JP2005257089A - 電子レンジ用調理器具 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電子レンジ調理時に加熱むらが少なく、安全で、電子レンジ調理された食品の食感が良好な電子レンジ用調理器具の提供。
【解決手段】 平均エステル化率が20〜85%で、かつ構成脂肪酸中の炭素数14〜24の脂肪酸含量が80質量%以上であるポリオール脂肪酸エステル化合物を含有する組成物を、プラスチック製袋状シート内に充填してなるシート状電子レンジ用調理器具。
【選択図】 図2
【解決手段】 平均エステル化率が20〜85%で、かつ構成脂肪酸中の炭素数14〜24の脂肪酸含量が80質量%以上であるポリオール脂肪酸エステル化合物を含有する組成物を、プラスチック製袋状シート内に充填してなるシート状電子レンジ用調理器具。
【選択図】 図2
Description
本発明は、被調理物を被覆して使用するシート状電子レンジ用調理器具に関する。
世の中の簡便化指向を背景に、電子レンジ調理器の普及、保存加工技術の発達により、電子レンジ調理食品が上市され、急激な勢いで伸長している。しかし、電子レンジ調理を行うと、加熱むらが生じて、特に風味・食感の点で、満足できる調理品が得られていなかった。
上記課題を解決する為に、電子レンジ調理専用の特殊な容器・包装を用いた解決策が提案されている。例えば、マイクロ波吸収発熱体を用いる方法(特許文献1参照)や、内部圧力を高めた容器(特許文献2参照)、食用油を利用した補助具(特許文献3参照)等が報告されている。しかしながら、コストがかかる、操作が煩雑になる、効果が十分ではない等の問題点がある。このほか、特定の調理用油脂(特許文献4参照)が開示されているが、温度上昇が急激で安全性の点で懸念がある。
特開平7−95854号公報
特開2002−248051号公報
特開平6−235524号公報
特開2000−217513号公報
上記課題を解決する為に、電子レンジ調理専用の特殊な容器・包装を用いた解決策が提案されている。例えば、マイクロ波吸収発熱体を用いる方法(特許文献1参照)や、内部圧力を高めた容器(特許文献2参照)、食用油を利用した補助具(特許文献3参照)等が報告されている。しかしながら、コストがかかる、操作が煩雑になる、効果が十分ではない等の問題点がある。このほか、特定の調理用油脂(特許文献4参照)が開示されているが、温度上昇が急激で安全性の点で懸念がある。
本発明の目的は、安全で簡便に調理でき、電子レンジ調理時の加熱むらを抑制できる電子レンジ用調理器具、及び該器具を用いた電子レンジ調理方法を提供することにある。
電子レンジの加熱原理については、照射された電磁波エネルギーにより、O−H結合が共鳴振動して摩擦熱が発生することで、被調理物の温度が上昇すると考えられている。電子レンジ調理時の風味・食感の劣化原因については、マイクロ波により、水分が局在化している部分から先に加熱されることで加熱むらが生じ、風味・食感の劣化につながっていると考えられている。
一方、特定の平均エステル化率を有し、特定の構成脂肪酸からなるポリオール脂肪酸エステル化合物にマイクロ波を照射したところ、適度に温度上昇しやすい(過剰に温度上昇することなく安全)という特異な性質を有していることを見出した。このような電子レンジ加熱特性は、平均エステル化率を特定の範囲とすることで、水酸基が加熱に適度な量存在していることによるものと考えられる。
このような特性を有するエステル化合物を含有する組成物を、プラスチック製袋状シート内に充填し、被調理物を被覆してマイクロ波加熱したところ、被調理物全体の熱伝導が推進されて加熱むらが抑制され、さらに食感が改善することを見出し、本発明に至った。これは、被調理物とシート状調理器具内のエステル化合物のO−H結合部分がまず加熱され、次いでこれらの熱が、シート状調理器具内のエステル化合物を媒体として、他の部分へ伝わり、ひいては被調理物全体の熱伝導が推進された為と考えられる。
一方、特定の平均エステル化率を有し、特定の構成脂肪酸からなるポリオール脂肪酸エステル化合物にマイクロ波を照射したところ、適度に温度上昇しやすい(過剰に温度上昇することなく安全)という特異な性質を有していることを見出した。このような電子レンジ加熱特性は、平均エステル化率を特定の範囲とすることで、水酸基が加熱に適度な量存在していることによるものと考えられる。
このような特性を有するエステル化合物を含有する組成物を、プラスチック製袋状シート内に充填し、被調理物を被覆してマイクロ波加熱したところ、被調理物全体の熱伝導が推進されて加熱むらが抑制され、さらに食感が改善することを見出し、本発明に至った。これは、被調理物とシート状調理器具内のエステル化合物のO−H結合部分がまず加熱され、次いでこれらの熱が、シート状調理器具内のエステル化合物を媒体として、他の部分へ伝わり、ひいては被調理物全体の熱伝導が推進された為と考えられる。
すなわち、本発明は、平均エステル化率が20〜85%で、かつ構成脂肪酸中の炭素数14〜24の脂肪酸含量が80質量%以上であるポリオール脂肪酸エステル化合物を含有する組成物を、プラスチック袋状シート内に充填してなるシート状電子レンジ用調理器具を提供するものである。
本発明によれば、特定の平均エステル化率を有し、特定の構成脂肪酸からなるポリオール脂肪酸エステル化合物を含有する組成物を、プラスチック袋状シート内に充填したシート状電子レンジ用調理器具を用いることにより、電子レンジ調理時に安全で、被調理物が迅速・均一に加熱されて、加熱むらが顕著に改善される。
本発明の電子レンジ用調理器具で使用するポリオール脂肪酸エステル化合物は、水酸基を2以上有するポリオールと脂肪酸とのエステル化合物で、食品添加物又は食品として認められているものが安全で好ましく、更にショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びポリソルベートから選ばれるいずれか1種又は2種以上であるのが好ましい。このうち、特にグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルであるのが、電子レンジ調理時に食品が迅速・均一に加熱されて、加熱むらを抑制する点(以下単に「加熱特性」という)、低温でも流動状態を保ち被調理物を包み易い点(以下単に「作業性」という)、温度上昇が急激でなくやけど等の危険性がなく、またプラスチック製袋状シートから漏れた際に健康上影響がない点(以下単に「安全性」という)で好ましい。尚、有機酸モノグリセリドには、コハク酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド等が挙げられる。ポリソルベートとしては、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80等が例示される。
本発明で使用するポリオール脂肪酸エステル化合物は、平均エステル化率が20〜85%であるが、更に30〜80%、特に40〜75%、殊更55〜75%であるのが、電子レンジ調理時の加熱特性、工業的生産性、安全性、加熱された被調理物の食感(以下単に「食感」という)、マイクロ波エネルギーを効率よく加熱エネルギーに変換するという点(以下単に「加熱効率」という)で好ましい。平均エステル化率が20%より小であると、電子レンジ調理時の温度上昇が著しくなり、やけど等の危険が生じるので安全性上好ましくない。平均エステル化率が85%を超えると、加熱効率の点で好ましくない。
ここで、エステル化率とは、エステル化していないポリオール1分子中の全水酸基数に対する、エステル化した後のポリオール1分子中の水酸基数を百分率で表した数値(%)のことである。エステル化率の相違するポリオール脂肪酸エステルの混合物を用いる場合は、それらの平均エステル化率が20〜85%の範囲にあればよい。
ここで、エステル化率とは、エステル化していないポリオール1分子中の全水酸基数に対する、エステル化した後のポリオール1分子中の水酸基数を百分率で表した数値(%)のことである。エステル化率の相違するポリオール脂肪酸エステルの混合物を用いる場合は、それらの平均エステル化率が20〜85%の範囲にあればよい。
本発明で使用するポリオール脂肪酸エステル化合物においては、構成脂肪酸の炭素数は14〜24であるのが好ましく、更に16〜22であるのが、電子レンジ調理時の加熱特性、調理時に過加熱による発煙を抑制する点(以下単に「発煙抑制」という)、安全性、プラスチック製袋状シートから漏れた時の被調理物の風味(以下単に「風味」という)、作業性の点で好ましい。
本発明で使用するポリオール脂肪酸エステル化合物の構成脂肪酸中、炭素数14〜24の脂肪酸含量は80質量%以上であるが、好ましくは90〜100質量%、更に95〜100質量%、特に98〜100質量%であるのが、電子レンジ調理時の加熱特性、安全性、風味、作業性の点で好ましい。
本発明で使用するポリオール脂肪酸エステル化合物の構成脂肪酸中、炭素数13以下の脂肪酸の含有量は、風味、発煙抑制、安全性の点で20質量%未満であるのが好ましく、更に0〜10質量%、特に0〜5質量%、実質的に含まないのが最も好ましい。
本発明で使用するポリオール脂肪酸エステル化合物の構成脂肪酸中、不飽和脂肪酸の含有量は70質量%以上であるのが好ましく、更に85〜100質量%、特に90〜100質量%、殊更93〜98質量%であるのが、加熱効率、作業性、外観の点で好ましい。
本発明で使用するポリオール脂肪酸エステル化合物の構成脂肪酸中、オレイン酸の含有量は20〜65質量%、好ましくは25〜60質量%、特に30〜50質量%、殊更30〜45質量%であるのが作業性、外観、加熱効率の点で好ましい。
本発明で使用するポリオール脂肪酸エステル化合物の構成脂肪酸中、リノール酸の含有量は15〜65質量%、好ましくは20〜60質量%、特に30〜55質量%、殊更35〜50質量%であるのが作業性、外観、加熱効率の点で好ましい。
本発明で使用するポリオール脂肪酸エステル化合物の構成脂肪酸中、リノレン酸の含有量は15質量%未満、好ましくは0〜13質量%、更に1〜10質量%、特に2〜9質量%であるのが作業性、外観、酸化安定性、加熱効率の点で望ましい。リノレン酸には、異性体としてα−リノレン酸とγ−リノレン酸が知られているが、α−リノレン酸が好ましい。
本発明で使用するポリオール脂肪酸エステル化合物の構成脂肪酸中、飽和脂肪酸の含有量は30質量%以下であるのが好ましく、更に0〜15質量%、特に0〜10質量%、殊更2〜7質量%であるのが、作業性、外観、加熱効率の点でよい。飽和脂肪酸としては、炭素数14〜24、特に16〜22のものが好ましく、パルミチン酸、ステアリン酸が最も好ましい。
本発明において、ポリオール脂肪酸エステル化合物としてポリグリセリン脂肪酸エステルを用いる場合、ポリグリセリンのグリセリン平均重合度は1.5〜15であるのが好ましく、更に1.7〜10、特に2〜8であるのが、電子レンジ調理時の加熱特性、加熱効率、安全性、工業的生産性の点で好ましい。ここでグリセリン平均重合度は、ガスクロマトグラフィーによる分析から得られた数値のことである。
本発明において、ポリオール脂肪酸エステル化合物としてグリセリン脂肪酸エステルを用いる場合、その組成は、グリセリンモノ脂肪酸エステル(MG)0.1〜5質量%、グリセリンジ脂肪酸エステル(DG)15〜95質量%、グリセリントリ脂肪酸エステル(TG)4.9〜84.9質量%であるのが、電子レンジ調理時の加熱特性、加熱効率、食感、安全性、作業性、工業的生産性の点で好ましい。
グリセリン脂肪酸エステル中のグリセリンモノ脂肪酸エステル含量は、0.1〜5質量%であるのが好ましく、更に0.1〜2質量%、特に0.2〜1.5質量%であるのが電子レンジ調理時の加熱特性、加熱効率、発煙抑制、食感、安全性、作業性、工業的生産性の点で好ましい。
グリセリン脂肪酸エステル中のグリセリンジ脂肪酸エステル含量は、15〜95質量%であるのが好ましく、更に35〜93質量%、特に60〜90質量%であるのが電子レンジ調理時の加熱特性、加熱効率、発煙抑制、食感、安全性、作業性、工業的生産性の点で好ましい。
グリセリン脂肪酸エステル中のグリセリントリ脂肪酸エステル含量は、4.9〜84.9質量%であるのが好ましく、更に6.9〜64.9質量%、特に9.8〜39.8質量%であるのが電子レンジ調理時の加熱特性、加熱効率、発煙抑制、食感、安全性、作業性、工業的生産性の点で好ましい。
グリセリン脂肪酸エステル中のグリセリンモノ脂肪酸エステル含量は、0.1〜5質量%であるのが好ましく、更に0.1〜2質量%、特に0.2〜1.5質量%であるのが電子レンジ調理時の加熱特性、加熱効率、発煙抑制、食感、安全性、作業性、工業的生産性の点で好ましい。
グリセリン脂肪酸エステル中のグリセリンジ脂肪酸エステル含量は、15〜95質量%であるのが好ましく、更に35〜93質量%、特に60〜90質量%であるのが電子レンジ調理時の加熱特性、加熱効率、発煙抑制、食感、安全性、作業性、工業的生産性の点で好ましい。
グリセリン脂肪酸エステル中のグリセリントリ脂肪酸エステル含量は、4.9〜84.9質量%であるのが好ましく、更に6.9〜64.9質量%、特に9.8〜39.8質量%であるのが電子レンジ調理時の加熱特性、加熱効率、発煙抑制、食感、安全性、作業性、工業的生産性の点で好ましい。
本発明で用いるポリオール脂肪酸エステル化合物においては、遊離脂肪酸またはその塩(FFA)の含有量は、3.5質量%以下に低減されるのがよく、好ましくは0〜2質量%、更に0〜1質量%、特に0〜0.5質量%、最も好ましくは0.05〜0.2質量%とするのが工業的生産性、風味、発煙抑制、安全性の点で好ましい。
本発明で使用するポリオール脂肪酸エステル化合物の構成脂肪酸中、炭素−炭素二重結合を4つ以上有する脂肪酸の含有量は、安定性、作業性、安全性、着色等の点で0〜40質量%、好ましくは0〜20質量%、更に0〜10質量%、特に0〜1質量%であるのがよく、実質的に含まないのが最も好ましい。
本発明で使用するポリオール脂肪酸エステル化合物においては、構成脂肪酸の起源は、植物性油脂、動物性油脂のいずれでもよい。具体的な原料としては、菜種油、ひまわり油、とうもろこし油、大豆油、米油、紅花油、綿実油、牛脂等を挙げることができる。またこれらの油脂を分別、混合したもの、水素添加や、エステル交換反応などにより脂肪酸組成を調整したものも原料として利用できる。
本発明で使用するポリオール脂肪酸エステル化合物の製造法としては、ポリオールと脂肪酸とをアルカリ触媒の存在下直接エステル化する方法、脂肪酸を脂肪酸無水物、脂肪酸クロライドとしてエステル化する方法、脂肪酸をメチルエステルとしポリオールとエステル交換反応を行って調製する方法、リパーゼ等の酵素反応によりエステル化する方法、ポリオール脂肪酸エステルと脂肪酸エステルとのエステル交換反応により得る方法等が挙げられる。
本発明で使用するポリオール脂肪酸エステル化合物は、プラスチック製袋状シート内に充填される組成物中80質量%以上であることが好ましく、更に90〜100質量%、特に94.3〜99.675質量%、殊更98.4〜99.37質量%であることが、電子レンジ調理時の加熱特性、加熱効率、発煙抑制、食感、安全性、作業性、工業的生産性の点で好ましい。
本発明の電子レンジ用調理器具に用いるポリオール脂肪酸エステル化合物から選ばれる1種又は2種以上を含有する組成物には、抗酸化剤を含有することが好ましい。
抗酸化剤の含有量は、風味、酸化安定性、着色等の点でポリオール脂肪酸エステル化合物100重量部に対して、0.005〜0.5重量部であるのが好ましく、更に0.04〜0.25重量部、特に0.08〜0.2重量部であるのが好ましい。
抗酸化剤としては、通常、食品に使用されるものであれば何れでもよい。例えば、ビタミンE、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ターシャルブチルヒドロキノン(TBHQ)、ビタミンC又はその誘導体、リン脂質、ローズマリー抽出物等の天然抗酸化剤が挙げられるが、ビタミンE、ビタミンC又はその誘導体が好ましく、これらを併用するのが更に好ましい。
抗酸化剤の含有量は、風味、酸化安定性、着色等の点でポリオール脂肪酸エステル化合物100重量部に対して、0.005〜0.5重量部であるのが好ましく、更に0.04〜0.25重量部、特に0.08〜0.2重量部であるのが好ましい。
抗酸化剤としては、通常、食品に使用されるものであれば何れでもよい。例えば、ビタミンE、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ターシャルブチルヒドロキノン(TBHQ)、ビタミンC又はその誘導体、リン脂質、ローズマリー抽出物等の天然抗酸化剤が挙げられるが、ビタミンE、ビタミンC又はその誘導体が好ましく、これらを併用するのが更に好ましい。
本発明で使用するポリオール脂肪酸エステル化合物を含有する組成物においては、更に結晶抑制剤を含有することが好ましい。本発明で使用する結晶抑制剤としては、HLB(Griffinの計算式、J. Soc. Cosmet. Chem., 1, 311(1949))が4以下、特に0.1〜3のポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルが好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルのエステル化率は、90%以上であるのが好ましく、更に91〜100%であるのが、結晶抑制作用の点で好ましい。
本発明において、結晶抑制剤は、ポリオール脂肪酸エステル化合物100重量部に対して0.02〜0.5重量部、特に0.05〜0.2重量部含有するのが、作業性、外観、加熱効率の点で好ましい。
本発明において、結晶抑制剤は、ポリオール脂肪酸エステル化合物100重量部に対して0.02〜0.5重量部、特に0.05〜0.2重量部含有するのが、作業性、外観、加熱効率の点で好ましい。
本発明で使用するポリオール脂肪酸エステル化合物を含有する組成物においては、更に植物ステロール類を含有してもよい。植物ステロール類の含有量は、ポリオール脂肪酸エステル化合物100重量部に対して、0.05〜30重量部、更に0.3〜4.7重量部、特に0.5〜1.2重量部であるのが、加熱特性、外観、作業性、安全性の点で好ましい。
ここで植物ステロール類としては、例えばα−シトステロール、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、α−シトスタノール、β−シトスタノール、スチグマスタノール、カンペスタノール、シクロアルテノール等のフリー体、及びこれらの脂肪酸エステル、フェルラ酸エステル、桂皮酸エステル等のエステル体が挙げられる。
ここで植物ステロール類としては、例えばα−シトステロール、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、α−シトスタノール、β−シトスタノール、スチグマスタノール、カンペスタノール、シクロアルテノール等のフリー体、及びこれらの脂肪酸エステル、フェルラ酸エステル、桂皮酸エステル等のエステル体が挙げられる。
本発明のシート状電子レンジ用調理器具で使用するプラスチック製袋状シートの材料は、密封性、耐油性、溶着性、耐熱性の機能を備えたものであれば特に制限はないが、例えば、ポリエチレン/ナイロンの2層構造又は、ポリエチレン/ナイロン/ポリエチレン等の多層・積層構造としたものが、漏出の問題がなく好ましい。
袋を構成するプラスチックの厚さは、0.01〜0.5mmであるのが好ましく、更に0.01〜0.1mm、特に0.02〜0.08mmであるのが、作業性、電子レンジ調理時の温度むら抑制、耐久性の点で好ましい。
本発明のシート状電子レンジ用調理器具は、例えば図1に示すように、プラスチック製袋状シート内に前記ポリオール脂肪酸エステルを含有する組成物を充填してなるものである。より具体的には、前記組成のポリオール脂肪酸エステル化合物を含有する組成物に、抗酸化剤、結晶抑制剤、植物ステロール類等を必要により添加・撹拌した後、プラスチック製袋状シートに充填し、次いで、加熱式シーラー等を用いて密閉して得ることができる。この際、電子レンジ調理時の温度むら抑制、作業性、安定性の点から、できるだけ空気が混入しないようにするのが好ましく、更に真空パックにするのが好ましい。
本発明のシート状電子レンジ用調理器具は、電子レンジに収納でき、しかも被調理物と接触可能な大きさであれば特に制限はないが、直径30〜300mm、好ましくは50〜200mmの円形、又は一辺30〜300mm、好ましくは50〜200mmの四角形であるのが、作業性、電子レンジ調理時の加熱特性加熱効率の点で好ましい。
本発明のシート状電子レンジ用調理器具全体の厚さは、1mm〜15mmであるのが好ましく、更に2mm〜12mm、特に3〜10mmであるのが、作業性、電子レンジ調理時の加熱特性、加熱効率の点で好ましい。
かくして得られたシート状電子レンジ用調理器具は、電子レンジ調理の点で良好であるため、各種電子レンジ調理食品、通常調理後で喫食時に再加熱する食品等の被調理物に応用することができる。被調理物としては、例えばレトルト食品、チルド食品、冷凍食品、無菌包装食品、常温流通食品等が挙げられる。
本発明のシート状電子レンジ用調理器具は、前述のように被調理物と本発明器具内のエステル化合物のO−H結合部分が最初に加熱され、その熱が被調理物全体に伝導されるものであるため、被調理物のマイクロ波照射面を被覆して使用するのが好ましい。より具体的には、被調理物のマイクロ波照射面を、本発明のシート状電子レンジ調理用器具で被覆した状態でマイクロ波照射することにより、調理するのが好ましい。ここで、被覆とは、単に片面を覆う場合、包むように覆う場合のいずれも含むものである。特に、偏平状の食品は、加熱むらが生じ易いことから、該食品の上下に各1枚、本発明の調理器具で挟んだ形(サンドイッチ状態)で置き、電子レンジ調理することで、加熱むらを抑制することができる(図2)。また、本発明の調理器具1枚で食品を包むように覆ってもよい(図3)。このとき、調理器具で覆われていない部分がなるべく少なくなるようにして、密着させるのが、加熱むらを抑制する上で好ましい。
(1)次の化合物を製造した。
化合物a
大豆油脂肪酸をウインタリングにより飽和脂肪酸を低減させたもの455重量部と菜種油脂肪酸195重量部とグリセリン107重量部とを、リポザイムIM(ノボ ノルディスクバイオインダストリー社製)を使用して0.07hPaで40℃、5時間エステル化を行った。次いで酵素を濾別し、235℃で分子蒸留し、更に脱色、水洗した。次いでこの油脂150重量部に10%クエン酸水溶液7.5重量部を加え、60℃で20分間攪拌した後、110℃で脱水した。これを235℃で2時間脱臭して、化合物aを調製した。
大豆油脂肪酸をウインタリングにより飽和脂肪酸を低減させたもの455重量部と菜種油脂肪酸195重量部とグリセリン107重量部とを、リポザイムIM(ノボ ノルディスクバイオインダストリー社製)を使用して0.07hPaで40℃、5時間エステル化を行った。次いで酵素を濾別し、235℃で分子蒸留し、更に脱色、水洗した。次いでこの油脂150重量部に10%クエン酸水溶液7.5重量部を加え、60℃で20分間攪拌した後、110℃で脱水した。これを235℃で2時間脱臭して、化合物aを調製した。
化合物b
菜種油脂肪酸683重量部とポリグリセリン(「#310」、阪本薬品工業製)317重量部とを、リパーゼ(「リポザイムIM」、ノボザイムズ製)を使用して、1.3hPaで55℃、4時間エステル化反応を行なった。次いで、酵素を濾別し、235℃で薄膜蒸留して、留分を除去し、化合物bを調製した。
菜種油脂肪酸683重量部とポリグリセリン(「#310」、阪本薬品工業製)317重量部とを、リパーゼ(「リポザイムIM」、ノボザイムズ製)を使用して、1.3hPaで55℃、4時間エステル化反応を行なった。次いで、酵素を濾別し、235℃で薄膜蒸留して、留分を除去し、化合物bを調製した。
化合物a、化合物bについて、下記方法にて分析を行なった。その結果を表1に示す。
(2)分析方法
(i)グリセリン脂肪酸エステル組成
ガラス製サンプル瓶に、サンプル10mgとトリメチルシリル化剤(「シリル化剤TH」、関東化学製)0.5mLとを加え、密栓した後、70℃で15分間加熱した。これをガスクロマトグラフィー(GLC)に供した。得られたチャートから、各ピーク面積の、帰属された総ピーク面積に対する百分率を算出して、組成分析を行なった。
GLC条件
装置;Hewlett Packard製 6890型
カラム;DB−1HT(J&W Scientific製) 7m
カラム温度;initial=80℃、final=340℃
昇温速度=10℃/分、340℃にて20分間保持
検出器;FID、温度=350℃
注入部;スプリット比=50:1、温度=320℃
サンプル注入量;1μL
キャリアガス;ヘリウム、流量=1.0mL/分
(i)グリセリン脂肪酸エステル組成
ガラス製サンプル瓶に、サンプル10mgとトリメチルシリル化剤(「シリル化剤TH」、関東化学製)0.5mLとを加え、密栓した後、70℃で15分間加熱した。これをガスクロマトグラフィー(GLC)に供した。得られたチャートから、各ピーク面積の、帰属された総ピーク面積に対する百分率を算出して、組成分析を行なった。
GLC条件
装置;Hewlett Packard製 6890型
カラム;DB−1HT(J&W Scientific製) 7m
カラム温度;initial=80℃、final=340℃
昇温速度=10℃/分、340℃にて20分間保持
検出器;FID、温度=350℃
注入部;スプリット比=50:1、温度=320℃
サンプル注入量;1μL
キャリアガス;ヘリウム、流量=1.0mL/分
(ii)構成脂肪酸組成
日本油化学協会編「基準油脂分析試験法」中の「脂肪酸メチルエステルの調製法(2.4.1.2−1996)」に従って、脂肪酸メチルエステルを調製した。得られたサンプルを、GLCに供して分析を行った(American Oil Chem. Soc. Official Method:Ce1f-96、 2002年)。
日本油化学協会編「基準油脂分析試験法」中の「脂肪酸メチルエステルの調製法(2.4.1.2−1996)」に従って、脂肪酸メチルエステルを調製した。得られたサンプルを、GLCに供して分析を行った(American Oil Chem. Soc. Official Method:Ce1f-96、 2002年)。
(3)ポリオール脂肪酸エステル化合物含有組成物の調製
化合物a、bを各100重量部に対し、抗酸化剤、結晶抑制剤を加えて、組成物1、2とした。これらの配合組成を表2に示す。
尚、グリセリンモノ脂肪酸エステル(「エキセルO−95R」、花王製、MG含量96%)を組成物3に、グリセリントリ脂肪酸エステル(「日清サラダ油」、日清オイリオ製、TG含量98%)を組成物4に、テトラグリセリンモノラウリン酸エステル(「ML−310」、阪本薬品工業製)を組成物5に、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル(「MO−500」、阪本薬品工業製)を組成物6にした。
化合物a、bを各100重量部に対し、抗酸化剤、結晶抑制剤を加えて、組成物1、2とした。これらの配合組成を表2に示す。
尚、グリセリンモノ脂肪酸エステル(「エキセルO−95R」、花王製、MG含量96%)を組成物3に、グリセリントリ脂肪酸エステル(「日清サラダ油」、日清オイリオ製、TG含量98%)を組成物4に、テトラグリセリンモノラウリン酸エステル(「ML−310」、阪本薬品工業製)を組成物5に、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル(「MO−500」、阪本薬品工業製)を組成物6にした。
(4)マイクロ波照射試験
組成物1〜6を、ガラス製サンプル瓶(50mL)に20gずつ入れた(初期温度20℃)。これに蓋をしないで電子レンジ(NE−N200型、松下電器製)のターンテーブル中央に置き、マイクロ波照射(550W)を行った。照射後すばやくサンプルの温度を測定し、外観を目視で評価した。結果を表3に示す。
組成物1〜6を、ガラス製サンプル瓶(50mL)に20gずつ入れた(初期温度20℃)。これに蓋をしないで電子レンジ(NE−N200型、松下電器製)のターンテーブル中央に置き、マイクロ波照射(550W)を行った。照射後すばやくサンプルの温度を測定し、外観を目視で評価した。結果を表3に示す。
組成物1〜3は、マイクロ波照射時の温度上昇に優れ、しかも過剰に温度上昇せずに安全で、発煙がなく極めて良好であった。これに対し、組成物4は、発煙は観察されなかったが、マイクロ波照射時の温度上昇は、他のものより小さかった。組成物5は、マイクロ波照射時の温度は高かったが、過剰に温度上昇したため、やけどの危険が生じ、発煙が観察された。組成物6は、マイクロ波照射時の温度は高かったが、過剰に温度上昇したため、やけどの危険が生じた。
実施例1 電子レンジ用調理器具の製造
組成物1、組成物4を、レトルト用透明パウチ(100×150mm)に各50gを入れ、加熱式シーラーを用いて密封し(シール幅:10mm)、シート状電子レンジ用調理器具X(本発明品)、Y(比較品)を各2個製造した(組成物の充填部:80mm×130mm×5mm)。
組成物1、組成物4を、レトルト用透明パウチ(100×150mm)に各50gを入れ、加熱式シーラーを用いて密封し(シール幅:10mm)、シート状電子レンジ用調理器具X(本発明品)、Y(比較品)を各2個製造した(組成物の充填部:80mm×130mm×5mm)。
実施例2 電子レンジ調理試験(ハンバーグ)
市販の調理済みハンバーグ(「チキンハンバーグ」、石井食品製、90g/個)を、−18℃にて冷凍した。これを短軸方向に半分に切り、実施例1で製造したシート状電子レンジ調理器具X(本発明品)、又はY(比較品)を各2個用いて、上下に挟んだ。次いで、これを電子レンジ(NE−N200型、松下電器製)のターンテーブル中央部に置き、90秒間マイクロ波照射(550W)した。照射後、すばやくハンバーグの温度を測定し(3ヶ所)、食感を官能で評価した。更に、15分間室温にて放置後、再び食感を官能で評価した。比較対照として、電子レンジ用調理器具を使用しないで、同様の試験を行なった。結果を表4に示す。
市販の調理済みハンバーグ(「チキンハンバーグ」、石井食品製、90g/個)を、−18℃にて冷凍した。これを短軸方向に半分に切り、実施例1で製造したシート状電子レンジ調理器具X(本発明品)、又はY(比較品)を各2個用いて、上下に挟んだ。次いで、これを電子レンジ(NE−N200型、松下電器製)のターンテーブル中央部に置き、90秒間マイクロ波照射(550W)した。照射後、すばやくハンバーグの温度を測定し(3ヶ所)、食感を官能で評価した。更に、15分間室温にて放置後、再び食感を官能で評価した。比較対照として、電子レンジ用調理器具を使用しないで、同様の試験を行なった。結果を表4に示す。
本発明品の調理器具Xを使用することにより、マイクロ波照射時に冷凍ハンバーグの温度が上昇しやすく、しかも温度幅が小さいので、加熱むらが抑制されることが明らかとなった。また、食感が極めて良好であった。
Claims (6)
- 平均エステル化率が20〜85%で、かつ構成脂肪酸中の炭素数14〜24の脂肪酸含量が80質量%以上であるポリオール脂肪酸エステル化合物を含有する組成物を、プラスチック製袋状シート内に充填してなるシート状電子レンジ用調理器具。
- ポリオール脂肪酸エステル化合物が、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びポリソルベートから選ばれるいずれか1種又は2種以上である請求項1記載の電子レンジ用調理器具。
- ポリオール脂肪酸エステル化合物が、ポリグリセリンのグリセリン平均重合度が1.5〜15のポリグリセリン脂肪酸エステルである請求項2記載の電子レンジ用調理器具。
- 被調理物のマイクロ波照射面を被覆して使用するものである請求項1〜3のいずれか1項記載の電子レンジ用調理器具。
- 調理用器具の厚さが1〜15mm、袋を構成するプラスチックフィルムの厚さが0.01〜0.5mmである請求項1〜4のいずれか1項記載の電子レンジ用調理器具。
- 被調理物のマイクロ波照射面に、請求項1〜5のいずれか1項記載の電子レンジ調理用器具を被覆した状態でマイクロ波照射することを特徴とする電子レンジ調理方法。
Priority Applications (1)
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JP2004065109A JP2005257089A (ja) | 2004-03-09 | 2004-03-09 | 電子レンジ用調理器具 |
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JP2012175948A (ja) * | 2011-02-28 | 2012-09-13 | Kao Corp | 油脂組成物 |
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2004
- 2004-03-09 JP JP2004065109A patent/JP2005257089A/ja active Pending
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