JP2005263099A - オートクルーズ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 先行車を一時的に見失ったときであっても車間距離制御の制御性の低下を招くことのないオートクルーズ制御装置を提供する。
【解決手段】 先行車との車間距離および該先行車との相対速度を求め(情報取得手段)、車間距離および相対速度が得られなくなったときには先行車を見失ったとして判定する(ロスト判定手段)。そして先行車を見失ったとき、該先行車を見失う前に求められていた先行車との車間距離および相対速度の情報から現在の上記見失った先行車との車間距離および相対速度を推定し(推定手段)、先行車が存在するときには情報取得手段により求められた車間距離および相対速度を用い、先行車を見失ったときには所定時間に亘って推定した車間距離および相対速度を用いて車間距離制御を実行する(車間距離制御手段)。
【選択図】 図4

Description

本発明は、先行車との車間距離を一定に保つ車間距離制御を実行するオートクルーズ制御装置に関する。
自動車におけるオートクルーズ制御は、設定車速に応じた定速走行を実現する定速走行制御であるが、自車の前方に先行車がいないときには上記定速走行制御を行い、所定の距離範囲内に先行車が存在するときには該先行車との車間距離を一定に保つように自車速を制御する車間距離制御をも備えるものもある。このようなオートクルーズ制御は、基本的には、例えば車速センサにて検出される自車速に応じて目標アクセル開度を求め、この目標アクセル開度に応じてエンジンに対する燃料噴射量を増減制御すると共に、補助ブレーキを適宜作動させて減速を加えながら実行される。ちなみに間距離制御は、例えばレーザレーダやミリ波レーダ等の車間距離センサを用いて先行車との車間距離を検出し、アクセル開度を増減して自車速を制御すると共に、補助ブレーキを作動させて減速制御する等して先行車との車間距離を一定に保つように追従制御することにより実現される(例えば特許文献1を参照)。
特許第3158924号公報
ところで上述した車間距離制御を実行している際、往々にして走行路(道路)の曲がりに起因して先行車を見失うことがある。また先行車が車線変更することで追従対象となる先行車が存在しなくなることがある。このような場合、一般的なオートクルーズ制御においては、その制御形態が上述した車間距離制御から設定車速に基づく定速走行制御に変更される。すると定速走行制御への変更に伴ってその目標車速が設定車速に急に変更され、これに追従するべく急な加速が行われることがあるので、従来においては加速制限値を設けることで急激な加速を防ぐようにしている。
しかしながらこのような加速制限値が設定されていると、例えば車間距離制御を行っている際、先行車の加速に伴って目標車速と自車速との速度差が大きくなるにも拘わらず、自車の加速が制限されて先行車との車間距離が拡がり、ドライバにイライラ感を抱かせる虞がある。また先行車を一時的に見失ったときにも定速走行制御への切り替わりに伴って目標車速が設定車速に変更されるので、先行車を再び捉えて車間距離制御に復帰した場合に目標車間距離からの偏差が大きくなり、車間距離制御の制御性が悪くなると言う問題がある。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、先行車を一時的に見失ったときであっても車間距離制御の制御性の低下を招くことのないオートクルーズ制御装置を提供することにある。
上述した目的を達成するべく本発明に係るオートクルーズ制御装置は、先行車との車間距離を一定に保つ車間距離制御を実行するものであって、特に
<a> レーザレーダやミリ波レーダ等の車間距離センサを用いて先行車との車間距離および該先行車との相対速度を求める情報取得手段と、
<b> この情報取得手段からの上記車間距離および相対速度が得られなくなったとき、上記先行車を見失ったとして判定するロスト判定手段と、
<c> 先行車を見失ったとき、該先行車を見失う前に求められていた先行車との車間距離および相対速度の情報から現在の上記見失った先行車との車間距離および相対速度を推定する推定手段と、
<d> 先行車が存在するときには前記情報取得手段により求められた車間距離および相対速度を用い、先行車を見失ったときには前記推定手段にて推定された車間距離および相対速度を用いて、例えばアクセル開度制御やブレーキ制御を行うことで車速を増減し、これによって車間距離制御を実行する車間距離制御手段と
を備えることを特徴としている。
即ち、本発明に係るオートクルーズ制御装置は、先行車を見失ったとき(ロストしたとき)、先に求められていた先行車との車間距離および相対速度の情報から上記見失った先行車との現在の車間距離および相対速度を推定し、この推定した車間距離および相対速度に従って車間距離制御を継続して行うことを特徴としている。そして先行車が完全に存在しないことが確認されたときに定速走行制御に移行することを特徴としている。
好ましくは請求項2に記載するように前記ロスト判定手段は、先行車を見失った期間が予め設定した時間を上回るとき、先行車が存在しなくなったと判定して前記推定手段の作動を停止させると共に、前記車間距離制御に代えて設定車速に基づく一定速度制御を実行させるように構成される。また請求項3に記載するように前記推定手段においては、前回求められている相対速度Voldを現在の相対速度Vnewとして推定すると共に、この推定した相対速度Vnewと推定処理の周期Tとの積(Vnew・T)を前回求められている車間距離Loldに加算して現在の車間距離Lnewを推定することが望ましい。
このようにして車間距離制御の実行中に先行車を見失ったとき(ロストしたとき)、それまでに求められていた先行車との車間距離および相対速度から上記先行車の現在の車間距離および相対速度をそれぞれ推定し、これらの推定した車間距離および相対速度を用いて上記車間距離制御を継続して実行するようにしたオートクルーズ制御装置によれば、先行車を一時的に見失った後に再度、先行車を捕捉しても、上述した如く推定した車間距離および相対速度を用いて上記車間距離制御を継続して実行しているので、目標車間距離に大きな偏差が生じることがなく、従って違和感のない円滑な車間距離制御を実行し得る。
また先行車を見失ったとき、その制御形態を直ぐに定速走行制御に変更することがないので、目標車速が急激に変化する虞がなく、徐々に目標車速を設定車速に近付けていくことが可能となる。更には目標車速の急激な変化を抑えることができるので、従来のような加速制限値を設定する必要がなくなるので、例えば先行車が加速した場合であっても、これに追従した円滑な車間距離制御を行うことが可能となるので、ドライバにイライラ感を抱かせるような不具合を招来することがない等の効果が奏せられる。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係るオートクルーズ制御装置について説明する。
このオートクルーズ制御装置における車間距離制御は、図1にその概念を示すように自車(トラック)Aの前方を走行している先行車Bとの車間距離Lを一定に保つように自車速を制御するものである。この車間距離制御は、車速センサを用いて自車速を検出すると共に、例えばレーザレーダやミリ波レーダを用いて先行車Bとの車間距離Lや相対速度を検出しながら実行される。尚、上記オートクルーズ制御装置においては自車Aの前方に先行車Bが存在しないとき、専ら、設定車速に基づいて自車速を一定に保つ定速走行制御が実行される。
さて上記車間距離制御および定速走行制御は、基本的には自車速、車間距離、先行車との相対速度等から目標とするアクセル開度情報(擬似アクセル開度)を求め、このアクセル開度情報に応じてエンジンに対する燃料噴射量を決定して自車速を制御する共に、自車Aが備える複数種の補助ブレーキや主ブレーキを作動させて自車Aを減速制御することにより実現される。上記補助ブレーキは、例えばエンジンの回転負荷を利用したエンジンブレーキ、排気圧を利用した排気ブレーキ、エンジンに設けられた特定の弁(第3弁)を圧縮行程から排気行程に掛けて開くことにより発生する負の仕事量を利用した圧縮圧開放エンジンブレーキ、更には流体継手におけるステータのブレード角を変化させてフルードの流れを調節する流体式リターダや電磁式のリターダ等からなる。
また主ブレーキは、例えば図2にその概略的な構成を示すように、基本的にはエアタンク1に得られている圧縮空気(空気圧)をコントロールバルブ2(2FL,2FR,2RL,2RR)を介して前後左右の各車輪(図示せず)に組み込まれたブレーキチャンバ3(3FL,3FR,3RLA,3RRA,3RLB,3RRB)にそれぞれ与えることにより各車輪に制動力を加えるように構成される。特に電子制御式の主ブレーキにおいては、ブレーキペダル機構4の踏圧操作量等を検出するブレーキ制御用のコンピュータ(EBS-ECU)5からの電気的な制御信号により前記各コントロールバルブ2の作動を制御することで、その制動力(チャンバ圧)を制御するようになっている。
尚、この電子制御式の主ブレーキにおいては、仮にECUの故障等によって前記各コントロールバルブ2の電気的な制御に失陥が生じた場合であっても、前記ブレーキペダル機構4に踏圧操作量に応じたチャンバ圧が前記コントロールバルブ2を介して各ブレーキチャンバ3にそれぞれ印加されるようになっている。つまりエアタンク1からの圧縮空気を、前記ブレーキペダル機構4を介して前記各ブレーキチャンバ3にそれぞれ供給するエア供給系が、前述した電子制御によるエア供給系に対して併設されている。
そして本発明に係るオートクルーズ制御における主ブレーキの制御は、後述するようにオートクールズ制御用のコンピュータ(ACC-ECU)6から前記ブレーキ制御用のコンピュータ(EBS-ECU)5に対して減速制御に必要な目標チャンバ圧を与え、該コンピュータ(EBS-ECU)5を前述したブレーキ機構4の操作とは独立して外部的に与えることにより達せられる。
本発明に係るオートクルーズ制御装置は、上述した車間距離制御を実行している際、一時的に先行車Bを見失った(ロストした)場合においても上記車間距離制御を継続して行うようにしたものであり、特に先行車Bを見失う前に求められていた該先行車Bとの車間距離と相対速度とに基づいて見失った先行車の現在の車間距離と相対速度とを推定し、これらの推定した車間距離と相対速度とを用いて車間距離制御を実行することを特徴としている。
具体的には前回求められている相対速度Voldを現在の相対速度Vnewとして推定すると共に、この推定した相対速度Vnewと推定処理の周期Tとの積(Vnew・T)を前回求められている車間距離Loldに加算して現在の車間距離Lnewを推定し、つまり車間距離制御に用いる相対速度と車間距離とを
Vnew = Vold
Lnew = Lold +(Vnew×T)
として求め、これらの相対速度Vnewと車間距離Lnewとに従って目標車速を求めて車間距離制御を実行することを特徴としている。そして所定時間に亘って先行車Bを見失った状態が継続したとき、この状態を先行車Bが存在しなくなったと判定して定速走行制御に移行することを特徴としている。
さてこのような制御を実行するオートクルーズ制御装置は、概略的には図3に示すように構成される。尚、この図3に示す機能ブロック構成のオートクルーズ制御装置は、オートクルーズ制御を担うコンピュータ(ECU)上でのソフトウェアとして実現されることもある。そしてこのオートクルーズ制御装置は、車速センサにより検出される自車速の情報、オートクルーズの指示操作によって与えられる設定車速と設定車間距離の情報、およびミリ波レーダ等の車間距離センサから得られる先行車Bとの車間距離および相対速度の情報をそれぞれ入力データとして取り込んで制御動作を実行する。
オートクルーズ制御を実行しない場合にはオートクルーズ制御スイッチ11がオフ(OFF)側に切り換えられていることから、アクセルペダル(図示せず)に取り付けられたアクセル開度センサから求められた、実際にドライバが操作しているアクセル開度情報がエンジンECU12に与えられる。そして上記アクセル開度情報に基づいて燃料噴射量が決定され、これによって車速の制御が実行される。これに対してオートクルーズ制御を実行する場合には、前記オートクルーズ制御スイッチ11がオン(ON)側に切り換えられ、以下に説明するように自車速等に基づいてアクセル開度増減制御部13が求めた擬似的なアクセル開度増減情報が加算器14を介して前記エンジンECU12に与えられるようになっている。尚、上記加算器14は、エンジンECU12に与えられていた前回のアクセル開度情報に上記アクセル開度増減制御部13から出力される上記アクセル開度増減情報を加算することでエンジンECU12に与える現在のアクセル開度情報(擬似アクセル開度)を求める役割を担う。
ここで上記アクセル開度増減制御部13について説明すると、先行車Bが存在しないときには前記アクセル開度増減制御部13は、差分器15を用いて求められる自車速と設定車速との差(車速偏差)、およびこの車速偏差を微分器16を介して微分した値(車速偏差の変化率)とを入力し、これらの情報に従って前記車速偏差を0(零)とするべく擬似的なアクセル開度の増減量(アクセル開度増減情報)を求めている。具体的には自車速が設定車速を上回る場合には前述した擬似アクセル開度を減少させるべく情報が出力され、逆に自車速が設定車速に満たない場合には擬似アクセル開度を増大させるべく情報が出力される。そしてこのようなアクセル開度増減情報を前述した加算器14を介してエンジンECU12に与えらレる。そして上述した如く燃料噴射量が決定されて定速走行制御が実現される。
一方、先行車Bが存在する場合には前記アクセル開度増減制御部13は、前記設定車速に代えて相対車速と車間距離とに基づいて車速増減制御部17が求めている目標車速を用いてその制御を実行している。具体的には上記車速増減制御部17が求めた目標車速と前記自車速との差(車速偏差)を前記差分器15にて演算し、この車速偏差とその微分値とに従って上記車速偏差を0(零)とするべく擬似的なアクセル開度の増減量(アクセル開度増減情報)を求めるものとなっている。そしてこのアクセル開度増減情報がエンジンECU12に入力されて、上述した定速走行制御および車間距離制御が行われる。
また上記車速増減制御部17が求めた目標車速の情報は、同時に目標減速度制御部18に与えられている。この目標減速度制御部18は、設定車間距離と車間距離とに従って演算器19が求めた車間距離偏差と前記車速増減制御部17が求めた目標車速とに従って自車Aに制動を加える必要があるか否かを判断する役割を担っている。具体的には前述したように擬似アクセル開度に基づいて燃料噴射量を決定し、これにより車速(またはエンジントルク)を制御するだけで車間距離を一定に保持し得るか否かを判断している。そして車速制御だけでは車間距離を一定に保持できない場合には、前述した車間距離と相対速度とに従って、具体的にはこれらの情報から求められる上述した目標車速および車間距離偏差の情報に基づいて目標減速度f0を算出し、その情報(目標減速度f0)を目標制動力演算部20に与えてブレーキ制御を実行する。
この目標制動力演算部20は、上述した目標減速度f0を得る上で必要な制動力(目標制動力)を自車Aの運動特性等から計算するものである。この目標制動力が補助ブレーキ制動力演算部21に与えられて自車Aが備える補助ブレーキ22の作動によって得られる制動力が計算され、また上記補助ブレーキ制動力演算部21の制御の下で補助ブレーキ22が駆動される。また上記補助ブレーキ制動力演算部21にて求められた補助ブレーキ22による制動力は、差分器24に与えられており、前記目標制動力演算部20が求めた目標制動力との差が、特に補助ブレーキ22の作動によって得られる制動力だけでは満たすことのできない前記目標制動力の不足分が求められている。
目標チャンバ圧演算部25は、上記差分器24により求められた不足制動力の情報に従い、主ブレーキ26にて上記不足した制動力を発生させる為のチャンバ圧を計算し、このチャンバ圧の情報を主ブレーキ26の前述したECU5に与えて該主ブレーキ26を作動させるものとなっている。即ち、この目標チャンバ圧演算部25は、前記補助ブレーキ22の作動だけでは前述した目標減速度を達成することができない場合に駆動され、不足する減速度を主ブレーキ26の作動によって得るべく、該主ブレーキ26に与えるチャンバ圧を求めている。このような補助ブレーキ22の作動制御と、主ブレーキ26の作動制御により前述した車間距離制御を行う上で必要な減速度の制御が実行される。
基本的には上述した如く構成されるオートクルーズ制御装置において本発明が特徴とするところは、前記車速増減制御部17がその入力データである相対車速と車間距離の入力の有無を判定して先行車Bの存在を確認するロスト判定機能31と、このロスト判定機能31にて一時的に先行車を見失った(ロストした)ことが検出されたとき、既に求められている前回の相対距離と車間距離とを用いて、見失った先行車Bの現時点における相対距離と車間距離とを推定する推定処理機能32とを備えている点にある。
このロスト判定機能31および推定処理機能32は、例えば図4に示す処理手順に従って先行車Bに対するロスト判定を実行し、その実行結果に基づいてオートクルーズ制御に用いる目標車速を求めるように構成される。即ち、ロスト判定機能31においては、前述した車間距離センサから先行車Bとの車間距離および相対速度の情報が入力されるか否かを常時監視しており、車間距離および相対速度の情報が入力されている場合には先行車Bが存在し、これらの情報の入力が途絶えたとき先行車Bを見失ったと判定している[ステップS1]。そして先行車Bの存在が確認された場合には、後述する制御フラグFを零(0)に設定した後[ステップS2]、前述したように入力された車間距離および相対速度に基づいて目標車速を求め[ステップS3]、この目標車速を車速制御(オートクルーズ制御;車間距離制御)に供するものとなっている[ステップS4]。
これに対して車間距離および相対速度の情報入力が途絶えた場合、ロスト判定機能31においては前述したフラグFが[1]であるか否か、つまり前回の判定処理時にも車間距離および相対速度の情報入力が途絶えていたか否か(先行車Bを見失っていたか否か)を判定している[ステップS5]。そして前回には先行車Bの存在を確認しており、これに伴ってフラグFが[0]に設定されていることが判定されたならば、先行車Bを見失っている継続時間を計測するためのタイマー(図示せず)をリセットしてその計時を開始させ[ステップS6]、前記フラグFを[1]にセットする[ステップS7]。このフラグFのセットにより、先行車Bを見失った状態であることが示される。
しかる後、上記タイマーによって計時される、先行車Bを見失った状態の継続時間がタイムオーバとなったか否かを判定し[ステップS8]、タイムオーバでない場合には、先行車Bを一時的に見失っただけの状態であると看做している。またタイムオーバである場合には、先行車Bが車線変更する等して車間距離制御の対象範囲内に存在しなくなったとして判定している。
そして先行車Bを一時的に見失っただけの状態である場合には、前記推定機能32を用いて見失った先行車Bの車間距離と相対速度とをそれぞれ推定する。具体的には先行車Bとの相対速度が変化していないものと看做して、前回求められている相対速度Voldを現在の相対速度Vnewとして求め[ステップS9]、車間距離については前回求められている車間距離Loldに、上記相対速度Vnewとサンプリング時間Tとを乗じて求められる車間距離変化分を加算して現在の車間距離Lnewを推定する[ステップS10]。尚、上記サンプリング時間Tは、相対速度および車間距離を求めて車間距離制御を実行する上での動作周期である。
即ち、この推定処理は、先行車Bの車速が一定に保持されていると看做して実行されるもので、現時点での相対速度が前回の相対速度のまま維持されていると看做して
Vnew = Vold
として推定する[ステップS9]。また車間距離については、所定の動作周期(サンプリング時間T)を経た分、前回の相対速度で走行した分だけ車間距離が変化することから
Lnew = Lold +(Vnew×T)
として現時点での車間距離を推定するものとなっている[ステップS10]。そしてこのようにして推定した相対速度と車間距離とに基づいて目標車速を求め[ステップS11]、この目標車速を車速制御(オートクルーズ制御;車間距離制御)に供する[ステップS4]。
尚、タイムオーバが検出されて先行車Bが存在しなくなったことが確認された場合には[ステップS8]、予め設定された設定車速を新たな目標車速として求め[ステップS12]、この目標車速を用いて車速制御を実行する[ステップS4]。つまり目標車速を定速走行の目標値である設定車速とすることで、前述した車間距離制御に代えて定速走行制御を実行する。
かくして上述した如く構成されたオートクルーズ制御装置によれば、先行車Bを一時的に見失ったとしても、一時的に先行車Bを見失っている期間においては、該先行車Bを見失う前の相対速度と車間距離とに従い、先行車Bが存在していると看做してその相対速度と車間距離とを推定して車間距離制御を継続して実行するので、先行車Bを再び捕捉した時点での実際の相対速度と車間距離との誤差を少なく抑えることができる。従って目標車速自体も大きく変動することがないので、車速の急激な変化を招来することなく先行車Bに滑らかに追従させることができ、違和感のない車間距離制御を実現することが可能となる。
即ち、図5に先行車Bを一時的に見失った状態を矢印で示すロスト区間として示し、このようなロストを伴う場合における目標車間距離および推定車間距離の変化の様子を示すように、前述した推定処理を用いることで先行車Bを再度捕捉したときに検出される実際の車間距離と、推定した車間距離との偏差を少なく抑えることができるので、目標車間距離に対する制御性を高めることが可能となり、安定した車間距離制御を実行することができる。
そして先行車Bが存在しなくなった場合には、上述した推定値に基づく車間距離制御を行った後に設定速度に基づく定速走行制御に移行するので、目標車速の急激な変化を抑えながら適度な加速制御の下で円滑に自車速を制御することが可能となる。しかも先行車Bを見失っても、即時、定速走行制御に移行せず、推定値に基づいて徐々に車速が増減制御される。これ故、先行車Bを見失った後、直ぐに再捕捉する状況が繰り返される場合であっても、目標車速が徐々に増減されるだけなので前述した加速制限値を設けて大幅な車速変動を制限する必要がない。そして自車Aの車速を円滑に変化させながら、オートクルーズ制御を安定に実行することが可能となる。また加速制限値により加速の度合いが制限されることがないので、真に先行車Bが存在しなくなったことが確認された場合には、速やかに設定車速に基づく定速走行制御に移行することができる。また加速制限されることがないので、先行車が加速した場合には、これに速やかに追従させることができ、ドライバにイライラ感を抱かせることもない等の効果が奏せられる。
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えばオートクルーズ制御の制御周期Tについては、そのシステム仕様に応じて定めれば良いものである。また先行車Bを見失ったとき、これを一時的なものであるか否かを判定する為の前述したタイマーによる管理時間については、3秒程度に設定しておけば十分である。更には相対速度と車間距離とに基づく目標車速の演算については、前述した特許文献1,2等に開示される手法を適宜用いるようにすれば十分である。
また実施形態においては擬似アクセル開度情報に基づいて燃料噴射量を決定し、これによりエンジンECU12での車速制御を実施したが、擬似アクセル開度情報を求めることなく自車速や車間距離、相対車速等に従って直接燃料噴射量を求めて速度制御するようにしても良い。その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
オートクルーズ制御における車間距離制御の概念を示す図。 電子式主ブレーキの概略構成図。 本発明の一実施形態に係るオートクルーズ制御装置の要部概略構成図。 車間距離制御時における先行車のロスト判定と、相対速度および車間距離の推定処理手順の例を示す図。 先行車を一時的に見失ったときの推定車間距離と、先行車を再捕捉した際の実際の車間距離との偏差の様子を示す図。
符号の説明
12 エンジンECU
13 アクセル開度増減制御部
17 車速増減制御部
18 目標減速度制御部
20 目標制動力演算部
22 補助ブレーキ
23 補助ブレーキ制動力演算部
25 目標チャンバ圧演算部
26 主ブレーキ
31 ロスト判定機能
32 推定処理機能

Claims (3)

  1. 先行車との車間距離を一定に保つ車間距離制御を実行するオートクルーズ制御装置であって、
    先行車との車間距離および該先行車との相対速度を求める情報取得手段と、
    この情報取得手段から車間距離および相対速度が得られなくなったとき、上記先行車を見失ったとして判定するロスト判定手段と、
    先行車を見失ったとき、該先行車を見失う前に求められていた先行車との車間距離および相対速度の情報から現在の上記見失った先行車との車間距離および相対速度を推定する推定手段と、
    先行車が存在するときには前記情報取得手段により求められた車間距離および相対速度を用い、先行車を見失ったときには所定時間に亘って前記推定手段にて推定された車間距離および相対速度を用いて車間距離制御を実行する車間距離制御手段と
    を具備したことを特徴とするオートクルーズ制御装置。
  2. 前記ロスト判定手段は、先行車を見失った期間が予め設定した時間を上回るとき、先行車が存在しなくなったと判定して前記推定手段の作動を停止させると共に、前記車間距離制御に代えて設定車速に基づく一定速度制御を実行させるものである請求項1に記載のオートクルーズ制御装置。
  3. 前記推定手段は、前回求められている相対速度Voldを現在の相対速度Vnewとして推定すると共に、この推定した相対速度Vnewと推定処理の周期Tとの積(Vnew・T)を前回求められている車間距離Loldに加算して現在の車間距離Lnewを推定するものである請求項1に記載のオートクルーズ制御装置。
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