JP2005265064A - ベルト式無段変速機の油圧制御装置 - Google Patents

ベルト式無段変速機の油圧制御装置 Download PDF

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Takafumi Nozawa
啓文 野澤
Takatsugu Ibaraki
隆次 茨木
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Abstract

【課題】 ベルト挟圧力が急激に変動することを抑制し、ベルトの耐久性の低下やショックの発生を低減することができるベルト式無段変速機の油圧制御装置を提供する。
【解決手段】 可動シーブに作用するベルト挟圧力を発生させるプーリ油圧室が少なくとも第1油圧室PCIと第2油圧室PCOとに2分割されたベルト式無段変速機の油圧制御装置において、第2油圧室PCOから作動油をドレーンさせる際は、第1油圧室PCIの油圧が徐々に増大され、また、第2油圧室PCOの作動油がドレーンされた状態から作動油が供給される際は、第1油圧室PCIの油圧が徐々に減少されるように構成されている。
【選択図】 図4

Description

本発明は、ベルト式無段変速機の油圧制御装置に関し、特に、2つの可変プーリの間でベルトにより動力伝達を行うとともに、ベルトの巻き掛け半径を変更することにより、その変速比を制御する構成の車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置に関する。
一般に、車両の走行状態に応じた最適の条件でエンジンを運転することを目的として、エンジンの出力側に有段や無段の変速機が設けられている。このような、無段変速機の一例として、ベルト式無段変速機が挙げられる。このベルト式無段変速機は、平行に配置された2つの回転部材と、各回転部材に別々に取り付けられたプライマリプーリおよびセカンダリプーリとを有している。このプライマリプーリおよびセカンダリプーリは、共に、固定シーブと可動シーブとを組み合わせて構成されており、固定シーブと可動シーブとの間にV字形状の溝が形成されている。
さらに、プライマリプーリの溝およびセカンダリプーリの溝にベルトが巻き掛けられており、可動シーブに軸線方向の挟圧力を発生させる油圧室が別個に設けられている。そして、各油圧室の油圧を別個に制御することにより、プライマリプーリの溝幅が制御されてベルトの巻き掛け半径が変化し、その変速比が変更される一方、セカンダリプーリの溝幅が変化してベルトの張力が制御される。
ところで、上記のようなベルト式無段変速機においては、油圧室が回転部材の外周側に設けられているために、遠心力により生じる油圧、いわゆる遠心油圧が油圧室に作用して、油圧室の油圧が、制御目標である油圧よりも高圧になる可能性がある。その結果、ベルトの挟圧力が増大し、ベルト伝達効率の悪化、ベルト耐久性への悪影響が知られている。このような遠心油圧による不都合を解消するための対策としてのベルト式無段変速機の一例が特許文献1に記載されている。
この特許文献1に記載されているベルト式無段変速機においては、セカンダリシャフトに設けられたセカンダリプーリが、セカンダリシャフトに一体的に形成された固定シーブと、セカンダリシャフトに軸線方向に移動可能に取り付けられた可動シーブとを有し、そして、この可動シーブを軸線方向に押圧するためのプーリ油圧室が径を異ならせた第1の油圧室と第2の油圧室とに分割されて形成されている。
特開2000−161454号公報
ところで、上記特許文献1に記載されたようなプーリ油圧室が第1の油圧室と第2の油圧室とに分割されて形成されたベルト式無段変速機においては、第1の油圧室と第2の油圧室との油圧を切替え制御することにより、遠心油圧の影響を緩和することが可能である。しかしながら、二つの油圧室の一方から作動油をドレーンしたり、一方の油圧室から作動油がドレーンされた状態からその油圧室に作動油を供給する場合に、単に油圧を切替え制御すると、ベルト挟圧力が急激に変動し、ベルトの耐久性が低下したりショックが生ずるという問題があった。
本発明は上記の事情を背景としてなされたものであり、ベルト挟圧力が急激に変動することを抑制し、ベルトの耐久性の低下やショックの発生を低減することができるベルト式無段変速機の油圧制御装置を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明の一形態によるベルト式無段変速機の油圧制御装置は、可動シーブに作用するベルト挟圧力を発生させるプーリ油圧室が少なくとも第1油圧室と第2油圧室とに2分割されたベルト式無段変速機の油圧制御装置において、前記第1油圧室および第2油圧室のいずれか一方から作動油をドレーンさせる際は、前記第1油圧室および第2油圧室のいずれか他方の油圧が増大されるように構成されていることを特徴とする。
また、本発明の他の形態によるベルト式無段変速機の油圧制御装置は、可動シーブに作用するベルト挟圧力を発生させるプーリ油圧室が少なくとも第1油圧室と第2油圧室とに2分割されたベルト式無段変速機の油圧制御装置において、前記第1油圧室および第2油圧室のいずれか一方の作動油がドレーンされた状態から作動油が供給される際は、前記第1油圧室および第2油圧室のいずれか他方の油圧が減少されるように構成されていることを特徴とする。
ここで、前記可動シーブは、セカンダリ側の可動シーブであり、前記第1油圧室および第2油圧室は外径側および内径側にそれぞれ独立して形成された油圧室であることが好ましい。
また、前記第1油圧室および第2油圧室のいずれか一方からの作動油のドレーンは、前記可動シーブの移動に対応させて、油圧室を形成している構成部材にそれぞれ形成された油路が連通されることにより行われるように構成されていてもよい。
さらに、前記第1油圧室および第2油圧室のいずれか他方の油圧の増大または減少は徐々に行なわれるのが好ましい。
本発明の一形態によれば、第1油圧室および第2油圧室のいずれか一方から作動油をドレーンさせる際は、第1油圧室および第2油圧室のいずれか他方の油圧が増大されるので、全体として所望のベルト挟圧力が得られ、ベルト挟圧力が急激に変動することが抑制される。
また、本発明の他の形態によれば、第1油圧室および第2油圧室のいずれか一方の作動油がドレーンされた状態から作動油が供給される際は、第1油圧室および第2油圧室のいずれか他方の油圧が減少されるので、同じく、全体として所望のベルト挟圧力が得られ、ベルト挟圧力が急激に変動することが抑制される。
なお、可動シーブが、セカンダリ側の可動シーブであり、前記第1油圧室および第2油圧室が外径側および内径側にそれぞれ独立して形成された油圧室である形態にすれば、回転数がプライマリ側に対して高い為、遠心力の影響を受け易いのはセカンダリ側であるので、遠心油圧の影響の低減効果がより大きい。
さらに、前記第1油圧室および第2油圧室のいずれか一方からの作動油のドレーンが、前記可動シーブの移動に対応させて、油圧室を形成している構成部材にそれぞれ形成された油路が連通されることにより行われる形態によれば、遠心油圧を発生させる恐れのある残留作動油を簡単な構成でドレーンさせることができる。
また、前記第1油圧室および第2油圧室のいずれか他方の油圧の増大または減少が徐々に行なわれる形態によれば、ベルト挟圧力が急激に変動することがさらに抑制される。
ここで、本発明の実施の形態を図面を参照しながら具体的に説明する。
(1)トランスアクスルの構成
図1は、本発明のベルト式無段変速機をFF車(エンジン前置き前輪駆動車)に適用した場合のトランスアクスルのスケルトン図である。図1において、1は車両の駆動力源としてのエンジンであり、その種類は特に限定されないが、以下の説明においては、エンジン1として便宜上、ガソリンエンジンを用いた場合について説明する。エンジン1の出力側には、トランスアクスル3が設けられ、このトランスアクスル3は、エンジン1の後端側に取り付けられたトランスアクスルハウジング4と、エンジン1とは反対側の開口端に取り付けられたトランスアクスルケース5と、トランスアクスルハウジング4とは反対側の開口端に取り付けられたトランスアクスルリヤカバー6とを順に有している。トランスアクスルハウジング4の内部には、トルクコンバータ7が設けられており、トランスアクスルケース5およびトランスアクスルリヤカバー6の内部には、前後進切換え機構8およびベルト式無段変速機(CVT)9並びに最終減速機10が設けられている。
トランスアクスルハウジング4の内部には、クランクシャフト2と同軸のインプットシャフト11が設けられており、インプットシャフト11におけるエンジン1側の端部にはタービンランナ13が取り付けられている。一方、クランクシャフト2の後端にはドライブプレート14を介してフロントカバー15が連結されており、フロントカバー15にはポンプインペラ16が連結されている。このタービンランナ13とポンプインペラ16とは対向して配置され、タービンランナ13およびポンプインペラ16の内側にはステータ17が設けられている。前記トルクコンバータ7と前後進切換え機構8との間には、オイルポンプ20が設けられている。
前後進切換え機構8は、インプットシャフト11とベルト式無段変速機9との間の動力伝達経路に設けられている。前後進切換え機構8はダブルピニオン形式の遊星歯車機構24を有している。この遊星歯車機構24は、インプットシャフト11に設けられたサンギヤ25と、このサンギヤ25の外周側に、サンギヤ25と同心状に配置されたリングギヤ26と、サンギヤ25に噛み合わされたピニオンギヤ27と、このピニオンギヤ27およびリングギヤ26に噛み合わされたピニオンギヤ28と、ピニオンギヤ27,28を自転可能に保持し、かつ、ピニオンギヤ27,28を、サンギヤ25の周囲で一体的に公転可能な状態で保持したキャリヤ29とを有している。そして、このキャリヤ29と、ベルト式無段変速機9の後述するプライマリシャフト30とが連結されている。また、キャリヤ29とインプットシャフト11との間の動力伝達経路を接続・遮断するフォワードクラッチCLおよびリングギヤ26の回転・固定を制御するリバースブレーキBRがそれぞれ設けられている。
ベルト式無段変速機9は、インプットシャフト11と同心状に配置されたプライマリシャフト(駆動側シャフト)30と、プライマリシャフト30に平行に配置されたセカンダリシャフト(従動側シャフト)31とを有している。プライマリシャフト30は、軸受32,33により、また、セカンダリシャフト31は軸受34,35により、それぞれ、回転自在に保持されている。
プライマリシャフト30側にはプライマリプーリ36が設けられており、セカンダリシャフト31側にはセカンダリプーリ37が設けられている。プライマリプーリ36は、プライマリシャフト30に一体的に形成された固定シーブ38と、プライマリシャフト30の軸線方向に移動可能に構成された可動シーブ39とを有している。そして、固定シーブ38と可動シーブ39との対向面間にV字形状の溝40が形成されている。
また、この可動シーブ39をプライマリシャフト30の軸線方向に動作させることにより、可動シーブ39と固定シーブ38とを接近・離隔させる油圧アクチュエータ41が設けられている。一方、セカンダリプーリ37も、同様に、セカンダリシャフト31に一体的に形成された固定シーブ42と、セカンダリシャフト31の軸線方向に移動可能に構成された可動シーブ43とを有し、固定シーブ42と可動シーブ43との対向面間にV字形状の溝44が形成されている。さらに、この可動シーブ43をセカンダリシャフト31の軸線方向に動作させることにより、可動シーブ43と固定シーブ42とを接近・離隔させる油圧アクチュエータ45が設けられている。
そして、プライマリプーリ36の溝40およびセカンダリプーリ37の溝44に対して、ベルト46が巻き掛けられている。ベルト46は、多数の金属製の駒および複数本のスチールリングを有して構成されている。なお、セカンダリシャフト31には、カウンタドリブンギヤ47が固定されており、軸受48,49により保持されている。さらに、上述の軸受35はトランスアクスルリヤカバー6側に設けられており、この軸受35とセカンダリプーリ37との間には、パーキングギヤ31Aが設けられている。
さらに、ベルト式無段変速機9のカウンタドリブンギヤ47と最終減速機10との間の動力伝達経路には、セカンダリシャフト31に平行なインターミディエイトシャフト50が軸受51,52により支持されて設けられている。インターミディエイトシャフト50には、カウンタドライブギヤ47に噛み合うカウンタドリブンギヤ53と、ファイナルドライブギヤ54とが設けられている。
一方、最終減速機10は、軸受56,57により回転自在に保持された中空のデフケース55を有し、デフケース55の外周にはファイナルドライブギヤ54と噛み合うリングギヤ58が設けられている。そして、デフケース55の内部には2つのピニオンギヤ60が取り付けられたピニオンシャフト59が配置されている。このピニオンギヤ60には2つのサイドギヤ61が噛み合わされ、それぞれ、左右のドライブシャフト62を介して車輪63に連通されている。
ここで、上述したベルト式無段変速機9の第一の実施形態につき、図2を参照しつつ詳細に説明する。図2(A)および(B)は、それぞれ、プライマリプーリ36およびセカンダリプーリ37付近の拡大断面図である。
(2)プライマリプーリ36の構成
プライマリプーリ36は、プライマリシャフト30の外周において、トランスアクスルリヤカバー6に取り付けられた軸受33と、トランスアクスルケース5側に取り付けられた軸受32との間に配置されている。また、プライマリシャフト30は軸線A1を中心として回転可能であり、プライマリシャフト30の内部には軸線方向に2つの油路107,108が形成されている。この油路107,108は後述する油圧制御装置の油圧回路200に連通されている。さらに、プライマリシャフト30には、その外周面に向け半径方向に伸ばされ、かつ、油路107に連通された油路109,110が設けられている。油路109と油路110とは、軸線方向の異なる位置に設けられている。具体的には、油路109の方が油路110よりも軸受33に近い位置に配置されている。さらに、プライマリシャフト30の外周面に向け半径方向に伸ばされ、かつ、油路108に連通された油路111が設けられている。この油路111は、可動シーブ39と固定シーブ38との間に開口され、ベルト46を潤滑するオイルを供給するためのものである。
一方、プライマリシャフト30の外周における油路109の開口部分と軸受33との間には、軸受33と対面するように段部112が構成されている。可動シーブ39は、プライマリシャフト30の外周面に沿ってスライドする内筒部39Aと、内筒部39Aの固定シーブ38側の端部から外周側に向けて連続された半径方向部39Bと、半径方向部39Bの外周端に連続され、かつ、軸受33側に向けて軸線方向に伸ばされた外筒部39Cとを有している。そして、内筒部39Aには、その内周面から外周面に亘って貫通する油路116が形成されている。この油路116と油路110とはプライマリシャフト30の外周面に形成された環状切欠115を介して連通されている。
また、可動シーブ39と軸受33との間には隔壁117が配置されている。この隔壁117は、隔壁117の内周側を構成する半径方向部117Aと、半径方向部117Aの外周端に連続され、かつ、可動シーブ39の半径方向部39B側に向けて伸ばされた円筒部117Bと、この円筒部117Bにおける可動シーブ39の半径方向部39B側の端部に連続され、かつ、外側に向けて伸ばされた半径方向部117Cとを備えている。そして、隔壁117の半径方向部117Aは、段部112と軸受33との間に配置されている。なお、隔壁117の半径方向部117Cの外周端には樹脂製のシールリング117Dが取り付けられており、シールリング117Dと可動シーブ39の外筒部39Cの内周面とが軸線方向に相対移動可能な状態で接触し、その接触部分にシール面が形成される。上記のようにして、可動シーブ39と隔壁117とにより取り囲まれた空間に第1の油圧室PC1が形成されている。この第1の油圧室PC1と油路116とが連通されている。
また、可動シーブ39の内筒部39Aの内周面には軸線方向の溝123が形成され、プライマリシャフト30の外周面には軸線方向の溝124が形成されている。溝123,124は、円周方向に所定間隔をおいて複数形成されている。そして、各溝123と各溝124とが円周方向で同一の位相となるように、プライマリシャフト30と可動シーブ39とが位置決めされ、溝123および溝124の両方に跨る複数のボール125が配置されている。上記溝123,124およびボール125により、プライマリシャフト30と可動シーブ39とは軸線方向に滑らかに相対移動可能であるが、プライマリシャフト30と可動シーブ39とが円周方向には相対移動が不可能な状態とされている。
さらに、プライマリシャフト30の外周には、環状のシリンダ部材126が取り付けられている。シリンダ部材126は、半径方向部126Aと、半径方向部126Aの外周側に連続され、かつ、固定シーブ38側に向けて軸線方向に伸ばされた円筒部126Bとを有している。円筒部126Bの内径は、可動シーブ39の外筒部39Cの外径よりも大きく設定されている。
上記構成のシリンダ部材126の半径方向部126Aの内周部が、軸受33と隔壁117の半径方向部117Aとの間に配置されている。さらに、プライマリシャフト30の外周にはナット130が締め付け固定されており、このナット130と段部112とにより、軸受33およびシリンダ部材126ならびに隔壁117が、プライマリシャフト30の軸線方向に挟持され、かつ、軸線方向に位置決め固定されている。
また、隔壁117の円筒部117Bと、シリンダ部材126の円筒部126Bとの間であり、かつ、シリンダ部材126の半径方向部126Aと、可動シーブ39の外筒部39Cとの間には、ピストン131が設けられている。このピストン131は略円板形状に構成されており、ピストン131の内周には、ゴム状弾性材製のOリング131Aが取り付けられ、ピストン131の外周には、樹脂製のシールリング131Bが取り付けられている。そして、ピストン131は、隔壁117およびシリンダ部材126に対し軸線方向に移動可能に構成されており、Oリング131Aが隔壁117の円筒部117Bの外周面に接触してシール面が形成され、シールリング131Bがシリンダ部材126の円筒部126Bの内周面に接触してシール面が形成されている。さらに、ピストン131の内周端は、軸受33側に向けて軸線方向に伸ばされた円筒形状のスリーブ131Cが形成されている。
このようにして、シリンダ部材126および隔壁117ならびにピストン131により取り囲まれた環状の空間に、第2の油圧室PC2が形成されている。また、前記隔壁117の半径方向部117Aと円筒部117Bとの境界部分には、隔壁117を厚さ方向に貫通する油路135が形成されており、第1の油圧室PC1と第2の油圧室PC2とが油路135により連通されている。また、隔壁117とピストン131と可動シーブ39の外筒部39Cとにより取り囲まれた空間には空気室136が形成され、空気室136とシリンダ部材126の外部とを連通する通気路137が設けられている。
(3)セカンダリプーリ37の一構成例
図2(B)は、前記セカンダリシャフト31付近の具体的な構成を示す断面図である。セカンダリプーリ37は、セカンダリシャフト31の外周における軸受34と軸受35との間に配置されている。また、セカンダリシャフト31は軸線B1を中心として回転可能であり、セカンダリシャフト31の内部には軸線方向に2つの油路178,179が形成されている。この油路178,179は後述する油圧制御装置の油圧回路200に連通されている。さらに、セカンダリシャフト31の外周面に向け半径方向に伸ばされ、かつ、油路178に連通された油路180が設けられている。さらに、セカンダリシャフト31の外周面に向け半径方向に伸ばされ、かつ、油路179に連通された油路181が設けられている。さらにまた、セカンダリシャフト31の外周における油路181の開口部分と軸受34との間には、段部31Bが形成されている。
前記セカンダリプーリ37の可動シーブ43は、厚肉の筒部182と、該筒部182の外周における固定シーブ42側の端部に連続された半径方向部183とを備えている。また、段部31Bと軸受34との間には環状のシリンダ部材190が設けられている。このシリンダ部材190は、第1半径方向部190Aと、第1半径方向部190Aの外周端から可動シーブ43の半径方向部183側に向けて伸ばされた第1円筒部190Bと、第1円筒部190Bにおける端部から外側に向けて湾曲しつつ伸ばされた第2半径方向部190Cと、この第2半径方向部190Cの外周側に連続され、かつ、可動シーブ43の半径方向部183に向けて突出する方向に伸ばされた第2円筒部190Dとを有している。
また、可動シーブ43の筒部182の内周面には軸線方向の溝182Bが形成され、セカンダリシャフト31の外周面には軸線方向の溝31Cが形成されている。溝182Bおよび溝31Cは、円周方向に所定間隔をおいて複数形成されている。そして、プライマリシャフト30の場合と同様に、各溝182Bと各溝31Cとが円周方向で同一の位相となるように、セカンダリシャフト31と可動シーブ43とが位置決めされ、両溝の両方に跨る複数のボール(不図示)が配置されている。上記溝およびボールにより、セカンダリシャフト31と可動シーブ43とは軸線方向に滑らかに相対移動可能であるが、円周方向には相対移動が不可能な状態とされている。
一方、可動シーブ43には、環状部材195が設けられている。環状部材195は、可動シーブ43の半径方向部183に固定された半径方向部195Aとその外周端からシリンダ部材190側に向けて伸ばされた円筒部195Bとを有している。ここで、円筒部195Bには樹脂製のシールリング195Cが取り付けられており、上述のシリンダ部材190の第2円筒部190Dの内周面と軸線方向に相対移動可能な状態で接触し、その接触部分にシール面が形成される。
そして、可動シーブ43の筒部182の外周面とシリンダ部材190の第1円筒部190Bの内周面とは相対移動可能に嵌合され、筒部182の端面とシリンダ部材190とセカンダリシャフト31の外周面とにより取り囲まれた空間に第1油圧室としての内径側の油圧室PCIが形成されている。この内径側の油圧室PCIは油路181に連通されている。
一方、可動シーブ43の筒部182の外周面と環状部材195とシリンダ部材190とにより取り囲まれた空間には、第2油圧室としての外径側の油圧室PCOが形成されている。そして、この外径側の油圧室PCOは、可動シーブ43の筒部182に半径方向に形成された油路182Aに連通されている。なお、油路182Aは、後述するように、油路180と可動シーブ43の所定の位置で連通される。
さらに、環状部材195の円筒部195Bにおける外周面には、所定の幅の環状溝195Dが形成され、同時に、円筒部195Bには、上記シールリング195Cとの間で該環状溝195Dに隣接して半径方向にドレーン孔195Eが形成されている。また、シリンダ部材190の第2円筒部190Dには、同じく半径方向にドレーン孔190Eが形成されている。かかるドレーン孔190E、195Eは、後述するように、可動シーブ43が溝幅大に移動されたとき、換言すると、内径側の油圧室PCIの容量が小さいときに環状溝195Dを介して連通する位置とされている。
なお、セカンダリシャフト31の外周にはナット184が締め付け固定されており、このナット184と段部31Bとにより、軸受34およびシリンダ部材190が、セカンダリシャフト31の軸線方向に挟持され、位置決め固定されている。従って、段部31Bに近接している油路181の開口部分が、常に、内径側の油圧室PCIに連通することが保証されている。
(4)油圧回路の構成
次に、上述のベルト式無段変速機9における油圧制御装置の油圧回路200について、図3を参照しつつ説明する。
本実施の形態においては、オイルタンクないしはオイルパンから吸引されオイルポンプ20から吐出された作動油は、油路202に供給される。油路202に供給された作動油は、油路202から分岐された油路204に設けられ、デューティソレノイド206によりデューティ制御される調圧バルブ208により調圧され、ライン圧PLを有して油路210に供給される。ライン圧PLを有する作動油は、油路210から分岐された油路212に設けられたプライマリ側減圧バルブ214により制御油圧Pdrとされ、第1の油圧室PC1および第2の油圧室PC2を含むプライマリ側の油圧アクチュエータ41に供給される。なお、このプライマリ側減圧バルブ214は、デューティソレノイド216によりデューティ制御され、ライン圧PLを制御油圧Pdrに減圧制御する。
さらに、ライン圧PLを有する作動油は、油路210に設けられたセカンダリ側第1減圧バルブ220により制御されて制御油圧Pdnとされ、セカンダリ側の油圧アクチュエータ45に供給される。なお、このセカンダリ側第1減圧バルブ220は、デューティソレノイド222によりデューティ制御され、ライン圧PLを制御油圧Pdnに減圧制御する。制御油圧Pdnに減圧制御された作動油は、本実施の形態では、セカンダリ側第1減圧バルブ220より下流の油路210に設けられたセカンダリ側第2減圧バルブ224を介して、上述のセカンダリ側油圧アクチュエータ45の外径側油圧室PCOに供給される。一方、セカンダリ側第1減圧バルブ220の下流でセカンダリ側第2減圧バルブ224の上流において、油路210から上述の制御油圧Pdnに減圧制御された作動油は分岐された油路228を介して、同じくセカンダリ側油圧アクチュエータ45の内径側油圧室PCIに供給される。なお、セカンダリ側第2減圧バルブ224はリニアソレノイドバルブ226により駆動用の元圧がリニアに制御され、外径側油圧室PCOに供給される油圧を制御する。
ここで、230は元圧形成用の減圧バルブであり、ライン圧PLを有する油路210から分岐された油路232に設けられ、上述したデューティソレノイド206、216および222並びにリニアソレノイドバルブ226に供給される上述の元圧(一定)Psol(例えば、0.5MPa)を形成する。
なお、240は車両全体を制御するコントローラであり、演算処理装置(CPUまたはMPU)および記憶装置(RAMおよびROM)ならびに入出力インターフェースを主体とするマイクロコンピュータにより構成されている。
このコントローラ240に対しては、エンジン1の運転状態を表す種々のパラメータ、例えば、エンジン回転速度、アクセル開度、スロットル開度センサの信号や、トランスアクスル3の状態を表す種々のパラメータ、例えば、トルクコンバータ7のトルク比やインプットシャフト30の回転速度Ninおよびアウトプットシャフト31の回転速度Nout等、さらには車速V等の情報が各種センサや演算結果の信号として入力され、予め実験等により求められているマップ等に基づいて、所要の変速比γ(=Nin/Nout)やベルト挟圧力を得るべく、上述のデューティソレノイド206、216および222並びにリニアソレノイドバルブ226が制御され、上述の制御油圧Pdrおよび制御油圧Pdnが形成される。
さらに、コントローラ240には、各種の信号に基づいてエンジン1およびロックアップクラッチ19ならびにベルト式無段変速機9の変速制御を行うためのデータも記憶されている。例えば、アクセル開度および車速などのような走行状態に基づいて、ベルト式無段変速機9の変速比を制御することにより、エンジン1の最適な運転状態を選択するためのデータや、アクセル開度および車速をパラメータとするロックアップクラッチ制御マップがコントローラ240に記憶されており、このロックアップクラッチ制御マップに基づいてロックアップクラッチ19が係合・解放・スリップの各状態に制御される。そして、コントローラ240に入力される各種の信号や、コントローラ240に記憶されているデータに基づいて、コントローラ240から、燃料噴射制御装置、点火時期制御装置、油圧制御装置に対して制御信号が出力される。
(5)制御・動作
ベルト式無段変速機9は、コントローラ240に記憶されているデータ(例えば、エンジン回転数Neおよびスロットル開度をパラメータとする最適燃費曲線)や車速Vおよびアクセル開度Θなどの条件から判断される車両の加速要求等に基づいて、エンジン1の運転状態が最適状態になるように、その変速比および挟圧力が制御される。具体的には、油圧アクチュエータ41の油圧室の油圧を制御することにより、プライマリプーリ36の溝40の幅が調整される。その結果、プライマリプーリ36におけるベルト46の巻き掛け半径が変化し、ベルト式無段変速機9の入力回転数と出力回転数との比、すなわち変速比が無段階(連続的)に制御される。
さらに、油圧アクチュエータ45の外径側油圧室PCOおよび内径側油圧室PCIの油圧を制御することにより、セカンダリプーリ37の溝44の幅が変化する。つまり、ベルト46に対するセカンダリプーリ37の軸線方向の挟圧力(言い換えれば推力)が制御される。この挟圧力によりベルト46の張力が制御され、プライマリプーリ36およびセカンダリプーリ37とベルト46との接触面圧が制御される。前記外径側油圧室PCOおよび内径側油圧室PCIの油圧は、ベルト式無段変速機9に入力されるトルク、およびベルト式無段変速機9の変速比などに基づいて制御される。ベルト式無段変速機9に入力されるトルクは、エンジン回転数、スロットル開度、トルクコンバータ7のトルク比などに基づいて判断される。
ここで、ベルト式無段変速機9のプライマリプーリ36および油圧アクチュエータ41について、その制御および動作を具体的に説明する。第1の油圧室PC1および第2の油圧室PC2の油圧が、油路116,110を介して排出されている場合は、ベルト46に与えられている張力により、可動シーブ39およびピストン131が軸受33側に押圧されている。この状態が図2(A)の軸線A1よりも上側に示されている。なお、この状態では、油路109の外周側開口部に可動シーブ39が位置しているため、油路109と第2の油圧室PC2とが遮断されている。
上記の状態から、前述の油圧回路200の油路212から、油路110を介して第1の油圧室PC1および第2の油圧室PC2に制御油圧Pdrが供給されて、第1の油圧室PC1および第2の油圧室PC2の油圧が上昇すると、第1の油圧室PC1の油圧が可動シーブ39に直接伝達され、かつ、第2の油圧室PC2の油圧がピストン131を介して可動シーブ39に伝達され、可動シーブ39が固定シーブ38側に向けて軸線方向に押圧される。そして、可動シーブ39の移動により油路109が開放されると、油路109を介して油圧が第1の油圧室PC1および第2の油圧室PC2に供給される。このようにして、プライマリプーリ36の溝40の幅が狭められる。
そして、ベルト46に与えられている張力と、第1の油圧室PC1および第2の油圧室PC2の油圧に基づく押圧力とに基づいて、溝40の幅が制御される。図2(A)の軸線A1よりも下側に示す状態は、溝40の幅が最も狭められた状態に相当する。なお、ピストン131が固定シーブ38側に向けて移動する際には、空気室136の空気が通気路137を介して空気室136の外部に排出される一方、ピストン131が軸受33側に向けて移動する際には、空気室136の外部の空気が通気路137を介して空気室136の内部に進入するため、ピストン131の移動が円滑におこなわれる。
ところで、ピストン131は、Oリング131Aが隔壁117の円筒部117Bに接触し、かつ、Oリング133がシリンダ部材126の円筒部126Bに接触することにより、半径方向に位置決めされている。そして、隔壁117の円筒部117Bと、ピストン131の内周面との軸線方向における接触長さが、スリーブ131Cにより可及的に長く設計されている。つまり、ピストン131における隔壁117の円筒部117Bと平行な面の軸線方向の長さを、可及的に長く確保することができる。その結果、ピストン131の中心軸線(図示せず)と、隔壁17の中心軸線(図示せず)との交差が抑制される。
したがって、ピストン131が軸線方向に移動する際、特に、第1の油圧室PC1および第2の油圧室PC2の油圧の急激な変化により、ピストン131が軸線方向に移動する際に、ピストン131と、シリンダ136の外筒部126および隔壁117の円筒部117Bとの摺動抵抗(摩擦抵抗)の増加が抑制され、ピストン131の作動応答性を良好に維持することができる。
次に、ベルト式無段変速機9のセカンダリプーリ37および油圧アクチュエータ45について、その制御および動作を具体的に説明する。第1の油圧室としての内径側油圧室PCIおよび第2の油圧室としての外径側油圧室PCOの油圧が、ドレーン孔や油路を介して排出されている場合は、ベルト46に与えられている張力により、可動シーブ43が軸受34側に押圧されている。この状態が図2(B)の軸線B1よりも上側に示されている。なお、この変速比が最も小さい状態(γmin)状態では、油路181と内径側油圧室PCIとは連通されているが、油路180の外周側開口部に可動シーブ43が位置しているため、油路180と外径側油圧室PCOとは遮断されている。
上記の状態から、前述の油圧回路200の油路228から、油路181を介して内径側油圧室PCIに制御油圧Pdnが供給されて、内径側油圧室PCIの油圧が上昇すると、内径側油圧室PCIの制御油圧Pdnが可動シーブ43の筒部182の端面に直接伝達され、可動シーブ43が固定シーブ42側に向けて軸線方向に押圧される。そして、可動シーブ43の移動により油路180が開放されると、油路180および182Aを介して制御油圧Pdnが外径側油圧室PCOにも供給される。このようにして、後に詳述するように、可動シーブ43の移動の際の所定の変速比に対応する位置において、圧油供給孔としての油路180と182Aとの連通および遮断が制御されつつ、セカンダリプーリ37の溝44の幅が狭められる。そして、ベルト46に与えられている張力と、内径側油圧室PCIおよび外径側油圧室PCOの制御油圧Pdnに基づく押圧力とに基づいて、溝44の幅が制御される。図2(B)の軸線B1よりも下側に示す状態は、溝44の幅が最も狭められ変速比が大きい状態(γmax)に相当する。
ここで、この溝44の幅が最も狭められて変速比が大きい図2(B)の軸線B1よりも下側に示す状態から、可動シーブ43が変速比の小さい側に向けて移動する、すなわちアップシフトされる際に、制御油圧Pdnが切替え供給される態様および圧油供給孔とドレーン孔との位置関係を説明する。上述の変速比が大きい状態では、圧油供給孔としての、可動シーブ43の筒部182に半径方向に形成された油路182Aとセカンダリシャフト31の油路178に連通されて半径方向に形成された油路180とは互いに開口し、外径側油圧室PCOが油圧回路200の油路210−2と連通されている。一方、ドレーン孔としての、環状部材195の円筒部195Bに形成されている半径方向のドレーン孔195E、および隣接する環状溝195Dとシリンダ部材190の第2円筒部190Dに形成されている半径方向のドレーン孔190Eとは位置が相対的にずれており、互いに閉口している。かかる状態から、可動シーブ43が変速比の小さい側に向けて移動していくと、上述の油路182Aと油路180との開口状態が閉口状態に移行し、同時に、閉口状態にあったドレーン孔が開口する。すなわち、環状溝195Dの端部とシリンダ部材190のドレーン孔190Eとが連通することにより、環状部材195のドレーン孔195Eにも連通し、ドレーン孔が開口されるのである。
このときの、圧油供給孔とドレーン孔および制御油圧との関係を、図4を用いてさらに説明すると、本実施の形態においては、変速比γが第1所定値γ1(例えば1.2)よりやや大きい第2所定値γ2(例えば1.4)の位置において、セカンダリ側第2減圧バルブ224によるアップシフト時の減圧制御が開始されるのに対し、ドレーン孔は変速比γが第1所定値γ1において閉口状態から開口状態に移行するように形成されている。一方、この第2所定値γ2の位置においては、後述するように、セカンダリ側第1減圧バルブ222によるアップシフト時の昇圧制御が開始される。そして、可動シーブ43が移動するにつれ、圧油供給孔は第1所定値γ1付近において閉じられ、ドレーン孔は開口される関係に形成されている。この圧油供給孔が閉口することによって、外径側油圧室PCOには制御油圧Pdn2を有する作動油が供給されず、内径側油圧室PCIに供給される昇圧された制御油圧Pdn1によってのみ可動シーブ43による必要挟圧力Fsecが発生される。必要挟圧力とは、ベルトが滑らない挟圧力で、ベルトの滑りに対して安全率(例えば、1.3)を持った挟圧力のことである。なお、図4においては、理解を容易とすべく、この必要挟圧力Fsecは一定であると仮定して示されており、このアップシフト時の内径側油圧室PCIの昇圧制御および外径側油圧室PCOの減圧制御による制御油圧の変化の様子が制御期間Dにおいて矢印付の実線で示されている。
次に、この溝44の幅が最も広げられて変速比が小さい図2(B)の軸線B1よりも上側に示す状態から、可動シーブ43が変速比の大きい側に向けて移動する、すなわちダウンシフトされる際を説明すると、本実施の形態においては、変速比γが第1所定値γ1において、内径側油圧室PCIに供給される制御油圧Pdn1についてのセカンダリ側第1減圧バルブ222によるダウンシフト時の減圧制御が開始される。一方、この第1所定値γ1ではドレーン孔が開口状態から閉口状態に移行し、圧油供給孔も開かれており、外径側油圧室PCOに供給される制御油圧Pdn2についての後述のセカンダリ側第2減圧バルブ224によるダウンシフト時の昇圧制御が開始される。そして、変速比γが第1所定値γ1から第2所定値γ2に至ると、両制御油圧Pdn1および制御油圧Pdn2が等しくなるように制御される。このダウンシフト時の内径側油圧室PCIの減圧制御および外径側油圧室PCOの昇圧制御による制御油圧の変化の様子が、同じく図4の制御期間Dにおいて矢印付の破線で示されている。
ここで、第1油圧室としての内径側油圧室PCIおよび第2油圧室としての外径側油圧室PCOの一方、本実施の形態では外径側油圧室PCOから作動油をドレーンさせる際の制御ルーチンの一例を、図5のフローチャートを参照してさらに説明する。まず制御がスタートすると、ステップS501において、車両からの要求に対応してアップシフト中か否かが判断され、アップシフト中でない、すなわち「No」のときは後述するステップS506に進む。アップシフト中である、すなわち「Yes」のときは、ステップS502に進んで、変速比γが第1の所定値γ1より大きく、第2の所定値γ2より小さい、すなわち、上述の制御期間D内か否かが判断される。変速比γがこの範囲、すなわち制御期間D内にないときはこの制御ルーチンを抜けることになる。そして、ステップS502の判断で変速比γが第1の所定値γ1と第2の所定値γ2との間にある、すなわち「Yes」のときは、ステップS503に進む。
ステップS503では、内径側油圧室PCIの有効受圧面積をS1、外径側油圧室PCOの有効受圧面積をS2として、セカンダリプーリ37の必要挟圧力Fsecを得るための外径側油圧室PCOの目標減圧油圧値P2TGTおよび内径側油圧室PCIの目標昇圧油圧値P1TGTが求められる。すなわち、外径側油圧室PCOの目標減圧油圧値P2TGTが求められると、内径側油圧室PCIの目標昇圧油圧値P1TGTは、下記の式により求められる。
P1TGT=(Fsec−P2TGT×S2)/S1
そして、上記求めた外径側油圧室PCOの目標減圧油圧値P2TGTとなるように、ステップS504においてセカンダリ側第2減圧バルブ224のためのリニアソレノイド226が制御され、内径側油圧室PCIの目標昇圧油圧値P1TGTとなるようにセカンダリ側第1減圧バルブ220のためのデューティソレノイド222が制御される。このステップS505における制御は、次のステップS504における判断で、外径側油圧室PCOの目標減圧油圧値P2TGT=0となるまで行われる。
一方、ステップS501においてアップシフト中でないと判断される、すなわち「No」のときは、ステップS506に進んでダウンシフト中か否かが判断される。ダウンシフト中でないときは定常走行状態であり、この制御ルーチンを抜ける。ダウンシフト中である、すなわち「Yes」のときは、ステップS507に進んで、変速比γが第1の所定値γ1より大きく、第2の所定値γ2より小さいか否かが判断される。変速比γがこの範囲にないときはこの制御ルーチンを抜けることになる。ステップS507の判断で変速比γが第1の所定値γ1と第2の所定値γ2との間にある、すなわち「Yes」のときは、ステップS508に進む。
ステップS508では、内径側油圧室PCIの有効受圧面積をS1,外径側油圧室PCOの有効受圧面積をS2として、セカンダリプーリ37の必要挟圧力Fsecを得るための外径側油圧室PCOの目標昇圧油圧値P2TGTおよび内径側油圧室PCIの目標減圧油圧値P1TGTが求められる。すなわち、ダウンシフト中の外径側油圧室PCOの目標昇圧油圧値P2TGTが求められると、内径側油圧室PCIの目標減圧油圧値P1TGTは、アップシフトの場合と同様に下記の式により求められる。
P1TGT=(Fsec−P2TGT×S2)/S1
そして、上記求めた外径側油圧室PCOの目標昇圧油圧値P2TGTとなるように、ステップS509において、セカンダリ側第2減圧バルブ224のためのリニアソレノイド226が制御され、内径側油圧室PCIの目標減圧油圧値P1TGTとなるようにセカンダリ側第1減圧バルブ220のためのデューティソレノイド222が制御される。このステップS509における制御は、次のステップS510における判断で、外径側油圧室PCOの目標昇圧油圧値P2TGT=内径側油圧室PCIの目標減圧油圧値P1TGTとなるまで行われる。
上述のように、本実施の形態では、2分割された外径側油圧室PCOおよび内径側油圧室PCIの二つの油圧室と、内径側油圧室PCIのみとの連通の切替えの際、外径側油圧室PCOから作動油をドレーンさせる際は、外径側油圧室PCOを形成している構成部材としての環状部材195とシリンダ部材190とにそれぞれ形成された油路としてのドレーン孔195E、190Eが連通され、内径側油圧室PCIの油圧がセカンダリ側第1減圧バルブ220により徐々に増大され、また、外径側油圧室PCOの作動油がドレーンされた状態から作動油が供給される際は、この油圧がセカンダリ側第2減圧バルブ224により徐々に増大されると共に、内径側油圧室PCIの油圧がセカンダリ側第1減圧バルブ220により徐々に減少されるので、必要ベルト挟圧力Fsecが急激に変動することが抑制されるのである。
ところで、セカンダリシャフト31の回転により遠心力が発生すると、外径側油圧室PCOおよび内径側油圧室PCIに共に遠心油圧が作用し、外径側油圧室PCOおよび内径側油圧室PCIの油圧が、油圧制御装置の制御に基づく油圧よりも上昇し、その結果、可動シーブ43を固定シーブ42側に押圧する押圧力が、伝達すべきトルクに応じた目標値よりも高くなる可能性があるが、本実施の形態では、上述のように、回転数が所定値を越える可能性の高い第1の所定の変速比γ1より小さいときには、遠心力の影響が小さい内径側油圧室PCIのみによって挟圧力を発生させるようにすることにより、簡単な構成で遠心油圧の影響を小さくしている。
なお、上述した実施の形態では、可動シーブ43の移動に対応させて、ドレーン孔が第1所定値γ1付近において開口されるとき圧油供給孔が閉じられる関係に形成したが、これは作動油の無用な漏出を防ぐためであるので、この漏出防止が保証されるのであれば、圧油供給孔は外径側油圧室PCOに常時開口していてもよい。例えば、図3に示した油圧回路200によりこの漏出防止作用を行わせることも可能である。すなわち、ドレーン孔が第1所定値γ1付近において開口されるのに合わせて、外径側油圧室PCOに接続された油路210−2に設けたセカンダリ側第2減圧バルブ224を閉じるように制御するのである。
(6)セカンダリプーリの他の構成例
ところで、上述のように、漏出防止作用を行わせることは、外径側油圧室PCOに接続された油路210−2に設けたセカンダリ側第2減圧バルブ224にて行うことが可能であるから、これは、図2(B)に示したような、可動シーブ43の移動に対応させて、圧油供給孔が閉じられるような構成によらなくとも可能である。そこで、可動シーブ43の移動位置にかかわらず外径側油圧室PCOおよび内径側油圧室PCIの二つの油圧室に作動油を別々に供給が可能であるセカンダリプーリ37の他の構成例を図6を参照しつつ説明する。
図6(B)は、このセカンダリプーリ37の他の構成例を示す断面図である。前述したセカンダリプーリ37の一構成例と基本的な構成は同じであるから、同一部位には同一符号を付して重複説明を避け、その相違点について説明する。なお、図6(A)に示すプライマリ側プーリ36は、図2(A)に示したものと同じである。セカンダリシャフト31の内部に形成された油路178に連通されて設けられ、セカンダリシャフト31の外周面に向け半径方向に伸ばされた油路180については、セカンダリシャフト31の外周面に所定の幅を有して形成されている環状溝180Aに開口されている。
セカンダリプーリ37の可動シーブ43は、筒部182と、筒部182の外周における固定シーブ42側の端部に連続された半径方向部183とを備えていること前述の一構成例と同じであるが、該可動シーブ43の筒部182に半径方向に形成された油路182Aに代え、油路180が開口する環状溝180Aに可動シーブ43の移動位置にかかわらず連通される油路182Cが傾斜して設けられている。
また、段部31Bと軸受34との間には環状のシリンダ部材191が設けられている。このシリンダ部材191は、第1半径方向部191Aと、第1半径方向部191Aの外周端から可動シーブ43の半径方向部183側に向けて伸ばされた円筒部191Bと、円筒部190Bにおける端部から外側に向けて湾曲しつつ半径方向に伸ばされた第2半径方向部191Cとを有している。
一方、可動シーブ43には、環状部材196が設けられている。環状部材196は、可動シーブ43の半径方向部183に固定された半径方向部196Aとその外周端からシリンダ部材191側に向けて伸ばされた円筒部196Bとを有している。ここで、第2半径方向部191Cの外周端には樹脂製のシールリング191Dが取り付けられており、上述の環状部材196の円筒部196Bの内周面と軸線方向に相対移動可能な状態で接触し、その接触部分にシール面が形成されている。
そして、可動シーブ43の筒部182の外周面とシリンダ部材191の円筒部191Bの内周面とは相対移動可能に嵌合され、筒部182の端面とシリンダ部材191とセカンダリシャフト31の外周面とにより取り囲まれた空間に内径側の油圧室PCIが形成されている。この内径側の油圧室PCIは油路181に連通されている。
一方、可動シーブ43の筒部182の外周面と環状部材196とシリンダ部材191とにより取り囲まれた空間には、外径側の油圧室PCOが形成されている。そして、この外径側の油圧室PCOは、可動シーブ43の筒部182に傾斜して形成された上述の油路182Cに連通されている。さらに、シリンダ部材191の円筒部191Bと半径方向部191Cとの境界領域には、半径方向にドレーン孔191Eが形成されている。このドレーン孔191Eは、後述するように、可動シーブ43が溝幅大に移動されたとき、換言すると、内径側の油圧室PCIの容量が小さいときに、外径側の油圧室PCOと連通する位置とされている。
このセカンダリプーリ37の他の構成例を用いる実施の形態では、外径側の油圧室PCOが可動シーブ43の位置にかかわらず、図3の油圧回路200の油路210に常に連通されているので、前述のセカンダリ側第2減圧バルブ224による油路210の連通または遮断によってのみ、作動油の供給または停止が行われることになる。このセカンダリプーリ37の他の構成例においては、外径側油圧室PCOおよび内径側油圧室PCIを構成する部材が簡素化され、大重量化や取付スペースの拡大が抑制されるという効果を有している。
本発明のベルト式無段変速機の油圧制御装置を適用したトランスアクスルを示すスケルトン図である。 本発明に係るベルト式無段変速機の一実施の形態を示す断面図であり、(A)はプライマリプーリの構成、(B)はセカンダリプーリの一構成を示している。 本発明の実施形態の油圧回路図である。 本発明の実施形態に係るドレーンの際の制御油圧の関係を説明するためのグラフである。 本発明のベルト式無段変速機の油圧制御装置の制御の一形態を示すフローチャートである。 本発明に係るベルト式無段変速機の他の実施の形態を示す断面図であり、(A)はプライマリプーリの構成、(B)はセカンダリプーリの他の構成を示している。
符号の説明
30 プライマリシャフト
31 セカンダリシャフト
36 プライマリプーリ
37 セカンダリプーリ
38 プライマリ側固定シーブ
39 プライマリ側可動シーブ
42 セカンダリ側固定シーブ
43 セカンダリ側可動シーブ
178、179、180、181 油路
180A 環状溝
182A、182C 油路(圧油供給孔)
190、191 シリンダ部材
190E ドレーン孔
191E ドレーン孔
195、196 環状部材
195C ドレーン孔
195D 環状溝
200 油圧回路
220 セカンダリ側第1減圧バルブ
224 セカンダリ側第2減圧バルブ
PCO 外径側油圧室(第2油圧室)
PCI 内径側油圧室(第1油圧室)

Claims (5)

  1. 可動シーブに作用するベルト挟圧力を発生させるプーリ油圧室が少なくとも第1油圧室と第2油圧室とに2分割されたベルト式無段変速機の油圧制御装置において、
    前記第1油圧室および第2油圧室のいずれか一方から作動油をドレーンさせる際は、前記第1油圧室および第2油圧室のいずれか他方の油圧が増大されるように構成されていることを特徴とするベルト式無段変速機の油圧制御装置。
  2. 可動シーブに作用するベルト挟圧力を発生させるプーリ油圧室が少なくとも第1油圧室と第2油圧室とに2分割されたベルト式無段変速機の油圧制御装置において、
    前記第1油圧室および第2油圧室のいずれか一方の作動油がドレーンされた状態から作動油が供給される際は、前記第1油圧室および第2油圧室のいずれか他方の油圧が減少されるように構成されていることを特徴とするベルト式無段変速機の油圧制御装置。
  3. 前記可動シーブは、セカンダリ側の可動シーブであり、前記第1油圧室および第2油圧室は外径側および内径側にそれぞれ独立して形成された油圧室であることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置。
  4. 前記第1油圧室および第2油圧室のいずれか一方からの作動油のドレーンは、前記可動シーブの移動に対応させて、油圧室を形成している構成部材にそれぞれ形成された油路が連通されることにより行われるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置。
  5. 前記第1油圧室および第2油圧室のいずれか他方の油圧の増大または減少は徐々に行なわれるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のベルト式無段変速機の油圧制御装置。
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