JP2005262307A - 中空金属部品の製造方法および製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】出発材たる中空金属素材に対して、しわの発生を防ぎつつ1工程で比較的大きな縮小率の変形を加えることができ、円形断面以外の異形断面や偏心した形状をも比較的容易に付与することができる中空金属部品の製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】出発材たる金属素管Mの内側に第1及び第2芯金14,20を配置しつつ、当該金属素管Mを成形型10のトンネル状成形室13内に配置する。成形室13における金属素管Mの外側領域(17)および金属素管Mと芯金14,20との間にある金属素管Mの内側領域の双方にブースターBによって同等の流体圧を加える。外側領域と内側領域とを圧力的に遮断した状態で、内側領域の圧力を徐々に低下させて両領域間の圧力差を所定時間(3秒以上)をかけて拡大させることにより、金属素管Mを、第1及び第2芯金14,20によって構築される付形部(15,24)の形状に塑性変形させる。
【選択図】 図2
【解決手段】出発材たる金属素管Mの内側に第1及び第2芯金14,20を配置しつつ、当該金属素管Mを成形型10のトンネル状成形室13内に配置する。成形室13における金属素管Mの外側領域(17)および金属素管Mと芯金14,20との間にある金属素管Mの内側領域の双方にブースターBによって同等の流体圧を加える。外側領域と内側領域とを圧力的に遮断した状態で、内側領域の圧力を徐々に低下させて両領域間の圧力差を所定時間(3秒以上)をかけて拡大させることにより、金属素管Mを、第1及び第2芯金14,20によって構築される付形部(15,24)の形状に塑性変形させる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、流体圧を用いた中空金属素材の塑性変形により中空金属部品を製造する方法に関する。特に、流体圧を用いた金属素管の塑性変形により部分的に縮径された中空金属部品を製造する方法及び装置に関するものである。
従来、円筒状の金属素管の端部(管端)にその素管の径よりも小径な縮径部を成形する手法としてスピニング加工法が知られている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、スピニング加工法には次のような欠点がある。第1に、スピニング加工では1工程あたりの加工量が少なく、加工を何工程も逐次的に繰り返す必要があるため、所望の縮径率の縮径部を得るまでの加工時間が長くなる傾向にある。第2に、スピニング加工は基本的に複数のロール体を用いた回転加工であるため、被縮径部位は管端に限定されるばかりか、縮径部の断面形状も円形状にほぼ限定され、円形断面以外の異形断面を有する縮径部を形成することが難しい。第3に、スピニング加工により金属素管に対し縮径部を偏心させるためには、特許文献1に開示されたような複雑な管端成形装置が必要となり、設備費用の負担が大きくなる。
なお、スピニング加工法とは異なる加工手法としてバルジ成形法が知られている。バルジ成形法は液圧を利用して出発材を膨張させ形を整える方法であるため、一般に成形品にしわが発生することはない。これに対し、液圧を用いて出発材を縮小成形する方法は実用化されていない。というのも、単純な縮小変形では製品にしわが残るのが常であり、しわによって製品価値が損なわれてしまうからである。
本発明の目的は、出発材たる中空金属素材に対して、しわの発生を防ぎつつ1工程で比較的大きな縮小率の変形を加えることができると共に、円形断面以外の異形断面や偏心した形状をも比較的容易に付与することができる中空金属部品の製造方法を提供することにある。また、そのような製造方法の実施に適した中空金属部品の製造装置を提供することにある。
請求項1の発明は、流体圧を用いた金属素材の塑性変形により中空金属部品を製造する方法であって、出発材たる中空な金属素材の内側に付形型を配置しつつ当該中空金属素材を密閉可能な成形室内に配置する準備工程と、前記成形室における中空金属素材の外側領域および前記中空金属素材と付形型との間にある中空金属素材の内側領域の双方に同等の流体圧を加える加圧工程と、前記外側領域と内側領域とを圧力的に遮断した状態で、外側領域の圧力よりも内側領域の圧力が低くなるようなやり方で外側領域と内側領域との間の圧力差を所定時間をかけて拡大させることにより、中空金属部材を前記付形型の外形状に対応する形状に塑性変形させる差圧変形工程とを備えることを特徴とする中空金属部品の製造方法である。
請求項1の製造方法によれば、出発材たる中空金属素材を成形室に配置すると共に中空金属素材の内側に付形型を配置した状態から、その中空金属素材の外側領域および内側領域(中空金属素材と付形型との間の領域)に同等の流体圧を加え、その後に外側領域と内側領域とを圧力的に遮断した状態で、外側領域の圧力よりも内側領域の圧力が低くなるようなやり方で外側領域と内側領域との間の圧力差を所定時間をかけて拡大させるという手法をとっている。中空金属素材を挟む外側領域と内側領域との間の圧力差の拡大に伴い、中空金属素材は縮小方向(外から内に向かう方向)に塑性変形し、外側領域と内側領域との間の圧力差が一定レベルを超えたときに中空金属素材は付形型にほぼ押し付けられて当該付形型の外形状に対応する形状(所望の形状)に成形される。
この製造方法によれば、外側領域と内側領域との間の圧力差を所定時間をかけて徐々に拡大するため、縮小方向への変形加工であるにもかかわらず、最終的に得られる中空金属部品にしわが生じ難いという利点がある。また、出発材たる中空金属素材の内外の流体圧をコントロールするだけなので、1工程の加工で比較的大きな縮小率の変形を加えることができ加工時間短縮につながる。更に、中空金属素材の外から内に作用する流体圧を利用した一種の型押し成形であるため、付形型の形状を変更するだけで変形加工後の形状を自由に設定できる。それ故、円形断面以外の異形断面部や、出発材たる中空金属素材の中心軸に対して偏心した部位を比較的容易に形成することができる。
請求項2の発明は、流体圧を用いた金属素管の塑性変形により部分的に縮径された中空金属部品を製造する方法であって、出発材たる金属素管の内側にその金属素管の一部に縮径部を付形するための芯金を配置しつつ当該金属素管を密閉可能な成形室内に配置する準備工程と、前記成形室における金属素管の外側領域および前記金属素管と芯金との間にある金属素管の内側領域の双方に同等の流体圧を加える加圧工程と、前記外側領域と内側領域とを圧力的に遮断した状態で、前記内側領域の圧力を徐々に低下させて外側領域と内側領域との間の圧力差を所定時間をかけて拡大させることにより、金属素管の一部を前記芯金の外形状に対応する形状に塑性変形させる差圧変形工程とを備えることを特徴とする中空金属部品の製造方法である。
請求項2の製造方法によれば、出発材たる金属素管を成形室に配置すると共に金属素管の内側に、その金属素管の一部に縮径部を付形するための芯金を配置した状態から、その金属素管の外側領域および内側領域(金属素管と芯金との間の領域)に同等の流体圧を加え、その後に外側領域と内側領域とを圧力的に遮断した状態で、内側領域の圧力を徐々に低下させて外側領域と内側領域との間の圧力差を所定時間をかけて拡大させるという手法をとっている。金属素管を挟む外側領域と内側領域との間の圧力差の拡大に伴い、金属素管は縮径方向に塑性変形し、外側領域と内側領域との間の圧力差が一定レベルを超えたときに金属素管の一部が付形用芯金に押し付けられて当該芯金の外形状に対応する形状(所望の形状)に成形される。
この製造方法によれば、外側領域と内側領域との間の圧力差を所定時間をかけて徐々に拡大するため、縮径方向への変形加工であるにもかかわらず、最終的に得られる中空金属部品にしわが生じ難いという利点がある。また、出発材たる金属素管の内外の流体圧をコントロールするだけなので、1工程の加工で比較的大きな縮径率の変形を加えることができ加工時間短縮につながる。更に、金属素管の外から内に作用する流体圧を利用した一種の型押し成形であるため、付形用芯金の形状を変更するだけで変形加工後の形状を自由に設定できる。それ故、円形断面以外の異形断面を有する縮径部や、出発材たる金属素管の中心軸に対して偏心した縮径部を比較的容易に形成することができる。
なお、請求項1及び請求項2の差圧変形工程における「所定時間」は、出発材となる中空な金属素材又は金属素管の材料特性や塑性変形の程度(例えば縮径率)に応じて、加工時にしわが生じないという目的を達成し得るように適宜設定されるものである。この所定時間の設定については、後記「発明を実施するための最良の形態」の欄に開示した加工例が当業者にとっての参考事例になるものと思われる。
請求項3の発明は、金属素管を部分的に縮径してなる中空金属部品を製造する装置であって、金属素管を配置可能なトンネル状の成形室を有する成形型と、前記成形室内に配置された金属素管の一方の端部内に配置される第1芯金と、前記成形室内に配置された金属素管の他方の端部内に配置されると共に前記第1芯金との間に縮径加工用付形部を構築可能な第2芯金と、前記成形室内に配置された金属素管の外側領域に流体圧を及ぼす外圧付与手段と、前記成形室内に配置された金属素管と、前記第1及び第2芯金によって構築される縮径加工用付形部との間にある金属素管の内側領域に流体圧を及ぼす内圧付与手段と、前記外側領域と内側領域との間の圧力的な連通遮断を制御すると共に、外側領域と内側領域とが圧力的に遮断された状態で内側領域の圧力を徐々に低下させて外側領域と内側領域との間の圧力差を所定時間をかけて拡大させる差圧制御手段とを備えることを特徴とする中空金属部品の製造装置である。
請求項3の製造装置によれば、請求項2の製造方法を円滑且つ確実に実施することができる。即ち、成形室内に配置された金属素管の両端部内に配置された第1及び第2の芯金によって縮径加工用付形部が構築されると共に、外圧付与手段、内圧付与手段および差圧制御手段の協調動作により、金属素管を挟む外側領域と内側領域(金属素管と縮径加工用付形部との間の領域)との間の圧力的な連通遮断および圧力差が制御される。そして、その圧力差の拡大に伴い、金属素管は縮径方向に塑性変形し、外側領域と内側領域との間の圧力差が一定レベルを超えたときに金属素管の一部が縮径加工用付形部に押し付けられて当該付形部の外形状に対応する形状(所望の形状)に成形される。なお、この装置の構成要素は比較的単純であるため、設備費用の負担は少ない。
請求項4の発明は、請求項3に記載の中空金属部品の製造装置において、前記第1芯金には略円錐状の径変部加工面が設けられ、前記第2芯金には前記第1芯金の径変部加工面と対向する略円錐状の径変部加工面が設けられており、第1芯金の径変部加工面及び第2芯金の径変部加工面によって前記縮径加工用付形部が構築されることを特徴とする。
請求項4によれば、第1及び第2の芯金にそれぞれ設けられた略円錐状の径変部加工面が対向することで、両芯金の結合域には、断面V字型の環状溝状の縮径加工用付形部が構築される。
請求項5の発明は、請求項4に記載の中空金属部品の製造装置において、前記第1芯金は、前記トンネル状成形室内において前記成形型に固定されており、前記第2芯金は、前記成形型のトンネル状成形室に対して挿入離脱可能となっており、第2芯金を成形型のトンネル状成形室に挿入配置したときに、第1芯金の径変部加工面及び第2芯金の径変部加工面によって前記縮径加工用付形部が構築されることを特徴とする。
請求項5によれば、略円錐状の径変部加工面を有する第1芯金が成形型に固定されており、略円錐状の径変部加工面を有する第2芯金を成形型のトンネル状成形室に挿入配置したときに、第1及び第2の芯金にそれぞれ設けられた略円錐状の径変部加工面が対向して縮径加工用付形部が構築されるようになっている。かかる構造によれば、塑性変形の完了後には、第2芯金を成形型から離脱させてトンネル状成形室の一端を開放し、製品を第1芯金から外しつつトンネル状成形室内から円滑に取り出すことが可能となる。即ち、製品を成形型から型外しする際の利便性に優れている。
本発明の中空金属部品の製造方法及び製造装置によれば、出発材たる金属素材に対し、しわの発生を防ぎつつ1工程で比較的大きな縮小率の変形を加えることができると共に、円形断面以外の異形断面や偏心した形状をも比較的容易に付与することができる。
本発明の一実施形態を図1〜図6を参照しつつ説明する。図1に示すように、中空金属部品の製造装置は、本体11及びエンドプレート12からなる成形型10を備えている。エンドプレート12は本体11の上端にボルトで固定されている。成形型本体11の内部には、図1において縦方向に延び且つ横断面円形状(軸直交断面円形状)のトンネル状成形室13が形成されている。エンドプレート12は、成形室13の上端側を閉塞する。
トンネル状成形室13内には、その成形室13の上半分を占めるように第1芯金14が設けられている。第1芯金14の基端部(上端部)はエンドプレート12に対してボルトで固定され成形型10に一体化されている。第1芯金14は、トンネル状成形室13と同心の横断面円形状(軸直交断面円形状)をなすと共に、トンネル状成形室13の内径よりも若干小さな外径を持った円柱形状をなしている。このため、第1芯金14の外周面とトンネル状成形室13の内周面との間には、両者の内外径差に対応する横断面(水平断面)環状の隙間が確保されている。トンネル状成形室13の中央付近に位置する第1芯金14の先端部(下端部)には、円錐面状の径変部加工面15が形成されている。また、第1芯金14の中心には、その下端側に開口した嵌合凹部16が設けられている。この嵌合凹部16には、後記第2芯金20の先端部が嵌入される。
図1に示す製造装置は更に、前記トンネル状成形室13に対して挿入離脱可能な第2芯金20を備えている。第2芯金の基端部(下端部)21はフランジ状に形成されており、第2芯金20をトンネル状成形室13内にその下側から挿入したときに当該基端部21が成形型本体11の下端部に当接することで、成形型10及び第1芯金14に対して第2芯金20が縦方向(軸方向)に位置決めされる(図2参照)。その際、第2芯金20の本体部22はトンネル状成形室13のおよそ下半分を占める。
第2芯金の本体部22は、トンネル状成形室13の内径よりも若干小さな外径(つまり第1芯金14と同じ外径)を持つ円柱形状をなす。また、第2芯金の先端部(上端部)23は、前記第1芯金の嵌合凹部16に嵌入される嵌合凸部23として構成されている。第2芯金20をトンネル状成形室13内に配置したときに当該嵌合凸部23が前記嵌合凹部16に嵌合することで、成形型10及び第1芯金14に対して第2芯金20が横方向(径方向)に位置決めされると共に、トンネル状成形室13及び第1芯金14の中心軸線と第2芯金20の中心軸線とが一致する。その結果、第2芯金本体部22の外周面とトンネル状成形室13の内周面との間には、両者の内外径差に対応する横断面(水平断面)環状の隙間が確保される。
第2芯金20をトンネル状成形室13内に配置したとき、その中央付近に位置することになる第2芯金の本体部22と嵌合凸部23との境界部分には、径の異なる両部22,23を連結する円錐面状の径変部加工面24が形成されている(図1及び図2参照)。第2芯金の径変部加工面24は前記第1芯金の径変部加工面15と対向するように設けられ、且つ仮想水平面に対する両加工面15,24の傾斜角(テーパー角)がほぼ等しくなるように設けられている。このため、第1芯金14の先端部と第2芯金本体部22との接合部分には、それぞれの径変部加工面15,24によって縦断面形状が「V」字状をなす環状溝状の縮径加工用付形部(15,24)が構築される。
図1に示すように、トンネル状成形室13の内周壁には、やや幅広な環状溝17が形成されている。そして図2に示すように、第2芯金20をトンネル状成形室13にセットしたとき、前記幅広な環状溝17に対して、第1及び第2芯金によって構築される前記環状溝状の縮径加工用付形部(15,24)が対向するようになっている。
加工対象物(出発材)となるストレート円筒状の金属素管Mは、第1芯金14及び第2芯金20の各外周面と、トンネル状成形室13の内周面との間に確保される横断面環状の隙間に配置される。その際、前記幅広な環状溝17の上端縁付近及び下端縁付近にそれぞれ、金属素管Mの外周面に内接する上下一対のOリングシール31を配設することで、金属素管Mの外側領域に相当する環状溝17を液密又は気密な環状空間としている。また、前記環状溝状の縮径加工用付形部(15,24)の上端縁付近及び下端縁付近にそれぞれ、金属素管Mの内周面に外接する上下一対のOリングシール32を配設すると共に、第1芯金の嵌合凹部16内において第2芯金の嵌合凸部23の外周面に内接するOリングシール33を配設することで、金属素管Mの内側領域に相当する環状溝状の縮径加工用付形部(15,24)を液密又は気密な環状空間としている。
図2〜図4に示すように、成形型本体11の内部には、幅広な環状溝17によって構築される金属素管Mの外側領域を成形型外に連通させる第1の媒体通路34が設けられている。この第1媒体通路34を介して幅広な環状溝17はブースターBとつながっている。ブースターBは、高圧の圧力媒体(例えば高圧水)を供給する流体圧発生供給源として機能する。また、第2芯金20の内部には、前記金属素管M及び縮径加工用付形部(15,24)によって構築される金属素管Mの内側領域を成形型外に連通させる第2の媒体通路35が設けられている。この第2媒体通路35の末尾には、リリーフ弁36及びその手前の第1開閉弁37が設けられている。更に、第1媒体通路34と第2媒体通路35とは、途中に第2開閉弁38を有する連絡通路39を介して連結されている。つまり、金属素管Mの内側領域は、第2媒体通路35、連絡通路39及び第1媒体通路34を介して流体圧発生供給源としてのブースターBと連通可能となっている。
尚、本実施形態では、第1媒体通路34及びブースターBにより金属素管Mの外側領域に流体圧を及ぼす外圧付与手段が構成され、第2媒体通路35、連絡通路39、第1媒体通路34及びブースターBにより金属素管Mの内側領域に流体圧を及ぼす内圧付与手段が構成される。また、リリーフ弁36、第1開閉弁37及び第2開閉弁38により金属素管Mの外側及び内側両領域間の差圧を制御する差圧制御手段が構成される。
次に、上記製造装置を用いた中空金属部品の製造方法(装置の使用方法でもある)について説明する。加工開始前の準備段階では、第1開閉弁37及び第2開閉弁38が閉弁されると共にブースターBは作動停止している。成形型10から離脱した第2芯金の本体部22に対して金属素管M(本例では鋳鉄製のストレートパイプ)の下半部を外嵌した後、その金属素管付き第2芯金20を成形型のトンネル状成形室13内に挿入する。すると、図2に示すように、第2芯金の嵌合凸部23が第1芯金の嵌合凹部16内に嵌合されて金属素管Mの上半部が第1芯金14に外嵌されると共に、第1芯金の径変部加工面15と第2芯金の径変部加工面24とによって断面V字形の環状の谷間が両芯金14,20間に構築される。このV字形環状谷間は、金属素管Mの内側に位置する付形型としての縮径加工用付形部(15,24)を提供する。更に、前記幅広な環状溝17のあたりには、上下一対のOリングシール31によって液密化された環状空間である金属素管Mの外側領域が確保される。また、前記縮径加工用付形部(15,24)のあたりには、上下一対のOリングシール32及びOリングシール33によって液密化された環状空間である金属素管Mの内側領域が確保される。
トンネル状成形室13内への金属素管Mのセットが完了したら、第2開閉弁38を開くと共にブースターBを作動させる。そして、ブースターBから通路34,39及び35を経由して、前記金属素管Mの外側領域及び内側領域に高圧の圧力媒体(例えば高圧水)を供給する。このとき、金属素管Mの外側領域と内側領域とは通路34,39及び35を介して連通状態にあるため、外側領域及び内側領域の双方の圧力は等しく保たれる。この液圧加工の第1段階である加圧工程では、ブースターBによって、金属素管Mの外側領域及び内側領域の双方に対し約50MPaの流体圧(開始圧P1)が付与される。
次に液圧加工の第2段階である差圧変形工程に移行する。まず最初に連絡通路39中の第2開閉弁38を閉じて金属素管Mの外側領域と内側領域とを圧力的に遮断する。第2開閉弁38を閉弁後も、ブースターBの出力を調整して金属素管Mの外側領域が開始圧P1(約50MPa)を維持するようにする。続いて、第1開閉弁37を開いて金属素管Mの内側領域をリリーフ弁36につなぐ。このリリーフ弁36は、その上流側の圧力が設定圧(この場合は約20MPaの終了圧P2)よりも高いときにはその圧力媒体を下流側に徐々に放出する一方、上流側圧力が設定圧に達したら圧力媒体の放出を停止するように設計されている。それ故、リリーフ弁36の作用により金属素管Mの内側領域の圧力は、開始圧P1から所定時間tをかけて終了圧P2にまで徐々に低下する(図6参照)。尚、本実施形態のリリーフ弁36は、P1からP2までの経過時間tが3秒以上(より好ましくはt=3〜7秒)となるように設計されている。経過時間tが3秒未満であると、金属素管Mの液圧変形時にしわが発生し易くなり所期の効果を得られ難い。試作実験によれば、t=5秒の設定でも金属素管Mの被加工部位におけるしわの発生率をほぼゼロ(%)とすることができた。
第1開閉弁37の開弁時(図6のT=0)には、金属素管Mの外側領域と内側領域との圧力差ΔPがゼロであったものが、所定時間tの経過後にはΔP=P1−P2にまで拡大する。この間、内外の圧力差ΔPの拡大に伴い、金属素管Mは縮径方向に徐々に塑性変形され、外側領域と内側領域との圧力差ΔPが一定レベルを超えたときに、金属素管Mの一部が各径変部加工面15,24に押し付けられ、当該縮径加工用付形部(15,24)の形状に対応する形状に縮径成形される。
上記差圧変形の完了後、ブースターBを停止し、金属素管Mの外側領域及び内側領域から圧力媒体を抜き取る。そして、成形型10から第2芯金20を離脱させてトンネル状成形室13内から液圧加工された金属素管Mを取り出すと、図5に示すような中空金属部品M’を得ることができる。中空金属部品M’は、その長手方向中程において前記縮径加工用付形部(15,24)にて付形された縮径部Msを有する。中空金属部品M’はそのまま完成品として使用することもできるが、縮径部Msの谷底線Qに沿って切断することにより、一つの中空金属部品M’から、一端に円錐面状の絞り部を有する二つの中空金属部品を生み出すこともできる。尚、かかる中空金属部品は、例えば自動車用排気ガス浄化装置の触媒コンバータケースやエアサスペンションチャンバーを製造する際の基材として利用することができる。
このように本実施形態によれば、金属素管Mの外側領域及び内側領域に同等の圧力を加えた状態から金属素管Mの内側領域の圧力を徐々に低下させて金属素管Mの外側領域と内側領域との圧力差ΔPを所定時間tをかけて徐々に拡大するので、加工対象となる素管壁部を構成している金属の伸縮やそれに追従する金属組織変化のための時間的余裕がある。このため、縮径方向への変形加工であっても、最終的に得られる中空金属部品M’の一部(特に縮径部Ms)にしわが発生する事態を防止できる。
また、出発材たる金属素管Mの内外の流体圧をコントロールするだけなので、1工程の加工で比較的大きな縮径率の変形を加えることができ加工時間短縮につながる。更に、金属素管Mの外から内に作用する流体圧を利用した一種の型押し成形であるため、縮径加工用付形部(15,24)の形状を変更するだけで変形加工後の形状を自由に設定することができる。
(変更例)本発明の実施形態を以下のように変更してもよい。
図7(A)及び(B)に示すように、第1芯金14及び第2芯金本体部22に共通の中心軸線L1に対し、第1芯金の嵌合凹部16及び第2芯金の嵌合凸部23に共通の中心軸線L2を偏心させ、その偏心状況に合わせて径変部加工面15,24の各々の円錐面形状を変更した芯金形状を採用することにより、金属素管Mの中心軸線(L1)に対して縮径部Msの中心軸線(L2)が偏心するような縮径加工を施すこと(即ち縮径部Msが偏心した中空金属部品を製造すること)も可能である。
図7(A)及び(B)に示すように、第1芯金14及び第2芯金本体部22に共通の中心軸線L1に対し、第1芯金の嵌合凹部16及び第2芯金の嵌合凸部23に共通の中心軸線L2を偏心させ、その偏心状況に合わせて径変部加工面15,24の各々の円錐面形状を変更した芯金形状を採用することにより、金属素管Mの中心軸線(L1)に対して縮径部Msの中心軸線(L2)が偏心するような縮径加工を施すこと(即ち縮径部Msが偏心した中空金属部品を製造すること)も可能である。
また、上記実施形態及び図7の変更例では、縮径部Msの断面形状を金属素管Mの断面形状と相似な真円形状としたが、第1芯金14及び第2芯金20の横断面形状を変更することにより、縮径部Msの断面形状を楕円又は長円形状(図8参照)や多角形形状等の異形断面形状とすることもできる。
なお、図1〜図3に示す製造装置について、その上下(天地)を逆にして配置できることや、縦置きを横置き(トンネル状成形室13の軸線が水平になるように配置すること)にできることは言うまでもない。
10…成形型、11…成形型の本体、13…トンネル状成形室、14…第1芯金、15…第1芯金の径変部加工面、16…第1芯金の嵌合凹部、20…第2芯金、22…第2芯金の本体部、23…第2芯金の先端部(嵌合凸部)、24…第2芯金の径変部加工面(15,24は縮径加工用付形部を構成する)、34…第1媒体通路、35…第2媒体通路、36…リリーフ弁、37…第1開閉弁、38…第2開閉弁(36,37及び38は差圧制御手段を構成する)、39…連絡通路、B…ブースター(34及びBは外圧付与手段を構成し、34,35,39及びBは内圧付与手段を構成する)、M…金属素管、M’…中空金属部品、Ms…縮径部。
Claims (5)
- 流体圧を用いた金属素材の塑性変形により中空金属部品を製造する方法であって、
出発材たる中空な金属素材の内側に付形型を配置しつつ当該中空金属素材を密閉可能な成形室内に配置する準備工程と、
前記成形室における中空金属素材の外側領域および前記中空金属素材と付形型との間にある中空金属素材の内側領域の双方に同等の流体圧を加える加圧工程と、
前記外側領域と内側領域とを圧力的に遮断した状態で、外側領域の圧力よりも内側領域の圧力が低くなるようなやり方で外側領域と内側領域との間の圧力差を所定時間をかけて拡大させることにより、中空金属部材を前記付形型の外形状に対応する形状に塑性変形させる差圧変形工程と
を備えることを特徴とする中空金属部品の製造方法。 - 流体圧を用いた金属素管の塑性変形により部分的に縮径された中空金属部品を製造する方法であって、
出発材たる金属素管の内側にその金属素管の一部に縮径部を付形するための芯金を配置しつつ当該金属素管を密閉可能な成形室内に配置する準備工程と、
前記成形室における金属素管の外側領域および前記金属素管と芯金との間にある金属素管の内側領域の双方に同等の流体圧を加える加圧工程と、
前記外側領域と内側領域とを圧力的に遮断した状態で、前記内側領域の圧力を徐々に低下させて外側領域と内側領域との間の圧力差を所定時間をかけて拡大させることにより、金属素管の一部を前記芯金の外形状に対応する形状に塑性変形させる差圧変形工程と
を備えることを特徴とする中空金属部品の製造方法。 - 金属素管を部分的に縮径してなる中空金属部品を製造する装置であって、
金属素管を配置可能なトンネル状の成形室を有する成形型と、
前記成形室内に配置された金属素管の一方の端部内に配置される第1芯金と、
前記成形室内に配置された金属素管の他方の端部内に配置されると共に前記第1芯金との間に縮径加工用付形部を構築可能な第2芯金と、
前記成形室内に配置された金属素管の外側領域に流体圧を及ぼす外圧付与手段と、
前記成形室内に配置された金属素管と、前記第1及び第2芯金によって構築される縮径加工用付形部との間にある金属素管の内側領域に流体圧を及ぼす内圧付与手段と、
前記外側領域と内側領域との間の圧力的な連通遮断を制御すると共に、外側領域と内側領域とが圧力的に遮断された状態で内側領域の圧力を徐々に低下させて外側領域と内側領域との間の圧力差を所定時間をかけて拡大させる差圧制御手段と
を備えることを特徴とする中空金属部品の製造装置。 - 前記第1芯金には略円錐状の径変部加工面が設けられ、前記第2芯金には前記第1芯金の径変部加工面と対向する略円錐状の径変部加工面が設けられており、第1芯金の径変部加工面及び第2芯金の径変部加工面によって前記縮径加工用付形部が構築されることを特徴とする請求項3に記載の中空金属部品の製造装置。
- 前記第1芯金は、前記トンネル状成形室内において前記成形型に固定されており、前記第2芯金は、前記成形型のトンネル状成形室に対して挿入離脱可能となっており、第2芯金を成形型のトンネル状成形室に挿入配置したときに、第1芯金の径変部加工面及び第2芯金の径変部加工面によって前記縮径加工用付形部が構築されることを特徴とする請求項4に記載の中空金属部品の製造装置。
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- 2004-03-22 JP JP2004082662A patent/JP2005262307A/ja active Pending
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