JP2005257459A - イオンクロマトグラフィー試料の濃縮方法及びイオンクロマトグラフィー用濃縮装置 - Google Patents

イオンクロマトグラフィー試料の濃縮方法及びイオンクロマトグラフィー用濃縮装置 Download PDF

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Abstract

【解決課題】 吸引装置を用いて吸引し、又は不活性ガスを用いて加圧し、濃縮カラムにイオンクロマトグラフィー試料を通液できるイオンクロマトグラフィー試料の濃縮方法及びイオンクロマトグラフィー用装置を提供することにある。
【解決手段】 イオンクロマトグラフィー試料を、吸引装置を用いて吸引し、濃縮カラムに通液するイオンクロマトグラフィー試料の濃縮方法であって、該濃縮カラムの充填剤が、メソポア半径が0.1〜100μm、イオン交換容量が1.0μg当量/g乾燥有機多孔質イオン交換体以上の有機多孔質イオン交換体であることを特徴とするイオンクロマトグラフィー試料の濃縮方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、発電所用水、半導体製造などの精密加工洗浄用水、食品加工用水、環境水質分析などの分野において、液中のイオン性物質の定量分析に使用されるイオンクロマトグラフィー試料の濃縮方法及びイオンクロマトグラフィー用濃縮装置であって、濃縮カラムへの通液に、送液ポンプを用いないイオンクロマトグラフィー試料の濃縮方法及びイオンクロマトグラフィー用濃縮装置に関する。
リン酸イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、亜硝酸イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン等の無機陰イオン及び酢酸、蟻酸等の有機酸などのイオン成分の分析には、近年イオンクロマトグラフィーが効率的かつ高精度・高感度な手段として利用されている。特に、半導体業界などで用いる純水の分析には欠くべからざるものとなっており、昨今の半導体の高密度化に伴い、用いる純水に要望される純度はますます厳しくなり、該イオン成分の含有量は、ng/lレベルとなってきている。
これらの純水のイオン成分の含有量は極めて少ないので、該純水等の試料を直接分離カラムに通液し、イオン成分を分離しても、該イオン成分を良好に検出することはできない。そこで、従来より、該純水の分析には、試料を、分離カラムに通液する前に濃縮カラムに通液し、イオン成分を濃縮カラムに吸着させて濃縮した後、切り替えバルブ等を用いて溶離液を濃縮カラムの逆方向から通液し、濃縮されたイオン成分を、濃縮カラムから溶出させ分離カラムに送り、分離カラムにてイオン成分を分離、及び電気伝導度検出器にて各イオンの検出を行う方法が行われてきた。
従来より行われてきたイオンクロマトグラフィー試料(以下、単に「試料」とも記載する。)の濃縮方法では、濃縮カラムへの試料の送液に、通常の液体クロマトグラフ用の送液ポンプが用いられていた。しかし、該送液ポンプは、プランジャーが、プラスチック製プランジャーシールを介して往復運動するため、該プランジャーシールが摩擦し、シールからの不純物の流出が避けられず、濃縮による試料の汚染が問題となっていた。そのため、例えば、同じ純水試料を分析しても、使用する送液ポンプの種類により、得られる分析結果に大きな差がでることがあり、また同一ポンプを用いてもなお、再現性に問題が出ることが多かった。また、試料は必ず送液ポンプを通過するため、試料中のイオン成分が該送液ポンプのピストン等に付着し、次に分析する試料を汚染するという問題もあった。
これらの試料の汚染を防ぐために、使用前に装置の接液部を洗浄する方法もあるが、μg/lを下回る低濃度域の試料が分析の対象であるため、送液ポンプを洗浄用純水で繰り返しパージする等の一般的な洗浄方法では不十分である。そのため、例えば、送液ポンプのピストンシールの裏側等は、ポンプヘッドを一旦分解して、各部品を純水で洗浄する必要があり、手間がかかる。
そこで、該送液ポンプを用いないイオンクロマトグラフィー試料の濃縮方法が必要となる。特許文献1の特開2001−4610号公報には、吸引装置を用いて、粒子状のイオン交換体が充填されている濃縮カラムに、イオンクロマトグラフィー試料を通液する方法が開示されている。
イオンクロマトグラフィー試料を濃縮する場合、分解能を高めるためには、できる限り狭いバンド幅でイオン成分等を分離カラムに通液しなければならない。そのためには、イオン成分等を狭いバンド幅で吸着させることができる高性能な濃縮カラムが必要となる。
そして、粒子状のイオン交換体が充填されている従来の濃縮カラムの性能は、該イオン交換体の粒子径に反比例するため、高性能な濃縮カラムほど粒子径の小さいイオン交換体を用いる必要がある。そのため、高性能な濃縮カラムほど、差圧が高くなり、高圧で試料を通液しなればならない。
ところが、吸引装置を用いて、濃縮カラムに試料を通液する場合、通液時の吸引圧力を0.1MPa(大気圧)より高くすることができないため、濃縮カラムの差圧が、0.1MPaより大きくなる場合は、通液できないという問題があった。あるいは、通液できたとしても、通液速度を下げなければならず、分析に長時間を要するという問題点があった。また、通液時の吸引圧力に制限があるため、高速通液ができないという問題もあった。
また、送液ポンプを用いない他の濃縮方法として、不活性ガスを用いて加圧し、イオンクロマトグラフィー試料を、濃縮カラムに通液する方法が考えられる。しかし、該濃縮方法の場合、試料の通液時の圧力が高くなると、通液量のコントロールが困難になるという問題があった。
カラムへの通液時の圧力の上昇についての問題点を解決するものとして、多孔質体を充填材として使用することが試みられている。特許文献2の特開2002−98677号公報には、液体クロマトグラフィーの分離カラムに試料を導入する前に、試料導入バルブに連通した多連続孔を持つ、または多孔質である一体型の固相抽出カラムに試料を保持し、濃縮した後、分離カラムに導入する方法が開示されている。該方法は、液体クロマトグラフィー試料を、有機多孔質体により濃縮するものである。
また、特許文献3の特開2002−306976号公報には、互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内に半径が1〜1000μmのメソポアを有する連続気泡構造を有し、全細孔容積が1〜50ml/gであり、イオン交換基が均一に分布され、イオン交換容量が0.5mg当量/g乾燥有機多孔質イオン交換体以上である3次元網目構造を有する多孔質イオン交換体及びこれを用いた電気式脱イオン水製造装置が開示されている。
また、特許文献4の特開2003−246809号公報には、互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内に半径が0.01〜100μmのメソポアを有する連続気泡構造を有し、全細孔容積が1〜50ml/gであり、更に細孔分布曲線の主ピークにおける半値幅を該ピークの半径で除した値が0.5以下であり、イオン交換容量が0.1μg当量/g乾燥多孔質イオン交換体以上である有機多孔質体をクロマトグラフィー用充填剤として使用することが開示されている。
特開2001−4610号公報 特開2002−98677号公報 特開2002−306976号公報 特開2003−246809号公報
濃縮カラムには、試料中のイオン成分を確実に且つ狭いバンド幅で吸着できること等、その目的に応じた性能が要求されるため、単純に有機多孔質体にイオン交換基を導入したのみでは、濃縮カラムに用いる充填剤として必要な性能を満たすことはできない。更に、従来の送液ポンプを用いる試料の濃縮方法とは異なり、吸引装置を用いて吸引し試料を濃縮する方法や、不活性ガスを用いて加圧し試料を濃縮する方法の場合、上記の如く、通液圧力に制限があるため、それらの濃縮方法に用いる濃縮カラムに要求される性能は、一層特殊なものとなる。
しかし、特許文献2には、測定対象がイオン成分であること、及び充填剤にイオン交換基が導入されている有機多孔質イオン交換体を用いることについては開示がなく、特許文献3には、有機多孔質イオン交換体がイオンクロマトグラフィー試料の濃縮カラムの充填剤に適する旨の開示はなく、また、特許文献4には、有機多孔質体をクロマトグラフィー用充填剤として使用すると、分離能の高い分離を行うことができる旨、すなわち、有機多孔質体が、分離カラムの充填剤に適する旨は開示されているものの、濃縮カラムの充填剤に適する旨の開示はない。ましてや、吸引装置を用いて吸引する濃縮方法や、不活性ガスを用いて加圧する濃縮方法については、一切開示されていない。
従って、本発明の課題は、吸引装置を用いて吸引し、又は不活性ガスを用いて加圧し、濃縮カラムにイオンクロマトグラフィー試料を通液でき、且つイオン成分を狭いバンド幅で吸着させることができるイオンクロマトグラフィー試料の濃縮方法及びイオンクロマトグラフィー用装置を提供することにある。また、高速通液ができるイオンクロマトグラフィー試料の濃縮方法及びイオンクロマトグラフィー用濃縮装置を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術における課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、(1)メソポアの半径及びイオン交換容量の各物性を特定の範囲とすることにより、イオンクロマトグラフィー試料の濃縮性能が高く且つ通液時の差圧が低いという相反する性能を、有機多孔質イオン交換体に付与することができること、(2)そのため、該有機多孔質体を濃縮カラムに充填することにより、通液時の差圧が飛躍的に低くなり、吸引装置を用いて吸引し、又は不活性ガスを用いて加圧しても、該濃縮カラムに試料を通液することができること等を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明(1)は、イオンクロマトグラフィー試料を、吸引装置を用いて吸引し、濃縮カラムに通液するイオンクロマトグラフィー試料の濃縮方法であって、該濃縮カラムの充填剤が、互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内に半径が0.1〜100μmのメソポアを有する連続気泡構造を有し、イオン交換容量が1.0μg当量/g乾燥有機多孔質イオン交換体以上となるようにイオン交換基が導入された3次元網目構造を有する有機多孔質イオン交換体であるイオンクロマトグラフィー試料の濃縮方法を提供するものである。
また、本発明(2)は、イオンクロマトグラフィー試料を、不活性ガスを用いて加圧し、濃縮カラムに通液するイオンクロマトグラフィー試料の濃縮方法であって、該濃縮カラムの充填剤が、互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内に半径が0.1〜100μmのメソポアを有する連続気泡構造を有し、イオン交換容量が1.0μg当量/g乾燥有機多孔質イオン交換体以上となるようにイオン交換基が導入された3次元網目構造を有する有機多孔質イオン交換体であるイオンクロマトグラフィー試料の濃縮方法を提供するものである。
また、本発明(3)は、少なくとも、互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内に半径が0.1〜100μmのメソポアを有する連続気泡構造を有し、イオン交換容量が1.0μg当量/g乾燥有機多孔質イオン交換体以上となるようにイオン交換基が導入された3次元網目構造を有する有機多孔質イオン交換体が充填されている濃縮カラム、及び該濃縮カラムにイオンクロマトグラフィー試料を通液するための吸引装置を有するイオンクロマトグラフィー用濃縮装置を提供するものである。
また、本発明(4)は、少なくとも、互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内に半径が0.1〜100μmのメソポアを有する連続気泡構造を有し、イオン交換容量が1.0μg当量/g乾燥有機多孔質イオン交換体以上となるようにイオン交換基が導入された3次元網目構造を有する有機多孔質イオン交換体が充填されている濃縮カラム、及び不活性ガスを用いて該濃縮カラムにイオンクロマトグラフィー試料を通液するための試料圧送装置を有するイオンクロマトグラフィー用濃縮装置を提供するものである。
本発明のイオンクロマトグラフィー試料の濃縮方法及びイオンクロマトグラフィー用濃縮装置によれば、吸引装置を用いて吸引し、又は不活性ガスを用いて加圧し、濃縮カラムにイオンクロマトグラフィー試料を通液でき、且つイオン成分等を狭いバンド幅で吸着させることができる。更には、該濃縮方法及び濃縮装置によれば、高速通液ができる。
本発明の第1の実施の形態におけるイオンクロマトグラフィー用濃縮装置を、図1を参照して説明する。図1は、第1の実施の形態の濃縮装置を組み込んだイオンクロマトグラフィー装置のフロー図である。図1中、破線で囲んだ部分が、濃縮装置14であり、イオンクロマトグラフィー装置20は、試料タンク1、溶離液タンク2、溶離液ポンプ3、濃縮装置14、分離カラム6、サプレッサー7、検出器8、バルブa〜e及びこれら各構成要素を繋ぐ配管、その他図示されていないガードカラム、バルブ、脱気器、恒温槽、データ処理装置等により構成される。そして、該濃縮装置14は、有機多孔質イオン交換体が充填されている濃縮カラム5、及び濃縮カラム5にイオンクロマトグラフィー試料を通液するための吸引装置4を有している。また、濃縮カラム5と分離カラム6を繋ぐ分離カラム導入管9、該分離カラム導入管9から分岐する試料導入管11、吸引装置4と濃縮カラム5を繋ぐ吸引装置導入管10、該吸引装置導入管10から分岐する溶離液導入管12、吸引装置4から吸着後の試料を排出する試料排出管13を有し、該吸引装置4と該溶離液導入管12の分岐点の間の該吸引装置導入管10にはバルブdが備えられている。そして、濃縮装置14は、接合点15で試料タンク1に備えられた配管と接合し、接合点16で溶離液タンクに備えられた配管と接合し、接合点17で分離カラムに備えられた配管と接合する。また、該試料導入管11にはバルブbを、該溶離液導入管12にはバルブcを、該分離カラム導入管9にはバルブeを備える。
濃縮装置14の濃縮カラムには、有機多孔質イオン交換体が充填されている。該有機多孔質イオン交換体の基本構造は、互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内にメソポアを有する連続気泡構造である。即ち、連続気泡は、マクロポアとマクロポアが重なり合い、この重なる部分が共通の開口となるメソポアを有するもので、その部分がオープンポア構造のものである。オープンポア構造は、液体を流せば該マクロポアと該メソポアで形成される気泡構造内が流路となる。マクロポアとマクロポアの重なりは、1個のマクロポアで1〜12個、多くのものは3〜10個であるので、3次元網目構造を有し、該連続気泡構造内に、イオン交換基が導入されている。連続気泡構造を形成する骨格部分の材料は、架橋構造を有する有機ポリマー材料である。該ポリマー材料はポリマー材料を構成する全構成単位に対して、5モル%以上の架橋構造単位を含むことが好ましい。架橋構造単位が5モル%未満であると、機械的強度が不足してしまう。
該有機多孔質イオン交換体の前記連続気泡構造におけるメソポア半径は、0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、更に好ましくは1〜20である。該メソポア半径を大きくすることにより、濃縮カラムの差圧を低くすることができる。ただし、該メソポア半径が100μmより大きいと、該有機多孔質イオン交換体と試料の接触効率が低くなり、イオン成分を狭いバンド幅で吸着させることが困難となる。一方、該メソポア半径が0.1μm未満だと、接触効率は高くなるものの、差圧が高くなり通液が困難となる。
該有機多孔質イオン交換体のイオン交換容量は、1.0〜8000μg当量/g乾燥有機多孔質イオン交換体、好ましくは50〜5000μg当量/g乾燥有機多孔質イオン交換体である。該イオン交換容量を大きくすることにより、有機多孔質イオン交換体の吸着効率が高くなるので、濃縮カラムの長さを短くすることができる。そのため、濃縮カラムの差圧を低くすることができる。また、イオン成分を狭いバンド幅で吸着させることができる。また、イオン成分の保持効率が高くなるので、高速通液が可能となる。ただし、該イオン交換容量が8000μg当量/g乾燥有機多孔質イオン交換体を超えると、吸着したイオンの溶離が不完全となるため好ましくない。一方、該イオン交換容量が1.0μg当量/g乾燥有機多孔質イオン交換体未満であると、濃縮カラムが長くなり、差圧が高くなるため、通液が困難となり、また、イオン成分を狭いバンド幅で吸着させることが困難となる。
このように、該メソポア半径を、上記の如く特定の範囲に調整し、試料との接触効率を下げ過ぎず、濃縮カラムの差圧を低くすることに加えて、該イオン交換容量を特定の範囲とし、濃縮カラムの長さを短くすることによっても、差圧を低くできるので、濃縮カラムの差圧を飛躍的に低くすることができる。該有機多孔質イオン交換体が充填されている濃縮カラムは、同様の吸着性能を有する粒状のイオン交換体が充填されている濃縮カラムに比べ、同じ通液速度で通液する時の差圧が概ね10分の1程度と極めて低い。従って、該濃縮方法によれば、試料を吸引により濃縮カラムに通液することができ、また、高速通液ができる。
また、該有機多孔質イオン交換体の全細孔容積は、特に制限されないが、1〜50ml/g、好ましくは3〜20ml/gである。該全細孔容積を大きくすることにより、通液方向に直交する断面中の開孔面積が大きくなり、濃縮カラムの差圧を低くすることができる。また、該有機多孔質イオン交換体と試料の接触面積が大きくなり、接触効率が高くなるので、イオン成分を狭いバンド幅で吸着させることでき、あるいは、高速通液が可能となる。1〜50ml/gの全細孔容積を有する有機多孔質イオン交換体の該開孔面積は、該断面中概ね75〜90%であるのに対し、粒状のイオン交換体を用いた濃縮カラムの該開孔面積は、該断面中概ね25%となる。ただし、全細孔容積が50ml/gを超えると、該有機多孔質イオン交換体の強度が低くなる。一方、該全細孔容積が1ml/g未満だと、濃縮カラムの差圧が高くなり、通液が困難となる。また、該接触効率が低くなる。
従って、全細孔容積を1〜50ml/g、更に好ましくは3〜20ml/gとすることにより、濃縮カラムの差圧を低くし、且つイオン成分を狭いバンド幅で吸着させるという本発明の効果が更に高まる。
該有機多孔質イオン交換体は、有機多孔質体に、イオン交換基を導入することにより製造される。該有機多孔質体の材料の種類は、特に制限させず、例えば、スチレン系ポリマー、ポリオレフィン、ポリ(ハロゲン化オレフィン)、ニトリル系ポリマー、(メタ)アクリル系ポリマー、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体及びビニルベンジルクロライド−ジビニルベンゼン共重合体等が挙げられる。当該ポリマーは、ホモポリマー、コポリマー又はポリマーブレンドのいずれであってもよい。これら有機ポリマー材料の中で、イオン交換基導入の容易性と機械的強度の高さから、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体やビニルベンジルクロライド−ジビニルベンゼン共重合体が好ましい材料として挙げられる。
該濃縮装置14の吸引装置としては、特に制限されず、一般に減圧操作に用いられている装置を用いることができ、例えば、ペリスタルティックポンプ等のチューブポンプ、オイルポンプ、シリンジポンプ、水流式のアスピレーター等が挙げられ、これらのうち、チューブポンプ及びシリンジポンプが、広範囲の圧力を任意に且つ簡便に設定でき、流量の変動が少なく定量性に優れる点で好ましい。
なお、第1の実施の形態例の濃縮装置14は、図1のものに限定されず、少なくとも、前記有機多孔質イオン交換体が充填されている濃縮カラム及び該濃縮カラムにイオンクロマトグラフィー試料を通液するための吸引装置を有しているものであればよく、例えば、配管、バルブ及びその他の付属物の設置並びにそれらの設置位置等は、任意に行うことができる。
次に、図1のイオンクロマトグラフィー装置20を用いたイオンクロマトグラフィー試料の濃縮方法を、図1を参照して説明する。該濃縮方法は、バルブb、dを開とし、バルブc、eを閉として、試料タンク1のイオンクロマトグラフィー試料を、吸引装置4により吸引して、濃縮カラム5の分離カラム6側から通液し、該濃縮カラム5に充填された前記有機多孔質イオン交換体にイオン成分を吸着させ、吸着後の試料を、濃縮カラム5の吸引装置4側から排出させることにより行う。該濃縮方法による濃縮は、濃縮カラム5に吸着されたイオン成分の濃度が、所定の濃度倍率とするのに必要な量の試料の通液が完了するまで継続する。該濃縮方法において、吸引装置4は、濃縮カラム5の下流にあるため、吸引装置4中の不純物が、濃縮カラム5に通液される前の試料を汚染することはない。
また、該濃縮と同時に並行して、バルブaを開とし、溶離液タンク2より溶離液ポンプ3にて溶離液を送液し、分離カラム6、サプレッサー7、検出器8の順で通液し、測定準備として溶離液による安定化を行う。試料液の濃縮カラム5への通液が完了すると、試料ポンプ4を停止し、バルブa、b、dを閉とし、バルブc、eを開とし、溶離液を濃縮カラム5の吸引装置4側から通液することにより、濃縮カラム5に吸着されたイオン成分を溶離液により溶離させる。そして、イオン成分を含む溶離液を分離カラム6に導入することにより、分離カラム中で該イオン成分が展開され、各種イオン成分に分離される。当該イオン成分を含んだ溶離液を、さらにサプレッサー7に通液することにより、S/N比を向上させた後、検出器8に導入し、各種イオン成分を定量的に検出する。
該濃縮方法において、該吸引装置を用いて吸引する際の減圧度は、大気圧(約0.1MPa)以下であれば特に制限されないが、好ましくは0.01〜0.1MPa、更に好ましくは0.05〜0.1MPaである。なお、該吸引装置を用いて吸引する際の減圧度とは、該濃縮カラムの入口側の圧力、通常大気圧(約0.1MPa)から、該濃縮カラムの出口側の圧力を減じた値である。
該濃縮方法では、該濃縮カラムに通液する際の通液速度は、前記有機多孔質イオン交換体の物性及び吸引圧力により定まり、分析目的により異なるが、一般に、0.5〜5ml/分である。また、5ml/分以上の高速で通液を行うこともできる。
該濃縮方法のイオンクロマトグラフィー試料としては、濃縮対象となるイオン成分が含まれている溶液であれば特に制限されず、例えば、発電所用水、半導体製造などの精密加工洗浄用水、食品加工用水、環境水質分析の被分析水等が挙げられる。該濃縮対象となるイオン成分としては、特に制限されず、例えば、ナトリウムイオンや塩化物イオン等のような無機イオンのみならず、テトラメチルアンモニウムイオンやベンゼンスルホン酸イオン等のような有機化合物イオンも挙げられる。該イオンクロマトグラフィー試料に含まれるイオン成分の若干の例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、銀イオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオン、コバルトイオン、銅イオン、カドミウムイオン、ニッケルイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、鉛イオン、バリウムイオン、アルミニウムイオン、クロムイオン、すずイオン、水銀イオン、鉄イオン、ヒドラジニウムイオン、テトラアンミン銅イオン等の無機陽イオン;フッ化物イオン、塩化物イオン、次亜塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、臭化物イオン、臭素酸イオン、ヨウ化物イオン、ヨウ素酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、チオ硫酸イオン、硫化物イオン、燐酸イオン、亜燐酸イオン、次亜燐酸イオン、メタ燐酸イオン、アルミン酸イオン、過マンガン酸イオン、クロム酸イオン、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、ひ酸イオン、ケイ酸イオン、ヘキサフルオロケイ酸イオン、ホウ酸イオン、四ホウ酸イオン等の無機陰イオン;テトラメチルアンモニウムイオン、トリメチルエタノールアンモニウムイオン、トリメチルベンジルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、ビピリジニウムイオン、トリメチルアニリニウムイオン、チアゾリウムイオン、アデニンイオン、グアニンイオン、キサンチンイオン、ウラシルイオン、チミンイオン、シトシンイオン、コリン等の有機陽イオン;酢酸イオン、ジクロロ酢酸イオン、ヒドロキシ酢酸イオン、シュウ酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、乳酸イオン、アジピン酸イオン、マレイン酸イオン、アスコルビン酸イオン、安息香酸イオン、ナフトエ酸イオン、テレフタル酸イオン、ニコチン酸イオン、サリチル酸イオン、(メタ)アクリル酸イオン、ポリ(メタ)アクリル酸イオン、フミン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、フェノラートイオン、クレゾールイオン、カテコラートイオン、ナフトラートイオン、スチレンスルホン酸イオン、ポリスチレンスルホン酸イオン等の有機陰イオン;アスパラギン酸、アラニン、フェニルアラニン、グリシン、トリメチルグリシン、グルタミン酸、シスチン、システイン、セリン、トリプトファン、バリン、ヒスチジン、プロリン、リジン、ロイシン、たんぱく質、アミノ安息香酸、アニリンスルホン酸等の両性イオン等が挙げらる。
また、分離カラム等の安定化及び濃縮カラムからのイオン成分の溶離に用いる溶離液としては、酸又はアルカリの使用が可能であり、例えば、該濃縮カラムの充填剤が有機多孔質陰イオン交換体の場合は、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及び四ほう酸ナトリウムなどのアルカリを単独または混合して用いることができ、また、該濃縮カラムの充填剤が有機多孔質陽イオン交換体の場合には、硝酸、硫酸、塩酸及び酒石酸などの酸を単独または混合して用いることができる。
前記有機多孔質イオン交換体の製造方法としては、特に制限されず、特開2002−306976号公報に記載の方法が適用できる。すなわち、例えばイオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤、水および必要に応じて重合開始剤とを混合し、油中水滴型エマルジョンを調製し、これを重合させて有機多孔質体を得、これにイオン交換基を導入して製造する。この際、油溶性モノマー、界面活性剤、重合開始剤の種類や添加量、水の添加量、油中水滴型エマルジョン調製における攪拌温度や攪拌速度等の攪拌条件、重合温度や重合時間等の重合条件、導入するイオン交換基の種類や導入量等の製造条件を種々選択することにより、本発明に係る濃縮カラムに適した有機多孔質イオン交換体とすることができる。
また、上記有機多孔質イオン交換体の製造方法において、所望する油中水滴型エマルジョンを形成させるための混合装置としては、被処理物を混合容器に入れ、該混合容器を傾斜させた状態で公転軸の周りに公転させながら自転させることで、被処理物を攪拌混合する、所謂遊星式攪拌装置と称されるものが使用できる。この遊星式攪拌装置は、例えば、特開平6-71110号公報や特開平11-104404号公報等に開示されているような装置である。本装置の原理は、混合容器を公転させながら自転させることにより、その遠心力作用を利用して該被処理物中の比重の重い成分を外側に移動させ攪拌すると共に、混入する気体をその反対方向に押し出して脱泡するものである。更に、該容器は公転しながら自転しているため、該容器内の該被処理物にらせん状に流れ(渦流)が発生し、攪拌作用を高める。該装置は大気圧下で運転しても良いが、脱泡を短時間で完全に行うためには、減圧下で運転することが好ましい。
また、混合条件は、目的のエマルジョン粒径や分布を得ることができる公転及び自転回転数や攪拌時間を、任意に設定することができる。好ましい公転回転数は、回転させる容器の大きさや形状にもよるが、約500〜2000回転/分である。また、好ましい自転回転数は、公転回転数の1/3前後の回転数である。攪拌時間も内容物の性状や容器の形状、大きさによって大きく変動するが、一般に0.5〜30分、好ましくは1〜20分の間で設定する。更に、用いられる容器の形状は、底面直径に対し充填物の高さが0.5〜5となるよう、充填物を収容可能な形状が好ましい。なお、上記油溶性成分と水溶性成分の混合比は、重量比で(油溶性成分)/(水溶性成分)=2/98〜50/50、好ましくは5/95〜30/70の範囲で任意に設定することができる。
次に、本発明に係る第2の実施の形態におけるイオンクロマトグラフィー用濃縮装置を、図2を参照して説明する。図2は、第2の実施の形態の濃縮装置を組み込んだイオンクロマトグラフィー装置のフロー図である。図2において、図1と同一の構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について主に説明する。第2の実施の形態例において、第1の実施の形態例と主に異なる点は、イオンクロマトグラフィー試料を濃縮カラムに通液する吸引装置4に代えて、試料圧送装置21を設置した点にある。すなわち、図2中、破線で囲んだ部分が、濃縮装置29であり、イオンクロマトグラフィー装置30は、溶離液タンク2、溶離液ポンプ3、濃縮装置29、分離カラム6、サプレッサー7、検出器8、バルブf〜j及びこれら各構成要素を繋ぐ配管、その他図示されていないガードカラム、バルブ、脱気器、恒温槽、データ処理装置等により構成される。そして、該濃縮装置29は、前記有機多孔質イオン交換体が充填されている濃縮カラム22、及び不活性ガスを用いて該濃縮カラム22にイオンクロマトグラフィー試料を通液するための試料圧送装置21を有している。また、濃縮カラム22と分離カラム6を繋ぐ分離カラム導入管25、該分離カラム導入管25から分岐する試料導入管23、濃縮カラム22から吸着後の試料を排出する試料排出管24、該試料排出管24から分岐する溶離液導入管26を有し、該試料導入管23にはバルブfが、該試料排出管24にはバルブiが備えられている。そして、濃縮装置29は、接合点27で溶離液タンク2に備えられた配管と接合し、接合点28で分離カラムに備えられた配管と接合する。また、該溶離液導入管26にはバルブhを、該分離カラム導入管25にはバルブjを備えることができる。
また、試料圧送装置21について、図3を参照して説明する。図3は、該濃縮装置の試料圧送装置の一例を示す図である。図3中、試料圧送装置21は、圧力容器41並びに試料圧送管45が内部を貫通している試料圧送管固定栓43及び不活性ガス導入管46が内部を貫通している不活性ガス導入管固定栓44が固定されている蓋42により構成される。該試料圧送装置21の内部には、イオンクロマトグラフィー試料48を入れた試料容器47が設置される。そして、該試料圧送管45の一端は、試料容器47の内部のイオンクロマトグラフィー試料48中に挿入され、他端は、図2中の試料導入管23に接続される。また、該不活性ガス導入管46の一端は、圧力容器41の内部で、イオンクロマトグラフィー試料48に接触しない位置に設置され、他端は不活性ガス49を供給するガスボンベ等に接続される。そして、該不活性ガス49により、該試料圧送装置21内部が加圧されると、イオンクロマトグラフィー試料48は、濃縮カラムへ圧送される。
次に、図2のイオンクロマトグラフィー装置30を用いた濃縮方法を図2及び図3を参照して説明する。該濃縮方法は、バルブf、iを開とし、バルブj、hを閉として、不活性ガスにより試料圧送装置21内を加圧し、試料容器47内のイオンクロマトグラフィー試料48を、濃縮カラム22の分離カラム6側から通液し、該濃縮カラム22に充填された有機多孔質イオン交換体にイオン成分を吸着させ、吸着後の試料を、該濃縮カラム22の反対側から排出させることにより行う。該濃縮方法による濃縮は、該濃縮カラム22に吸着されたイオン成分の濃度が、所定の濃度倍率とするのに必要な量の試料の通液が完了するまで継続する。該濃縮方法は、試料の通液を、不活性ガスを用いて加圧して行うので、試料の汚染の原因となる送液ポンプを用いる必要がない。
該濃縮方法に係る濃縮カラムには、前記有機多孔質イオン交換体が充填されているので、該濃縮カラムの差圧は極めて低い。従って、該濃縮方法によれば、試料を該濃縮カラムに通液するのに、不活性ガスを高圧にする必要がないので、不活性ガスを用いて加圧して、イオンクロマトグラフィー試料を濃縮カラムに通液しても、通液量のコントロールを容易に行うことができる。また、高速通液ができる。
該濃縮方法に係る不活性ガスとしては、イオンクロマトグラフィー試料と反応しないものであれば特に制限されず、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、及びそれらの混合ガス等が挙げられ、そのうち、窒素ガスが、安価であり且つ取り扱いが容易である点で好ましい。また、該不活性ガスを用いて加圧する際の該不活性ガスの加圧度は、0.01〜1MPaが好ましく、0.05〜0.5MPaが更に好ましい。なお、該不活性ガスを用いて加圧する際の該不活性ガスの加圧度とは、該試料圧送装置の内部の圧力から、該試料圧送装置の外の圧力、通常大気圧(約0.1MPa)を減じた値である。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(有機多孔質体の製造)
p−クロロメチルスチレン19.24g、ジビニルベンゼン1.01g、ソルビタンモノオレート2.25g及びアゾビスイソブチロニトリル0.26gを混合し、均一に溶解させ、当該混合物を、180gの純水に添加し、遊星式攪拌装置である真空攪拌脱泡ミキサー(イーエムイー社製)を用いて13.3kPaの減圧下、底面直径と充填物の高さの比が1:1、公転回転数1800回転/分、自転回転数600回転/分で5分間攪拌し、油中水滴型エマルジョンを得た。乳化終了後、装置内を窒素で十分置換した後密封し、静置下60℃で24時間重合させた。重合終了後、内容物を取り出し、イソプロパノールで18時間ソックスレー抽出し、未反応モノマー、水およびソルビタンモノオレートを除去した後、85℃で一昼夜減圧乾燥し、有機多孔質体Aを得た。
有機多孔質体Aの内部構造を、SEMにより観察したところ、有機多孔質体Aは連続気泡構造を有していた。また、有機多孔質体Aのメソポア半径は4.5μm、全細孔容積は7.0ml/gであった。
(有機多孔質陰イオン交換体の製造)
得た有機多孔質体Aを切断して、6.0gを分取し、ジオキサン800mlを加え60℃で30分加熱した後、室温まで冷却し、ジメチルアミノエタノール50gを添加した後再び昇温し、40℃で24時間反応させた。反応終了後、多量の水中に反応物を投入し、水洗して有機多孔質陰イオン交換体Bを得た。
有機多孔質陰イオン交換体Bのイオン交換容量は、2.9mg当量/g乾燥有機多孔質陰イオン交換体であった。また、有機多孔質陰イオン交換体Bは、連続気泡構造を有しており、そのメソポア半径は4.6μm、全細孔容積は7.0ml/gであった。
(濃縮カラムの作製)
有機多孔質陰イオン交換体Bを切り出し、内径4.6mm、長さ10mmのカラムに充填し、45μ当量のイオン交換容量を有するカラムを得た。0.5N水酸化ナトリウム水溶液を通液速度1ml/分で10分間通液し、続いて純水を1ml/分で20分間通水して、有機多孔質陰イオン交換体をOH形とした後、2.7mM炭酸ナトリウムと0.3mM炭酸水素ナトリウムの1:1混合水溶液を2ml/分で20分間通液し、平衡化して濃縮カラムAを得た。平衡化は35℃の恒温槽内で行った。平衡化の終点における通液圧力は、0.06MPaであった。
(イオンクロマトグラフィー装置の作製)
濃縮カラムとして、上記により得られた濃縮カラムAを、吸引装置として、ペリスタルティックポンプ「PST−100N」(旭テクノグラス社製)を、分離カラムとして、内径4.0mm、長さ300mmのカラムに、表面が粒径0.14μmの第4級アンモニウム基を有する微粒子により被覆された、粒径が9μmのスチレン樹脂を母体とするペリキュラー型陰イオン交換体が充填された、62μ当量のイオン交換容量を有するカラムを、サプレッサーには、「ASRS−ULTRA4−mm」(DIONEX社製)を、検出器には、「ポンプ検出器モジュールIC−20」(DIONEX社製)を用い、図1に示したように接続した。濃縮カラムA、分離カラム、サプレッサー及び検出器は、恒温槽内に設置し35℃に保持した。
<イオンクロマトグラフィー装置を用いたイオン定量分析>
(イオンクロマトグラフィー試料の調製)
試料は、市販のイオンクロマトグラフィー用標準液を混合し、純水で希釈して所定濃度とした。試料中の各イオン成分の濃度は、フッ化物イオン2.0μg/l、塩化物イオン4.0μg/l、亜硝酸イオン5.0μg/l、硝酸イオン5.0μg/l、リン酸イオン10.0μg/l、硫酸イオン10.0μg/lであった。
(イオンクロマトグラフィー試料の濃縮)
ペリスタルティックポンプを作動させ、試料タンクより試料溶液を、分離カラム側から濃縮カラムAに、通液速度3ml/分で5分間通液し、濃縮カラムAに充填された有機多孔質陰イオン交換体に、試料中に含有されるイオン成分を吸着させて濃縮した。通液時の減圧度は0.09MPaであった。
(分離カラム、サプレッサー及び検出器の安定化)
上記イオンクロマトグラフィー試料の濃縮と同時に、溶離液タンクより溶離液ポンプにて、溶離液を通液速度1.5ml/分で送液して、分離カラム、サプレッサー、検出器を通液させ、溶離液による当該部分の安定化を行った。また溶離液としては、2.7mM炭酸ナトリウムと0.3mM炭酸水素ナトリウム1:1混合水溶液を用いた。
(イオン成分の分離及び検出)
試料の濃縮を完了した後、ペリスタルティックポンプを停止し、かつバルブを切り替えて、溶離液を、濃縮時とは反対側から濃縮カラムAに、通液速度1.5ml/分で供給し、濃縮カラムA、分離カラム、サプレッサー、検出器に通液した。濃縮カラムAに吸着濃縮されたイオン成分を溶離液によって溶離させ、分離カラムで展開して各イオン成分を分離し、サプレッサーで溶離液を低伝導度化した後、伝導度検出器で定量的に検出した。また、再現性の確認のため、同様のイオン定量分析を4回行った。
その結果、ピーク面積から、試料の回収率を求めたところ、フッ化物イオン95%、塩化物イオン100%、亜硝酸イオン100%、硝酸イオン96%、リン酸イオン94%、硫酸イオン100%であった。また、各イオン成分について、4回の定量分析を繰り返した時の変動係数(RSD)は、いずれも1.0%以下であり、4回の定量分析のいずれも、濃縮の際の汚染によるピークも認められなかった。
(比較例1)
(濃縮カラムの作製)
有機多孔質陰イオン交換体Bに代えて、表面が粒径0.085μmの第4級アルカノールアミノ基を有する微粒子により被覆された、粒径が18μmのスチレン樹脂を母体とするペリキュラー型陰イオン交換体とし、内径4.6mm、長さ10mmのカラムに代えて、内径4.6mm、長さ50mmのカラムとすること以外は、実施例1と同様の方法で濃縮カラムBを作製した。濃縮カラムBのイオン交換容量は、45μ当量であり、平衡化の終点における通液圧力は、3.6MPaであった。
(イオンクロマトグラフィー装置の作製)
濃縮カラムAに代えて、濃縮カラムBを用いる以外は、実施例1と同様の方法でイオンクロマトグラフィー装置を作製した。
<イオンクロマトグラフィー装置を用いたイオン定量分析>
(イオンクロマトグラフィー試料の濃縮)
ペリスタルティックポンプを作動させ、試料液タンクより実施例1と同様の試料溶液を、分離カラム側から濃縮カラムBに、通液速度3ml/分での通液を試みたが、通液することができなかった。そのため、ペリスタルティックポンプを取り外し、試料タンクと濃縮カラムの間に、高圧送液ポンプ「DXP PUMP」(DIONEX社製)を設置し、該高圧送液ポンプを用いて試料タンクより試料溶液を、分離カラム側から濃縮カラムBに、通液速度3ml/分で5分間通液し、濃縮カラムBに充填されたイオン交換体に、試料中に含有されるイオン成分を吸着させて濃縮した。通液圧力は5.4MPaであった。
(分離カラム、サプレッサー及び検出器の安定化)
上記イオンクロマトグラフィー試料の濃縮と同時に、溶離液タンクより溶離液ポンプにて溶離液を通液速度1.5ml/分にて送液して、分離カラム、サプレッサー、検出器を通液させ、溶離液による当該部分の安定化を行った。また溶離液としては、2.7mM炭酸ナトリウムと0.3mM炭酸水素ナトリウム1:1混合水溶液を用いた。
(イオン成分の分離及び検出)
実施例1と同様の方法で、イオン成分の分離及び検出を行ったところ、試料の回収率は、フッ化物イオン27%、塩化物イオン42%、亜硝酸イオン56%、硝酸イオン87%、リン酸イオン73%、硫酸イオン100%であった。また、各イオン成分について、4回の定量分析を繰り返した時の変動係数(RSD)はいずれも1.0%以下であった。
粒状のイオン交換体が充填された濃縮カラムBの差圧は、有機多孔質イオン交換体が充填された濃縮カラムAの差圧と比較して、50倍以上であるため、吸引により濃縮カラムへ通液することはできず、また、濃縮カラムBは、イオンの保持効率が悪かった。
(イオンクロマトグラフィー装置の作製)
濃縮カラムとして、実施例1で得た濃縮カラムAを、試料圧送装置として、図3に示したものを、分離カラム、サプレッサー及び検出器として、実施例1で使用したものと同じものを用い、図2に示したように接続した。濃縮カラムA、分離カラム、サプレッサー及び検出器は、恒温槽内に設置し35℃に保持した。
<イオンクロマトグラフィー装置を用いたイオン定量分析>
(イオンクロマトグラフィー試料の濃縮)
実施例1と同様の試料を試料容器に入れ、試料圧送装置内に設置した。該試料圧送装置内を窒素ガスで、0.8MPaに加圧し、試料溶液を、分離カラム側から濃縮カラムAに、通液速度3ml/分で5分間通液し、濃縮カラムAに充填された有機多孔質陰イオン交換体に、試料中に含有されるイオン成分を吸着させて濃縮した。
(分離カラム、サプレッサー及び検出器の安定化)
上記イオンクロマトグラフィー試料の濃縮と同時に、溶離液タンクより溶離液ポンプにて溶離液を通液速度1.5ml/分にて送液して、分離カラム、サプレッサー、検出器を通液させ、溶離液による当該部分の安定化を行った。また溶離液としては、2.7mM炭酸ナトリウムと0.3mM炭酸水素ナトリウム1:1混合水溶液を用いた。
(イオン成分の分離及び検出)
その結果、ピーク面積から、試料の回収率を求めたところ、フッ化物イオン95%、塩化物イオン100%、亜硝酸イオン100%、硝酸イオン96%、リン酸イオン94%、硫酸イオン100%であった。また、各イオン成分について、4回の定量分析を繰り返した時の変動係数(RSD)は、いずれも1.0%以下であり、4回の定量分析のいずれも、濃縮の際の汚染によるピークも認められなかった。
(比較例2)
(イオンクロマトグラフィー装置の作製)
濃縮カラムとして、比較例1で用いた濃縮カラムを用いる他は、実施例2と同様の方法でイオンクロマトグラフィー装置を作製した。
(イオンクロマトグラフィー試料の濃縮)
実施例2と同様の方法でイオンクロマトグラフィー試料の濃縮を試みたが、濃縮カラムの差圧が大きいため、通液できなかった。
本発明の第1の実施の形態の濃縮装置を組み込んだイオンクロマトグラフィー装置のフロー図である。 本発明の第2の実施の形態の濃縮装置を組み込んだイオンクロマトグラフィー装置のフロー図である。 試料圧送装置の構造を示す図である。
符号の説明
1 試料タンク
2 溶離液タンク
3 溶離液ポンプ
4 吸引装置
5、22 濃縮カラム
6 分離カラム
7 サプレッサー
8 検出器
9、25 分離カラム導入管
10 吸引装置導入管
11、23 試料導入管
12、26 溶離液導入管
13、24 試料排出管
14、29 濃縮装置
15、16、17、27、28 接合点
20、30 イオンクロマトグラフィー装置
21 試料圧送装置
a、b、c、d、e、f、g、h、i、j バルブ

Claims (4)

  1. イオンクロマトグラフィー試料を、吸引装置を用いて吸引し、濃縮カラムに通液するイオンクロマトグラフィー試料の濃縮方法であって、該濃縮カラムの充填剤が、互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内に半径が0.1〜100μmのメソポアを有する連続気泡構造を有し、イオン交換容量が1.0μg当量/g乾燥有機多孔質イオン交換体以上となるようにイオン交換基が導入された3次元網目構造を有する有機多孔質イオン交換体であることを特徴とするイオンクロマトグラフィー試料の濃縮方法。
  2. イオンクロマトグラフィー試料を、不活性ガスを用いて加圧し、濃縮カラムに通液するイオンクロマトグラフィー試料の濃縮方法であって、該濃縮カラムの充填剤が、互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内に半径が0.1〜100μmのメソポアを有する連続気泡構造を有し、イオン交換容量が1.0μg当量/g乾燥有機多孔質イオン交換体以上となるようにイオン交換基が導入された3次元網目構造を有する有機多孔質イオン交換体であることを特徴とするイオンクロマトグラフィー試料の濃縮方法。
  3. 少なくとも、互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内に半径が0.1〜100μmのメソポアを有する連続気泡構造を有し、イオン交換容量が1.0μg当量/g乾燥有機多孔質イオン交換体以上となるようにイオン交換基が導入された3次元網目構造を有する有機多孔質イオン交換体が充填されている濃縮カラム、及び該濃縮カラムにイオンクロマトグラフィー試料を通液するための吸引装置を有することを特徴とするイオンクロマトグラフィー用濃縮装置。
  4. 少なくとも、互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内に半径が0.1〜100μmのメソポアを有する連続気泡構造を有し、イオン交換容量が1.0μg当量/g乾燥有機多孔質イオン交換体以上となるようにイオン交換基が導入された3次元網目構造を有する有機多孔質イオン交換体が充填されている濃縮カラム、及び不活性ガスを用いて該濃縮カラムにイオンクロマトグラフィー試料を通液するための試料圧送装置を有することを特徴とするイオンクロマトグラフィー用濃縮装置。
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