JP2005246807A - インクジェット記録シート - Google Patents

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Abstract

【課題】インク吸収性が良好であり、かつインク受理層塗布液の可使時間が長く、インク受理層表面に亀裂が発生しない上に、印字部と白紙部との光沢の差が小さいインクジェット記録シートを提供する。
【解決手段】耐水性支持体の一方の面に、少なくとも結着剤と架橋剤からなる下塗り層、少なくとも平均2次粒子径500nm以下の無機微粒子とアセトアセチル変性ポリビニルアルコール及び高沸点有機溶媒からなるインク受理層を順次積層したインクジェット記録シート。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット記録シートに関し、さらに詳しくは、インク吸収性が良好であり、かつインク受理層塗布液の可使時間が長く、インク受理層表面に亀裂が発生しない上に、印字部と白紙部との光沢の差が小さいインクジェット記録シートに関する。
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの被記録媒体に付着させ、画像・文字などの記録を行なうものであるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像−定着が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として種々の用途に於いて急速に普及している。更に、多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得ることが可能である。又、作成部数が少なくて済む用途に於いては、写真技術によるよりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
記録シートに要求される特性は、印字濃度、色調の鮮明性、ハジキやムラをなくすためのインク吸収性、汚れをなくすためのインク乾燥性等である。
インクジェット記録方式に使用される記録シートとして、通常の紙やインクジェット記録用紙と称される、支持体上に非晶質シリカ等の顔料をポリビニルアルコール等の水溶性バインダーからなる多孔質のインク受理層を設けてなる記録シートが知られている。
従来は、シリカ等の含珪素顔料を水溶性バインダーと共に紙支持体に塗布して得られる記録シートが公知である。
また、近年のインクジェットプリンタの高解像度化、高性能化に伴い、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得ることも可能になってきており、このようなインクジェットプリンタの進歩に伴って、インクジェット記録シートも各種開発されてきている。このインクジェット記録シートに要求される特性としては、一般的に、(1)速乾性があること(インク吸収性が高い)、(2)インクのニジミのないこと(インク吸収性が高い)、(3)インクドットの真円性が高いこと、(4)色濃度が高いこと、(5)印字部の耐水性や耐光性、耐オゾン性が良好なこと等が挙げられる。更に、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得る目的で用いられるフォト光沢紙の用途においては、上記諸特性に加えて、光沢性、表面平滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合い等も要求される。
特に印画紙状の風合いを実現するため、印画紙原紙の上に、無機微粒子を含有した多孔質構造を有するインク受理層を設けたインクジェット記録シートが開発されている。このようなインクジェット記録用シートは多孔質構造を有することで、インク吸収性(速乾性)に優れ高い光沢を有するものとなる。
例えば、特開平10−119423号、同10−217601号公報、特開2003−335043号公報(特許文献1)等では、無機微粒子、親水性バインダー及び架橋剤よりなる多孔質構造を有するインク受理層を設けたインクジェット記録シートが提案されている。このような架橋剤の具体例としては従来、エポキシ化合物、アルデヒド類、ポリイソシアネート類、メチロール尿素、活性ハロゲン化化合物、ホウ素およびその塩、硼砂、ミョウバン等が知られており、これらの架橋剤のうちホウ酸およびその塩が最も好ましいとされている。
インク受理層を多孔質構造とするためには、インク受理層塗設後、該インク受理層が溶媒を含有した状態で、含有する架橋剤により架橋が進行し、3次元網目構造のような多孔質構造を実現する必要があるが、経時で架橋が進行するものに関しては、その塗液の可使時間が非常に短くなってしまい、取り扱いが難しくなる上、ホウ酸のように塗液温度によりその架橋状態が変化するもの、具体的には低液温で架橋が進行し、高液温になると架橋が減じるようなものでは、低液温で塗層をセットする必要があるなど特殊な装置なり手法が必要となってしまう。
特開2003−335043号公報
本発明の目的は、インク吸収性が良好であり、かつインク受理層塗布液の可使時間が長く、インク受理層表面に亀裂が発生しない上に、印字部と白紙部との光沢の差が小さいインクジェット記録シートを提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
(1)耐水性支持体の一方の面に、結着剤と架橋剤を主成分とする下塗り層、平均2次粒子径500nm以下の無機微粒子とアセトアセチル変性ポリビニルアルコール及び高沸点有機溶媒を主成分とするインク受理層を順次積層したインクジェット記録シート。
(2)該下塗り層に含有する該結着剤が、重合度1500以上のポリビニルアルコールであることを特徴とする上記(1)記載のインクジェット記録シート。
本発明によれば、乾燥条件の制約およびインク受理層塗布液の可使時間の制約を受けず、従って生産効率の向上が図られ、かつ、高インク吸収性であり、印字部と白紙部との光沢の差が小さい高品位なインクジェット記録シートが得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録シートは、耐水性支持体の一方の面に、結着剤と架橋剤を主成分とする下塗り層、平均2次粒子径500nm以下の無機微粒子とアセトアセチル変性ポリビニルアルコール及び高沸点有機溶媒を主成分とするインク受理層を順次積層したものである。
本発明に用いられる耐水性支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート等のプラスチック樹脂フィルムや、原紙の片面あるいは両面に樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙が挙げられる。本発明においては、写真ライクな画像が得られるとことより樹脂被覆紙が好ましく用いられる。
以下に樹脂被覆紙について詳しく説明する。樹脂被覆紙を構成する原紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、より好ましくは例えば写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。原紙を構成するパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。この原紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。
さらに、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。
また、原紙の厚みに関しては特に制限はないが、原紙を抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮するなどした表面平滑性の良いものが好ましく、その坪量は30〜250g/m2が好ましく、特に50〜250g/m2が好ましい。
樹脂被覆紙の樹脂としては、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂や電子線や紫外線で硬化する樹脂を用いることができる。ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体などのオレフィンの2つ以上からなる共重合体及びこれらの混合物であり、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。
また、樹脂被覆紙の樹脂中には、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウムなどの白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、イルガノックス1010、イルガノックス1076などの酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて加えるのが好ましい。
原紙に樹脂を被覆する方法としては、樹脂がポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂の場合は、加熱溶融した樹脂を走行する原紙上に流延する、いわゆる押出コーティング法があり、原紙の片面もしくは両面が樹脂により被覆される。また、樹脂が電子線や紫外線により硬化する樹脂の場合は、グラビアコーター、ブレードコーターなど一般に用いられるコーターにより樹脂を塗布した後、電子線や紫外線を照射し、樹脂を硬化させて被覆する。また、樹脂を原紙に被覆する前に、原紙にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことが好ましい。
原紙の片面に樹脂被覆層を有する場合は、インク受理層塗布液が塗布される面(表面)に樹脂被覆層を設けるのが好ましい。裏面には樹脂被覆層を必ずしも被覆する必要はないが、カール防止の点から樹脂被覆層を設けたほうが好ましい。表面あるいは必要に応じて表裏両面にもコロナ放電処理、火炎処理などの活性処理を施すことができる。また、樹脂被覆層の厚みとしては5〜50μmの範囲が好ましく、特に10〜45μmの範囲が好ましい。
本発明における耐水性支持体には帯電防止性、搬送性、カール防止性などのために、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。また、耐水性支持体の両面に下塗り層及びインク受理層を設けても良い。
本発明の下塗り層は、結着剤と架橋剤を主成分とする。かかる結着剤としては親水性ポリマーが好ましく、例えば、ポリビニルアルコール、各種変性ポリビニルアルコール、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらの中でもポリビニルアルコール、が好ましく用いられ、特に重合度が1500以上であるポリビニルアルコールが特に好ましく、このような結着剤を用いることにより、光沢性が一段と向上する。ただし、含有する架橋剤と架橋反応を起こす結着剤を用いることは好ましくない。
本発明の下塗り層で用いる架橋剤としては、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールと架橋反応を起こすものであれば時に制限されない。具体的には、2価以上の価数を有する金属塩、アミン化合物、ヒドラジン化合物、エポキシ化合物及びN−メチロール化合物から選ばれる1種または2種以上が好ましく用いられる。
金属塩としては、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、4塩化チタン、乳酸チタン、テトライソプロピルチタネート、酢酸ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、クロムミョウバン、カリウムミョウバン、塩基性ポリ水酸化アルミニウム、塩化コバルト、塩化第1鉄、硫酸第1鉄、塩化第2鉄、酢酸クロム、酢酸バリウム等が挙げられる。
アミン化合物としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジアミン、フェニレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリアミノプロパン、アミノ基を有する重合体(例えばポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン)等が挙げられる。
ヒドラジン化合物としては、カルボヒドラジド、チオカルボヒドラジド、エチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジン、シュウ酸ジヒドラジド、プロピオン酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、サリチル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、4,4′−オキシベンゼンスルホニルヒドラジド、ヒドラジド基を有するビニル重合体(例えばアミノポリアクリルアミド)等が挙げられる。
エポキシ化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジレート、o−フタル酸ジグリシジレート、p−フタル酸ジグリシジレート、ハイドロキノンキグリシジルエーテル、ビスフェノールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
N−メチロール化合物の具体例としては、N−メチロール尿素、メチロールジメチルヒダントイン、メチロールメラミン等が挙げられる。アジリジン化合物の具体例としてはトリメチロールプロパン−トリ−β−アジルジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N′−ジフェニルメタン−4,4′−ビス(1−アジリジンカルボサミド)、N.N′−ヘキサメチレン−1,6′−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、N,N′−トルエン−2,4′−ビス(1−アジリジンカルボサミド)等が挙げられるオキサゾリン化合物の具体例としては、1,2−ジオキサゾリニルエタン、1,4−ジオキサゾリニルブタン、1,4−ジオキサゾリニルベンゼン、N,N′−ジオキサゾリニルエチレンジアミン、オキサゾリニル基を有するビニル重合体等が挙げられる。
これらの架橋剤のうち、水溶性及び反応性の点で、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジドが好ましい。
本発明の下塗り層の塗工量は、特に制限されないが、好ましくは1〜10g/m2であり、下塗り層に含有する架橋剤の塗工量が1〜5g/m2となるように調整することが好ましい。
本発明のインク受理層は、平均2次粒子径500nm以下の無機微粒子、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール及び高沸点有機溶媒を主成分とする。
該無機微粒子としては、平均2次粒子径500nm以下のものであれば非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン等公知の各種微粒子を用いることができ、特に、非晶質合成シリカ、アルミナ、またはアルミナ水和物が好ましく用いられる。
非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ、及びその他に大別することができる。湿式法シリカは、さらに製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の行程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシールとして市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子どうしを結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、東ソー・シリカ(株)からニップゲルとして、グレースジャパン(株)からサイロイド、サイロジェットとして市販さている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、ケイ酸ソーダの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学工業(株)からスノーテックスとして市販されている。
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
本発明のインク受理層には、気相法シリカをカチオン性化合物の存在下で、該気相法シリカの平均2次粒子径が500nm以下、好ましくは10〜300nm、更に好ましくは20〜200nmに分散したものが使用できる。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。尚、本発明でいう平均2次粒子径とは、得られた記録シートのインク受理層を電子顕微鏡で観察することにより、観察される分散された凝集粒子の粒子径の平均値を求めたものである。
本発明では、平均2次粒子径500nm以下に粉砕した湿式法シリカも好ましく使用できる。本発明に用いられる湿式法シリカ粒子としては、平均1次粒子径50nm以下、好ましくは3〜40nmであり、且つ平均凝集粒子径が5〜50μmである湿式法シリカ粒子が好ましく、これをカチオン性化合物の存在下で平均2次粒子径500nm以下、好ましくは20〜200nm程度まで微粉砕した湿式法シリカ微粒子を使用することが好ましい。
通常の方法で製造された湿式法シリカは、1μm以上の平均凝集粒子径を有するため、これを微粉砕して使用する。粉砕方法としては、水性媒体中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。この際、分散液の初期粘度上昇が抑制され、高濃度分散が可能となり、粉砕・分散効率が上昇してより微粒子に粉砕することができることから、吸油量が210ml/100g以下、平均凝集粒子径5μm以上の沈降法シリカを使用することが好ましい。高濃度分散液を使用することによって、記録用紙の生産性も向上する。吸油量は、JIS K−5101の記載に基づき測定される。
本発明の平均2次粒子径が500nm以下の湿式法シリカ微粒子を得る具体的な方法としては、まず水中でシリカ粒子とカチオン性化合物を混合(添加はどちらが先であっても、また同時でも良い)しても良く、又それぞれの分散液あるいは水溶液を混合しても良く、のこぎり歯状ブレード型分散機、プロペラ羽根型分散機、またはローターステーター型分散機等の分散装置の少なくとも1つを用いて予備分散液を得る。必要であれば更に適度の低沸点溶剤等を添加してもよい。シリカ予備分散物の固形分濃度は高いほうが好ましいが、あまり高濃度になると分散不可能となるため、好ましい範囲としては15〜40質量%、より好ましくは20〜35質量%である。次に、より強い機械的手段を与えることによって、平均2次粒子径が500nm以下の湿式法シリカ微粒子分散液が得られる。機械的手段としては公知の方法が採用でき、例えばボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用することができる。
上記気相法シリカ及び湿式法シリカの分散に使用するカチオン性化合物としては、カチオン性ポリマーまたは水溶性金属化合物を使用できる。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号、同昭59−33176号、同昭59−33177号、同昭59−155088号、同昭60−11389号、同昭60−49990号、同昭60−83882号、同昭60−109894号、同昭62−198493号、同昭63−49478号、同昭63−115780号、同昭63−280681号、同平1−40371号、同平6−234268号、同平7−125411号、同平10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特に、カチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。分散性および分散液粘度の面で、これらのカチオンポリマーの分子量は、2000〜10万程度が好ましく、特に2000〜3万程度が好ましい。
水溶性金属化合物としては、例えば水溶性の多価金属塩が挙げられ、中でもアルミニウムもしくは周期律表4A族金属(例えばジルコニウム、チタン)からなる化合物が好ましい。特に好ましくは水溶性アルミニウム化合物である。水溶性アルミニウム化合物としては、例えば無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が知られており、好ましく用いられる。
前記塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の一般式1、2、または3で示され、例えば[Al6(OH)153+、[Al8(OH)204+、[Al13(OH)345+、[Al21(OH)603+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
[Al2(OH)nCl6-nm 一般式1
[Al(OH)3nAlCl3 一般式2
Aln(OH)mCl(3n-m) 0<m<3n 一般式3
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードの物が容易に入手できる。
本発明に使用するアルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は、数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で平均2次粒子径を500nm以下、好ましくは20〜300nm程度まで粉砕したものが使用できる。
本発明に使用するアルミナ水和物はAl23・nH2O(n=1〜3)の構成式で表される。nが1の場合がベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1より大きく3未満の場合が擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表す。アルミニウムイソプロボキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。本発明に使用されるアルミナ水和物の平均2次粒子径は500nm以下、好ましくは20〜300nmである。
本発明に用いられる上記のアルミナ、及びアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ギ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散された分散液の形態から使用される。
本発明のインク受理層に含有するアセトアセチル変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールとジケテンの反応等の公知の方法によって製造することができる。アセトアセチル化度は0.1〜20モル%が好ましく、更に1〜15モル%が好ましい。鹸化度は80モル%以上が好ましく、更に85モル%以上が好ましい。重合度としては、500〜5000のものが好ましく、特に1000〜4500のものが好ましい。
さらに、本発明のインク受理層には、高沸点有機溶媒を含有することが、本発明のインクジェット記録シートにおいて、インク受理層表面の亀裂を減らし、印字部と白紙部の光沢の差を小さくするために必須である。高沸点有機溶媒は、インク受理層塗液作製時に希釈溶媒として添加しても良いし、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールを溶解する際の溶媒の一部として使用しても良い。特に1,2−プロパンジオールが好ましい。
本発明のインク受理層の塗工量は、特に制限されないが、好ましくは、10g/m2〜40g/m2であり、さらに好ましくは15g/m2〜35g/m2である。
本発明の下塗り層及びインク受理層を塗設する方法は特に制限されず、任意の方法が用いられ、例えばスライドリップ方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例、及び比較例において「部」及び「%」は、特に明示しない限り質量部及び質量%を示す。なお、配合において示す部数は実質成分の数量である。
〈ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体の作製〉
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/m2になるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の原紙とした。抄造した原紙に、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100部の樹脂に対して、10部のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ35μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。もう一方の面には密度0.962g/cm3の高密度ポリエチレン樹脂70部と密度0.918の低密度ポリエチレン樹脂30部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。
上記のポリオレフィン樹脂被覆紙支持体上に下記の下塗り層塗被組成物をワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥した。次に、下記のインク受理層塗被組成物を該下塗り層上にワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥して本発明のインクジェット記録シートを得た。下塗り層の塗工量は4g/m2でインク受理層の塗工量は24g/m2である。
〈下塗り層〉
下塗り層の塗被組成物は、結着剤として重合度3500のポリビニルアルコール(PVA235:クラレ(株))100部、架橋剤としてアジピン酸ジヒドラジド(日本ヒドラジン工業(株))75部からなる水溶液(固形分濃度6%)である。
〈アルミナ水和物の合成〉
イオン交換水1200g、イソプロピルアルコール900gを3Lの反応器に仕込み、75℃に加熱した。アルミニウムイソプロポキシド408gを加え、75gで24時間、続き95℃で10時間加水分解を行った。加水分解後、硝酸24g加えて95℃で48時間攪拌した。次に、固形分濃度が15質量%になるように濃縮し、白色の超微粒子状アルミナ水和物の分散液を得た。このゾルを室温で乾燥させ、X線回折を測定したところ、擬ベーマイト構造を示した。なお、該アルミナ水和物の平均2次粒子径は300nmであった。
〈インク受理層〉
インク受理層塗被組成物は、下記配合からなる水溶液(固形分濃度15%)である。
アルミナ水和物 100部
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール 20部
(アセトアセチル化度3%、ケン化度98%、平均重合度2500)
1,2−プロパンジオール(PG−T:旭電化工業(株)) 46部
なお、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールは、溶媒としてイオン交換水と1,2−プロパンジオール(PG−T:旭電化工業(株))とを質量比8:2で用い、固形分濃度8%に溶解して用いた。
インク受理層に含有するアセトアセチル変性ポリビニルアルコールをアセトアセチル化度3%、ケン化度98%、平均重合度1100のものに変更した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。
インク受理層に含有するアセトアセチル変性ポリビニルアルコールをアセトアセチル化度3%、ケン化度98%、平均重合度1700のものに変更した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。
(比較例1)
実施例1で作製したポリオレフィン樹脂被覆紙支持体上に下記のインク受理層塗被組成物をワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥してインクジェット記録シートを得た。インク受理層の塗工量は24g/m2である。
〈インク受理層〉
インク受理層塗被組成物は、下記配合からなる水溶液(固形分濃度15%)である。
アルミナ水和物(実施例1と同様にして作製した) 100部
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール 20部
(アセトアセチル化度3%、ケン化度98%、平均重合度2500)
1,2−プロパンジオール(PG−T:旭電化工業(株)) 46部
なお、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールは、溶媒としてイオン交換水と1,2−プロパンジオール(PG−T:旭電化工業(株))とを質量比8:2で用い、固形分濃度8%に溶解して用いた。
(比較例2)
実施例1で作製したポリオレフィン樹脂被覆紙支持体上に、同じく実施例1で作製した下塗り層塗被組成物をワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥した。なお、下塗り層の塗工量は4g/m2である。さらに、該下塗り層上に、下記のインク受理層塗被組成物をワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥してインクジェット記録シートを得た。なお、インク受理層の塗工量は24g/m2である。
〈インク受理層〉
インク受理層塗被組成物は、下記配合からなる水溶液(固形分濃度15%)である。
アルミナ水和物(実施例1と同様にして作製した) 100部
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール 20部
(アセトアセチル化度3%、ケン化度98%、平均重合度2500)
なお、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールは、溶媒としてイオン交換水を用い、固形分濃度8%として用いた。
(比較例3)
インク受理層に含有するポリビニルアルコールを無変性のポリビニルアルコール(ケン化度98%、平均重合度2400)に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
(比較例4)
インク受理層塗被組成物を下記配合で水溶液として作製しようとしたところ、作製後30秒ほどたったところで該水溶液の粘度が上昇し始め、その後、ゲル状態となったため、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体上に塗布することができなかった。
<インク受理層>
アルミナ水和物 100部
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール 20部
(アセトアセチル化度3%、ケン化度98%、平均重合度2500)
アジピン酸ジヒドラジド 2部
〈試験方法〉
1)印字濃度
実施例及び比較例で作製したインクジェット記録シートをA4判に断裁した後、インクジェットプリンター(エプソン製 PM950C PM写真用紙モード、推奨設定)でブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色100%のベタ印字を行い、マクベスRD919で印字部の濃度を測定した。値は大きい方が印字濃度が高く印字性が良好であることを示す。
2)インク吸収性
インク吸収性の評価は、インクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株) PM950C)を使い、実施例および比較例で作製したインクジェット記録シートにシアンインク、マゼンタインク、イエローインクで重色の矩形パターンを印字した。重ねるインク量が各色全て100%の時を300%とし、全て90%の時を270%とし、以下同様に240%、210%、180%、150%の矩形パターンを作成して印字した。この印字パターンを印字直後、印字部にPPC用紙を貼り付け、PPC用紙へのインクの転写を評価した。
◎:300%の印字部において転写されない。
○:270%未満の印字部では転写されない。
△:210%未満の印字部では転写されない。
×:180%未満の印字部では転写されない。
良好なインク吸収性を示すのは、◎であり、実用上問題ないレベルは○である。
3)インク受理層表面のひび割れ
塗布・乾燥したインク受容層の塗布面を観察し、以下の基準で評価した。
○:ひび割れが全くなく、均一な塗布面である。
△:目視では判別し難いくらいの小さいひび割れが発生している。
×:目視で明らかに判別できる大きなひび割れが発生している。
4)印字部と白紙部の光沢差
実施例及び比較例で作製したインクジェット記録シートをA4判に断裁した後、インクジェットプリンター(エプソン製 PX−V600 写真用紙(絹目調)モード、推奨設定)でブラック(Bk)の100%のベタ印字を行い、印字部と白紙部の光沢具合を目視で比較し、以下の基準で評価した。
○:印字部と白紙部とで光沢性に差がほとんど見られない。
△:印字部と白紙部とで光沢性で差がわずかに見られる。
×:印字部と白紙部との光沢性に明らかに差がある。
5)インク受理層塗布液可使時間
実施例及び比較例で作製したインク受理層塗布液を12時間静置した後、液性を観察し、以下の基準で評価した。
○:粘度上昇が起こっておらず、前日と同様な液性を示している。
△:僅かに粘度上昇が見られるが、塗布するには問題ないレベルにある。
×:粘度上昇が大きく、塗布困難な状況にある。
Figure 2005246807
表1より明らかなように本発明のインクジェット記録シートは、インク吸収性が良好であり、かつインク受理層塗布液の可使時間が長く、インク受理層表面に亀裂が発生しない上に、印字部と白紙部の光沢差が小さく優れている。

Claims (2)

  1. 耐水性支持体の一方の面に、結着剤と架橋剤を主成分とする下塗り層、平均2次粒子径500nm以下の無機微粒子、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール及び高沸点有機溶媒を主成分とするインク受理層を順次積層したインクジェット記録シート。
  2. 該下塗り層に含有する該結着剤が、平均重合度1500以上のポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8201915B2 (en) 2008-11-21 2012-06-19 Seiko Epson Corporation Method for evaluating discharge amount of liquid droplet discharging device

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