JP2005254152A - 電解質積層膜の製造方法および製造装置 - Google Patents

電解質積層膜の製造方法および製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 被積層部材、特に凹凸を有する部材に、各電解質膜の膜厚が均一な電解質積層膜を積層するための製造方法及び製造装置を提供すること。
【解決手段】 2層以上の電解質膜が積層されてなる電解質積層膜を製造する方法であって、被積層部材に電解質溶液を分注する工程を含むことを特徴とする電解質積層膜の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被積層部材に2層以上の電解質膜が積層されてなる電解質積層膜の製造方法および製造装置に関するものである。更に詳しくは、凹凸を有する部材に2層以上の電解質膜が積層されてなる電解質積層膜の製造方法および製造装置に関するものである。
従来より、電解質膜の積層法として、正の荷電粒子溶液と負の荷電粒子溶液を別々の容器に用意し、交互に浸漬することにより部材上に電解質膜を積層する製造方法及び製造装置が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。また、積層する電解質膜の吸着量をさらに精密に制御するために、水晶振動子により電解質の吸着量をモニターする製造方法及び製造装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。さらに、両端を接合した帯状の材料を正電荷粒子溶液槽と負電荷粒子溶液槽に交互に複数回循環させることで電解質膜を積層させる製造方法及び製造装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、マイクロプレートのような凹凸を有する部材の表面に電解質膜を積層させるためには、容器に用意した溶液に部材を浸す方法では、凹部の角に溶液が溜まる、溶液が部材に均一に塗れない、時間が掛かる等の問題があった。また、溶液に浸した時に、気泡の発生などにより凹部分の積層が困難な場合があった。
そのため、凹凸を有する部材に電解質膜、特に複数層の電解質膜を積層するには多大な労力を費やす必要があり、電解質膜が積層された凹凸を有する部材を量産することは困難な状況であった。従って、凹凸を有する部材に所望の膜厚を有する電解質膜を、均一に効率よく積層することが可能な製造方法及び製造装置が望まれていた。
A.C.Fon,O.Onitsuka,M.Ferreira,B.R.Hsieh and M.F.Rubner:J.Appl.Phys.79(10),7501(1996) 国際公開第00/13806号パンフレット 特許第3262323号公報
本発明は、被積層部材、特に凹凸を有する部材に、各電解質膜の膜厚が均一な電解質積層膜を積層するための製造方法及び製造装置を提供することにある。
本発明の発明者らが鋭意検討した結果、凹凸を有する部材に電解質液を分注することにより、均一な積層膜が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、2層以上の電解質膜が積層されてなる電解質積層膜を製造する方法であって、被積層部材に電解質溶液を分注する工程を含むことを特徴とする電解質積層膜の製造方法に関する。
また、本発明は、さらに、分注した電解質溶液を吸引する工程を含む上記電解質積層膜の製造方法に関する。
また、本発明は、さらに、洗浄する工程を含む上記電解質積層膜の製造方法に関する。
また、本発明は、電解質が高分子電解質である上記電解質積層膜の製造方法に関する。
また、本発明は、電解質積層膜がポリアニオンとポリカチオンとを交互に積層した積層膜である上記電解質積層膜の製造方法に関する。
また、本発明は、水晶振動子マイクロバランスにより電解質膜の膜厚を制御する上記電解質積層膜の製造方法に関する。
また、本発明は、電解質積層膜が生体高分子を固定化するために用いられる積層膜である上記電解質積層膜の製造方法に関する。
また、本発明は、上記電解質積層膜の製造方法に用いられる製造装置であって、ポリアニオン溶液容器、ポリカチオン溶液容器、ポリアニオン溶液用ホース、ポリカチオン溶液用ホース、ポンプ、電解質溶液用ノズル、XYZ駆動機構、及び制御回路を有することを特徴とする製造装置に関する。
また、本発明は、本発明の製造装置は、さらに、洗浄液用容器、洗浄液用ホース、洗浄液用ポンプ、洗浄液用ノズル、廃液用容器、及び廃液用ホースを有する上記製造装置に関する。
また、本発明は、各ノズルが、当該ノズルの先端が部材表面から0.1〜10mmの高さとなる位置で、電解質溶液、洗浄液又は廃液を、分注又は吸引する上記製造装置に関する。
さらに、本発明は、吸引したポリアニオン溶液又はポリカチオン溶液を、元のポリアニオン溶液容器又はポリカチオン溶液容器に戻す上記製造装置に関する。
本発明の製造方法及び製造装置によれば、被積層部材、特に種々の形状及び大きさの凹凸を有する部材の任意の部分に、所望の厚みの均一な電解質膜を積層することが可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の製造方法は、2層以上の電解質膜が積層されてなる電解質積層膜を製造する方法であって、被積層部材に電解質溶液を分注する工程を含むことを特徴とする。本発明の製造方法は、次いで、分注した電解質溶液を吸引する工程、洗浄する工程等の任意の工程を含んでいてもよい。被積層部材に電解質溶液を分注する工程、並びに必要に応じ分注した電解質溶液を吸引する工程及び洗浄する工程を繰り返し行うことにより、2層以上の電解質膜が積層されてなる電解質積層膜を製造することができる。
以下に本発明の製造方法における各工程を、被積層部材として96ウェルマイクロプレートを用い、電解質溶液としてポリカチオン溶液及びポリアニオン溶液を用いた場合を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明においては、2層以上の電解質膜が積層された電解質積層膜を得るために、被積層部材に電解質溶液を分注する工程(1)を2回以上繰り返し行う。被積層部材に電解質溶液を分注する工程(1)の1回目は、96ウェルマイクロプレートのウェルなどに電解質溶液を適量分注し、一定時間保持し、被積層部材の表面に第1の電解質をクーロン力により吸着させ第1の電解質膜を形成する工程である。したがって、本工程1回目においては、被積層部材の表面の電荷によって用いる電解質溶液を適宜選択することができる。例えば、被積層部材の表面が負に帯電している場合には、電解質溶液としてポリカチオン水溶液を用いればよく、被積層部材の表面が正に帯電している場合には、電解質溶液としてポリアニオン水溶液を用いればよい。
被積層部材に電解質溶液を分注する工程(1)の2回目は、既に積層された第1の電解質膜上に電解質溶液を適量分注し、一定時間保持し、第1の電解質膜の表面に第2の電解質をクーロン力により吸着させ第2の電解質膜を形成する工程である。したがって、本工程2回目においては、第1の電解質膜表面の電荷によって用いる電解質溶液を選択することとなる。例えば、第1の電解質膜がポリカチオン膜であれば、電解質溶液としてポリアニオン水溶液を用いればよく、第1の電解質膜がポリアニオン膜であれば、電解質溶液としてポリカチオン水溶液を用いればよい。図2は、2層の電解質膜を積層した凹凸を有する部材の断面を表す模式図である。
上記態様において示したとおり、電解質溶液としてポリアニオン及びポリカチオンを用いてなる電解質積層膜は、被積層部材にポリアニオン及びポリカチオンがクーロン力のような分子間力により交互に吸着することにより形成される。つまり、積層膜における一層の電解質膜は、ポリマー鎖が網目状に絡み合い堆積してなる層であるともいえる。従って、電解質膜相互の境界は必ずしも明確である必要はなく、ポリアニオン又はポリカチオンが部分的に互いに入り組んでいる個所が存在してもよいものとする。
なお、本発明において「分注」とは、溶液を注入するのみならず、塗布・滴下・噴霧・印刷などで表現される方法も含む。分注する液量は、部材の形状及び電解質膜の積層部分の面積によって任意に決定される。また、分注速度は、特に限定されないが、電解質膜が剥がれなく、膜厚にむらが生じない速度が好ましい。電解質溶液を注入する場合、分注速度は、0.1μL/秒〜100mL/秒が好ましく、4μL/秒〜12mL/秒がさらに好ましい。
本工程によれば、被積層部材が凹凸を有する部材である場合、凹部の角に気泡が発生する等の問題が生じることなく、凹部に均一に電解質を吸着させることが可能となる。また、個々の凹部に異なる電解質溶液を分注することもできるため、凹部ごとに異なる電解質膜を形成することも可能である。
次いで、分注した電解質溶液を吸引する工程(2)は、工程(1)によりウェルに分注した電解質溶液を、吸引除去する工程である。
本工程によれば、被積層部材が凹凸を有する部材である場合、凹部の角に電解質溶液が溜まる等の問題が生じることがない。また、電解質溶液の注入から吸引までの時間、つまり、電解質が吸着する時間を容易に制御することが可能であるため、所望の膜厚を有する均一な電解質膜を得ることが可能となる。さらに、複数の凹部について吸着時間を変えることにより、凹部ごとに膜厚の異なる電解質膜を形成することもできる。
また、洗浄する工程(3)は、工程(1)又は工程(2)の後に、ウェルに洗浄液を分注・吸引することにより、被積層部材の表面に吸着せずに溶液中に残留している電解質を除く工程である。本工程において、分注・吸引を行う回数は特に限定されないが、1〜3回行うことが好ましい。本工程は、工程(2)により余分な電解質溶液を吸引除去した後に行うことが好ましいが、工程(1)において分注した電解質溶液の量が少量である場合には、工程(2)を行うことなく工程(1)に続いて本工程を行うことも可能である。また、用いる洗浄液は特に限定されないが、電解質溶液に用いられる溶媒を使用することが好ましい。
本発明の製造方法の各工程途中において、既に形成された電解質膜が乾燥すると膜厚にムラが生じたり、表面の粗さが大きくなる場合があるので、特に工程(2)及び(3)において電解質膜が乾燥しないことが好ましい。
本発明における「電解質」としては、高分子電解質が好ましく用いられる。高分子電解質の分子量は、1000〜1000万であることが好ましく、1万〜100万であることがより好ましい。1000未満であると洗浄する際に電解質が剥離しやすくなる傾向があり、1000万を超えると溶解性が悪くなる傾向がある。
具体的には、ポリアニオンとしては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリチオフェン−3−酢酸、ポリ(3−へキシルチオフェン)、ポリアミド酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリパラフェニレン(−)等の水溶性のアニオン性ポリマーが例示でき、ポリカチオンとしてはポリアリルアミン、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ポリパラフェニレン(+)、ポリパラフェニレンビニレン、ポリピリミジンアセチレン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリピロール、ポリアニリン、ポリビニルイミダゾール、ポリジメチルアミノエチレンメタクリレート、ポリ−1−メチル−2−ビニルピリジン、ポリイミン等の水溶性のカチオン性ポリマーが用いられるが、これに限定されない。
また、一般的に「電解質」とは水その他の溶媒に溶解して溶液がイオン電導を行う物質をいうが、本発明においては、イオン電導を行わない物質、つまり、アニオンとカチオンとに電離しない物質であってもクーロン力により被積層部材又は既に積層された電解質膜に吸着し、膜の形成が可能な物質であれば、本発明における「電解質」の定義に含まれるものとする。具体的には、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールなど水溶性ポリマーを、高分子電解質として用いることもできる。
本発明においては、「電解質」として低分子物質、たとえば金属アルコキシド等のモノマー、ルテニウム錯体等の金属錯体モノマー等を使用することも可能であり、さらに、フェライト微粒子、酸化ケイ素粒子、酸化チタン粒子、ポリスチレン粒子、金粒子、銀粒子等の荷電粒子等を使用することも可能である。
「電解質溶液」に使用される溶媒としては、水を用いることが好ましいが、エタノール等のアルコール、トルエン等の炭化水素等の有機溶媒を用いてもよい。また、本発明において「電解質溶液」とは、上述の電解質が水や有機溶媒に溶解した状態に限らず、水や有機溶媒に分散した状態をも含むものである。
本発明においては、電解質溶液として高分子電解質水溶液を用いることが好ましく、ポリアニオン水溶液及びポリカチオン水溶液を用いることがさらに好ましい。従って、本発明の電解質積層膜は、ポリアニオンとポリカチオンとが交互に積層した積層膜であることが好ましい。
本発明の製造方法は凹凸を有する部材の凹部に電解質積層膜を形成する場合に好適であるが、平坦な部材又は曲面を有する部材の任意の部分に電解質積層膜を積層する場合にも用いることができる。したがって、本発明において被積層部材とは、凹凸を有する部材であっても平坦な部材であってもよい。
凹凸を有する部材とは、たとえばマイクロプレート、マイクロ電気泳動用チップ、マイクロチップ、配線板のような穴状凹部や溝状凹部を有する部材等が考えられるが、凹凸の形状は特に限定されない。凹部の深さも特に限定されないが、1μm〜10cmであるものが好ましい。凹凸を有する部材の材質はポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチック、セルロース等の生体高分子材料、ガラス、金属、セラミックス、透明電極材料等が挙げられるが、特に限定されない。凹凸を有する部材において、電解質溶液は、通常ウェルや溝など凹部に分注されるが、凸部に分注してもよい。
また、平坦な部材又は曲面を有する部材とは、たとえばガラス、プラスチック、金属、セラミックス、透明電極材料、及び生体高分子材料等の材質からなる板、フィルム、メンブレン、糸、棒、クロマトストリップ、チップ、チューブ、ニードル等が利用可能であるが、特に限定されない。
積層条件としては、工程(1)において、電解質溶液を分注した後、保持する時間を変える、つまり、ポリアニオン及びポリカチオンを吸着させる時間を変えることで、電解質膜の膜厚を変化させることが可能である。吸着時間は、特に制限はないが、0.1〜60分が好ましく、3〜30分がさらに好ましく、3〜15分が特に好ましい。
また、電解質溶液の濃度を変えることでも、膜厚を変化させることができる。さらに、電解質溶液の温度、pH及びイオン強度を変えることで、膜厚及び積層状態を変化させることが可能である。電解質の濃度は、10−4M〜1Mであることが好ましく、10−3M〜10−1Mであることがより好ましい。10−4M未満であると積層が困難になる傾向があり、1Mを超えると濃度が高すぎるために均一に積層することが困難になる傾向がある。また、電解質溶液のpHは、1〜12であることが好ましく、2〜11であることがより好ましい。さらに、電解質溶液の温度は、通常4〜30℃であることが好ましい。
本発明においては、被積層部材に電解質を吸着させる際に、被積層部材とは別に膜厚モニタ用の水晶振動子マイクロバランス(QCM)に電解質を吸着させることにより、膜厚の制御を行うこともできる。
本発明の製造方法によれば、各電解質膜の平均膜厚が好ましくは0.1nm〜100nm、さらに好ましくは0.1nm〜20nmの電解質積層膜を提供することができる。本発明の積層膜の積層数は任意に変えられるが、好ましくは2〜1000層であり、更に好ましくは、2〜100層である。また、各層毎に膜厚を変えた電解質膜を積層することも可能である。
本発明の製造方法により得られた電解質積層膜は、生体高分子を固定化するための担体として好ましく用いられる。生体高分子とは、一般的にタンパク、糖タンパク、ペプチド、糖ペプチド、多糖、核酸、脂質、糖脂質、ビタミン類、ステロイド、カテコールアミンおよびチロキシン等のホルモン類、プロスタグランディン類、GABA、アセチルコリン、セロトニンおよびドーパミン等の各種神経伝達物質、抗生物質等に代表される生体由来物質、細胞、組織、菌体、ウイルスあるいはそれらと結合する物質又は親和性を持つ物質等が含まれるが、特に限定されない。
本発明の製造方法によれば、被積層部材の任意の部分に、任意の面積で、所望の厚さの電解膜を、均一に複数層積層することが可能となる。また、ポリカチオンとポリアニオンを交互に所望の厚さで積層することで、表面のカチオン量とアニオン量を任意の比率に調整することが可能であり、ポリアニオンもしくはポリカチオン単独の吸着と比較して、表面改質の自由度が高くなる。これにより、タンパク質のように表面にアニオン性とカチオン性の官能基を両方持ち、各々その比率が異なるような物質を固定化させる場合に有効である。つまり、タンパク質に合わせた固定化担体を製造することが可能となる。さらに、本発明の製造方法によれば、マイクロ電気泳動チップなどの微細な溝に電解質積層膜を設けることもでき、タンパク質等の被検出物質が吸着することを防ぐ目的で、マイクロ電気泳動チップに電解質積層膜を積層することも可能である。
次に本発明の電解質積層膜の製造装置について説明する。図1は、本発明の一実施態様である製造装置の説明図である。本発明の製造装置は、ポリアニオン溶液容器5、ポリカチオン溶液容器6、ポリアニオン溶液用ホース9、ポリカチオン溶液用ホース10、ポンプ17、ノズル2、XYZ駆動機構3,4及び制御回路18を有することを特徴とし、さらに、洗浄液用容器7、洗浄液用ホース11、廃液用容器8、廃液用ホース12を有することが好ましい。
本発明の製造装置を用いた電解質積層膜を製造する方法を説明する。まず、被積層部材1にノズル2から電解質溶液を分注する。被積層部材の任意の部分に分注するために、XYZ駆動機構としてXYZアーム3、XYZ可動台4等の任意の位置に被積層部材1又はノズル2を移動させることが可能な部分を有する。溶液を分注及び吸引する時は、気泡の発生や液の飛散、液残りを防ぐため、また、形成された電解質膜の吸引を防ぐために、ノズル2は部材から0.1〜10mmの高さで分注及び吸引することが好ましく、0.5〜5mmの高さがさらに好ましい。ノズル2は、ホース9〜12を通してポリアニオン溶液容器5、ポリカチオン溶液容器6、洗浄液容器7、廃液容器8に繋がっており、任意の溶液をポンプ17により分注及び吸引することが可能である。コンピューター19により積層時間、溶液の量、積層位置を任意に決めることができ、制御回路18によりXYZアーム3若しくはXYZ可動台4が駆動される。さらに、部材とは別に吸着量測定用容器16を備え、QCM14で吸着量を測定することで部材上の電解質膜の吸着量を制御することも可能である。吸着量測定用容器16へは、QCM用ノズル15を用いてポリアニオン溶液、ポリカチオン溶液及び洗浄液の分注・吸引が行われる。
ノズルは少なくとも1本を備えていればよいが、ポリアニオン溶液を分注するためのノズル、ポリカチオン溶液を分注するためのノズル、洗浄液を分注するためのノズル、分注した洗浄液を吸引するためのノズルを別々に持つことが好ましい。ポンプについても同様に、少なくとも1つを備えていればよいが、ポリアニオン溶液を分注するためのポンプ、ポリカチオン溶液を分注するためのポンプ、洗浄液を分注するためのポンプ、分注した洗浄液を吸引するためのポンプを別々に持つことが好ましい。
また、ホースは、使用する溶液の分注用としてそれぞれの溶液について1本ずつと、廃液用として共用する1本を備えていればよいが、使用するそれぞれの溶液について分注用・廃液用の2本を備えていることが好ましい。
また、本発明の製造装置においては、分注した電解質溶液を、吸引して元の容器に戻すことで、溶液を再利用することも可能である。
本発明の製造装置によれば、凹凸を有する部材に容易に電解質膜を積層することが可能であり、生体高分子固定化担体等に好適に用いられる電解質膜を積層した凹凸を有する部材を、効率よく生産することができる。
(実施例1)
前記記載の装置を用いて、96ウェルマイクロプレートの各ウェルに、ポリアリルアミン水溶液(濃度10−2M)300μLを分注し、3分間吸着させた後、水で洗浄した。この時、ポリアリルアミン水溶液はpH2.5、20℃に保持した。次に、ポリアクリル酸水溶液(濃度10−2M)300μLを分注し、3分間吸着させた後、水で洗浄した。この時、ポリアクリル酸水溶液はpH2.5、20℃に保持した。これらを交互にそれぞれ6回繰り返すことで、12層の電解質膜が積層した電解質積層膜を形成した。リン酸バッファーを用いて調製したメチレンブルー溶液(10−3M、pH7.0)で電解質膜を染色し、目視によりメチレンブルーで染色された度合いにより電解質膜の均一性を調べた結果を表1に示した。さらに、AFMを用いてこの電解質膜の膜厚をウェル内3カ所で測定し、1層当たりの平均膜厚及び均一性を計算した結果を表2に示した。
(平均膜厚)
平均膜厚は、積層させた膜の任意の点における合計膜厚を測定し、その合計膜厚を積層させた電解質膜の層数で割ったものである。
表2中、膜厚の判定基準は次のとおりである。L:1nm以上5nm以下、M:5nm超50nm以下、H:50nm超100nm以下
(均一性)
均一性は、ウェル内の積層部分の全体から均等に選択した3点の膜厚を測定することにより評価した。なお、膜厚値は、各ウェルに1M HClを滴下し、電解質積層膜の一部を溶解して得た積層膜の断面をAFM(原子間力顕微鏡)にて観察して、測定した値である。
表2中、均一性の判定基準は次のとおりである。○:3点全ての膜厚が、3点の膜厚の平均値の0.7〜1.3倍の範囲内にある、×:3点のいずれかの膜厚が、3点の膜厚の平均値の0.7倍未満であるか、又は1.3倍を超える
(比較例1)
ポリアリルアミン水溶液(濃度10−2M)をビーカーに用意し、96ウェルマイクロプレートを3分間浸漬することで、ポリマーを吸着させた後、水の入ったビーカーに浸漬して洗浄した。この時、ポリアリルアミン水溶液はpH2.5、20℃に保持した。次に、ポリアクリル酸水溶液(濃度10−2M)をビーカーに用意し、96ウェルマイクロプレートを3分間浸漬することで、ポリマーを吸着させた後、水の入ったビーカーに浸漬して洗浄した。この時、ポリアクリル酸水溶液はpH2.5、20℃に保持した。これらを交互にそれぞれ6回繰り返すことで12層の電解質膜が積層した電解質積層膜を形成し、実施例1と同様に評価した。
Figure 2005254152
Figure 2005254152
(実施例2)
前記記載の装置を用いて、96ウェルマイクロプレートの各ウェルに、ポリアリルアミン(PAH)水溶液(濃度10−2M)300μLを分注し、3分間吸着させた後、水で洗浄した。この時、ポリアリルアミン水溶液はpH6.5、20℃に保持した。次に、ポリアクリル酸(PAA)水溶液(濃度10−2M)300μLを分注し、3分間吸着させた後、水で洗浄した。この時、ポリアクリル酸水溶液はpH2.5、20℃に保持した。これらの操作により2層の電解質膜が積層した電解質積層膜を形成した。また、別途これらの操作を繰り返すことで、10〜12層の電解質膜が積層した電解質積層膜を形成した。リン酸バッファーを用いて調製したリゾチーム溶液(5μg/μL、pH7.2)を各ウェルに100μLずつ分注し、4℃で一晩インキュベートしてリゾチームを固定化させた。その後、リン酸バッファー300μLで、3回洗浄した。NanoOrange(Molecular Probe社製)溶液100μLを分注し、90℃で15分間インキュベートした。その後、蛍光値(Ex.480nm/Em.580nm)を測定することで、リゾチームの固定化量を比較した。その結果を表3に示した。
(比較例2)
96ウェルマイクロプレートにポリアリルアミン水溶液(濃度10−2M、pH6.5)300μLを分注し、3分間吸着させた後、水で洗浄し、電解質単層膜を得た。また、別途電解質膜を形成していない96ウェルマイクロプレートを準備した。これらのウェルに、実施例2と同様に、リゾチームを固定化後、NanoOrange溶液を用いて、リゾチーム固定化量を測定した。その結果を表3に示した。
Figure 2005254152
本発明の一実施態様である電解質膜の製造装置の原理説明図である。 本発明の製造方法により電解質積層膜が形成された凹凸を有する部材の断面の一実施態様を示す模式図である。
符号の説明
1 被積層部材
2 ノズル
3 XYZアーム
4 XYZ可動台
5 ポリアニオン溶液容器
6 ポリカチオン溶液容器
7 洗浄液容器
8 廃液容器
9、10、11、12 ホース
13 ディスプレイ
14 水晶振動子マイクロバランス(QCM)
15 QCM用ノズル
16 吸着量測定用容器
17 ポンプ
18 制御回路
19 コンピューター
21 凹凸を有する部材
22 凹部
23 第1の電解質膜
24 第2の電解質膜
25 深さ

Claims (11)

  1. 2層以上の電解質膜が積層されてなる電解質積層膜を製造する方法であって、被積層部材に電解質溶液を分注する工程を含むことを特徴とする電解質積層膜の製造方法。
  2. さらに、分注した電解質溶液を吸引する工程を含む請求項1記載の電解質積層膜の製造方法。
  3. さらに、洗浄する工程を含む請求項1又は2記載の電解質積層膜の製造方法。
  4. 電解質が高分子電解質である請求項1〜3いずれか記載の電解質積層膜の製造方法。
  5. 電解質積層膜がポリアニオンとポリカチオンとを交互に積層した積層膜である請求項1〜4いずれか記載の電解質積層膜の製造方法。
  6. 水晶振動子マイクロバランスにより電解質膜の膜厚を制御する請求項1〜5いずれか記載の電解質積層膜の製造方法。
  7. 電解質積層膜が生体高分子を固定化するために用いられる積層膜である請求項1〜6いずれか記載の電解質積層膜の製造方法。
  8. 請求項1〜7いずれか記載の電解質積層膜の製造方法に用いられる製造装置であって、ポリアニオン溶液容器、ポリカチオン溶液容器、ポリアニオン溶液用ホース、ポリカチオン溶液用ホース、ポンプ、電解質溶液用ノズル、XYZ駆動機構、及び制御回路を有することを特徴とする製造装置。
  9. さらに、洗浄液用容器、洗浄液用ホース、洗浄液用ポンプ、洗浄液用ノズル、廃液用容器、及び廃液用ホースを有する請求項8記載の製造装置。
  10. 各ノズルが、当該ノズルの先端が部材表面から0.1〜10mmの高さとなる位置で、電解質溶液、洗浄液又は廃液を、分注又は吸引する請求項8又は9記載の製造装置。
  11. 吸引したポリアニオン溶液又はポリカチオン溶液を、元のポリアニオン溶液容器又はポリカチオン溶液容器に戻す請求項8〜10いずれか記載の製造装置。
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