JP2005246266A - コーティング溶液硬化装置用レンズラック - Google Patents

コーティング溶液硬化装置用レンズラック Download PDF

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Abstract

【課題】レンズラックを用いて2枚一組からなる光学レンズのコーティング処理を自動的かつ同時に行うことにより、装置の制御を簡素化させるとともに、生産性の向上および装置の小型化を可能にしたコーティング溶液硬化装置用レンズラックを提供する。
【解決手段】2枚一組の眼鏡レンズ2L,2Rをレンズラック120に収納して塗布部から硬化部に搬送する。レンズラック120は、それぞれ上方に開放し前記各眼鏡レンズ2L,2Rを収納する収納部125,134を有する固定ケース122Aと可動ケース122Bとからなり、可動ケース122Bを引張りコイルばね123によって固定ケース122A方向に付勢している。固定ケース122Aと可動ケース122Bは、各眼鏡レンズ2L,2Rに塗布されているコーティング溶液を光線照射装置151によって紫外線を照射して硬化させるとき、ハウジング152の下面に設けた透明板160にOリングを介して密接され、収納部125,134内の空気が窒素ガスN2 に置換される。
【選択図】 図7

Description

本発明は、レンズ表面にコーティング溶液を塗布し硬化させるまでの一連の作業を自動的に行ってコーティング被膜を形成する光学レンズのコーティング溶液硬化装置に用いられるレンズラック関する。
光学レンズ、特に眼鏡レンズの製作においては、遮光性、防眩性、調光性、耐擦傷性等を向上させるために、眼鏡レンズの表面にその目的に応じた材質のコーティング被膜を形成することが行われている(例えば、非特許文献1参照)。また、このようなコーティング被膜を自動的に形成する装置も従来から種々提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。なお、出願人は本明細書に記載された先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に密接に関連する先行技術文献を出願時までに見つけ出すことができなかった。
「眼鏡」メディカル葵出版、1986年5月22日発行 p.81〜83 特開2002−177852号公報 特表2000−508981号公報
前記特開2002−177852号公報に記載された眼鏡レンズ用のレンズコーティング装置は、クリーンルーム内に配置されたターンテーブル型の保持体と、この保持体上にそれぞれ設けられ眼鏡レンズが設置される回転自在な2つのレンズ保持具と、前記保持体の上方に配置された複数個のディスペンサーおよびコーティング溶液を硬化させるための光線を照射する光線照射手段とを備えている。前記保持体は、間欠的に半回転されることにより2つのレンズ保持具を前記ディスペンサーの下方位置である塗布位置と、前記光線照射手段の下方位置である硬化位置に交互に移動させるように構成されている。そして、保持体の半回転によって一方のレンズ保持具が塗布位置に移動し、他方のレンズ保持具が硬化位置に移動すると、一方のレンズ保持具上に載置されている眼鏡レンズの表面にコーティング溶液をディスペンサーによって滴下、塗布する間に、他方のレンズ保持具上に載置されている眼鏡レンズの表面に塗布されたコーティング溶液を光線照射手段によって硬化させ、コーティング溶液の塗布と硬化が終了すると、他方のレンズ保持具上の眼鏡レンズを取り外した後、前記保持体を半回転させることにより、一方のレンズ保持具上の眼鏡レンズを硬化位置に移動させ、空になった他方のレンズ保持具を塗布位置に移動させるようにしている。
前記特表2000−508981号公報に記載された紫外線および改良型冷却方式を用いた眼鏡レンズ硬化のための方法および装置は、可遡性眼鏡レンズを成形してコーティングする方法および装置に関するもので、注型重合法によってプラスチックレンズを成形する工程から、成形されたプラスチックレンズにコーティング被膜を成形する工程までの一連の工程を含んでいる。そして、プラスチックレンズの成形に際しては、第1の紫外線を鋳型内部のレンズモノマーに照射して硬化させ、レンズ成形後は成形鋳型から取り出したレンズに光重合開始剤を含む酸素バリア(コーティング溶液)を塗布し、この酸素バリアに第2の紫外線を照射して硬化させることによりコーティング被膜を形成するようにしている。
しかしながら、上記した特開2002−177852号公報に記載された眼鏡レンズ用のレンズコーティング装置は、ターンテーブル型の保持体を間欠的に半回転させることにより、2つのレンズ保持具を塗布位置と硬化位置に交互に移動させるようにしているため、眼鏡レンズのように2枚一組からなる注文生産の場合には生産性が低いという問題があった。すなわち、注文生産の眼鏡レンズ(装用者一人ひとりの眼鏡レンズ)のコーティング処理を連続的に行うような場合は、それぞれ異なった組の2枚の眼鏡レンズの塗布工程と硬化工程を同時に行う場合と、同一の組の2枚の眼鏡レンズの塗布工程と硬化工程を同時に行う場合が生じるので、コーティング溶液の滴下量、紫外線の照射時間等の処理条件を各組のレンズ情報にしたがってその都度切り替える必要があり、制御が複雑化する。また、保持体の周囲に回転を可能にする空間を確保する必要があるため、装置全体が大型化するという問題があった。
さらに、クリーンルーム内に光源照射手段と眼鏡レンズを同一環境下で配置し、光線照射手段から放射された光線を眼鏡レンズの表面に塗布されているコーティング溶液に直接照射しているだけであるため、クリーンルーム内の空気中に浮遊する微細な塵埃、微粒子等がレンズ表面のコーティング溶液上に付着すると不良品が発生するという問題もあった。
特表2000−508981号公報に記載されている従来のコーティング装置は、表面にコーティング溶液が塗布された眼鏡レンズを引出内に収納して紫外線を照射し、コーティング溶液を硬化させた後、引出から眼鏡レンズを取り出す引出方式を採っているため、眼鏡レンズの引出に対する出し入れ操作が煩わしく、コーティング溶液の硬化工程に長時間を要するという問題があった。
本発明は上記した従来の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、2枚一組からなる光学レンズのコーティング処理を自動的かつ同時に行うことができるようにすることにより、装置の制御を簡素化させるとともに、生産性の向上および装置の小型化を可能にしたコーティング溶液硬化装置用レンズラックを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、光学レンズを良好な環境下において硬化処理することができるようにした光学レンズのコーティング装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、第1の発明は、光学レンズに塗布されたコーティング溶液を光線の照射によって硬化させるコーティング溶液硬化装置に用いられるレンズラックであって、前記レンズラックは、上方にそれぞれ開放し前記各光学レンズを収納する収納部をそれぞれ有する固定ケースおよび可動ケースと、前記可動ケースを前記固定ケース方向に付勢する付勢手段とで構成され、前記固定ケースと前記可動ケースは、前記収納部の内壁にそれぞれ突設され前記光学レンズが被コーティング面を上にして載置される段部と、前記収納部内の空気を排気する排気用通路と、前記収納部内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給用通路とをそれぞれ有し、前記コーティング溶液の硬化時に収納部内が不活性ガスに置換されるものである。
第2の発明は、前記第1の発明において、前記固定ケースと前記可動ケースの上方に開放する収納部は、上方に向かって拡径化するテーパ状の穴部と、それぞれ一端を前記穴部に連通させて形成された少なくとも3つのピン用溝部とで構成されているものである。
第3の発明は、前記第1または第2の発明において、前記可動ケースは、コーティング溶液が塗布された光学レンズの収納部内への収納時において固定ケースから離間した状態に保持され、コーティング溶液の硬化時および前記収納部からの光学レンズの取出し時に前記固定ケースに接触した状態に保持されるものである。
第1の発明においては、2枚一組からなる光学レンズをレンズラックに収納した状態でこれらレンズに塗布されているコーティング溶液の硬化処理を同時に行うため、硬化処理を迅速に行うことができ、特に注文生産の眼鏡レンズのコーティング処理に適している。
また、2枚一組の光学レンズを収納したレンズラックを硬化部に搬送すればよいので、レンズラックの側方に格別な空間を確保する必要がなく、装置の小型化を可能にする。
また、光学レンズを固定ケースと可動ケースの収納部にそれぞれ収納し、コーティング溶液の硬化処理時にこれらの収納部内の空気を不活性ガスに置換するようにしているので、酸素との反応によってコーティング溶液が硬化するのを防止することができ、また不活性ガスの使用量が少なくてすむ。
第2の発明においては、収納部を上方に向かって拡径化するテーパ状の穴部としているので、光学レンズの挿入、取出しを容易にする。また、コーティング溶液の硬化時に、紫外線が被コーティング面の外周縁部にも十分に照射される。
第3の発明においては、コーティング溶液の硬化時に固定ケースと可動ケースを接触した状態に保持しているので、2つの光学レンズの間隔が狭くなり、光線照射装置を小型化することができる。
以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る光学レンズのコーティング装置の一実施の形態の一部を破断して示す外観斜視図、図2は同コーティング装置のクリーンルーム内の各種装置、手段等の配置関係を示す概略平面図、図3は塗布装置の外観斜視図、図4は同塗布装置の概略側断面図、図5はコーティング溶液のへら機構とレンズ外周用溶液平滑化機構を示す外観斜視図、図6はコーティング溶液の回収装置を示す外観斜視図、図7はレンズラックを硬化部に移動させた状態を示す外観斜視図、図8はレンズラックの平面図、図9は図8のIX−IX線断面図である。
図1および図2において、全体を符号1で示すコーティング装置は、左右一対の眼鏡レンズ2の被コーティング面2aに紫外線硬化型の調光用コーティング溶液を塗布して均一な膜厚とし、光線(紫外線)を照射して硬化させる一連の工程を自動的に行う装置であって、床面に設置された前後方向に長い立方体の筐体3を備えている。
眼鏡レンズ2は、被コーティング面2aである凸面が所定の曲率半径の光学面に研磨仕上げされ、凹面が未加工(または光学面に研磨された)の円形のプラスチックレンズであって、外径が例えば、65mm、70mm、75mm、80mm等の種類がある。なお、1つの眼鏡フレームに装着される2枚一組からなる眼鏡レンズ2を左眼用と右眼用を区別して説明する場合は、左眼用に添え字「L」を付し、右眼用に添え字「R」を付して示す。
前記筐体3は、複数本のフレームによって形成された箱型の骨組構造体4と、骨組構造体4の底板5と、骨組構造体4の内部を上下2つの室6,7に仕切る基台8と、下方の室6の各壁面を構成する不透明な観音開きの扉9と、上方の室7の各壁面および天井面を構成するプレート10等で構成されている。
前記下方の室6の内部には、制御盤11、窒素ガス供給装置12、UV(紫外線)コントローラ13、コーティング溶液回収装置14の一部構成部材等が収納されている。前記制御盤11は、後述する各種搬送手段、塗布装置42、光線照射装置151等をシーケンス制御するためのもので、図示を省略した外部入力装置が接続されている。外部入力装置としては、例えばパーソナルコンピュータが用いられ、各種搬送手段、塗布装置42、光線照射装置151等の動作のタイミング、動作時間等を各眼鏡レンズ2L,2Rに応じて設定し、その信号が前記制御盤11に入力される。
一方、前記上方の室7は、清浄な空気が供給管14によって上から下に向けて供給されることにより内圧が大気圧より若干高いクリーンルーム(以下、クリーンルーム7と称す)を形成しており、内部には前記各種搬送機構、塗布装置42、光線照射装置151等が収納されている。上方の室7の壁面および天井面を形成する前記プレート10は、壁面に対しては、透明なプラスチック板が用いられ、天井面に対してはステンレス板が用いられている。また、クリーンルーム7の前面を形成するプラスチック板10aは、開閉自在な扉を形成している。
さらに、クリーンルーム7の内部構造を詳述すると、大きく分けて3つの領域、すなわちトレー搬送部21、塗布部22および硬化部23に分かれている。トレー搬送部21は、2枚一組の眼鏡レンズ2L,2Rを収納するトレー24を装置の前方から後方に向けて搬送する部分であり、クリーンルーム7の右側部の前後方向全長にわたる領域である。塗布部22は、眼鏡レンズ2の被コーティング面2aにコーティング溶液を塗布する部分で、トレー搬送部21の左側でかつクリーンルーム7の前半部分の領域である。硬化部23は、眼鏡レンズ2の被コーティング面2aに塗布されたコーティング溶液を硬化させる部分で、前記塗布部22より後方の領域である。
前記トレー24は、プラスチックの射出成形によって箱型に形成されており、上面に各眼鏡レンズ2L,2Rが被コーティング面2aを上にしてそれぞれ載置される2つの載置部を有し、後壁に当該トレー24の識別番号を示すバーコード25が貼付されている。
前記トレー搬送部21には、前記トレー24を前方から後方に向かって搬送する第1の搬送手段30が設けられている。第1の搬送手段30は、モータによって駆動されるベルトコンベアからなり、前端部がクリーンルーム7の前面側プラスチック板10aに設けた開口部31から前方に突出し、後端部が同じくクリーンルーム7の後面側プラスチック板10bに設けた開口部32から後方に突出しており、前端に前記トレー24が載置されると、駆動して前記トレー24をクリーンルーム7内の第1の受渡位置T1 に搬送するように構成されている。
前記第1の受渡位置T1 は、前記第1の搬送手段30の上面であって前記前面側プラスチック板10aの開口部31に近い部分で、この第1の受渡位置T1 付近には前記トレー24を係止する図示を省略したトレーストッパと、前記バーコード25を光学的に読み取るバーコードリーダ35が配置されている。
前記バーコードリーダ35は、第1の搬送手段30の側板に設けた門型の取付板36の中央に取付けられている。バーコードリーダ35がバーコード25を読み取ると、その信号は図示しないホストコンピュータに送られる。ホストコンピュータは、バーコード信号が入力されると、当該トレー24に収納されている各眼鏡レンズ2L,2Rのレンズ度数、外径、中心厚等のコーティングに必要なレンズ情報を前記外部入力装置に送出する。なお、トレー24への眼鏡レンズ2の搭載、トレー24の第1の搬送手段30への載置およびトレー24へのバーコード25の貼付作業は作業者によって行われる。
前記塗布部22には、2枚一組の眼鏡レンズ2L,2Rが載置される2つのレンズ載置台41と、塗布装置42が配置されている。前記2つのレンズ載置台41は、第1の受渡位置T1 の左方で前記塗布装置42より前方に設けられ、これらのレンズ載置台41が設置されている位置が眼鏡レンズ2の第2の受渡位置T2 である。2つのレンズ載置台41の間隔d1 は、前記トレー24に収納されている2つの眼鏡レンズ2L,2Rの間隔d2 より大きく設定されている(d1 >d2 )。
前記第1の受渡位置T1 から第2の受渡位置T2 への眼鏡レンズ2の搬送は、第2の搬送手段44によって行われる。第2の搬送手段44は、クリーンルーム7の前端部上方に左右方向に延在するように設けたレール45に沿って往復移動される左右一対の挟持手段46A,46Bを備えている。これらの挟持手段46A,46Bは、各眼鏡レンズ2L,2Rのコバ面(外周面)を挟持する開閉自在な3本の挟持ピン47を有し、前記第1の受渡位置T1 と第2の受渡位置T2 の間を往復移動するように構成されている。また、一対の挟持手段46A,46Bは、接近離間自在でかつ上下動自在に設けられ、通常は第1の受渡位置1 の上方に待機している。この待機状態において、一対の挟持手段46A,46Bは、前記トレー24内の眼鏡レンズ2L,2Rの間隔d2 と同一の間隔に保持されており、トレー24が第1の受渡位置T1 に搬送されてきて停止すると、下降してその内部に収納されている各眼鏡レンズ2L,2Rを保持して第2の受渡位置T2 の上方に搬送し、2つのレンズ載置台41の間隔d1 と等しい間隔に広げられた後、下降して各レンズ載置台41上に各眼鏡レンズ2L,2Rを載置し、しかる後再び上昇して元の待機位置である第1の受渡位置T1 の上方に復帰するように駆動制御される。眼鏡レンズ2を挟持する前記3本の挟持ピン47は、同一円周上に放射方向に同期して開閉するように構成されている。
前記一対の挟持手段46A,46Bによって各眼鏡レンズ2L,2Rが第1のレンズ載置台41の上に搬送してトレー24が空になると、第1の搬送手段30は再び駆動して空になったトレー24を後述する第7の受渡位置T7 に搬送する。
図3〜図6において、前記塗布装置42は、前記第1の載置台41の後方に設置された上方に向かって開放する左右方向に長い直方体の塗布容器50と、この塗布容器50の内部に回転自在に設けられ前記各眼鏡レンズ2L,2Rが設置される左右一対の回転台51と、各回転台51を個々独立に回転させる2つのステッピングモータ56と、前記各回転台51に対応して前記塗布容器50の上方に配置され各眼鏡レンズ2L,2Rの被コーティング面2aにコーティング溶液63を滴下する左右一対のコーティング溶液滴下手段52と、各眼鏡レンズ2L,2Rの被コーティング面2aの外周縁部に溜まる余分なコーティング溶液63を取り除くへら機構53と、眼鏡レンズ2のコバ面2bに付着しているコーティング溶液63の膜厚を平滑化させるレンズ外周用溶液平滑化機構54と、塗布容器50内に落下した余剰のコーティング溶液63を再使用するために回収する前記コーティング溶液回収装置14等を備えている。
前記回転台51は、載置された眼鏡レンズ2を真空吸着するとステッピングモータ56によって回転され、遠心力によってコーティング溶液63の膜厚を均一化させる。回転台51の回転速度は、低速(例えば、15rpm)、高速(例えば、54rpm)の順で二段階に切り替えられる。左右一対の回転台51の間隔は、前記第1の載置台41の間隔d1 と等しい。一対の回転台51の間隔をトレー24内の眼鏡レンズ2の間隔d2 より大きくした理由は、遠心力によって各眼鏡レンズ2L,2Rから飛散するコーティング溶液63が隣接する他の眼鏡レンズに付着しないようにするためである。なお、塗布容器50の上板の下面で各眼鏡レンズ2L,2Rが挿入される各開口部58の周りには、遠心力によって眼鏡レンズ2から飛散したコーティング溶液63が隣接する他の眼鏡レンズ2に付着するのを防止する截頭円錐形の邪魔板59が取付けられている。
図5において、前記左右一対のコーティング溶液滴下手段52は、ノズル60と、コーティング溶液63を貯蔵する交換可能な容器61と、コーティング溶液63の滴下時にノズル60を容器61とともに上下および前後方向に移動させる駆動装置66とを備え、コーティング溶液63の滴下時に容器61内のコーティング溶液63に所定の圧力を加えることによって前記ノズル60より眼鏡レンズ2の被コーティング面2a上に所定量のコーティング溶液63を滴下するように構成されている。
図3および図4において、前記駆動装置66は、クリーンルーム7の天井面に左右一対のガイドバー67によって前後方向に移動自在に配置された第1のスライド板68と、このスライド板68を前後方向に移動させる第1のモータ69と、この第1のモータ69の回転を前記第1のスライド板68に伝達するボールねじ70を備えている。また、前記第1のスライド板68の下方に上下動自在に設けられた第2のスライド板71と、前記第1のスライド板68に垂直に取付けられ前記第2のスライド板71を上下動させる上下シリンダ72と、前記第2のスライド板71にそれぞれ左右一対のガイドバー74によって上下動自在に取付けられた左右一対からなる第3のスライド板75と、前記第2のスライド板71にそれぞれ取付けられ前記各第3のスライド板75をそれぞれ個々独立に上下動させる左右一対からなる第2のモータ76と、これら第2のモータ76の回転を前記各第3のスライド板75にそれぞれ伝達する2本のボールねじ78等を備えている。そして、各第3のスライド板75の前面に前記各コーティング溶液滴下手段52がそれぞれ取付けられている。
コーティング溶液63を滴下する際、コーティング溶液滴下手段52は、前記駆動装置66によってノズル60が眼鏡レンズ2の外周から中心に向かって螺旋状に移動するように駆動制御される。コーティング溶液63は、眼鏡レンズ2の被コーティング面2aに滴下されると、回転台51の回転による遠心力によって被コーティング面2a全体に広がり、その一部は飛散して塗布容器50内に落下する。
このように、前記塗布装置42によって各眼鏡レンズ2L,2Rの被コーティング面2aにコーティング溶液63をスピンコート法によってそれぞれ塗布すると、コーティング溶液63は被コーティング面2aの外周縁部において表面張力により膜厚が厚くなって盛り上がる。この外周縁部の膜厚が厚いコーティング溶液63は、次工程である硬化工程において紫外線の照射によって硬化したとき、皺が発生するおそれがある。このため、各眼鏡レンズ2L,2Rの被コーティング面2aの外周縁部におけるコーティング溶液63を平滑化して余分なコーティング溶液63を取り除くために前記へら機構53が前記各コーティング溶液滴下手段52の近傍に位置するように前記第3のスライド板75に取付けられている。
図5において、前記へら機構53は、前記第3のスライド板75に取付けられた支持アーム80と、この支持アーム80の先端部にノズル60の左側に位置するように取付けられた取付板82と、この取付板82の下端に取付けられたホルダー83と、このホルダー83の前端面に形成したスリット84に着脱可能に差し込み固定されたへら板85とで構成されている。ホルダー83は、垂直線に対して眼鏡レンズ2(2L)方向に所要角度(例えば、45°)傾斜するように支持アーム82に取付けられている。このため、へら板85もホルダー83と同一角度で同方向に傾斜している。また、へら板85は、コーティング溶液滴下手段52の前後方向(図5の矢印A、B方向)に対して後端側が前端より眼鏡レンズ2から離間するように所要角度(例えば、30°)傾斜している。すなわち、へら板85は垂直線および前後方向の水平線に対して交差するように傾いた状態で取付けられている。このため、へら機構53の使用時にへら板85は前端が眼鏡レンズ2Lの被コーティング面2aの外周縁左側縁に対して接触し、眼鏡レンズ2Lの回転により前記被コーティング面2aの外周縁全周にわたって溜まっている余分なコーティング溶液63を削ぎ落とす。なお、へら機構53は、不使用時(コーティング溶液の非滴下時)において眼鏡レンズ2Lの後方に待機しており、使用時(コーティング溶液の滴下後)に前記第1のスライド板75の前進移動によって眼鏡レンズ2Lの左側方に移動し、へら板85を被コーティング面2aの外周縁に接触させる。また、図5においては左眼用眼鏡レンズ2Lのへら機構53を示したが、右眼用の眼鏡レンズ2Rのへら機構53も全く同一構造であるため、その説明を省略する。
同じく図5において、前記レンズ外周用溶液平滑化機構54は、眼鏡レンズ2L(右側の眼鏡レンズ2Rのレンズ外周用溶液平滑化機構54も同様)のコバ面2bに付着しているコーティング溶液63の膜厚を平滑化させるためのもので、駆動装置90によって作動される保持機構91と、一対のコーティング溶液除去部材92とを備えている。前記保持機構91は、伸縮自在なパンダグラフ機構からなり、通常引張りコイルばね93によって短縮した状態に保持されており、作動時に前記駆動装置90の駆動により引張りコイルばね93に抗して伸長すると、前記一対のコーティング溶液除去部材92を眼鏡レンズ2Lのコバ面2bに所定圧で押し付けるように構成されている。前記駆動装置90としては、エアシリンダが用いられる。
前記コーティング溶液除去部材92は、吸着性に優れた発泡樹脂(スポンジ)によって円柱状に形成され、パンダグラフ機構91の前端に取付けた取付板94の表面に前後方向に所定の間隔をおいて垂直に取付けられており、眼鏡レンズ2Lのコバ面2bに押し付けられることにより、コバ面2bに付着しているコーティング溶液63を薄く引き延ばし、均一な膜厚とする。なお、前記へら機構53とレンズ外周用溶液平滑化機構54は、コーティング溶液滴下手段52によるコーティング溶液63の滴下後に略同時に作動するように構成されている。
図6において、前記眼鏡レンズ2の被コーティング面2aから遠心力で飛散したり、へら機構53によって取り除かれた余分なコーティング溶液63は、塗布容器50内に溜まると前記コーティング溶液回収装置14によって回収され再利用される。コーティング溶液回収装置14は、吸引ポンプ100と、コーティング溶液63を回収する複数本の回収容器101とを備え、これらの回収容器101をパイプ102によって直列に接続し、その一端を前記吸引ポンプ100に接続し、他端側を二股に分岐して前記塗布容器50内に挿入し、その開口部を各へら機構53の真下にそれぞれ位置させている。前記吸引ポンプ100は、前記筐体3の下方の室6に収納されている。
再び図1および図2において、前記塗布部22の上方には、第2、第3および第4の受渡位置T2 ,T3 ,T4 間を往復移動する第3の搬送手段110が設けられている。第3の受渡位置T3 は、前記塗布装置42が配置されている位置である。第4の受渡位置T4 は、第3の受渡位置T3 の後方位置で、空のレンズラック120が待機している位置である。
前記第3の搬送手段110は、図1に示すようにクリーンルーム7の左内壁に設けた水平なレール111に沿って前後方向に移動するスライダー112と、このスライダー112を往復移動させる図示を省略したモータと、前記スライダー112に上下動自在に設けられ右方に延在する水平な取付板113と、この取付板113を上下動させる図示を省略した駆動装置と、前記取付板113の下面に取付けられた左右一対の挟持手段114A,114Bとで構成されている。このような第3の搬送手段110は、前記第1の載置台41に載置された眼鏡レンズ2L,2Rを一対の挟持手段114A,114Bによって保持して前記塗布装置42の上方に搬送すると、塗布容器50内の各回転台51上に載置し、各眼鏡レンズ2L,2Rへのコーティング溶液63の滴下塗布が終了すると、各回転台51上の眼鏡レンズ2L,2Rを再び保持して第4の受渡位置T4 に搬送し、当該第4の受渡位置T4 に待機している空のレンズラック120にそれぞれ収納するように構成されている。
前記各挟持手段114A,114Bは、各眼鏡レンズ2L,2Rのコバ面2bを挟持する開閉自在な4本の挟持ピン116を有し、前記第2の受渡位置T2 〜第4の受渡位置T4 間を往復移動するように構成されている。4本の挟持ピン116は、左右にそれぞれ前後2本ずつ設けられ、前後に対向する2本の挟持ピンどうしが互いに接近離間するように構成されている。
また、一対の挟持手段114A,114Bは、通常第2の受渡位置T2 の上方位置に待機しており、各第1の載置台41に眼鏡レンズ2L,2Rが載置されると、これらレンズを保持して第3の受渡位置T3 に搬送すると塗布容器50内の回転台上51に載置し、コーティング溶液63の塗布が終了すると、各回転台51上のコーティング溶液63が塗布された眼鏡レンズ2L,2Rを再び把持して塗布容器50から取り出し、第4の受渡位置T4 に搬送するように駆動制御される。一対の挟持手段114A,114Bの間隔は、前記第1の載置台41の間隔d1 と同一に保持されている。塗布容器50の各眼鏡レンズ2L,2Rを収納する収納部の上面開口部は、前記第3の搬送手段110による眼鏡レンズ2の収納、取出しを容易にするために、前記挟持ピン116が最大に開いた状態におけるこれらピンに外接する円よりも大きい円形に形成されている。
図7〜図9において、前記レンズラック120は、ベースプレート121と、このベースプレート121上に配置され各眼鏡レンズ2L,2Rを個々に収納する2つのケース、すなわち左眼用眼鏡レンズ2Lを収納する固定ケース122Aと、この固定ケース122Aの右側に接近離間する方向に移動自在に配置され右眼用眼鏡レンズ2Rを収納する可動ケース122Bと、前記可動ケース122Bを固定ケース122A方向に付勢する引張りコイルばね123とで構成されている。
前記ベースプレート121は、上プレート121Aと下プレート121Bとからなり、上プレート121Aが下プレート121B上に上下動自在に設置されている。一方、下プレート121Bは、前後方向に平行に延在する左右一対のガイドバー124によって摺動自在に支持されており、第4の搬送手段147(図2)によって前記第4の受渡位置T4 と硬化部23と第5の受渡位置T5 の間を往復移動されるように構成されている。レンズラック120を搬送する第4の搬送手段147としては、例えばモータによって駆動されるベルトが用いられる。
前記固定ケース122Aは、前記上プレート121Aの上面左端部に固定されており、眼鏡レンズ2Lを収納する上方に開放した収納部125を有している。収納部125は、眼鏡レンズ2Lを収納する穴部125Aと、この穴部125Aに一端がそれぞれ連通する前後方向に長い4つのピン用溝部125Bとで構成されている。穴部125Aは、眼鏡レンズ2の挿入、取出しを容易にするために、上方に向かって拡径化するテーパ状に形成されている。また、テーパ状の穴部125Aは、後述する光線照射装置151によるコーティング溶液63の硬化時において眼鏡レンズ2Lの外周縁部に対する紫外線の照射を容易にする。ピン用溝部125Bは、前記第3の搬送手段110の挟持手段114Aの挟持ピン116による眼鏡レンズ2Lの収納部125内への収納を可能にするための溝であり、穴部125Aの前方側と後方側にそれぞれ2つずつ互いに対向するように形成されている。また、これらのピン用溝部125Bは、後述する第5の搬送手段171による眼鏡レンズ2Lの取り出しを可能にしている。さらに、収納部125の内壁には、眼鏡レンズ2Lの外周縁部の左右両端部を支持する左右一対の段部126が設けられている。固定ケース122Aの上面には前記収納部125を取り囲む環状溝127が形成されており、この環状溝127にはOリング128が嵌着されている。
また、固定ケース122Aには、コーティング溶液63の硬化時に収納部125内の空気を排気し不活性ガスに置換するために、Oリング128と、空気排気用通路129および不活性ガス供給用通路130が設けられている。すなわち、本発明は眼鏡レンズ2Lに塗布されたコーティング溶液63を固定ケース122A内において不活性ガスの雰囲気中で硬化させるものである。
前記Oリング128は、固定ケース122Aの上面で前記収納部125の周囲に形成された環状溝127に嵌着されている。
前記空気排出用通路129は、固定ケース122Aの肉厚内に形成されて一端が前記収納部125の内壁に開口し、他端が配管131を介して図示を省略した真空ポンプに接続されている。前記不活性ガス供給用通路130は、同じく固定ケース122Aの肉厚内に形成されて一端が前記収納部125の底面中央に開口し、他端が配管132によって前記窒素ガス供給装置12(図1)に接続されており、収納部125に不活性ガスとして窒素ガス(N2 )を供給する。さらに、前記収納部125の内部中央で眼鏡レンズ2Lの真下には、窒素ガスN2 による眼鏡レンズ2Lの浮き上がりを防止する邪魔板133が設けられている。
前記可動ケース122Bは、固定ケース122Aと左右対称で外観形状が若干異なるが、内部構造は全く同一である。このため、可動ケース122Bは、上方に開放し眼鏡レンズ2Rを収納する収納部134と、空気排気用通路135および不活性ガス供給用通路136が形成され、上面には収納部134を取り囲みOリング138が嵌着される環状溝137が形成され、上面には収納部134を取り囲む環状溝137が形成されている。前記環状溝137には、Oリング138が嵌着されている。
前記収納部134は、上方に向かって拡径化するテーパ状の穴部134Aと、この穴部134Aに一端がそれぞれ連通する4つのピン用溝部134Bとで構成され、内部には段部139と邪魔板140が設けられている。前記ピン用溝部134Bは、前記第3の搬送手段110の挟持手段114Bの挟持ピン116による眼鏡レンズ2Rの収納部134内への収納を可能にしている。
このような固定ケース122Aと可動ケース122Bは、レンズラック120が前記第4の受渡位置T4 に待機している状態において、間隔設定手段144(図7)によって収納部125と134の間隔が広く設定、すなわち前記第1のレンズ載置台41の間隔d1 と等しくなるように最大に離間した状態に保持されている。前記間隔設定手段144は、前記第4の受渡位置T4 の装置固定部側に横設されたエアシリンダ145からなり、このエアシリンダ145のロッド146によって可動ケース122Bに設けているプレート143を固定ケース122Aから引張りコイルばね123に抗して離間する方向に付勢している。エアシリンダ145は、レンズラック120が第4の受渡位置T4 から硬化部23に向かって移動する直前にOFF状態に切り替わってロッド146を後退させ、プレート143の押圧状態を解除する。このため、可動ケース122Bは、引張りコイルばね123のばね力によって左方に移動して固定ケース122Aに当接し、これによって収納部125と他の収納部134の中心間の間隔が狭められる。この中心間の間隔は、前記トレー24内における眼鏡レンズ2L,2Rの間隔d2 と等しい。
前記硬化部23には、レンズラック120を上プレート121Aとともに昇降させる駆動手段150が配設され、さらにその上方には光線照射装置151が配設されている。前記駆動手段150は、左右一対のエアシリンダで構成され、前記レンズラック120が硬化部23に停止すると駆動して上プレート121Aを光線照射装置151の下面高さまで押し上げるように構成されている。
前記光線照射装置151は、密閉型のハウジング152内に水平に配置された紫外線ランプ153を備えている。ハウジング152の内部には、コーティング溶液63の硬化時に紫外線ランプ153の温度上昇を防ぐために冷却空気154が供給される。このため、冷却空気用配管155と、排気用配管156の一端がハウジング152の上面に接続されている。また、排気用配管156の他端側は、シロッコファン157(図1)に接続されている。
前記ハウジング152の底面側開口部は、透明板160によって密閉されており、この透明板160に前記レンズラック120の固定ケース122Aと可動ケース122Bがコーティング溶液63の硬化時に前記Oリング128,138を介してそれぞれ押し付けられるように構成されている。すなわち、光線照射装置151は、コーティング溶液63の硬化時において、紫外線ランプ153から放射された紫外線を前記透明板160を透過させ、固定ケース122A、可動ケース122B内の各眼鏡レンズ2L,2Rに塗布されているコーティング溶液63に照射することによりコーティング溶液63を硬化させるものである。
さらに、前記ハウジング152の内部で紫外線ランプ153と透明板160との間には、シャッタ161が配置されている。このシャッタ161は、通常閉状態に保持されることにより紫外線ランプ3から出た紫外線を遮断し、コーティング溶液63の硬化時に開くように構成されている。また、光線照射装置151によるコーティング溶液63の硬化処理は、レンズラック120を上昇させて固定ケース122Aと可動ケース122Bの上面を透明板160にOリング128,138を介して密着させることにより固定ケース122Aと可動ケース122Bを密閉し、その内部の空気を窒素ガスN2 に置換した後に行われる。
前記第4の搬送手段147は、光線照射装置151によるコーティング溶液63の硬化処理が終了すると、前記レンズラック120を前記硬化部23より第5の受渡位置T5 に搬送する。第5の搬送位置T5 の後方には、第6の受渡位置T6 が設けられている。第6の受渡位置T6 には、左右一対からなる第2の載置台170が設けられている。第2の載置台170は、前記第1の載置台41と全く同一構造である。また、第5の受渡位置T5 と第6の受渡位置T6 との間の上方空間には、第5の搬送手段171が設けられている。この第5の搬送手段171は、第5の受渡位置T5 に搬送されて停止したレンズラック120内から各眼鏡レンズ2L,2Rをそれぞれ取り出して第6の受渡位置T6 に搬送し、前記第2の載置台170上にそれぞれ載置するもので、前記第3の搬送手段110と類似した構造ではあるが、シリンダによって駆動される点で異なっている。また、各眼鏡レンズ2L,2Rを挟持する一対の挟持手段172A,172Bの間隔は、トレー24内における眼鏡レンズ2L,2Rの間隔d2 と等しく設定されている点でも異なっている。
前記第2の載置台170上に載置された各眼鏡レンズ2L,2Rは、第6の搬送手段180によって保持されると第7の受渡位置T7 に搬送され、この第7の受渡位置T7 に待機している空のトレー24に収納される。第7の受渡位置T7 は、前記第6の受渡位置T6 の右真横であって前記第1の搬送手段30の上面位置である。第7の受渡位置T7 には、空のトレー24を停止させる図示を省略したトレーストッパが設けられている。
前記第6の搬送手段180は、前記第6の受渡位置T6 と第7の受渡位置T7 の間を往復移動して眼鏡レンズ2L,2Rを搬送するもので、前記第2の搬送手段44と略同一に構成されている。このため、その詳細についての説明を省略する。前記第1の搬送手段30は、第7の受渡位置T7 に待機している空のトレー24に各眼鏡レンズ2L,2Rが収納されると駆動して前記トレー24をクリーンルーム7の外部後方に搬送する。
このように本発明に係るコーティング装置1は、2枚一組からなる眼鏡レンズ2L,2Rのコーティング処理を同時に並行して行うように構成したので、硬化処理を迅速に行うことができ、特に特注の眼鏡レンズのコーティング処理に適している。すなわち、上記した特開2002−177852号公報に記載されたコーティング装置のように眼鏡レンズを一枚ずつ順次コーティング処理する従来の処理方式においては、特注レンズの場合、同一種(1人の装用者)の2枚のレンズに対するコーティング溶液の塗布処理および硬化処理と、異種(異なった2人の装用者)の2枚のレンズに対するコーティング溶液の塗布処理および硬化処理を交互に行うことになるので、制御系が複雑化するのに対して、本発明においては、常に同一種の眼鏡レンズを2枚一組として処理するため、制御系を簡素化することができる。
また、2枚一組の眼鏡レンズ2を収納したレンズラック120を塗布部22から硬化部23に直線移動させるだけでよいため、レンズラック120の側方に格別な空間を確保する必要がなく、装置の小型化を可能にする。
また、固定ケース122Aと可動ケース122Bを接触させた状態でコーティング溶液63を硬化させるので、2つの眼鏡レンズ2L,2Rの間隔が狭く、紫外線ランプ153を小型化することができる。
さらに、各眼鏡レンズ2を固定ケース122Aと可動ケース122Bに収納した状態でをコーティング溶液63の硬化を行うようにしているので、窒素ガスN2 の消費量を少なくすることができ経済的である。
なお、上記した実施の形態は、第3の搬送手段110の各挟持手段114A,114Bを4本の挟持ピン116で構成したが、これに限らず3本の挟持ピンで構成してもよい。その場合は、固定ケース122Aと可動ケース122Bの収納部125,134を、円形の穴部と、3つのピン用溝部とで構成すればよい。
また、上記した実施の形態は、眼鏡レンズ2に調光用のコーティング被膜を形成する例について説明したが、本発明はこれに何ら特定されるものではなく、遮光性、防眩性、耐擦傷性等のコーティング被膜を形成する場合にも適用することが可能である。
本発明は眼鏡レンズに限らずカメラ等の光学レンズにも適用することが可能である。
本発明に係る光学レンズのコーティング装置の一実施の形態の一部を破断して示す外観斜視図である。 同コーティング装置のクリーンルーム内の各種装置、手段等の配置関係を示す概略平面図である。 塗布装置の外観斜視図である。 同塗布装置の概略側断面図である。 コーティング溶液のへら機構とレンズ外周用溶液平滑化機構を示す外観斜視図である。 コーティング溶液の回収装置を示す外観斜視図である。 レンズラックを硬化部に移動させた状態を示す外観斜視図である。 レンズラックの平面図である。 図8のIX−IX線断面図である。
符号の説明
1…コーティング装置、2…眼鏡レンズ、3…筐体、7…クリーンルーム、14…コーティング溶液回収装置、22…塗布部、23…硬化部、24…トレー、30…第1の搬送手段、41…第1の載置台、42…塗布装置、44…第2の搬送手段、51…回転台、52…コーティング溶液滴下手段、53…へら機構、54…レンズ外周用溶液平滑化機構、63…コーティング溶液、85…へら板、90…駆動装置、91…パンダグラフ機構、92…コーティング溶液除去部材、110…第3の搬送手段、120…レンズラック、122A…固定ケース、122B…可動ケース、125…収納部、125A…穴部、125B…ピン用溝部、126…段部、134…収納部、134A…穴部、134B…ピン用溝部、128,138…Oリング、129,135…排気用通路、130,136…不活性ガス供給用通路、139…段部、147…第4の搬送手段、151…光線照射装置、153…紫外線ランプ、160…透明板、170…第2の載置台、171…第5の搬送手段、180…第6の搬送手段、T1 〜T7 …第1〜第7の受渡位置。

Claims (3)

  1. 光学レンズに塗布されたコーティング溶液を光線の照射によって硬化させるコーティング溶液硬化装置に用いられるレンズラックであって、
    前記レンズラックは、上方にそれぞれ開放し前記各光学レンズを収納する収納部をそれぞれ有する固定ケースおよび可動ケースと、前記可動ケースを前記固定ケース方向に付勢する付勢手段とで構成され、
    前記固定ケースと前記可動ケースは、前記収納部の内壁にそれぞれ突設され前記光学レンズが被コーティング面を上にして載置される段部と、前記収納部内の空気を排気する排気用通路と、前記収納部内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給用通路とをそれぞれ有し、前記コーティング溶液の硬化時に収納部内が不活性ガスに置換されることを特徴とするコーティング溶液硬化装置用レンズラック。
  2. 請求項1記載のコーティング溶液硬化装置用レンズラックにおいて、
    前記固定ケースと前記可動ケースの上方に開放する収納部は、上方に向かって拡径化するテーパ状の穴部と、それぞれ一端を前記穴部に連通させて形成された少なくとも3つのピン用溝部とで構成されていることを特徴とするコーティング溶液硬化装置用レンズラック。
  3. 請求項1または2記載のコーティング溶液硬化装置用レンズラックにおいて、
    前記可動ケースは、コーティング溶液が塗布された光学レンズの収納部内への収納時において固定ケースから離間した状態に保持され、コーティング溶液の硬化時および前記収納部からの光学レンズの取出し時に前記固定ケースに接触した状態に保持されることを特徴とするコーティング溶液硬化装置用レンズラック。
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