JP2005261169A - ベアリングレスモータ用回転子およびベアリングレスモータ - Google Patents

ベアリングレスモータ用回転子およびベアリングレスモータ Download PDF

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Abstract

【課題】安価で広い速度範囲で効率のよい可変速運転が可能なベアリングレスモータ用回転子およびベアリングレスモータを提供する。
【解決手段】磁石12は直方体形状の磁石片16が並べられ積層部12a、連結部12b、追加部分12cを形成しており、周方向の両端部である積層部12aは略半径方向に厚みを持つように積層されることで不可逆減磁を防いでいる。また、連結部12bは透磁性の低い磁石の厚みを略半径方向に薄くすることでベアリングレスモータの軸を支える支持力を増している。また、磁石12を小さな磁石片16に分割することで、モータの効率を低下させる渦電流の発生を抑える。さらに連結部12bを回転子10の表面より深い部分に埋め込んだことで距離dを大きくとり、発生するリラクタンストルクをより大きくする。追加部分12cには積層部12aと直交する方向に着磁した磁石を配置することで起磁力を増加させる。
【選択図】図3

Description

本発明は、ベアリングレスモータ用回転子およびベアリングレスモータに関する。
近年、機械的軸受に起因する諸問題,またこれらを解決するために用いられている磁気軸受になお残されている問題を解決するためにベアリングレスモータが研究開発されている。ベアリングレスモータはギャップの磁束を意図的に不平衡にしてトルクと支持力を発生させ,電動機と磁気軸受を一体化した電磁機器であり、高速化、長寿命化、オイルレス化などの要望に応えるものである。
様々なモータ形式のベアリングレスモータが提案されている中で,永久磁石型は小型で強力な起磁力を持つ希土類磁石を用いることにより,・小型軽量,・高力率,高効率,・励磁電流なしで支持力を発生可能,などの特長を持っている。
既に表面貼付型や埋込型,Inset型,ディスク型,コンシクエントポール形などのベアリングレスモータが開発されており,ディスク型で小型の液体ポンプに実用化された例もある。
上記ベアリングレスモータのうち、埋込型ベアリングレスモータは永久磁石を回転子鉄心内に埋め込み,突極性を持たせて磁束弱め制御を行うことにより広い速度範囲での可変速運転や,リラクタンストルクを発生して高効率運転が可能になる。また埋込型である故に、高速回転時に磁石の飛散を防ぐためのカバーが必要ないのでギャップ長(ステータ・ロータ間の間隙)を小さくすることができる。このため支持力対電流比を大きくできるなどの特徴がある(例えば、特許文献1参照)。図9に突極付埋込型回転子の例を示す。この回転子100はリラクタンストルクを得るための突極106を備え、無負荷時の支持力を増すために磁石102の厚みを薄くしている。また磁石102に不可逆減磁が起こるのを避けるため、磁石102を一個の磁石ではなく小分けにし、小さな磁石102の集合体としている。さらに、磁石102間にブリッジ104を設けたことで漏れ磁束を発生させ、減磁強度を増している。
しかし上記特許文献で発明者らが既に提案した埋込磁石構造ベアリングレスモータの回転子100は無負荷時や軽負荷時の支持力を増加するため薄い磁石102を使用しているために突極比が小さく,またブリッジ104からの漏れ磁束のため界磁磁束が弱くなり、トルクを増加することが難しいといった理由から埋込型ベアリングレスモータの特徴であるリラクタンストルクを有効に活用できず、トルク性能が伸びなかった。すなわち、上記の「広い速度範囲での可変速運転」,「リラクタンストルクを発生して高効率運転が可能」という埋込磁石構造同期モータの特長が生かされていない。
特開2002−272028号公報
本発明は上記事実を考慮し、安価で広い速度範囲で効率のよい可変速運転が可能なベアリングレスモータ用回転子およびベアリングレスモータを提供することを課題とする。
請求項1に記載のベアリングレスモータ用回転子は、周方向に所定間隔へだてて配置された複数の突極と、各々永久磁石で構成されて前記突極間に配置されると共に、端部の厚みが中央部の厚みより厚くなるように形成された磁極と、を備えたことを特徴とする。
上記構成の発明では、回転子の支持力を増すために磁石中央部の厚みを端部よりも薄くし、かつ端部を厚くすることで磁極端部の不可逆減磁を防ぐことができる。
請求項2に記載のベアリングレスモータ用回転子は、前記磁極の各々が、直方体状の永久磁石小片を磁束が同じ方向を向くように複数個積層して構成した一対の積層部と、前記積層部を連結すると共に磁束の方向が前記積層部の磁束と同じ方向を向くように配列された複数の直方体状の永久磁石小片と、から構成されることを特徴とする。
上記構成の発明では、各々の磁極を直方体状の永久磁石小片を積層・配列して構成することで高価な特殊形状磁石を使用せずコストを抑えることができる。
請求項3に記載のベアリングレスモータ用回転子は、前記積層部の磁束密度が高くなるように前記積層部の側面に配置された直方体状の永久磁石小片を更に含むことを特徴とする。
上記構成の発明では、積層部の側面に永久磁石小片を追加することで起磁力を増大させ、積層部の磁束密度を高くすることができる。
請求項4に記載のベアリングレスモータは、トルク発生用の磁束を発生する巻線と回転子支持用の磁束を発生する巻線とを備えた固定子と、前記固定子内に回転可能に配置され請求項1乃至請求項3の何れかに記載のベアリングレスモータ用回転子と、を備えたことを特徴とする。
上記構成の発明では、安価で広い速度範囲で効率のよい可変速運転が可能なベアリングレスモータとすることができる。
以上説明したように、本発明によれば安価で広い速度範囲で効率のよい可変速運転が可能なベアリングレスモータ用回転子およびベアリングレスモータとできる。
図1には本発明の第1実施形態に係るベアリングレスモータ用回転子が示されている。
回転子10は磁石12、突極14を備えた略円盤状の形状をしており、回転子10自体は図2に示すような形状の薄板10aをモータ軸方向(白矢印方向)に積層した構造となっている。また、複数の回転子10をモータ軸方向に積層して更にトルクを向上させる構造としてもよい。このとき、リップルを防ぐため回転子10と隣接する回転子10bとは図1のように回転方向に角度をオフセット(スキュー)させてもよい。
回転子10には磁石12が黒矢印の方向に挿入され、回転子10の磁極を形成している。磁石12は後述するように略Hの字型の断面をしており、半径方向に厚みをもった積層部が円周方向に1対設けられ、1対の積層部を薄い連結部が連結して磁石12を構成している。積層部の円周方向外側、連結部と接していない側には追加部分が設けられ、磁石全体の起磁力を増している。
図2には本発明の第1実施形態に係るベアリングレスモータ用回転子を構成する薄板の寸法例が示されている。(単位:mm)数値はあくまでも一例であって、本実施例がこの数値に限定されるわけではない。
図3には本発明の第1実施形態に係るベアリングレスモータ用回転子の磁石の構造が示されている。
磁石12は周方向両端の積層部12a、2つの12aを連結する連結部12b、12aの周方向外側に設けられた追加部分12cから構成されている。図中の黒矢印はS極からN極へ向かう着磁方向を表している。
図3に示すように磁石12は直方体形状の磁石片16が並べられ積層部12a、連結部12b、追加部分12cを形成しており、周方向の両端部である積層部12aは略半径方向に厚みを持つように積層されることで不可逆減磁を防いでいる。また、連結部12bは透磁率の低い磁石の厚みを略半径方向に薄くすることでベアリングレスモータの軸を支える支持力を増している。また、このように磁石12を小さな磁石片16に分割することで、モータの効率を低下させる渦電流の発生を抑えることができる。
さらに連結部12bを回転子10の表面より深い部分に埋め込んだことで図3の距離dを大きくとり、発生するリラクタンストルクをより大きくすることができる。追加部分12cには積層部12aと直交する方向に着磁した磁石を配置することで起磁力を増加させることができる。
図4には本発明の第2実施形態に係るベアリングレスモータ用回転子が示されている。
回転子11は磁極13、突極15を備えた略円盤状の形状をしている。磁極13は回転子11の外周形状に沿うような略円弧状の磁石であり、円周方向両端部の厚みを大きくする形状となっている。
図4に示す回転子11は図9の突極付埋込型の回転子100と比較してブリッジ104が存在しない一体形成の磁石を使用しているので漏れ磁束は発生せず、また磁極端の厚みを大きくすることで不可逆減磁を防ぐこともできる。
図5には本発明の第1実施形態に係るベアリングレスモータ用回転子の突極幅ごとのトルク/電流位相角の関係が示されている。
有限要素法を用いて本発明の第一実施形態に係る回転子10の突極幅を変化させた際の電流位相角とトルクの関係を解析した結果、図5に示すように突極幅33°、電流位相角βは−20°〜−30°近傍で最大トルクが得られることが明らかになった。ここで電流位相角βはq軸方向を0とし、符号のマイナスはd軸電流が負、すなわち磁束弱めの意味である。
図6には本発明の第1実施形態に係るベアリングレスモータ用回転子のトルク/電流位相角の関係が示されている。
本発明の第一実施形態に係る回転子10の突極幅を33°とし、電流位相角βとトルクの関係を解析した結果、図6に示すように突極幅33°、電流位相角βは−25°近傍で最大トルクが得られることが明らかになった。ただし、本実施形態は4極モータであるため、極数が変われば当然、最適な突極幅も異なった数値となる。
図7には本発明の第1実施形態に係るベアリングレスモータ用回転子と図9に示す従来例とのトルクの比較が示されている。
図7は支持電流isd=8Aにおいてq軸電流imqを変化させた際のトルクの比較であり、従来型と比較して本実施形態の方が大きなトルクが得られていることが解る。これは回転子10に従来型のようなブリッジ104を設けないことで漏れ磁束がなくなり、界磁磁束が増加したためであると考えられる。
本実施形態の構成では突極比を増加したためマグネットトルクの他にリラクタンストルクを発生し、全体としては最大で従来の突極付埋込型回転子を使用したベアリングレスモータの約1.72倍のトルクが得られている。
図8には本発明の第1実施形態に係るベアリングレスモータ用回転子と図9に示す従来例との支持力の比較が示されている。
図8はq軸電流imqを変化させた際の支持力の比較であり、従来型と比較して本実施形態はq軸電流imq<7Aで従来型よりも大きな支持力が得られていることが解る。モータの定格電流は7.8Aである。
q軸電流imq>7Aの領域では磁極端12aの磁石厚を増したことでq軸磁束が固定子ヨーク部や一部の固定子の歯に集中し、磁気飽和が生じるため支持力が減少している。しかし定格電流は7.8Aであること、q軸電流imq=10Aにおいても支持力の減少はピーク時に比較して12%程度であることなどから本実施形態の有用性は明らかである。
以上説明したように、本発明によれば安価で広い速度範囲で効率のよい可変速運転が可能なベアリングレスモータ用回転子およびベアリングレスモータとできる。なお上記実施例は4極モータであるが、本発明は上記実施例以外にも極数の異なるモータなどに応用できることは言うまでもない。
図1は、実施形態1に係る回転子の外観を示す斜視図である。 図2は、実施形態1に係る回転子の構造を示す平面図である。 図3は、実施形態1に係る回転子の構造を示す平面図である。 図4は、実施形態2に係る回転子の構造を示す平面図である。 図5は、実施形態1に係る回転子の突極幅とトルクの関係を示す図である。 図6は、実施形態1に係る回転子の電流位相角とトルクの関係を示す図である。 図7は、実施形態1に係る回転子と従来例とのトルクの関係を示す図である。 図8は、実施形態1に係る回転子と従来例との支持力の関係を示す図である。 図9は、従来の回転子の構造を示す平面図である。
符号の説明
10 回転子
12 磁石
14 突極
16 磁石片

Claims (4)

  1. 周方向に所定間隔へだてて配置された複数の突極と、
    各々永久磁石で構成されて前記突極間に配置されると共に、端部の厚みが中央部の厚みより厚くなるように形成された磁極と、
    を備えたことを特徴とするベアリングレスモータ用回転子。
  2. 前記磁極の各々が、
    直方体状の永久磁石小片を磁束が同じ方向を向くように複数個積層して構成した一対の積層部と、
    前記積層部を連結すると共に磁束の方向が前記積層部の磁束と同じ方向を向くように配列された複数の直方体状の永久磁石小片と、
    から構成されることを特徴とする請求項1に記載のベアリングレスモータ用回転子。
  3. 前記積層部の磁束密度が高くなるように前記積層部の側面に配置された直方体状の永久磁石小片を更に含むことを特徴とする請求項2に記載のベアリングレスモータ用回転子。
  4. トルク発生用の磁束を発生する巻線と回転子支持用の磁束を発生する巻線とを備えた固定子と、
    前記固定子内に回転可能に配置され請求項1乃至請求項3の何れかに記載のベアリングレスモータ用回転子と、
    を備えたことを特徴とするベアリングレスモータ。
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