しかし、特許文献1に開示の技術のように、目標重量に対する所定範囲を拡大すると、確かに計量装置の稼働率は向上するが、肝心の計量精度が低下してしまう。
また、特許文献2に開示の技術は、単に正味重量の異なる複数種類の商品を1台の秤で生産しようとするものに過ぎず、例えば、複数の目標重量のうちの所定の1の目標重量で組合せ計量中に最適組合せが成立しないときは、やはり不良品が排出され、稼働率の低下、物品の腐敗や品質低下等の不具合が免れない。
そこで、本発明は、計量装置の稼働率の低下も、計量精度の低下も共に回避することのできる組合せ計量装置の提供を課題とする。
前記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、複数の物品の重量を組み合わせて所定の目標重量に所定の範囲内で最も近くなる最適組合せを選択する組合せ計量装置であって、互いに値が異なる複数の目標重量を記録する目標重量記録手段と、前記記録手段で記録された1の目標重量で最適組合せが成立しないときは、他の目標重量で最適組合せが成立するか否かを判定する判定手段とが備えられていることを特徴とする。
次に、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記他の目標重量は、前記1の目標重量に物品の単重の平均値の倍数を加算した値又は前記1の目標重量から物品の単重の平均値の倍数を減算した値ではないことを特徴とする。
次に、請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は2に記載の発明において、前記1の目標重量の商品及び前記他の目標重量の商品の生産計画を記録する生産計画記録手段と、それらの生産実績を記録する生産実績記録手段と、前記1の目標重量の商品に対する前記他の目標重量の商品の生産比率の実績値が計画値よりも大きいときは、前記判定手段による判定を抑制する抑制手段とが備えられていることを特徴とする。
次に、請求項4に記載の発明は、前記請求項1又は2に記載の発明において、前記1の目標重量の商品及び前記他の目標重量の商品の生産計画を記録する生産計画記録手段と、それらの生産実績を記録する生産実績記録手段と、前記1の目標重量の商品に対する前記他の目標重量の商品の生産比率の実績値が計画値よりも小さいときは、前記1の目標重量と前記他の目標重量とを交換する交換手段とが備えられていることを特徴とする。
一方、請求項5に記載の発明は、前記請求項1又は2に記載の組合せ計量装置を複数備え、これらのうち、1の計量装置における前記1の目標重量は他の計量装置における前記他の目標重量とされ、1の計量装置における前記他の目標重量は他の計量装置における前記1の目標重量とされて、これらの複数の計量装置全体における前記1の目標重量の商品及び前記他の目標重量の商品の生産計画を記録する生産計画記録手段と、それらの生産実績を記録する生産実績記録手段と、前記1の目標重量の商品に対する前記他の目標重量の商品の生産比率の実績値が計画値よりも大きいときは、前記1の計量装置の前記判定手段による判定を抑制する抑制手段及び前記他の計量装置の前記1の目標重量と前記他の目標重量とを交換する交換手段の少なくともいずれかとが備えられていることを特徴とする組合せ計量システムに関する。
そして、請求項6に記載の発明は、前記請求項1又は2に記載の組合せ計量装置を複数備え、これらのうち、1の計量装置における前記1の目標重量は他の計量装置における前記他の目標重量とされ、1の計量装置における前記他の目標重量は他の計量装置における前記1の目標重量とされて、これらの複数の計量装置全体における前記1の目標重量の商品及び前記他の目標重量の商品の生産計画を記録する生産計画記録手段と、それらの生産実績を記録する生産実績記録手段と、前記1の目標重量の商品に対する前記他の目標重量の商品の生産比率の実績値が計画値よりも小さいときは、前記1の計量装置の前記1の目標重量と前記他の目標重量とを交換する交換手段及び前記他の計量装置の前記判定手段による判定を抑制する抑制手段の少なくともいずれかとが備えられていることを特徴とする組合せ計量システムに関する。
前記請求項1に係る組合せ計量装置によれば、目標重量を2つ以上持ち、1回の組合せ計量中に、所定の1の目標重量で最適組合せが不成立のときは、値が異なる他の目標重量で最適組合せが成立するか否かを判定するので、1回の組合せ計量の結果として、計量不良品の排出が減り、時間の無駄がなくなり、計量装置の稼働率向上が図られる。そして、先に最適組合せの有無を判定した1の目標重量も、後で最適組合せの有無を判定した他の目標重量も、いずれも目標重量であるから、計量精度が低下することもない。
ここで、他の目標重量は1つに限らず2つ以上でもよく、目標重量の数が多いとそれだけ最適組合せが成立する可能性が高くなり、不良品の排出が減り、稼働率がより一層向上する。
次に、請求項2に係る組合せ計量装置によれば、後で最適組合せの有無を判定する他の目標重量の値を、先に最適組合せの有無を判定する1の目標重量の値に、物品の単重の平均値の倍数を加算した値としたり、あるいは前記1の目標重量の値から、物品の単重の平均値の倍数を減算した値とすることを避けたので(前述の例のように、例えば単重の平均値が500gでバラツキが小さい場合に、1の目標重量が1200gや1300g等、500gの倍数から遠い値に設定されているようなときには、他の目標重量を700gや800g、又は1700gや1800gあるいは2200gや2300g等とすることを避けたので)、1の目標重量で最適組合せが不成立のときであっても、他の目標重量で最適組合せが成立する可能性が高くなり、判定手段が有効に機能して、稼働率の向上が確実に担保される。
ところで、先に1の目標重量で最適組合せの有無を判定し、それが無い場合は、他の目標重量で最適組合せの有無を判定するようにしていても、常に、1の目標重量の商品が優先して多く生産され、他の目標重量の商品が後回しになって少なく生産されるとは限らず、単重の平均値と各目標重量の設定とによっては、逆に、1の目標重量の商品が少なく生産され、他の目標重量の商品が多く生産される場合もあり得る。したがって、1の目標重量の商品と他の目標重量の商品とに生産計画を設定したときは、その生産計画に生産実績を合わせることが困難になる。
そこで、請求項3に記載の発明によれば、1の目標重量の商品に対する他の目標重量の商品の生産比率の実績値が計画値よりも大きいとき、つまり1の目標重量の商品の生産が計画より少なく、他の目標重量の商品の生産が計画より多いときは、判定手段の動作を抑制することにより、他の目標重量の商品の生産を抑制するから、これにより、容易に1の目標重量の商品と他の目標重量の商品とを計画通りに生産することが可能となる。
一方、請求項4に記載の発明によれば、逆に、1の目標重量の商品に対する他の目標重量の商品の生産比率の実績値が計画値よりも小さいとき、つまり1の目標重量の商品の生産が計画より多く、他の目標重量の商品の生産が計画より少ないときは、1の目標重量と他の目標重量とを取り替えることにより、他の目標重量の商品の生産を積極的に増やし、これによっても、容易に1の目標重量の商品と他の目標重量の商品とを計画通りに生産することが可能となる。
しかもこの場合、生産実績を生産計画に合わせるために商品の生産をわざわざ抑制することがないから、組合せ計量装置の処理能力を無駄に低下させることがない。
次に、請求項5に記載の発明によれば、前記のような構成の組合せ計量装置を複数備え、これらのうち、1の計量装置における1の目標重量は他の計量装置における他の目標重量であり、1の計量装置における他の目標重量は他の計量装置における1の目標重量である組合せ計量システムにおいて、当該計量システム全体で、1の目標重量の商品に対する他の目標重量の商品の生産比率の実績値が計画値よりも大きいとき、つまり1の目標重量の商品の生産が計画より少なく、他の目標重量の商品の生産が計画より多いときは、1の計量装置において、前記請求項3に記載の発明と同様、判定手段の動作を抑制することにより、他の目標重量の商品の生産を抑制するか、あるいは、他の計量装置において、前記請求項4に記載の発明と同様、1の目標重量と他の目標重量とを取り替えることにより、1の目標重量の商品の生産を積極的に増やすかして、これにより、容易に1の目標重量の商品と他の目標重量の商品とを計画通りに生産することが可能となる。
そして、請求項6に記載の発明によれば、逆に、当該計量システム全体で、1の目標重量の商品に対する他の目標重量の商品の生産比率の実績値が計画値よりも小さいとき、つまり1の目標重量の商品の生産が計画より多く、他の目標重量の商品の生産が計画より少ないときは、1の計量装置において、前記請求項4に記載の発明と同様、1の目標重量と他の目標重量とを取り替えることにより、他の目標重量の商品の生産を積極的に増やすか、あるいは、他の計量装置において、前記請求項3に記載の発明と同様、判定手段の動作を抑制することにより、1の目標重量の商品の生産を抑制するかして、これによっても、容易に1の目標重量の商品と他の目標重量の商品とを計画通りに生産することが可能となる。
しかもこのように複数の計量装置を備えたシステムの場合、計量装置同士で互いの計量動作・計量結果を補完し合うから、商品の生産計画の達成がより一層精度よくかつ短時間で完了する。
図1に示すように、本実施の形態に係る組合せ計量装置1は、頂上部に設けられた分散テーブル11に供給された物品(図示しないが、例えばブロイラーのむね肉やもも肉等)が、矢印で示したような流れに沿って、まず、複数のフィーダ12…12からプールホッパ13…13に1つづつ投入され、ここで一時貯留された後、次に、計量ホッパ14…14に移され、ここでロードセル等の荷重検出器21…21によりその重量(物品1つの重量、すなわち単重)が計量され、次に、所定の目標重量に所定の範囲内で最も近くなる最適組合せの物品のみが計量ホッパ14…14から個別シュート15…15に排出され、次に、単一の集合シュート16によりタイミングホッパ17に集められ、次に、タイミングホッパ17の2つのゲート17a,17bのいずれかが開いて、振分シュート18により主目標重量商品又は副目標重量商品に振り分けられて、下流に備えられた図外の包装装置や味付装置等に供給されるようになっている。
図2に示すように、この組合せ計量装置1は、例えばワンチップマイコンで構成されたコントロールユニット30を備え、該コントロールユニット30には、基本処理部(CPU)と記録部(メモリ)とが搭載されている。基本処理部は、記録部に記録された組合せ計算プログラムを実行して組合せ計算部として機能したり、最適組合せ選択プログラムを実行して最適組合せ選択部として機能したり、生産比率比較プログラムを実行して生産比率比較部として機能したり、あるいは運転モード切換プログラムを実行して運転モード切換部として機能する。一方、記録部は、前記プログラムの実行に必要なデータの読み書きに使用される計量データテーブル、組合せ重量テーブル、目標重量テーブル、組合せ結果テーブル、生産実績テーブル、及び生産計画テーブルを格納している。
図3に例示するように、計量データテーブルには、組合せ回数毎に、全ての計量ホッパ14…14(図例ではホッパの数は6つ)に供給された各物品の単重が記録されていく。なお、図例のように、本実施形態では、物品の単重は、およそ102g〜104gを平均値として、バラツキの小さいものとなっている。
次に、図4に例示するように、組合せ重量テーブルには、組合せ回数毎に、全ての可能性のある組合せの合計重量が記録されていく。ここで、組合せのパターン数は、ホッパ14…14の数(つまり計量データの数)をnとすると、(2n−1)で表され、図例のように、nが6の場合は、組合せ個数が1及び5のときに6通り、2及び4のときに15通り、3のときに20通り、6のときに1通りの計63通りとなる。なお、本実施形態では、物品の単重の平均値が102g〜104gであってバラツキが小さいことから、算出される組合せ重量は、いずれも102g〜104gの倍数にほぼ近い値に集中している。
次に、図5に例示するように、目標重量テーブルには、互いに値が異なる主目標重量(1の目標重量)及び副目標重量(他の目標重量)と、各目標重量に対する許容範囲、すなわち下限値及び上限値とが記録されている。図例では、主目標重量が200g、その下限値が200g及び上限値が205gとされ、一方、副目標重量が210g、その下限値が210g及び上限値が215gとされて、両目標重量とも、物品の単重の平均値の2倍に近いがやや外れた値に設定されている。
次に、図6に例示するように、組合せ結果テーブルには、組合せ回数毎に、成立した最適組合せと、そのときの組合せ重量、及び得られた商品の種類が記録されていく。図例では、第1回目の組合せ計量では、第3ホッパと第4ホッパとを組み合わせて主目標重量に一致する200gの組合せ重量が得られ、第2回目の組合せ計量では、第1ホッパと第5ホッパとを組み合わせて主目標重量に一致しないが最も近い202gの組合せ重量が得られ、第3回目の組合せ計量では、第3ホッパと第5ホッパとを組み合わせて副目標重量に一致する210gの組合せ重量が得られたことが示されている。
次に、図7に例示するように、生産実績テーブルには、年月日毎に、前記主目標重量の商品及び副目標重量の商品の生産実績が記録されていく。より詳しくは、一定期間毎(図例では1時間毎)に、生産個数のスプリット値と累積値とが書き込まれていく。併せて、主目標重量商品と副目標重量商品との生産比率のスプリット値及び累積値も記録されていく。加えて、前記生産比率の累積値に基いて判定されたこの組合せ計量装置1の運転モードが記録されていく(図例では、9時以降、抑制モードに切り換えられている)。
そして、図8に例示するように、生産計画テーブルには、前記生産実績テーブルに対応して、年月日毎に、主目標重量商品及び副目標重量商品の生産計画が記録されている。併せて、主目標重量商品と副目標重量商品との生産比率の計画値も記録されている。ただし、この計画テーブルには、前記生産実績テーブルのように一定期間毎のスプリット値や累積値は記録されず、その日1日の生産総数及びトータルの生産比率のみが記録されている。
なお、以上のテーブルのうち、図5の目標重量テーブルの内容及び図8の生産計画テーブルの内容は、図2に示す操作パネル22を用いて、作業者により予め入力される。一方、その他のテーブルの内容は、荷重検出器21…21から送出される計量データから派生して、コントロールユニット30により自動的に書き込まれていく。
そして、コントロールユニット30は、1回の組合せ計量毎に、その計量結果に応じて、計量ホッパ14…14の開閉用モータ24…24に物品の排出指令を出力したり、その結果空になった計量ホッパ14…14に次の物品を補充するべくプールホッパ13…13の開閉用モータ23…23に物品の排出指令を出力したり、あるいは排出した商品が主目標重量商品であるか副目標重量商品であるかに応じてタイミングホッパ17の駆動用モータ25に振分指令を出力したり、下流側装置2に排出した商品が主目標重量商品であるか副目標重量商品であるかの識別信号を出力する。
図9は、この組合せ計量装置1が行う組合せ計量の具体的動作の1例を表すフローチャートである。まず、前回の組合せ計量で物品を排出して空になった計量ホッパ14…14にプールホッパ13…13から物品を供給する(ステップS1)。次に、供給した物品を計量し(ステップS2)、その新たに得られた計量データを前記図3の計量データテーブルに記録する(ステップS3)。次に、前記計量データテーブルに記録されている各計量ホッパ14…14の計量データを用いて組合せ計算を実行する(ステップS4)。この組合せ計算の実行は図2に示した組合せ計算部により行われる。そして、得られた組合せ重量は前記図4の組合せ重量テーブルに書き込まれる。
次に、前記組合せ重量テーブルに記録されている組合せ重量のうち、前記図5の目標重量テーブルに登録されている主目標重量の許容範囲内(200g〜205g)に入る組合せ重量が有るか無いかを判定する(ステップS5)。その結果、YES(有り)のときは、それらのうち主目標重量(200g)に最も近い最適組合せを構成する物品のみを計量ホッパ14…14から排出する(ステップS6)。このとき、最適組合せが複数成立したときは、ホッパ14…14内の滞留時間のより長い物品(より古い物品)を優先して排出する。
これに対し、ステップS5でNO(無し)のとき、つまり前記主目標重量(200g)で最適組合せが成立しないときは、前記組合せ重量テーブルに記録されている組合せ重量のうち、前記目標重量テーブルに登録されている副目標重量の許容範囲内(210g〜215g)に入る組合せ重量が有るか無いかを判定する(ステップS7)。その結果、YES(有り)のときは、それらのうち副目標重量(210g)に最も近い最適組合せを構成する物品のみを計量ホッパ14…14から排出する(ステップS8)。このときも、最適組合せが複数成立したときは、ホッパ14…14内の滞留時間のより長い物品(より古い物品)を優先して排出する。
一方、ステップS7でNO(無し)のとき、つまり前記副目標重量(210g)でも最適組合せが成立しないときは、最も古い物品、つまりホッパ14…14内の滞留時間の最も長い物品のみ又は全物品(オールリセット)を計量ホッパ14…14から排出する(ステップS9)。以上の最適組合せの選択は図2に示した最適組合せ選択部により行われる。これで、1回の組合せ計量が終了し、再びステップS1に戻って次の組合せ計量が開始する。
1回の組合せ計量が終了する毎に、その結果が前記図6の組合せ結果テーブルに書き込まれる。併せて、得られた商品が種類毎にカウントされ、かつ主・副の商品の生産比率が算出されて、前記図7の生産実績テーブルに記録される。
次に、図10は、この組合せ計量装置1が行う運転モード判定の具体的動作の1例を表すフローチャートである。まず、現時刻が判定時期か否かを判定する(ステップS11)。この判定時期は、例えば1日の生産時間のうちの所定時刻(午前10時とか、生産開始後1時間後とか)や、一定期間毎(例えば生産開始後30分毎とか)に設定されている。そして、判定時期であれば、前記図7の生産実績テーブルから最新の主・副の商品の生産比率の累積値を読み込み(ステップS12)、また前記図8の生産計画テーブルから主・副の商品の生産比率の計画値を読み込む(ステップS13)。
次に、前記生産比率の累積値、つまり現時刻までの主・副商品の生産比率の実績値と、その計画値とを比較することにより、副目標重量商品について、実績値が計画値より大きいか否かを判定する(ステップS14)。その結果、YESのとき、つまり主目標重量商品の生産実績が計画より少なく、副目標重量商品の生産実績が計画より多いときは、現在交換モードではないことを確認した上で(ステップS15)、抑制モードを選択する(ステップS16)。
ここで、抑制モードとは、副目標重量商品の生産を抑制するモードであり、より具体的には、前記図9の組合せ計量プログラムにおけるステップS7の判定動作を抑制するモードである。すなわち、通常モードでは、ステップS5でNOのときは必ずステップS7が実行されるから、ステップS8での副目標重量商品の生産が阻害されないが、抑制モードでは、ステップS5でNOのときであっても必ずしもステップS7が実行されるとは限らず、ステップS7及びS8がスキップされて直ちにステップS9が実行されることがあるから、その結果、副目標重量商品の生産の機会が削減されることになる。
また、交換モードとは、副目標重量商品の生産を積極的に促進するモードであり、より具体的には、前記図9の組合せ計量プログラムにおいて前記目標重量テーブルに登録されている主目標重量と副目標重量とを取り替えて処理するモードである。すなわち、通常モードでは、先にステップS5で主目標重量についての最適組合せ成立の有無が判定され、それが無い場合に限って後でステップS7で副目標重量についての最適組合せ成立の有無が判定されるから、どうしても主目標重量商品の生産が優先され、副目標重量商品の生産が後回しにされる(副目標重量について最適組合せが成立していても不採用になる)のであるが、交換モードでは、先にステップS5で副目標重量についての最適組合せ成立の有無が判定されるから、その結果、副目標重量商品の生産の機会が増進されることになる。
そして、前記ステップS15で現在交換モードでないことを確認するのは、交換モードは、前述したように、通常モードでの副目標重量商品の生産不足を補おうとするものであるから、そのような場合に副目標重量商品の生産が回復したからといって、さらに副目標重量商品の生産を抑制する抑制モードにする必要は無いからである。したがって、図10に示したように、ステップS15でYESの場合、つまり交換モード中に副目標重量商品の生産が回復したときは、抑制モードを選択せずにステップS19に進んで通常モードを選択する。
図10のフローチャートに戻り、前記ステップS14でNOのときは、ステップS17に進んで、前記ステップS14とは逆に、前記生産比率の累積値、つまり現時刻までの主・副商品の生産比率の実績値と、その計画値とを比較することにより、副目標重量商品について、実績値が計画値より小さいか否かを判定する。その結果、YESのとき、つまり主目標重量商品の生産実績が計画より多く、副目標重量商品の生産実績が計画より少ないときは、交換モードを選択する(ステップS18)。
一方、ステップS17でNOのとき、つまり主目標重量商品の生産実績も副目標重量商品の生産実績も共に計画通りであるときは、通常モードを選択する(ステップS19)。以上の生産比率の比較は図2に示した生産比率比較部により行われる。また、以上の運転モードの切換えは図2に示した運転モード切換部により行われる。そして、前記運転モード切換部で切り換えられた運転モードに従って前記最適組合せ選択部が図9のステップS5〜S9を実行する。
図11は、本実施形態において2004年2月23日の生産管理チャートである。前記図8の生産計画テーブルを参照すると、この日は、正味重量が200g〜205gの範囲内にある主目標重量商品を10,000個、正味重量が210g〜215gの範囲内にある副目標重量商品を2,000個生産することが計画されており、主・副の生産比率は5:1である。そして、図11を参照すると、当日の午前8時から生産を開始し、1時間当たり主・副合わせて2,400個の能力で、午後1時までの5時間稼動することが計画されている。
ところが、当初、標準モードとして通常モードでこの組合せ計量装置1を運転したところ、実際には主目標重量商品が計画より少なく生産され、副目標重量商品が計画より多く生産された。より詳しくは、前記図7の生産実績テーブルを参照すると、最初の1時間で、主目標重量商品が1,600個、副目標重量商品が800個生産され、主・副の生産比率は2:1となっていた。そこで、午前9時の運転モード判定時期において、図10のステップS14,S15,S16が実行され、運転モードが副目標重量商品の生産を抑制する抑制モードに切り換えられて、その結果、午前9時以降は、1時間当たり主目標重量商品が1,600個、副目標重量商品が228個のペースで生産されていって(スプリット比率は7:1)、最終的に、その日の午後2時過ぎに、計画通り、10,000個の主目標重量商品と、2,000個の副目標重量商品とが、ほぼ同時に生産完了した。
ここで、図11中の破線Aは、午前9時以降も通常モードが続行された場合の副目標重量商品の生産のペースを表したものである。なお、午前9時以降も通常モードが続行された場合の主目標重量商品の生産ペースは、その生産実績と一致している。なぜならば、主目標重量商品の生産ペースは抑制モードによっては影響されず、通常モードと抑制モードとにおいて主目標重量商品の生産ペースは変わらないからである。このように、生産計画個数が多く、したがって優先して生産しようとする主目標重量商品の生産実績が生産計画ほどに上がらないときは、生産計画個数が少なく、したがって補助的に生産しようとする副目標重量商品の生産実績を、前記主目標重量商品の低い生産ペースに合わすしかなく、そのために、副目標重量商品の生産をわざわざ抑制する結果、この組合せ計量装置1の処理能力が低下してしまい、前述したように生産完了時刻が遅くなる(午後1時の計画が午後2時過ぎの実績になる)。
なお、抑制モードにおいて、副目標重量商品の生産をどの程度抑制するかは、例えば次のようにして算定することができる。すなわち、前述したように、主目標重量商品の生産ペースが決まっているから、全体の生産完了時刻が決まる。したがって、その時刻までに副目標重量商品を生産完了すればよいから、副目標重量商品の残りの生産個数を残りの時間で割り算した値が抑制モードにおける単位時間当たりの副目標重量商品の生産ペースである。これを通常モードでの単位時間当たりの副目標重量商品の生産ペースと比較することにより、副目標重量商品の生産の抑制の程度を算定することができる。本実施形態では、図7に示したように、通常モードでの副目標重量商品の生産ペースが800個/時間、抑制モードでのそれが228個/時間であるので、図9のステップS5でNOの場合は、およそ3.5回に1回だけステップS7の判定を実行する。
なお、副目標重量商品を主目標重量商品より前に生産完了して構わないことはいうまでもない。
次に、図12は、本実施形態において2004年2月24日の生産管理チャートである。前記図8の生産計画テーブルを参照すると、この日は、主目標重量商品を12,000個、副目標重量商品を4,000個生産することが計画されており、主・副の生産比率は3:1である。そして、図12を参照すると、当日の午前8時から生産を開始し、1時間当たり主・副合わせて3,200個の能力で、午後1時までの5時間稼動することが計画されている。
ところが、当初、標準モードとして通常モードでこの組合せ計量装置1を運転したところ、実際には主目標重量商品が計画より多く生産され、副目標重量商品が計画より少なく生産された。より詳しくは、図13の生産実績テーブルを参照すると、最初の1時間で、主目標重量商品が2,800個、副目標重量商品が400個生産され、主・副の生産比率は7:1となっていた。そこで、午前9時の運転モード判定時期において、図10のステップS14,S17,S18が実行され、運転モードが副目標重量商品の生産を促進する交換モードに切り換えられて、その結果、午前9時〜10時には、1時間当たり主目標重量商品が800個、副目標重量商品が2,400個のペースで生産された(スプリット比率は1:3)。
すると、午前10時には、かえって主目標重量商品が計画より少なく生産され、副目標重量商品が計画より多く生産された。より詳しくは、図13の生産実績テーブルを参照すると、最初の2時間(午前8時〜10時の累積)で、主目標重量商品が3,600個、副目標重量商品が2,800個生産され、主・副の生産比率は1.29:1となっていた。そこで、次の午前10時の運転モード判定時期において、図10のステップS14,S15,S19が実行され、運転モードが再び通常モードに戻されて、その結果、午前10時以降は、再び1時間当たり主目標重量商品が2,800個、副目標重量商品が400個のペースで生産されていって(スプリット比率は7:1)、最終的に、計画通り、その日の午後1時に、計画通り、12,000個の主目標重量商品と、4,000個の副目標重量商品とが、ほぼ同時に生産完了した。
ここで、図12中の破線B,Cは、午前9時以降継続して通常モードが行われた場合の主目標重量商品の生産ペース及び副目標重量商品の生産ペースを表したものである。破線Cから明らかなように、通常モードのみでこの組合せ計量装置1を運転していたら、副目標重量商品4,000個の生産完了時刻が大幅に遅れていたものが、途中で交換モードを実行することにより、それが早まった(計画通り午後1時になった)ことがわかる。
なお、交換モードでの副目標重量商品の生産促進の程度によっては、態様が様々に変化する。例えば副目標重量商品の生産がそれほど促進されなかったような場合は、交換モードをより長時間続行したり、あるいは複数回繰り返すことになる。
以上、具体例を挙げて詳しく説明したように、この組合せ計量装置1においては、主・副2つの目標重量を持ち、1回の組合せ計量中に、主目標重量で最適組合せが不成立のときは、値が異なる副目標重量で最適組合せが成立するか否かを判定するので(図9のステップS5からS7の実行)、1回の組合せ計量の結果として、計量不良品の排出(図9のステップS9の実行)が減り、時間の無駄がなくなり、計量装置1の稼働率が向上する。そして、先に最適組合せの有無を判定する主目標重量も、後で最適組合せの有無を判定する副目標重量も、いずれも目標重量であるから、この組合せ計量装置1の計量精度が低下することも回避できる。
その場合に、副目標重量の値が、主目標重量の値に物品の単重の平均値の倍数を加算した値ではないから、また、副目標重量の値が、主目標重量の値から物品の単重の平均値の倍数を減算した値ではないから、主目標重量で最適組合せが不成立のときに副目標重量で最適組合せが成立する可能性が高くなり、組合せ計量装置1の稼働率の向上が確実に担保される。
例えば、本実施形態では、主目標重量が200g、物品の単重の平均値が102g〜104gであるから、もし、副目標重量が302g〜304gや404g〜408g等であると、図9のステップS5でYESのときはステップS7でもYESとなる可能性が高くなり、また、図9のステップS5でNOのときはステップS7でもNOとなる可能性が高くなって、目標重量を複数持つ効果が減じられてしまう。そこで、本実施形態では、前述したように、副目標重量を例えば210g等として、図9のステップS5でYESのときはステップS7でNOとなり、また、図9のステップS5でNOのときはステップS7でYESとなるようにして、目標重量を複数持つ効果を最大限発揮させるようにしたのである。
そして、主目標重量商品に対する副目標重量商品の生産比率の実績値が計画値よりも大きいとき、つまり図11の例示のように、主目標重量商品の生産が計画より少なく、副目標重量商品の生産が計画より多いときは、抑制モードを実施して、図9のステップS7の判定動作を抑制することにより、副目標重量商品の生産を抑制するから、主目標重量商品と副目標重量商品とを計画通りの生産比率に容易に合致させて生産することが可能となる。
逆に、主目標重量商品に対する副目標重量商品の生産比率の実績値が計画値よりも小さいとき、つまり図12の例示のように、主目標重量商品の生産が計画より多く、副目標重量商品の生産が計画より少ないときは、交換モードを実施して、図9のプログラムにおいて主目標重量と副目標重量とを取り替えて処理することにより、副目標重量商品の生産を積極的に増やすから、この場合も、主目標重量商品と副目標重量商品とを計画通りの生産比率に容易に合致させて生産することが可能となる。
しかも交換モードでは、例えば抑制モードのように、生産実績を生産計画に合致させるために副目標重量商品の生産をわざわざ抑制することがないから、この組合せ計量装置1の処理能力を無駄に低下させることがない。
なお、副目標重量は1つに限らず2つ以上設定してよいことはいうまでもない。目標重量の数が多いとそれだけ最適組合せが成立する可能性が高くなり、不良品の排出が減り、稼働率がより一層向上することになる。
特に、本実施形態では、主・副の両目標重量とも、物品の単重の平均値の倍数(2倍)に近い値が設定されていたので、主目標重量商品も副目標重量商品も平均してよく生産される確立が高いが、物品の単重の平均値が分からずにたまたま主目標重量が物品の単重の平均値の倍数から遠い値に設定されているようなときは、副目標重量を1つ又は2つ以上設定しておくことの効果は多大である。
次に、本発明に係る組合せ計量システムとして、前記のような構成の組合せ計量装置1を複数備えたものがある。その場合、所定の1の計量装置(第1装置)における主目標重量は所定の他の計量装置(第2装置)における副目標重量とし、第1装置における副目標重量は第2計量装置における主目標重量とする。そして、当該計量システム全体で、主目標重量商品に対する副目標重量商品の生産比率の実績値が計画値よりも大きいとき、つまり主目標重量商品の生産が計画より少なく、副目標重量商品の生産が計画より多いときは、例えば、第1装置で抑制モードを実施して副目標重量商品の生産を抑制する。あるいは、第2装置で交換モードを実施して主目標重量商品の生産を積極的に増進する。これによっても、主目標重量商品と副目標重量商品とを計画通りの生産比率に容易に合致させて生産することが可能となる。
また、逆に、当該計量システム全体で、主目標重量商品に対する副目標重量商品の生産比率の実績値が計画値よりも小さいとき、つまり主目標重量商品の生産が計画より多く、副目標重量商品の生産が計画より少ないときは、例えば、第1装置で交換モードを実施して副目標重量商品の生産を積極的に増進する。あるいは、第2装置で抑制モードを実施して主目標重量商品の生産を抑制する。これによっても、主目標重量商品と副目標重量商品とを計画通りの生産比率に容易に合致させて生産することが可能となる。
しかもこのように複数の組合せ計量装置1…1を備えた組合せ計量システムの場合、異なる計量装置1…1間で互いの計量動作・計量結果を補完し合うから、商品の生産計画の達成がより一層精度よくかつ短時間で完了する。