JP2005259441A - 有機電界発光素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に挾持された一つ又は複数の有機化合物層より構成される電界発光素子であって、該有機化合物層の少なくとも一層が、少なくとも1種の電荷輸送性ポリエステルを含有し、さらに該有機化合物層の少なくとも一層に発光性低分子化合物を含有しており、該電荷輸送性ポリエステルが特定の構造を有する正孔輸送性モノマーを重合して製造されるものであって、有機EL素子に好適なイオン化ポテンシャル及び電荷移動度を持ち、溶剤に対する良好な溶解性を有するものであり、また発光性低分子化合物が電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移により発光するものである有機電界発光素子。
【選択図】図1
Description
これに対し、有機化合物を用いたEL素子研究は、最初アントラセン等の単結晶を用いて始まったが、単結晶の場合、膜厚が1mm程度と厚く100V以上の駆動電圧が必要であった。そのため蒸着法による薄膜化が試みられている(以下の非特許文献1を参照)。しかしながら、この方法で得られた薄膜は、駆動電圧が30Vと未だ高く、また、膜中における電子・正孔キャリアの密度が低く、キャリアの再結合によるフォトンの生成確率が低いため十分な輝度が得られなかった。
ところが近年、正孔輸送性有機低分子化合物と電子輸送能を持つ螢光性有機低分子化合物の薄膜を真空蒸着法により順次積層した機能分離型のEL素子において、10V程度の低電圧で1000cd/m2以上の高輝度が得られるものが報告されており(以下の非特許文献2を参照)、以来、積層型のEL素子の研究・開発が活発に行われている。これら積層型の素子は、電極から電荷輸送性の有機化合物からなる電荷輸送層を介して正孔と電子のキャリアバランスを保ちながら螢光性有機化合物からなる発光層に注入され、発光層中に閉じ込められた正孔と電子が再結合することにより高輝度の発光を実現している。
(1) 数mA/cm2という高い電流密度で駆動されるため、大量のジュール熱を発生する。このため、蒸着によってアモルファスガラス状態で成膜された正孔輸送性低分子化合物や螢光性有機低分子化合物が次第に結晶化して最後には融解し、輝度の低下や絶縁破壊が生じるという現象が多く見られ、その結果素子の寿命が低下するという問題を有している。
(2) 低分子有機化合物を複数の蒸着工程において0.1μm以下の薄膜を形成していくため、ピンホールを生じ易く、十分な性能を得るためには厳しく管理された条件下で膜厚の制御を行うことが必要である。従って、生産性が低くかつ大面積化が困難である。
(3) 発光材料で利用されているのは励起一重項状態からの発光、すなわち蛍光である。ところが、発光層中で正孔と電子が再結合して生成する励起一重項状態と励起三重項状態の励起子の生成比が量子力学に基づくスピン統計則から1:3であることから、有機ELにおける発光の内部量子効率は理論的には25%が上限とされている。
Thin Solid Films, Vol.94, 171 (1982) Applied Physics Letter, Vol.51, 913 (1987) 第40回応用物理学関係連合講演会予稿集30a-SZK-14(1993) 第42回高分子討論会予稿集20J21(1993) Nature, Vol.357, 477(1992) 第38回応用物理学関係連合講演会予稿集31p-g-12(1991) 第50回応用物理学会学術講演予稿集,29p-ZP-5(1989) 第51回応用物理学会学術講演予稿集,28a-PB-7(1990) Nature, Vol.395, 151(1998) Applied Physics Letter, Vol.75, 4 (1999)、WO00/70655
すなわち、本発明の有機電界発光素子は、
<1>少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に挾持された一つ又は複数の有機化合物層より構成される電界発光素子において、該有機化合物層の少なくとも一層が、少なくとも1種の電荷輸送性ポリエステルを含有し、さらに該有機化合物層の少なくとも一層に発光性低分子化合物を含有しており、該電荷輸送性ポリエステルが下記一般式(I−1)及び(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなり、また発光性低分子化合物が電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移により発光することを特徴とする有機電界発光素子である。
<3>前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする前記<2>に記載の有機電界発光素子である。
<5>前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする前記<4>に記載の有機電界発光素子である。
<7>前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする前記<6>に記載の有機電界発光素子である。
<9>前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする前記<8>に記載の有機電界発光素子である。
また、電荷輸送性ポリエステルの(I−1)又は(I−2)における部分構造や置換基を変えることにより溶剤に対する溶解性をコントロールすることが可能である。したがって、複数の有機化合物層を塗布により形成する際、上層と下層に用いる電荷輸送性ポリエステルの溶解性を調節して、上層を塗布する際下層にダメージを与えないように設計することが可能である。
さらに、電荷輸送性ポリエステルのガラス転移点もコントロールできるため、熱履歴が加わっても結晶化しない有機化合物層を作製するための電荷輸送性ポリエステルの製造も容易である。
前記多核芳香族炭化水素基及び縮合環芳香族炭化水素基とは、本発明においては、具体的には以下に定義される多環式芳香族基のことを意味する。
即ち、「多核芳香族炭化水素基」における多核芳香族炭化水素とは、炭素と水素とから構成される芳香環が2個以上存在し、これらの芳香環同士が、炭素―炭素の単結合によって結合している炭化水素を表す。前記多核芳香族炭化水素の具体例としては、ビフェニル、ターフェニル等が挙げられる。
また、「縮合環芳香族炭化水素基」における縮合環芳香族炭化水素とは、炭素と水素とから構成される芳香環が2個以上存在し、これらの芳香環同士が、1対の隣接して結合する炭素原子を共有している炭化水素を表す。前記縮合環芳香族炭化水素の具体例としては、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン等が挙げられる。
また、芳香族複素環基には、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等の芳香族基炭化水素基が更に置換してもよく、更に芳香族複素環基には、同じ又は異なる芳香族複素環基が更に置換してもよい。
アルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
アルコキシル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。
アリール基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、例えば、フェニル基、トルイル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数7〜20のものが好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
置換アミノ基の置換基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、具体例は前述の通りである。
ハロゲン原子としては、塩素、臭素等が挙げられる。
ここで、前記「2価の多核芳香族炭化水素基」、「2価の縮合環芳香族炭化水素基」及び「2価の芳香族複素環基」における「多核芳香族炭化水素」、「縮合環芳香族炭化水素」及び「芳香族複素環」は、前記Arの説明において記載した「多核芳香族炭化水素」、「縮合環芳香族炭化水素」及び「芳香族複素環」と同義であり、具体例も同様である。
一般式(II−1)中、Rは水素原子、アルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアラルキル基を表す。
アルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
アリール基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、例えば、フェニル基、トルイル基等が挙げられるる。
アラルキル基としては、炭素数7〜20のものが好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
また、置換アリール基、置換アラルキル基の置換基としては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
また、前記炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。置換若しくは未置換のアラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては塩素、臭素等が挙げられる。
また、一般式(II−2)中、B及びB'はそれぞれ独立に基−O−(Y−O)n−R又は基−O−(Y−O)n−CO−Z−CO−O−R'を表し、R'は、アルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアラルキル基を表し、具体例は、前記一般式(II−1)におけるRが表す、アルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアラルキル基と同じものが挙げられる。一般式(II−2)におけるA、 Y、 R、 n及び pは一般式(II−1)におけるものと同義である。
A'が水酸基の場合には、前記構造式(III−1)又は(III−2)で示される2価カルボン酸と、HO−(Y−O)n−Hで示される2価アルコール類をほぼ当量混合し、酸触媒を用いて重合する。酸触媒としては、硫酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等、通常のエステル化反応に用いるものが使用でき、正孔輸送性モノマー1質量部に対して、1/10,000〜1/10質量部、好ましくは1/1,000〜1/50質量部の範囲で用いられる。重合中に生成する水を除去するために、水と共沸可能な溶剤を用いることが好ましく、トルエン、クロロベンゼン、1−クロロナフタレン等が有効であり、正孔輸送性モノマー1質量部に対して、1〜100質量部、好ましくは2〜50質量部の範囲で用いられる。反応温度は任意に設定できるが、重合中に生成する水を除去するために、溶剤の沸点で反応させることが好ましい。
ここで、絶縁性材料としては、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリメチルメタアクリレートなどがあげられるが、これに限るものではない。また、電荷輸送性高分子の場合、ポリビニルカルバゾール、芳香族アミンを側鎖に有するポリメチルメタアクリレート、芳香族アミンを主鎖に有するポリエーテルあるいはポリシランなどがあげられるが、これに限るものではない。
本発明の有機EL素子は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極と、それら電極間に挾持された発光層を含む一つ又は複数の有機化合物層より構成され、該有機化合物層の少なくとも一層が、少なくとも1種の電荷輸送性ポリエステルを含有し、さらに該有機化合物層の少なくとも一層に発光性低分子化合物を含有してなる。
本発明の有機EL素子においては、有機化合物層が1つの場合は、有機化合物層はキャリア輸送能を持つ発光層を意味し、該発光層が前記電荷輸送性ポリエステル及び前記発光性低分子化合物を含有してなる。また、有機化合物層が複数の場合(機能分離型の場合)は、その少なくとも一つは発光層であり、他の有機化合物層は、キャリア輸送層、すなわち、正孔輸送層、電子輸送層、又は、正孔輸送層及び電子輸送層よりなるものを意味し、これらの少なくとも一層が前記電荷輸送性ポリエステルを含有し、発光層に前記発光性低分子化合物を少なくとも1種含有してなる。
図1〜図4は、本発明の有機EL素子の層構成を説明するための模式的断面図であって、図1、図2、図3の場合は、有機化合物層が複数の場合の一例であり、図4の場合は、有機化合物層が1つの場合の例を示す。なお、図1〜図4において、同様の機能を有するものは同じ符号を付して説明する。
図1に示す有機EL素子は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、キャリア輸送能を持つ発光層6、電子輸送層5及び背面電極7を順次積層してなる。図2に示す有機EL素子は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、正孔輸送層3、発光層4、電子輸送層5及び背面電極7を順次積層してなる。図3に示す有機EL素子は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、正孔輸送層3、キャリア輸送能を持つ発光層6及び背面電極7を順次積層してなる。図4に示す有機EL素子は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、キャリア輸送能を持つ発光層6及び背面電極7を順次積層してなる。以下、各々を詳しく説明する。
形成される正孔輸送層3、発光層4及び電子輸送層5の膜厚は、各々0.1μm以下、特に0.03〜0.08μmの範囲であることが好ましい。また、キャリア輸送能を持つ発光層6の膜厚は、0.03〜0.2μm程度が好ましい。上記各材料(前記電荷輸送性ポリエステル、発光材料等)の分散状態は分子分散状態でも微粒子分散状態でも構わない。塗布液を用いた製膜法の場合、分子分散状態とするためには、分散溶媒は上記各材料の共通溶媒を用いる必要があり、微粒子分散状態とするために分散溶媒は上記各材料の分散性及び溶解性を考慮して選択する必要がある。微粒子状に分散するためには、ボールミル、サンドミル、ペイントシェイカー、アトライター、ボールミル、ホモジェナイザー、超音波法等が利用できる。
そして、最後に、電子輸送層5或いはキャリア輸送能を持つ発光層6の上に背面電極7を真空蒸着法により形成することにより素子が完成される。
本発明の有機EL素子は、一対の電極間に、例えば、4〜20Vで、電流密度1〜200mA/cm2の直流電圧を印加することによって発光させることができる。
まず、実施例に用いた電荷輸送性ポリエステルは、例えば以下のようにして得た。
合成例1
下記化合物(VIII-1)2.0g、エチレングリコール8.0g及びテトラブトキシチタン0.1gを50mlのフラスコに入れ、窒素気流下、190℃で5時間加熱攪拌した。化合物(VIII-1)が消費されたことを確認した後、0.25mmHgに減圧してエチレングリコールを留去しながら200℃に加熱し、5時間反応を続けた。その後、室温まで冷却し、テトラヒドロフラン(THF)50mlに溶解して不溶物を0.2μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターにて濾過し、その濾液をメタノール500mlを撹拌している中に滴下する再沈殿を行うことでポリマーを析出させた。得られたポリマーを濾過し、十分にメタノールで洗浄した後乾燥させ、1.9gの正孔輸送性ポリエステル(VIII-2)を得た。分子量分布はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて測定し、Mw=7.24×104(スチレン換算)であり、Mn/Mw=1.87であった。
下記化合物(IX-1)2.0g、エチレングリコール8.0g及びテトラブトキシチタン0.1gを50mlのフラスコに入れ、窒素気流下、190℃で5時間加熱攪拌した。化合物(IX-1)が消費されたことを確認した後、0.25mmHgに減圧してエチレングリコールを留去しながら200℃に加熱し、5時間反応を続けた。その後、室温まで冷却し、THF50mlに溶解して不溶物を0.2μmのPTFEフィルターにて濾過し、その濾液をメタノール500mlを撹拌している中に滴下する再沈殿を行うことでポリマーを析出させた。得られたポリマーを濾過し、十分にメタノールで洗浄した後乾燥させ、1.9gの正孔輸送性ポリエステル(IX-2)を得た。分子量分布はGPCにて測定し、Mw=6.13×104(スチレン換算)であり、Mn/Mw=2.34であった。
下記化合物(X-1)2.0g、エチレングリコール8.0g及びテトラブトキシチタン0.1gを50mlのフラスコに入れ、窒素気流下、190℃で5時間加熱攪拌した。化合物(X-1)が消費されたことを確認した後、0.25mmHgに減圧してエチレングリコールを留去しながら200℃に加熱し、5時間反応を続けた。その後、室温まで冷却し、THF50mlに溶解して不溶物を0.2μmのPTFEフィルターにて濾過し、その濾液をメタノール500mlを撹拌している中に滴下する再沈殿を行うことでポリマーを析出させた。得られたポリマーを濾過し、十分にメタノールで洗浄した後乾燥させ、1.9gの正孔輸送性ポリエステル(X-2)を得た。分子量分布はGPCにて測定し、Mw=1.08×105(スチレン換算)であり、Mn/Mw=2.31であった。
電荷輸送材料として前記電荷輸送性ポリエステル〔例示化合物(VIII−2)〕(Mw=7.24×104)を1質量部と、燐光発光性低分子化合物として下記例示化合物(XI)を0.1質量部混合し、10質量%ジクロロエタン溶液を調製し、0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過した。この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、スピンコート法により塗布して膜厚0.15μmの電荷輸送能を持つ発光層を形成した。十分乾燥させた後、電子輸送性材料として前記電荷輸送性ポリエステル〔例示化合物(X-2)〕(Mw=1.08×105)を5質量%ジクロロエタン溶液として調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した後に発光層上にスピンコート法により塗布し、膜厚0.1μmの電子輸送層を形成した。最後にMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
正孔輸送性材料として前記電荷輸送性ポリエステル〔例示化合物(VIII−2)〕(Mw=7.24×104)を5質量%クロロベンゼン溶液として調製し、0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過した。この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、スピンコート法により塗布して膜厚0.1μmの正孔輸送層を形成した。十分乾燥させた後、電荷輸送材料として前記電荷輸送性ポリエステル〔例示化合物(IX-2)〕(Mw=6.13×104)を1質量部と、燐光発光性低分子化合物として前記例示化合物(XI)を0.1質量部混合し、10質量%ジクロロエタン溶液を調製し、0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過した後に正孔輸送層上にスピンコート法により塗布して膜厚0.15μmの電荷輸送能を持つ発光層を形成した。さらに十分乾燥させた後、電子輸送性材料として電荷輸送性ポリエステル〔例示化合物(X−2)〕(Mw=1.08×105)を5質量%ジクロロエタン溶液として調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した後に発光層上にスピンコート法により塗布し、膜厚0.1μmの電子輸送層を形成した。最後にMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
正孔輸送性材料として前記電荷輸送性ポリエステル〔例示化合物(VIII−2)〕(Mw=7.24×104)を5質量%クロロベンゼン溶液として調製し、0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過した。この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、スピンコート法により塗布して膜厚0.1μmの正孔輸送層を形成した。十分乾燥させた後、電荷輸送材料として前記電荷輸送性ポリエステル〔例示化合物(IX−2)〕(Mw=6.13×104)を1質量部と、燐光発光性低分子化合物として前記例示化合物(XI)を0.1質量部混合し、10質量%ジクロロエタン溶液を調製し、0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過した後に正孔輸送層上にスピンコート法により塗布して膜厚0.15μmの電荷輸送能を持つ発光層を形成した。最後にMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
電荷輸送材料として前記正孔輸送性ポリエステル〔例示化合物(VIII−2)〕(Mw=7.24×104)を0.5質量部と電荷輸送性ポリエステル〔例示化合物(IX−2)〕(Mw=6.13×104)を0.5質量部、燐光発光性低分子化合物として前記例示化合物(XI)を0.1質量部混合し、10質量%ジクロロエタン溶液を調製し、0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過した。この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上にスピンコート法により塗布して膜厚0.15μmの電荷輸送能を持つ発光層を形成し、最後にMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、燐光ホスト材料として下記例示化合物(XII)と燐光発光材料として前記例示化合物(XI)より構成される厚さ0.065μmの発光層を、共蒸着により膜中の質量比で(XII)中(XI)が5%となるよう蒸着して形成した後、電子輸送材料として前記例示化合物(VII)より構成される厚さ0.050μmの電子輸送層を真空蒸着法により形成した。最後にMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、正孔輸送材料として前記例示化合物(VI−2)より構成される厚さ0.050μmの正孔輸送層を真空蒸着法により形成した。さらに、正孔輸送層上に燐光ホスト材料として下記例示化合物(XII)と燐光発光材料として前記例示化合物(XI)より構成される厚さ0.065μmの発光層を共蒸着により膜中の質量比で(XII)中(XI)が5%となるよう蒸着して発光層を形成した後、電子輸送材料として前記例示化合物(VII)より構成される厚さ0.050μmの電子輸送層を真空蒸着法により形成した。最後にMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、正孔輸送材料として前記例示化合物(VI−2)より構成される厚さ0.050μmの正孔輸送層を真空蒸着法により形成した。さらに、正孔輸送層上に燐光ホスト材料として下記例示化合物(XII)と燐光発光材料として前記例示化合物(XI)より構成される厚さ0.065μmの発光層を共蒸着により膜中の質量比で(XII)中(XI)が5%となるよう蒸着して発光層を形成した。最後にMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、正孔輸送層上に燐光ホスト材料として前記例示化合物(XII)と燐光発光材料として前記例示化合物(XI)より構成される厚さ0.065μmの発光層を共蒸着により膜中の質量比で(XII)中(XI)が5%となるよう蒸着して発光層を形成した後、Mg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
以上のように作製した有機EL素子を、真空中(133.3×10-3Pa(10-3Torr))でITO電極側をプラス、Mg-Ag背面電極をマイナスとして直流電圧を印加し、発光について測定を行い、このときの最高輝度、及び発光色を評価した。それらの結果を表17に示す。また、乾燥窒素中で有機EL素子の発光寿命の測定を行った。発光寿命の評価は、初期輝度が50cd/m2となるように電流値を設定し、定電流駆動により輝度が初期値から半減するまでの時間を素子寿命(hour)とした。この時の駆動電流密度を素子寿命と共に表1に示す。
2 透明電極
3 正孔輸送層
4 発光層
5 電子輸送層
6 電荷輸送能をもつ発光層
7 背面電極
Claims (10)
- 少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に挾持された一つ又は複数の有機化合物層より構成される電界発光素子において、該有機化合物層の少なくとも一層が、少なくとも1種の電荷輸送性ポリエステルを含有し、さらに該有機化合物層の少なくとも一層に発光性低分子化合物を含有しており、該電荷輸送性ポリエステルが下記一般式(I−1)及び(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなり、また発光性低分子化合物が電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移により発光することを特徴とする有機電界発光素子。
- 前記有機化合物層が少なくとも発光層及び電子輸送層から構成され、前記発光層及び前記電子輸送層の少なくとも一方が、前記一般式(I−1)及び(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエステルを少なくとも1種含有し、発光層に電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移により発光する発光性低分子化合物を少なくとも1種含有してなることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
- 前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする請求項2に記載の有機電界発光素子。
- 前記有機化合物層が少なくとも正孔輸送層、発光層及び電子輸送層から構成され、少なくとも前記正孔輸送層及び前記電子輸送層の一方又は両方が、前記一般式(I−1)及び(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエステルを少なくとも1種含有し、発光層に電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移により発光する発光性低分子化合物を少なくとも1種含有してなることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
- 前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする請求項4に記載の有機電界発光素子。
- 前記有機化合物層が少なくとも正孔輸送層及び発光層から構成され、前記正孔輸送層及び前記発光層の少なくとも一方が、前記一般式(I−1)及び(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエステルを少なくとも1種含有し、発光層に電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移により発光する発光性低分子化合物を少なくとも1種含有してなることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
- 前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする請求項6に記載の有機電界発光素子。
- 前記有機化合物層が電荷輸送能を有する発光層1層のみから構成され、前記発光層が、前記一般式(I−1)及び(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエステルを少なくとも1種含有し、発光層に電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移により発光する発光性低分子化合物を少なくとも1種含有してなることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子
- 前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする請求項8に記載の有機電界発光素子。
- 前記一般式(I−1)及び(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエステルが、下記一般式(II−1)又は(II−2)で示される電荷輸送性ポリエステルであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の有機電界発光素子。
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