JP2005261315A - 動物の体動検出装置および体動検出方法 - Google Patents

動物の体動検出装置および体動検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 人を含むマウス等の動物における特定体動を、容易に且つ十分な精度をもって測定することの出来る、従来にない新規な構造の体動検出装置を提供すること。
【解決手段】 動物の特定体動に伴って発生する音に着目し、かかる音をマイクロホン12によって取得した検出信号を、磁気記録装置22等に予め記憶した標準パターン信号と比較することにより、検出を目的とする特定体動の有無を判定し、その判定結果を出力装置24を通じて外部に出力するようにした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、掻破などの動物の特定の動作(特定体動という)を少ない労力と簡単な装置を用いて簡易に、しかも十分な精度をもって測定することの出来る、新規な構造の体動検出装置および体動検出方法に関するものである。
従来から、ラットなどの動物を対象とする研究や診察,治療などに際して、特定体動を測定することが行われている。例えば、近年において問題となっているアトピー性皮膚炎をはじめとする慢性皮膚炎症性疾患の研究や薬剤開発に際しては、アトピー性皮膚炎モデルマウスを使用して、その掻破動作を観察し、掻破回数の変化などを測定することが行われている。
ところで、このような動物の特定体動の測定方法としては、直接目視による方法や、ビデオ録画を用いた間接目視による方法が、従来から採用されている。しかしながら、何れの方法でも、人手による労力が多大であり、見る方向やビデオカメラの方向によっては体動を確認できない場合があった。更に、掻破体動を測定するに際して、マウスを対象とする場合には掻破体動が20〜30回/秒程度と極めて速いために目視による掻破回数のカウントが難しいという問題があり、また、人を対象とする場合には他人による監視状態に精神的苦痛を伴うという問題がある。
そこで、近年では、(1)マウスの後肢に永久磁石を装着し、その動きを磁気センサで検出することにより掻破回数を電気回路でカウントするようにした装置や、(2)頭部と後肢に蛍光色素で標識したマウスをビデオカメラで撮影し、それら2標識間の距離の近接を掻破体動とみなすことによって画像処理で掻破回数をカウントするようにした装置も提案されている。
ところが、前者(1)の装置では、後肢に永久磁石を装着すると自然な体動が阻害されてしまうことから測定の精度と信頼性に問題があった。また、後者(2)の装置では、ビデオカメラの死角になると測定できない問題が依然残っていることに加えて、画像データを電気信号として記憶して処理するために膨大な記憶容量のハードウェアと、多くの時間を必要とするという問題があった。加えて、後者(2)の装置では、人に適用する場合に、就寝時などのビデオ撮影に対して精神的な苦痛を伴うという問題が解決されない。
また、国際公開パンフレット:WO01/33953A1(特許文献1)には、マウス等の小動物における掻破等の特定行動を無侵襲で計測する自動計測装置として、小動物を入れた飼育ケージ自体の振動を振動センサで検出し、飼育ケージの振動状態によって、飼育ケージ内の小動物の特定行動を検出するようにしたものが提案されている。
しかしながら、かかる自動計測装置は、飼育ケージ内に緩衝性の敷物があると小動物の行動検出精度が著しく低下してしまうことから硬質の床材を使用するという特殊な測定環境が要求されることとなると共に、飼育ケージを振動変位可能に支持しなければならないことから測定装置が大掛かりとなり易く、また、飼育ケージ全体の比較的大きな重量(エネルギー)での揺れを伴うことから残留振動や共振現象が発生してしまい、残留振動や共振現象に起因する測定精度の低下が避け難いという問題もあった。更に、飼育ケージ内に入れることの出来る小動物以外、例えば人などを対象とした行動の測定には、利用することが極めて困難であるという問題もあったのである。
国際公開第WO01/33953号パンフレット
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、人を含むマウス等の動物における特定体動を、容易に且つ十分な精度をもって測定することの出来る、従来にない新規な構造の体動検出装置と、従来にない新規な体動検出方法を、提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
先ず、前述の如き従来技術における問題を解決することを目的として本発明者が鋭意検討を行った結果、次のような知見を得た。
(i)動物の体動の際には、殆ど認識されていない場合を含めて、多くの場合に音が発生していること。
(ii)上記(i)の音は、動物が声帯を用いて所謂音声として発するものでない動作音であること。
(iii)かかる動作音は、環境や個体などによって多少は異なる場合があるものの、掻破や咳,呼吸,歩行などの各種の体動は、それぞれ、動作の種類毎に周波数特性や周期性などに関して特定のパターンを有しているものが多いこと。
そして、これらの新たに得られた知見に基づいて、本発明者は、音による動物の特定体動の測定が可能であろうとの確信を得るに至り、更なる研究の結果、以下に記載の発明を完成するに至ったのである。
(動物の体動検出装置に関する発明)
動物の体動検出装置に関する本発明の特徴とするところは、(a)動物の動作音を含む音波をひろって、かかる音波から検出信号を取得する少なくとも一つのマイクロホンと、(b)前記動物の検出対象である特定体動に伴って発生する標準パターンの少なくとも一つを予め記憶せしめた標準パターン記憶手段と、(c)前記マイクロホンによって得られた検出信号を前記標準パターン記憶手段に記憶した前記標準パターンと比較することにより、前記特定体動の有無を判定する体動判定手段と、(d)該体動判定手段における前記特定体動の存在の判定結果を外部に出力する出力手段とを、含んで構成されている動物の体動検出装置にある(請求項1に記載の発明)。
このような本発明に従う構造とされた体動検出装置においては、先ず、動作音を利用して特定体動を検出することに大きな特徴がある。即ち、音を利用した動物の測定は、従来から、例えば音声認識装置などとして、専ら音声を対象として研究開発されていた。例えば、音声を検出することによってマウスにおける薬効を判定するようにした装置も、特公平5−28343に開示されている。ここにおいて、本発明は、動物を測定対象とするが、音声とは異なる動作音を利用することを、新たに提案するものであって、動作毎に異なる音の特徴を利用することによって、音を媒介として、従来では検出が非常に難しかった動物の動作を、容易に且つ高精度に検出することを可能と為し得たのであり、そこに本願発明における大きな技術的効果が存するのである。
しかも、音は、周知のとおり、大気を媒介として広範に伝播するものであり、映像の場合における所謂死角が発生し難いことから、音を媒介として動物の体動を測定する本発明においては、少ないマイクロホンでも、目的とする特定体動の情報を漏らすことなく確実に取得することが出来るのである。
また、良く知られているように、音のデータは、画像データに比して非常にコンパクトであると共に、スペクトル解析や周期性などの解析も容易で速やかに処理することが出来ることから、音を媒介として動物の体動を測定する本発明においては、画像データを利用する従来装置に比して、ハードウェア構成が簡単且つコンパクトとなり、処理速度も大幅に向上され得る。
加えて、音は、一般的な測定環境下で残響音も殆ど問題ないレベルとなり、必要に応じて吸音材を利用すること等によって残響音を問題ないレベルまで容易に低減することが出来る。それ故、前述の特許文献1に開示されている飼育ケージ全体の振動状態を測定する装置に比して、特別な飼育ゲージが必要でなく、装置構造が簡単であると共に、一層優れた測定精度を得ることが可能となる。また、特別な飼育ゲージも必要ないことから、例えば人等の大形の動物を対象として測定することが出来ることは勿論、測定対象となる動物の通常の環境下での測定も実現可能となる。
さらに、本発明では、取得した音の検出信号を、予め準備した標準パターンを比較して、当該標準パターンが表す特定体動を有無などを判定するようになっていることから、測定に際しての環境や個体差に対しても、例えば標準パターンを変更したり、標準パターンを複数準備しておいて選択的に使用したり、或いは複数の標準パターンを順次に適用して合致したものを使用するなどの処理方法を採用することによって、容易に対応することが可能となるのである。
ところで、体動検出装置に係る本発明においては、前記特定体動が、動物における掻破である場合に、特に優れた技術的効果を発揮し得る(請求項2に記載の発明)。即ち、動物の掻破は、特徴的なパターンの音を発することが確認されており、しかも、前述の如き目視やビデオカメラを用いた従来の測定装置に比して、拘束の掻破動作や、死角での掻破動作も、正確に判定することが可能であることから、優れた測定精度が実現可能となる。
また、体動検出装置に係る本発明では、前記マイクロホンによって得られた検出信号を記憶する検出信号記憶手段を設けて、前記体動判定手段において、該検出信号記憶手段に記憶した該検出信号を前記標準パターン記憶手段に記憶した前記標準パターンと比較することにより、前記特定体動の有無を判定するようにした態様が、好適に採用される(請求項6に記載の発明)。
このような検出信号記憶手段を採用した本発明の態様においては、長時間に亘る測定結果を検出信号記憶手段に記憶しておいて、その記憶した検出信号をまとめて処理することによって、例えば数時間や一夜、一昼夜、或いは数日に亘る測定を、人手を煩わすことなく、短時間で測定処理することが可能となる。
また、検出信号記憶手段をマイクロホンと併せて備え付けることにより、携帯型の装置を構成することが可能となり、例えば人の腕に取り付けて携行させることで、被測定者において大きな苦痛を伴うことなく終日の測定を行うことも可能となる。その際、携帯型の装置に体動判定手段や出力手段を併せて一体的に装備せしめることも可能であり、或いはそれら体動判定手段や出力手段を別体構造とすることも可能である。前者の一体型の装置においては、例えば皮膚疾患の人において、掻破体動が発生した際に警告を発することで掻破体動を抑制させることも可能となる。また、後者の別体型の構造では、装置全体を一層コンパクト且つ軽量にすることが出来、所定の測定期間の後、検出信号記憶手段に記憶した検出信号を別体の装置で読み出して、それを別体の体動判定手段や出力手段で解析等することが可能となる。
また、体動検出装置に係る本発明では、前記標準パターン記憶手段において各種の標準パターンが、適宜に採用され得る。そこにおいて、好適には、以下の(I),(II),(III)の態様が、選択的に或いは適当に組み合わされて、標準パターンとして採用される。
(I)前記標準パターンとして標準時間変化パターンを採用し、前記体動判定手段において、前記検出信号の時間的な変化パターンが、該標準パターンとして予め設定された標準時間変化パターンに合致するか否かを基準として、前記特定体動の有無を判定するようにした態様(請求項3に記載の発明)。
(II)前記標準パターン記憶手段において、前記標準パターンとして標準スペクトルパターンを採用し、前記体動判定手段において、前記検出信号のスペクトルパターンが、該標準パターンとして予め設定された標準スペクトルパターンに合致するか否かを基準として、前記特定体動の有無を判定するようにした態様(請求項4に記載の発明)。
(III)前記標準パターン記憶手段において、前記標準パターンとして標準周期を採用し、前記体動判定手段において、前記検出信号の出力レベルの繰り返しの時間間隔が、該標準パターンとして予め設定された標準周期に合致するか否かを基準として、前記特定体動の有無を判定するようにした態様(請求項5に記載の発明)。
特に、例えば、上述の(I),(II),(III)における標準時間変化パターンと、標準スペクトルパターンと、標準周期の三つの標準パターンを組み合わせて採用することにより、特にマウスにおける掻破体動など、周期性が認められる特定体動の検出を、極めて高い精度で行うことが可能となる。
すなわち、それら(I),(II),(III)の掻く標準パターンの組み合わせを採用した本発明は、前記特定体動が周期性のあるものであり、前記体動判定手段において、前記標準パターンとして、請求項3に記載の標準時間変化パターンおよび請求項4に記載の標準スペクトルパターンとしてそれぞれ該特定体動の一周期に相当するものを採用すると共に、請求項5に記載の標準周期として該特定体動の周期に相当するものを採用し、前記検出信号記憶手段に記憶した前記検出信号を該標準変化パターンを利用して該特定体動の一周期分の信号を抽出して、この抽出した一周期分を該標準スペクトルパターンと比較することで該特定体動の有無を判定したスペクトル判定結果を取得すると共に、前記検出信号記憶手段に記憶した前記検出信号を該標準変化パターンを利用して該特定体動の周期を検出して、この検出した周期を該標準周期と比較することで該特定体動のうむ判定した周期判定結果を取得して、それらスペクトル判定結果と周期判定結果の何れもが前記特定体動の存在を肯定していることを条件として、該特定体動の存在をカウントして計数し、計数した総計を前記出力手段で外部に出力する態様によって、有利に実現され得る(請求項7に記載の発明)。
また、体動検出装置に係る本発明では、前記出力手段において、前記スペクトル判定結果と前記周期判定結果の何れもが前記特定体動の存在を肯定していることを条件としてカウントされた該特定体動の計数値と併せて、それらスペクトル判定結果と周期判定結果の何れかが存在を肯定していることを条件としてカウントされた該特定体動の計数値を出力するようにした態様が、必要に応じて採用され得る。(請求項7に記載の発明)。
更にまた、体動検出装置に係る本発明では、前記マイクロホンが、前記動物に対して直接に装着されるようになっている態様が、必要に応じて採用され得る(請求項8に記載の発明)。本態様においては、例えば動物の行動範囲が広い場合にも、有利に対応することが可能となる。なお、マイクロホンだけでなく、マイクロホンで検出した電気信号を記憶する記憶手段などを併せて動物に装着するようにしても良い。或いは、マイクロホンと併せて、マイクロホンで検出した電気信号を無線或いは有線で送信する信号送信手段を装備させて、動物に装着するようにしても良い。
さらに、体動検出装置に係る本発明では、検出対象となる特定体動が複数種類であり、それらの種類毎に、前記標準パターンが互いに異なるように設定されており、一つの検出信号によって、それら複数種類の特定体動が検出されるようになっている態様が、必要に応じて採用され得る(請求項9に記載の発明)。このような本位態様においては、複数種類の体動を、共通したハードウェアを利用して同時に測定することが可能となる。
(動物の体動検出方法に関する発明)
動物の体動検出方法に関する本発明の特徴とするところは、動物の動作音を含む音波をマイクロホンでひろって検出信号を取得すると共に、該動物の検出対象である特定体動に伴って発生する標準パターンを予め記憶手段に記憶させておき、コンピュータによって該検出信号を該標準パターンと比較することにより該特定体動の有無を判定して、その判定結果を外部に出力して表示する動物の体動検出方法にある。
このような本発明方法に従えば、前述の本発明装置の説明から明らかなように、人を含むマウス等の動物における掻破などの特定体動を、動物に対して過度の負担を強いることなく、容易に且つ十分な精度をもって測定することが出来る。なお、上述の本発明装置において採用され得る各態様は、何れも、本発明方法を実施するに際しても採用可能である。
(薬効判定装置および薬効判定方法に関する本発明)
さらに、本発明は、以下に記載の如き、動物における薬効判定装置および薬効判定方法も、特徴とする。
すなわち、薬効判定装置に関する本発明の特徴とするところは、薬剤の投与の効果の判定に用いられる薬効判定装置であって、前述の如き本発明に従う構造とされた動物の体動検出装置において、薬剤の投与の前後における体動の変化を測定することにより、かかる体動の変化の程度に基づいて該薬剤の効果を判定することが出来るようにした薬効判定装置にある。
また、薬効判定方法に関する本発明の特徴とするところは、薬剤の投与の効果の判定をするに際して、前述の如き本発明に従う動物の体動検出方法に従って、薬剤の投与の前後における体動の変化を測定することにより、かかる体動の変化の程度に基づいて該薬剤の効果を判定する薬効判定方法にある。
上述の説明から明らかなように、本発明に従えば、動物における各種の特定体動によって発生する音が体動の種類によって特徴的なパターンを持つことに着目し、大気を媒介として拡散する音波を利用したことにより、ビデオカメラを利用する場合のような死角の問題や、画像処理を利用する場合の大容量の記憶手段や飼育ケースの振動を利用する場合の特別な可動支持手段などの格別の測定装置構造も必要とすることなく、動物における特定体動を容易に且つ十分な精度をもって測定することが出来るのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について詳述する。
先ず、図1には、本発明に従う構造とされた特定体動としての掻破行動を測定するためのマウス用の測定装置におけるハードウエア構成の一例が示されている。かかる測定装置は、市販のパーソナルコンピュータ10を利用して構成されており、動物の体動情報の取得手段として、音波から検出信号を取得するマイクロホン12と、映像信号を取得するビデオカメラ14を備えている。そして、コンデンサーマイクロホン等の公知のマイクロホン12によって音波から電気信号に変換された検出信号は、信号増幅装置(アンプ)16によって増幅された後、A/D変換器18を介して、パーソナルコンピュータ12に入力されるようになっている。また、ビデオカメラ14においてCCD素子等を利用して採取された映像信号は、ビデオキャプチャボード20でデジタル変換されて、パーソナルコンピュータ12に入力されるようになっている。なお、ビデオカメラ14は検証用であり、映像信号の利用は、本発明において必須のものでない。
また、パーソナルコンピュータ10は、図面上に明示はされていないが、周知のようにCPUやRAM,ROMおよびそれらを繋ぐバスラインの他、インターフェイスを通じてCPUに接続されたキーボードやマウス等の入力装置を含んで構成されている。更に、検出信号記憶手段として大容量の磁気記録装置22と、出力装置としてのディスプレイ24が、バスラインに接続されており、音波の検出信号や映像信号の他、解析演算結果などのデータが、必要に応じて磁気記録装置22に記憶され、必要に応じてそれらのデータをCPUでの演算に利用することが出来るようになっていると共に、演算結果などがディスプレイ24に表示されるようになっている。
そして、パーソナルコンピュータ10は、ROMの記憶情報を利用して、RAMに読み込まれた所定の信号解析プログラムに従い、マイクロホン12からの信号に基づいて得られた音波の検出信号を演算処理して、その結果をディスプレイ24に表示するようになっている。なお、本実施形態では、音波の検出信号を一旦磁気記録装置22に記憶しておいて、測定後に、この記憶した検出信号を処理するようになっている。また、音波の検出信号と共に、検証のための映像信号も、磁気記録装置22に記憶されるようになっている。
図2には、上述の如きハードウェアを用いてマウスの掻破行動測定装置を実現するためのソフトウェアによる作動フローが示されている。即ち、先ず、磁気記録装置22に記憶せしめた音波の検出信号に対して、ステップ:S1で、フィルタリングやイコライジングを行って、検出対象である掻破行動に伴って発生する音波の検出信号の他の雑音を除去する。そして、このステップ:S1で得られた検出信号を、ステップ:S2で、パワーレベル値に変換する演算処理を施した後、ステップ:S3で、パワーレベル値に変換したレベル波形を、予め準備した掻破行動を表す標準の変化パターンと比較する。そして、続くステップ:S4において、その波形パターンの一致の程度から掻破行動を表していると考えられる候補区間を、時間軸上で特定する。更に、ステップ:S5で、特定された掻破行動の候補区間の時間軸上での周期性を判定し、掻破行動の候補区間の周期を求める。
一方、ステップ:S6では、ステップ:S1で雑音除去して得られた音波の検出信号を、ステップ:S4で掻破行動として特定された時間軸上の位置情報に基づいて切り出すことにより、一つの掻破行動を表す信号だけを波形抽出する。そして、この波形抽出した掻破行動を表すと考えられる信号(波形)を、時間−周波数分析することによってスペクトル分析する。なお、このスペクトル分析は、公知の適当な演算手法を採用することが可能であり、例えば離散フーリエ変換や離散コサイン変換、ウェーブレット変換、ニューラルネットワークなどを利用することで処理できる。そして、このステップ:S7で得られた分析結果(スペクトルパターン)を、ステップ:S8において、予め準備した掻破行動を表す標準のスペクトルパターンと比較し、それら検出値スペクトルパターンと標準スペクトルパターンの一致の程度を求める。なお、かかるパターンの一致の程度は、例えば、カイ自乗などの公知の演算を利用して求めることが出来る。
その後、ステップ:S9において、前述のステップ:S5で求めた周期の値と、ステップ:S8で求めたスペクトルパターンの一致の程度の値とに基づいて、それが、検出体動である掻破行動を表すものか否かを最終的に決定する。なお、この決定は、例えば周期とスプクトルパターンの各値が、何れも、標準値から特定の範囲内に収まっていることを条件として、それが掻破行動を表すものと判定すること等によって行われる。
そして、最終的に掻破行動であると判断された波形の部分を、ステップ:S10において、測定時間内でカウントすることによって、目的とする掻破回数を得ることが出来るのであり、この得られた掻破回数をディスプレイに表示することによって処理が終了する。
なお、上述のステップ:S1〜S10における一連の演算処理は、パーソナルコンピュータ10によって行われる。
このような構成の測定装置を採用することにより、マウスの掻破行動を音を利用して検出し、掻破回数を、人手による直接的乃至は間接的なカウントを必要とすることなく、パーソナルコンピュータでの演算処理によって容易に且つ速やかに測定することが可能となるのである。以下に、上述の如き基本構成の測定装置を用いて、実際にマウスの掻破行動を実測した結果を、実施例として示す。
〔実施例〕
先ず、音データおよび映像データの収録部分の詳細説明図を、図3に示す。そこにおいて、実験動物としてのマウス30は、アトピー性皮膚炎モデルマウスを採用した。また、観察容器32としては、蓋付きの無色透明のポリスチレン容器(縦12cm×横12cm×高さ8cm)を採用し、かかる観察容器32の前後対向面に1cmφの空気口33を形成した。また、観察容器32の周壁部には、装着孔を形成し、そこにコンデンサーマイクロホン12を挿入して、その感音部を観察容器32の内部に向けて固定的に取り付けた。なお、観察容器32の装着孔とマイクロホン12の間には、軟質発泡ウレタンからなる防振材を詰めてマイクロホン12を防振支持せしめた。また、観察容器32の内部床面には、遮音の目的で防振マット34を略全面に敷いた。更に、観察容器32内での透過音の向上と観察容器32の外部雑音の低減等を目的として、観察容器32の底壁および周壁の外側を覆うようにグラスウール層36を設けた。
また、図1に示されたハードウェア構成は、信号増幅装置16としてローランドUA-1000 (商品名)を採用し、パーソナルコンピュータ10としてノート型パソコンであるIBM ThinkPad G40(商品名)を採用した。更に、目視による比較もあわせて行うための映像用のビデオカメラ14としては、デジタルビデオカメラであるSONY DCR-TRV30(商品名)を採用し、これを図1に示されているように観察容器32の上方に死角のないように設置すると共に、撮影用照明38も設置した。また、このビデオカメラ14で撮像した映像の高速解析のために、デジタル画像の60pic/sec 解析用ソフトモーションキャプチャーAVI動画ファイル変換ソフト(株式会社デジモ製)と、モーションビューワ(株式会社デジモ製)、Jasc Animation Shop3J(Jasc Software, Inc. 製 商品名)を採用した。
一方、検出対象となる特定体動を決定するために、先ず、マウスの掻破行動を観察したところ、図4の(a)〜(d)に示されている4種類の掻破パターンを確認した。それぞれの掻破パターンについて、動作に伴う音をマイクロホンで拾って得られる検出信号を、バンドパスフィルタで空調等の雑音除去することにより、図5の(a)〜(d)に示されている4種類の実時間波形を得た。かかる図5の(a)〜(d)は、何れも、各掻破パターンにおける1回の掻破行動に際して生ずる音の検出信号波形を示す。この結果から、4種類の掻破パターン毎に、それぞれ特徴ある検出信号を得ることが出来、それ故、検出信号を解析することによって、特定の掻破パターンによる掻破行動を検出することの出来ることを確認した。
本実施例では、周期性が高いと考えられる後肢による頭部の掻破行動(図4における(d))だけを検出対象とした。なお、この掻破パターン(d)とそれに伴って発生する音について更なる検討を加えたところ、約40〜60msに1回の周期でマウスは掻いていることが分かった。更に、この音の検出信号については、音源として、皮膚への衝突音、皮膚の擦過音、後肢の風切り音が候補となる。蓋し、後肢で頭部を掻破する際には、後肢が40〜60msの周期で高速往復運動するため風切音が生じていること、並びに、後肢と皮膚の摩擦に起因する特有の音(掻破音)が発生していることを、音の検出信号から得られた波形と60pic/sec の高速解析映像の両方により確認した。ビデオ撮影したデータの高速解析映像による掻破行動と、音の検出信号(実時間波形)との対応関係を、参考のために、図6に示す。さらに、検出信号をフーリエ変換してパワースペクトル分析した結果、図7に示すように、この掻破音は、およそ1kHzから8kHz付近の成分が優勢であることもわかった。
そこで、このような知見に基づいて、掻破パターン(d)の掻破行動の自動カウント処理のためのプログラムを製作し、掻破行動を実際に計数した。かかるプラグラムの全体のフローを、図8に示す。なお、図8において「○○手段」と記載されている構成は、何れも、パーソナルコンピュータ10のハードウェア資源を利用して、かかるプログラム(ソフトウェア)によって実現されるものである。
図8に示された処理フローを実行するプログラムにおいては、先ず、マイクロホン12で得た音の検出信号であって、予め所定時間に渡って採取してパーソナルコンピュータ10に内蔵のハードディスク(磁気記録装置)22に記憶せしめたもの(観測波形)を読み込む。次いで、この検出信号を、バンドパスフィルタに通して1〜8kHzの成分を取り出すことによって、空調等の騒音を除去した処理信号を取得する。因みに、図9に、バンドパスフィルタによる処理前の観測波形と、処理後の波形を、それぞれ示す。フィルタ処理後の波形を良く観察すると、掻破周期(40〜80msec)毎に10msec程度の継続時間の音(波形)が連続しているという特徴がみられる。即ち、10msecのエネルギーの集中した区間と、30〜70msecのエネルギーの低い区間が交互に現れることがわかる。このことは、図6に示された波形からも確認できる。なお、図6に示された検出信号の波形は、低周波の騒音を含んでいる。
そこで、このパターンに一致した波形を選択的に抽出するために、先ず、自乗演算を行ってエネルギ信号とした後、2種類の時間窓によるエネルギの抽出を、畳み込み演算を用いて実行する。なお、本実施例では、これら2種類の時間窓が、予めパーソナルコンピュータ10のハードディスク22に記憶せしめられた標準の変化パターンに相当する。
かかる2種類の時間窓は、図10に示されているように、10msecのエネルギーの集中した波形に整合する10msec幅の凸型の矩形窓を掛けて時間内の平均エネルギー(パワー)を算出する時間窓(1)と、10msecの両サイドの無音区間に整合する凹型の窓を掛けて時間内のエネルギー(パワー)を算出する時間窓(2)を採用した。そして、対数演算と減算によって、これらの2つの時間窓(1),(2)で求めた平均エネルギーの差をとれば、窓の形状に一致した時に大きなピークを生じることになるので、そのピークが、閾値(本実施例では1dBを採用)を7〜18msecの継続時間で越えるものだけを掻破音の候補として、マーキングして残した。
次に、マーキングしたピークの中からパルス(上述の2種類の時間窓による演算処理で、フィルター処理後の信号がパルス状の信号波形とされることから、パルスという)の間隔(時間軸上で隣接するピーク間の間隔)が、45〜60msecで、且つ対象となるパルスの前後にあるパルスとの間隔の差が5msec以内(許容偏差の最大値)となるパルス1つを1回の掻破回数としてカウントすることによって、候補波形の判定(選別・判別)を行った。このようにして得たカウントの計数値を、掻破判定手段に出力する。
なお、上述の如き時間窓による演算処理から掻破音候補のマーキングを経てパルスのカウントに至る処理の概略説明図を、図11に示す。また、上記2種類の時間窓を畳み込んで求めたパワーレベルの信号波形と、上述の如き処理に従うマーキングの状態を、図9に併せ示す。
一方、上述の候補掻破の判定によって1回の掻破行動を表すものと判断されたデータから、その時間軸上の位置を割り出して検出区間情報を取得し、この検出区間情報を利用して、前述のバンドパスフィルタを通して雑音除去した処理信号から、各対応する掻破行動の時間波形を切り出す。それによって得られた掻破波形を周波数分析し、パワースペクトルを得る。そして、得られたパワースペクトルを、予めパーソナルコンピュータ10のハードディスク22に記憶せしめた標準のスペクトルパターンと照合して、その一致度を演算する。なお、このスペクトルの一致度は、次式で算出されるスペクトル距離:SPD(不一致度に相当)の大きさで判定した。即ち、このSPDの値が小さい程、一致度が高いと判定できる。
なお、上式中、fi はオクターブバンドの中心周波数であり、具体的には、f1 =1kHz,f2 =2kHz,f3 =4kHz,f4 =8kHzである。また、Nは、比較を行うバンド数(本実施例では4)であり、Ls(fi )は1〜8kHzの帯域の音圧レベルを基準(0dB)とする中心周波数:fi のオクターブバンド相対音圧レベル(dB)であり、Lp(fi )は同様に標準スペクトルの各オクターブバンド相対音圧レベルである。
そして、かかるスペクトルパターンの一致度(スペクトル距離:SPD)の値が、予め定めた閾値(本実施例では、SPDの値が3dB以下)を満足する掻破波形の1つを1回の掻破回数としてカウントすることによって、掻破回数をカウントし、その計数値を、掻破判定手段に出力する。
而して、上述の如く、パルス間隔を指標として判定された掻破回数と、スペクトルパターンの一致度を指標として判定された掻破回数を、掻破判定手段において比較し、計数手段において、最終的に、両方の条件を満足して掻破行動であると判断されたカウント値(計数値)を得て、これを掻破回数としてディスプレイに出力表示する。
その実際の表示画面を、図12に示す。なお、本実施例では、最終的な掻破回数だけでなく、周期性による条件で選別する前のマーキングしたパルス総数も、「後足条件なし」として画面表示するようにした。更に、パルスカウント条件の値も、任意に設計変更できるようにした。
上述の如き本実施例の掻破回数の測定装置を用いて、実際に、マウスの後肢による掻破回数の測定を行った結果を、図13中に実施例として示す。
なお、本実施例では、アトピー性皮膚炎モデルマウス30に対する薬剤の投与試験に際して、薬剤の投与前後での掻破回数の測定に本測定装置を用いた。また、検出結果の検証のために、ビデオカメラ14で撮影された映像を用いて人手による掻破回数の計測を行い、その結果を、図13に併せ示す。
図13に示された実施例結果からも、本実施例の装置による掻破回数の計測値が、非常に高い信頼性をもつことが明らかである。なお、目視による計数値は、前述の如く後肢による掻破行動が極めて高速であることから、予測的なカウントも含まれているものと考えられ、その意味から、本実施例の装置による掻破回数の計測値の方が高い計測精度を有するとも考えられる。
以上、本発明の一つの実施形態および実施例について詳述してきたが、本発明は、かかる実施形態等における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでない。
特に、本発明の適用対象は、マウスに限定されないことは勿論、例えば人にも適用することが出来る。特に近年では、人の疾患の一つとしてアトピー性皮膚炎が大きな問題となっており、その掻破体動を人において検出し、必要に応じて掻破回数をカウントする装置も、本発明によって有利に実現可能となる。
なお、人に適用するための装置は、上述の実施形態の説明から当業者であれば容易に想到実施し得るものであるが、その理解を容易とするために、一つの具体的な実施形態を、図14にモデル的に示す。即ち、人の手の甲と腕に圧電形マイクロホン40を装着して、掻破に伴って発生する音の検出信号を取得したものの具体例を、図15に示す。なお、圧電形マイクロホンも、基本的には音を電気信号に変換するものであり、人体を伝達媒体とする音を大気中に音波として放出される前に採取するだけのものであって、前記実施形態で採用されていたコンデンサマイクロホン12と、基本的に異なるところはない。
そして、図15からも明らかなように、人の掻破体動も、特有の音を発するものであることを、本発明者は確認している。従って、例えば、検出信号のスペクトルパターンを標準パターンと比較することによって、それが掻破行動か否かを判定し、掻破行動を検出することが出来ることは、容易に理解されるところである。
なお、就寝時等の無意識下では、人の掻破行動も、ある程度の周期性を持つことが知られていることから、前記実施例と同様な構成の装置を人にも利用することが出来る。一方、意識下での掻破行動まで解析する場合など、周期性が乏しい場合には、例えば、前記実施例における周期性に基づく判定を行わないで、スペクトルパターンによる判定だけで掻破行動を検出すること等によって対応することが出来る。また、状況や掻破部位によって発生する音や周期が異なる場合には、それらに対応する数だけの標準パターンのデータを予め磁気記録装置22に記憶させておき、予め特定のパターンを状況に応じて選択するか、全てのパターンを準備に走査して適合するものを選択することによって対応できる。なお、このように、人の掻破行動を対象とする体動検出装置であっても、基本的に、前記実施形態と同様な構成で実現可能であることから、図14,15では、特徴的なマイクロホン40の装着状態だけを図示することとし、装置本体は図示を割愛する。
また、前記実施形態等では、マイクロホン12,40だけが、動物(マウスや人)に近接して、或いは装着されて、配設されるようになっていたが、例えば、図16に例示されているように、マイクロホン42だけでなく、増幅器44,マイクロコンピュータ46,記憶素子48,表示装置50を含む体動検出装置の全てを組み込んで、動物に装着して携帯させることも可能である。なお、図16に例示の検出装置は、人に装着することを前提とするものであり、液晶等の表示装置50の表示窓52において、掻破累計数などの情報を視認可能に表示するようになっている。
特に、図16に示された体動検出装置では、スピーカー54と振動子56を備えており、掻破行動を検出した場合には、略リアルタイムで、音や振動により、装用者に警告を発することが出来るようになっている。このような警告を発することにより、例えば、アトピー性皮膚炎の疾患者が、無意識に掻破行動をとることで炎症を悪化させることを未然に防ぐことも可能となるのである。
なお、本発明において採用されるマイクロホンは、音を電気信号に変換し得るものであれば良く、従来から公知のダイナミックマイクロホン、静電型マイクロホン(コンデンサーマイクロホン)、マグネチックマイクロホン、圧電型マイクロホン(クリスタル型マイクロホン)、カーボンマイクロホン、光マイクロホン(レーザーマイクロホン)など、各種のマイクロホンが採用可能である。
さらに、前記実施形態では、掻破行動を検出する装置に対して本発明を適用したものを例示したが、本発明は、音を伴う体動を検出する装置として広く採用可能であり、例えば、就寝時の呼吸音を検出して無呼吸症候群の診察などに利用したり、就寝時の発咳を検出したり、更には、実験動物における歩行や走行の音を検出してその体動を測定することも可能である。
また、前記実施形態では、検出結果がディスプレイ等で視認可能に表示されるようになっていたが、本発明における表示装置としては、ディスプレイの他、印刷手段等が採用可能であり、その他、知覚可能なものであれば表示装置として採用することも可能であって、例えば発光手段やブザー等のスピーカー、更に微弱電流による刺激などを表示装置として採用することも可能である。
また、前記実施形態および実施例における説明からも明らかなように、本発明に従う薬効判定装置を用いれば、或いは本発明の薬効判定方法に従えば、例えば、アトピー性皮膚炎に対する特定の薬剤の効果を検証するに際して、特定の薬剤の投与の前後における掻破回数の変化量、更に投与後の時間経過に伴って変化する掻破回数の値などに基づいて、薬効の有無や程度を判定することが可能である。そこにおいて、単に投与前の掻破回数と、投与後の適当な時における掻破回数を、それぞれ独立して測定して各別に印刷やディスプレイに表示するようにしても良いが、時を異にして測定した掻破回数をそれぞれ検出信号記憶手段に記憶させておいて、それら薬剤の投与前の掻破回数と投与後の掻破回数を、互いに組み合わせて或いは差などを演算で求めて、それをグラフや表等で表示するようにしても良い。
そして、このことから明らかなように、本発明に従う構造とされた体動検出装置や薬効判定装置、体動検出方法や薬効半径方法は、各種の実験用動物の他、人間において、その症状の変化や、薬効の程度の判定を容易とするものである。即ち、本発明は、例えば、人間やマウスを含む動物において、アトピー性皮膚炎などの疾患の状態や、薬剤の効果を客観的に測定するに際して、本発明に従う構造とされた体動検出手段や薬効判定装置を用い、薬剤の投与前と投与後の適当な時間を経過した時など、異なる状況下において掻破回数等の体動を測定することにより、それら異なる時に測定された体動の変化量に基づいて、疾患の状態変化や、薬効の程度を、容易に知得することが出来、薬効の有無や程度の判定などを容易に行うことも可能となるのである。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
本発明に従う体動検出装置の一実施携帯としての掻破行動の検出装置におけるハードウェア構成を示すブロック図である。 図1に示されたハードウェア構成と協働して掻破行動の検出装置を構成するソフトウエアによる処理工程を示すフロー図である。 図1に示された検出装置によってマウスの掻破行動を計数する実施例における掻破音の収録状態説明図である。 図3に示されたマウスにおける4種類の掻破パターンを説明する説明図である。 図4に示されたマウスの各掻破パターンに対応する音の検出信号の波形を示す説明図である。 図3に示されたマウスが後肢で頭を掻破する行動とそれに伴う音の検出信号の波形との対応を示す説明図である。 図3に示されたマウスが後肢で頭を掻破する行動に伴って発生する音の検出信号のスペクトル分析結果を示すグラフである。 図1に示された検出装置によってマウスの掻破行動を計数する実施例において採用したソフトウエアによる処理工程を示す、図2に対応するフロー図である。 図8に示された処理工程に従って本実施例で得られた各処理工程における検出信号や処理信号の波形を示す説明図である。 図8に示された処理工程において採用した2種類の時間窓の波形を示す説明図である。 図8に示された処理工程に従う検出信号の処理を説明するための説明図である。 図8に示された処理工程を実行する本実施例のプログラムにおいてディスプレイに表示される検出結果表示態様を示す図である。 図8に示された処理工程に従って本実施例で得られた、薬剤負荷を伴うマウスにおける掻破行動の検出結果を、比較例と併せて示すグラフである。 本発明の別の実施形態としての人の掻破行動の検出装置の要部を示す説明図である。 人の掻破行動に際して、図14に示された検出装置によって得られる検出信号の一具体例を説明図である。 図14に示された人の掻破行動の検出装置の一つの具体的構造例を示すブロック図である。
符号の説明
10 パーソナルコンピュータ
12 マイクロホン
22 磁気記録装置
24 ディスプレイ
30 マウス
32 観察容器

Claims (13)

  1. 動物の動作音を含む音波をひろって、かかる音波から検出信号を取得する少なくとも一つのマイクロホンと、
    前記動物の検出対象である特定体動に伴って発生する標準パターンの少なくとも一つを予め記憶せしめた標準パターン記憶手段と、
    前記マイクロホンによって得られた検出信号を前記標準パターン記憶手段に記憶した前記標準パターンと比較することにより、前記特定体動の有無を判定する体動判定手段と、
    該体動判定手段における前記特定体動の存在の判定結果を外部に出力する出力手段と
    を、含んで構成されていることを特徴とする動物の体動検出装置。
  2. 前記特定体動が、動物における掻破である請求項1に記載の動物の体動検出装置。
  3. 前記標準パターン記憶手段において、前記標準パターンとして標準時間変化パターンを採用し、
    前記体動判定手段において、前記検出信号の時間的な変化パターンが、該標準パターンとして予め設定された標準時間変化パターンに合致するか否かを基準として、前記特定体動の有無を判定するようにした請求項1又は2に記載の動物の体動検出装置。
  4. 前記標準パターン記憶手段において、前記標準パターンとして標準スペクトルパターンを採用し、
    前記体動判定手段において、前記検出信号のスペクトルパターンが、該標準パターンとして予め設定された標準スペクトルパターンに合致するか否かを基準として、前記特定体動の有無を判定するようにした請求項1乃至3の何れかに記載の動物の体動検出装置。
  5. 前記標準パターン記憶手段において、前記標準パターンとして標準周期を採用し、
    前記体動判定手段において、前記検出信号の出力レベルの繰り返しの時間間隔が、該標準パターンとして予め設定された標準周期に合致するか否かを基準として、前記特定体動の有無を判定するようにした請求項1乃至4の何れかに記載の動物の体動検出装置。
  6. 前記マイクロホンによって得られた検出信号を記憶する検出信号記憶手段を設けて、前記体動判定手段において、該検出信号記憶手段に記憶した該検出信号を前記標準パターン記憶手段に記憶した前記標準パターンと比較することにより、前記特定体動の有無を判定する請求項1乃至4の何れかに記載の動物の体動検出装置。
  7. 前記特定体動が周期性のあるものであり、
    前記体動判定手段において、前記標準パターンとして、請求項3に記載の標準時間変化パターンおよび請求項4に記載の標準スペクトルパターンとしてそれぞれ該特定体動の一周期に相当するものを採用すると共に、請求項5に記載の標準周期として該特定体動の周期に相当するものを採用し、
    前記検出信号記憶手段に記憶した前記検出信号を該標準変化パターンを利用して該特定体動の一周期分の信号を抽出して、この抽出した一周期分を該標準スペクトルパターンと比較することで該特定体動の有無を判定したスペクトル判定結果を取得すると共に、
    前記検出信号記憶手段に記憶した前記検出信号を該標準変化パターンを利用して該特定体動の周期を検出して、この検出した周期を該標準周期と比較することで該特定体動のうむ判定した周期判定結果を取得して、
    それらスペクトル判定結果と周期判定結果の何れもが前記特定体動の存在を肯定していることを条件として、該特定体動の存在をカウントして計数し、
    計数した総計を前記出力手段で外部に出力する請求項6に記載の動物の体動検出装置。
  8. 前記出力手段において、前記スペクトル判定結果と前記周期判定結果の何れもが前記特定体動の存在を肯定していることを条件としてカウントされた該特定体動の計数値と併せて、それらスペクトル判定結果と周期判定結果の何れかが存在を肯定していることを条件としてカウントされた該特定体動の計数値を出力するようにした請求項7に記載の動物の体動検出装置。
  9. 前記マイクロホンが、前記動物に対して直接に装着されるようになっている請求項1乃至8の何れかに記載の動物の体動検出装置。
  10. 検出対象となる特定体動が複数種類であり、それらの種類毎に、前記標準パターンが互いに異なるように設定されており、一つの検出信号によって、それら複数種類の特定体動が検出されるようになっている請求項1乃至9の何れかに記載の動物の体動検出装置。
  11. 動物の動作音を含む音波をマイクロホンでひろって検出信号を取得すると共に、該動物の検出対象である特定体動に伴って発生する標準パターンを予め記憶手段に記憶させておき、コンピュータによって該検出信号を該標準パターンと比較することにより該特定体動の有無を判定して、その判定結果を外部に出力して表示することを特徴とする動物の体動検出方法。
  12. 薬剤の投与の効果の判定に用いられる薬効判定装置であって、
    請求項1乃至10の何れかに記載の動物の体動検出装置において、薬剤の投与の前後における体動の変化を測定することにより、かかる体動の変化の程度に基づいて該薬剤の効果を判定することが出来るようにしたことを特徴とする薬効判定装置。
  13. 薬剤の投与の効果の判定をするに際して、
    請求項11に記載の体動検出方法に従って、薬剤の投与の前後における体動の変化を測定することにより、かかる体動の変化の程度に基づいて該薬剤の効果を判定することを特徴とする薬効判定方法。
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