JP2005248072A - 親油性キレート剤およびその製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、極性が比較的弱い溶媒にも溶解する親油性のキレート剤を提供することにある。また、本発明の他の目的は、前記親油性キレート剤を簡便に製造する方法を提供することにある。
【解決手段】 本発明に係る親油性キレート剤とは、アミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基の一部または全部が、炭素数の合計が8以上であるアルキルアミンとの塩を形成しているものである。本発明に係る親油性キレート剤は、アミノカルボン酸と、炭素数の合計が8以上であるアルキルアミンとを、グリコール系有機溶媒中で加熱反応させることによって製造できる。

Description

本発明は、親油性のキレート剤およびその製法に関し、より詳細には、金属イオン等を捕捉できるキレート剤であって、極性が比較的弱い溶媒にも親和性を示すキレート剤と、その製造技術に関するものである。
産業排水には様々な有害金属イオンが含まれていることがあり、環境汚染防止の観点からそれら金属イオンは排水処理によって充分に除去することが必要となる。また、食用油や食品加工油などを製造する際に、水素化触媒等として混入してくる可能性のある金属イオンについても、保存安定性や人体に悪影響を及ぼすため可及的に除去する必要がある。こうした金属イオンを除去するために、従来から種々のキレート剤が開発されている。しかし従来のキレート剤は、その多くが親水性のものであり、親油性を示すキレート剤は少なかった。
親油性を示すキレート剤としては、例えば特許文献1に、エチレンジアミン四酢酸−N,N’−ジ(2−エチルヘキシル)エステルが提案されている。このエチレンジアミン四酢酸−N,N’−ジ(2−エチルヘキシル)エステルは、エチレンジアミン四酢酸をピリジン中に懸濁し、攪拌下に無水酢酸を滴下して脱水、環化した後、2−エチルヘキシルアルコールで開環、エステル化する方法で製造でき、n−ヘキサン等の溶媒を用いて後処理することで単離できる。しかしこうした製法では操作が煩雑であるためコスト高となる。
特公平1-16823号公報([特許請求の範囲],第5欄参照)
本発明は、この様な状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、極性が比較的弱い溶媒にも溶解する親油性のキレート剤を提供することにある。また、本発明の他の目的は、前記親油性キレート剤を簡便に製造する方法を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る親油性キレート剤とは、アミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基の一部または全部が、炭素数の合計が8以上であるアルキルアミンとの塩を形成している点に要旨を有する。本発明の親油性キレート剤においては、前記カルボキシル基のうち、前記アルキルアミンとの塩を形成しているカルボキシル基の割合が、全カルボキシル基に対して10〜100mol%であるものが好ましい。
上記課題は、アミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基の一部が、炭素数の合計が8以上であるアルキルアミンとのアミドを形成し、残りのカルボキシル基が前記アルキルアミンとの塩を形成しているか、若しくは遊離カルボキシル基として存在する親油性キレート剤であっても解決できる。この親油性キレート剤においては、前記カルボキシル基のうち、前記アルキルアミンとのアミドを形成しているカルボキシル基の割合が、全カルボキシル基に対して50mol%以下(0mol%を含まない)であるものが好ましい。また、前記カルボキシル基のうち、前記アルキルアミンとの塩を形成しているカルボキシル基の割合と、前記アルキルアミンとのアミドを形成しているカルボキシル基の割合との合計は、全カルボキシル基に対して50〜100mol%であるものが好ましい。
本発明に係る親油性キレート剤は、アミノカルボン酸と、炭素数の合計が8以上であるアルキルアミンとを、グリコール系有機溶媒中で加熱反応させることにより簡便に製造できる。
本発明によれば、極性が相対的に強い溶媒(例えば、アルコールやグリコール等)のみならず、極性が相対的に弱い溶媒(例えば、トルエン等)にも溶解する親油性のキレート剤を提供することができる。また、本発明によれば、こうした親油性のキレート剤を簡便に製造する方法を提供できる。
アルコールやグリコール等の極性が相対的に強い溶媒のみならず、トルエンや灯油等の極性が相対的に弱い溶媒にも溶解する親油性のキレート剤を提供すべく本発明者らは種々検討を重ねた。その過程で、本発明者らも上記特許文献1に開示されている様なアミノカルボン酸に注目した。アミノカルボン酸は、強力なキレート剤として作用することが知られているからである。ところがアミノカルボン酸は、アルカリ金属塩を形成することにより水に対して優れた溶解性を示すが、アルコールやグリコール等の極性が相対的に強い溶媒に対する溶解性は低く、さらにはトルエンや灯油等の極性が相対的に弱い溶媒に対しては殆ど溶解しない。そのため極性が相対的に弱い溶媒中に含まれる金属のキレート捕捉等には活用できない。そこで、アミノカルボン酸の極性が相対的に弱い溶媒に対する溶解性を高めることによって利用分野を拡大すべく、更に検討を重ねた。その結果、(a)アミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基の一部または全部が、炭素数の合計が8以上であるアルキルアミンとの塩を形成しているか、(b)アミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基の一部が、炭素数の合計が8以上であるアルキルアミンとのアミドを形成し、残りのカルボキシル基が前記アルキルアミンとの塩を形成しているか、若しくは遊離カルボキシル基として存在するキレート剤は、極性が相対的に強い溶媒および極性が相対的に弱い溶媒の双方に優れた溶解性を有しており、種々の極性を示す広範囲の溶媒に対して利用可能になることを見出し、本発明を完成した。以下、本発明の作用効果について詳細に説明する。
本発明に係る親油性キレート剤は、アミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基の一部または全部が、炭素数の合計が8以上であるアルキルアミンとの塩を形成しているものである。アミノカルボン酸自体は極性が相対的に弱い溶媒に不溶であるが、前記カルボキシル基の一部または全部が、前記アルキルアミンとの塩を形成することで、前記極性が相対的に弱い溶媒との親和性が高くなる。
本発明で用いることのできるアミノカルボン酸としては、キレート作用を奏するために分子中に2以上のカルボキシル基を含むものであれば特に限定されないが、このカルボキシル基の数は2〜6であることが好ましい。
分子中に2つのカルボキシル基を含むアミノカルボン酸としては、例えば、エチレンジアミン二(o−ヒドキシフェニル)酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、エチレンジアミン二酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン二プロピオン酸など;分子中に3つのカルボキシル基を含むアミノカルボン酸としては、例えば、ニトリロ三酢酸(NTA)やヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ニトリロ三プロピオン酸、メチルグリシン二酢酸など;分子中に4つのカルボキシル基を含むアミノカルボン酸としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)や1,3−プロパンジアミン四酢酸(1,3PDTA)、1,2−プロパンジアミン四酢酸(1,2PDTA)、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸(1,3PDTA−OH)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、トランス1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、ヘキサメチレンジアミン四酢酸、ジカルボキシメチルグルタミン酸(CMGA)、ジカルボキシメチルアスパラギン酸(CMAA)、S,S−エチレンジアミン二琥珀酸(S,S−EDDS)など;分子中に5つのカルボキシル基を含むアミノカルボン酸としては、例えば、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)など;分子中に6つのカルボキシル基を含むアミノカルボン酸としては、例えば、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)など;が挙げられる。
これらのアミノカルボン酸は、単独で、あるいは任意に選ばれる2種以上を混合して用いることができる。
本発明で用いることのできるアルキルアミンは、アルキル基を有し、且つ、アルキルアミン全体の炭素数の合計が8以上のものである。アルキルアミンの炭素数の合計が8未満ではキレート剤が親油性とならず、所望の効果が得られないため、炭素数の合計は8以上とする。好ましくは10以上である。しかし炭素数の合計が40を超えるアルキルアミンは殆ど市販されておらず入手困難であり、しかもコスト高となるため炭素数の合計は40以下とすることが好ましい。より好ましくは36以下である。
なお、上記アルキルアミンに含まれるアルキル基の炭素数は4以上であることが好ましい。
上記アルキルアミンとしては、炭素数の合計が8以上のものであれば特に限定されず、1級〜3級アルキルアミンや、分子内に1級アルキルアミンと2級アルキルアミンの両方を有するジアミンの何れも用いることができる。
1級アルキルアミンとしては、例えば、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ココナットアミン(混合アミン)、ソヤアミン(混合アミン)、牛脂アミン(混合アミン)、硬化牛脂アミン(混合アミン)等を使用できる。
1級混合アルキルアミンとしては、例えば、花王株式会社製の「ファーミン86T(商品名)」、ライオン株式会社製の「アーミン16D(商品名)」などが入手可能である。
2級アルキルアミンとしては、例えば、ジブチルアミン、ジオクチルアミン、ジデシルアミン、ジラウリルアミン、ジミリスチルアミン、ジパルミチルアミン、ジステアリルアミン、ジオレイルアミン、ジココナットアミン(混合アミン)、ジソヤアミン(混合アミン)、ジ牛脂アミン(混合アミン)、ジ硬化牛脂アミン(混合アミン)等を使用できる。
2級混合アミンとしては、例えば、ライオン株式会社製の「アーミン2C(商品名)」、花王株式会社製の「ファーミンD86(商品名)」などが入手可能である。
3級アルキルアミンとしては、例えば、ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルオレイルアミン、ジメチルココナットアミン(混合アミン)、ジメチルソヤアミン(混合アミン)ジメチル牛脂アミン(混合アミン)、ジメチル硬化牛脂アミン(混合アミン)等を使用できる。
3級混合アミンとしては、例えば、花王株式会社製の「ファーミンDM20(商品名)」、ライオン株式会社製の「アーミンDMSD(商品名)」などが入手可能である。
ジアミンとしては、分子内に1級アミンと2級アミンを有するものであれば特に限定されないが、例えば、オクチルプロピレンジアミン、デシルプロピレンジアミン、ラウリルプロピレンジアミン、ミリスチルプロピレンジアミン、パルミチルプロピレンジアミン、ステアリルプロピレンジアミン、オレイルプロピレンジアミン、ココナットプロピレンジアミン(混合アミン)、ソヤプロピレンジアミン(混合アミン)、牛脂プロピレンジアミン(混合アミン)、硬化牛脂プロピレンジアミン(混合アミン)等を使用できる。
混合ジアミンとしては、例えば、ライオン株式会社製の「デュオミンCD(商品名)」、日本油脂株式会社製の「ニッサンアミンDT(商品名)」などが入手可能である。
これらのアルキルアミンは、単独で、あるいは任意に選択される2種以上を混合して用いることができる。
なお、上記アルキルアミンの他に、ベンジルアミンやジベンジルアミン等の芳香族アミンや、アルキルイミダゾール、アルキルイミダゾリンなども使用できるが、比較的高価となる。
本発明に係る親油性キレート剤としては、アミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基のうち、上記アルキルアミンとの塩を形成しているカルボキシル基の割合が、全カルボキシル基に対して10〜100mol%であるものが好ましい。塩を形成しているカルボキシル基の割合が10mol%未満では、キレート剤の親油性を担保できない。より好ましくは20mol%以上であり、さらに好ましくは30mol%以上である。この割合の上限は特に限定されず、100mol%であってもよい。即ち、アミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基の全部が、上記アルキルアミンとの塩を形成していてもよい。
アミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基の全部が、上記アルキルアミンとの塩を形成しているキレート剤を得るには、前記アルキルアミンとして3級アルキルアミンを用いればよい。
アミノカルボン酸に含まれる全カルボキシル基に対し、アルキルアミンとの塩を形成しているカルボキシル基の割合は、次に示す手順で算出できる。即ち、使用したアルキルアミンのモル数を、使用したアミノカルボン酸のモル数で割ることで得られる値から、アマイド値(アマイド値の算出方法については後述する)を引くことによりアルキルアミンとの塩を形成しているカルボキシル基の数を算出する。次に、算出されたカルボキシル基の数を、前記アミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基の数で割ることで、アルキルアミンとの塩を形成しているカルボキシル基の割合(mol%)を算出する。
なお、アルキルアミンに含まれるアミノ基のモル数が、アミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基のモル数よりも多い場合は、全てのカルボキシル基がアルキルアミンとの塩を形成するため、上記「アルキルアミンのモル数」の代わりに、「アミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基の数」を用いて算出する。
ところで、アミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基の全部が、アルキルアミンとの塩を形成している親油性キレート剤は、後述する実施例から明らかな様に、トルエンには溶解したが、灯油には溶解しなかった。この理由は、塩のみの親油性(油溶性)キレート剤の場合、極性が相対的に弱い溶媒中(例えば、トルエンなど)では塩状態で溶解するのに対し、トルエンと比べて極性が相対的に著しく弱い溶媒中(例えば、灯油など)では溶解しないと考えている。
そこで本発明者らは、灯油の様に、トルエンと比べて極性が相対的に弱い溶媒(即ち、非極性に近い溶媒)に対しても溶解する親油性のキレート剤について更に検討した。その結果、アミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基の一部が、炭素数の合計が8以上であるアルキルアミンとのアミドを形成し、残りのカルボキシル基が前記アルキルアミンとの塩を形成しているか、若しくは遊離カルボキシル基として存在しているものは、灯油などに対しても優れた溶解性を示すキレート剤となった。カルボキシル基の一部がアミドを形成しているキレート剤は、灯油中に添加しても解離しないため、アルキル基がアミノカルボン酸自体から脱離することなく、親油性を維持できるからである。
上記アルキルアミンとのアミドを形成しているカルボキシル基の割合(以下、「アマイド比率(mol%)」と称する場合がある)は、全カルボキシル基に対して50mol%以下(0mol%を含まない)であることが好ましい。この割合が50mol%を超えると、キレート剤中のアミド部分が多くなりすぎるため、灯油などの溶媒に対する溶解性は高まるものの、カルボキシル基の数が減少してキレート作用が低下するからである。より好ましくは40mol%以下である。
上記アルキルアミンとのアミドを形成しているカルボキシル基の割合(アマイド比率)は、下記手順で測定したアマイド値を、原料として用いたアミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基の数で割ることで算出できる。
即ち、アマイド値は、サンプル(キレート剤)1gをビーカーに秤量し、これにイソプロピルアルコール(IPA)40mLと脱イオン水20mLとを混合して溶解させた後、0.1mol/Lのアルコール性KOH溶液を用いて滴定し、pH13付近の変曲点に到達するまでの滴定量を読み取り、下記(1)式から算出する。
アマイド値=A−(f×B×C)/(D×E×100) …(1)
上記(1)式中、
A:アミノカルボン酸(1分子)に含まれるカルボキシル基の数
f:0.1mol/Lのアルコール性KOH溶液のファクター
B:pH13付近の変曲点に到達するまでに要した前記アルコール性KOH溶液の滴定量
C:アミノカルボン酸(1分子)の分子量
D:サンプル量(g)
E:アミノカルボン酸の初期添加濃度(質量%)
を示している。
なお、上記アマイド値とは、アミノカルボン酸1分子に含まれるカルボキシル基のうち、アミドを形成しているカルボキシル基の数を示している。
次に、(1)式から算出されたアマイド値を、原料として用いたアミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基の数(A)で割ることで、上記アルキルアミンとのアミドを形成しているカルボキシル基の割合[アマイド比率(mol%)]を算出できる。
本発明に係る親油性キレート剤は、上記カルボキシル基のうち、上記アルキルアミンとの塩を形成しているカルボキシル基の割合と、アミドを形成しているカルボキシル基の割合との合計が、全カルボキシル基に対して50〜100mol%であることが好ましい。この合計が50mol%未満では、キレート剤の親油性を確保し難いからである。より好ましくは60mol%以上である。
このとき、塩を形成しているカルボキシル基の割合(前者)と、アミドを形成しているカルボキシル基の割合(後者)との比(前者/後者)は、10/40〜80/20程度であることが好ましい。
次に、本発明に係る親油性キレート剤を簡便に製造できる方法について説明する。
本発明の親油性キレート剤は、アミノカルボン酸と、炭素数の合計が8以上であるアルキルアミンとを、グリコール系有機溶媒中で加熱反応させることによって得られる。
反応溶媒としてグリコール系有機溶媒を選択したのは、グリコール系有機溶媒は、親水性化合物(水を含む)と親油性化合物の両方を溶解するため、グリコール系有機溶媒中でアミノカルボン酸とアルキルアミンとを混合し、これを加熱すると、アミノカルボン酸とアルキルアミンの何れもグリコール系有機溶媒に溶解するからである。しかもこのときの加熱温度は100〜130℃程度の比較的低温で充分であり、反応時間も10〜120分間程度ですむ。さらにアミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基とアルキルアミンとが反応するとアミドを形成するが、このとき副生成物として生じる水や、アミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基とアルキルアミンとが形成する塩も、グリコール系有機溶媒に溶解するため、キレート剤を析出させることなく、液体状態のまま反応させることができる。
但し、アミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基の全部がアミド化したり、アミド化が進行してイミド化すると、キレート作用を示さなくなるため、キレート剤として作用させるには、アミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基の一部がアルキルアミンとの塩を形成しているものか、一部がアルキルアミンとの塩、一部がアルキルアミンとのアミドを形成している必要がある。ところが、反応溶媒として上記グリコール系有機溶媒を用いると、アミノカルボン酸とアルキルアミンとの反応を1工程で進めることができるため、こうした反応状態を容易に制御できる。
反応状態を制御するには、反応温度や反応時間をバランスよく調整すればよい。即ち、反応温度は100〜130℃程度とすればよいが、反応温度を100〜110℃程度とすると、反応時間は30〜120分間程度、反応温度を110〜130℃程度とすると、反応時間は10〜30分程度とすればよい。
なお、アルキルアミンとしてジアミンを用いる場合は、高温で長時間加熱すると高分子化してしまい、キレート効果が得られなくなるため注意が必要である。
本発明で用いることのできるグリコール系有機溶媒としては、上記アルキルアミンを溶解し、且つ沸点が100℃以上のものであれば特に限定されない。溶媒の沸点が100℃以上のものに限定したのは、アミノカルボン酸を溶解させるには、少なくとも100℃以上に加熱しなければならないからである。
こうしたグリコール系有機溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル(BG)、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG)、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルーブチルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−1.3−ブタンジオール、2−メチル−1.3−プロパンジオール、1.3−ブタンジオール、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、メトキシブチルアセテート等が挙げられる。
これらのグリコール系有機溶媒は、単独で、あるいは2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。
グリコール系有機溶媒に、アミノカルボン酸とアルキルアミンとを混合する際の割合は、中和する程度であればよい。但し、アミノカルボン酸に対して1/2以下のアルキルアミンでは、アミノカルボン酸が過多となり、アミノカルボン酸は溶解し難くなる。但し、高温、長時間で反応させればイミド化して溶解させることもできるが、キレート能力が相対的に低下する傾向がある。これに対し、アミノカルボン酸に対して1/2以上のアルキルアミンでは、より低温・より短時間で反応・溶解が可能となる。しかし、アルキルアミンが過剰(例えば、アミノカルボン酸に対して1以上)になると、アミノカルボン酸の比率が相対的に低下するためキレート能力が低下する。
次に、本発明に係る親油性キレート剤の使用方法について説明する。
本発明に係る親油性キレート剤は、アルコールやグリコール等の極性溶媒のみならず、トルエン等の極性が相対的に弱い溶媒に対しても親和性を示し、しかも金属イオン(例えば、銅や亜鉛、ニッケル、コバルト等の有害重金属イオン)や、類金属イオン(例えば、硼素やゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、セレン、テルル等の有害・有価類金属イオン)等を効率よく捕捉することができるので、以下に示す用途に好適に用いることができる。
(1)本発明に係る親油性キレート剤を油性溶媒に添加・溶解させることにより、油性溶媒中に存在する金属イオン等を捕捉して不活性化することができ、油性溶媒の酸化を抑えることができる。
(2)捕捉対象の金属イオン等が水溶液中に存在する場合は、この水溶液と、本発明に係る親油性キレート剤を添加・溶解した油性溶媒とを接触させることにより、キレート剤が水溶液中に存在する金属イオン等を捕捉すると共に、金属イオンを水溶液から油性溶媒へ相間移動させることができ、水溶液を浄化できる。
(3)本発明に係る親油性キレート剤を金属用油性塗料に添加すると、塗料中のキレート剤が金属との間でキレート結合するため、塗料の密着性を高めることができる。
(4)本発明に係る親油性キレート剤を含む油性溶媒を、金属表面(例えば、銅板表面)に塗布し、これを乾燥させると、金属表面に前記キレート剤がキレート付着して残留するため、これが防食被膜となり、金属表面の酸化(変色)を抑えることができる。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
[実施例1]
下記製造例1〜9によってサンプル(キレート剤)を作製し、得られたサンプルの油性溶媒に対する溶解性を調べると共に、アマイド値とC.V.値(キレート値)を測定した。
製造例1
ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA、分子量:393、C.V.値:254)39.3gと、1級混合アルキルアミンとして「ファーミン86T(商品名)」(花王株式会社製、平均分子量:265)80gと、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG)100gとを、還流器付きフラスコにて130℃で30分間加熱してDTPAが完全に溶解したサンプル1を得た。
製造例2
DTPA39.3gと、2級混合アミンとして「アーミン2C(商品名)」(ライオン株式会社製、平均分子量:400)120gと、エチレングリコールモノブチルエーテル(BG)140gとを、上記製造例1と同様に、還流器付きフラスコにて130℃で30分間加熱してサンプル2を得た。
製造例3
上記製造例2において、加熱時間を60分間とする以外は同じ条件でサンプル3を得た。
製造例4
エチレンジアミン四酢酸(EDTA、分子量:292、C.V.値:342)29.2gと、3級混合アミンとして「ファーミンDM20(商品名)」(花王株式会社製、平均分子量:225)67.5gと、BDG70gとを、上記製造例1と同様に、還流器付きフラスコにて130℃で30分間加熱してサンプル4を得た。
製造例5
ニトリロ三酢酸(NTA、分子量:191、C.V.値:523)19.1gと、混合ジアミンとして「デュオミンCD(商品名)」(ライオン株式会社製、平均分子量:364)73gと、BDG70gとを、上記製造例1と同様に、還流器付きフラスコにて130℃で30分間加熱してサンプル5を得た。
製造例6(比較例)
上記製造例2において、加温時間を180分間とする以外は同じ条件でサンプル6を得た。
製造例7(比較例)
DTPA39.3gと、ジイソプロピルアミン(分子量:101)31gと、BG60gとを、上記製造例1と同様に、還流器付きフラスコにて130℃で30分間加熱してサンプル7を得た。
製造例8(比較例)
DTPA39.2gと、2級混合アミンとして「アーミン2C(商品名)」(ライオン株式会社製、平均分子量:400)70gを、溶剤を用いずに、還流器付きフラスコにて130℃で120分間加熱した。その結果、DTPAは完全には溶解しなかった。
製造例9(比較例)
1級混合アミンとして「ファーミン86T(商品名)」(花王株式会社製、平均分子量:265)53gを、キシレン30gに溶解させた後、EDTAを29.2g溶解させた。このときEDTAは、「ファーミン86T」をキシレンに溶解させた溶剤に対して3度に分けて投入し、溶解させた。即ち、100℃に加熱したキシレンに、29.2gのEDTAのうち1/3を投入し、200℃で反応させてEDTAを溶解させた後、100℃まで冷却する工程を3度繰り返し、29.2gのEDTAをキシレンに投入して溶解させた。次に、前記キシレンと、反応により生成した水とを留去してサンプル9を得た。
上記で得られたサンプル1〜7および9の溶媒に対する溶解性を調べた。溶媒としては、イソプロピルアルコール(以下、「IPA」と略記する場合がある)、トルエンおよび灯油を用い、各サンプルの含有量が1質量%となる様に各溶媒に添加混合した。結果を下記表1に示す。なお、溶媒の極性は、IPA、トルエン、灯油の順に弱くなる。

次に、上記サンプル1〜7および9について、下記の手順でアマイド値、アマイド比率、塩を形成している数および塩を形成している割合を算出した。
アマイド値は、上記の手順に沿って算出した。算出したアマイド値を下記表1に示す。
次に、算出したアマイド値を、使用したアミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基の数で割ることによりアマイド比率を算出した。使用したアミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基の数と、算出したアマイド比率(mol%)を下記表1に示す。
アミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基のうち、アルキルアミンとの塩を形成しているカルボキシル基の数は、使用したアルキルアミンのモル数を、使用したアミノカルボン酸のモル数で割ることによって得られる値から、上記アマイド値を引くことにより算出した。算出した塩を形成しているカルボキシル基の数を下記表1に示す。なお、下記表1では「塩を形成している数」として示した。
次に、算出されたアルキルアミンとの塩を形成しているカルボキシル基の数を、使用したアミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基の数で割ることにより、アミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基のうち、アルキルアミンとの塩を形成しているカルボキシル基の割合を算出した。算出した塩を形成しているカルボキシル基の割合(mol%)を下記表1に示す。なお、下記表1では「塩を形成している割合」として示した。
上記サンプル1〜7および9について、塩を形成している数と塩を形成している割合の算出例を次に示す。
サンプル1:上記製造例1では、DTPA0.1molに対し、ファーミン86Tを0.3mol使用し、得られたサンプル1のアマイド値が2.2であるので、塩を形成している数と塩を形成している割合は下記の通りである。
塩を形成している数=(0.3/0.1)−2.2=0.8
塩を形成している割合=0.8/5×100=16(mol%)
サンプル2:上記サンプル1と同様に計算すると、塩を形成している数と塩を形成している割合は下記の通りである。
塩を形成している数=(0.3/0.1)−1.7=1.3
塩を形成している割合=1.3/5×100=26(mol%)
サンプル3:上記サンプル1と同様に計算すると、塩を形成している数と塩を形成している割合は下記の通りである。
塩を形成している数=(0.3/0.1)−2.0=1.0
塩を形成している割合=1.0/5×100=20(mol%)
サンプル4:上記サンプル1と同様に計算すると、塩を形成している数と塩を形成している割合は下記の通りである。
塩を形成している数=(0.3/0.1)−0=3.0
塩を形成している割合=3.0/4×100=75(mol%)
サンプル5:上記製造例5では、NTA0.1molに対し、デュオミンCDを0.4mol使用し、得られたサンプル5のアマイド値が1.3であるので、塩を形成している数と塩を形成している割合は下記の通りである。なお、このサンプルは、アルキルアミンに含まれるアミノ基のモル数が、アミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基のモル数よりも多い例である。
塩を形成している数=3−1.3=1.7
塩を形成している割合=1.7/3×100=57(mol%)
サンプル6:上記サンプル1と同様に計算すると、塩を形成している数と塩を形成している割合は下記の通りである。
塩を形成している数=(0.3/0.1)−2.8=0.2
塩を形成している割合=0.2/5×100=4(mol%)
サンプル7:上記製造例7では、DTPA0.1molに対し、ジイソプロピルアミンを0.31mol使用し、得られたサンプル7のアマイド値が1.9であるので、塩を形成している数と塩を形成している割合は下記の通りである。
塩を形成している数=(0.31/0.1)−1.9=1.2
塩を形成している割合=1.2/5×100=24(mol%)
サンプル9:上記製造例9では、ファーミン86Tを0.2mol使用し、得られたサンプル9のアマイド値が4.0であるので、塩を形成している数は下記の通りである。
塩の数=(0.2/0.1)−4.0=−2.0 (即ち、イミド化している)
下記表1には、アミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基のうち、アルキルアミンとの塩を形成しているカルボキシル基の割合と、前記アルキルアミンとのアミドを形成しているカルボキシル基の割合との合計も併せて示した。
次に、キレート値(C.V.値)は、サンプル3gをビーカーに秤量し、IPA:80mLと脱イオン水:20mLとを混合したものに溶解させた後、アンモニア性塩化アンモニウム緩衝液:1mLを加え、4mol/LのHCl溶液を用いてpH9付近に調整した後、ムレキサイド指示薬を1滴加え、0.1mol/Lの銅標準液で青紫から緑に変色するまで滴定し、下記(2)式から算出した。算出したキレート値(測定値)を下記表1に示す。
C.V.値=X×Y×10/Z ・・・(2)
上記(2)式中、
X:0.1mol/Lの銅標準液で青紫から緑に変色するまでに要した滴定量
Y:前記銅標準液のファクター
Z:サンプル量(g)
である。
また、キレート値(C.V.値)の理論値を、使用したアミノカルボン酸のC.V.値に、サンプル中に含まれるアミノカルボン酸の濃度を乗じて算出した。算出したキレート値(理論値)を下記表1に示す。なお、「キレート値(C.V.値)」とは、キレート剤1gが、キレートする炭酸カルシウムをmg数で表した値(mgCaCO3/gキレート剤)である。
Figure 2005248072
表1から明らかな様に、製造例1〜5で得られたサンプルは何れも本発明例であり、特にサンプル1〜3および5は、IPA、トルエンおよび灯油の全ての油性溶媒に溶解し、しかもアマイド比率は50%以下であり、キレート値の測定値は理論値とほぼ等しい値となった。但し、サンプル4は、3級混合アミンを使用したため、アミドは生成せず、アミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基は、全部アルキルアミンの塩となった。そのため、IPAとトルエンには溶解したが、灯油には溶解しなかった。
これに対し、製造例6〜9で得られたサンプルは何れも本発明で規定する要件を満足しない比較例であり、特にサンプル6は、サンプル2や3と同じ配合で得られたものであるが、反応時間を長くしたためアマイド比率が50%を超え、C.V.値が低く、親油性キレート剤としての効果は低い。サンプル7は、アマイド比率が50%以下であり、C.V.値の測定値は理論値とほぼ等しいが、アミンの炭素数が6であるために、IPAには溶解するものの、トルエンや灯油には溶解せず、親油性を示さない。製造例8では、溶剤としてグリコール系有機溶剤を使用していないため、アミノカルボン酸が完全に溶解せず、所望のサンプルを得られなかった。サンプル9は、極性が弱い溶媒中でアミノカルボン酸とアルキルアミンとを反応させたため、IPA,トルエンおよび灯油の何れにも溶解するが、アマイド比率が100%となり、イミド化されている。従って、キレート値が0となった。
[実施例2]
次に、上記製造例2で得られたサンプル2(以下、「親油性キレート剤」と呼ぶ)を用いて下記の実験を行なった。
実験例1
トルエン100mL中に、親油性キレート剤を10g溶解させた油性溶媒と、硫酸銅5水塩を0.5g溶かした緑色の水溶液100mLとを混合し、これを10分程度放置した。
その結果、混合液は2層に分離し、下層の水溶液は無色に変化した。これに対し、上層のトルエンは、親油性キレート剤によって水層の銅イオンが油層側に移行したため青緑色に変化した。
実験例2
市販のサラダ油100gに、銅粉を0.01gおよび/または親油性キレート剤を1.0g混合し、これを80℃で13時間攪拌した後、サラダ油の酸価を測定した。測定結果を下記表2に示す。なお、市販のサラダ油の酸価を初期酸価として下記表2に示す。
下記表2から明らかな様に、親油性キレート剤を混合することによってサラダ油に含まれる金属イオンを不活性化することができ、サラダ油の酸化劣化を抑えることが分かる。
Figure 2005248072
実験例3
市販の油溶性アルキッド樹脂塗料として「1回塗りハウスペイント(商品名)」(株式会社カンペハピオ製)100gを用い、これに親油性キレート剤1gを混合したものを、溶剤脱脂した板の表面に塗布し、JIS規格のK5600−5−6[塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)]に基づいて付着性を評価した。
また、親油性キレート剤を混合せず、「1回塗りハウスペイント(商品名)」を溶剤脱脂した板の表面に塗布し、上記と同様に付着性を評価した。
なお、塗布対象の板としては、溶剤脱脂した光沢の銅板(C1100P)、アルミニウム板(A1100P)およびステンレス板(SUS304)を用いた。クロスカット法は、すきま間隔を1mmとして行い、JIS規格の評価点数によりN=4の平均値で評価した。下記表3に評価点数を示す。
下記表3から明らかな様に、親油性キレート剤を添加混合することによって評価点数が高くなり、塗料の付着性を向上させることができる。
Figure 2005248072
実験例4
上記実施例3において、「1回塗りハウスペイント(商品名)」の代わりに市販の水溶性アクリル樹脂塗料(「ビッグ10(商品名)」、株式会社アサヒペン製)100gを用いた以外は上記実施例3と同じ条件で付着性を評価した。下記表4に評価点数を示す。
下記表4から明らかな様に、親油性キレート剤を添加混合することによって評価点数が高くなり、塗料の付着性を向上させることができる。
Figure 2005248072
実験例5
#320番で研磨した後に脱脂した銅板(C1100P)を、トルエン100gに親油性キレート剤1gを混合した混合溶液に浸漬して乾燥した後、JIS規格のK2246(さび止め油)に基づいて湿潤試験を行い、24時間後に銅板の変色の有無を確認した。
その結果、銅板に変色は認められず、親油性キレート剤を混合することによって変色腐食を防止できた。
これに対し、親油性キレート剤を混合しない例として、#320番で研磨した後に脱脂した銅板(C1100P)を、トルエン100gに浸漬して乾燥した後、JIS規格のK2246(さび止め油)に基づいて湿潤試験を行い、24時間後に銅板の変色の有無を確認した。その結果、銅板は黒色に変色した。

Claims (6)

  1. アミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基の一部または全部が、炭素数の合計が8以上であるアルキルアミンとの塩を形成していることを特徴とする親油性キレート剤。
  2. 前記カルボキシル基のうち、前記アルキルアミンとの塩を形成しているカルボキシル基の割合が、全カルボキシル基に対して10〜100mol%である請求項1に記載の親油性キレート剤。
  3. アミノカルボン酸に含まれるカルボキシル基の一部が、炭素数の合計が8以上であるアルキルアミンとのアミドを形成し、残りのカルボキシル基が前記アルキルアミンとの塩を形成しているか、若しくは遊離カルボキシル基として存在するものであることを特徴とする親油性キレート剤。
  4. 前記カルボキシル基のうち、前記アルキルアミンとのアミドを形成しているカルボキシル基の割合が、全カルボキシル基に対して50mol%以下(0mol%を含まない)である請求項3に記載の親油性キレート剤。
  5. 前記カルボキシル基のうち、前記アルキルアミンとの塩を形成しているカルボキシル基の割合と、前記アルキルアミンとのアミドを形成しているカルボキシル基の割合との合計が、全カルボキシル基に対して50〜100mol%である請求項3または4に記載の親油性キレート剤。
  6. 上記請求項1〜5のいずれかに記載の親油性キレート剤を製造する方法であって、
    アミノカルボン酸と、炭素数の合計が8以上であるアルキルアミンとを、グリコール系有機溶媒中で加熱反応させることを特徴とする親油性キレート剤の製法。
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