JP2005255744A - 生分解性樹脂組成物、その製造方法、その成形品及びこの成形品の成形方法 - Google Patents

生分解性樹脂組成物、その製造方法、その成形品及びこの成形品の成形方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 木粉等の天然素材を配合した生分解性樹脂組成物に関し、生分解性を付与したポリオレフィンに多量の木粉等を混入しても熱流動特性が低下しないので成形性に優れる生分解性樹脂組成物及びこれに関連する技術を提供することを課題とする。
【解決手段】 10〜80重量部の生分解性を付与したポリオレフィン(A)と、その重量比が10:90〜90:10であり、その合計量が90〜20重量部のリグノセルロース系又はセルロース系物質(B)とデンプン系物質(C)との混合物と、(A),(B),(C)成分の合計量100重量部に対して0.2〜20重量部の二塩基酸無水物又はその誘導体(D)と、(A),(B),(C)成分の合計量100重量部に対して0.001〜2重量部の有機過酸化物(E)とからなる生分解性樹脂組成物とした。
【選択図】 なし

Description

本発明は、生分解性を付与したポリオレフィンに関し、特に、木粉等の天然素材を配合した生分解性樹脂組成物及びこれに関連する技術に関する。
従来より、地球環境の負荷低減を目的として、使用中は通常の樹脂と同様に使用できて、使用後は自然界の微生物によって水と二酸化炭素に分解されて処理される生分解性樹脂の開発が進められている。この生分解性樹脂は、その用途に応じて種々の特徴を有するものが開発されており、微生物産生系(ポリヒドロキシプチレート等)、化学合成系(ポリ乳酸、カプトラクトン、ポリビニルアルコール等)、天然物利用系(酢酸セルロース、デンプン系)、添加物配合オレフィン系(酸化触媒系添加物(テグラノボン(登録商標)))に分類される。このなかでも、添加物配合オレフィン系の生分解性樹脂は、主成分であるポリオレフィン樹脂の優れた性能(成形性、機械的特性)をそのまま受け継ぐものであるので注目されている(例えば特許文献1)。
一方、前記したことと同様の目的により、ポリオレフィンに、天然素材である木粉等のバイオマスを配合して成形加工することは従来から行われている。これは、このようなバイオマス原料を配合することにより、化石燃料から製造されるポリオレフィンの使用量を低減させたり、燃焼時の二酸化炭素発生量を減少(オレフィン樹脂との比較:約20%)させたりして、地球環境の負荷低減に寄与できるからである。
そして、以上の公知技術に基づいて、生分解性樹脂に木粉等のバイオマス成分を配合すれば、さらなる地球環境の負荷低減に貢献することが期待される。
特許2961138号公報
しかし、前記木粉をポリオレフィンに多量に配合すると、生分解性樹脂組成物の熱流動特性が低下して成形加工が困難となり、特に、射出成形やブロー成形における加工性の低下が著しい。具体的には、組成物中の木粉の含有量が約35%以上になると、熱流動特性は著しく低下し、得られた成形品にフローマークが発生して外観を損なうといった問題を有していた。さらに、この生分解性樹脂組成物を加熱流動させて成形した成形品はソリやネジレが生じやすいという問題点も有していた。
また、ポリオレフィンに配合する天然素材としてデンプン系物質(例えば、余剰米等)を用いた場合、このデンプン系物質は吸湿性が高い為、樹脂成形品として成形された後も吸湿して膨潤するため、この樹脂成形品の寸法安定性を低下させるといった問題があった。さらに、デンプン系物質を含有させた成形品を水溶液中に浸すとデンプン系物質の成分が溶出して表面にぬめりを生じさせるといった問題もある。
本発明は、以上の問題点を解決することを目的としてなされたものであり、ポリオレフィンに多量の木粉(セルロース系の成分)を混入しても熱流動特性が低下しないので成形性に優れ、米(デンプン系物質)を混入しても寸法安定性に優れる生分解性樹脂組成物及びこれに関連する技術を提供することを目的とするものである。
本発明は、前記した目的を達成するために創案されたものであり、まず請求項1に記載の生分解性樹脂組成物は、生分解性を付与したポリオレフィン(A)10〜80重量部と、重量比が10:90〜90:10である、リグノセルロース系又はセルロース系物質(B)とデンプン系物質(C)との混合物90〜20重量部と、(A),(B),(C)成分の合計量100重量部に対し、二塩基酸無水物又はその誘導体(D)0.2〜20重量部と、有機過酸化物(E)0.001〜2重量部と、を含有してなることを特徴とする。
かかる構成によれば、例えば木粉等のリグノセルロース系又はセルロース系物質(B)を大量に混入させても、生分解性樹脂組成物は、混練温度における熱流動特性が低下しないので、成形性に優れる。これは、添加されている例えば米等のデンプン系物質(C)が混練温度において糊化してゲル状態物質になることで、流動状態にある生分解性樹脂組成物の粘性を低下させるためである。さらに、このデンプン系物質(C)は、例えば無水コハク酸等の二塩基酸無水物又はその誘導体(D)によりエステル化されているため、吸湿性が抑制されている。これにより、デンプン系物質(C)は、水分を吸収しにくくなるので膨潤することがなく、よって、生分解性樹脂組成物の成形品における寸法安定性の向上に寄与する。そして、有機過酸化物(E)は、熱可塑性樹脂(A)とリグノセルロース系又はセルロース系物質(B)との界面における接合性を良好なものとし、混練温度における生分解性樹脂組成物の粘性を低下させ、成形品の機械的強度を向上させる。これにより、天然素材である木粉等の配合比率を高めて生分解性樹脂組成物を構成することが可能になる。
請求項2に記載の生分解性樹脂組成物は、生分解性を付与したポリオレフィン(A)5〜95重量部と、デンプン系物質(C)95〜5重量部と、(A)(C)成分の合計量100重量部に対し、二塩基酸無水物又はその誘導体(D)0.2〜20重量部とを含有してなることを特徴とする。
かかる構成によれば、天然素材である米等のデンプン系物質(C)を大量に混入させても、吸湿の少ない生分解性樹脂組成物が得られ、寸法安定性の優れた成形体を得ることができる。これは、添加されている無水コハク酸等の二塩基酸無水物又はその誘導体(D)によりデンプン系物質(C)がエステル化されることで吸湿性が抑制されることによる。これにより、天然素材である米等の配合比率を高めて生分解性樹脂組成物を構成することが可能になる。なお、この米は、大量の在庫を抱えている余剰米を利用することができる。
請求項2に記載の生分解性樹脂組成物は、請求項1または請求項2に記載の生分解性樹脂組成物において、前記生分解性を付与したポリオレフィン(A)は、生分解性を付与する酸化触媒系の添加剤または微生物分解系の添加剤などとポリオレフィンからなることを特徴とする。
かかる構成によれば、ポリオレフィンのもつ、熱可塑性樹脂の中で最も軽量であり、バイオマスを混入する能力が大きく、安価でクリーンな樹脂である性質により、高品質で利用しやすい生分解性樹脂組成物を得ることができる。
請求項4に記載の生分解性樹脂組成物は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の生分解性樹脂組成物において、前記デンプン系物質(C)は、玄米又は精米であることを特徴とする。
かかる構成によれば、混練温度における米の糊化によるゲル化により、これら玄米又は精米が配合された生分解性樹脂組成物の混練温度における粘度を低下させる作用を層する。これにより、生分解性樹脂組成物の所望される熱流動性を確保するための温度を低く設定することができる。なお、玄米又は精米は、米粉にする必要はなく、粒状のままでよく、価格の安い古古米を使用できる。
請求項5に記載の生分解性樹脂組成物は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の生分解性樹脂組成物において、前記二塩基酸無水物又はその誘導体(D)は、無水コハク酸であることを特徴とする。
かかる構成によれば、リグノセルロース系又はセルロース系物質(B)やデンプン系物質(C)の水酸基が高効率でエステル基に置換されるので、生分解性を付与したポリオレフィン(A)に対する界面接合性を良好なものとし、混練温度における生分解性樹脂組成物の粘性を低下させ、各種成形により得られた成形品の機械的強度を向上させることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1及びこれに従属する請求項に記載の生分解性樹脂組成物の製造方法に関する発明である。
請求項7に記載の発明は、請求項2及びこれに従属する請求項に記載の生分解性樹脂組成物の製造方法に関する発明である。
請求項8に記載の発明は、請求項1、請求項2及びこれらに従属する請求項に記載の生分解性樹脂組成物の成形品に関する発明である。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の成形品の製造方法に関する発明である。
本発明に係る生分解性樹脂組成物、その製造方法、その成形品及びこの成形品の成形方法により以下に示す優れた効果を奏する。
すなわち、生分解性を付与したポリオレフィン(A)と木質系材料等のリグノセルロース系又はセルロース系物質(B)からなる樹脂組成物中に、玄米又は精米等のデンプン系物質(C)を配合することにより、この樹脂組成物の溶融粘度が低下し、この樹脂組成物の混練を可能にする温度も低下させることができる。これにより、組成物中に木質系材料を多量に混入することが可能になる。更に、組成物中に配合できるバイオマスの比率を、非常に高くすることができる利点を有している。
更に、生分解性樹脂組成物は、機械的強度及び紫外線による変色性にも優れている。
また、天然素材が生分解性を付与したポリオレフィン(A)に含まれていることにより、埋め立て処分した後は、微生物による分解がより効率良く行われる。
そして、生分解性樹脂組成物の成形品は、処分に困っているバイオマス資源(間伐材)や余剰米を大量に使用し、使用後は土に帰るので、地球環境にやさしい循環型社会の形成に大きく貢献する。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明の(A)成分として用いられる生分解性を付与したポリオレフィン(A)の主成分であるポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン(HPPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)若しくはポロプロピレン(PP)又はエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)等のエチレン系の共重合体が挙げられる。また、これらポリオレフィン樹脂は、二種以上混合して使用することができる。これは、バイオマスを混入する能力が大きく、その上、安くて、クリーンな樹脂であるからである。
そして、生分解性を付与したポリオレフィン(A)には、これら主成分樹脂を、微生物、紫外線、温度の作用に基づく自動酸化触媒作用で分解する酸化触媒(詳細は、特許文献1参照)、が添加されている。これにより、主成分のポリオレフィンは、炭素と炭素との結合が直接的な働きかけにより断ち切られ、短時間で酸化劣化して分解し、最終的に水と炭酸ガスになる。
ここで、生分解性を付与したポリオレフィン(A)は、前記したような酸化触媒系の添加剤が添加されてなる場合に限定されず、主成分樹脂を分解させる機能を有する添加剤であれば、その分解のメカニズムにとらわれることなくこの添加剤が添加されてなるものである。この主成分樹脂を分解させる他のメカニズムを示す添加剤として、例えば、主成分樹脂を分解させる微生物の活動を活性化させたり、この微生物により主成分樹脂が分解されやすくしたりする酵素等が配合された微生物分解系の添加剤が挙げられる。具体的には、マクロテク・リサーチ社(米国)のECMマスターバッチ(商品名)が挙げられる。
本発明で使用されるリグノセルロース系又はセルロース系物質(B)は、いわゆる木質系材料であり、次のようなものである。リグノセルロースとしては、リグノセルロース系繊維、リグノセルロース系粉末が挙げられる。具体的には、木材パルプ、リファイナー・グランド・パルプ(RGP)、製紙パルプ、故紙、粉砕処理した木片、木粉、鋸屑、カンナ屑、竹粉、バガス、果実殻粉等を挙げることが出来る。セルロースとしては、木材パルプ粉砕物、木材パルプをアルカリ処理し、機械的に細断したアルファ繊維フロックや綿実から得られたコットンリンター、コットンフロック、人絹を裁断した人絹ブロック等を例示することが出来る。これらリグノセルロース系又はセルロース系物質の形状には別に制限なく、繊維状、粉末状のものが使用できる。
本発明のデンプン系物質(C)の具体例としては、玄米、精米等の顆粒状の米、米粉、コーンデンプン、馬鈴薯デンプン、芋デンプン、タピオカデンプン及びそれらの軽度アセチル化物等を広く用いることができる。中でも玄米や精米は、所定温度以上に加熱するとデンプン粒が壊れて糊化するためゲル状の性質を示す。このため、これら米が配合された熱可塑性樹脂は、一般的な混練温度において溶融粘度が低下し、さらに混練が可能な温度を低く設定することを可能にする。又玄米や精米は、粒状のままで良く、価格の安い古古米を使用することができる。
本発明で使用される二塩基酸無水物又はその誘導体(D)は、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水アジピン酸等が挙げられる。これらの中では、工業的に低廉な無水コハク酸及び無水マレイン酸が好ましい。又二塩基酸無水物の誘導体としては、二塩基酸及び二塩基酸無水物の金属塩、アミド、イミド、エステル等を使用することができる。これら二塩基酸無水物又はその誘導体は、二種以上混合して使用することができる。
この二塩基酸無水物又はその誘導体(D)と、デンプン系物質(C)とを混合して100℃〜200℃において加熱すると、次式に示すようなエステル化反応により化学的に結合される。これにより、デンプン系物質(C)において、親水性の高い水酸基がエステル基に置換されるため、デンプン系物質(C)の吸湿性が抑制される作用を奏する。さらに、これにより生分解性を付与したポリオレフィン(A)と、デンプン系物質(C)との界面における接合性を良好なものとし、混練温度における生分解性樹脂組成物の粘性を低下させ、各種成形により得られた成形品の機械的強度を向上させる効果を与える。
Figure 2005255744
有機過酸化物(E)の具体的なものとしては、ベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)ヘキシン−3,1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシフェニルアセテート等を挙げることができる。これらの中では、t−ブチルペルオキシベンゾエート、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンが好ましい。このような有機過酸化物(E)は1種単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
この有機過酸化物(E)は、生分解性を付与したポリオレフィン(A)と、リグノセルロース系又はセルロース系物質(B)との界面における接合性を良好なものとし、混練温度における生分解性樹脂組成物の粘性を低下させ、各種成形により得られた成形品の機械的強度を向上させる効果を与える。
(第一実施形態)
本発明に係る生分解性樹脂組成物の第一実施形態は、(A)〜(E)成分を混合させてなり、その配合量として、生分解性を付与したポリオレフィン(A)が、10〜80重量部、好ましくは20〜70重量部、その重量比が10:90〜90:10であるリグノセルロース系又はセルロース系物質(B)とデンプン系物質(C)との混合物が、90〜20重量部、好ましくは合計量80〜30重量部、(A),(B),(C)成分の合計量100重量部に対して二塩基酸無水物又はその誘導体(D)が、0.2〜20重量部、好ましくは0.5〜15重量部、(A),(B),(C)成分の合計量100重量部に対して有機過酸化物(E)が0.001〜2重量部、好ましくは0.01〜1重量部である。
(第二実施形態)
本発明に係る生分解性樹脂組成物の第二実施形態は、(A),(C),(D)成分を混合させてなり、その配合量として、生分解性を付与したポリオレフィン(A)が、5〜95重量部、好ましくは20〜70重量部、デンプン系物質(C)が、95〜5重量部、好ましくは合計量80〜30重量部、(A),(C)成分の合計量100重量部に対して二塩基酸無水物又はその誘導体(D)が、0.2〜20重量部、好ましくは0.5〜15重量部である。
前記した第一及び第二実施形態における(A)〜(E)成分は、一般に前記した範囲の量で配合されるが、生分解性樹脂組成物として好ましい性質が得られるように、適宜、配合が調整されるべきである。
また、第一及び第二実施形態における生分解性樹脂組成物は、前記(A)〜(E)成分を前記配合量で配合した組成物であるが、さらに無機系の充填剤、例えばタルク、炭酸カルシウム、マイカ、ガラス繊維等、或いは有機系の充填剤、例えばポリエステル、ポリアミド繊維等、その他に難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤等の各種添加剤、染料、顔料の着色剤等を添加してもよい。
本発明の生分解性樹脂組成物は、前記(A)〜(E)成分、及び必要により添加される他の成分を、前記配合量で混合し、この混合物を100〜200℃、好ましくは150〜190℃で、20秒〜30分間、好ましくは30秒〜20分間加熱混練して反応することにより製造される。
加熱混練に用いられる装置としては、前記条件で加熱混練が可能なものであれば特に限定されず、例えばブレンダー、ニーダー、ミキシングロール、バンバリーミキサー、1軸もしくは2軸の押出機などが挙げられる。
好ましい製造方法としては、例えば、各成分を重量フィーダーにより2軸押出機のホッパー部へ直接投入し、2軸押出機で混練ゾーンの設定温度を前記温度に設定して混練する。次に該混練物を加熱下で反応させて複合材を得る。なお、温度が200℃以上ではリグノセルロース系又はセルロース系物質(B)、及びデンプン系物質(C)の分解によるガスが発生するため、混練温度が200℃を超えないように注意する必要がある。そのため、冷却コントロールの効く2軸押出機等を使用するのが好ましい。
このようにして得られた本発明の生分解性樹脂組成物は、二塩基酸無水物又はその誘導体(D)が、木質系材料(B)及びデンプン系物質(C)にエステル化反応して化学的に結合している。これにより、これら成分(B)(C)の、生分解性を付与したポリオレフィン(A)に対する親和性が向上する。即ち、木質系材料(B)が多量に配合されているにもかかわらず熱流動性に優れ、このため成形加工性に優れ、射出成形、押出成形及びブロー成形等の成形法により任意の形状に容易に成形することができる生分解性樹脂組成物を得ることができる。
そして、本発明の生分解性樹脂組成物は、生分解性を付与したポリオレフィン(A)と、リグノセルロース系又はセルロース系物質(B)及びデンプン系物質(C)との界面における接合性が改善されているため、各種成形により得られた成形品は機械的強度、例えば引張強度、曲げ強度等に優れている。更に本発明の生分解性樹脂組成物は、各成分を混合した後、生分解性を付与したポリオレフィン(A)の溶融温度で加熱混練して化学反応させて製造することができる。このため、予め生分解性を付与したポリオレフィン(A)や木質系材料(B)を調製する必要はなく、また生分解性樹脂組成物を生成する工程と、成形品を製造する工程とを連続させることができるので製造コストを低減させることができる。そして、本発明の生分解性樹脂組成物は、有機過酸化物(E)を配合しているので、未反応の二塩基酸無水物又はその誘導体(D)が残留することはない。
本発明の生分解性樹脂組成物の利用分野は特に制限されず、従来から熱可塑性樹脂が用いられている多くの分野に使用することができ、例えば農林水産業用資材、土木・建築資材、野外レジャー製品、食品包装用フィルム、衛生製品、文具・雑貨等の原料として好適に利用できる。
具体的な成形品としては、食品のトレー、使い捨て食器・容器類、回収困難な土木工事の型枠、保水用シート、釣り糸、魚網、レジャー用ディスポーザブル製品、包装フィルム、紙おむつ、ゴミ袋、砂漠・荒地などで用いる植林用素材等の材料として好適に利用できる。
次に本発明の実施例について説明する。各例で使用した原材料、生分解性樹脂組成物の製造方法、物性評価のための成形品(試験片)の成形方法、物性評価のための測定方法は次の通りである。
<原材料>
生分解性を付与したポリオレフィン(A):ホモポリプロピレン(三井化学(株)製、J105G,ASTM D1238 230℃によるメルトフローレート(MFR)=9g/10分、比重=0.91、以下ポリプロピレンという。)に、生分解性を付与する酸化触媒系の添加物(ノボンジャパン(株)製、デグラノボン(登録商標))を、20wt%の割合で添加したもの。
リグノセルロース系又はセルロース系物質(B):木粉(ドイツ国レッテンマイヤー社製、リグノセルC120、120メッシュ通過品)
デンプン系物質(C):精米(群馬製粉(株)製、粒状)
二塩基酸無水物又はその誘導体(D):無水コハク酸(新日本製薬(株)製、顆粒状)
有機過酸化物(E):1,3−ビス(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン(化薬アクゾ(株)製、パーカドックス14、以下有機過酸化物という。)
<生分解性樹脂組成物の製造方法>
第一実施形態に係る生分解性樹脂組成物の製造に関しては(A)〜(E)成分を、第二実施形態に係る生分解性樹脂組成物の製造に関しては(A)、(C)、(D)成分を、それぞれ必要とする他の成分とともに、それぞれ時間当たり供給重量で制御したフィーダーにより、2軸押出機のホッパーに投入し、バレル設定温度160℃、スクリュー回転数:250rpm、樹脂温度が押出機出口で170〜180℃の条件で加熱混練して生分解性樹脂組成物を得た。滞留時間(加熱混練時間)は1分であった。
<物性評価のための成形品(試験片)成形方法>
前記で得られた生分解性樹脂組成物ペレットを120℃で4時間乾燥し、日精樹脂工業(株)製、NEX2000(110トン)の射出成形機により、多目的試験片「JIS K7139(ISO3167)A型」を作成した。成形条件はJIS K7152(ISO294)に準拠した。
<物性評価のための測定方法>
生分解性樹脂組成物のメルトフローレート(MFR):ASTM D1238準拠(190℃、2.16kg荷重)、引張強度:ASTM D638、曲げ強度:ASTM D638、曲げ弾性率:ASTM D638、紫外線変色:フェードメーター3時間照射後の色差を測定、外観の評価は、目視で判断した。射出成形性:○;射出成形状態が良好、△;射出成形状態が一定にならない、×;射出成形状態が悪い、成形品外観:良好;フローマークが見られない良好な場合、不良;肌荒れ、ネジレ、ソリの発生。
表1に、本発明の第1実施形態に係る実施例1〜3及び比較例1,2の結果を、表2に第2実施形態に係る実施例とその比較例の結果を示す。表に示す実施例は、表に記載された配合割合の生分解性樹脂組成物の物性評価結果である。
生分解性を付与したポリプロピレン、木粉、精米、無水コハク酸、有機過酸化物を二軸押出機から押出すことにより得た生分解性樹脂組成物を、乾燥機により120℃で4時間乾燥した後、射出成形機で成形品(試験片)を作成した。その後、各種物性試験を行った。
Figure 2005255744
Figure 2005255744
表1より明らかなように、本発明にかかる生分解性組成物は、精米の配合率が高まるとともに、190℃、2.16kg荷重におけるMFRが非常に大きな値を示し熱流動性が良好であった。この高い熱流動性に関連して、実施例1〜3に示す組成物では射出成形性が良好であり、また得られた成形品の外観も良好であった。この結果より、生分解性組成物の熱流動性の向上に、精米(C)が寄与することが明白である。
また、表2の実施例と比較例との対比より、無水コハク酸が、生分解性組成物の熱流動性(MFR)の向上に寄与し、かつ、成形品の機械的特性(引張強度、曲げ強度、曲げ弾性率)を向上させることも明白である。
さらに、表1の実施例3と比較例2との対比、及び、実施例1と比較例1との対比によれば、無水コハク酸と有機過酸化物との添加により、実施例におけるMRFの値が飛躍的に向上していることがわかる。ここで、表2の実施例と比較例とで示された、無水コハク酸が熱流動性(MFR)を向上させる寄与度について鑑みれば、有機過酸化物(E)が生分解性組成物の熱流動性(MFR)を向上させる効果が高いことが明白である。

Claims (9)

  1. 生分解性を付与したポリオレフィン(A)10〜80重量部と、
    重量比が10:90〜90:10である、リグノセルロース系又はセルロース系物質(B)とデンプン系物質(C)との混合物90〜20重量部と、
    (A),(B),(C)成分の合計量100重量部に対し、
    二塩基酸無水物又はその誘導体(D)0.2〜20重量部と、
    有機過酸化物(E)0.001〜2重量部と、を含有してなることを特徴とする生分解性樹脂組成物。
  2. 生分解性を付与したポリオレフィン(A)5〜95重量部と、
    デンプン系物質(C)95〜5重量部と、
    (A)(C)成分の合計量100重量部に対し、
    二塩基酸無水物又はその誘導体(D)0.2〜20重量部とを含有してなることを特徴とする生分解性樹脂組成物。
  3. 前記生分解性を付与したポリオレフィン(A)は、生分解性を付与する酸化触媒系の添加剤または微生物分解系の添加剤が添加されたポリオレフィンからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の生分解性樹脂組成物。
  4. 前記デンプン系物質(C)は、玄米又は精米であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の生分解性樹脂組成物。
  5. 前記二塩基酸無水物又はその誘導体(D)は、無水コハク酸であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の生分解性樹脂組成物。
  6. 生分解性を付与したポリオレフィン(A)10〜80重量部と、
    重量比が10:90〜90:10である、リグノセルロース系又はセルロース系物質(B)とデンプン系物質(C)との混合物90〜20重量部と、
    (A),(B),(C)成分の合計量100重量部に対し、
    二塩基酸無水物又はその誘導体(D)0.2〜20重量部と、
    有機過酸化物(E)0.001〜2重量部と、を混合して温度100〜200℃の範囲で時間20秒〜30分の範囲で混練することを特徴とする生分解性樹脂組成物の製造方法。
  7. 生分解性を付与したポリオレフィン(A)5〜95重量部と、
    デンプン系物質(C)95〜5重量部と、
    (A)(C)成分の合計量100重量部に対し、
    二塩基酸無水物又はその誘導体(D)0.2〜20重量部と、を混合して温度100〜200℃の範囲で時間20秒〜30分の範囲で混練することを特徴とする生分解性樹脂組成物の製造方法。
  8. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の生分解性樹脂組成物を含有することを特徴とする生分解性樹脂組成物の成形品。
  9. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の生分解性樹脂組成物を加熱により流動させて成形することを特徴とする生分解性樹脂組成物の成形品の成形方法。
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