JP2005257660A - 薄板の表面欠陥の分布形態解析装置、薄板の表面欠陥の分布形態解析方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 自動疵検査装置で採取された疵データの位置座標と疵グループの重心位置との距離を算出して、疵同士を自動的にグループ化し、各疵グループを二次元の正規分布関数で表現し、その疵グループの重心位置や空間サイズ、疵個数密度といった疵分布に係わる特徴量を、評価指標に基づいて最適となるように計算処理を行う。この結果、人間による分析処理に比べて、再現性の高い客観的かつ定量的な特徴量を抽出することが可能となり、疵の発生位置と操業条件の相関解析など、大量の疵分布データを用いた解析を迅速に行うことが出来る。
【選択図】 図1
Description
しかしながら、表面欠陥が大量に発生した場合や、同様の鋼種や操業条件で製造されたコイルの全ての疵データを大量に収集して疵分布状況を解析したい場合には、人手によってコイル1本づつの疵分布を分析する必要があり、解析に時間を要するという問題点があった。
本発明の表面欠陥の分布形態解析装置の他の特徴とするところは、前記疵分布特徴量算出手段は、予め設定された疵グループの初期個数分の疵グループ重心初期位置を作成する疵グループ初期重心位置作成手段と、疵グループの重心位置の座標と、各疵の座標データとを用いて、重心位置と疵との距離を算出する疵−重心間距離計算手段と、前記疵−重心間距離計算手段によって算出された距離に基づいて、互いに近接していると見なせる疵同士をグループ化して、1つ又は複数の疵グループを作成する疵グループ作成手段と、前記疵グループ作成手段によって作成された各疵グループの個数の最適性を評価する最適疵グループ個数評価手段とを有し、前記疵グループ作成手段によって作成された疵グループに基づいて、疵グループの重心座標値と、疵グループの空間サイズ値と、疵グループ内の疵個数密度値とを特徴量として計算するようにした点にある。
また、本発明の表面欠陥の分布形態解析装置の他の特徴とするところは、前記疵分布特徴量算出手段は、疵グループの重心座標に中心を持つ正規分布関数を用いて、薄板コイルの疵の分布形態を表現し、その分布形態を用いて、前記薄板コイルの疵分布形態を、定量的な数値として特徴量化するようにした点にある。
また、本発明の表面欠陥の分布形態解析装置の他の特徴とするところは、前記疵分布特徴量算出手段は、コイルの圧延方向、及び板巾方向の疵個数分布を算出する圧延/巾方向疵個数分布作成手段と、前記圧延/巾方向疵個数分布作成手段によって作成された疵個数分布に関する情報に基づいて、疵が直線状に分布する領域が複数個存在し、かつ互いに直交している直線状の疵分布が存在しているか否かを判定する直線状疵分布直交判定手段と、前記直線状疵分布直交判定手段によって、互いに直交している直線状の疵分布の構成要素であると判定された疵データを、他の疵データとは別個の疵グループと見なし、その別個の疵グループの代表形状として重心の代わりに直線を用いて疵グループ化の処理を行う直線状疵グループ作成手段を有し、前記互いに直交する直線状の疵分布を構成要素としない疵データを抽出して、前記疵グループ初期重心位置作成手段に引き渡すようにした点にある。
本発明の表面欠陥の分布形態解析方法の他の特徴とするところは、前記疵分布特徴量算出工程は、予め設定された疵グループの初期個数分の疵グループ重心初期位置を作成する疵グループ初期重心位置作成工程と、疵グループの重心位置の座標と、各疵の座標データとを用いて、重心位置と疵との距離を算出する疵−重心間距離計算工程と、前記疵−重心間距離計算工程によって算出された距離に基づいて、互いに近接していると見なせる疵同士をグループ化して、1つ又は複数の疵グループを作成する疵グループ作成工程と、前記疵グループ作成工程によって作成された疵グループの個数の最適性を評価する最適疵グループ個数評価工程とを有し、前記疵グループ作成工程によって作成された各疵グループに基づいて、疵グループの重心座標値と、疵グループの空間サイズ値と、疵グループ内の疵個数密度値とを特徴量として計算するようにした点にある。
また、本発明の表面欠陥の分布形態解析方法の他の特徴とするところは、前記疵分布特徴量算出工程は、疵グループの重心座標に中心を持つ正規分布関数を用いて、薄板コイルの疵の分布形態を表現し、その分布形態を用いて、前記薄板コイルの疵分布形態を、定量的な数値として特徴量化するようにした点にある。
また、本発明の表面欠陥の分布形態解析方法の他の特徴とするところは、 前記疵分布特徴量算出工程は、コイルの圧延方向、及び板巾方向の疵個数分布を算出する圧延/巾方向疵個数分布作成工程と、前記圧延/巾方向疵個数分布作成工程によって作成された疵個数分布に関する情報に基づいて、疵が直線状に分布する領域が複数個存在し、かつ互いに直交している直線状の疵分布が存在しているか否かを判定する直線状疵分布直交判定工程と、前記直線状疵分布直交判定工程によって、互いに直交している直線状の疵分布の構成要素であると判定された疵データを、他の疵データとは別個の疵グループと見なし、その別個の疵グループの代表形状として重心の代わりに直線を用いて疵グループ化の処理を行う直線状疵グループ作成工程とを有し、前記互いに直交する直線状の疵分布を構成要素としない疵データを抽出して、前記疵グループ初期重心位置作成工程に引き渡すようにした点にある。
本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、前記記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴とする。
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態の薄板の表面欠陥の分布形態解析装置の構成の一例を示す図である。図2は、薄板コイルに発生している疵のデータ(疵データ)の一例を示す図である。
この疵データには、薄板コイルの二次元平面内のある基準位置を原点Oとした、疵発生部の座標に相当する数値データが含まれている。図2に示すように、薄板コイル201の圧延方向の座標をx、幅方向の座標をyとし、当該薄板コイル201内にN個の欠陥が発生した場合、座標データは、以下の式(1)のように、N行2列の行列で表現することが出来る。
また、疵データは、各疵が薄板コイル201のおもて面、及び裏面の何れに発生しているかを識別するための情報も有している。例えば、疵が薄板コイル201のおもて面にある場合を0と表現し、裏面にある場合を1と表現することにすれば、各疵の発生面情報は、以下の式(2)のように、N次のベクトルとなる。
上記のデータに加え、疵データには、薄板コイル201の圧延方向の長さや幅など、疵が発生したコイルに関する寸法情報も含まれている。更には、疵の圧延方向の寸法値と幅方向の寸法値、疵の種類、及び疵の有害度等の情報が、個々の疵データに含まれている場合もある。
また、距離の計算方法としては、例えば、式(4)で定義されるユークリッド距離を用いる方法がある。
まず、図3(a)において、疵グループ初期重心位置作成部103は、疵データ蓄積部102に蓄積された疵データ(図3では×で示す)に対して、疵グループの個数k(初期重心の個数;図3では3個)を設定し、k個の疵グループの初期重心の座標を乱数などを用いて決定する。なお、図3では、クラスタ初期中心位置(初期重心)を丸付き数字で表している。
シルエット値は、各疵データについて、このあいまいさを定量的に評価する指標であり、疵iに対するシルエット値は、式(6)で計算される。
EMアルゴリズムによれば、疵データの集中の度合いに応じてガウス関数のパラメータσを決定することが可能である。図6は、1次元の空間上に疵グループが2つある場合を例にした、EMアルゴリズムによるσ算出の概念を説明するものである。
次に、図6(b)に示すように、各疵グループの重心に中心を持つガウス関数を設定する。そして、標準偏差σの初期値を仮定し、各疵データに対応する確率密度Piを評価し、EMアルゴリズムに基づいて各疵グループの標準偏差σを更新する反復処理を行う。
そうすると、図6(c)に示すように、標準偏差σA、σBが求められる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、上述した第1の実施の形態と同一の部分については、図1〜図6に付した符号と同一の符号を付すなどして詳細な説明を省略する。
L=wi+βsi ・・・(11)
ここで、wiは直線Lが通る点、siは直線Lの方向を示す長さが1のベクトル(以下単位ベクトルと称する)であり、それぞれ以下の式(12)、式(13)ように表される。
wi=(wix,wiy) ・・・式(12)
si=(cosθi,sinθi) ・・・(13)
但し、θiは、単位ベクトルsiが疵座標データの軸と成す角度である。座標rj(=(xj,yj))に位置する疵データと、式(11)の直線Lとの距離の2乗は、三平方の定理より、以下の式(14)で算出することができる。
Dij=|rj−wi|2−[(rj−wi)・si]2 ・・・(14)
図12は、座標rj(=(xj,yj))に位置する疵データと直線Lとの距離を算出する際の概念を説明するための図である。
各疵データに対して、式(14)で算出される距離Lに基づいて、最も近い直線状の疵グループを選択して、この疵が属する直線状疵グループ番号を付与する。
上述した実施形態の機能を実現するべく各種のデバイスを動作させるように、該各種デバイスと接続された装置あるいはシステム内のコンピュータに対し、前記実施形態の機能を実現するためのソフトウェアのプログラムコードを供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(CPUあるいはMPU)に格納されたプログラムに従って前記各種デバイスを動作させることによって実施したものも、本発明の範疇に含まれる。
図7は、製品の最終検査の結果、不合格となった自動車用外板向けメッキ鋼板に発生した疵の分布の一例を示す図である。この期間、当該鋼種の表面欠陥発生による不合格率が増加した為、亜鉛めっきライン及び連続焼鈍ラインを通過して、自動疵検査装置による疵データが収集されている、ほぼ同時期に生産された薄板コイル428本について、その疵分布特徴量を算出した。
また、本発明の薄板の表面欠陥の分布形態解析装置は、複数の機器から構成されるものであっても、一つの機器から構成されるものであっても良い。
また、上述した実施の形態は、コンピュータのCPU或いはMPU、RAM、ROM等で構成されるものであり、RAMやROMに記録されたプログラムが動作することで実施される。したがって、前記実施の形態の機能を実現するためのソフトウェアのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムコードを格納した記録媒体は本発明の範疇に含まれる。
102 疵データ蓄積部
103 疵グループ初期重心位置作成部
104 疵−重心間距離計算部
105 疵グループ作成部
106 重心位置最適性評価部
107 最適疵グループ個数評価部
108 疵グループ重心座標値抽出部
109 疵グループ空間サイズ値計算部
110 疵グループ内の疵個数密度計算部
111 解析結果表示部
120 圧延/巾方向疵個数分布作成部
121 直線状疵分布直交判断部
122 直線状疵グループ作成部
123 非直線状分布疵データ抽出部
Claims (10)
- 鉄鋼製品である薄板コイルに発生する表面欠陥の分布形態を解析して、その発生要因を分析する薄板の表面欠陥の分布形態解析装置であって、
前記薄板コイルの表面疵の発生位置に関する座標データを入力する疵データ入力手段と、
前記疵データ入力手段によって入力された表面疵の座標データを蓄積する疵データ蓄積手段と、
前記疵データ蓄積手段によって蓄積された表面疵の座標データに基づいて、前記薄板コイルの疵分布形態を、定量的な数値として特徴量化する演算処理を行う疵分布特徴量算出手段と、
前記疵分布特徴量算出手段によって演算処理された疵分布形態の特徴量の解析結果を、ユーザに提示する為の解析結果表示手段とを備えたことを特徴とする薄板の表面欠陥の分布形態解析装置。 - 前記疵分布特徴量算出手段は、予め設定された疵グループの初期個数分の疵グループ重心初期位置を作成する疵グループ初期重心位置作成手段と、
疵グループの重心位置の座標と、各疵の座標データとを用いて、重心位置と疵との距離を算出する疵−重心間距離計算手段と、
前記疵−重心間距離計算手段によって算出された距離に基づいて、互いに近接していると見なせる疵同士をグループ化して、1つ又は複数の疵グループを作成する疵グループ作成手段と、
前記疵グループ作成手段によって作成された疵グループの個数の最適性を評価する最適疵グループ個数評価手段とを有し、
前記疵グループ作成手段によって作成された各疵グループに基づいて、疵グループの重心座標値と、疵グループの空間サイズ値と、疵グループ内の疵個数密度値とを特徴量として計算するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の薄板の表面欠陥の分布形態解析装置。 - 前記疵分布特徴量算出手段は、疵グループの重心座標に中心を持つ正規分布関数を用いて、薄板コイルの疵の分布形態を表現し、その分布形態を用いて、前記薄板コイルの疵分布形態を、定量的な数値として特徴量化するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の薄板の表面欠陥の分布形態解析装置。
- 前記疵分布特徴量算出手段は、コイルの圧延方向、及び板巾方向の疵個数分布を算出する圧延/巾方向疵個数分布作成手段と、
前記圧延/巾方向疵個数分布作成手段によって作成された疵個数分布に関する情報に基づいて、疵が直線状に分布する領域が複数個存在し、かつ互いに直交している直線状の疵分布が存在しているか否かを判定する直線状疵分布直交判定手段と、
前記直線状疵分布直交判定手段によって、互いに直交している直線状の疵分布の構成要素であると判定された疵データを、他の疵データとは別個の疵グループと見なし、その別個の疵グループの代表形状として重心の代わりに直線を用いて疵グループ化の処理を行う直線状疵グループ作成手段とを有し、
前記互いに直交する直線状の疵分布を構成要素としない疵データを抽出して、前記疵グループ初期重心位置作成手段に引き渡すようにしたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の薄板の表面欠陥の分布形態解析装置。 - 鉄鋼製品である薄板コイルに発生する表面欠陥の分布形態を解析して、その発生要因を分析する薄板の表面欠陥の分布形態解析方法であって、
前記薄板コイルの表面疵の発生位置に関する座標データを入力する疵データ入力工程と、
前記疵データ入力工程によって入力された表面疵の座標データを蓄積する疵データ蓄積工程と、
前記疵データ蓄積工程によって蓄積された表面疵の座標データに基づいて、前記薄板コイルの疵分布形態を、定量的な数値として特徴量化する演算処理を行う疵分布特徴量算出工程と、
前記疵分布特徴量算出工程によって演算処理された疵分布形態の特徴量の解析結果を、ユーザに提示する解析結果表示工程とを備えたことを特徴とする薄板の表面欠陥の分布形態解析方法。 - 前記疵分布特徴量算出工程は、予め設定された疵グループの初期個数分の疵グループ重心初期位置を作成する疵グループ初期重心位置作成工程と、
疵グループの重心位置の座標と、各疵の座標データとを用いて、重心位置と疵との距離を算出する疵−重心間距離計算工程と、
前記疵−重心間距離計算工程によって算出された距離に基づいて、互いに近接していると見なせる疵同士をグループ化して、1つ又は複数の疵グループを作成する疵グループ作成工程と、
前記疵グループ作成工程によって作成された疵グループの個数の最適性を評価する最適疵グループ個数評価工程とを有し、
前記疵グループ作成工程によって作成された各疵グループに基づいて、疵グループの重心座標値と、疵グループの空間サイズ値と、疵グループ内の疵個数密度値とを特徴量として計算するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の薄板の表面欠陥の分布形態解析方法。 - 前記疵分布特徴量算出工程は、疵グループの重心座標に中心を持つ正規分布関数を用いて、薄板コイルの疵の分布形態を表現し、その分布形態を用いて、前記薄板コイルの疵分布形態を、定量的な数値として特徴量化するようにしたことを特徴とする請求項5又は6に記載の薄板の表面欠陥の分布形態解析方法。
- 前記疵分布特徴量算出工程は、コイルの圧延方向、及び板巾方向の疵個数分布を算出する圧延/巾方向疵個数分布作成工程と、
前記圧延/巾方向疵個数分布作成工程によって作成された疵個数分布に関する情報に基づいて、疵が直線状に分布する領域が複数個存在し、かつ互いに直交している直線状の疵分布が存在しているか否かを判定する直線状疵分布直交判定工程と、
前記直線状疵分布直交判定工程によって、互いに直交している直線状の疵分布の構成要素であると判定された疵データを、他の疵データとは別個の疵グループと見なし、その別個の疵グループの代表形状として重心の代わりに直線を用いて疵グループ化の処理を行う直線状疵グループ作成工程とを有し、
前記互いに直交する直線状の疵分布を構成要素としない疵データを抽出して、前記疵グループ初期重心位置作成工程に引き渡すようにしたことを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載の薄板の表面欠陥の分布形態解析方法。 - 鉄鋼製品である薄板コイルに発生する表面欠陥の分布形態を解析して、その発生要因を分析し、薄板の表面欠陥を解析することをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、
前記薄板コイルの表面疵の発生位置に関する座標データを入力する疵データ入力ステップと、
前記疵データ入力ステップによって入力された表面疵の座標データを蓄積する疵データ蓄積ステップと、
前記疵データ蓄積ステップによって蓄積された表面疵の座標データに基づいて、前記薄板コイルの疵分布形態を、定量的な数値として特徴量化する演算処理を行う疵分布特徴量算出ステップと、
前記疵分布特徴量算出ステップによって演算処理された疵分布形態の特徴量の解析結果を、ユーザに提示する解析結果表示ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。 - 前記請求項9に記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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