JP2005264206A - スパッタリング用ターゲット、その製造方法及び光導波路用薄膜の形成方法 - Google Patents

スパッタリング用ターゲット、その製造方法及び光導波路用薄膜の形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】Bi系ガラス薄膜を長時間にわたって、安定した組成で製膜でき、屈折率等の物性についても再現性よく製膜できるスパッタリング用ターゲット、その製造方法及び光導波路用薄膜の形成方法の提供。基板11上に、クラッド膜12、14及びコア膜13からなる光導波路を形成する。
【解決手段】Bi及びSiOを成分とし、かつ、Ga、Al、B、La、Er及びTmからなる群より選ばれる1以上を成分とする組成のガラス状の物質であるスパッタリング用ターゲット。
【選択図】図1

Description

本発明は、スパッタリング用ターゲット、その製造方法及び光導波路用薄膜の形成方法に関する。
近年、通信サービスの多様化に対応するために、伝送容量の拡大を図る波長多重光通信方式(以下、WDMという)が提案されている。このような、WDMにおける光増幅器には、Er等の希土類元素の添加された石英系ガラスからなるコアを使用した光ファイバが使用されている。しかし、石英系ガラスファイバでは、波長幅Δλが小いため、所望の伝送容量を得ることが困難であった。また、光増幅率も小さいために、ファイバ長さを数十m、長いものでは数kmにしなければならないことがあり、光増幅器の小型化が困難であるという問題があった。
このような問題を解決するために、光ファイバとして、コアが石英系ガラスでなくBi系ガラスである光ファイバが提案されており(特許文献1)、この光ファイバを使用するとファイバ長さが6cmでも所望の光増幅ができる。また、よりコンパクトな光増幅器を得るには、基板上にクラッドと光増幅機能を有するコアを形成した光導波路が好ましく、特にEr等の希土類元素を添加したBi系ガラスからなるコアを使用した光導波路の開発が行われている。図1に、一般的な光導波路の断面の概念図を示す。図1に記載のとおり、光導波路は、基板11上に、下層クラッド12と上層クラッド14が形成され、その間にコア13が形成される構成よりなる。
ここで、光導波路のクラッド及びコアとして使用されるBi系ガラスの薄膜はBiを主成分とし、他にSiO等数種類の成分を含んでいる。これらのガラスは、薄膜と同じ成分のターゲットを使用して高周波スパッタリング法により製膜することが検討されている(特許文献2)。しかし、このスパッタリング法により製膜された膜が光導波路のクラッド及びコアとして使用されるためには、膜の屈折率及び膜組成が所望の値に精密に制御され、かつ、ロット毎の再現性が良好であることが必要である。
従来より、このBi系の多成分のガラス薄膜を作製するためのターゲットはBi、SiO等の原料粉末を混合し、700〜900℃で、5〜30MPaの圧力でホットプレス法により焼結させて作製する。しかし、この方法で作製されたターゲットは、各成分が均一に結合しにくいため、このターゲットを使用してスパッタリングを行うと、膜組成とターゲット組成がずれやすくなり、膜組成及び膜の屈折率等の特性を安定的に製膜することが困難であった。また、スパッタリングを行いつづけると、時間がたつうちに、プラズマの影響によりターゲット表面の組成が徐々に変化して、ロット間の膜組成、膜屈折率の再現性が悪くなるという問題があった。
特開2001−102661号公報(段落番号0010) 特開2003−262751号公報(特許請求の範囲)
本発明は、Bi系ガラス薄膜を長時間にわたって、安定した組成で製膜でき、屈折率等の物性についても再現性良く製膜できるスパッタリング用ターゲット、その製造方法及び光導波路用薄膜の形成方法を提供することを目的とする。
本発明は、Bi及びSiOを成分とし、かつ、Ga、Al、B、La、Er及びTmからなる群より選ばれる1以上を成分とする組成のガラス状の物質であるスパッタリング用ターゲットを提供する。
また、本発明では、前記ターゲットの組成が、質量%で次のとおりであるスパッタリング用ターゲットを提供する、
Bi 35〜90%、
SiO 2〜40%、
Ga 0〜55%、
Al 0〜50%、
0〜10%、
La 0〜10%、
Er+Tm 0〜10%。
また、本発明では、Biを含む物質及びSiを含む物質と、さらに、Gaを含む物質、Alを含む物質、Bを含む物質、Laを含む物質、Erを含む物質及びTmを含む物質からなる群より選ばれる1以上とを混合して混合物を調製する工程、該混合物を溶融した後、冷却してガラス状の物質を得る工程、を経ることを特徴とするスパッタリング用ターゲットの製造方法を提供する。
また、本発明では、Biを含む物質及びSiを含む物質と、さらに、Gaを含む物質、Alを含む物質、Bを含む物質、Laを含む物質、Erを含む物質及びTmを含む物質からなる群より選ばれる1以上とを混合して混合物を調製する工程、該混合物を溶融した後、冷却してガラス状の物質を得る工程、さらに、該ガラス状の物質を粉砕して得られた粉砕物を焼結して焼結物を得る工程、を経ることを特徴とするスパッタリング用ターゲットの製造方法を提供する。
また、本発明では、スパッタリング法により薄膜を形成する方法において、前記スパッタリング用ターゲットを使用することを特徴とする光導波路用薄膜の形成方法を提供する。
本発明により、長時間において、膜の組成を精密に制御することが可能で、屈折率の再現性も良好な、Bi系ガラス薄膜を製膜することができるスパッタリング用ターゲットを提供することができる。また、本発明の方法により得られる薄膜は、安定した組成で、屈折率の再現性も良好である。
本発明におけるスパッタリング用ターゲットは、Bi及びSiOを成分とし、かつ、Ga、Al、B、La、Er及びTmからなる群より選ばれる1以上を成分とする組成のガラス状の物質であることにより、各成分が均一で、より完全に化学結合した状態であることを特徴とする。このため、本発明のターゲットを使用してスパッタリングを行った際、各成分によるスパッタリング率の差がほとんどなく、得られる膜の組成とターゲットの組成とのずれが小さく製膜することができるので膜の組成を制御しやすいので好ましい。さらに、ターゲットにおいて各成分がより強固に化学結合しているために長時間スパッタリングを行ってもターゲット表面の組成が変化することがなく均一に安定しているため、得られる膜の組成におけるターゲットの使用時間に対する依存性も小さくなり、膜の屈折率の再現性が向上するので好ましい。
本発明のターゲットの組成は、質量%で、Bi:35〜90%、SiO:2〜40%、Ga:0〜55%、Al:0〜50%、B:0〜10%、La:0〜10%、Er+Tm:0〜10%であることが好ましい。このターゲットを使用して製膜された膜は光導波路用の膜として使用することができる。なお、光導波路用の膜として使用する場合、クラッド用としては、Er+Tmは0%であることが好ましく、コア用として使用する場合は、Er+Tmを0.01〜10%含有することが好ましい。さらに、コア用の薄膜を製膜する場合には、上記組成に、Ybを0.1〜10%含有することが好ましい。また、これらの成分以外のその他の成分を合計で25%以下、好ましくは15%以下の範囲で含有してもよい。
ここで、本発明により作製されるターゲットにおける各成分の制限する理由については、次のとおりである。
Biは35〜90%であることが好ましい。Biが35%未満であると、製膜して得られる膜のBiも35%未満となり、光増幅率又は非線形性が低下するので好ましくなく、90%超であると、得られる膜のBiも90%超となり、ガラス化しにくくなるので好ましくない。また、Er又はTmを含む場合には、それらを高濃度に均一に分散することができるので、光増幅機能を有するコア材用のターゲットとして使用した場合、得られた膜における濃度消光が抑制されるので好ましい。Biは60〜85%が特に好ましい。
SiOは2〜40%であることが好ましい。これにより、ターゲットを作製する際のガラス安定性を高める効果があるので好ましい。SiOが2%未満であると、ガラス安定性の効果が小さいため好ましくなく、40%超であると、得られる膜の屈折率が小さくなり、光増幅率又は非線形性が低下するので好ましくない。SiOは3〜15%が特に好ましい。
Gaは0〜55%であることが好ましい。Gaが0.01%以上含有されることにより、ターゲットの熱的安定性を高める効果があるので好ましい。Gaが55%超であると、ターゲット組成物を溶融して、冷却した際に、得られるターゲットが結晶化しやすくなるので好ましくない。Gaを含有する場合には30%以下が特に好ましい。
Alは0〜50%であることが好ましい。Alが0.01%以上含有されることにより、ターゲットの熱的安定性を高める効果があるので好ましい。Alが50%超であると、ターゲット組成物を溶融して、冷却した際に、得られるターゲットが結晶化しやすくなるので好ましくない。Alを含有する場合には30%以下が特に好ましい。
は0〜10%であることが好ましい。Bが0.01%以上含有されることにより、Er、Tmを含有した場合に得られる膜のアップコンバージョンを抑制し、光増幅効率を安定に制御する効果があるので好ましい。Bが10%超であると、膜中のガラスマトリックスのフォノンエネルギーが変化して、Er、Tmによる光増幅効率が減少するので好ましくない。
Laは0〜10%であることが好ましい。Laが0.01%以上含有されることにより、Er又はTmを含有した場合に、得られる膜のEr又はTmの分散性を向上させ、濃度消光を抑制する効果があるので好ましい。Laが10%超であると、ターゲット組成物を溶融して、冷却した際に、得られるターゲットが結晶化しやすくなるので好ましくない。
Er及びTmをからなる群より選ばれる1以上の化合物は0〜10%であることが好ましい。Er及びTmをからなる群より選ばれる1以上の化合物が0.01%以上含有されることにより、得られる膜の光増幅の効果があるので好ましい。これらの成分が10%超であると、ターゲット組成物を溶融して、冷却した際に、得られるターゲットが結晶化しやすくなるので好ましくない。Er及びTmをからなる群より選ばれる1以上の化合物は5%以下が特に好ましい。
Ybは0〜10%であることが好ましい。Ybが0.01%以上含有されることにより、Er又はTmを含有した場合に、得られる膜の濃度消光を抑制する効果があるので好ましい。Ybが10%超であると、ターゲット組成物を溶融して、冷却した際に、得られるターゲットが結晶化しやすくなるので好ましくない。Ybは5%以下が特に好ましい。
また、本発明では、光導波路用薄膜のうち、コア用の薄膜を製膜する場合のターゲットとしては、Bi:60〜85%、SiO:2〜40%、Ga:5〜25%、Al:0〜5%、B:0〜10%、La:0〜10%、Er+Tm:0.01〜10%、Yb:0〜10%であることが最も好ましい。
また、本発明において、ターゲットには、適宜、Sb、PbO、SnO及びTeOからなる群から選ばれる1種以上の酸化物を含有することができる。これらの成分は、製膜して得られる膜の屈折率を大きくする効果があるので好ましい。Sb、PbO、SnO及びTeOからなる群から選ばれる1種以上の酸化物は質量%で、ターゲットの全質量の10〜60質量%であることが好ましい。これらの成分が10%未満であると、Er又はTmを含有した場合に、形成された膜を使用した光導波路の光増幅率及び非線形性が低下するので好ましくなく、60%超であると、ターゲットを作製する際に、原料成分がガラス化しにくくなるので好ましくない。
また、ターゲットを作製するための原料には、適宜必要に応じて、酸化剤としてCeO、等を含有することが好ましい。また、前述のTeO、Sbを含有する場合には、これらも酸化剤として作用するので好ましい。これらの酸化剤を含有することにより、ターゲット組成物を溶融してガラス化する際に、例えば、Biが還元されてBiとなるのを防ぐ役割をするので好ましい。これにより、容器として白金を使用した場合、金属Bi等による白金の腐食を防止する役割をするので好ましい。
本発明のターゲットの製造法は好ましい態様として下記に示す2つ挙げられる。
一つ目の態様としては、原料となる組成物を混合して混合物を調整する工程、該混合物を溶融した後、冷却してガラス状の物質を得る工程を経る方法である。これにより、緻密なターゲットができるため水分等がはいりにくくなるので好ましい。
また、二つ目の態様としては、原料となる組成物を混合して混合物を調整する工程、該混合物を溶融した後、冷却してガラス状の物質を得る工程、さらに、該ガラス状の物質を粉砕して得られた粉砕物を焼結して焼結物を得る工程、を経る方法である。これにより、得られるターゲットの強度が向上するため、亀裂等の入りにくいターゲットが得られるので好ましい。
本発明の製造方法では、上記2つの態様ともに、原料を溶融して、冷却することによりガラス状の物質とすることを特徴とする。
原料を溶融する温度は950〜1300℃が好ましく、溶融する時間は30分以上であることが好ましい。これにより、完全に溶融し、清澄な溶融物が得られる。この後、室温まで自然冷却することにより、ガラス状の物質として得られる。
原料の混合物を溶融、冷却してガラス化する際の雰囲気は、大気中であることが好ましい。また、ターゲット中に水分が混入すると、光導波路、特に、Er又はTmを含んだコア膜用の光導波路の場合、光増幅特性が低下するおそれがあるため雰囲気は、乾燥ヘリウム、アルゴン等の乾燥雰囲下が特に好ましい。同様に、ガラス化されたバルクガラスを粉砕する際や、ターゲットの成形、加工の工程においても、前記の乾燥雰囲下で行うことが好ましい。
得られたガラス状の物質を粉砕する場合には、適宜公知の方法、乳鉢やボールミル等を使用する方法が挙げられる。粉砕は、平均粒径100μm以下の粒子にまで行うことが好ましく、20μm以下の粒子にまで行うことが特に好ましい。得られた粉砕物は、型に集められて、圧力5〜30MPaで、700〜900℃で焼結することが好ましい。これにより、粉砕物の粒子同士が融着し、緻密な組織上の構造を持つことができるので好ましい。
本発明の製造方法では、原料となる組成物は、Biを含む物質及びSiを含む物質と、さらに、Gaを含む物質、Alを含む物質、Bを含む物質、Laを含む物質、Erを含む物質及びTmを含む物質からなる群より選ばれる1種以上とを混合して、混合物を調製する。原料となるBiを含む物質及びSiを含む物質と、さらに、Gaを含む物質、Alを含む物質、Bを含む物質、Laを含む物質、Erを含む物質及びTmを含む物質からなる群より選ばれる1種以上とは、それぞれ、Bi、Si、Ga、Al、B、La、Er、Tmの元素を含む物質であれば、金属元素単体、酸化物、ハロゲン化物、炭素化物又はこれらの元素の2種以上を含む複合酸化物等のどんな物質でもよいが、1種の元素の酸化物であることが好ましい。酸化物としては、例えば、Bi、SiO、Ga、Al、B、La、Er、Tmを使用することが特に好ましい。また、これらの酸化物は、粉末であることが好ましい。なお、Er又はTmを含む場合の光導波路のコア膜用のターゲットを作製するには、上記の組成にYbを含む物質を含有することが好ましく、上記組成物と同様、ハロゲン化物、炭素化物等のどんな化合物でもよいが、酸化物であることが好ましい。酸化物としては、例えば、Yb挙げられる。また、使用する原料の平均粒径については、平均粒径30μm以下のものが好ましい。
本発明で得られたターゲットは、適宜、成型して、バッキングプレートへボンディングして使用できる。成型方法としては、切断や研摩による方法が挙げられる。バッキングプレートとしては、銅、ステンレス鋼等のものが使用でき、ボンディング方法としては、インジウムによるボンディングが挙げられる。
本発明により得られるターゲットを使用して、スパッタリング法で製膜することにより、ターゲットとほぼ同じ組成の薄膜も容易に形成できる。また、本発明により得られるターゲットは金属酸化物の安定な物質で形成されていることから、特別な取り扱いは必要とせず容易である。本発明で得られるターゲットは、スパッタリング法としては、RFスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、レーザーアブレーション法等に使用できる。
スパッタリングは、適宜必要に応じた条件で行うことができる。スパッタリングを行う雰囲気としては、アルゴン、酸素の混合ガス雰囲気下で行われることが好ましい。酸素の流量比は全体のガス流量に対して1〜5%が好ましく、圧力は0.1〜0.3Paであることが好ましい。また、スパッタリングは、例えば、13.56MHzの高周波放電で行い、ターゲットへの投入電力は、1〜5W/cmであることが好ましい。また、スパッタリングする際の基板の温度は20〜150℃で行うことが好ましい。基板の温度が150℃超であると、Biが揮散するため、得られる膜中でのBiの濃度が低下するので好ましくない。
薄膜を形成するための基板としては、ヤング率が50GPa以上の物質であることが好ましい。このような物質として、Si、GaAs、Al(サファイアも含む)、MgO、等の結晶、石英ガラス、ソーダライムシリカガラス、無アルカリガラス等のガラスが挙げられる。基板の形状は限定されないが、薄膜が形成される面は典型的には平面であることが好ましい。また、基板の厚さは0.3〜20mmが好ましい。なお、基板としては、上述したSi等の基板に限定されず、当該基板上に薄膜が形成されたものも使用することができる。
本発明において、得られるスパッタリング用ターゲットを使用して得られた薄膜は、本発明のターゲットとほぼ同じ組成のものが得られるので好ましい。この得られた薄膜は、光導波路材料として使用することができる。本発明において、薄膜の厚さは、適宜、必要に応じて設定されるが、1〜20μmが好ましく、3〜10μmが特に好ましい。
以下に、例1、2(実施例)及び例3(比較例)を示す。例1〜3において、屈折率はメトリコン社製の屈折率測定器(商品名:2010型プリズムカプラ)を使用して、波長1304nmで測定した。なお、以下、特に言及しない限り、質量%は%であらわす。
[例1]
以下に示す高純度化学研究所社製の粉末状試薬について、それぞれ、
Bi(純度99.999%、平均粒径20μm)が75.4%、
SiO(純度99.9%、平均粒径4μm)が6.6%、
Ga(純度99.9%、平均粒径20μm)が12.7%、
Al(純度99.9%、平均粒径20μm)が1.4%、
(純度99.9%、平均粒径20μm)が1.3%、
La(純度99.9%、平均粒径20μm)が1.7%、
Er(純度99.9%、平均粒径20μm)が0.7%、
CeO(純度99.9%、平均粒径20μm)が0.1%
の割合で調合した後、らいかい機により乾式で混合して混合物を得た。この混合物を電気炉で1150℃に加熱して溶融し、その後、ステンレス板上に流し出して、放冷したところ、直径101.6mmの円形のガラス化した生成物が得られた。得られた生成物を厚み3mmまで研削し、スパッタ装置用のバッキングプレートに接着剤としてインジウムを使用してボンディングすることによりスパッタリング用ターゲットT1を作製した。
このターゲットT1を使用してスパッタリングして、ソーダライムシリカガラス円形基板(厚み1mm、直径76.2mm)上に厚み約4μmの膜F1を形成した。なお、スパッタリングの際、基板は加熱せず、スパッタリング用ガスとしてAr及びOをそれぞれ標準状態換算で流量30sccm、0.75sccmでチャンバ内に導入し、圧力0.3Paの状態で、ターゲットT1への高周波電力1.23W/cmで、16時間製膜を行った。得られた膜F1をX線回折で測定したところ、回折ピークは認められなかった。得られた膜F1のBi/SiOのモル比を縦軸に、ターゲットT1のBi/SiOのモル比を横軸にして図2の点アに示す。図2より、膜F1とターゲットT1のBi/SiOのモル比は、ほぼ一致することがわかる。
また、引き続き製膜した際の膜F1の屈折率とターゲットT1の使用時間との関係を図3の折れ線アに示す。図3により、スパッタリングによるターゲットT1の使用時間が130時間経過した後も、膜F1の屈折率の値は、製膜当初の値とほぼ同じ値であり、ターゲットT1の使用時間に関わらず、屈折率が再現性よく製膜されていることがわかる。
[例2]
例1と同じ、以下に示す粉末状試薬について、それぞれ、
Biが77%、
SiOが7.9%、
Gaが10.4%、
Alが2.8%、
Laが1.8%、
CeOが0.1%
の割合で調合した後、例1と同様の操作を行い、直径約50mm、長さ約50mm、重さ約300gのバルクガラスを得た。
このバルクガラスをメノウ乳鉢を使用して、粉砕して平均粒径10μmの粒状粉末を得た。この粉末をカーボン製の直径10cm、厚さ10mmの円筒状の型に入れ、圧力20MPaで、温度800℃に加熱して焼結物を得た。得られた焼結物の円周、表裏両面を研磨して成形した後、例1と同様にして操作を行い、ターゲットT2を作製した。
例1において、ターゲットT2を使用する以外は、同様にして操作を行い、ソーダライムシリカガラス円形基板上に厚み4μmの膜F2を形成した。得られた膜F2をX線回折で測定したところ、回折ピークは認められなかった。また、例1と同様、得られた膜F2のBi/SiOのモル比を縦軸に、ターゲットT2のBi/SiOのモル比を横軸にして図2の点イに示す。例1と同様、図2により、膜F2とターゲットT2のBi/SiOのモル比は、ほぼ一致することがわかる。
また、例1と同様、引き続き製膜した際の膜F2の屈折率とターゲットT2の使用時間との関係を図3の折れ線イに示す。図3により、スパッタリングによるターゲットT2の使用時間が330時間経過した後も、膜F2の屈折率の値は、製膜当初の値とほぼ同じ値であり、ターゲットT2の使用時間に関わらず、屈折率が再現性よく製膜されていることがわかる。
[例3]
例1と同じ、下記粉末状試薬について、それぞれ、
Biが67%、
SiOが8.7%、
Gaが13.9%、
Alが1.5%、
が1.4%、
Laが5.8%、
Erが1.6%
の割合で調合して、らいかい機により乾式混合して混合物を得た。この混合物を使用して、例2と同様にして操作を行い、カーボン製の円筒状の型を使用して加熱して、焼結物を得た。得られた焼結物の円周、表裏両面を研磨して成形した後、例1と同様にして操作を行い、ターゲットT3を作製した。
例1と同様にして操作を行い、ターゲットT3を使用してスパッタリングを行い、ソーダライムシリカガラス円形基板上に厚み4μmの膜F3を形成した。得られた膜F3をX線回折で測定したところ、回折ピークは認められなかった。また、例1と同様、膜F3のBi/SiOのモル比と、ターゲットT3のBi/SiOのモル比の関係を図2に点ウで示す。ターゲットT3のBi/SiOのモル比に比べて、膜F3のモル比Bi/SiOが、大きくずれていることがわかる。
また、例1と同様、引き続き製膜した際の膜F3の屈折率とターゲットT3の使用時間との関係を図4に示す。図4により、ターゲットT3の使用時間の増加とともに膜F3の屈折率が徐々に減少することがわかり、また、ターゲットT3の使用時間が170時間経過した後では、膜F3の屈折率の値は、製膜当初の値に比べて約0.005も小さくなることも確認される。
本発明のスパッタリング用ターゲットを使用することにより得られる薄膜は、光導波路として使用することができ、Er又はTmを含有する場合には、光増幅導波路、非線形光導波路等に好適である。
一般的な光導波路の断面の概念図。 例1〜3において、得られたターゲットを使用して製膜した膜のBi/SiOモル比(縦軸)と、ターゲットのBi/SiOモル比(横軸)との関係を示した図。 例1、2において、得られたターゲットを使用して製膜した膜の屈折率とターゲットの使用時間との関係を示した図。 例3において、得られたターゲットを使用して製膜した膜の屈折率とターゲットの使用時間との関係を示した図。
符号の説明
11:基板
12:下地クラッド膜
13:コア膜
14:上地クラッド膜

Claims (5)

  1. Bi及びSiOを成分とし、かつ、Ga、Al、B、La、Er及びTmからなる群より選ばれる1以上を成分とする組成のガラス状の物質であるスパッタリング用ターゲット。
  2. 前記ターゲットの組成が、質量%で次のとおりである請求項1に記載のスパッタリング用ターゲット、
    Bi 35〜90%、
    SiO 2〜40%、
    Ga 0〜55%、
    Al 0〜50%、
    0〜10%、
    La 0〜10%、
    Er+Tm 0〜10%。
  3. Biを含む物質及びSiを含む物質と、さらに、Gaを含む物質、Alを含む物質、Bを含む物質、Laを含む物質、Erを含む物質及びTmを含む物質からなる群より選ばれる1以上とを混合して混合物を調製する工程、該混合物を溶融した後、冷却してガラス状の物質を得る工程、を経ることを特徴とするスパッタリング用ターゲットの製造方法。
  4. Biを含む物質及びSiを含む物質と、さらに、Gaを含む物質、Alを含む物質、Bを含む物質、Laを含む物質、Erを含む物質及びTmを含む物質からなる群より選ばれる1以上とを混合して混合物を調製する工程、該混合物を溶融した後、冷却してガラス状の物質を得る工程、さらに、該ガラス状の物質を粉砕して得られた粉砕物を焼結して焼結物を得る工程、を経ることを特徴とするスパッタリング用ターゲットの製造方法。
  5. スパッタリング法により薄膜を形成する方法において、請求項1又は2に記載のスパッタリング用ターゲットを使用することを特徴とする光導波路用薄膜の形成方法。
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