JP2005265039A - 油圧式オートテンショナ - Google Patents

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Abstract

【課題】油圧式オートテンショナのベルトへの装着時又はベルト交換時にアクチュエータのロッドを押込む作業を軽減し得る部材を設けた油圧式オートテンショナを得ることである。
【解決手段】油圧式オートテンショナのアクチュエータのシリンダ5の端部材のフランジ部7Bと、ロッド4bに連結される端部材であって、張力調整ばね6を受けるばね座7Aとの両端部材の突出端7a、7bに挿通穴11、ねじ穴12を設け、ねじボルト13を挿通螺合して、両端部間の距離をねじボルト13を回転させることにより短縮自在としたばね伸縮長さ調整部材10を設け、ロッド押込作業を低コストで軽減し得るように改善したものである。
【選択図】図1

Description

この発明は、油圧式オートテンショナのベルト交換をする際にオートテンショナのアクチュエータを押込む手段を備えたオートテンショナに関する。
自動車のエンジンの補機のベルト等に用いられる油圧式オートテンショナは、ベルト等に接して張力を与える回転自在なテンションプーリと、このテンションプーリを揺動自在に支持するアームと、このアームを介してテンションプーリがベルトを押圧する方向に付勢する油圧式アクチュエータとを一般に備えている。そして、このような構成のオートテンショナについては特許文献1又は2など多数の公報により種々の提案がされていることは周知であり、詳しく説明するまでもない。このような油圧式オートテンショナは、補機のベルト等への装着時又はベルト交換の必要が生じた際に、その主要構成部材であるアクチュエータのロッドを張力調整ばねの突出力に逆らって押込む作業が一般に必要となる。
そこで、このような油圧式オートテンショナを補機のベルト等へ装着する際の押込作業のため、一般にはアームのブラケットやプーリにレンチ等が挿入可能なボスが装着されており、そのボスの六角ボルト頭にレンチ等の工具を挿入し、アクチュエータのロッドを押込む側にトルクを負荷してオートテンショナを押込み、その状態でベルトを掛ける又はベルトを外す作業をする。このような押込作業において、アクチュエータのロッドを縮めた状態に保持するには、例えば特許文献3に示すような特殊な専用工具を必要とする。
特許文献3に示された油圧式オートテンショナは、上記一般的な構成のアクチュエータの外側に、そのアクチュエータの側部から着脱され、装着状態においてシリンダとロッドとを相対的に押込み状態に保持するカバーを取付けたというものである。この形式の油圧式オートテンショナは、アクチュエータの組付時に、ロッドを押し縮めた状態でオートテンショナの組付け及びベルトの巻掛け作業に非常に手間が係ることを解消することをねらったものである。
このため、アクチュエータの各部材を組立てる際にアクチュエータの外側にロッドを押込み状態に保持するカバーを取付け、アクチュエータと、アームと、プーリとを組立たオートテンショナをベルトに装着した後はカバーを取外してアクチュエータは張力調整状態に保持される。従って、オートテンショナの補機ベルトへの装着後にベルトを交換する場合、ロッドを縮めた状態に保持する部材が設けられていないため、ベルトを外す作業及び新しいベルトを再び装着する作業は極めて負担が大きくなる。
このようなベルト交換の際のロッドの押込み作業では、常に初期ばね荷重以上の荷重(トルク)を負荷してオートテンショナのアクチュエータのロッドを押込まねばならず、途中でトルクレンチをゆるめると、折角押込んでいたロッドが突出し、作業を再びやり直さねばならない。又、これらの作業は手作業となるため作業者への負担は極めて大きい。しかし、このようなベルト交換の際の押込み作業まで考慮して、作業を軽減できるような手段を備えたオートテンショナが提案された例はない。
米国特許明細書第4,790,801号 特表平2−500210号公報 特開平10−306859号公報
この発明は、上記の問題に留意して、油圧式オートテンショナのベルトへの装着時又はベルト交換時にアクチュエータのロッドを押込む作業を軽減し得る部材を設けた油圧式オートテンショナを提供することを課題とする。
この発明は、上記の課題を解決する手段として、ベルトに回転自在に接してベルト張力を付与するテンションプーリと、このテンションプーリを揺動自在に支持するアームを介してテンションプーリに押圧力を付与するアクチュエータとを備え、アクチュエータは作動油を封入したシリンダと、シリンダ内にスライド自在に挿入したロッドに外方向への突出性を付与する張力調整ばねと、ロッドに付与される押込力を緩衝する油圧ダンパ機構とを有し、張力調整ばねが挿置されるロッドとシリンダのそれぞれの端部材の突出端間にばねの伸縮長さを可変設定し得るばね伸縮長さ調整部材を設けた油圧式オートテンショナとしたのである。
上記の構成の油圧式オートテンショナは、通常のオートテンショナとして作動する際は、ベルトに弛みが生じると張力調整ばねによる復帰力で急速にベルトに所要の張力を付与し、ベルトが強く緊張するとアクチュエータのロッドを押込んで緩衝してベルト張力の変動を吸収し、ベルトの張力を一定に保つ役目をする。しかし、この油圧式オートテンショナの組付時にベルトに装着する際、又はベルト交換の際にはばね伸縮長さ調整部材が用いられ、ベルトへの装着、ベルト交換の際にアクチュエータのロッド押込作業をこのばね伸縮長さ調整部材を利用して行うことにより作業の負担が大きく軽減される。
ばね伸縮長さ調整部材として、例えばアクチュエータの端部材の突出端間にねじ穴、挿通穴、ねじボルトを設けて形成した場合、ロッド押込を必要とする際にねじボルトを回転させてアクチュエータの端部材間の距離を張力調整ばねのばね力に逆らって短縮し、その状態を保持する。このため、アクチュエータのロッド収縮によりアームを介してテンションプーリがベルトから離れる方向へ大きく移動し、その間にベルトの装着又は交換が容易に行なえることとなる。
この発明の油圧式オートテンショナは、アクチュエータの端部材の突出端間にばね伸縮長さ調整部材を設け、ばねの伸縮長さを可変設定自在としたから、エンジン補機に掛け廻されるベルトの装着時又は交換時にアクチュエータのロッド押込作業をするためばね伸縮長さ調整部材により張力調整ばね長さを短縮でき、ロッド押込作業の負担が大きく軽減でき、この調整部材は安価であるため低コストで作業の改善が可能となるという利点が得られる。
以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は油圧式オートテンショナの全体概略構成図である。図示のように、従来と同様にこの実施形態の油圧式オートテンショナも、テンションプーリ1をアーム2を介してアクチュエータ4に連結し、アクチュエータ4からの押圧力でテンションプーリ1を回転自在にベルトに押し付けるように設けられる。
アーム2は六角ボルトの支点軸3を中心として揺動自在に支持され、支点軸3は図示しないエンジンブロック等に固定されている。アーム2の他端は後述するアクチュエータ4の下方の突片8にねじボルト9により回転自在に連結されている。なお、図3に示すように、アーム2に回転自在に連結、支持されたテンションプーリ1にはエンジン補機用のベルト14が掛け廻され、軸1aを中心に回転自在で、他のプーリP0 、P1 を経てベルト14は回転移動する。
アクチュエータ4は、図2に示すように、シリンダ5の上部開口にオイルシール4aを設け、内部に作動油及びその油面上に空気層とを封入し、オイルシール4aをスライド自在に貫通するロッド4bの下端部に油圧ダンパ機構4Dを設け、ロッド4bを張力調整ばね6によって外方向への突出性を付与するように形成されている。油圧ダンパ機構4Dは、ロッド4bの下端部に接続したプランジャ4cをシリンダ5内の下部に嵌合したスリーブ4d内に摺動自在に組込み、上記プランジャ4cの下方に形成された圧力室4eと、その上方に設けられたリザーバ室4fとをプランジャ4cに形成した通路4gで連通し、その通路4gにチェックバルブ4vを取付けている。
チェックバルブ4vは、圧力室4e内の圧力がリザーバ室4fの圧力より高くなると通路4gを閉じ、圧力室4e内の作動油が通路4gからリザーバ室4fに流れるのを防止する。4hはプランジャ4cをロッド4bに押付けるスプリングを示す。張力調整ばね6は、シリンダ5の外側に設けられ、その下端はシリンダ5の外周下部に設けられたフランジ部7Bに、上端はロッド4bの上端部に設けられたばね座7Aに当接してロッド4bに外方向への突出性を付与している。そして、シリンダ5のフランジ部7Bの下面には突片8が設けられ、ロッド4bのばね座7Aの上面にも突片8が設けられている。
上記シリンダ5の下方のフランジ部7B側の突片8には、図2では1点鎖線で示すアーム2の先端がねじボルト9によって回転自在に連結され、上方のばね座7A側の突片8は、図示しないエンジンブロックにねじボルト9によって締結されている。そして、この実施形態では上部のばね座7A及び下部のフランジ部7Bは、図2の(b)図に示すように、平面視でオーバル状(玉子形)に突出する突出端7a、7bをそれぞれ有し、この突出端7a、7bに対してばね伸縮長さ調整部材10が設けられている。このため、上部の突出端7aには挿通穴11が、下部の突出端7bにはねじ穴12が形成されており、これら穴にねじボルト13を挿通し、ねじ部13aを螺合させるように構成され、上記フランジ部7Bの突出端7b、ばね座7Aの突出端7a、これらに設けられた挿通穴11、ねじ穴12、ねじボルト13によって張力調整ばね6のばね伸縮長さ調整部材10が形成されている。
上記ねじボルト13は、その長さが張力調整ばね6を通常の作動状態としたときのばね座7Aと下方フランジ部7B(各外側面)間の距離より所定長さ分長く設定され、その長さの略半分程の長さのねじ部13aがボルト先端寄りに形成され、ねじ穴12に螺合するが、ボルト13の上半部分は挿通穴11に対し遊嵌状でスライド自在である。又、ねじボルト13の長さは、図2に一点鎖線で示すように、ねじボルト13を弛めてボルト頭部をばね座7Aより所定高さだけ上昇させ、張力調整ばね6が自然状態に伸びた状態でもねじ部13aの下端がフランジ部7Bのねじ穴12から外れることがなく、かつばね座7Aはねじボルト13に対し張力調整ばね6の伸縮の範囲内でスライド自在となるように設定されている。
上記の構成とした油圧式オートテンショナは、基本的な構成、作用については前述したように従来の油圧式オートテンショナと同様である。但し、ねじボルト13は前述したように図2の一点鎖線で示す位置に弛められて上昇した状態であるとする。アクチュエータのオートテンショナとしての組付けによる使用状態では、トルクの変動によってベルト14の張力が変化し、ベルト14に弛みが生じると、張力調整ばね6の弾性力によりアクチュエータ4のシリンダ5が下方向に急速に移動し、テンションプーリ1がベルト14を張る方向にアーム2が揺動してベルト14の弛みを直ちに吸収する。このとき、シリンダ5の下降に伴ってプランジャ4cがシリンダ5に対して相対的に上方向に移動し、圧力室4eの圧力がリザーバ室4fの圧力より低くなるため、チェックバルブ4vが通路4gを開放し、リザーバ室4fの作動油が圧力室4eに流入する。
一方、ベルト14の張力が増大すると、そのベルト14によってテンションプーリ1が押圧される。このときアーム2はアクチュエータ4のシリンダ5を押圧するため、圧力室4eの圧力がリザーバ室4f内の圧力より高くなり、チェックバルブ4vが通路4gを閉じる。このため、圧力室4eに封入された作動油によってシリンダ5に負荷されるロッド4bの押込力が緩衝される。シリンダ5に負荷される荷重でロッド4bに相対的に作用する押込力が張力調整ばね6の弾性力より高い場合、圧力室4e内の作動油は、プランジャ4cの外周面とスリーブ4dの内周面間の微小な隙間からリザーバ室4fにリークし、プランジャ4cは張力調整ばね6の弾性力と押込力が釣り合う位置までゆっくりと後退する。
このように、テンションプーリ1は、ベルト14に弛みが生じると、ベルト14を張る方向に急速に移動し、ベルト14が緊張するとゆっくり後退するため、ベルト14の張力変化に対するテンションプーリ1への追従性が良好であり、ベルト14の張力を常に一定に保持することができる。以上がテンションプーリ1、アーム2、アクチュエータ4を含むオートテンショナを自動車の補機を駆動するためのベルト14に組付けた際のオートテンショナの通常の作用である。
しかし、上記オートテンショナを補機用ベルト14及びエンジンブロックに対し適正状態に組付ける際、あるいは取外す際に、張力調整ばね6がフリーのままでは、前述したように、ロッド4bに対する押込作業時の負荷が大きい。このため、この実施形態ではオートテンショナの組付けあるいは取外し作業の際にばね伸縮長さ調整部材10が設けられているのである。この調整部材10のねじボルト13は、前述したように、オートテンショナの通常作動時にはロッド4b、即ちばね座7Aと、シリンダ5、即ち下部のフランジ部7Bに対する相対移動に何ら制限を加えることのない高い位置にボルト頭部が浮上している。
しかし、オートテンショナの組付け又は取外し作業の際は、ねじボルト13の六角頭部をスパナ又はレンチで回転させ、ねじ部13aを進めて張力調整ばね6を圧縮し、ばね座7Aとフランジ部7Bとの間の距離を短縮させ、テンションプーリ1がベルト14から離れベルト14に張力を加えない状態となるまでねじ部13aをフランジ部7Bの突出端7bのねじ穴12に対して回転させる。
この場合、アクチュエータ4の上部のばね座7Aは、突片8、ねじボルト9によりエンジンブロックに固定されているから、ねじボルト13によりばね座7Aとフランジ部7B間の距離を短縮してもばね座7Aは上下動しない。従って、ねじボルト13の回転の進みにより下部のフランジ部7Bが引き上げられ、このためこのフランジ7Bに連結されたアーム2が支点軸3を中心として回転し、テンションプーリ1を移動させてベルト14を弛める状態となる。
ベルト14が装着又は取替えられた後は、上記操作と反対にねじボルト13を弛める方向に回転させることによりテンションプーリ1を本来の位置に戻し、張力調整ばね6をフリーの状態にすれば作業は完了する。
図4にアクチュエータ4の一部変形例4’の概略構成図を示す。この変形例では、アクチュエータ4’に対しばね伸縮長さ調整部材10を図示のように互いに反対側に2組(複数組でもよい)設けた点が異なる。従って、この場合、ばね長さを伸縮調整する際に2つのねじボルト13をほぼ同時に進める又は弛めることによりばね長さの伸縮調整することとなる。その他同じ構成、機能の部材には同じ符号を付して反復説明は省略する。
なお、上記実施形態及び一部変形例では、ばね伸縮長さ調整部材はねじボルトを用いる形式を採用したが、他の例としてL字形レバーを用い、てこの原理でアクチュエータの端部材間の距離を短縮する手段などを用いることもできる。
この発明の油圧式オートテンショナは、アクチュエータにばね伸縮長さ調整部材を設け、ベルトの装着時又は交換時のロッド押込作業の軽減を安価なコストで可能としたものであるから、従来のどの形式の油圧式オートテンショナにも広く利用できる。
第1実施形態の油圧式オートテンショナの全体概略構成図 アクチュエータの、(a)主断面図、(b)平面図 同上油圧式オートテンショナを補機用ベルトに装置した状態の概略配置構成図 アクチュエータの一部変形例の、(a)主断面図、(b)平面図
符号の説明
1 テンションプーリ
2 アーム
3 支点軸
3a 六角ボルト
4 アクチュエータ
5 シリンダ
6 張力調整ばね
7A ばね座
7B フランジ部
7a、7b 突出端
8 突片
9 ねじボルト
10 ばね伸縮長さ調整部材
11 挿通穴
12 ねじ穴
13 ねじボルト
13a ねじ部

Claims (3)

  1. ベルトに回転自在に接してベルト張力を付与するテンションプーリと、このテンションプーリを揺動自在に支持するアームを介してテンションプーリに押圧力を付与するアクチュエータとを備え、アクチュエータは作動油を封入したシリンダと、シリンダ内にスライド自在に挿入したロッドに外方向への突出性を付与する張力調整ばねと、ロッドに付与される押込力を緩衝する油圧ダンパ機構とを有し、張力調整ばねが挿置されるロッドとシリンダのそれぞれの端部材の突出端間にばねの伸縮長さを可変設定し得るばね伸縮長さ調整部材を設けた油圧式オートテンショナ。
  2. 前記ばね伸縮長さ調整部材を、ロッドとシリンダの端部材の突出端に設けた穴及びねじ穴と、これに挿通螺合されるねじボルトから形成したことを特徴とする請求項1に記載の油圧式オートテンショナ。
  3. 前記ばね伸縮長さ調整部材をアクチュエータに対し複数組設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の油圧式オートテンショナ。
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