JP2005259402A - 燃料電池システム、燃料電池システムの制御方法、及びそのコンピュータプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】 温度センサを設けることなく冷媒温度を推測し、適正な冷却量を決定可能な燃料電池システムおよびその制御方法を提供する。
【解決手段】 燃料電池20供給空気を冷却する中間冷却器34を備えたシステムであって、中間冷却器の供給空気流量検出器31、中間冷却器の入口側空気温度T1を検出する第1温度検出器33、中間冷却器の出口側空気の温度T2を検出する第2温度検出器35、空気流量検出器31の流量と第1温度検出器検出温度T1と第2温度検出器検出温度T2とに基づいて中間冷却器の供給冷媒温度Twを演算し、当該冷媒の温度Twに対応して当該冷媒の冷却強度を決定し、当該冷却強度を示す駆動情報Sdを出力する制御部10、および中間冷却器供給冷媒を制御部10から供給された駆動情報Sdが示す冷却強度に対応した強度で冷却する冷媒冷却装置50・51を備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】 燃料電池20供給空気を冷却する中間冷却器34を備えたシステムであって、中間冷却器の供給空気流量検出器31、中間冷却器の入口側空気温度T1を検出する第1温度検出器33、中間冷却器の出口側空気の温度T2を検出する第2温度検出器35、空気流量検出器31の流量と第1温度検出器検出温度T1と第2温度検出器検出温度T2とに基づいて中間冷却器の供給冷媒温度Twを演算し、当該冷媒の温度Twに対応して当該冷媒の冷却強度を決定し、当該冷却強度を示す駆動情報Sdを出力する制御部10、および中間冷却器供給冷媒を制御部10から供給された駆動情報Sdが示す冷却強度に対応した強度で冷却する冷媒冷却装置50・51を備えている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、燃料電池システムの空気の冷却システムに係り、特に、高価な水温センサを用いずに冷媒の温度を求め制御量を決定するシステムに関する。
電気自動車等の移動体に搭載される燃料電池システムでは、適正な運転状態とするために、燃料電池の空気極に供給する空気を冷却液によって冷却している。例えば、特開2002−280047号公報には、空気冷却器と燃料電池のオフガス中の水分を凝縮させる凝縮器とに水タンクから水を循環させ、燃料電池の要求出力に応じて水タンク内の水量変化量を基準範囲内に納め、コンプレッサと冷却装置の消費エネルギ量の和が小さくなるようにシステム各部の制御目標値を定める発明が記載されている(特許文献1)。この技術では、空気圧力のみではなく、冷媒温度も温度センサで検出した上で制御を行っているため、燃料電池に供給した水を冷媒温度に対応させて効率的に回収することができていた。
空気を冷却している他の例として、特開2000―12060号公報(特許公報2)及び特開2003―118396号公報(特許公報3)には、空気を燃料電池に供給する前にインタークーラーで冷却する技術が開示されている。
特開2002−280047号公報
特開2000―12060号公報
特開2003―118396号公報
空気の冷却量は冷媒の温度に深く依存するため、冷媒の温度を測定することは適正な燃料電池制御の観点からは好ましいといえる。例えば、高地などにおいてはエアコンプレッサの吸気圧が下がり空気の吐出温度が上昇する。吐出温度が上昇すると燃料電池の出力が低下し易くなるため、ファンによる冷却が必要である。このような場合にはファンを回して冷却液の温度を低く保ち、空気を冷却しておくことが必要であるが、常時ファンを回しておくことは得策ではない。ファンを回すエネルギにより燃費が悪くなるからである。冷却液の温度が上昇した場合にのみファンを回して空気を冷却することが好ましい。したがって、特許文献2や3に記載されているように空気冷却用の冷却液の温度を検出しない方法は好ましくないといえる。
しかしながら、冷却液の温度を検出する技術であっても、特許文献1に記載されているようなシステムにおいて、万一冷媒温度を検出している温度センサが故障した場合、誤った冷媒温度に基づきファンが駆動され、過剰な駆動で消費電力が著しく上昇したり、駆動がされないため燃料電池出力が制御できなくなったりする可能性があった。
また、冷媒の温度を直接測定しコンピュータに読み取り可能に出力する冷媒用温度測定装置は比較的高価なものであるため、できれば使用したくないものである。
そこで本発明は、温度センサを設けることなく冷媒温度を推測し、適正な冷却量を決定可能な燃料電池システムおよびその制御方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、燃料電池に供給する空気を冷却する中間冷却器を備えた燃料電池システムであって、中間冷却器に供給されている空気の流量を検出する空気流量検出器と、中間冷却器の入口側における空気の温度T1を検出する第1温度検出器と、中間冷却器の出口側における空気の温度T2を検出する第2温度検出器と、空気流量検出器が検出した空気の流量と第1温度検出器が検出した温度T1と第2温度検出器が検出した温度T2とに基づいて中間冷却器に供給されている冷媒の温度Twを演算し、当該冷媒の温度Twに対応して当該冷媒の冷却強度を決定し、当該冷却強度を示す駆動情報を出力する制御部と、中間冷却器に供給される冷媒を制御部から供給された駆動情報が示す冷却強度に対応した強度で冷却する冷媒冷却装置と、を備えたことを特徴とする。
また、同様に本発明は、燃料電池に供給する空気を冷却する中間冷却器を備えた燃料電池の冷却方法であって、中間冷却器に供給されている空気の流量を検出するステップと、
中間冷却器の入口側における空気の温度T1を検出するステップと、中間冷却器の出口側における空気の温度T2を検出するステップと、検出された空気の流量と温度T1と温度T2とに基づいて中間冷却器に供給されている冷媒の温度Twを演算するステップと、
冷媒の温度Twに対応した強度で冷媒を冷却するステップと、を備えたことを特徴とする。
中間冷却器の入口側における空気の温度T1を検出するステップと、中間冷却器の出口側における空気の温度T2を検出するステップと、検出された空気の流量と温度T1と温度T2とに基づいて中間冷却器に供給されている冷媒の温度Twを演算するステップと、
冷媒の温度Twに対応した強度で冷媒を冷却するステップと、を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、中間冷却器の入口側の温度T1と出口側の温度T2とによって温度差(T1−T2)、すなわち冷媒に奪われた熱が判り、空気の流量によって空気と冷媒との熱交換効率が判るため、冷媒の温度Twを推測可能になる。よって、高価な冷媒の温度センサが必要なく、また、温度センサの故障による動作不具合が生じにくくなる。
ここで「冷媒」には限定は無く、水や氷点を下げる不凍液であるグリセリン等の溶液であってもよい。
「冷媒冷却装置」に限定はなく冷却強度に応じた熱量を冷媒から奪って冷却することができる装置であることを要する。線形的に冷却できる装置である他に、何段階にわたって段階的に冷却できるような装置であってもよい。冷媒冷却装置が送風手段である場合、制御部は、冷却強度に対応させた強度で送風手段の送風量を制御する。例えば冷却装置がファン等の送風手段である場合、モータの駆動電圧によって連続的に送風量が変化可能に構成されていても、機械的手段によって段階的に送風量を変更可能である場合も含む。
ここで、制御部は、空気の流量に対応して定まる温度効率φを求め、当該温度効率φと温度T1と温度T2とに基づいて中間冷却器に供給されている冷媒の温度Twを演算することが可能である。当該構成によれば、冷媒と空気との熱交換比率を表す温度効率φが冷媒の種類を定めることによって空気の流量に対応させて一義的に定まるため、温度差に基づいて冷媒の温度Twが演算可能となる。
つまり、温度効率φと温度T1と温度T2とに基づいて下記の式により冷媒の温度Twを演算することができる。
Tw=T1−(T1−T2)/φ
Tw=T1−(T1−T2)/φ
例えば、この燃料電池システムは移動体に搭載されるものであって、制御部は、当該移動体の移動速度が所定速度以下である場合に送風手段を動作させるように制御してもよい。当該構成によれば、移動体が移動中は空気の流通があるため冷媒の冷却が促進されており一般に制御をしなくても問題が生じないが、移動体が所定速度(例えば止まっている状態)以下の速度で移動しているときは、燃料電池システムの冷却量が減る代わりに、本発明の燃料電池システムによる冷却が機能して冷媒が適正に冷却される。
本発明は上記燃料電池の制御方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムでもある。このようなコンピュータソフトウェアプログラムは、当該燃料電池システムの構成において制御部によって実行されることにより、本発明の制御動作を実行させることが可能である。
このようなコンピュータプログラムは例えば機械読み取り可能な記録媒体に記録される。このような記録媒体には、例えばROMのみならず、FD,CD−ROM,CD−RAM,DVD―R,DVD−RW、MO等着脱自在な携帯型記録媒体である。さらにコンピュータプログラムはRAMに通信回線を介してダウンロードするように構成されていてもよい。
以上本発明によれば、空気の圧力と温度とにより冷媒温度を演算するので、冷媒温度を検出するために特に温度センサを設けることなく冷媒温度を推測し、適正な冷却量を決定することができる。このため、冷媒中の温度センサ故障による燃料電池の動作不具合を無くすことができ、また、必要なときだけ冷却装置を駆動するようになるため消費電力の浪費を抑えることができる。
次に本発明を実施するための好適な実施形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施形態)
本発明の実施形態は、電気自動車等の移動体に搭載する燃料電池システムに本発明を適用したものである。図1に本燃料電池システムのシステム全体図を示す。図1に示すように、当該燃料電池システムは、燃料電池スタック20に空気を供給するための系統、空気を冷却するための系統、及び燃料電池スタックを冷却するための系統によって構成されている。
(実施形態)
本発明の実施形態は、電気自動車等の移動体に搭載する燃料電池システムに本発明を適用したものである。図1に本燃料電池システムのシステム全体図を示す。図1に示すように、当該燃料電池システムは、燃料電池スタック20に空気を供給するための系統、空気を冷却するための系統、及び燃料電池スタックを冷却するための系統によって構成されている。
燃料電池スタック20は、複数のセルをガスの通りを良くするセパレータで挟み込んだMEA(Membrane Electrode Assembly)というスタック構造をしている。各セルは高分子電解質膜を燃料極及び空気極の二つの電極で挟み込んだ構造をしている。燃料極は燃料極用触媒層を多孔質支持層上に設けてあり、空気極は空気極用触媒層を多孔質支持層上に設けてある。当該燃料電池スタック20は動作によって発熱反応をするため、冷却液によって適正な動作温度に維持されねばならず、また、供給する空気も適正な温度に維持されていなければならない。本願発明の制御方法によって当該空気の温度が制御される。
この燃料電池スタックに空気を供給する系統は、エアクリーナ30、空気流量センサ31、コンプレッサ32、冷却器入口側温度センサ33、空気中間冷却器34、及び冷却器出口側温度センサ35等によって構成されている。
エアクリーナ30は、外部から取り入れられた空気をエアフィルタ等で浄化するためのものであり、浄化された空気の一部を燃料電池スタック20のための酸素供給源として供給するようになっている。
空気流量センサ31は、当該酸素供給源として取り入れられた空気の流量、すなわち単位時間に通過する空気の体積を測定し、空気流量検出信号Svとして制御部10に読み取り可能に出力するものである。
空気中間冷却器34は当該空気を冷却するためのインタークーラであって、公知の構造により、冷媒である冷却液と空気との熱交換を所定の温度効率で行い、空気を冷却するものである。
冷却器入口側温度センサ33は本発明の第1温度検出器に相当し、空気中間冷却器34に入る直前の空気の温度を測定し、入口側温度T1を示す温度検出信号St1して制御部10に読み取り可能に出力する。一方、冷却器出口側温度センサ35は本発明の第2温度検出器に相当し、空気中間冷却器34から出た直後の空気の温度を測定し、出口側温度T2を示す温度検出信号St2として制御部10に読み取り可能に出力する。
図示しない燃料ガス供給装置から燃料電池スタック20の水素極側に供給された燃料ガスである水素ガスは、空気に含まれる酸素との間で電気化学反応を生じて燃料オフガスとして図示しない燃料オフガス処理系に供給される。燃料ガスの供給システムとしては、改質器によってメタノールを燃焼させ水素ガスを取り出すものや、水素タンク内の水素吸蔵合金に蓄積された水素ガスを熱交換システムで制御して取り出すものがある。
また燃料電池スタック20の空気極側に供給された空気は、前記電気化学反応を生じた後、空気オフガスとして図示しない空気オフガス処理系に供給される。
なお、図示しないが、空気極系統や燃料極系統には、これらの系統の動作に必要な電磁弁やポンプが設けられ、制御部10からの制御信号に基づいて燃料電池スタック20の出力増減や動作の開始・停止ができるようになっている。
この燃料電池スタック20に供給される空気を冷却するための系統として、空気冷却用ラジエタ37と冷却液ポンプ36とを備える。空気冷却用ラジエタ37は、外気と空気冷却用冷却液との間の熱交換を促進するために公知の細管構造を備えて空気に接触する表面積が大きくなっている。冷却液ポンプ36は、制御部10の制御する流量で当該冷却液を循環させ、空気を連続的に冷却するようになっている。本発明は、当該冷却液の温度Twを、温度センサを利用すること無く求めるように構成されている。
燃料電池スタック20を冷却するための系統としては、燃料電池冷却用ラジエタ40と冷却液ポンプ41とを備える。燃料電池冷却用ラジエタ40は、外気と燃料電池スタック冷却用冷却液との間の熱交換を促進するために公知の細管構造を備え、空気に接触する表面積が大きくなっている。冷却液ポンプ41は、制御部10の制御する流量で当該冷却液を循環させ、燃料電池スタック20内部を冷却するようになっている。
さらに当該燃料電池システムは、当該電気自動車に取り入れられた外気を所定の風量で空気冷却用ラジエタ37と燃料電池冷却用ラジエタ40とに供給するためのファン50及びファン50を回転駆動するモータ51を備えている。モータ51は制御部10から供給される、本発明の駆動情報に相当する駆動信号Sdに対応した回転数でファン50を回転させるようになっている。
制御部10は、ECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)等の公知の自動車制御用の汎用コンピュータシステムであり、図示しない中央処理装置(CPU)、RAM、ROM等を備えている。本発明に係る燃料電池の制御方法を実行するためのコンピュータプログラムは、例えばROMに格納されており、逐一実行されるようになっている。また、制御部10に、さらにCDやDVD等の記憶媒体の読み取り行うドライブ装置を設けたり、有線または無線のネットワークを介してデータの授受を行うモデム装置を設けたりし、外部からコンピュータプログラムをRAMにダウンロードし実行可能に構成してもよい。制御部10は、ROMまたはRAM内に格納されたコンピュータプログラムを実行し、例えば図2に示すような処理手順で当該燃料電池システムを制御するようになっている。
次に、図2のフローチャートを参照しながら、本実施形態における燃料電池システムの制御動作を説明する。制御部10は本制御方法の実施タイミングになると、まず当該電気自動車が走行中であるか否かを、シャフトの回転数等の検出信号を参照して判定する(S1)。ここで「走行中」であるか否かの判定において、厳密には非常に小さい速度で、ゆっくりと移動しているような場合は、実質的に外気の流通が盛んな状態ではないため冷却性能に影響が無く、当該発明においては速度ゼロと同等な停止状態であると判断してもよい。
当該自動車が走行中であれば(S1:YES)、制御部10は燃料電池冷却用ラジエタ40や空気冷却用ラジエタ37を外気が充分に流通し、適正な冷却が行われていると判断して当該発明に係る処理をせずに他の処理に移行する(S8)。
一方、当該自動車が停止中または実質的に停止状態に等しい速度で移動中である場合(S1:NO)、制御部10は当該自動車は動作中であるが動いていない、いわゆるアイドリング状態と見なし、充分に空気を冷却するための本発明の制御方法に移行する(S2〜)。まず、制御部10、空気流量センサ31から空気流量検出信号Svを読み取り、取り入れられた空気量を把握し記憶する(S2)。次いで、制御部10は、空気の流量に対応して定まる温度効率φを求める(S3)。温度効率φは一つの媒体から他の媒体に温度が移行する熱交換の効率を定めるもので、それぞれの媒体と熱交換装置が定まれば測定によって得ることができる特性である。
図3に当該燃料電池システムにおける空気と冷却液との間における温度効率φを、空気流量との関係で示す。図3から判るように、空気の流量に応じて温度効率φが徐々に下がっていく。ゆっくり空気が移動する状態では空気と冷却液との熱交換が充分促進され温度効率φは高めになるが空気の移動が早くなると、つまり空気の流量が大きいと熱交換が不十分になって温度効率φは小さくなっていく。制御部10のROM等の内部メモリには、図3に示すような空気流量と温度効率φとの関係が、例えばデータテーブルのような形で格納されている。制御部10は、検出された空気流量に対応させて現在の温度効率φを求める。
さらに制御部10は、冷却器入口側温度センサ33及び冷却器出口側温度センサ35から温度検出信号St1及びSt2を読み取り、冷却器入口側温度T1及び冷却器出口側温度T2を把握し記憶する(S4)。空気流量の検出と温度の検出とはいずれが先でも同時に行ってもよい。
以上の空気についての検出情報に基づいて、制御部10は冷却液の温度Twを演算によって求める(S5)。通常、温度効率φと冷却器入口側温度T1と冷却器出口側温度T2との関係は、式(2)のようなものである。
φ=(T1−T2)/(T1−Tw) …(2)
φ=(T1−T2)/(T1−Tw) …(2)
この式(2)は、空気の温度変化に対する冷却液の温度変化を示しており、冷却液温度Twの変化率に対応している。式(2)を変形すれば、冷却液温度Twを求める式(3)が得られる。
Tw=T1−(T1−T2)/φ …(3)
Tw=T1−(T1−T2)/φ …(3)
そこで制御部10は、ステップS4で求められた温度効率φを式(3)に代入し、既に記憶されている冷却器入口側温度T1と冷却器出口側温度T2とから、冷却液温度Twを求める(S5)。この冷却液温度Twが所定の温度範囲に維持されることによって、空気中間冷却器34を通過する空気が一定の温度にまで冷却される。このため、求められた冷却液の温度Twに対応させて制御部10はファン50によって空気冷却用ラジエタ50に供給する風量、すなわちファン50の回転数またはモータ51のトルクを決定し、当該回転数やトルクでファン50を駆動させるための駆動情報、例えば駆動電圧を駆動信号Sdとしてモータ51に出力する(S6)。冷却液温度Twとそれを所定の温度範囲にするために必要な駆動情報との関係は、予め測定されて内部メモリに格納されている。モータ51は当該駆動信号Sdに対応した回転数またはトルクで回転し、所望の風量が空気冷却用ラジエタ37に供給される(S7)。この送風によって空気中間冷却器34における冷却が制御され当該空気中間冷却器34から出てきた空気の温度を一定の温度以下に保持することができる。以上の当該燃料電子の冷却処理が終了したら、制御部10は他の処理に移行する(S8)。
以上、本実施形態の構成によれば、空気中間冷却器34の入口側の温度T1と出口側の温度T2と空気流量のみによって、簡単に冷却液の温度Twが正しく推測可能になるため、高価な冷却液の温度センサが必要なく、また、温度センサの故障による動作不具合が生じにくくなる。
(その他の実施形態)
本発明は上記実施形態以外にも種々に変更して適用することが可能である。
例えば、上記実施形態ではファン50によって燃料電池冷却用ラジエタ40と空気冷却用ラジエタ37とを共に冷却していたが、ファンをそれぞれのラジエタに別個独立に設けるように構成してもよい。それぞれのラジエタに対する冷却装置を独立して設けた方が、それぞれの系統の冷却液の温度を個別に制御し個別の温度に維持可能になるので、より細やかな燃料電池システムの適正化制御が可能である。
本発明は上記実施形態以外にも種々に変更して適用することが可能である。
例えば、上記実施形態ではファン50によって燃料電池冷却用ラジエタ40と空気冷却用ラジエタ37とを共に冷却していたが、ファンをそれぞれのラジエタに別個独立に設けるように構成してもよい。それぞれのラジエタに対する冷却装置を独立して設けた方が、それぞれの系統の冷却液の温度を個別に制御し個別の温度に維持可能になるので、より細やかな燃料電池システムの適正化制御が可能である。
これとは逆に、システムを簡単にするためには、ラジエタを兼用させて一つのみ設け、冷却液を燃料電池スタック20と空気中間冷却器34とに連続して循環させてもよい。このようにしても空気の冷却が達成できる。
また上記実施形態では駆動電圧の大小に応じて回転数が変化するモータ51を駆動していたが、ステップモータのようにデジタル値によって回転数を変化させるようにしてもよい。ステップモータのような構成によれば、更に正確な回転数の制御が可能である。
さらに、ファン駆動用専用モータを設ける代わりに、電気自動車走行のためのメインモータから回転伝導機構によって回転力を伝達しファンを回すようにしてもよい。このような場合には、例えば、メインモータから当該空気冷却用のファンを回転させるためのシャフトまで回転を伝達させる伝達機構の一部に変速装置を設け、制御部10からの駆動信号Sdに対応して当該変速装置が回転数を変換させること等の措置によって冷却用の風量制御を行うことが可能である。
さらにまた、上記実施形態では空気流量を直接流量センサによって検出していたが、空気流量の変化と共に変化する他のパラメータによっても空気流量の相対値を検出可能である。例えば、コンプレッサの回転数やトルクや消費電力、燃料電池出力電流や電力、燃料ガス側の流量、アクセル開度、メインモータのトルクや消費電流や電力等のパラメータが利用可能である。
Sd…駆動信号、10…制御部、20…燃料電池スタック、30…エアクリーナ、31…空気流量センサ、32…コンプレッサ、33…冷却器入口側温度センサ、34…空気中間冷却器(インタークーラ)、35…冷却器出口側温度センサ、36・41…冷却液ポンプ、37…空気冷却用ラジエタ、40…燃料電池冷却用ラジエタ、50…ファン、51…モータ
Claims (7)
- 燃料電池に供給する空気を冷却する中間冷却器を備えた燃料電池システムであって、
前記中間冷却器に供給されている空気の流量を検出する空気流量検出器と、
前記中間冷却器の入口側における空気の温度T1を検出する第1温度検出器と、
前記中間冷却器の出口側における空気の温度T2を検出する第2温度検出器と、
前記空気流量検出器が検出した空気の流量と前記第1温度検出器が検出した温度T1と前記第2温度検出器が検出した温度T2とに基づいて前記中間冷却器に供給されている冷媒の温度Twを演算し、当該冷媒の温度Twに対応して当該冷媒の冷却強度を決定し、当該冷却強度を示す駆動情報を出力する制御部と、
前記中間冷却器に供給される冷媒を前記制御部から供給された前記駆動情報が示す前記冷却強度に対応した強度で冷却する冷媒冷却装置と、
を備えたことを特徴とする燃料電池システム。 - 前記制御部は、
前記空気の流量に対応して定まる温度効率φを求め、当該温度効率φと前記温度T1と前記温度T2とに基づいて前記中間冷却器に供給されている冷媒の温度Twを演算する、請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記制御部は、
前記温度効率φと前記温度T1と前記温度T2とに基づいて式(1)により前記冷媒の温度Twを演算する、請求項2に記載の燃料電池システム。
Tw=T1−(T1−T2)/φ …(1) - 前記冷媒冷却装置は送風手段であって、
前記制御部は、前記冷却強度に対応させた強度で前記送風手段の送風量を制御する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の燃料電池システム。 - 前記燃料電池システムは移動体に搭載されるものであって、
前記制御部は、当該移動体の移動速度が所定速度以下である場合に前記送風手段を動作させる、請求項4に記載の燃料電池システム。 - 燃料電池に供給する空気を冷却する中間冷却器を備えた燃料電池の冷却方法であって、
前記中間冷却器に供給されている空気の流量を検出するステップと、
前記中間冷却器の入口側における空気の温度T1を検出するステップと、
前記中間冷却器の出口側における空気の温度T2を検出するステップと、
検出された前記空気の流量と前記温度T1と前記温度T2とに基づいて前記中間冷却器に供給されている冷媒の温度Twを演算するステップと、
前記冷媒の温度Twに対応した強度で前記冷媒を冷却するステップと、
を備えたことを特徴とする燃料電池の制御方法。 - 請求項6に記載された燃料電池の制御方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
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