JP2005262148A - 光触媒の製造方法および該製造方法によって得られる光触媒、並びにその利用 - Google Patents

光触媒の製造方法および該製造方法によって得られる光触媒、並びにその利用 Download PDF

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範義 角田
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厚範 松田
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生智 水嶋
Hironori Okita
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Abstract

【課題】 可視光に対しても高い触媒活性を示す、ハロゲン化銀の分散状態や担持量が制御された金属酸化物光触媒の製造方法、および該製造方法によって製造される光触媒を提供する。
【解決手段】 臭化銀を含有する光触媒を製造する光触媒の製造方法であって、シリコンアルコキシドから誘導したシリカゾル及び/又はシリカゲル中に臭化銀を分散させる分散工程を有する光触媒の製造方法によれば、紫外光および可視光に対して高い活性を示す光触媒を提供することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ハロゲン化銀を含む光触媒の製造方法および該製造方法によって得られる光触媒、並びにその利用に関するものであり、特に、低温プロセスで、比較的多量のハロゲン化銀を含有する高活性光触媒の製造方法および該製造方法によって得られる光触媒、並びにその利用に関するものである。
光触媒に光を当てると、オゾンよりもはるかに強い酸化力が発生し、ほぼ全ての有害有機化学物質を水や二酸化炭素などの無毒・無臭の物質に分解することができる。光触媒は光を当てるだけで有害物質分解等の化学反応を起こすため、環境にやさしい環境浄化材料として注目されており、近年、この光触媒を利用した関連商品が数多く開発されている。
このような光触媒として最も一般的に使用されているものが、顔料として広く使用されており、歯磨き粉や化粧品にも使われ、食品添加物としても認められている酸化チタンである。酸化チタンは安全・無毒な物質であり、耐久性に優れ、資源的に豊富などの数多くの利点から、光触媒として最もよく利用されている。
このような酸化チタン光触媒は、微粒子を媒体に分散させる方法や、ゾルを基体に塗布してコーティング膜を形成する方法などによって作製される。
しかし、酸化チタンは、紫外光の照射により高い光触媒活性を示すことが知られているが、紫外光に比べて波長の長い可視領域の光では、この光触媒活性が発現しないなどの問題点があった。すなわち、酸化チタン光触媒が利用可能な光は、約380nm以下の紫外線のみであり、これは太陽光のおよそ3%に過ぎない。また、紫外線は室内照明にも含まれているが、ごくわずかに過ぎず、通常の生活空間に存在する光エネルギーのうち、酸化チタン光触媒における光触媒反応に利用できるのは非常に限られたものに過ぎないといえる。したがって、現状の酸化チタン光触媒では、生活空間に存在する光の有効利用という点からみると、効率が低いといわざるを得ない。このため、最近では、光の利用効率を向上させるべく、可視光応答型の光触媒の研究開発が盛んに行われるようになってきている。
例えば、本発明者らは、以前、写真材料として一般に使用されている臭化銀を担持したシリカが光触媒活性を示し、これを水:メタノール系溶液に懸濁させ、紫外光を照射した場合に、安定して水素が発生することを報告している(非特許文献1参照)。この現象は、臭化銀が光照射によって、金属銀に還元され、失活するであろうという一般常識を覆すものであり、光触媒活性を有する新たな物質としてその期待が高まっていた。
N. Kakuta, N. Goto, H. Ohkita and T. Mizushima, The Journal of Physical Chemistry B, 103 [29] 5917-5919 (1999).
しかしながら、臭化銀のシリカマトリクスへの分散状態や担持量を制御することは達成されておらず、高い触媒性能を実現することは、非常に困難であった。このため、臭化銀をシリカマトリクス中に安定に分散させ、担時量を制御する技術の確立が望まれていた。
さらに、生活空間に存在する光の利用効率を高めるという観点からも、可視光を照射することにより光触媒活性を示す物質の開発が強く望まれていた。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、可視光に対しても高い触媒活性を示す、ハロゲン化銀の分散状態や担持量が制御された金属酸化物光触媒の製造方法、および該製造方法によって製造される光触媒、並びにその利用を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、金属アルコキシドから誘導した金属酸化物ゲル中にハロゲン化銀を分散させることにより、ハロゲン化銀の分散状態や担持量が制御された金属酸化物光触媒を得ることができることを見出し、その知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は産業上有用な方法または物質として、下記1)〜11)の発明を含むものである。
1)ハロゲン化銀を含有する光触媒を製造する光触媒の製造方法であって、金属アルコキシドから誘導した金属酸化物ゾル及び/又は金属酸化物ゲル中にハロゲン化銀を分散させる分散工程を有する光触媒の製造方法。
2)上記分散工程は、銀化合物と金属アルコキシドとを含有する混合溶液にハロゲン化水素を添加し、該溶液中にハロゲン化銀を生成させるとともに、該溶液中の金属アルコキシドを加水分解・重縮合させる添加重縮合工程と、上記添加重縮合工程にて得られた溶液にゲル形成剤を添加し、生成したハロゲン化銀の微粒子を沈殿させることなく、ゾルをゲル化させるゲル化工程と、を含む1)に記載の光触媒の製造方法。
3)さらに、上記ゲル化工程にて得られたゲルを、乾燥処理及び/又は加熱処理するゲル熱処理工程を含む2)に記載の光触媒の製造方法。
4)上記分散工程は、銀化合物と金属アルコキシドとを含有する混合溶液にハロゲン化水素を添加し、該溶液中にハロゲン化銀を生成させるとともに、該溶液中の金属アルコキシドを加水分解・重縮合させる添加重縮合工程と、上記添加重縮合工程にて生成したハロゲン化銀の微粒子を分散させた状態でゾルを基体に塗布するゾル塗布工程と、を含んでいる1)に記載の光触媒の製造方法。
5)さらに、上記ゾル塗布工程にて得られたゾル付着基体を、乾燥処理及び/又は加熱処理するゾル熱処理工程を含む3)に記載の光触媒の製造方法。
6)上記添加重縮合工程は、金属アルコキシドが溶解した溶液と、銀化合物が溶解した銀化合物溶液とを混合し、金属アルコキシドと銀化合物とを含有する混合溶液中にて金属アルコキシドを加水分解・縮合重合する重縮合工程と、上記重縮合工程にて得られた混合溶液にハロゲン化水素を添加し、該溶液中にハロゲン化銀を生成させるハロゲン化銀生成工程と、を含む2)〜5)のいずれかに記載の光触媒の製造方法。
7)上記金属アルコキシドは、シリコンアルコキシドである1)〜6)のいずれかに記載の光触媒の製造方法。
8)上記ハロゲン化銀は、少なくとも臭化銀を含む1)〜7)のいずれかに記載の光触媒の製造方法。
9)上記ハロゲン化銀の含量は、上記金属アルコキシドまたは該金属アルコキシドから誘導される金属酸化物に対して、0.1〜20重量パーセントである1)〜8)のいずれかに記載の光触媒の製造方法。
10)上記ゲル形成剤は、アンモニアの水溶液である1)〜9)のいずれかに記載の光触媒の製造方法。
11)上記1)〜10)のいずれかに記載の製造方法によって製造される光触媒。
12)上記11)に記載の光触媒を有する空気処理装置。
13)上記11)に記載の光触媒を有する水処理装置。
14)上記11)に記載の光触媒を有する汚れ防止装置。
本発明に係る光触媒の製造方法によれば、ハロゲン化銀のマトリクス(例えば、シリカマトリックス)中への分散状態や担持量が制御されたハロゲン化銀含有の光触媒を得ることができるという効果を奏する。本光触媒は、紫外光から可視光に対して高い光触媒活性を有するという効果を奏する。さらに、本光触媒は、水の光分解、有害物質の分解、親水化などの高い機能を有するという効果を奏する。
本発明は、金属アルコキシドから誘導した金属酸化物中にハロゲン化銀を均一に分散させた光触媒を製造する方法、および該方法によって製造された光触媒を提供するものである。かかる光触媒は、上述のように、SiO粉末にハロゲン化銀を単に担持させたものに比べて、光触媒活性が強まり、かつ可視光領域のみの光照射でも光触媒活性を示す可視光応答型光触媒であり、非常に有用性が高い。
そこで、以下の説明では、まず本発明に係る光触媒の製造方法について説明し、続いてその製造方法によって製造される光触媒、並びにその利用について説明する。
〔1〕光触媒の製造方法
本発明に係る光触媒の製造方法は、ハロゲン化銀を含有する光触媒を製造する光触媒の製造方法であって、以下で説明する分散工程を有する方法であればよく、その他の具体的な構成、条件、材料等は特に限定されるものではない。
ここで「ハロゲン化銀」とは、周期表の17族のフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アスタチンの5元素のうちのいずれかの元素と銀との塩であればよいが、特に、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀が好適である。中でも臭化銀−ヨウ化銀系固溶体や塩化銀−臭化銀系固溶体は、より長波長の光に感度を有するので好ましい。つまり、本発明に係る光触媒では少なくとも臭化銀を含むことが好ましく、さらには、臭化銀を主成分とすることがより好適である。また、ハロゲン化銀の含量は、上記金属アルコキシドまたは該金属アルコキシドから誘導される金属酸化物に対して、0.1〜20重量パーセントが好ましく、さらには、0.5〜5重量パーセントとすることがより好ましい。
また「光触媒」とは、光触媒反応、つまり触媒あるいは基質の光吸収によっておこる触媒反応、または光の吸収により暗反応の触媒を生成しておこる触媒反応(広義の光触媒反応)を触媒する物質をいう。
このため、「ハロゲン化銀を含有する光触媒」とは、上記ハロゲン化銀を少なくとも含んでいる光触媒反応を触媒する物質であればよい。また、本光触媒は、ハロゲン化銀を1種類のみ含んでいてもよいが、2種以上のハロゲン化銀を含んでいてもよく、さらにハロゲン化銀以外の物質を含んでいてもよいことはいうまでもない。例えば、増感効果の付与を目的として、銀イオンよりも還元されにくい金属イオンを微量添加することが好ましい。増感金属イオンとしては、銅、カドミウムなどが挙げられる。
以下、本製造方法の各工程について詳細に説明する。
〔1−1〕分散工程
本発明において実施される分散工程は、金属アルコキシドから誘導した金属酸化物ゾル及び/又は金属酸化物ゲル中にハロゲン化銀を分散させる工程であればよく、その他の具体的な構成、条件、材料等は特に限定されるものではない。
ここで「金属アルコキシド」とは、アルコキシ基に金属Mが結合した化合物、つまりアルコールのヒドロキシ基の水素を金属Mで置換した化合物であればよく、具体的な構成は特に限定されないが、一般式M(OR)n(Mは金属、ORは単一または異種のアルコキシル基であって、nは2〜4の整数)で表されるものが好ましい。具体的には、例えば、金属Mの部分が、シリコン、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、スズ、インジウム、亜鉛などのアルコキシドが例示できる。これらの中でも、細孔や比表面積の制御が比較的行い易いシリコンアルコキシドが特に好ましい。
シリコンアルコキシドとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどが好ましい。また、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのオルガノアルコキシシランを使用することもできる。なお、上記金属アルコキシドは、単独で使用することができるが、これに限らず2種類以上の金属アルコキシドを組み合わせて使用することもできる。
また「金属アルコキシドから誘導した金属酸化物ゾル」とは、上記金属アルコキシドを重縮合させることにより生成したゾルをいう。また「金属アルコキシドから誘導した金属酸化物ゲル」とは、上記ゾルをゲル化したものである。一般的に、アルコキシド溶液に水(または水溶液)を添加すると、加水分解とともに重縮合がおこり、金属−酸素−金属の結合を含むアルコキシド高分子、またはコロイド状重合体が生成されてゾルとなる。そして、さらに重合が進行するとゲルになることが知られている。
このため、本分散工程は、上記ゾル及び/又はゲルにハロゲン化銀を分散させる工程であればよいといえる。このような分散工程としては、例えば、以下に説明する添加重縮合工程(重縮合工程、ハロゲン化銀生成工程)、ゲル化工程を含む場合が挙げられる。また、本分散工程は、上記各工程以外にも、添加重縮合工程、ゾル塗布工程を含む場合も考えられる。上記の構成により、簡便かつ確実に上記ゾル及び/又はゲルにハロゲン化銀を分散させることができる。以下、分散工程に含まれる各工程について詳細に説明する。
〔1−1−1〕添加重縮合工程
本発明において行われる添加重縮合工程は、銀化合物と金属アルコキシドとを含有する混合溶液にハロゲン化水素を添加し、該溶液中にハロゲン化銀を生成させるとともに、該溶液中の金属アルコキシドを加水分解・重縮合させる工程であればよく、その他の具体的な構成、条件、材料等は特に限定されるものではない。
「銀化合物と金属アルコキシドとを含有する混合溶液」とは、少なくとも銀化合物と金属アルコキシドとを含んでいればよく、具体的な溶媒の種類や銀化合物の種類などは特に限定されない。銀化合物としては、硝酸塩、酢酸塩、ギ酸塩などを使用することができる。例えば、後述の実施例に示すように、溶媒が水である場合、銀化合物として、溶解度が大きい硝酸銀を使用することが好ましい。また、金属アルコキシドとしてシリコンアルコキシドを用いる場合、溶媒としてエタノール等のアルコール系溶媒(アルコール系有機溶媒)を使用するため、混合溶液は、水溶液とアルコール系溶媒との混合溶液となる。上記アルコール系溶媒としては、金属アルコキシドを低温でも安定して溶解させることができるものであれば、特に限定されず、従来公知のアルコール系溶媒を使用することができる。
また「ハロゲン化水素」とは、周期表の17族のフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アスタチンの5元素のうちのいずれかの元素と水素との化合物であればよいが、特に、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素が好適である。すなわち、ハロゲン化水素は、目的とするハロゲン化物イオンを供給するために、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素など適宜選択可能である。なお、場合によっては、ハロゲンを置換基として有する有機化合物を選択して使用することも可能である。また、かかるハロゲン化水素の添加方法としては、従来公知の方法を使用可能であるが、例えば、後述する実施例に示すようにハロゲン化水素を水に溶解させた水溶液を添加する方法が挙げられよう。
また「ハロゲン化銀を生成させる」とは、溶液中の銀化合物と添加したハロゲン化水素とを反応させることによりハロゲン化銀を生成することを意味する。本工程において、生成されたハロゲン化銀は、溶液中に微粒子として存在することになる。
また「金属アルコキシドを加水分解・縮合重合する」とは、金属アルコキシドをゾル化させるという意味である。通常、金属アルコキシドが溶解している溶液に、水を添加することにより、金属アルコキシドを加水分解および重縮合反応を繰り返し、ゾル化させることができる。
なお、「溶液中にハロゲン化銀を生成させるとともに、該溶液中にて金属アルコキシドを加水分解・重縮合させる」とは、ハロゲン化銀の生成と、金属アルコキシドのゾル化とを本工程において実施すればよく、これら反応の順序は特に限定されるものではない。例えば、ハロゲン化銀を生成させた後に金属アルコキシドをゾル化してもよいし、金属アルコキシドをゾル化させた後にハロゲン化銀を生成させてもよい。さらに、金属アルコキシドのゾル化とハロゲン化銀の生成とを同時に行ってもよい。
すなわち、本添加重縮合工程は、以下の2つの工程(重縮合工程、ハロゲン化銀生成工程)を含む場合も考えられる。
〔1−1−1−A〕重縮合工程
本発明において行われる重縮合工程は、金属アルコキシドが溶解した溶液と、銀化合物が溶解した銀化合物溶液とを混合し、金属アルコキシドと銀化合物とを含有する混合溶液中にて金属アルコキシドを加水分解・縮合重合する工程であればよく、その他の具体的な構成、条件、材料等は特に限定されるものではない。
「金属アルコキシドが溶解した溶液」とは、金属アルコキシドが溶解している溶液であれあばよく、具体的な金属アルコキシドや溶媒の種類は限定されるものではないが、金属アルコキシドは、原則としてアルコール系溶媒に溶解するため、アルコール系溶媒を用いることが好ましい。例えば、後述する実施例に示すように、金属アルコキシドとしてシリコンアルコキシドを用いる場合、エタノール溶液を用いることができる。
「銀化合物が溶解した溶液」とは、銀化合物が溶解している溶液であればよく、具体的な銀化合物や溶媒の種類は限定されるものではない。例えば、後述する実施例に示すように、溶媒が水の場合、銀化合物として硝酸銀を使用すれば、銀化合物が溶解した溶液を簡易に作製できよう。
また、金属アルコキシドの加水分解・重縮合反応の制御は適宜行うことができ、例えば、金属アルコキシド、アルコール系溶媒、水の濃度を適宜設定することで、所望の濃度のゾルを形成させることができる。
〔1−1−1−B〕ハロゲン化銀生成工程
本発明において行われるハロゲン化銀生成工程は、上記重縮合工程にて得られた混合溶液に、ハロゲン化水素を添加し、該溶液中にハロゲン化銀を生成させる工程であればよい。ハロゲン化水素の添加方法やハロゲン化銀の生成方法については上述と同様であるため、ここではその説明を省略する。
〔1−1−2〕ゲル化工程
本発明において行われるゲル化工程は、上記ハロゲン化銀生成工程にて得られた混合溶液にゲル形成剤を加え、生成したハロゲン化銀の微粒子を沈殿させることなく、ゾルをゲル化させる工程であればよい。
すなわち、本ゲル化工程は、ハロゲン化銀の微粒子が(均一に)分散されたゾルに架橋促進剤を添加し、ゾルをゲル化させる工程であればよい。また、本工程で使用される「ゲル形成剤」は、ゾルをゲル化させるのに使用される従来公知のゲル形成剤であればよく、その具体的な種類、濃度、条件、構成等は特に限定されるものではないが、例えば、後述する実施例に示すように、アンモニアの水溶液が好ましい。これは、アンモニア水用いた場合、ハロゲン化銀が凝集沈殿する前に全体を固化することができるためである。また、アンモニアの水溶液以外でも、上記ハロゲン化銀生成工程にて得られた混合溶液を塩基性にする効果のある物質なら使用可能である。例えば、NaOH水溶液、KOH水溶液、エチルアミン(CHCHNH)などのアミン類が例示できる。なお、ここでいうゲル形成剤は、架橋形成剤、重合促進剤と称されるものであってもよい。
また、ゲル形成剤の添加は、溶液を攪拌しながら行うことが好ましい。これは、生成したハロゲン化銀の微粒子を沈殿させることなく、ゾルをゲル化させる必要があるためである。したがって、攪拌しながらゲル形成剤を添加しなくとも、生成したハロゲン化銀の微粒子を沈殿させることなく、ゾルをゲル化させることができれば、その他の方法を用いてもよい。例えば、超音波を照射することによって、生成したハロゲン化銀の微粒子の沈殿を防止しつつ、ゲル形成剤を添加することによりゾルをゲル化させてもよい。
本発明で行われる分散工程の一例としては、上記〔1−1−1〕欄で説明した添加重縮合工程と〔1−1−2〕欄で説明したゲル化工程とが含まれていればよい。
〔1−1−3〕ゾル塗布工程
また、本発明に係る光触媒の製造方法において、分散工程は、上記〔1−1−1〕欄で説明した添加重縮合工程と、ゾル塗布工程とを含む工程であってもよい。
本発明において行われるゾル塗布工程は、上記添加重縮合工程にて生成したハロゲン化銀の微粒子を分散させた状態でゾルを基体に塗布する工程であればよく、その他の具体的な工程、条件、材料等は特に限定されるものではない。
つまり、本ゾル塗布工程は、ハロゲン化銀の微粒子の沈殿を防ぎ、ハロゲン化銀の微粒子をゾル中に均一に分散させた状態で、該ゾルを基体に塗布する工程であればよい。
ここで、ハロゲン化銀の微粒子を分散させた状態を維持するための方法としては、微粒子の沈殿を防ぐために行われる従来公知の方法を利用することができ、特に限定されるものではない。例えば、撹拌もしくは超音波等の照射によって、ハロゲン化銀の微粒子の沈殿を防止することができる。
また「基体」とは、光触媒の製造に用いられる従来公知の基体を用いることができるが、特にガラス基体が好ましい。また、ゾルを「塗布する」方法としては、従来公知の方法を利用することができ、特に限定されるものではないが、例えば、ディップコーティングあるいはスピンコート等の手法を用いることができる。
〔1−2〕ゲル熱処理工程
本発明で行われるゲル熱処理工程は、上記〔1−1−2〕欄で説明したゲル化工程にて得られたゲルを、乾燥処理及び/又は加熱処理する工程であればよい。
すなわち、本ゲル熱処理工程は、ハロゲン化銀が分散した金属酸化物ゲル(湿潤ゲル)を乾燥させ、及び/又は、加熱処理(焼成処理)し、ハロゲン化銀が分散した金属酸化物ドライゲル・ガラスを作製する工程であればよい。ここで「乾燥処理及び/又は加熱処理」とは、ゾルゲル法に用いられる、従来公知の乾燥処理、加熱処理の方法を利用することができ、その具体的な温度、時間等の条件は適宜設定可能である。例えば、後述する実施例に示すように、50℃のオーブンで1週間乾燥させた後、200℃〜600℃にて加熱処理することにより、本ゲル熱処理工程を行うことができる。また、後述する実施例に示すように、本ゲル熱処理工程では、乾燥処理のみでも光触媒活性を有する光触媒を製造できるが、乾燥処理の後に、所定の加熱処理を行うほうが、より活性の高い光触媒を製造することができる。つまり、乾燥処理後の加熱処理は、必ずしも必要ではないが、目的に応じて、室温〜600℃の範囲で設定することができる。
本発明に係る光触媒の製造方法の一例として、上記〔1−1〕欄で説明した分散工程のうち、〔1−1−1〕欄の添加重縮合工程と〔1−1−2〕欄のゲル化工程と〔1−2〕欄のゲル熱処理工程を一連の流れで行うことにより、ゾルゲル法を利用して、簡便かつ確実に、ハロゲン化銀のマトリクス(例えば、シリカマトリックス)中への分散状態や担持量が制御されたハロゲン化銀含有の光触媒を得ることができる。
すなわち、本発明に係る光触媒の製造方法は、(1)銀化合物が溶解した溶液中で金属アルコキシドを加水分解・縮合重合させ、(2)ハロゲン化水素の水溶液をこれに加え、ハロゲン化銀微粒子を溶液中で生成させ、(3)撹拌しながらアンモニアの水溶液を加え、生成したハロゲン化銀微粒子を沈殿させることなく、ゾルをゲル化させ、(4)得られたハロゲン化銀分散金属酸化物湿潤ゲルを、乾燥・熱処理し、ハロゲン化銀分散金属酸化物ドライゲル・ガラスを作製することによって達成される。
〔1−3〕ゾル熱処理工程
本発明で行われるゾル熱処理工程は、上記〔1−1−3〕欄で説明したゾル塗布工程にて得られたゾルが付着した基体を、乾燥処理及び/又は加熱処理する工程であればよい。
すなわち、本ゾル熱処理工程は、ハロゲン化銀が分散した金属酸化物ゾル(湿潤ゾル)が付着している基体を乾燥させ、及び/又は、加熱処理(焼成処理)し、ハロゲン化銀が分散した金属酸化物ドライゲル・ガラスの薄膜を作製する工程であればよい。ここで「乾燥処理及び/又は加熱処理」とは、ゾルゲル法に用いられる、従来公知の乾燥処理、加熱処理の方法を利用することができ、その具体的な温度、時間等の条件は適宜設定可能である。例えば、後述する実施例に示すように、50℃のオーブンで1週間乾燥させた後、200℃〜600℃にて加熱処理することにより、本ゲル熱処理工程を行うことができる。また、後述する実施例に示すように、本ゾル熱処理工程では、乾燥処理のみでも光触媒活性を有する光触媒を製造できるが、乾燥処理の後に、所定の加熱処理を行うほうが、より活性の高い光触媒を製造することができる。つまり、乾燥処理後の加熱処理は、必ずしも必要ではないが、目的に応じて、室温〜600℃の範囲で設定することができる。
また「基体」としては、ガラス薄膜を形成するゾルゲル法に利用できる、従来公知のものを使用可能であり、特に限定されるものではないが、例えば、耐久性・耐熱性の面からはガラスなどが好ましい。
本発明に係る光触媒の製造方法のその他の一例として、上記〔1−1〕欄で説明した分散工程のうち、〔1−1−1〕欄の添加重縮合工程と〔1−1−3〕欄のゾル塗布工程と〔1−3〕欄のゾル熱処理工程を一連の流れで行うことにより、ゾルゲル法を利用して、簡便かつ確実に、ハロゲン化銀のマトリクス(例えば、シリカマトリックス)中への分散状態や担持量が制御されたハロゲン化銀含有の光触媒の薄膜を得ることができる。
すなわち、本発明に係る光触媒を薄膜として基体に形成する場合には、(1)銀化合物が溶解した溶液中で金属アルコキシドを加水分解・縮合重合させ、(2)ハロゲン化水素の水溶液をこれに加え、ハロゲン化銀微粒子を溶液中で生成させ、調製したハロゲン化銀を含む金属酸化物ゾルを(5)激しく撹拌もしくは超音波等の照射によって生成したハロゲン化銀微粒子の沈殿を防ぎ、その状態でゾルを基体に塗布し、(6)得られたハロゲン化銀分散金属酸化物湿潤ゾル膜付基体を、乾燥・熱処理し、ハロゲン化銀分散金属酸化物ドライゲル・ガラス薄膜とすることにより、所定の基体に薄膜として光触媒を形成し得る。
なお、本発明の主題は、可視光に対しても高い触媒活性を示す、ハロゲン化銀の分散状態や担持量が制御された光触媒の製造方法を提供することに存するのであって、本明細書中に具体的に記載した個々の分散操作、添加操作、重縮合操作、乾燥操作、および加熱操作に存するのではない。したがって、上記各操作以外の操作を用いた製造方法も本発明の範囲に属することに留意しなければならない。
〔2〕光触媒、並びにその利用
本発明に係る光触媒は、上記〔1〕欄で説明した光触媒の製造方法により製造されるものであればよく、その他の具体的な構成、成分等は特に限定されるものではない。
本発明に係る光触媒は、上述の製造方法により製造されるため、金属酸化物中にハロゲン化銀が均一に分散されるとともに、厳密に制御された状態で担持されることになる。このため、後述する実施例に示すように、従来の臭化銀を単にSiO粉末に担持させただけのものに比べて、光触媒活性が著しく上昇する。さらに、本発明に係る光触媒は、可視光を照射した場合でも光触媒活性を示す。つまり、長年の課題であった、いわゆる可視光応答型の光触媒を開発することができる。したがって、本発明に係る光触媒は、従来の紫外線のみを利用する光触媒に比べて、光の利用効率が向上しており、非常に優れた光触媒といえる。
このため、本発明に係る光触媒を利用することによって、従来のものより優れた光触媒製品を開発することができよう。例えば、空気清浄機や冷蔵庫等の脱臭関連機器への応用、下水処理や廃水処理等の水処理関連機器への応用、また外壁やタイル等の汚れ防止関連製品への応用が考えられる。
すなわち、本発明に係る光触媒を有する空気処理装置や該空気処理装置を有する空気洗浄機や冷蔵庫も本発明に含まれる。かかる空気処理装置等は、上記光触媒を利用して、空気中の汚れや臭い成分(例えば、有機物質由来のもの)を分解し、空気を清浄にする作用を有する装置であればよく、その他の具体的な構成、部材等は特に限定されるものではない。かかる空気処理装置としては、例えば、冷蔵庫や空気清浄機に搭載される脱臭装置などが挙げられよう。なお、本発明には、上記光触媒を用いる脱臭方法も含まれることになることはいうまでもない。
また、本発明には、上記光触媒を有する水処理装置も含まれる。かかる水処理装置は、上記光触媒を利用して水に含まれる汚れや臭い成分(例えば、有機物質由来のもの)を分解し、水を清浄にする作用を生ずる装置であればよく、その他の具体的な構成、部材等は特に限定されるものではない。かかる水処理装置としては、例えば、下水処理や廃水処理に用いられる処理装置などが挙げられよう。なお、本発明には、上記光触媒を用いる水処理方法も含まれることになることはいうまでもない。
また、本発明には、上記光触媒を有する汚れ防止装置も含まれる。かかる汚れ防止装置は、空気や水に含まれる汚れや臭い成分(例えば、有機物質由来のもの)が、建物や各種装置の外壁やタイル等に付着して生ずる汚れの発生を防止する装置であって、上記光触媒を利用して、外壁やタイル等に付着した汚れ成分や臭い成分を分解し、該外壁やタイル等に汚れが発生することを防止する装置であればよく、その他の具体的な構成、部材等は特に限定されるものではない。かかる汚れ防止装置としては、例えば、光触媒タイルや光触媒外壁等の外装材が挙げられる。なお、本発明には、上記光触媒を用いて、外壁やタイル等の汚れの発生を防止する方法も含まれることになることはいうまでもない。
以下実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔AgBr−SiO光触媒試料の調製〕
図1左側に、本発明における金属アルコキシドから誘導した金属酸化物ゲルにハロゲン化銀が分散した光触媒の一例として、「ゾル−ゲル法」によるシリコンアルコキシドから誘導したシリカゲルに臭化銀を分散させた光触媒の作製手順を表すフローチャートを示す。
同図に示すように、テトラエトキシシラン(Si(OEt))のエタノール(EtOH)溶液に、硝酸銀(AgNO)水溶液を加え、室温で撹拌し、均一な溶液を得た。これに、臭化水素(HBr)水を加え、臭化銀(AgBr)の微結晶(微粒子)を生成させ、室温で1時間撹拌することによりテトラエトキシシランの加水分解・縮合重合を進行させゾルを形成させた。
このゾルにアンモニアの水溶液をゲル化が起こるまで加えて、全体を固化させた。この湿潤ゲルを、50℃のオーブンで1週間保持して、乾燥ゲルにした後、さらに以下に示す所定の温度で熱処理(200℃(473K)、300℃(573K)、400℃(673K)、500℃(773K)、600℃(873K))を行うことにより臭化銀が分散したシリカゲル・ガラス光触媒を作製した。
臭化銀の担持量は、仕込みの硝酸銀と臭化水素(HBr)水の量を変えて制御した。なお、図1の右側パネルには、臭化銀含量1wt%の場合の標準的な出発原料の組成が、重量とモル量で示してある。
〔光触媒活性の評価〕
上述の手順で作製した光触媒の光触媒活性は、内部照射型光化学反応装置を用いて、100W高圧水銀ランプによる紫外光を、光触媒試料を懸濁させた水:メタノール混合溶液に照射して評価した。発生したガスはガスクロマトグラフ(装置:島津GC-8A)により分析した。より詳細には、水:メタノール1:1の混合溶液160mlに試料(光触媒)0.1gを懸濁させ、100W高圧水銀ランプを用いて紫外光を照射して実験を行い、臭化銀の担持量を0.5wt%、1wt%、5wt%と変化させたAgBr−SiO光触媒について、光照射を行った際の水素発生量を測定している。
その結果を図2に示す。図2(a)はAg1モルからの水素発生量を、図2(b)は光触媒試料1gからの水素発生量をそれぞれ示している。なお、試料の焼成温度は、いずれも500℃としている。
これらの図から、上記手法で作製したAgBr−SiO系の光触媒は、いずれも高い光触媒活性を有し、5時間以上の長時間にわたって特性劣化することなく連続して安定に水素を生成する能力を有していることがわかる。なお、Ag1モル当たりでは、AgBr担持量0.5wt%程度で活性が最大になることが分かった。また、試料1g当たりでは、AgBr担持量5wt%程度で活性が最大になることがわかった。さらに、光学フィルターを用いて、300nm以下の光を遮断しても、水素が発生し、本実施の形態に係る光触媒は、可視光に対する活性を有することを確認した。
次に、AgBr担持量0.5wt%の光触媒試料について、加熱処理温度を変化させて光触媒活性を調べた。熱処理温度は、50℃乾燥のみ(323K)、200℃(473K)、300℃(573K)、400℃(673K)、500℃(773K)と変化させた。その結果を図3に示す。
図3に示すように、本実施例に係る光触媒は、いずれの加熱処理温度の場合も高い光触媒活性を有し、5時間以上の長時間にわたって特性劣化することなく連続して安定に水素を生成する能力を有していることがわかる。さらに、50℃での乾燥処理だけを施した試料でも光触媒活性を有することがわかるが、乾燥処理だけを施した試料よりも、200℃以上で熱処理を行った試料の方が、より高い活性を示していることがわかる。
〔構造および組織の観察〕
続いて、熱処理温度を変化させた0.5wt%AgBr−SiO系光触媒のX線回折パターンを調べた。その結果を図4に示す。
図4に示すように、31°付近にAgBr結晶に帰属されるピークがわずかに認められるが、熱処理温度の上昇に伴って、結晶性は低くなっていることがわかる。
また、図5に、一例として、500℃で熱処理した1wt%AgBr−SiO系光触媒の透過型電子顕微鏡写真を示す。シリカマトリクス中にAgBr結晶(写真中黒く見えている部分)が分散している様子が観察された。
以上実施例の結果は、塊状ゲルを粉砕した粉末試料を用いた評価結果であるが、臭化銀微結晶を生成させ、テトラエトキシシランを加水分解・縮合重合して調製したゲル化前のゾルを、ガラス基板に、ディップコーティングあるいはスピンコートし、さらに熱処理することによって得られる臭化銀分散シリカドライゲル・ガラス薄膜も、同様の光触媒活性を示すことがわかっている。また、特に500℃程度で熱処理を行ったものは、水に対する接触角が5°以下の超親水性を示すことも確認できた。
以下、本発明に係る光触媒製造方法により製造した光触媒が、従来の方法で作製したものに比べてどの程度優れているかを説明するための比較例を示す。
〔比較例〕
比較のためにKBrとAgNOから乳剤法を用いてAgBrを調製し、これを気相法により作製されたシリカ微粉末に担持させる「乳化含浸法」により、AgBrを1wt%含有するAgBr−SiO系光触媒を調製した。また、AgBrを1wt%含有するNa0−CaO−SiO系ガラスを1500℃(1723K)で「溶融法」を用いて調製した。そして、これら「乳化含浸法」と「溶融法」で作製した光触媒試料と上記実施例の「ゾル−ゲル法」で製造した光触媒試料とについて、上記実施例と全く同じ方法で水素発生量を調べた。
その結果を図6に示す。なお、図中、「Sol-gel method」は本発明に係る製造方法で製造した光触媒を示し、「Impregnation method」は本比較例1で行った「乳化含浸法」によって製造した光触媒を示し、「Melting method」は次の比較例2で行った「溶融法」によって製造した光触媒を示す。
図6に示すように、乳化含浸法により得られたAgBr−SiO系光触媒は、上記実施例の「ゾル−ゲル法」で作製した光触媒に比べて、活性が低いことが明らかとなった。この理由は、上記実施例の「ゾル−ゲル法」で作製した光触媒の方が、AgBr結晶をシリカマトリクス中に高分散しているためであると考えられる。
また、「溶融法」により得られたAgBr−SiO系光触媒は、上記実施例の「ゾル−ゲル法」で作製した光触媒に比べて、活性が非常に低いことが明らかとなった。この理由は、上記実施例の「ゾル−ゲル法」で作製した光触媒の方が、高い反応表面積を有しているためであると考えられる。
上記実施例および比較例から、金属アルコキシドから誘導した金属酸化物ゲル中にハロゲン化銀を分散させて製造される光触媒は、紫外光および可視光に対して光触媒活性を示し、他の方法で作製した触媒に比べて高い光触媒活性を有することが明らかとなった。したがって、本発明に係る光触媒は、従来のものに比べて、著しく優れたものであるといえる。
本発明に係る光触媒の製造方法および該製造方法によって製造される光触媒によれば、紫外光および可視光に対して高い活性を示す光触媒を提供することができる。このようにして得られた光触媒は、水の光分解、大気中や水中の有害物質の分解、あるいは超親水化などの光機能を示し、種々の用途が期待できる。例えば、空気清浄機や冷蔵庫等の脱臭関連機器への応用、下水処理や廃水処理等の水処理関連機器への応用、また外壁やタイル等の汚れ防止関連製品への応用が考えられる。
本発明の実施例におけるAgBr−SiO系光触媒の作製手順のフローチャートを示す図である。 本発明の実施例において、Ag担持量を変化させて作製したAgBr−SiO試料について、水素の発生量を調べた結果を示す図であり、(a)はAg1モルからの水素発生量を、(b)は光触媒試料1gからの水素発生量をそれぞれ示す図である。 加熱処理温度を変化させて作製した0.5wt%AgBr−SiO試料について、水素の発生量を調べた結果を示す図である。 加熱処理温度を変化させて作製した0.5wt%AgBr−SiO試料のX線回折パターンを調べた結果を示す図である。 500℃で加熱処理して作製した1wt%AgBr−SiOの透過型電子顕微鏡写真を示す図である。 従来の方法で作製した光触媒試料と本実施例の方法で作製した光触媒試料とについて、水素の発生量を調べた結果を示す図である。

Claims (14)

  1. ハロゲン化銀を含有する光触媒を製造する光触媒の製造方法であって、
    金属アルコキシドから誘導した金属酸化物ゾル及び/又は金属酸化物ゲル中にハロゲン化銀を分散させる分散工程を有することを特徴とする光触媒の製造方法。
  2. 上記分散工程は、銀化合物と金属アルコキシドとを含有する混合溶液にハロゲン化水素を添加し、該溶液中にハロゲン化銀を生成させるとともに、該溶液中の金属アルコキシドを加水分解・重縮合させる添加重縮合工程と、
    上記添加重縮合工程にて得られた混合溶液にゲル形成剤を添加し、生成したハロゲン化銀の微粒子を沈殿させることなく、ゾルをゲル化させるゲル化工程と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の光触媒の製造方法。
  3. さらに、上記ゲル化工程にて得られたゲルを、乾燥処理及び/又は加熱処理するゲル熱処理工程を含むことを特徴とする請求項2に記載の光触媒の製造方法。
  4. 上記分散工程は、銀化合物と金属アルコキシドとを含有する混合溶液にハロゲン化水素を添加し、該溶液中にハロゲン化銀を生成させるとともに、該溶液中の金属アルコキシドを加水分解・重縮合させる添加重縮合工程と、
    上記添加重縮合工程にて生成したハロゲン化銀の微粒子を分散させた状態でゾルを基体に塗布するゾル塗布工程と、を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の光触媒の製造方法。
  5. さらに、上記ゾル塗布工程にて得られたゾル付着基体を、乾燥処理及び/又は加熱処理するゾル熱処理工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の光触媒の製造方法。
  6. 上記添加重縮合工程は、金属アルコキシドが溶解した溶液と、銀化合物が溶解した銀化合物溶液とを混合し、金属アルコキシドと銀化合物とを含有する混合溶液中にて金属アルコキシドを加水分解・縮合重合する重縮合工程と、
    上記重縮合工程にて得られた混合溶液にハロゲン化水素を添加し、該溶液中にハロゲン化銀を生成させるハロゲン化銀生成工程と、を含むことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の光触媒の製造方法。
  7. 上記金属アルコキシドは、シリコンアルコキシドであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光触媒の製造方法。
  8. 上記ハロゲン化銀は、少なくとも臭化銀を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光触媒の製造方法。
  9. 上記ハロゲン化銀の含量は、上記金属アルコキシドまたは該金属アルコキシドから誘導される金属酸化物に対して、0.1〜20重量パーセントであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の光触媒の製造方法。
  10. 上記ゲル形成剤は、アンモニアの水溶液であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の光触媒の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されることを特徴とする光触媒。
  12. 請求項11に記載の光触媒を有することを特徴とする空気処理装置。
  13. 請求項11に記載の光触媒を有することを特徴とする水処理装置。
  14. 請求項11に記載の光触媒を有することを特徴とする汚れ防止装置。
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