、その膜組成から文献等を用いてそれぞれの屈折率を確認することができる。
ここから、撮像装置における光学フィルタ部材3以外の構成について説明する。
素子搭載用部材1は、基板11と、リード端子13を挟むように基板11に接合された枠体12とを含んでいる。
基板11は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体(アルミナセラミックス)、ムライト質焼結体、ステアタイト焼結体または窒化アルミニウム質焼結体等のセラミックスから成るものである。
基板11は、以下のようにして作製することができる。例えば、基板11が酸化アルミニウ
ム質焼結体から成る場合であれば、まず、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等の原料粉末に適当な有機バインダ、溶剤および可塑剤、分散剤を添加混合して泥漿物を作り、この泥漿物を従来周知のスプレードライ法を用いて顆粒にする。次いで、この顆粒を所定の形状のプレス金型により紛体プレス成型して生成型体を作製し、生成型体を約1500℃の高温で焼成することにより基板11となる。また、上記泥漿物を用いてグリーンシートを作製して、グリーンシートを打ち抜き金型等により打ち抜くなどして適当な大きさにすることで生成形体を得ることができる。生成形体は複数のグリーンシートを積層して所定の厚みにしてもよい。
この基板11の表面は、ラップ研磨加工等により平坦にして、20μm以下の平坦度にしておくと、撮像素子2を搭載した際に傾きやゆがみが発生しにくくなるので好ましい。基板11は、撮像素子2の搭載部の外周部に枠体12が接合されるが、枠体12が対向する外周部の部分も平坦にしておくと、枠体12が傾きにくくなる。したがって、基体11と枠体12とが良好に接合されて、その上に接着される光学フィルタ部材3も撮像素子2に対して傾きにくくなるので好ましい。
リード端子13は、例えば、Fe−Ni−Co合金やFe−Ni合金,銅(Cu)または銅合金等の金属材料から成るものである。気密信頼性の観点からは、リード端子13、基板11の熱膨張係数との差が小さくなる熱膨張係数を有する材料が好ましく、基板11が酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、例えば、Fe−42%Ni合金が好ましい。リード端子13は、腐食防止または導電性の向上のために、表面にニッケルめっき層および金めっき層を順次被着させておくとよい。
リード端子13は、例えば、上記金属材料から成る板材を、金型を用いた打ち抜き加工によりリードフレームを形成する。リードフレームは、複数のリード端子13が枠の内周から内側に延出するように展開された形状を有しており、基板11に接続した後に枠を切り離すことにより複数のリード端子13となる。リードフレームは、エッチング加工により作製することもできる。金属板の上にリードフレーム形状のレジスト膜を形成して、例えば、リード端子13が銅から成る場合であれば、塩化第二鉄によりエッチングした後にレジスト膜を剥離することにより作製することができる。
枠体12は、基板11と同様に酸化アルミニウム質焼結体(アルミナセラミックス)、ムライト質焼結体、ステアタイト焼結体または窒化アルミニウム質焼結体等のセラミックスから成るものであり、基板11と同様の方法で作製することができる。枠体12と基板11とを同じ材料を用いると、熱膨張係数が同じになるのでこれらの間に発生する熱応力がその間の接合材14またはリード端子13に加わりにくくなるので好ましい。
枠体12は、表面をラップ研磨加工等により平坦にして、20μm以下の平坦度にしておくと、基板11に対して傾きにくくなる。また、光学フィルタ部材3は、枠体12に接合されているので、枠体12に対して傾きにくくなる。このように、撮像装置は、基体11、枠体12および光学フィルタ部材3が傾きにくい状態で互いに接合されるので、結果として、光学フィルタ部材3が撮像素子2に対して傾かないように接着されるので好ましい。
接合材14は、リード端子13を間に挟んで基板11と枠体12とを接合しており、ガラス材料または樹脂材料を用いることができる。接合材14は、ガラス材料としては、PbO系ガラス、PbO−SiO系ガラス、BiO−SiO系ガラス、PO−SiO系ガラスまたはBO−SiO系ガラス等の低融点ガラスがある。接合材14は、樹脂材料としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂またはポリエーテルイミド樹脂等がある。いずれの場合も、接合材14は、熱膨張係数を基板11または枠体12の熱膨張係数に近いものとするために、例えば、シリカのような無機粉末等のフィラーを含有するものであっても
よい。
接合材14が低融点ガラスである場合は、例えば、酸化鉛56〜66質量%、酸化硼素4〜14質量%、酸化ケイ素1〜6質量%および酸化亜鉛1〜11質量%を含むガラス成分に、フィラーとして酸化ジルコニウムシリカ系化合物の粉末を4〜15質量%添加した粉末に適当な有機溶剤、溶媒を添加混合してガラスペーストを得る。このガラスペーストをスクリーン印刷法等の印刷法により枠体12の下面に所定厚みに印刷塗布し、これを約430℃の温度で
焼成することによって枠体12に低融点ガラスを被着させる。
この枠体12を、基板11の上に低融点ガラスを下にして載置し、トンネル式の雰囲気炉またはオーブン等の加熱装置で約470℃に加熱することで接合材14を再溶融させて基板11の
上面と枠体12の外周縁部に挟まれた各リード端子13の周囲を接合材14で覆い、冷却して低融点ガラスを固化させる。これによって、枠体12およびリード端子13が基板11に強固に接合されて素子搭載用部材1となる。
接合材14が樹脂である場合は、例えば、ビスフェノールA型の液状エポキシ樹脂からなる主剤に対し、硬化剤としてテトラヒドロメチル無水フタル酸を外添加で10〜30質量%添加し、フィラーとしてシリカ粉末を外添加で30〜80質量%添加し、カーボンブラック等の着色剤、2−メトキシエタノール等の有機溶剤を添加混合してエポキシ樹脂ペーストを得る。このエポキシ樹脂をスクリーン印刷法等の印刷法により枠体12の下面に所定厚みに印刷塗布し、これを約60℃〜80℃の温度で溶剤を乾燥させ枠体12に樹脂層を被着させる。
この枠体12を、基板11の上に接合材14を下にして載置し、トンネル式の雰囲気炉またはオーブン等の加熱装置で加熱してピーク温度約150℃で1時間保持することにより、樹脂
層を溶融させて基板11の上面と枠体12の外周縁部に挟まれた各リード端子13の周囲を樹脂で覆った後に硬化させることにより、枠体12およびリード端子13が基板11に強固に接合されて素子搭載用部材1となる。
以上のようにして、作製された素子搭載用部材1と光学フィルタ部材3との接合は、一般的に紫外線硬化型エポキシ樹脂もしくは熱硬化型エポキシ樹脂等から成る接着剤5を介して行なわれる。素子搭載用部材1と光学フィルタ部材3との接合は、例えば、接着剤5として熱硬化型エポキシ樹脂を用いる場合、従来周知のスクリーン印刷法またはディスペンス法等で接着剤5を素子搭載用部材1または光学フィルタ部材3に塗布し、互いに重ねあわせた後、90〜150℃の温度で60〜90分間加重し加熱することによって行われる。
撮像素子2は、例えば、CCDまたはCMOS等である。撮像素子2は、例えば、銀粉末を含有するエポキシ樹脂から成る導電性接着剤によって素子搭載用部材1の上面に接着して固定される。撮像素子2は、電極が素子搭載用部材1の端子に金などからなるボンディングワイヤ4で接続される。そして、素子搭載用部材1の開口部を塞ぐように光学フィルタ部材3を接着剤5で素子搭載用部材1に接着することで撮像装置となる。
以下、光学フィルタ部材3の製造方法について図11を参照して説明する。なお、以下では、図2に示すような光学フィルタ部材3の製造方法について説明する。
光学フィルタ部材3の製造方法は、図11(a)に示されているように、無色透明の平板から成る母基体31’の一方主面側に、第2の低屈折率誘電体層33aと第2の高屈折率誘電体層33bとを交互に複数層積層して第2の光透過膜33を、引き続き第1の低屈折率誘電体層32aと第1の高屈折率誘電体層32bとを交互に複数層積層して第1の光透過膜32を被着形成し、他方主面側に、第3の低屈折率誘電体層34aと第3の高屈折率誘電体層34bとを交互に複数層積層して第3の光透過膜34を被着形成する。このように、第1の光透過膜32
を被着し、第2の光透過膜33と第3の光透過膜34とを連続して被着形成し、母光学フィルタ部材3’を形成する工程と、図11(b)に示されているように、外周部が枠体72に支持された粘着シート71に母光学フィルタ部材3’の他方主面を密着させて固定する工程と、図11(c)に示されているように、母光学フィルタ部材3’に複数の光学フィルタ部材領域が縦横に配列されており、この母光学フィルタ部材3’の第1の光透過膜32側に紫外線
レーザを照射して走査することにより、母光学フィルタ部材3’を複数の光学フィルタ部材領域に区分するような溝3a’を形成する工程と、図11(d)に示されているように、溝3a’に沿って母光学フィルタ部材3’を割断する工程とを含んでいる。
これにより、隣接する光学フィルタ部材領域の第1の光透過膜32は溝3a’を介して配置されることになるので、製造工程中に第1の光透過膜32同士が接触することが低減される。母光学フィルタ部材3’の主面上に光学膜を形成した平板状の母光学フィルタ部材3’を粘着シート71に密着させて光学フィルタ部材3を作成しても、異物の少ない光学フィルタ部材3を作製することができる。紫外線レーザを照射することで溝3a’を形成する際に、母基体31’の表面に形成された光学膜が照射する紫外線レーザの波長の85%を越える高い割合でレーザ光を反射する場合には、紫外線レーザは、反射されても加工できるエネルギーを照射する必要がある。また、加工中には反射率が変化するため紫外線レーザの調整も難しくなるが、母基体31’の表面に形成された光学膜が照射された紫外線レーザの波長を15%以上吸収もしくは透過するものであると、紫外線レーザを溝3´形成に効果的に使用することができるとともに、加工中の反射率の変化も小さくなるので、紫外線レーザの調整も容易になるので好ましい。
粘着シート71は、一般的に、支持シートと、その片側表面上に設けた粘着剤層との2層構造からなる。粘着シート71の厚さは、特に限定されるものではないが、通常30〜300μ
mであり、好ましくは50〜100μmである。
粘着剤層用の粘着剤は、感圧接着剤成分として、汎用の感圧接着剤を構成する化合物より選択することができ、例えば、ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系、ポリエステル系またはポリビニルエーテル系の接着剤等を挙げることができる。場合によっては、感圧接着剤成分にレーザ光線の吸収率を高めるための吸収性付与剤を付与して粘着剤としてもよい。粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、通常1〜100μmであり、好ま
しくは5〜50μmである。
枠体72は、通常、位置決めするための直線部または溝が外周に形成された枠状体であり、粘着シート71を介して母光学フィルタ部材3’を位置決めするための治具である。このような治具を用いることで、量産性または再現性を向上させることができる。枠体72は、0.5mm〜1mm程度の金属板をエッチング加工で作製することができる。また、枠体72
は、金型を用いて熱可塑性樹脂で射出成型して作製してもよい。
支持シート上に粘着剤層を形成して粘着シート71としたものを枠体72に粘着剤層を介して接着し、その中央に母光学フィルタ部材3’を粘着剤層に貼り付けることで、レーザ加工工程の量産性または再現性を向上させることができる。
レーザ装置は、波長および位相が揃った光を発生させる装置であり、本実施形態では、266nmの紫外線波長を持つレーザを用いて加工を行なった。10μm程度の波長を持つ
炭酸ガスレーザーを用いても加工することができるが、紫外線レーザを用いた場合には、炭酸ガスレーザーを使用した場合に比べてスポット径をより小さく絞ることができるので、紫外線レーザを当てた部分の周囲への影響が小さく、光学膜の良好な特性が得られる領域を広くすることができるので好ましい。
本実施形態で用いられるレーザダイシング装置では、枠体72に粘着シート71を介して固定したガラス材料から成る母光学フィルタ部材3’の上面の第1の光透過膜32に対し焦点が合うようレーザ光線を照射し、母光学フィルタ部材3’に溝3a’を形成する。第1の光透過膜32を透過した紫外線レーザのエネルギーは、母光学フィルタ部材3’の表面部において熱に変換されて母光学フィルタ部材3’の表面部の一部を溶かす。第1の光透過膜32は、母光学フィルタ部材3’の表面部において発生した熱によって部分的に蒸発される。
266nmの紫外線レーザは、スポット径を20μm程度に絞ることができ、また、一般的
なガラス材料が紫外線レーザを吸収してガラス材料を透過しないので、粘着シート71に熱の影響を与えにくく、高精度な寸法加工を行なうことができる。また、紫外線レーザが照射されて溝3a´が形成された部分では、第1の光透過膜32と基体31とが側面の一部分で溶着して一体のガラス質層となっていることで、側面からの水分の浸入を阻止するので光学特性の径時変化が少ない構造となる。
次に、粘着シート71の裏面からそれぞれの溝3a’の真下を押し上げることで、母光学フィルタ部材3’を割断し光学フィルタ部材3とする。
次に、粘着シート71の裏面から紫外線光を当てることで、粘着シート71を硬化させ、粘着性を低下させ、光学フィルタ部材3をピックアップすることで、光学フィルタ部材3を作製することができる。なお、母光学フィルタ部材3´の切断には、ダイシングソーを用いて切り離すこともできる。その場合には、第1の光透過膜32と基体31が溶着することはない。
また、ガラス材料から成る基体31が、例えば、アルカリ金属成分を多く含み、比較的に水分に対して弱い組成である場合には、図12に示すように、基体31の上下面側に水分を通しにくい性質を有するバリア膜35を形成することが好ましい。
また、図2または図9の光学膜の構造において、第1〜第3の光透過膜32、33、34の厚み方向の一部分がバリア層としての機能を有することによって、比較的に水分に対して弱い組成のガラス材料を基体31として用いた場合に効果的である。その構造の例としては、複数の高屈折率誘電体層および低屈折率誘電体層の一部がイオンビームアシスト蒸着法によって形成されてアモルファス化されているものがある。複数の高屈折率誘電体層および低屈折率誘電体層の一部がアモルファス化されることによって、水分が通りにくくなる。
また、第1〜第3の光透過膜32、33、34の厚み方向の全部がバリア層としての機能を有する構造の例としては、複数の高屈折率誘電体層および低屈折率誘電体層の全部がイオンビームアシスト蒸着法によって形成されてアモルファス化されているものがある。
本実施形態における光学フィルタ部材3において、水分を通しにくい性質を有するバリア膜35を含んでいる場合または第1〜第3の光透過膜32、33、34がバリア層としての機能を有している場合には、比較的に水分に対して弱い性質を有するガラス材料から成る基体31は、表面の劣化が低減されており、例えば、第2の光透過膜33または第3の光透過膜34の剥がれ等が生じる可能性がより低減されている。
1・・・・・素子搭載用部材
2・・・・・撮像素子
3、3A・・・・・光学フィルタ部材
31・・・・・基体
32・・・・・第1の光透過膜
32a・・・・第1の低屈折率誘電体層
32b・・・・第1の高屈折率誘電体層
33・・・・・第2の光透過膜
33a・・・・第2の低屈折率誘電体層
33a1・・・・応力緩和層
33b・・・・第2の高屈折率誘電体層
33b1・・・・みなし高屈折率誘電体層部位
33b2・・・・みなし低屈折率誘電体層に含まれる高屈折率層部位
34・・・・・第3の光透過膜
34a・・・・第3の低屈折率誘電体層
34b・・・・第3の高屈折率誘電体層
35・・・・・バリア膜
4・・・・・ボンディングワイヤ
5・・・・・接着剤

Claims (10)

  1. 透光性材料から成る基体と、
    該基体の表面に設けられた光学膜とを備えており、
    該光学膜が、第1、第2およぴ第3の光透過膜を含んでおり、前記第1および前記第2の光透過膜はそれぞれ屈祈率の異なる複数の誘電体層が積層されている誘電体多層膜であり、
    前記第1の光透過膜が、可視光から近赤外光の波長範囲における第1の光透過範囲を有しており、
    前記第2の光透過膜が、可視光の波長範囲における第2の光透過範囲を有しているとともに、近赤外光の波長範囲における前記第1の光透過範囲に含まれる波長範囲で光反射範囲を有しており、
    前記第2の光透過膜の平均屈折率が前記第1の光透過膜の平均屈折率よりも高く、
    前記第3の光透過膜が、可視光から近赤外光の波長範囲において前記第2の光透過範囲では平坦な透過特性であり、前記光反射範囲よりも高く前記第1の光透過範囲に含まれる波長範囲における平均透過率は前記平坦な透過特性の部分における平均透過率よりも低いことを持徴とする光学フィルタ部材。
  2. 前記第1の光透過範囲のうち前記光反射範囲よりも高い波長領域に含まれる第3の光透過範囲における平均透過率をTとし、該第3の光透過範囲のうち前記平均透過率Tの50%の透過率での透過波長幅をΔλとしたとき、25≦T×Δλ≦125の関係式が満足されること
    を特徴とする請求項1に記載の光学フィルタ部材。
  3. 前記第3の光透過膜が、屈折率の異なる複数の誘電体が積層されている誘電体多層膜であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルタ部材。
  4. 前記第2の光透過膜が前記基体に接して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルタ部材。
  5. 前記第2の光透過膜が、酸化ケイ素からなる複数の第1の誘電体層と酸化チタンからなる複数の第2の誘電体屠とを含んでおり、前記基体が主成分として酸化ケイ素を含んでいることを持徴とする請求項1に記載の光学フィルタ部材。
  6. 前記第3の光透過膜が応力調整層を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光学フィルタ部材。
  7. 前記応力調整層が、前記第3の光透過膜の厚み方向において前記基体に接している第1層目に設けられており、前記基体の主成分と同じ材料を含んでいることを特徴とする請求項3を引用する請求項6に記載の光学フィルタ。
  8. 前記第3の光透過膜が、酸化ケイ素からなる複数の第1の誘電体層と酸化チタンからなる複数の第2の誘電体層とを含んでおり、
    前記基体が主成分として酸化ケイ素を含んでおり、
    前記応力調整層が、酸化ケイ素を含んでいることを特徴とする請求項7に記載の光学フィルタ部材。
  9. 前記光学膜の表面に設けられたバリア層をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルタ部材。
  10. 請求項1に記載の光学フィル夕部材と、該光学フィルタ部材の下方に設けられた撮像素子
    とを備えていることを持徴とする撮像装置。
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