JP2005265423A - 表面弾性波デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】ガスセンサとして用いられる、櫛形電極を有する表面弾性波デバイスであって、高感度化、高精度化及び集積化を可能とする表面弾性波デバイスを提供すること。
【解決手段】サファイア(0001)基板1−0上に、表面弾性波の反射手段となるメサ端面1−7を有し、(0001)方向に配向する高抵抗GaNからなる伝搬層1−2を形成し、伝搬層1−2上に、2組の櫛形電極1−4、1−5と、特定の気体分子を選択的に吸着するガス吸着層1−6とを形成することによって、ガスセンサとして用いられる、表面弾性波デバイスを構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】サファイア(0001)基板1−0上に、表面弾性波の反射手段となるメサ端面1−7を有し、(0001)方向に配向する高抵抗GaNからなる伝搬層1−2を形成し、伝搬層1−2上に、2組の櫛形電極1−4、1−5と、特定の気体分子を選択的に吸着するガス吸着層1−6とを形成することによって、ガスセンサとして用いられる、表面弾性波デバイスを構成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、圧電性材料からなる伝搬層上に櫛形電極を形成することにより形成される表面弾性波(以下、SAWと略記する)デバイスに関し、特に、ガスセンサとして用いられるSAWデバイスに関する。
従来のSAWデバイスからなるガスセンサについて説明する。
[第1の従来例]
図3は、第1の従来例であるガスセンサ(例えば水素センサ)の構造を示す説明図である。図中、(A)は平面図であり、(B)は(A)のa−a’断面図である。同図において、圧電性材料からなる基板(例えば128度回転Yカットニオブ酸リチウム基板)3−0上に、電極長2μm、電極間隔2μm、電極幅500μm、対数(対の数)40の2組の櫛形電極3−4及び3−5が、距離2.5mmを伴って対向する位置(X方向)に形成され、両櫛形電極間にSAWの行路が形成される。櫛形電極の各組においては、2つの単一櫛形電極が、一方の櫛の歯の間に他方の櫛の歯が介在する形で配置されていて、この構成は、本発明に係るSAWデバイスを含めて、以下の例においても同様である。単一櫛形電極の歯の数を櫛形電極の対数とする。上記「電極長」は櫛の歯の幅であり、「電極間隔」は一方の単一櫛形電極の歯と他方の単一櫛形電極の歯との間の間隔であり、「電極幅」は一方の単一櫛形電極の歯が他方の単一櫛形電極の歯と対向する部分の長さである。更に、SAWの行路上の基板3−0表面に、特定のガス分子を吸着する性質を有するガス吸着層3−6(例えば水素センサにおいては厚さ20nmのPdからなる層)が局所的に形成される。
図3は、第1の従来例であるガスセンサ(例えば水素センサ)の構造を示す説明図である。図中、(A)は平面図であり、(B)は(A)のa−a’断面図である。同図において、圧電性材料からなる基板(例えば128度回転Yカットニオブ酸リチウム基板)3−0上に、電極長2μm、電極間隔2μm、電極幅500μm、対数(対の数)40の2組の櫛形電極3−4及び3−5が、距離2.5mmを伴って対向する位置(X方向)に形成され、両櫛形電極間にSAWの行路が形成される。櫛形電極の各組においては、2つの単一櫛形電極が、一方の櫛の歯の間に他方の櫛の歯が介在する形で配置されていて、この構成は、本発明に係るSAWデバイスを含めて、以下の例においても同様である。単一櫛形電極の歯の数を櫛形電極の対数とする。上記「電極長」は櫛の歯の幅であり、「電極間隔」は一方の単一櫛形電極の歯と他方の単一櫛形電極の歯との間の間隔であり、「電極幅」は一方の単一櫛形電極の歯が他方の単一櫛形電極の歯と対向する部分の長さである。更に、SAWの行路上の基板3−0表面に、特定のガス分子を吸着する性質を有するガス吸着層3−6(例えば水素センサにおいては厚さ20nmのPdからなる層)が局所的に形成される。
本デバイスは中心周波数f0のバンドパスフィルタとして機能する。ここでf0は、電極長L、電極間隔S、SAWの伝搬遠度v0によってf0=v0/(2(L+S))により規定される。本従来例で用いられる128度回転Yカットニオブ酸リチウム基板においては、X方向のSAWの伝搬速度v0は3992m/sであるため、f0=499MHzとなる。
櫛形電極の一方(例えば3−4)に交流の電気信号を入力する(櫛形電極を構成する2つの単一櫛形電極間に交流の電気信号を印加する)。電気信号の周波数がf0の場合に最も効率よくSAWが励振される。基板3−0中に励振されるSAWの成分は基板3−0の表面付近を櫛形電極3−5方向へ伝搬する。櫛形電極3−5においてSAWは電気信号に変換されデバイス外部へ出力される。
本デバイスが検出対象であるガス雰囲気にさらされると、ガス吸着層3−6にガス分子が吸着しガス吸着層3−6の質量が変化する。その結果、質量負荷効果によってガス吸着層3−6直下のSAW伝搬速度が変化する。伝搬速度の変化は、例えば櫛形電極間(3−4と3−5との間)の伝搬遅延時間の変化として検出される。SAWの伝搬速度は環境温度によっても変化するため、本実施の形態においては、同一の寸法を有し、ガス吸着層が形成されていないSAWデバイスを参照用デバイスとして用い、両デバイス間の伝搬遅延時間の差を測定することによって、ガス吸着による伝搬遅延時間の変化を知ることができ、小型かつ堅牢な高精度ガスセンサとしての機能が実現する。
本従来例のセンサとしての機能はガス吸着層3−6直下のSAW伝搬速度の変化に基づくため、その感度はSAWの行路を覆うガス吸着層3−6の長さに依存する。則ち、ガス吸着層3−6の長さはSAW行路長(櫛形電極3−4、3−5間の距離)によって制限される。本従来例においては、SAWの行路長は2.5mmであるが、その行路が基板3−0のX軸方向に形成されるのであるから、実現可能な行路長は用いられるチップサイズ、更には基板の直径により制限される。例えば直径3インチの基板においては、行路長の上限値は7.62cmとなる。
更に、本従来例においては、櫛形電極3−4において励振されたSAWの一部は、櫛形電極3−5とは逆方向のデバイス外部へ漏洩する。また、櫛形電極3−5方向へ伝搬したSAWのエネルギーは全て電気信号に変換されるわけではなく、その一部は櫛形電極3−5を通過し、デバイス外部へ漏洩する。これらのSAWは、本デバイスに近接して他のSAWデバイスを形成する場合、近接するデバイスの櫛形電極に到達し、そこで電気信号に変換される可能性がある。
則ち、本実施の形態においてはSAWデバイス間の分離が不十分であり、本従来例によるSAWデバイスを複数個集積し種々のガスに対するセンサ機能を実現する場合、個々のデバイスを実装用基板にハイブリッド実装する事が必要となる。
[第2の従来例]
第2の従来例であるガスセンサとしての機能を有するSAWデバイスの構造を説明する。本構造は、下記非特許文献1において開示されたものであり、図4がその構造を示す説明図である。同図において、圧電性材料である直径10mmの水晶球4−1上に、Z軸を中心軸とする赤道上をSAWが周回するように電極長17.5μm、電極幅700μmの10対の櫛形電極一組4−4が形成されている。更に水晶球4−1の球面上に所定のガス分子(本従来例では水素)を選択的に吸着するガス吸着層(本従来例では厚さ20nmのPd)4−6が形成されている。
第2の従来例であるガスセンサとしての機能を有するSAWデバイスの構造を説明する。本構造は、下記非特許文献1において開示されたものであり、図4がその構造を示す説明図である。同図において、圧電性材料である直径10mmの水晶球4−1上に、Z軸を中心軸とする赤道上をSAWが周回するように電極長17.5μm、電極幅700μmの10対の櫛形電極一組4−4が形成されている。更に水晶球4−1の球面上に所定のガス分子(本従来例では水素)を選択的に吸着するガス吸着層(本従来例では厚さ20nmのPd)4−6が形成されている。
本デバイスが水素雰囲気にさらされると、ガス吸着層4−6へ水素分子の吸着が生じ、ガス吸着層4−6の質量が増加する。赤道上を周回するSAWの伝搬速度はその影響を受けて変化する。本従来例においては、SAWは複数回(回数が多いほと感度が向上する)赤道上を周回し、その間ガス吸着層4−6の質量変化を受け続けるのであるから、SAW行路長は実効的に著しく大きい。則ち、高感度を有するセンサ機能の実現が期待される。
ところが、ガスセンサの感度は周波数f0の三乗に比例するため、高感度を実現させるためには、長い行路長に加えて、高い周波数f0での動作が要求される。高い周波数f0を実現する手段としては櫛形形電極の微細化が不可欠であり、第1の従来例と同様に電極長を2μm程度まで微細化することが望ましい。しかしながら本従来例においては櫛形電極4−4の電極長は17.5μmと著しく長い。曲率を有する面である球面上へ櫛形電極が形成されるのであるから、原理的に微細な櫛形電極パターンの形成は著しく困難である。
更に、上述の通り、高精度なセンサ機能を実現するためには温度変化を補正するための参照用デバイスが不可欠であるが、本従来例においては、同一球面上に参照用のデバイスの作成が不可能である。代替手法としては、球面上に熱電対などの温度センサを形成し、測定された水晶球表面の温度と予め測定した温度補正係数から温度補正を行うという手法が考えられるが、参照用デバイスを用いて行う補正と比較して精度が低いという問題がある。
更に、同一水晶球上には1種類のガスを検出するセンサのみが形成可能であるので、SAWデバイスを複数個集積し種々のガスに対するセンサ機能を実現する場合、個々のデバイスを実装用基板にハイブリッド実装する事が必要となる。
則ち、第2の従来例においては、実効的に長いガス吸着層を実現できるという特徴があるものの、平坦な基板上にセンサを形成する場合と比較して、櫛形電極の微細化が困難、同一球面上に参照用デバイスの作成が不可能であるため高精度化が困難、集積化のためにはハイブリッド実装が必要、という問題点が存在する。
「第24回超音波エレクトロニクスの基礎と応用に関するシンポジウム(平成15年11月12日 東京)」予稿集pp.47−48.
このように、従来のガスセンサとしての機能を有するSAWデバイスにおいては、実効的に長いSAW行路長の実現、櫛形電極の微細化、参照用デバイスの形成、を同時に実現し得ないという問題点、及び、同一基板もしくは同一球面上でSAWデバイスの集積化が困難であるという問題点があった。
本発明はこの問題点を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、ガスセンサとしての高感度化、高精度化及び集積化を可能とする表面弾性波デバイスを提供することである。
本発明においては、上記課題を解決するために、請求項1に記載のように、
基板上に形成され、圧電性材料からなる伝搬層と、前記伝搬層中に表面弾性波を励振する櫛形電極と、前記伝搬層の表面弾性波を電気信号に変換する、前記櫛形電極とは必ずしも異ならない櫛形電極と、前記伝搬層の表面に形成され特定の気体分子を選択的に吸着するガス吸着層とを構成要素とする表面弾性波デバイスにおいて、
前記伝搬層における表面弾性波の伝搬速度が面内等方性を有し、前記伝搬層を伝搬する表面弾性波を特定の箇所で特定の方向に反射する反射手段が設けられていることを特徴とする表面弾性波デバイスを構成する。
基板上に形成され、圧電性材料からなる伝搬層と、前記伝搬層中に表面弾性波を励振する櫛形電極と、前記伝搬層の表面弾性波を電気信号に変換する、前記櫛形電極とは必ずしも異ならない櫛形電極と、前記伝搬層の表面に形成され特定の気体分子を選択的に吸着するガス吸着層とを構成要素とする表面弾性波デバイスにおいて、
前記伝搬層における表面弾性波の伝搬速度が面内等方性を有し、前記伝搬層を伝搬する表面弾性波を特定の箇所で特定の方向に反射する反射手段が設けられていることを特徴とする表面弾性波デバイスを構成する。
また、本発明においては、請求項2に記載のように、
前記伝搬層における表面弾性波の伝搬速度が前記基板中の音速よりも低く、前記反射手段が前記伝搬層のメサ端面であることを特徴とする請求項1に記載の表面弾性波デバイスを構成する。
前記伝搬層における表面弾性波の伝搬速度が前記基板中の音速よりも低く、前記反射手段が前記伝搬層のメサ端面であることを特徴とする請求項1に記載の表面弾性波デバイスを構成する。
また、本発明においては、請求項3に記載のように、
前記基板が(0001)サファイア基板もしくは(0001)SiC基板であり、前記伝搬層が、(0001)方向に配向する III 族元素の窒化物であるBxAlyGazInuN(ここに、0≦x、0≦y、0≦z、0≦u、x+y+z+u=1である)からなる結晶層または複数の前記結晶層の積層体であることを特徴とする、請求項1または2に記載の表面弾性波デバイスを構成する。
前記基板が(0001)サファイア基板もしくは(0001)SiC基板であり、前記伝搬層が、(0001)方向に配向する III 族元素の窒化物であるBxAlyGazInuN(ここに、0≦x、0≦y、0≦z、0≦u、x+y+z+u=1である)からなる結晶層または複数の前記結晶層の積層体であることを特徴とする、請求項1または2に記載の表面弾性波デバイスを構成する。
表面弾性波を反射する手段を設けることにより、表面弾性波の行路長を長くすることができ、ガスセンサとしての高感度化、高精度化及び集積化を可能とする表面弾性波デバイスを提供することができる。
次に、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
[実施の形態1]
図1は本発明に係る第1の実施の形態を示す説明図である。図中、(A)は平面図であり、(B)は(A)のa−a’断面図である。同図において、1−0はサファイア(0001)基板、1−2は、圧電性材料からなる伝搬層である、例えばMOCVD法もしくはMBE法により形成される(0001)方向に配向する高抵抗GaNからなる伝搬層、1−3は、例えば塩素系ガスによるドライエッチングにより伝搬層1−2を基板までエッチングすることにより形成されるメサ構造、1−4及び1−5は、それぞれ、所定の電極長(例えば2μm)、電極間隔(例えば2μm)、電極幅(例えば500μm)、対数(例えば40)を有する櫛形電極である。1−6は特定の気体分子を選択的に吸着するガス吸着層である。
図1は本発明に係る第1の実施の形態を示す説明図である。図中、(A)は平面図であり、(B)は(A)のa−a’断面図である。同図において、1−0はサファイア(0001)基板、1−2は、圧電性材料からなる伝搬層である、例えばMOCVD法もしくはMBE法により形成される(0001)方向に配向する高抵抗GaNからなる伝搬層、1−3は、例えば塩素系ガスによるドライエッチングにより伝搬層1−2を基板までエッチングすることにより形成されるメサ構造、1−4及び1−5は、それぞれ、所定の電極長(例えば2μm)、電極間隔(例えば2μm)、電極幅(例えば500μm)、対数(例えば40)を有する櫛形電極である。1−6は特定の気体分子を選択的に吸着するガス吸着層である。
本実施の形態のガスセンサとしての動作原理は上記第1の従来例と同様である。則ち、一方の櫛形電極(例えば1−4)に周波数f0(本実施の形態では589MHz)の電気信号を入力し、伝搬層1−2中にSAWを励振する。励振されたSAWは伝搬層1−2中を伝搬し、伝搬層1−2を伝搬する表面弾性波を特定の箇所で特定の方向に反射する反射手段であるメサ端面1−7によって全反射され、櫛形電極1−5方向へ伝搬する。櫛形電極1−5において、SAWは入力信号と同一周波数の電気信号に変換され出力される。SAWの行路である伝搬層1−2表面上にガス吸着層1−6が形成されており、所定の気体分子吸着時に、ガス吸着層1−6の質量変化によってSAWの伝搬遅延時間が変化する。則ち、ガスセンサとしての機能が実現する。なお、上記の使用状態においては、櫛形電極1−4が伝搬層中に表面弾性波を励振する櫛形電極であり、櫛形電極1−5が伝搬層の表面弾性波を電気信号に変換する櫛形電極である。
本実施の形態においては、伝搬層1−2はSAWの伝搬速度が面内等方性を有する圧電性材料である(0001)GaNから形成されているのであるから、メサ端面1−7による反射後もSAWの波面は崩れることなく他方の櫛形電極1−5に到達する。
本実施の形態においては、f0から求まるSAWの伝搬速度は4720m/sである。(0001)サファイア基板1−0中の音速は5550m/sであり、その値はSAWの伝搬速度よりも大きい。従って、サファイア基板1−0はSAWを伝搬層1−2中に閉じこめる作用を有し、メサ構造の外部へのSAWの漏洩は抑制される。従って、多数のセンサを同一基板上に形成し、複数種のガス分子に対してのセンサ機能を1チップで実現する場合においても、各センサ内で励振されたSAWは各センサ内部に閉じこめられるので、センサ間での混信、それによる誤動作の可能性は著しく低く、従って高精度なセンサ機能が実現する。
本実施の形態においては、1つの特定の箇所にあるメサ端面1−7でSAWが反射される場合について説明しているが、それを拡張し、所定の個数のメサ端面を適宜配置した構成とすることにより、SAWの行路が折り返され、任意のデバイス形状が実現する。その結果、チップサイズ或いはウェハ直径とは無関係に所望のSAW行路長を有するガスセンサが実現する。
本実施の形態においては、第1の従来例と同様に、平面基板上にSAWデバイスが作成されるのであるから、所望の精度による櫛形電極の微細化が可能である。更に、ガス吸着層を形成することなく同一形状のデバイスを作成することにより参照用デバイスが実現する。
[実施の形態2]
図2は本発明に係る第2の実施の形態を示す説明図である。図中、(A)は平面図であり、(B)は(A)のa−a’断面図である。同図において、2−0はサファイア(0001)基板、2−2は、圧電性材料からなる伝搬層である、例えばMOCVD法もしくはMBE法により形成される(0001)方向に配向する高抵抗GaNからなる伝搬層、2−3は、例えば塩素系ガスによるドライエッチングにより伝搬層2−2を基板までエッチングすることにより形成されるメサ構造、2−4は所定の電極長(例えば2μm)、電極間隔(例えば2μm)、電極幅(例えば500μm)、対数5(例えば40)を有する櫛形電極、2−6は特定の気体分子を選択的に吸着するガス吸着層、2−7、2−8、2−9、2−10はSAWを所定の方向へ全反射するメサ端面である。メサ端面2−7、2−8、2−9、2−10は、伝搬層2−2を伝搬する表面弾性波を特定の箇所で特定の方向に反射する反射手段を構成している。
図2は本発明に係る第2の実施の形態を示す説明図である。図中、(A)は平面図であり、(B)は(A)のa−a’断面図である。同図において、2−0はサファイア(0001)基板、2−2は、圧電性材料からなる伝搬層である、例えばMOCVD法もしくはMBE法により形成される(0001)方向に配向する高抵抗GaNからなる伝搬層、2−3は、例えば塩素系ガスによるドライエッチングにより伝搬層2−2を基板までエッチングすることにより形成されるメサ構造、2−4は所定の電極長(例えば2μm)、電極間隔(例えば2μm)、電極幅(例えば500μm)、対数5(例えば40)を有する櫛形電極、2−6は特定の気体分子を選択的に吸着するガス吸着層、2−7、2−8、2−9、2−10はSAWを所定の方向へ全反射するメサ端面である。メサ端面2−7、2−8、2−9、2−10は、伝搬層2−2を伝搬する表面弾性波を特定の箇所で特定の方向に反射する反射手段を構成している。
本実施の形態においては、櫛形電極2−4において励振されたSAWは伝搬層2−2中を伝搬する過程で4箇所のメサ端面2−7、2−8、2−9、2−10において全反射された後、再び櫛形電極2−4に到達する。第1の実施の形態と同様に伝搬層2−2はSAWの伝搬速度が面内等方性を有する圧電性材料である(0001)GaNから形成されているのであるから、各メサ端面による反射後もSAWの波面は崩れることはない。従って、本実施の形態においては、SAWはループ状の行路を複数回周回し、著しく長い行路長が実現する。則ち、高感度を有するガスセンサとしての機能が実現する。なお、櫛形電極2−4は、伝搬層中に表面弾性波を励振する櫛形電極であるとともに、伝搬層の表面弾性波を電気信号に変換する櫛形電極でもある。
なお、本実施の形態におけるメサ構造は例えば差し渡しで数mm程度の大きさを有するが、センサの設置条件などにより任意の形状とする事が可能である。
本実施の形態においても、櫛形電極及びSAW行路がメサ構造上に形成されており、かつ、サファイア基板はSAWを伝搬層中に閉じこめる作用を有するので、SAWのデバイス外部への漏洩は生じ得ない。従って、多数のセンサを同一基板上に形成し、複数種のガス分子に対してのセンサ機能を1チップで実現する場合においても、センサ間での混信、それによる誤動作の可能性は著しく低く、従って高精度なセンサ機能が実現する。
本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、所定の箇所にメサ端面を適宜配置することにより、任意のデバイス形状が実現する。更に、平面基板上にSAWデバイスが作成されるのであるから、所望の精度による櫛形電極の微細化が可能である。更に、ガス吸着層を形成せずに同一形状のデバイスを作成することにより参照用デバイスが実現する。
以上、(0001)サファイア基板上にMOCVD法もしくはMBE法により形成される(0001)高抵抗GaNからなる伝搬層について、本発明の実施の形態に関する説明を行ったが、他の材料・手法・構造によっても本発明の効果を実現できる。基板としては、高いSAW伝搬速度(6830m/s)を有するSiC基板を用いることが可能である。また、伝搬層としては、例えば、GaNではなく、AlN、InN、或いはAlGaN等これらの混晶、或いはこれらの積層構造により形成することが可能である。則ち、伝搬層として、(0001)方向に配向する III 族元素の窒化物であるBxAlyGazInuN(ここに、0≦x、0≦y、0≦z、0≦u、x+y+z+u=1である)からなる結晶層または複数の前記結晶層の積層体を用いる事ができる。例えば、スパッタ法により(0001)方向に配向するAlNからなる伝搬層を形成することが可能である。伝搬層形成がスパッタ法による場合は、基板上に予め所定の櫛形電極を形成し、それらを覆うように伝搬層を形成するという手法が可能である。
また、サファイア、SiC、Si等の基板上にAlGaN/GaNからなるヘテロ構造を作成し、それを加工することにより電界効果トランジスタが実現することは既知の事実である。本発明によるSAWデバイスをそれらトランジスタと同一基板上で集積すれば、高度なセンサ機能が実現することは明らかである。
1−0…基板、1−2…伝搬層、1−3…メサ構造、1−4、1−5…櫛形電極、1−6…ガス吸着層、1−7…メサ端面、2−0…基板、2−2…伝搬層、2−3…メサ構造、2−4…櫛形電極、2−6…ガス吸着層、2−7、2−8、2−9、2−10…メサ端面、3−0…基板、3−4、3−5…櫛形電極、3−6…ガス吸着層、4−1…水晶球、4−4…櫛形電極、4−6…ガス吸着層。
Claims (3)
- 基板上に形成され、圧電性材料からなる伝搬層と、前記伝搬層中に表面弾性波を励振する櫛形電極と、前記伝搬層の表面弾性波を電気信号に変換する、前記櫛形電極とは必ずしも異ならない櫛形電極と、前記伝搬層の表面に形成され特定の気体分子を選択的に吸着するガス吸着層とを構成要素とする表面弾性波デバイスにおいて、
前記伝搬層における表面弾性波の伝搬速度が面内等方性を有し、前記伝搬層を伝搬する表面弾性波を特定の箇所で特定の方向に反射する反射手段が設けられていることを特徴とする表面弾性波デバイス。 - 前記伝搬層における表面弾性波の伝搬速度が前記基板中の音速よりも低く、前記反射手段が前記伝搬層のメサ端面であることを特徴とする請求項1に記載の表面弾性波デバイス。
- 前記基板が(0001)サファイア基板もしくは(0001)SiC基板であり、前記伝搬層が、(0001)方向に配向する III 族元素の窒化物であるBxAlyGazInuN(ここに、0≦x、0≦y、0≦z、0≦u、x+y+z+u=1である)からなる結晶層または複数の前記結晶層の積層体であることを特徴とする、請求項1または2に記載の表面弾性波デバイス。
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