JP2005255480A - 合わせガラス及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】無色透明で、紫外線領域や赤外線領域での透過率調整、接着容易性、接着の高温保持性、化学的耐久性、接着強度等の特性を有する合わせガラスができるようになった。
【解決手段】少なくとも2枚のガラス板の間に有機無機ハイブリッドガラス状物質を挟み、加熱処理により融着する合わせガラスの製造方法。溶融性を有する、加熱処理による融着は100〜700℃の温度範囲でなされる、加熱処理による融着時には減圧する、特定波長の光吸収作用を有する添加剤を混入する、、有機無機ハイブリッドガラス状物質及びその添加剤と少なくとも2枚のガラス板の光透過率を制御する等の特徴を有す。さらに、上記の方法で製造された合わせガラス。
【選択図】 なし

Description

本発明は、例えばポリビニルブチラール(PVB)を使わない合わせガラス及びその製造方法に関する。
中間膜としてポリビニルブチラール(以後、PVB)を用いている合わせガラスは破壊した場合でもガラスが飛散や脱落しにくいという特徴および紫外線を吸収するというPVBの特徴を有しているので、安全性や防犯性が要求される場所、あるいは紫外線を防止したい場所など、数多くのところで使われている。その使用例は、自動車のフロントガラス、建築物や鉄道車両のドアや窓ガラス、ショーウィンドウ、水槽、プールの覗き窓、ベランダのフェンスなど数多く、合わせガラスの使用は近年ますます増大する方向にある。例えば、自動車のフロントガラスは、その安全性をさらに高めるため、それまで使われていた部分強化ガラスが禁止され、合わせガラスのみが使用できることと変化してきている。
この合わせガラスは、例えばポリビニルブチラールやエバフィルム(以後、EVA)を使って接着されているが、PVBやEVAは典型的な有機物質であるため、300℃以上の温度に耐えることはできず、また使用時も例えば100℃を越えると、合わせガラスの特性からいわゆる「重ねガラス」の特性に変化する等、多くの問題が発生する。このため、もっと高温の状態においても使用可能な合わせガラスが期待されている。
しかし、高温状態でも使用できる合わせガラスの製造は非常に難しく、例えば300℃前後でも使用できる合わせガラスはまだ市場にはない。合わせガラスを製作する上で、例えば、透明性を確保しながらガラス同士を接着するという基本的な特性が要求される。物品と物品を接着させることは重要な技術であり、これまでも多くのところでなされてきた。しかし、接着剤の使用範囲は以外と狭く、その処理温度、使用温度、材料等が異なれば、その接着剤を変えざるを得ない。特に、高温で接着性を維持する、いわゆる高温での接着保持性を保ちながら、ガラスを接着し、さらには透明性を確保するとなると、非常に難しい。この合わせガラスが平面ガラスではなく、曲面ガラスとなると、その難易度は極端に増加することになる。また、合わせガラスは時として紫外線カットや赤外線カットを要求される一方で、特定の波長域を透過させる特性が要求されたりする。このように、複雑な光学的特性に加えて、耐衝撃性、強度や加工性等の機械的特性、耐水性や耐候性等の化学的特性をも満足させる合わせガラスとなると、まだ開発されてはいない。
上述の特性を有する合わせガラスが開発できない理由として、その合わせ化に用いる接着材料が例えばPVBやEVAに限られており、適切なものがなかったことが主要因としてあげられる。一般的に、接着処理の温度は低い方が良く、その接着保持性は高温まで保たれる方が望ましい。これらの相反する特性を同時にもたせることは極めて難しい。
この接着剤に対する要望をさらに述べると、ガラスの透明性を活かすためにその接着剤が無色透明であり、紫外線領域や赤外線領域でも高透過率であること、容易に特定波長での透過率を下げることができること、接着が比較的低温で簡単にできること、最終的にはその接着性が高温まで持続すること、化学的耐久性が高いこと、十分な接着強度をもつこと等の特性を有することが望ましいことになる。
公知文献をみると、PVBフィルムと遮音フィルムを組み合わせた合わせガラス(例えば、特許文献1参照)、ICのセラミックスパッケージの封止用などに数多く使われているPbO−Bを主成分とするセラミックス材料を接合するハンダガラス材料(例えば、特許文献2参照)、結晶性ガラス組成物からなる封着物(例えば、特許文献3参照)等が開示されている。
特開平9−165235号公報 特開平7−330374号公報 特開平9−255360号公報
例えば、PVBやEVAを使って接着された物品では、その接着処理が300℃以下でできるという長所は有するが、300℃以上の温度に耐えることはできず、また使用時も例えば100℃を越えると、その接着性は著しく劣化するという問題があった。また、その光学的特性はPVBやEVAの特性に大きく左右されるため、その要求仕様がPVBやEVAの特性に合致しているときは良いが、反対の要求仕様に対しては対応できないという問題があった。
特開平9−165235号公報で開示された方法ではPVBフィルムと遮音フィルムという特性が異なる2種類のフィルムを使ってガラスを接着する可能性を示している点では有用であるが、300℃以上の雰囲気下で使用することはできない。特開平7−330374号公報で開示された材料は、接着作用を有するが、PbO−Bを主成分としており、地球環境の面からみて問題がある。また、特開平9−255360号公報で開示された材料では接着処理温度が400℃以下の接着剤とすることができない。
このように、無色透明で紫外線領域や赤外線領域でも高透過率である一方容易に特定波長で光透過率を下げたり着色することができること、接着が比較的低温で簡単にできかつ最終的にはその接着性が高温まで持続すること、化学的耐久性が高いこと、十分な接着強度をもつこと等の特性を有する合わせガラスはこれまでなかった。
本発明は、少なくとも2枚のガラス板の間に有機無機ハイブリッドガラス状物質を挟み、加熱処理により融着する合わせガラスの製造方法である。
また、有機無機ハイブリッドガラス状物質は溶融性を有する上記の合わせガラスの製造方法である。
また、加熱処理による融着は100〜700℃の温度範囲でなされる上記の合わせガラスの製造方法である。
また、加熱処理による融着は減圧下で行う上記の合わせガラスの製造方法である。
また、有機無機ハイブリッドガラス状物質の中に特定波長の光吸収作用を有する添加剤を混入する上記の合わせガラスの製造方法である。
また、有機無機ハイブリッドガラス状物質及びその添加剤と少なくとも2枚のガラス板の光透過率を制御することにより、それぞれの波長域で所望の光透過率を得る上記の合わせガラスの製造方法である。
さらに、上記の方法で製造された合わせガラスである。
さらにまた、波長300〜800nmでの平均可視光透過率が3mm厚で80%以上である上記の合わせガラスである。
さらにまた、波長300〜800nmでの平均可視光透過率が3mm厚で80%未満であり、着色されている上記の合わせガラスである。
さらにまた、紫外線領域で特定の波長が吸収される上記の合わせガラスである。
さらにまた、赤外線領域で特定の波長が吸収される上記の合わせガラスである。
本発明により、無色透明で紫外線領域や赤外線領域でも高透過率である一方、容易に特定波長で光透過率を下げたり着色することができること、接着が比較的低温で簡単にできかつ最終的にはその接着性が高温まで持続すること、化学的耐久性が高いこと、十分な接着強度をもつこと等の特性を有する合わせガラスができるようになった。
本発明は、少なくとも2枚のガラス板の間に有機無機ハイブリッドガラス状物質を挟み、加熱処理により融着する合わせガラスの製造方法である。合わせガラスであるので、少なくとも2枚のガラスが必要であるが、3枚以上のガラスを用いても構わない。ガラスとガラスとの間に有機無機ハイブリッドガラス状物質を挟み、加熱処理により融着するという接着性を利用して、合わせガラスとすることができる。
また、有機無機ハイブリッドガラス状物質は溶融性を有する合わせガラスの製造方法である。有機無機ハイブリッドガラス状物質は溶融性を有することが必要である。溶融性を有しない有機無機ハイブリッドガラス状物質の場合、その接着強度は小さいので、合わせガラスとすることは極めて難しい。
また、加熱処理による融着は100〜700℃の温度範囲でなされることが好ましい。100℃未満で融着しようとしても、その接着強度は小さいので、市場ニーズを満足することはできない。一方、550℃を越えると着色する傾向にあり、その着色を利用した、例えばサンシェードに応用することもできるが、700℃を越えるとその接着成分となる有機物質が極めて少なくなるので、接着性の低下という問題が発生する。着色を問題とする場合には400℃以下が好ましい。なお、400℃を越える場合でもその処理時間が短い場合には着色も小さい場合が多い。すなわち、透明性を重要視する場合は、より好ましくは150〜500℃の範囲、さらに好ましくは180〜450℃の範囲である。一方、着色を利用する場合、より好ましくは500〜630℃の範囲、さらに好ましくは550〜600℃の範囲である。この加熱処理は1度で行うのではなく、2回以上に分けても良いし、その温度条件を変更させても良い。その場合、加熱温度を高くする方向で変化させていくのが好ましい。溶融性を有する有機無機ハイブリッドガラス状物質は加熱により軟化点が上昇するという特徴を有することが多いので、その最終の処理温度を高くした方が接着性を確保するのに優位であるからである。
また、加熱処理による融着は減圧下で行うことが好ましい。減圧することにより、有機無機ハイブリッドガラス状物質中に混在している泡がなくなり、より安定かつ接着性を有する材料に変化する。この減圧は、一般的には40〜200℃、20Pa以下(より好ましくは10Pa以下)の雰囲気下で、5分〜2時間程度行われることが多い。また、例えばゴム製の袋に入れ、それを加圧したオートクレーブの中に入れても良い。この場合、その加熱条件は100〜200℃であり、加圧条件は1〜2MPa、処理時間は10分〜1時間程度で行うのが好ましい。
また、有機無機ハイブリッドガラス状物質の中に特定波長の光吸収作用を有する添加剤を混入することが好ましい。この添加剤は、市場ニーズにより大きく異なる。例えば、紫外線領域の光吸収を大きくする場合は、例えば有機物紫外線吸収剤として紫外線を吸収して微小な熱エネルギーに変換するサリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系芳香族化合物や無機物添加剤として紫外光を表面反射・散乱させる酸化チタン微粒子、酸化亜鉛微粒子などの金属微粒子を混入する。有機物紫外線吸収剤は波長域が400nm以下の紫外線波長領域で光吸収があり、また金属微粒子は波長域が380nm以下の紫外線波長領域で光吸収があるからである。また、400nm以下の紫外線波長領域で光吸収があるエポキシやPMMAなどの樹脂を添加することも有効である。また、例えば、赤外線領域の光吸収を大きくする場合は、例えば酸化スズなどの金属微粒子や波長選択吸収色素であるフタロシアニン系色素を混入する。酸化スズ微粒子は波長域が1400〜2500nmのところで光吸収があり、またフタロシアニン系色素は波長域が700〜1400nmのところで光吸収があるからである。有機無機ハイブリッドガラス状物質の場合、多くの有機物や無機物を添加することができるので、市場ニーズに合致させるための選択性が大幅に増加することになる。
また、有機無機ハイブリッドガラス状物質及びその添加剤と少なくとも2枚のガラス板の光透過率を制御することにより、それぞれの波長域で所望の光透過率を得ることが好ましい。合わせガラスの場合、透明なガラス板のみを使うのではなく、着色したガラス板を使うこともある。この場合、着色したガラス板と有機無機ハイブリッドガラス状物質の両方を組み合わせることにより、任意の波長で任意の光吸収を有する合わせガラスを得ることができる。
さらにまた、波長300〜800nmでの平均可視光透過率が5mm厚で80%以上の合わせガラスであることが好ましい。300〜800nmでの光透過率が良好なように製作された有機無機ハイブリッドガラス状物質と透明の板ガラスと組み合わせることにより、300〜800nmでの平均可視光透過率が5mm厚で80%以上の合わせガラスを得ることができる。
さらにまた、波長300〜800nmでの平均可視光透過率が3mm厚で80%未満であり、着色されている合わせガラスであることも好ましい。この場合、合わせガラスの着色はガラス板の着色を主としても良いし、有機無機ハイブリッドガラス状物質の着色を主としても良いし、また両者の着色を組み合わせても良い。
さらにまた、紫外線領域で特定の波長が吸収される合わせガラスであることが好ましい。紫外線領域の光吸収を大きくする場合は、例えばサリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系芳香族化合物や酸化チタン微粒子、酸化亜鉛微粒子などの金属微粒子を混入する。有機物紫外線吸収剤は波長域が400nm以下の紫外線波長領域で光吸収があり、また金属微粒子は波長域が380nm以下の紫外線波長領域で光吸収があるからである。また、400nm以下の紫外線波長領域で光吸収があるエポキシやPMMAなどの樹脂を添加することも有効である。
さらにまた、赤外線領域で特定の波長が吸収される合わせガラスであることが好ましい。赤外線領域の光吸収を大きくする場合は、例えば酸化スズなどの金属微粒子や波長選択吸収色素であるフタロシアニン系色素を混入する。酸化スズ微粒子は波長域が1400〜2500nmのところで光吸収があり、またフタロシアニン系色素は波長域が700〜1400nmのところで光吸収があるからである。
従来の有機無機ハイブリッドガラスは、従来のゾルゲル法により製作されるため、溶融性を有せず、加熱しても物性的な変化はあまりないとされていた。一部のゾルゲル材料では軟化することが知られていたが、あくまでも軟化のレベルであり、溶融の状態ではなかった。また、強く加熱すると着色する傾向にある。このような理由から、有機無機ハイブリッドガラスはこれまでは主に数μm以下の薄い膜状の機能性膜材として着目され、産業上の利用は膜状又はコート材料に限られてきた。しかし、溶融性を呈する有機無機ハイブリッドガラス状物質の場合、強い接着効果を有すので、接着剤として利用することも可能となる。溶融性を有することにより、複雑な形状の間にも入り込むことができ、かつその結合を行うことができるからである。
なお、有機無機ハイブリッドガラス状物質は、有機無機ハイブリッドガラス状物質そのものでも良いし、その含有を主成分としたものでも良い。接着剤は用途、使用条件が多種多用となるので、有機無機ハイブリッドガラス状物質そのものあるいはその含有に関しては多くの選択が可能となるためである。例えば、使用する温度が低い場合には有機系の接着剤を多く混入させることができる一方、使用温度が高い場合には無機系の接着剤を多く混入させることになる。また、透明度をどの程度必要とするかによっても、副成分の混入は異なる。このようにその選択は幅広いが、主成分となる有機無機ハイブリッドガラス状物質は重量%で30%以上混入されていることが好ましく、さらに好ましくは50%以上である。30%未満であると、接着温度や保持温度の制限が増し、また透明度の問題も出てくる。上限は当然ながら100%である。さらに、この主成分の含有に関する考え方は以下も同様である。
また、軟化温度が40℃以上400℃以下の有機無機ハイブリッドガラス状物質を用いることが好ましい。40℃未満では加熱処理の効果は極めて小さく、400℃以上では安定した接着とならないことが多い上、着色する場合もある。より好ましくは、60〜360℃、さらに好ましくは100〜350℃である。この加熱処理は1度で行うのではなく、2回以上に分けても良いし、その温度条件を変更させても良い。一般的には、加熱温度を高くする方向で変化させるのが好ましい。なお、有機無機ハイブリッドガラス状物質の軟化温度は、10℃/minで昇温したTMA測定から判断した。すなわち、上記条件で収縮量を測定し、収縮量の変化開始温度を軟化温度とした。
また、加熱処理を行う度に軟化温度が上昇する有機無機ハイブリッドガラス状物質を用いることが好ましい。溶融性を有する有機無機ハイブリッドガラス状物質は、軟化点が変化するという特徴を有することが多い。軟化温度が上昇する有機無機ハイブリッドガラス状物質を用いることにより、当初は低い温度で処理して層状とし、その後加熱することにより軟化温度を上げて、所定の接着性を求めるのが良い。軟化温度が下がる有機無機ハイブリッドガラス状物質あるいは種々の処理による結果として軟化温度が下がる有機無機ハイブリッドガラス状物質の場合、所定の接着強度を得ることは難しくなる。
また、波長300〜800nmでの平均可視光透過率が3mm厚で80%以上の有機無機ハイブリッドガラス状物質を用いることが好ましい。このような特性を有する有機無機ハイブリッドガラス状物質を使うことにより、透明性の高い合わせガラス物品を得ることができる。
合わせガラスの接着剤として用いる有機無機ハイブリッドガラス状物質は、層状、粉体状又はペースト状で接着されることが好ましい。層状に加工された有機無機ハイブリッドガラス状物質を用いて、接着することがより好ましい。この場合、粉体状の有機無機ハイブリッドガラス状物質を接着する物質の表面に塗布し、加熱して流動化して層状とし、その後加熱して接着するのが一般的であるが、一度冷却してから再加熱しても良い。当然ながら、粉体状の有機無機ハイブリッドガラス状物質をそのまま加熱処理をしても良い。さらには、ぺ−スト状でも良く、この場合有機溶媒中に溶かし込んだペーストが好ましい。接着性等の条件が許すのであれば、いわゆる膜状の有機無機ハイブリッドガラス状物質を用いても良いが、層状又は粉体状で接着する方が、安定して接着され、その接着性も確保される。この接着部の厚さは、0.1mm以上3mm程度が好ましい。0.1mmよりも薄いと、合わせガラスの貼り合わせ強度が十分ではなく、剥離等の問題が発生する。一方、有機無機ハイブリッドガラスは熱膨張率も大きいので、3mmを越えるとガラス破損の問題が発生するからである。
なお、本発明は、以下のようにして製造される有機無機ハイブリッドガラス状物質を用いることが好ましい。すなわち、出発原料は金属アルコキシドであり、その原料とする金属アルコキシドと水、酸触媒及びアルコールによる混合工程の後、加熱反応工程、溶融工程及び熟成工程を経て製造される有機無機ハイブリッドガラス状物質が好ましい。この方法による有機無機ハイブリッドガラス状物質はその安定性も高く、良好な品質を保ちながら低コストで製造することもできる。次に好ましいのは、ゾルゲル法によるゲル体の製作工程、加熱による溶融工程、及び熟成工程の3工程を最低限有する方法である。この方法でも有機無機ハイブリッドガラス状物質を得ることができるが、ゲル化工程に1〜3日間要するので、生産性が下がるという問題がある。ここで、重要なのは溶融性であり、溶融性を有しない従来のゾルゲル法では製造できないことである。
原料とする金属アルコキシドは有機置換基で置換されたアルコキシシランであり、有機置換基としてフェニル基、メチル基、エチル基、プロピル基(n−、i−)、ブチル基(n−、i−、t−)、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、メルカプトメチル基、メルカプトプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、3-トリフルオロアセトキシプロピル基、ビニル基、ベンジル基、スチリル基等から、アルコキシル基としてメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(n−、i−)等から成る金属アルコキシドから選ばれることが好ましい。これらは、有機無機ハイブリッドガラス状物質、特に室温以下で軟化特性を示す透明状物質の製造において極めて有用な原料である。なお、上記以外の金属アルコキシドでも良い。また、金属アセチルアセトナート、金属カルボン酸塩、金属硝酸塩、金属水酸化物、及び金属ハロゲン化物等、ゾルゲル法で使われているものであれば製造は可能である。
アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノ-ル、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノ-ル、2−ブタノール、1.1−ジメチル−1−エタノール等が代表的であるが、これらに限定される訳ではない。
溶融工程に入る前、すなわち、出発原料の混合工程と加熱による溶融工程との間に、加熱反応工程を有することが好ましい。この加熱反応工程は40℃以上100℃以下の温度で行われることが好ましい。この温度域以外では、その構造中に有機官能基Rを持つ金属ユニット、例えば(RSiO(4−n)/2)(n=1、2、3から選択)で表されるケイ素ユニット、さらに、詳細には、フェニル基の金属ユニット(PhSiO(4−n)/2)、メチル基の金属ユニット(MeSiO(4−n)/2)、エチル基の金属ユニット(EtSiO(4−n)/2)、ブチル基の金属ユニット(BtSiO(4−n)/2)(n=1〜3)などを適切に含有させることができないため、ガラス溶融のできる有機無機ハイブリッドガラス状物質を得ることは極めて難しくなる。
なお、この有機官能基Rは、アリール基やアルキル基が代表的である。アリール基としては、フェニル基、ピリジル基、トリル基、キシリル基などがあり、特に好ましいのがフェニル基である。さらに、アルキル基としては、直鎖型でも分岐型でもさらには環状型でも良い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基(n−、i−)、ブチル基(n−、i−、t−)、ペンチル基、ヘキシル基(炭素数:1〜20)などが挙げられ、メチル基とエチル基が好ましい。なお、有機官能基は上述のアルキル基やアリール基に限定されるものではない。
加熱による溶融工程は40℃以上500℃以下の温度で処理されることが好ましい。40℃よりも低い温度では、実質上溶融できない。また、500℃を超えると、網目を形成する金属元素と結合する有機基が燃焼するために所望の有機無機ハイブリッドガラス状物質を得られないばかりか、破砕したり、気泡を生じて不透明になったりする。望ましくは、100℃以上300℃以下である。
熟成工程では30℃以上400℃以下の温度で処理する。30℃よりも低い温度では、実質上熟成できない。400℃を超えると、熱分解することがあり、安定したガラス状物質を得ることは難しくなる。この熟成温度は、溶融下限温度よりも低い温度ではその効果が極めて小さくなる。一般的には、溶融下限温度〜(溶融下限温度+150℃)程度が望ましい。さらに、熟成に要する時間は5分以上必要である。熟成時間は、その処理量、処理温度及び反応活性な水酸基(−OH)の許容残留量により異なるが、一般的には5分未満では満足できるレベルに到達することは極めて難しい。また、長時間では生産性が下がってくるので、望ましくは10分以上1週間以内である。なお、熟成する場合において、40℃〜230℃の温度かつ20Pa以下、さらに好ましくは10Pa以下の圧力下で行われる第1熟成と大気圧下70℃〜350℃で行われる第2熟成の2つの工程と分けることも有効である。
溶融工程及び熟成工程を経ることにより、安定化した有機無機ハイブリッドガラス状物質を得ることができる。従来から行われてきたゾルゲル法では、前記の溶融工程がないため、当然ながらその後の熟成工程もない一方、ゲル体を経るという特徴も有する。このように、従来の有機無機ハイブリッドガラス状物質とは異なった性質を有している。
加熱反応工程の上限温度は沸点が100℃を越すアルコール、例えば118℃の1−ブタノールを用いる場合では100℃以下であるが、沸点が100℃以下のアルコールでは沸点も考慮する方が望ましい。例えば、エタノールを用いる場合は、その沸点の80℃以下とした方が良い結果となる傾向にある。これは、沸点を越えると、アルコールが急激に蒸発するので、アルコール量や状態変化から均一反応が達成されにくくなるためであると考えられる。なお、加熱反応工程後は、すぐに溶融工程に入っても良いし、一度冷却してから溶融工程に入っても良い。
前述したように、時間をかけてゲル体を製作してから、溶融・熟成する方法でも良い。しかし、ゲル化には1〜3日を要するので、30分〜5時間程度で所望の有機無機ハイブリッドガラス状物質を得るのに比して、生産性はかなり下がることになる。
以下、実施例に基づき、述べる。
800mmx500mmで厚さが2mmのフロートガラス板を2枚準備した。このガラス板の上部表面に平均径が20〜500μm程度に粉体化した有機無機ハイブリッドガラス状物質を層状に塗布した後、150℃で5分間加熱した後に冷却して室温まで戻し、有機無機ハイブリッドガラス状物質が表層に付着している2枚のガラス板を得た。この2枚のガラス板について、有機無機ハイブリッドガラス状物質同士を向き合うように重ね合わせ、170℃で5分間加熱を行なった後に室温まで冷却して、接着された2枚のガラス板いわゆる合わせガラスを得た。このガラス物品の接着層の厚さは約0.4mmであった。
なお、有機無機ハイブリッドガラス状物質は以下のようにして製作したものを用いた。すなわち、出発原料には金属アルコキシドのフェニルトリエトキシシラン(PhSi(OEt))を用いた。混合工程として室温で280mlのフェニルトリエトキシシランに約1000mlの水、約650mlのエタノール、触媒である酢酸を約7ml加え、加熱反応工程として60℃で3時間撹拌後、150℃に上げ4時間溶融した。さらに、約80℃約7Paの雰囲気下5分間熟成した後、120℃で2時間熟成した後、室温まで冷却した。さらに、得られた有機無機ハイブリッドガラス状物質を5〜20μmの大きさになるように粉砕した。なお、この有機無機ハイブリッドガラス状物質の軟化温度は当初130℃であったが、接着と同条件で熱処理した場合には145℃に変化することを確認している。
ガラス物品の接着部における各波長域での透過率曲線を日立U−3500形自記分光光度計を用いて測定したところ、大きな着色、特に従来みられた青色領域での吸収がなく、平均可視光透過率は86.6%であった。この値から、有機無機ハイブリッドガラス状物質の波長300〜800nmにおける可視光線の平均透過率は3mm厚換算で約90%となっていることが推定された。なお、ほぼ同様のPVBを用いた合わせガラス(厚さ2mmのフロートガラスと約0.4mmのPVBからなる合わせガラス)の平均可視光透過率は85.9%であった。
この合わせガラスを一般的な合わせガラスの試験方法に準じ、接着強度、耐熱性、耐光性、耐候性等の性能試験を行った。その結果、すべての試験において、合わせガラスの仕様を満足していることが確認された。
実施例1とほぼ同様のガラス試料を準備し、紫外線と赤外線領域で光吸収する合わせガラスの製作を試みた。
有機無機ハイブリッドガラス状物質は以下のようにして製作したものを用いた。すなわち、出発原料には金属アルコキシドのフェニルトリエトキシシラン(PhSi(OEt))とジエトキシジフェニルシラン(Ph(OEt))を用いた。混合工程として室温で約200mlのフェニルトリエトキシシラン、約1000mlの水、約550mlのエタノール、触媒である酢酸を約7ml加え、さらに、紫外線及び赤外線吸収用にチタニア微粉末とフタロシアニン系色素を添加した。その後、加熱反応工程として60℃で1時間撹拌後、約90mlのジエトキシジフェニルシラン、約100mlのエタノールを滴下しさらに60℃で2時間撹拌した後、150℃に上げ4時間溶融した。さらに、約80℃約10Paの雰囲気下5分間熟成した後、120℃で2時間熟成した後、室温まで冷却した。さらに、得られた有機無機ハイブリッドガラス状物質を5〜20μmの大きさになるように粉砕した。なお、この有機無機ハイブリッドガラス状物質の軟化温度は当初100℃であったが、接着と同条件で処理した場合には120℃に変化することを確認している。
この物品について実施例1と同様の試験を行った結果、従来の合わせガラスと同様の性能を有す合わせガラスが得られた。
(比較例1)
接着剤としてはPVBを用い、実施例1と同様の形状の合わせガラスを製作した。PVBの厚さは約0.38mm(15mil)であり、真空条件下約230℃で接着処理を行うことができた。しかし、350℃まで加熱しようとしたが、100℃を越えた温度域から発泡が始まり、さらにはPVBの流動現象があり、ガラス物品を立てて加熱したため、ガラス間のPVBが多量流出した。このため、接着の意味合いがなくなったので、約250℃まであげた段階で中止した。
従来から合わせガラスとして使われたきた分野、例えば建築用窓ガラス、自動車用フロントガラス、リヤガラス及びサイドガラス等に使用可能である。さらには、使用温度が150℃を越えるためにこれまで合わせガラスを使うことができなかったため、単板ガラス、セラミックス又は金属等で代用してきた分野でも使用することができる。

Claims (11)

  1. 少なくとも2枚のガラス板の間に有機無機ハイブリッドガラス状物質を挟み、加熱処理により融着することを特徴とする合わせガラスの製造方法。
  2. 有機無機ハイブリッドガラス状物質は溶融性を有することを特徴とする請求項1に記載の合わせガラスの製造方法。
  3. 加熱処理による融着は100〜700℃の温度範囲でなされることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の合わせガラスの製造方法。
  4. 加熱処理による融着は減圧下で行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の合わせガラスの製造方法。
  5. 有機無機ハイブリッドガラス状物質の中に特定波長の光吸収作用を有する添加剤を混入することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の合わせガラスの製造方法。
  6. 有機無機ハイブリッドガラス状物質及びその添加剤と少なくとも2枚のガラス板の光透過率を制御することにより、それぞれの波長域で所望の光透過率を得ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の合わせガラスの製造方法。
  7. 請求項1乃至6に記載されたいずれかの方法で製造されたことを特徴とする合わせガラス
  8. 波長300〜800nmでの平均可視光透過率が3mm厚で80%以上であることを特徴とする請求項7に記載の合わせガラス。
  9. 波長300〜800nmでの平均可視光透過率が3mm厚で80%未満であり、着色されていることを特徴とする請求項7に記載の合わせガラス。
  10. 紫外線領域で特定の波長が吸収されることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の合わせガラス。
  11. 赤外線領域で特定の波長が吸収されることを特徴とする請求項7乃9のいずれかに記載の合わせガラス。






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