JP2005253177A - 変圧器の運用方法、変圧器の運用支援方法、変圧器の運用支援システム - Google Patents

変圧器の運用方法、変圧器の運用支援方法、変圧器の運用支援システム Download PDF

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Abstract

【課題】互いに連系された複数の変電所を備える電力供給系統において、一部の変圧器を停止させる減バンク運転を供給信頼度の低下を招くことなく効果的に行えるようにする。
【解決手段】各変圧器の損失特性に基づいて、停止変圧器を選定して、複数の停止パターンを決定する(手順A)。各停止パターンについて、運転する変圧器の負荷の運用目標値を設定する(手順B)。時期毎の各変電所等の負荷を用いて各停止パターンについて潮流計算を行い(手順C)、各停止パターンについて、各送電線及び各変圧器の損失から、系統全体の損失を計算する(手順D)。そして、時期毎に、運用目標値を満足でき、かつ、系統全体の損失が小さくなるような停止パターンを求めて、運転パターンを決定する(手順E)。運転パターンを参考にしつつ運用目標値と負荷を比較し減バンク運転を実施する。
【選択図】 図2

Description

互いに連系された複数の変電所を備える電力供給系統において一部の変圧器を停止させて運用する方法、並びに、かかる電力系統における変圧器の運用を支援するためのシステムに関する。
電力会社の電力供給系統においては、電力の供給信頼度を確保するため複数の変電所をループ状に接続して連系させた構成が用いられることがある。このように変電所を連系させることにより、電力供給先において、一の変電所からの送電が切れた場合にも、系統連系された他の変電所から送電を行えるので、供給信頼度が向上するのである。
ところで、変圧器は運転時に損失を生じさせるため、損失を低減させる観点からは、電力の供給信頼度を損ねない範囲で、変電所に設けられた変圧器の運転を休止させることが望ましい。そこで、上述のように連系された各変電所が複数の変圧器を有する場合には、変圧器での損失を低減すべく、一部の変圧器を停止させる減バンク運転が行われることがある。
本発明は、上述のように互いに連系された複数の変電所を備える電力供給系統において、一部の変圧器を停止させる減バンク運転を供給信頼度の低下を招くことなく効果的に行えるようにすることを目的とする。
上記の目的を達成するため、請求項1に記載された発明は、互いに連系された複数の変電所を備える電力供給系統における変圧器の運用方法であって、
前記連系された各変電所が有する各変圧器の損失量に基づいて、どの変圧器を停止するかを示す複数の停止パターンを決定する手順と、
前記決定した停止パターンの夫々について、該当する変圧器を停止した場合に、運転する変圧器の負荷の運用目標値を設定する手順と、
前記決定した停止パターンの夫々について、時期毎の各送電線の損失及び各変圧器の損失を決定し、それらを用いて系統全体の損失を時期毎に計算する手順と、
前記設定した負荷の運用目標値と、前記計算した時期毎の系統全体の損失とに基づいて、時期毎に実施すべき前記停止パターンを決定する手順と、を備えることを特徴とする。
また、請求項2に記載された発明は、互いに連系された複数の変電所を備える電力供給系統における変圧器の運用方法であって、前記連系された各変電所が有する各変圧器の損失特性を含む変圧器情報が格納された変圧器情報記憶部と、前記各変電所の時期毎の負荷が格納された負荷情報記憶部とを参照可能なコンピュータが、
前記変圧器情報記憶部に格納された各変圧器の損失特性を参照して、どの変圧器を停止するかを示す複数の停止パターンを決定する手順と、
前記決定した停止パターンの夫々について、該当する変圧器を停止した場合に、運転する変圧器の負荷の運用目標値を設定する手順と、
前記負荷情報記憶部を参照して前記各変電所の時期毎の負荷を取得し、前記決定した停止パターンの夫々について、前記取得した時期毎の負荷を用いて、各送電線及び各変圧器の損失を決定し、それらを用いて系統全体の損失を時期毎に計算する手順と、
前記設定した負荷の運用目標値と、前記計算した時期毎の系統全体の損失とに基づいて、時期毎に実施すべき前記停止パターンを決定する手順と、を実行することを特徴とする。
また、請求項3に記載された発明は、互いに連系された複数の変電所を備える電力供給系統における変圧器の運用を支援するためのシステムであって、
前記連系された各変電所が有する各変圧器の損失特性を含む変圧器情報が格納された変圧器情報記憶部と、
前記各変電所の時期毎の負荷が格納された負荷情報記憶部と、
前記変圧器情報記憶部に格納された各変圧器の損失特性を参照して、どの変圧器を停止するかを示す複数の停止パターンを決定する手段と、
前記決定した停止パターンの夫々について、該当する変圧器を停止した場合に、運転する変圧器の負荷の運用目標値を設定する手段と、
前記負荷情報記憶部を参照して前記各変電所の時期毎の負荷を取得し、前記決定した停止パターンの夫々について、前記取得した時期毎の負荷を用いて、各送電線及び各変圧器の損失を決定し、それらを用いて系統全体の損失を時期毎に計算する手順と、
前記設定した負荷の運用目標値と、前記計算した時期毎の系統全体の損失とに基づいて、時期毎に実施すべき前記停止パターンを決定する手順と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、連系された変電所を備える電力供給系統において一部の変圧器を停止させる減バンク運転を、電力の供給信頼度の低下を招くことなく効果的に行うことが可能となる。
図1は、本発明の一実施形態である変圧器の運用方法が適用される電力供給系統を示す系統図である。同図に示すように、本実施形態における電力供給系統は、例えば110kVの高圧電力を発生する電力供給源10と、この電力供給源10から供給された電力を例えば66kVの電圧に変換する第1変電所20、第2変電所30、及び、第3変電所40とを含んで構成されている。このうち、第1変電所20と第2変電所30とは、110kVの高圧側送電線40、66kVの低圧側母線50A,50B、及び連絡線52により接続されてループを構成している。
第1変電所20及び第2変電所30は、夫々、2つの変圧器20A、20B及び30A及び30Bを備えており、これらの変圧器の高圧側が高圧側送電線40に接続され、低圧側が低圧側母線50A,50Bに接続されることで、変圧器20A、20B,30A,30Bは互いに連系された構成となっている。本実施形態では、上述のように系統連系された変圧器20A、20B,30A,30Bの一部を適宜休止させて運用する減バンク運転を行う。
図2は、本実施形態における処理手順を示すフローチャートである。また、図3〜図5は、図2に示す処理の過程で参照される各種情報を示すものであり、図3(a),(b)は、夫々、第1変電所20及び第2変電所30の各変圧器の負荷と損失との関係を示すグラフであり、図4は、各変圧器の容量、力率、電圧降下率タップ数等の変圧器情報を示す変圧器情報テーブルである。また、図5は、時期毎の各変電所や連絡線52等の負荷を示す負荷テーブルである。
以下、図2のフローチャートに示す各手順について説明する。
A.停止変圧器の選定
上述の通り、本実施形態では、第1変電所20及び第2変電所30が夫々2つの変圧器を有するものとしており、同じ変電所の変圧器を2つとも停止することは供給信頼度確保の観点から許されない。そこで、第1変電所20及び第2変電所30の夫々について何れの変圧器を停止すべきかを、図3や図4に例示する各変圧器に関する情報を参照して決定する。
先ず、第1変電所20については、実際の負荷は50MWを大きく超えることがないことを考慮して、図3を参照して、50MW以下で損失の大きい変圧器20Aを停止させる。一方、変電所30については、両変圧器30A,30Bの損失特性はほぼ同じであるが、図4に示すように、変圧器30Bの方がタップ数は少なく、これを停止させる方が電圧調整の面で有利であるため、この変圧器30Bを停止させるものとする。
このようにして、停止させる変圧器は、第1変電所20については変圧器20A、第2変電所30については変圧器30Bと決定したので、停止パターンは、
(1)第2変電所30の変圧器30Bのみを停止
(2)第1変電所20の変圧器20Aのみを停止
(3)第1変電所20の変圧器20A及び第2変電所30の変圧器30Bを停止
の3パターンとなる。
B.運用目標値の設定
上記の各停止パターン(1)〜(3)について、各変圧器の容量を考慮して負荷の運用目標値を設定する。
停止パターン(1):第2変電所30では変圧器30Aのみが運転するから、図4を参照して変圧器30Aの容量(30MW)、力率(0.95)、電圧降下率(0.98)を取得し、それらの積に過負荷率(1.5)を掛けて変圧器30Aの負荷の運用目標値とする。すなわち、変圧器20Bの負荷の運用目標値は、変圧器容量30MW×力率0.95×電圧降下率0.98×過負荷率1.5=42MWと計算される。
また、本実施形態では、第1変電所20において低圧側母線50Aに事故が発生すると、第2変電所30の変圧器30Aには、事故前の潮流に加えて、低圧側母線50A,50Bに接続された連絡線52の潮流が乗る。したがって、第2変電所30の負荷と、連絡線52の負荷との和が上述の運用目標値(42MW)を超えないことが、停止パターン(1)についての運用条件となる。
停止パターン(2):第1変電所20では変圧器20Bのみを運転するから、図4を参照して、変圧器20Bの容量(60MW)、力率(0.95)、電圧降下率(0.98)を取得し、変圧器20Bの負荷の運用目標値を、変圧器容量60MW×力率0.95×電圧降下率0.98×過負荷率1.5=84MWと計算する。
停止パターン(2)において、高圧側送電線40に事故が発生すると、第1変電所20の変圧器20Bには、事故前の潮流に加えて、高圧側送電線40の潮流が乗る。したがって、第1変電所20の負荷と高圧側送電線40の負荷との和が、上記の運用目標値(84MW)を超えないことが停止パターン(2)についての第1の運用条件となる。
また、停止パターン(2)において第1変電所20の変圧器20Bに事故が発生すると、第2変電所30の2台の変圧器30A,30Bには、事故前の潮流に加えて、第1変電所20の潮流が乗る。したがって、変圧器30A,30Bについてもの負荷の運用目標値を設定し、第1変電所20の負荷と第2変電所30の負荷の和が、その運用目標値を超えないことが必要である。図3のテーブルを参照して、変圧器30A,30Bの合計容量は55MW、力率は0.95、電圧降下率は0.98であるから、変圧器30A,30Bの運用目標値は55×0.95×1.5×0.98=77MWと計算される。したがって、第1変電所20の負荷と第2変電所30の負荷の和がこの上記の運用目標値(77MW)を超えないことが停止パターン(2)についての第2の運用条件となる。
そして、上記した第1及び第2の運用条件の双方を満たすことが、停止パターン(2)についての運用条件となる。
停止パターン(3):この停止パターンでは、第1変電所20の変圧器20Bと、第2変電所30の変圧器30Aを運転するが、第1発電所20の変圧器20Bに事故が発生すると、第2発電所30の変圧器30Aには、事故前の潮流に加えて、第1発電所20の潮流が乗る。第2発電所30の変圧器30Aの運用目標値は、変圧器容量30MW×力率0.95×電圧降下率0.98×過負荷率1.5=42MWと計算されるから、第1変電所20の負荷と第2変電所30の負荷の和がこの運用目標値(42MW)を超えないことが停止パターン(3)についての運用条件となる。
C.潮流計算
図5に示す負荷テーブルを参照して、期間毎の負荷情報を取得し、上記各停止パターン(1)〜(3)について、各送電線を通る有効電力と無効電力、及び、各変圧器の負荷を周知の潮流計算手法により期間毎に計算する。
D.損失計算
上記各停止パターン(1)〜(3)について、潮流計算で求めた各送電線の有効電力及び無効電力と、各送電線の抵抗値から送電線損失が計算され、また、各変圧器の負荷から、図3に示すような負荷−負荷損失特性を参照して、各変圧器の損失が求められる。そして、各停止パターン(1)〜(3)について系統全体の損失が計算される。
図6は、上記のように計算された各停止パターン(1)〜(3)について期間毎の損失を示す損失テーブルである。ただし、上記B.運用目標値の決定の処理において、各パターンの運用条件を満足できないと判定された場合は「実施不可」と示している。
E.運転パターン設定
図6に例示する損失テーブルから、期間毎に損失が最小となる停止パターンを決定する。なお、図6には、期間毎に最小の損失を丸で囲んで示している。こうして期間毎に決定した停止パターンから、図7に例示する運転パターンテーブルが生成される。
図8は、上記の運用方法の実施を支援するためのシステムの構成を示す。本システムは、コンピュータ100及びデータベース102を備えており、データベース102には、図3〜図5に示すようなテーブルが記憶されている。すなわち、データベース102が本発明における変圧器情報記憶部及び負荷情報記憶部に相当する。その他、データベース102には、図1に示すような電力供給系統の構成を表す情報や各送電線の抵抗値などの上記手順A〜Eの処理で必要な情報が記憶されている。なお、データベース102はコンピュータ10に内蔵されたハードディスク装置などの記憶装置上に設けられてもよいし、コンピュータ100とネットワーク経由で接続されたサーバー上に設けられてもよい。コンピュータ100は、データベース102に記録されたテーブルを参照して、図2に示す手順A〜Dの処理を実行し、その処理結果を、例えば図7に示すような運転パターンテーブルとしてディスプレイ装置100aに出力する。
以上説明したように、本実施形態によれば、各変圧器の損失を考慮して決定した変圧器の各停止パターンについて、供給信頼度が確保できるように変圧器の運用目標値を設定したうえで、その運用目標値を満足し、かつ、系統全体での損失が小さくなるような停止パターンを時期毎に選定する。したがって、本実施形態の運用方法によれば、電力の供給信頼度を確保しつつ、損失が小さく抑えられるように変圧器の減バンク運用を行うことができる。
本発明の一実施形態である変圧器の運用方法が適用される電力供給系統を示す系統図である。 本実施形態における処理手順を示すフローチャートである。 図3(a),(b)は、夫々、第1変電所及び第2変電所の各変圧器の負荷と損失との関係を示すグラフである。 各変圧器の容量、力率、電圧降下率タップ数等の変圧器情報を示す変圧器情報テーブルである。 時期毎の各変電所や連絡線等の負荷を示す負荷テーブルである。 各停止パターンについて期間毎に計算された損失を示す損失テーブルである。 図6の損失テーブルに基づいて生成される運転パターンテーブルである。 本実施形態の運用方法の実施を支援するためのシステムの構成を示す図である。
符号の説明
10 電力供給源
20 第1変電所
20A,20B 変圧器
30 第2変電所
30A,30B 変圧器
40 高圧側送電線
50A,50B 低圧側母線
100 コンピュータ
102 データベース

Claims (3)

  1. 互いに連系された複数の変電所を備える電力供給系統における変圧器の運用方法であって、
    前記連系された各変電所が有する各変圧器の損失量に基づいて、どの変圧器を停止するかを示す複数の停止パターンを決定する手順と、
    前記決定した停止パターンの夫々について、該当する変圧器を停止した場合に、運転する変圧器の負荷の運用目標値を設定する手順と、
    前記決定した停止パターンの夫々について、時期毎の各送電線の損失及び各変圧器の損失を決定し、それらを用いて系統全体の損失を時期毎に計算する手順と、
    前記設定した負荷の運用目標値と、前記計算した時期毎の系統全体の損失とに基づいて、時期毎に実施すべき前記停止パターンを決定する手順と、を備えることを特徴とする方法。
  2. 互いに連系された複数の変電所を備える電力供給系統における変圧器の運用を支援する方法であって、前記連系された各変電所が有する各変圧器の損失特性を含む変圧器情報が格納された変圧器情報記憶部と、前記各変電所の時期毎の負荷が格納された負荷情報記憶部とを参照可能なコンピュータが、
    前記変圧器情報記憶部に格納された各変圧器の損失特性を参照して、どの変圧器を停止するかを示す複数の停止パターンを決定する手順と、
    前記決定した停止パターンの夫々について、該当する変圧器を停止した場合に、運転する変圧器の負荷の運用目標値を設定する手順と、
    前記負荷情報記憶部を参照して前記各変電所の時期毎の負荷を取得し、前記決定した停止パターンの夫々について、前記取得した時期毎の負荷を用いて、各送電線及び各変圧器の損失を決定し、それらを用いて系統全体の損失を時期毎に計算する手順と、
    前記設定した負荷の運用目標値と、前記計算した時期毎の系統全体の損失とに基づいて、時期毎に実施すべき前記停止パターンを決定する手順と、を実行することを特徴とする方法。
  3. 互いに連系された複数の変電所を備える電力供給系統における変圧器の運用を支援するためのシステムであって、
    前記連系された各変電所が有する各変圧器の損失特性を含む変圧器情報が格納された変圧器情報記憶部と、
    前記各変電所の時期毎の負荷が格納された負荷情報記憶部と、
    前記変圧器情報記憶部に格納された各変圧器の損失特性を参照して、どの変圧器を停止するかを示す複数の停止パターンを決定する手段と、
    前記決定した停止パターンの夫々について、該当する変圧器を停止した場合に、運転する変圧器の負荷の運用目標値を設定する手段と、
    前記負荷情報記憶部を参照して前記各変電所の時期毎の負荷を取得し、前記決定した停止パターンの夫々について、前記取得した時期毎の負荷を用いて、各送電線及び各変圧器の損失を決定し、それらを用いて系統全体の損失を時期毎に計算する手順と、
    前記設定した負荷の運用目標値と、前記計算した時期毎の系統全体の損失とに基づいて、時期毎に実施すべき前記停止パターンを決定する手順と、を備えることを特徴とする変圧器運用支援システム。

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